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「平成21年度包括外部監査結果報告書」の概要について(市税に関する事務の執行について)

ページ番号:0000003712 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

平成21年度包括外部監査結果(平成22年2月5日公表)のページに戻る

目次

  1. 監査の概要
  2. 監査実施の概要
  3. 監査結果の概要
  4. 監査意見の概要

1 監査の概要

(1)監査の種類

地方自治法第252条の37第1項に基づく包括外部監査

(2)選定した特定の事件(テーマ)

市税に関する事務の執行について

(3)監査実施期間

平成21年7月30日から平成22年1月14日まで
なお、平成21年4月1日から平成21年7月29日までは、事件の選定を行うとともに、補助者の選定を行った。

2 監査実施の概要

(1)事件を選定した理由

 広島市は、平成15年10月の財政非常事態宣言後、平成16年4月に第2次財政健全化計画を、平成20年2月に今後の財政運営方針を策定し、これまで、これらの計画を基本とした財政運営に努めることにより、市財政の健全化に一定の成果をあげてきた。

 しかしながら、長引く景気の低迷や、国のいわゆる三位一体改革により国庫補助負担金や地方交付税の改革が進んでおり、市財政は依然として厳しい状況にある。

 広島市財政の健全化のためには、歳出の見直しや適正配分など歳出面での対策はもちろんのこと、必要な歳出を支える歳入の確保が重要な課題となる。地方公共団体の歳入確保のために市税は重要な項目であり、広島市においても、平成19年度実績において、一般会計歳入合計に占める市税の割合は38.8%(2,101億円)と歳入の根幹をなす市税の重要性は高い。

 したがって、市税事務の執行が、法令に準拠して、公平かつ効率的に行われているかについて監査する意義は重要であると判断し、特定の事件として選定した。

(2)監査の視点

  • ア 市税の賦課及び徴収事務が、法令や条例等に準拠して行われているか。
  • イ 市税の賦課及び徴収事務が網羅的に行われており、公平性が確保されているか。
  • ウ 市税の賦課及び徴収事務を行う際、国・県等の関係者と連携がとられ、事務が適正かつ効率的に行われているか。
  • エ 市税の賦課及び徴収事務の実施に際し、誤りや不正が生じないよう未然に防止するなどの仕組み(内部統制)があり、かつ、有効に機能しているか。
  • オ 未収となった原因が的確に把握され、未収金の徴収事務や不納欠損処分は適切に実施されているか。
  • カ 納税者にとって、納付しやすい環境が整備されているか。
  • キ 市税の賦課及び徴収事務を行う担当組織の規模等は適正であるか。

3 監査結果の概要

(1)法人市民税

中間申告義務者の把握と申告督促について

 中間申告あるいは予定申告義務があるにもかかわらず申告もせず納付もしない法人に対し、申告督促を行っていない。

 現状において、法令で定められた法人市民税の申告書の様式では、中間申告義務の有無を判断する情報を記載することとなっていないため、中間申告義務者が把握できていない。

 その結果、中間(予定)納付する法人と、そうでない法人との間に、資金運用上不公平が生じることから、今後は、中間申告義務の有無を判断する情報を保有する国・県と情報の提供について協議を進め、中間(予定)申告義務者の把握に努め、申告督促すべきである。

(2)固定資産税

ア 償却資産に係る国税資料閲覧調査後の対応について

 償却資産に係る国税資料閲覧調査の結果、償却資産の申告に漏れがあるのではないかとの疑問を持ちながら、それから先の調査が実施されずに未解決となっている以下のような事案が存在した。

(ア)A社の事案

 A社の国税資料(平成19年7月31日現在の貸借対照表)には、建物附属設備4,564万円が計上してあるが、これが償却資産の申告と一致しない。

(イ)B社の事案

 B社の国税資料(平成19年6月30日決算に係る法人税申告書別表十六(二))には、建物附属設備が取得価額ベースで1,030万円計上してあるが、償却資産の申告ではこれが200万円であり830万円の差が生じている。

