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5 地区別の方向性(1) 安佐南区八木・緑井地区

ページ番号:0000005578 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

ア 被災状況

(「八木・緑井地区 被災状況概要図」参照)

 阿武山南東山麓に位置する八木・緑井地区は、高度経済成長期の昭和40年代に急速に宅地化が進み、JR可部線、国道54号などの交通基盤や、大型商業施設などの生活利便施設に恵まれた人気のベッドタウンです。
 この地区では、8月20日未明からの豪雨により、八木四丁目に設置された高瀬観測局(国)のデータによると2時から3時までの1時間で最大時間雨量87mmを記録し、その前後の3時間累積雨量は187mm、24時間累積雨量は247mmに達しました。
 この豪雨で地区内の10か所以上の渓流において土石流が発生し、土砂や流木等が住宅地へ流出したため、死者は八木地区で52人、緑井地区では14人に上りました。特に八木三丁目では、巨石を含んだ土石流が3度にわたり発生したとの報告もあるなど、JR可部線付近まで家屋の損壊が及び、人的にも物的にも最大の被害を記録しました。
 また、地域の農業用水路である八木用水が大量の土砂により閉塞したため、流れ込む雨水が流下できなくなり、用水沿いの広い地域で浸水被害が生じました。

緑井八丁目~八木三丁目付近の画像
写真5-1 緑井八丁目~八木三丁目付近
阿武山では多くの谷筋で土石流が発生し、ふもとの住宅地に被害を及ぼしました。

八木三丁目県営緑丘住宅付近の画像
写真5-2 八木三丁目県営緑丘住宅付近
3度にわたる土石流により最も大きく、かつ広範囲な被害が発生しました。

緑井八丁目の画像
写真5-3 緑井八丁目
急勾配の道路を水流が2m近くえぐりました。

八木用水と市道安佐南1区125号線の画像
写真5-4 八木用水と市道安佐南1区125号線
(緑井七丁目付近)

土石流で運ばれた土砂が八木用水に堆積し、周辺の住宅が浸水被害を受けました。

イ 地区の課題

(ア) 土石流等からの安全確保

 今回の豪雨により、急峻な阿武山等に数多く存在する渓流の多くで土石流が発生しており、地域の安全確保のため緊急な対策が必要です。

(イ) 避難路の確保

 地区内には幹線道路はなく、生活道路はいずれも急勾配で幅も狭く、車の離合が困難な状況です。土砂災害から逃れるため、斜面に対し横方向にいち早く退避でき、大型車両の進入も可能な幹線道路の整備や、生活道路への離合場所の確保などが必要です。

(ウ) 雨水排水の処理

 地区内の普通河川の多くは流路断面が小さく、また全てが八木用水を流末としているなど課題が多いため、豪雨時に山側から流下する水の処理について検討が必要です。

(エ) その他

 地元集会所が3か所被災し、緊急避難や今後の地域コミュニティ活動に支障が生じています。

ウ 復興まちづくりの方向性

(「八木・緑井地区 復興まちづくり概要図」参照)

 土砂災害対策については、土石流から市街地を守る砂防堰堤整備を国事業として、また急傾斜地崩壊対策を県事業として、いずれも緊急に実施することで、早期に地域の基本的な安全性を確保します。
 また本市の事業として、広域避難路となる都市計画道路(長束八木線及び川の内線)と豪雨時の水を処理する雨水渠を同時に整備することで、安全性をさらに向上させます。
 その他にも、生活道路や水道管の整備、地元集会所の復旧支援などに取り組むことで、公共交通機関や生活利便施設への良好なアクセスを活かした、活力のあるまちづくりを進めます。

