ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 都市整備局 > 都市整備局 指導部 建築指導課 > 建築紛争になりやすい事例の一般的な考え方

本文

建築紛争になりやすい事例の一般的な考え方

ページ番号:0000000412 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

1) 日照の阻害について

事例

 隣の敷地に高い建物が建つという話を聞きましたが、私の家がその建物により日影になりそうで心配です。建築主側とどのように話し合えばよいのでしょうか?日照権は守られないのでしょうか?

考え方

 まず、建築主側に日影図の提出を求め、計画されている建物により、あなたの家が1日のうち、どのくらいの時間日影になるかを知ることが大切です。その後、日照阻害の実状を建築主側に伝え、何か改善する方法はないか、両者でよく話し合ってみてください。日影による影響を少なくする方法としては、建物の高さを低く抑える、建物の配置を南側に寄せることのほか、建物の東西方向の幅を狭くする、屋根形状又は外壁・バルコニー形状の工夫によっても改善されることがあります。
 なお、「日照権」については、法律上では明文化されていませんが、民事訴訟等により、日照阻害の程度が社会生活を営むうえで受忍限度を著しく超えていると認められる時に保護される場合があります。個々のケースにより異なりますが、判例では、日影規制の適合性、日照阻害の程度、地域性、損害回避の可能性などを基に判断されるようです。

メモ

建築基準法には日照権に関する規定はありませんが、「日影規制(建築基準法第56条の2:日影による高さの制限)」を設け、その建築物が周囲に生じさせる日影を一定時間以内に抑えるような制限を設けています。

日照阻害イメージ

2) プライバシーの侵害について

事例

隣の敷地に高い建物が建つという話を聞きましたが、私の家の部屋がその建物側から覗かれそうで、防犯の面でも不安です。プライバシーを保護するため、建築主側に対して何を要望できますか?

考え方

 住民側と建築主側で話し合われた結果、廊下の開放性を保ちながらも、廊下を歩く人の視線を遮るために目隠し板を設置した例があります。また、お互いのプライバシーを適度に保ちながら快適な生活を営むためには、建築主側に計画建物の工夫を求めるばかりでなく、あなたの住宅においてもカーテンやブラインドを設置するなど、状況に応じて双方がよく話し合い、知恵を絞って歩み寄ることも大切です。

メモ

民法では、「隣地境界線から1m未満の距離に隣の宅地が観望できる窓や縁側等を設ける場合は、目隠しをしなければならない。」と定めています(民法第235条)。しかし、プライバシーで問題となるものの多くが、民法に規定がない1m以上離れた窓やバルコニーであることから、実際の問題解決には、民法にとらわれず当事者間での話し合いにより解決することが大切です。

プライバシー侵害イメージ

3) 工事中の騒音・振動について

事例

 近所に高い建物を建てるというので、建築主側の関係者の方が挨拶に来られました。工事中の騒音が気になるし、振動で私の家の壁がひび割れたり、家が傾いたりしないか心配です。どのように建設業者と話し合えばよいでしょうか?

考え方

 工事の規模や周辺の状況等により騒音・振動の影響が発生すると考えられる場合は、建築主側と作業方法や作業時間、工事車両の通行経路等について話し合い、その内容を記した「工事協定書」を交わすのが一般的です。その中で、必要に応じて、施工に伴い家屋等に被害が生じた場合の対応について取り決めておくとよいでしょう。

メモ

 建築工事に伴う騒音・振動に関する法的な制限として、特定の作業(くい打機、さく岩機、空気圧縮機を使用する作業や、コンクリートプラント又はアスファルトプラントを設けて行う作業など)については、騒音規制法及び振動規制法により一定の制限を受けますが、その他の作業については制限がありません。(「特定建設作業のしおり」:環境局環境保全課[PDFファイル/27KB])

工事騒音イメージ

4) 電波障害について

事例

 近所に高い建物が建つということで、テレビの映りが悪くなるのではないか心配です。建築主側に、どのように要望すればよいのでしょうか?

考え方

障害が発生するか否かは計画段階である程度予測できますので、少しでも不安があるようでしたら、建築主側に障害の予測調査の実施を求めましょう。その結果、障害が発生すると予測された場合は、建築後に障害が発生した場合の対策について、建築主側と話し合っておくことが大切です。対策の方法としては、高層建物の屋上に共同受信アンテナを設置し、障害を受ける建物までケーブルで接続する方法(共同受信施設による方法)や、民間ケーブルテレビ(CATV)を利用する方法があります。また、テレビ電波受信障害の対策は、原因者となった建築主側の負担により行われるのが一般的です。

メモ

住民側の費用負担については、通常のテレビジョン放送の受信に必要とする経費に相当する額(屋内配線・維持管理費等)を負担することが多いようです。

5) 景観・眺望阻害について

事例

 隣の敷地に高い建物が建つそうです。せっかく今までは、窓を開けると見晴らしのよい景色を見ることができたのに、今後はその景色を見ることができません。このような場合、眺望権の侵害に当たるのではないでしょうか?