(ウ)C氏の事案

 C氏の国税資料(所得税申告書調査票)には、建物附属設備等が取得価額ベースで2,092万円計上してあるが、これが償却資産の申告にはない。

(エ)D氏の事案

 D氏の国税資料(所得税申告書調査票)には、構築物が取得価額ベースで357万円計上してあるが、これが償却資産の申告にはない。

 このような事実を認識したのであれば、速やかに文書等により減価償却資産明細書等の提出依頼を行い、それでも提出がないものについては現地調査を積極的に実施するなどして、課税漏れがないか否か早期に結論を出す必要がある。

イ ハガキによる申告慫慂(しょうよう:誘いすすめること)後の対応について

1em;">平成20年度の償却資産未申告者に対するハガキによる申告慫慂の結果、依然として未申告のままで解決に至らなかった者のうち、広島市として「免税点以上と推定される者」と認識している案件が、往査した3つの区役所において監査日現在で次のとおり存在した。

 中区役所76件
 西区役所33件
 安佐南区役所18件

 これらの案件については、速やかに現地調査を積極的に実施するなどして、課税漏れがないか否か早期に結論を出す必要がある。

4 監査意見の概要

(1)個人市民税

ア 給与支払報告書未提出事業所の調査について

 給与支払報告書未提出事業所の調査方法として、前年度の提出実績があり、当該年度に提出のない給与支払者について調査がなされている。これに加えて網羅性の観点から、新規設立法人や新たに支店を設置した法人についても登記情報や法人市民税において把握している法人の情報との照合を行い、未提出者の調査を行うべきである。

イ 未申告者調査の調査終了確認について

 未申告者調査において、前年度調査で調査未了となり繰り越された者は、当該年度においてもあらゆる手段で調査をしたが未回答であれば調査が打ち切られ、上席者による調査打切りの承認がとられているが、未申告者調査処理用リストには何も調査状況が記入されていないものもある。

 どのような理由に基づき結論を下し、調査事務を終了したのか明瞭になっていないケースが見受けられ、可能な範囲での記載が必要と考えられる。

ウ 未申告者調査の調査対象範囲について

 現在行われている未申告者調査は、前年度課税データがあり、当該年度に申告のない者を主として調査されているが、前年度に課税データがない者で、当該年度申告すべき者が申告しなかった場合には調査対象となっていない。現在行われている調査だけでも大変な労力がかかっているが、税の網羅性、公平性の観点から、他都市の状況等も調査し、未申告者調査対象者をどのように効果的に拡大することができるか検討されたい。

(2)法人市民税

ア 未届法人に対する調査方法の拡充について

 課税の網羅性実現のために、未届法人の一層の調査把握が期待される。例えば、未届法人把握の精度向上のため、支店を持つ法人については課税客体を積極的に捕捉する等、調査方法の拡充を検討されるべきである。

 現状では、平成18年度に電話帳データ利用による未申告法人の調査を実施し、次回の調査日程については、調査事務体制、処理が最優先される法定資料である国税資料に基づく調査の進ちょく状況、景気動向を勘案して決める予定とのことであるが、調査頻度が決められていない。月々の大量の事務量がある中で、毎年とはいかないまでも税の網羅性の観点からも、調査を定期的に行うべきである。

 さらに、例えば、広島市が保有している法人市民税の情報と給与支払報告書の提出法人との照合、軽自動車の登録法人との照合等、調査方法の拡充を検討されるべきである。

イ 未申告法人調査事務の効率化について

 国税資料に基づく未申告法人調査事務の効率化を図るべきである。

 毎月県税事務所から法人税の申告データ(以下「通知書」という。)を取得して法人市民税のデータと照合し、未申告者等の調査事務を行っている。調査事務は毎月行われ、事務量は大量なものとなっている。現在調査中のもので、古い案件では平成17年のものが残っている。

