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米国の「原爆開発記念公園」計画等に関する要請(2011年12月2日)

ページ番号:0000009815 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

駐日アメリカ合衆国大使館 特命全権大使
ジョン・V・ルース大使 閣下

要 請 文

貴国ネバダ州ラスベガスの核実験博物館を見学させていただいた市民から、被爆者の苦しみ、悲しみなどがほとんど展示されていないことについて疑問視する声が寄せられたことから、本市が現地を確認いたしました。その結果、核実験の成功を示す数多くの展示があるのに比し、核兵器が実際に使用された広島の被爆の実相がほとんど紹介されていないことが分かりました。

確かに、同博物館はネバダ核実験場の歴史を伝えることを目的とした施設であることは十分承知しています。

しかしながら、広島市民は、貴国の大統領が2009年にプラハで「米国には、核兵器を使用したことがある唯一の国としての道義的な責任があり、核兵器なき世界の平和と安全保障を追求することを確信を持って宣言する。」と明言されたことに心から共感し、貴国の今後の核政策に対し大きな希望を抱いています。

ついては、同博物館の展示においても、大統領の意志を汲み、核兵器がもたらす一つの事実として、広島の被爆の惨状や人的被害の実情がきちんと展示されるよう御配慮をお願いいたします。

加えて、貴国が、原爆開発研究の現場であったニューメキシコ州ロスアラモス、ワシントン州ハンフォード、テネシー州オークリッジの3か所を国立歴史公園に指定する計画を今年7月に発表されたことに、広島市民は強い憂慮の念を抱いております。

計画の詳細は把握しておりませんが、同公園の指定は、広島にもたらした被爆の実相を理解することなく、核兵器廃絶を求める世界の多くの人々の願いに背くものであり、将来の世代に誤ったメッセージを残すことになりかねないと危惧するものです。

貴国には、改めて大統領自身が目指す「核兵器なき世界」の実現に向け、被爆者の辛く悲しい経験や平和への思いを深く理解し、同公園の指定をはじめ、核兵器に関する議論を行い、またその存在を広く紹介される際には、広島の被爆の実相をしっかりと踏まえていただくよう強く求めます。

2011年12月2日
広島市長 松井 一實