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原爆ドーム第1回保存工事
昭和40年度(1965年度)に広島市の依頼により、広島大学工学部建築学教室が原爆ドームの調査を行いました。これを踏まえて保存工事の手法が検討され、昭和42年度(1967年度)に工事が実施されました。
接着工事
原爆ドームは、亀裂が無数にあり、壁内部も悪い部分があることが予想されました。この亀裂や肌別れした部分を接着する工事は保存工事の中でも重要な工事で、接着剤にはエポキシ樹脂が採用されました。
接着作業は、パイプを壁体に挿入しパイプから接着剤を圧入しました。パイプの挿入は、亀裂や肌別れ部分に挿入する手法と、孔あきのパイプを使用し、亀裂に対し斜めに両方向から交互に挿入する手法がとられました。孔あきパイプを使用した注入法は、厚い壁体内部の空洞まで接着剤が注入されることや、パイプが補強鉄筋の役割を果たすことが期待されます。
亀裂幅が大きいものは、エポキシモルタルやエポキシ樹脂を充填しました。
注入したパイプは、壁表面より出ている部分をカットし、カット面を充填剤でシールしました。
- その他に、表面の仕上げモルタルが浮いている部分にも注入剤を注入しました。注入箇所は亀裂部分をシールし、注入パイプをセットして、シール硬化後注入しました。
- 構造上影響の大きいひび割れに対しては、ひびわれを挟んで補強金物を埋設しました。補強金物には、かすがい状の鉄筋を使用し、一部低層部分ではフラットバー(鉄板)を使用しました。
補強鉄骨工事
原爆ドームは、壁が高く、床盤などの水平に対する繋ぎ材が少ないなどの理由により、水平外力に弱い構造をしていることから水平剛性を高める(台風や地震に備える)ための補強鉄骨を設置しました。なお、補強鉄骨は外側からなるべく見えないよう必要最小限で設置しています。
壁体の立て起こし、大梁引上げ、煉瓦積直し
崩壊の危険がある壁の倒れを直し(立て起こし)、地上に落下していた大梁を吊り上げ、現状の位置に復旧しました。また、立て起こしした壁体を支え、方立などの崩壊を防ぐために煉瓦積の一部を積み直ししました。
塗装工事
露出している鋼材の錆び止めを主目的に、既設の鋼材と新設の補強鉄骨に塗装を施しました。
防水工事
旧倉庫部分の屋根と壁体頂部や窓台の防水工事を行いました。
旧倉庫部分の屋根は、清掃の後、均しモルタルを塗り、樹脂を塗布しました。その後、押えモルタル、仕上げモルタルの塗布を行いました。
壁体頂部と窓台は清掃後、エポキシ樹脂を塗布し、仕上げにセメントモルタルで勾配をつけました。
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