 新しい調査案件は毎月発生しており、限られた人員で、タイムリーで実効性のある調査事務を実施することが必要である。そのためには、どこまで調査をし、どの段階で調査を打ち切るのかという調査を打ち切るための基準を作成すべきである。

 また、毎月市は県から通知書を受領し、必要に応じ県へ情報の問い合わせをしているのみであり、国や県で調査して判明した事項を市が取得することは行われていない。国や県で調査して判明したもので、調査事務に有用と思われる情報は市へも提供してもらい、逆に市が調査して判明した情報は国や県へも提供すべきである。

 国、県、市はお互いに利用できるデータの共有化、情報の共有化、連携の強化を図り、資料収集等のコストを下げ、調査事務の効率化を図るべきである。

(3)固定資産税

ア 免税点判定を過年度にさかのぼって実施することについて

 償却資産に係る国税資料閲覧調査の結果、E社の国税資料(平成19年7月31日決算に係る法人税申告書別表十六(一))には、建物附属設備が取得価額ベースで130万円計上してあるが、これが償却資産の申告にはない。

 この資産について償却資産の申告があった場合の平成20年度の評価額は104万円であり、これに申告済の資産の評価額29万円を加えても、合計で133万円であり、免税点の150万円に満たないため問題ない。しかし、平成19年度のこれらの資産について同様の方法により計算したところ合計の評価額は163万円であり、免税点の150万円以上となり課税漏れという結果を招いている。

 このような場合の免税点以上か否かの検討は、課税の網羅性の観点から、明らかに免税点未満と判断できる場合を除いて、当該年度のみではなくその前の年度についても行う必要がある。

イ 国税資料閲覧調査後の事務処理の引継ぎについて

 往査した3区役所のうち、任意に安佐南区役所を選定して国税資料閲覧調査後の事務処理に係る担当者交替時の引継ぎの状況について監査した。

 安佐南区役所では、平成20年度の国税資料閲覧調査に関し、調査対象者との折衝経緯を記録した「平成20年度償却資産申告書未提出者記録票」が作成されていたが、平成21年4月の担当者の交替の際には、この記録票による現担当者への引継ぎが十分に実施されていなかった。

未解決案件の早期解決を推進する観点から、担当者の交替の際には、記録票等により詳細な引継ぎを行う必要がある。

ウ 国税資料閲覧先の選定について

 平成18年度の税制改正により国税関係資料の閲覧が可能と地方税法に明文化され、広島市においても平成19年度から本格的に実施されているところである(平成18年度も実施はされている。)。

 現在、国税資料の閲覧先の選定は、各区役所にて担当者と係長が協議し、さらに税務署側とも調整した上で決定されている。五十音順に選定したケース、当該年度の未申告者を選定したケース等である。

 本格的実施から3年を経過し、各区役所にて実績を積んできたことから、各区役所の担当者が実績を持ち寄り情報交換し、適正申告の確保及び未申告者の解消という観点から、より効果の上がる選定の方法を検討されることを提案する。

(4)収納・債権管理業務

ア 滞納整理事務の効率化について

 滞納者の中には複数の区にわたる滞納が発生している場合があるが、高額滞納案件については、収納率の向上及び事務処理の効率化のため、各区の滞納金額の合計が200万円以上になった場合には、原則として本庁納税課の特別滞納整理班が各区より徴収業務を引き継ぎ一元管理を行っている。

 しかし、高額滞納案件を除いては、各区収納課の職員が個別に徴収業務を行っており、滞納整理事務が各区で重複している。

 この重複した滞納事案については、収納事務取扱要領に基づき、必要に応じて各区の収納担当者による協議会を開催し、情報交換や今後の処理方針を決定している。また、協議会等で窓口を一本化することになった場合には、滞納者との折衝窓口を一元化して効率的に対応するなど、可能な限り事務の重複のないよう努めている。

 しかし、より効率的な収納事務を行うためには、複数の区にわたる滞納案件について、金額基準のみならず、一定期間以上滞納しているものを徴収困難案件として、単一部署で一元化管理することも検討されたい。

