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議会事務局(政務調査費)の監査の結果(平成22年9月2日)

ページ番号:0000003666 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第35号
平成22年 9月2日

広島市監査委員 南部 盛一
同 野曽原 悦子

定期監査及び行政監査結果公表

 地方自治法第199条第2項及び第4項の規定により標記の監査を実施したので、同条第9項及び第10項の規定によりその結果を下記のとおり公表する。
 なお、太田憲二監査委員及び今田良治監査委員は、監査の範囲である政務調査費の交付を受けており、地方自治法第199条の2の規定により、除斥した。

1 監査の対象

議会事務局 総務課

2 監査の範囲

平成21年度に属する収入、支出、契約等財務に関する事務等のうち政務調査費に関する事務

3 監査の期間

平成21年11月30日から平成22年8月2日まで

4 監査の方法

 監査に当たっては、政務調査費に関する事務が広島市議会の会派に対する政務調査費の交付に関する条例及び同施行規則、広島市議会政務調査費運用マニュアルに基づいて、適正に執行されているかどうかを主眼として実施し、抽出により関係書類を検査照合するとともに、関係職員から説明を聴取した。

5 監査の結果

次に述べる事項を除いておおむね適正に処理されていた。

(1) 使途基準に照らし、必要性、合理性を欠いた支出について

 以下のとおり、政務調査費の使途基準に照らし、必要性、合理性を欠いた支出が見受けられた。
 これらの支出については、既に市議会の該当する会派から自主的に返還されているところではあるが、早急に再発防止策を講じるとともに、適正な事務の執行に努められたい。

区分

件数

金額

個人的な経費

6件

32,010円

後援会活動経費

7件

53,875円

飲食を主目的とする会合経費

31件

177,000円

割引のある回数券の額面による支出

3件

240円

47件

263,125円

(2) 議会事務局の審査について

 広島市議会政務調査費運用マニュアル(以下「マニュアル」という。)には、政務調査費の使途基準の運用のほか、領収証書へのあて名や日付等の記載についても定められている。
 しかしながら、領収証書にあて名や日付がないなど不備のあるものが数多く見受けられるとともに、領収証書の記載内容からして、使途基準に照らし問題があると思われる事例が見受けられた。
 議会事務局において、政務調査費の支出について審査を行う際には、マニュアルに基づき、領収証書のあて名、日付等の外形的審査を綿密に行うとともに、領収証書の記載内容から使途基準に照らし問題があると思われる事例があれば、市議会各会派に確認を行うなど審査を適正に行うよう努められたい。

6 監査の意見

政務調査費の適正な運用について、以下のとおり意見を述べる。

(1) 領収証書について

 あて名のないものなど領収証書の不備が数多く見受けられた。
 領収証書は政務調査費支出の重要な証拠書類であり、市議会各会派において、マニュアルの周知徹底を行うとともに、政務調査費の支出における自己監査体制の整備などの内部統制の充実を図り、再発防止に努められるよう強く要望する。

(2) マニュアルについて

 政務調査費の支出に当たっての判断基準として、マニュアルが作成されている。
 しかしながら、以下のとおり改善を要する事案が見受けられたため、マニュアルを的確に見直されるよう強く要望する。

  • ア 出張旅費について
    • 出張については、市議会各会派において、出張目的を明確にし、その必要性を十分に検討したうえで出張の承認を行うことが必要である。
    • また、政務調査による出張であることを明白にするため、すべての出張において、出張内容(場所、相手先、政務調査内容等)を記載した報告書を作成のうえ、その保管を義務付けるべきである。
  • イ 名刺代について
    • 名刺代については、マニュアルに使途についての定めはないが、年間1,000枚程度までの範囲を政務調査費で支出している事例が見受けられた。
    • 名刺代は政務調査費の使途基準に合致しないとした裁判例(青森地方裁判所平成18年10月20日判決)のとおり、議員としての通常の活動を超えた調査研究活動のために必要な経費であるとは考え難く、多くの政令指定都市において名刺代の支出を認めていないことからも、政務調査費から支出することには疑問が残る。
    • このため、名刺代の支出を認めないことをマニュアルに定めるべきである。
  • ウ 携帯電話について
    • マニュアルにおいては、1台分の携帯電話利用料金について、政務調査活動とそれ以外の議員活動に使用する場合は2分の1,私的活動が含まれる場合は3分の1の按分率により支出することが定められているが、1台分の利用料金全額を政務調査費から支出している事例が見受けられた。
    • しかしながら、携帯電話の使用に際し、政務調査活動以外の受発信を行わないことや政務調査活動専用の携帯電話であることの周知徹底は難しく、政務調査活動の目的に限定して使用することは現実的ではないため、全額を政務調査費から支出することには疑問が残る。
  • エ 政務調査活動専用事務所について
    • マニュアルにおいては、「専ら政務調査に資する場合は、按分による算定方法の適用はありません。」とされており、事務所に要する経費全額を政務調査費から支出している事例が見受けられた。
    • しかしながら、事務所に政務調査活動以外の目的で来訪される市民等を受け入れないことはできず、政務調査活動以外の目的でも使用されていると考えるのが現実的であるため、全額を政務調査費から支出することには疑問が残る。
  • オ ガソリン代について
    • マニュアルにおいては、自家用車を政務調査活動とそれ以外の議員活動に使用する場合は2分の1,私的活動が含まれる場合は3分の1の按分率により支出することが認められている。また、これらの按分率の適用が認められるのは、政務調査活動と他の活動との区分が明らかでなく、実績の把握が困難な場合とされている。
    • これらの按分率を用いて政務調査費を支出している事例が見受けられた。
    • しかしながら、ガソリン代については、使用する車の運行日誌を作成し、使用目的及び走行距離を記録することにより使用実績に基づく按分による算定は可能であり、それに基づいて政務調査費を支出すべきである。
  • カ 備品について
    • 備品については、市議会各会派において、備品台帳を作成のうえ、その保管状況を把握するとともに、特に個人事務所で保管するものについては、議員の任期満了時の所有権の取扱いについても明確にすることが必要である。
    • このため、マニュアルにおいて、備品台帳の作成の義務付けや備品の所有権の取扱いを定めるべきである。
  • キ 親族の雇用について
    • マニュアルにおいては、政務調査活動の補助職員として親族を雇用する場合は、生計を一にする親族の雇用は認められていない。
    • このため、親族を雇用する場合については雇用契約書を作成するとともに、住所が同一である場合には、生計を一にしていないことが確認できる書類の提出を求めるべきである。

 以上のほか、裁判例の動向なども十分考慮のうえ、状況変化に迅速に対応して、マニュアルを見直されるよう要望する。

(3) 政務調査費の支出について

 政務調査費の原資は市民等からの税金であり、かつ、地方自治法に規定する「議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部」として、市政に関する調査研究活動のみに支出されるものである。
 政務調査費制度が、議会の自主性、自律性を尊重して運用されるものであり、また、政務調査費が、市議会会派及び議員の良識と責任により判断し使用されるものであることを念頭において、政務調査目的を踏まえ真に必要な経費支出に努められるよう強く要望する。