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被爆地広島・長崎の訪問について(要請)
謹啓 向春の候 貴台にはますます御清祥のことと心からお喜び申し上げます。
貴国におかれては、核兵器禁止条約に署名(・批准(メキシコ・ベトナム・タイのみ))されるなど、国際社会の先頭に立って核兵器廃絶の推進に向けて大きな役割を果たされていることに心から敬意を表します。
1945年8月の原爆の投下により、広島と長崎の街は、一瞬のうちに廃墟と化し、多くの尊い命が失われました。辛うじて生き残った被爆者は、平均年齢が82歳を超える中、放射線による後障害や差別・偏見に苦しみながらも「核兵器のない世界」の実現を強く願い、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」と自らの辛い体験を語り続けています。
世界にいまだ1万4千発を超える核兵器がある中、意図的であれ偶発的であれ、核兵器が炸裂したあの日の広島・長崎の姿を再現させ、人々を苦難に陥れる危険性は核兵器が存在する限りなくなりません。このような被爆者の平和への切なる願いを受け止めていただいている貴台には、本年6月、我が国で開催される「2019年G20大阪サミット」の機会に、是非とも被爆地広島・長崎を訪問していただき、「核兵器のない世界」に向けて更なるアピールをしていただくことを心から望んでおります。
被爆地の両市民は、貴台の訪問を心から歓迎いたしますとともに、貴台と共に「核兵器のない世界」を目指して取り組んでいくことを希望しています。
また、日本でのG20関係閣僚会合に出席される貴国の閣僚にも被爆地を訪問していただければ誠に幸甚に存じます。
末筆ながら、貴台のますますの御活躍と御健勝を心からお祈りいたします。
謹言
2019年2月12日(13日)
広島市長 松井 一實
長崎市長 田上 富久