フェスティバルを支えるボランティアの声
子どもの可能性を広げるアニメーション
飛び出せラッピー!歌ってね
ラッピー合唱団・キッズクリップ(三桝(みます)正典さん)
第13回大会から、公式応援ソング「飛び出せラッピー」を元気よく歌い、開会式や閉会式を盛り上げてきた「ラッピー合唱団」。子どもたちによるこの合唱団を率いるのは、応援ソングを作った三桝正典さん。大学教授という本業のかたわら、アマチュアバンド「TE@CHERS(ティーチャーズ)」で活動しているミュージシャンでもあります。
印象的な公式応援ソング
かつて中学校で美術教師をしていた三桝さんは、アニメーションの授業をしたことがきっかけで、フェスティバルの木下小夜子(さよこ)ディレクターと知り合いました。「それが縁で、大会のお手伝いをすることになり、応援ソングを作りました。短いフレーズが繰り返される印象的なイメージソングです。試行錯誤で何曲か作りましたね」と振り返ります。現在は、広島女学院大学の児童教育学科の教授で美術家。フェスティバルのワークショップ「キッズクリップ」でも、子どもたちにアニメーション制作の指導をしています。
人を元気づけるアニメーション
「アニメーションの魅力は、子どもが持つ想像力を引き出せること。作品に命を吹き込むことができる楽しさです。この大会をきっかけにアニメーションを卒業制作に選んだ学生もいました。キッズクリップに幼稚園のころから参加し、大きくなってもずっと参加している子もいます。子どもたちの可能性を広げ、人を元気づけることができるアニメーション。大会を通じてさまざまな出会いがあることも魅力の一つです」と語ります。
三桝さんのおすすめ!
内容が難しい作品が多いイメージですが、奇抜さや難解さもアートとして楽しむといいですよ。日常にない体験ができ、繰り返し見ていると新しい発見もたくさんあります。自分の好きな作品を見つけてみては?
一般の市民とスタッフが共におもてなし
フェスティバルにぜひ来てくださいね!
日本文化体験・ラッピーパーティー(清水敦子(あつこ)さん)
大学を卒業後、得意な英語を生かし、フェスティバルのインフォメーションセンターで海外からのゲスト対応をしてきた清水敦子さん。広島の服地専門店の5代目として忙しい日々の中、毎回、大会の準備を手伝っています。
大好評の日本文化体験
「開催期間中には、海外ゲストに日本文化体験をしてもらっています。習字、お茶、折り紙、浴衣の着付け体験など、コンペティションの監督などゲストの皆さんに大変喜ばれています。体験活動は、専門家や学生など多くのボランティアが手伝ってくれますが、そこでコミュニケーションを取ることの大切さを知った学生が、英語を勉強しいろいろな視野を広げていきたいと話してくれたこともあったんですよ」と大会に携わる魅力を話します。
おもてなしのパーティーも
また、外食が続くゲストを自宅に招いて手料理をふるまうことも。「好みや習慣の違うゲストが、キンピラなど日本の家庭料理をおいしいと残さず食べてくれたのはうれしかったですね。大会中にゲストを招いて『ラッピーパーティー』を開催しますが、そこで海外の監督に言われたのは、こんなふうに一般の市民も一緒になって一生懸命おもてなしをする大会はどこにもないということ。この大会がどんなに素晴らしいかを熱く語られました。2年に1度、世界からのゲストに会えるのを楽しみにしています」と、清水さんはにっこりほほ笑みます。
清水さんのおすすめ!
さまざまなコンペティション作品がありますが、実際にそれを作った監督に会うことができ、直接話すこともできます。気に入った作品があれば、英語がしゃべれなくても「I like your work(アイ ライク ユア ワーク)」と声を掛けるだけでもいいんです。それだけで伝わると思いますよ!
作者の思い、作品のメッセージを引き出したい
もっと知りたいときはラッピーニュースで!
Daily Bulletin(デイリー ブルティン)「ラッピーニュース」(中尾達史(たつし)さん)
大会期間中、5日間にわたり毎日発行されるフェスティバル日報DailyBulletin「ラッピーニュース」の編集は、とても大変な作業です。大会当日に監督や観客などにインタビュー、その日の出来事などを取材して、翌日には速報という形で発信しています。
世界的な監督にも取材
インターネット通信会社勤務だった中尾達史さんは「私たちの会社とフェスティバルでコラボができないかと、営業に行ったのがきっかけ。まずは大会に来てみてはと言われ、軽い気持ちで行きましたが、それから16年、仕事ではなくボランティアとして、なぜか経験のなかった編集員をしています。取材時はマニアックな内容ではなく、一般的な質問をし、監督の思いを引き出すようにしています」。取材するときは前日までに予約を取り、昼の間にインタビュー。夕方から夜中まで日本語と英語の両方で原稿を書き、デザイナーに渡すまでが担当です。夜中から明け方に印刷し、その朝発行しています。「ディズニーの監督にインタビューしたときなどは、原稿を書くのに時間がかかりました。苦労もありますが、読んだ人がフェスティバルに来たいと思える記事になるよう書いています」。
アニメーション制作にも挑戦
また、現在は長編アニメーション映画の制作にも携わり、脚本の翻訳などを担当しています。「将来、フェスティバルでの上映を目指しています」と意欲を語ります。
中尾さんのおすすめ!
毎回、斬新な作品を目の当たりにすることは楽しみの一つ。コンペティション作品の中には、次代を担うアニメーション作家の作品があるかもしれません。思いもよらない表現は、考えるよりもその芸術性を感じてみてください。