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作成の経緯・目的
本市では、平成19年度決算までは、総務省から示された基準(旧総務省方式)により、地方公共団体の財政状況を分析する手法として、昭和44年度以降の決算統計データに基づき、「バランスシート」や「行政コスト計算書」を作成してきました。
この企業会計的手法の導入により、一定の限界はありますが、地方公共団体のストック(資産、負債等)の状況や、当該年度における行政サービスの提供に要したコストを将来の負担を含めた形で把握することが可能となりました。
こうした中、平成18年に総務省から、発生主義及び複式簿記の考え方をより推し進めた公会計整備の新たな作成方法である「基準モデル」及び「総務省方式改訂モデル」が示され、地方公共団体は、いずれかの方法により、原則として、平成20年度決算から、地方公共団体単体と関連団体なども含んだ連結ベースでの財務書類4表(「バランスシート」、「行政コスト計算書」、「純資産変動計算書」、「資金収支計算書」)の作成・公表を行うことになりました。
本市では、すべての固定資産の再評価を段階的に行う「総務省方式改訂モデル」に比べて、再評価を一括して行う「基準モデル」の方が、より精緻に資産計上を行うことができることから、「基準モデル」を導入し、平成20年度決算から、普通会計、単体及び連結ベースでの財務書類4表を作成・公表しています。
今回は、平成27年度決算の普通会計(一般会計と住宅資金貸付など7つの特別会計)、単体(普通会計に国民健康保険事業などの事業会計と上・下水道事業などの企業会計を含めたもの)及び連結(単体に地方独立行政法人、地方公社、第三セクター、一部事務組合等の関連団体を含めたもの)ベースでの財務書類4表を作成・公表するものです。
地方公共団体の財政状況を分析するため、発生主義及び複式簿記の考え方をより推し進めた公会計整備の新たな作成方法として総務省が示した「基準モデル」により、普通会計、単体及び連結ベースでの財務書類4表(バランスシート、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)を作成・公表しています。
左側に「資産」、右側に「負債」と「純資産」を対照表示したもので、年度末時点で、どのような資産をどのような財源で形成してきたかを表しています。
連結ベースの「資産」は、基金残高等の減に伴う「投資等」の減少などにより222億円の減となっており、「負債」は、地方債や退職給付引当金等の減に伴う「固定負債」の減少などにより302億円の減となっています。
資産の部 | 負債の部 | ||||||
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普通会計 | 単体 | 連結 | 普通会計 | 単体 | 連結 | ||
公共資産 投資等 流動資産 |
2兆5,806億円 3,834億円 330億円 |
3兆6,863億円 3,339億円 696億円 |
4兆209億円 1,717億円 1,009億円 |
固定負債 流動負債 |
1兆513億円 1,301億円 |
1兆9,151億円 2,027億円 |
2兆777億円 2,443億円 |
負債合計 | 1兆1,814億円 | 2兆1,178億円 | 2兆3,220億円 (2兆3,522億円) [△302億円] |
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純資産の部 | |||||||
普通会計 | 単体 | 連結 | |||||
純資産合計 | 1兆8,156億円 | 1兆9,720億円 | 1兆9,715億円 (1兆9,635億円) [+80億円] |
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資産合計 | 2兆9,970億円 | 4兆898億円 |
4兆2,935億円 |
負債及び 純資産合計 |
2兆9,970億円 | 4兆898億円 | 4兆2,935億円 (4兆3,157億円) [△222億円] |
※()書は前年度(26年度)末の値、[]書は対前年度比較の値を記載しています。
1年間の行政活動のうち、資産形成以外の活動に要した経費と、その財源となる使用料や手数料等の収入の関係を表しています。
連結ベースの「経常費用」は、国民健康保険事業に係る保険財政共同安定化事業拠出金の増等に伴う「移転支出的なコスト」の増加などにより360億円の増となっており、「経常収益」は、市立病院機構の医業収益の増加などにより63億円の増となっています。
項目 | 普通会計 | 単体 |
連結 |
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27年度 |
26年度 |
比較 |
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経常費用 | 4,434億円 | 6,921億円 | 8,712億円 | 8,352億円 | +360億円 |
人にかかるコスト 物にかかるコスト 移転支出的なコスト その他のコスト |
852億円 966億円 2,455億円 161億円 |
951億円 1,199億円 4,382億円 389億円 |
1,379億円 1,539億円 5,367億円 427億円 |
1,367億円 1,479億円 5,049億円 457億円 |
+12億円 +60億円 +318億円 △30億円 |
経常収益 | 239億円 | 925億円 | 1,661億円 | 1,598億円 | +63億円 |
純経常行政コスト (経常費用-経常収益) |
4,195億円 | 5,996億円 | 7,051億円 | 6,754億円 | +297億円 |
バランスシートにおける純資産(国・県や、過去及び現世代が負担した将来返済が不要な財産)の1年間の増減を表しています。
項目 | 普通会計 | 単体 | 連結 |
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期首純資産残高 | 1兆8,090億円 | 1兆9,635億円 | 1兆9,635億円 |
財源の変動 資産形成充当財源の変動 その他の純資産の変動 |
+52億円 +14億円 - |
+336億円 △251億円 - |
+315億円 |
当期変動額 | +66億円 | +85億円 | +80億円 |
期末純資産残高 |
1兆8,156億円 |
1兆9,720億円 |
1兆9,715億円 |
1年間の資金の増減を「経常的収支」、「資本的収支」、「財務的収支」の3つに区分して表示したもので、どのような活動に資金が必要であったかを表しています。
項目 |
普通会計 |
単体 |
連結 |
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期首資金残高 | 205億円 | 426億円 | 627億円 |
経常的収支 資本的収支 財務的収支 |
398億円 △292億円 △109億円 |
831億円 △356億円 △442億円 |
941億円 △470億円 △446億円 |
当期資金収支額 | △3億円 | 33億円 | 25億円 |
経費負担割合変更に伴う差額 | - | - | 0 |
期末資金残高 | 202億円 | 459億円 | 652億円 |
項目 |
市民1人当たり数値 |
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普通会計 |
単体 |
連結 | ||||
27年度 | 26年度 | 比較 | ||||
貸借対照表 | 資産額 | 252万円 | 343万円 | 361万円 | 363万円 | △2万円 |
負債額 | 99万円 | 178万円 | 195万円 | 198万円 | △3万円 | |
純資産額 | 152万円 | 166万円 | 166万円 | 165万円 | +1万円 | |
行政コスト計算書 | 経常費用 | 37万円 | 58万円 | 73万円 | 70万円 | +3万円 |
経常収益 | 2万円 | 8万円 | 14万円 | 13万円 | +1万円 | |
純経常費用 | 35万円 | 50万円 | 59万円 | 57万円 | +2万円 |
※ 数値は各年度末(3月31日)現在の住民基本台帳人口(27年度 119万877人、26年度 118万8,067人)を基に算出しています。
※ 市民1人当たりの負債額は連結で195万円であり、そのうち99万円は、主に市税により返済します。差額96万円は、主に下水道(63万円)、広島高速道路公社(12万円)、水道(11万円)、市立病院機構(5万円)の負債であり、主に使用料収入等により返済します。