イ 滞納債権の残高管理について

 平成21年3月31日現在の滞納繰越分のうち、5年以上前(平成14年度以前)に係るものは、一括管理されており、課税発生年度別に集計されていなかった。

 平成21年3月31日現在の滞納繰越分86億947万円のうち、平成14年度以前の滞納債権は15億7,021万円である。最も古いものは昭和51年度に課税したもので1万3,000円であった。

 一括的に集計されている5年以前の債権についても、長期の滞納債権又は回収努力の効果のない債権の区分管理を行い、不納欠損処理への移行の判断資料とするため、課税発生年度別の債権管理が必要と考える。

平成21年3月31日現在の滞納繰越金額
区分 調定額(単位:万円)
平成19年度 283,493万円
平成18年度 148,688万円
平成17年度 112,523万円
平成16年度 87,318万円
平成15年度 71,901万円
平成14年度以前 157,021万円
合計 860,947万円

注 広島市財政局税制課作成資料より

ウ 分割納付の事務手続について

 分割納付に関する手続については、収納事務取扱要領に定められており、滞納者から、分割納付の申し出があった場合には来庁を求め、納付相談の上、早期完納を指導するとともに、滞納の新規発生を未然に防止するよう努めている。

 また、納付約束をする場合は、原則として納税者から必ず納付誓約書を徴することとしている(ただし、短期間等のものを除く。)が、滞納者等の実情により、やむを得ず、電話による分割納付の申請も受け付けることや納付期間が一定期間以上であっても納付誓約書が得られない場合もある。

 分割相談においては、滞納金額が一定額、一定の納付期間以上の場合は、納付計画書の提出を義務付けることや、不履行が続く場合には強制徴収を行うなどといった具体的な手順を収納事務取扱要領に盛り込むことにより、判断に客観性を持たせることが、税負担の公平性の観点から望ましいと考える。

エ 延滞金の管理について

 延滞金とは、市税において本来の納期限までに完納されなかった税額が発生した場合にその遅延した税額及び期間に応じて課されるものである。延滞金の調定額は、本税を収入した時点で確定する。延滞金の調定については、広島市会計規則上、「延滞金を収納したときに調定をすることができる。」としているため、広島市の決算書上、延滞金収入額=延滞金調定額となっている。このような会計上の取り扱いのために、本税を収入した時点で市全体として確定した延滞金額、それに対する収納率、収入未済額及び不納欠損額が把握されていない。

 本税については、税目別に調定額、収納率、収入未済額及び不納欠損額は把握されており、決算書に公表されている。そして、その収納率が低い場合や、滞納額が大きい場合は市の財政上、必要な対策がとられる。しかし、延滞金はこのような徴収状況が把握されていないために、延滞金が市の条例、規則どおりに適正に徴収されているかを全体として知ることができない。

 延滞金は、期限までに納付した納税者と滞納者との間で不公平とならないよう、規定どおりに徴収すべき債権であり、そのためには、本税と同様に延滞金の全体としての徴収状況、すなわち、税目別に調定額、収納率、収入未済額及び不納欠損額を管理資料として整備し、収納率の向上に向けて管理、指導する必要がある。また、広島市会計規則に従えば、決算書上の処理は、延滞金収入額=延滞金調定額となるのであるが、延滞金の徴収状況を決算書とは別の資料として作成し、分析等を行っていただきたい。そして、その結果を公表することも、検討していただきたい。

オ 延滞金の減免手続について

 延滞金の減免を認めるかどうかの具体的判断は、地方税法に規定されている徴収猶予に係る国の通知に準じて行っている。

 しかしながら、この通知は必ずしも明確な基準となっていないことから、今後、減免の具体的な判断基準を明確にすることが望ましい。

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電話:082-504-2533/Fax:082-504-2338
メールアドレス:kansa@city.hiroshima.lg.jp

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