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平和宣言
本日、われわれは、第14回目の記念すべき日を迎えた。
ただ1個の爆弾が40数万の人口を擁した都市を一瞬のうちに廃墟と化せしめ、20余万の尊い人命を一挙に葬り去ったばかりでなく、10数年を経た今日、なお、あの魔の閃光を浴びた人々の生命を奪い続けている。
われわれ広島市民がひたすらに念願し、訴えつづけてきたことは、人類連帯の精神に立って、すべての民族、すべての国家が小異をすてて大同につき、一切の戦争を排除し、原水爆の全面禁止をなし遂げなければならないということである。
いまや、世界は、原水爆による破滅の危機に直面している。原子力時代の戦争は、勝利の望みのない戦争であって、それは、人類の自滅を意味することを深く認識しなければならない。平和共存のための新しい国際関係と秩序を打ち立てることこそ、人類に課せられた緊急の要務であることを確信するものである。
われわれは、今日ここに原爆死没者の霊を弔うにあたり、重ねてこれを全世界に訴え、われわれもまた決意を新たにして、目的達成のために献身することを誓うものである。
1959年(昭和34年)8月6日
広島市長 浜井 信三