考え方

 新たな建物の建築によって、今まで見ることのできた景色が見られなくなったといって、直ちにそれが眺望権の侵害にあたるわけではありません。景勝地などのように、その眺望が特別の価値を持つと民事訴訟等により認められた場合に、眺望を阻害されたと言えるのが一般的です。一方、お隣の所有者にとって、その土地を有効に活用する権利があることも事実です。このようなことから、建物の配置や形状の工夫などにより少しでも影響を抑える方法がないか、建築主側とよく話し合ってみてください。

メモ

建築基準法には眺望権に関する規定はありません。また、日照や風害などのように実際の被害が見えず、眺望の感じ方にも個人差があることから、民事訴訟等により事例ごとに判断される問題だと思われます。

眺望阻害イメージ

6) 風害について

事例

 近所に高い建物が建つそうですが、高い建物の近くでは「ビル風」という強い風が吹き、周辺の建物に被害をもたらすということを聞きました。この風害への対策はないのでしょうか?

考え方

 風害の事前調査として、コンピューターを使ったシミュレーション(模擬試験)や、模型を作成しての風洞実験により風速を想定する方法があります。そこで、もし風害の不安があるようでしたら、建築主側にこの調査の実施と、調査結果の提出を求めてみてください。ただし、実際の風の動きは、風向や土地の形状などの様々な要因が複雑に作用して変化し、正確な想定が難しいことから、実際に風害が発生した場合には、何が原因かをよく調べ、双方が誠意を持って話し合うことが大切です。

メモ

風害について建築基準法には規定がなく、建築をする際に事前に風害の調査をしなければならないという法的な強制力もありません。一般的には、建築主側の自主的な判断により調査が行われています。

7) 圧迫感について

事例

 隣の敷地に高い建物が建つという話を聞きました。私の家は2階建ですので、高い建物が完成すると、かなりの圧迫感を感じそうです。建物を建築する際に、隣の土地から何メートル離さなければいけないというような制限はないのでしょうか?

考え方

 建築基準法では、建物の外壁を隣地境界線から一定の距離だけ離すというような規定がありません。また、防火地域又は準防火地域内にある建物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができると規定しています(建築基準法第65条)。
 一方、民法では、建物を建てる場合には隣地境界線より50cm以上離さなければならないと規定しています(民法第234条)が、これも地域にこの規定と異なる慣習のある場合は、その慣習によることになっています(民法第236条)。そこで、隣に建つ建物により圧迫感を感じるようであれば、建物の配置や平面形状の工夫により圧迫感を少しでも和らげる方法がないか、少しでも歩み寄れる事項がないかを建築主側との話し合いの中から見つけてください。

メモ

平成15年1月の建築基準法改正により、従来の斜線制限に加え、新たに「天空率」による高さ制限が導入されました。これにより、敷地全体に低い建物がべったり建つことを避け、高さ方向に細長い建物とすることにより建物周囲に空地を多く確保した計画が可能となりました。これとは別に、地区計画の制度により、道路境界線や隣地境界線から外壁の後退距離を定めている地区もあります。

圧迫感イメージ

8) 近隣の同意と建築確認について

事例

 先日建設業者から、隣の敷地に高い建物を建てるという説明を受けました。私としては、建物の階数を下げてもらいたいし、私の家から離して建ててもらいたいと思っているので、正直この計画には同意できません。近所の同意がなくても、建物の建築は可能なのでしょうか?

考え方

 建物を建築する際は、建築基準法をはじめとする様々な法令により制限を受けますが、いずれの場合においても、近隣の同意を義務付けたものはありません。このため、近隣の同意がなくても法的要件に適合すれば、建築主事等は「建築確認」の処分をしなければならず、結果として建築が可能となります。また、本市が定める「中高層条例」についても、近隣住民への建築計画の説明は義務付けていますが、同意までは義務付けていません。ところが、近隣の方々にとっては、たとえ建物が法的要件に適合しているといっても、様々な点で不安があるものです。この場合、基本的には民事上の問題になりますので、当事者間の話し合いにより解決することになります。

メモ

当事者同士で十分に話し合っても、話し合いがうまく進まないような時、「中高層条例」に基づく市による「あっせん」・「調停」の制度があります。「あっせん」は両者の申し出により、「調停」はあっせんで解決の見込みがない場合に行いますが、いずれの場合も、相手が話し合いに応じてくれることが前提となります。

お問合せ先

都市整備局 指導部 建築指導課 または 各区役所 建築課

関連情報

ダウンロード

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)