受け継がれる 祈り
平和への願いを込めた祈り。
原爆で失われた命を思う。今を、未来を生きる家族の幸せを願う。被爆地広島の平和への祈りは、次世代へと受け継がれています。

8月6日。過去の惨禍を思い、恒久平和を願うこの日、平和記念公園には、日が昇る前の薄暗い早朝から祈りをささげる人々の姿があります。

80年という時を経て
梅雨明けを迎えたばかりの6月下旬、平和記念公園で岸田弘子さん(下写真・86)が静かに手を合わせていました。娘と孫、ひ孫も一緒です。
6歳で被爆し、辛い経験を経て、今、ひ孫まで受け継がれようとしている祈りとは何か、話を聞きました。
家族を思い、平和を願う

原爆により命を奪われた家族へ、日々鎮魂の祈りをささげてきた岸田さん。原爆が投下された直後の混乱時には、家族の無事を願い、祈りました。苦難の中にある時に静かに手を合わせ祈ることは癒やしとなり、心を支えてくれたこともあったといいます。 今では、大切な人やものを失う悲惨な思いや苦難を誰も経験することがないように、平和な世界を願い自宅で、原爆供養塔、慰霊碑の前で手を合わせます。
恒久平和が実現する日を願って
証言者として活動する岸田さんは、講話の終わりに、「世界中で紛争などのニュースが絶えません。世界から核兵器がなくなり、一日も早く恒久平和が実現するよう願ってほしいです」と必ず呼びかけます。
先人への感謝と記憶の継承
娘の谷村江身子(たにむらえみこ)さん(下写真右・59)は、岸田さんの被爆や復興の話を聞き、祈る姿を見て育ちました。「命をつないでくれたこと、そして今あるまちや暮らしを築いてくれた人たちのたゆまぬ努力に感謝し、こどもや孫たちが、戦争のない平和な世界で過ごせるように」と祈ります。

左から孫の小林依里佳(こばやしえりか)さん(32)、 ひ孫の永來(とき)くん(1)、谷村さん
受け継がれる平和への祈り
被爆80年を迎え、被爆者の平均年齢は、86.13歳(3月末時点)となりました。戦争を乗り越え、復興を支えてきた被爆者の平和への祈りは、戦争や被爆を経験していない孫やひ孫の世代へ、受け継がれていきます。


この記事は、主に上記SDGs(エスディージーズ)のゴールの達成に役立つものです。
【SDGs…持続可能な開発目標】