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衛研ニュース/腸管出血性大腸菌の分子疫学的解析

ページ番号:0000000236 更新日:2017年3月30日更新 印刷ページ表示

 広島市内で腸管出血性大腸菌感染症の患者が発生すると、当所では、分離された腸管出血性大腸菌を用いて分子疫学的解析を行っています。分子疫学的解析とは、菌同士のDNAのパターンを比較することで、散発的に発生したように見えるものでも、感染源が同じかどうかを推測する手がかりとなるものです。これにより、感染源の特定や汚染経路の解明、さらに感染拡大の防止につながることもあります。

 分子疫学的解析の一つとして、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE:Pulsed- Field Gel Electrophoresis)法があります。

 細菌の染色体DNAを、制限酵素(特定の塩基配列を認識し、切断する酵素)で切断すると、いくつかの異なる長さのDNA断片に分かれます。その切断されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離し、染色すると、それらのDNA断片がバーコードのしま模様のような像(写真参照)として観察されます。

 もし、比較する複数の細菌のDNAの塩基配列が同じであればすべて同じDNA断片が生じるため、その泳動像(泳動パターン)は同じになります。逆に塩基配列が異なれば異なる長さのDNA断片が生じるため、異なった泳動パターンを示します。細菌の染色体DNAから得られるDNA断片は長いため、通常の電気泳動では分離が困難で、特殊な電場の中で電気泳動を行います。

【写真】
PFGE画像

 上の写真は腸管出血性大腸菌のPFGEによる泳動パターンを表しています。

 Mは分子量マーカー(長さが明らかなDNA断片で、被検DNA断片の長さを測定するために使用します)、数字1~8は検体番号を示します。

 この写真からは、検体番号3,5,6では同じ泳動パターンを示し、その他の検体では異なる泳動パターンを示すことがわかります。

参考