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任意後見制度は、現在は判断能力のある人が、将来認知症などで判断能力が低下したときに、財産管理や身上監護に関する法律行為を本人に代わって行う人(任意後見受任者)をあらかじめ自分自身で決めておく制度です。
本人の判断能力が低下したときには、本人や任意後見受任者等が家庭裁判所に申立てをし、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。
このときから、任意後見受任者は正式に任意後見人となり、本人の財産管理や身上監護を行っていきます。
現在は判断能力がある人
公証人役場に行き、公正証書を作成
判断能力の低下
家庭裁判所に申立て
任意後見契約の内容に基づき、支援を開始
将来、判断能力が低下したとき誰に支援をしてもらうか、どのような支援をしてもらうかを決めます。
頼む人(任意後見受任者)と一緒に公証人役場(注釈1)に行って、頼みたい内容について任意後見契約として「公正証書」(注釈2)を作成します。将来、この公正証書で定めた内容に基づいて任意後見人は支援を行います。
ただし、任意後見人には、公正証書の契約の中で具体的に決められた行為の「代理権」(注釈3)のみが与えられます。
(注釈1)広島市にある公証人役場
広島公証人合同役場 〒730-0037
広島市中区中町7-41 三栄ビル9階 (電話)082-247-7277
(注釈2)公証人が当事者の依頼(嘱託)を受けて作成した契約などを証明する正式な書面です。
(注釈3)本人に代わって、本人のために取引や契約などを行う権限です。
本人の判断能力が低下したとき、家庭裁判所に、任意後見監督人(注釈)選任の申立てをします。
(注釈)家庭裁判所より選任される任意後見人の仕事を監督する人です。
任意後見監督人は任意後見人が適正に事務を行っていることを監督し、その事務について、家庭裁判所に定期的に報告を行うことを主な職務としています。
本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者
家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、任意後見受任者は正式に任意後見人となり、任意後見監督人のもとで支援を開始します。
法定後見と違って…
判断能力の低下がポイント
任意後見人の仕事は、本人の判断能力が低下した場合に、申立てを行い、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任することによって開始することができます。契約したからといってすぐに仕事ができるわけではありません。
任意後見監督人
家庭裁判所が任意後見監督人の業務内容に応じて、決定した額を本人の財産の中から支払います。
自己決定を尊重するという考え方から、本人が自分の受ける保護のあり方を契約で定めた任意後見契約による保護を優先します。
ただし、本人の意思を尊重するといっても、任意後見契約で定めてある代理権の範囲が狭かったり、本人について、同意権、取消権による保護が必要になったりした場合は、一定の人の申立てにより、家庭裁判所が本人のために特に必要であると認めたときに限り、法定後見を開始します。
任意後見制度を利用した事例
本人の状況:脳梗塞による認知症の症状 任意後見人:長女 任意後見監督人:弁護士
本人は、長年にわたって自己の所有するアパートの管理をしていましたが、判断能力が低下した場合に備えて、長女との間で任意後見契約を結びました。その数か月後、本人は脳梗塞で倒れ左半身が麻痺するとともに、認知症の症状が現れアパートを所有していることさえ忘れてしまったため、任意後見契約の相手方である長女が任意後見監督人選任の審判の申立てをしました。
家庭裁判所の審理を経て、弁護士が任意後見監督人に選任されました。その結果、長女が任意後見人として、アパート管理を含む本人の財産管理、身上監護に関する事務を行い、これらの事務が適正に行われているかどうかを任意後見監督人が定期的に監督するようになりました。
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