(ア) 集中復興期間に取り組む施設整備等

  1. 土砂災害対策
    • 砂防堰堤整備[国]:30渓流(国に早期事業着手を要望している8渓流を含む。)
    • 急傾斜地崩壊対策[県]:1か所
  2. 避難路の整備
    • 広域避難路[長束八木線]整備:延長1,500m、幅員16m
      ※ 緑井八丁目の市道安佐南1区136号線(幅員6m程度に拡幅予定)から八木四丁目の市道安佐南1区79号線(幅員6m程度)までの間をネットワークさせます。
    • 広域避難路[川の内線]整備:延長250m、幅員16~22m
      ※ JR可部線北側から市道安佐南1区126号線までの側道部分などを整備します。
    • 市道新設(八木三丁目):延長250m、幅員7m程度
    • 市道[安佐南1区126号線]拡幅:延長50m、幅員4m程度
    • 市道[安佐南1区134、136号線]拡幅:延長450m、幅員6m程度
    • 市道[安佐南1区157号線]拡幅:延長100m、幅員6m程度
  3. 雨水排水施設等の整備
    • 雨水排水施設整備
      ※ 砂防施設より下流部分を整備します。
    • 雨水渠整備:延長1,850m
      ※ 豪雨時に山側から流下する水を、古川を通じて安全に流下させます。具体の計画は、古川への放流可能量などを踏まえ、普通河川との流量分担などを検討して定めます。
    • 普通河川[上山川など]局部改良
      ※ 上山川をはじめとする地区内の普通河川について、河川ごとに詳細な調査を行い、流下能力が不足している箇所などを改良します。
  4. その他
    • 水道管整備:延長1,500m
      ※ 災害時等に長時間の断水が生じることなく、安定的に給水できるよう、耐震性の高い水道管を長束八木線に整備します。
    • 配水池及びポンプ所整備:各1か所
      ※ 災害時等においても安定的に給水できるよう、老朽化した既設配水池及びポンプ所を更新します。
    • 地元集会所復旧支援

(イ) 継続復興期間に取り組む施設整備等

  1. 避難路の整備
    • 広域避難路[長束八木線]整備:延長1,300m、幅員16m
      ※ 緑井七丁目、緑井八丁目の一部及び八木四丁目の区間について延伸整備し、地域の主要な幹線道路である市道安佐南1区156号線から国道54号までの間をネットワークさせます。
    • 広域避難路[川の内線]整備:延長400m、幅員16~22m
      ※ JR可部線を上越しする高架部、長束八木線との接続部などを整備します。
  2. その他
    水道管整備:延長1,300m
    ※ 災害時等に長時間の断水が生じることなく、安定的に給水できるよう、耐震性の高い水道管を長束八木線に整備します。

八木・緑井地区 被災状況概要図

  • 10か所以上の渓流で土石流が発生し、住宅地へ流出したため、66人の方が亡くなり、291棟の建物被害が生じました。
  • 八木用水が大量の土砂により閉塞したため、用水沿いの広い地域で浸水被害が生じました。
  • 注1)被災状況は、広島市災害対策本部「平成26年8月20日の豪雨災害への対応について」から抜粋したものです。
  • 注2)土砂流出範囲は、国土地理院が8月28・30・31日撮影の空中写真のうち雲の影響のない部分を判読されたものです。

(画像をクリックすると拡大画像が別ウィンドウで表示されます。)
八木・緑井地区の8月19日18時から8月20日6時の雨量、土砂流出範囲と建物被害を示した被災状況の概要図

八木・緑井地区の人的被害と建物被害
  人的被害
(死亡)
建物被害
(全壊、半壊、一部損壊)
八木三丁目 41人 130棟
八木四丁目 10人 52棟
八木六丁目 - 10棟
八木八丁目 1人 20棟
小計 52人 212棟
緑井七丁目 10人 35棟
緑井八丁目 4人 44棟
小計 14人 79棟
合計 66人 291棟

八木・緑井地区 復興まちづくり概要図

  • 砂防堰堤整備を緊急に実施することで、早期に地域の基本的な安全性を確保します。
  • 広域避難路となる都市計画道路と豪雨時の水を処理する雨水渠を同時に整備することで、安全性をさらに向上させます。
  • 公共交通機関や生活利便施設への良好なアクセスを活かした、活力のあるまちづくりを進めます。
  • 注1)集中復興期間は災害発生から5年間(平成31年度まで)、継続復興期間はその後の5年間(平成36年度まで)としています。
  • 注2)実線の砂防堰堤マークは、今後整備を行う施設の概略の位置を示しています。
  • 注3)点線の砂防堰堤マークは、市より国に早期事業着手を要望している渓流を示しています。
  • 注4)雨水排水施設は、概略のルートを示しており、今後変更となる場合もあります。
  • 注5)整備、改良される施設の多くは、用地の確保が必要となりますが、現時点で土地所有者等の御了解を得ているものではありません。

(画像をクリックすると拡大画像が別ウィンドウで表示されます。)
砂防堰堤や急傾斜地崩壊対策、雨水排水施設整備などの計画を示した八木・緑井地区の復興まちづくり概要図