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広島市ホームページ令和2年7月15日号トップページ特集被爆ピアノがモチーフの協奏曲 「平和の夕べ」コンサートで世界初演

被爆ピアノがモチーフの協奏曲
「平和の夕べ」コンサートで世界初演

 「平和の夕(ゆう)べ」コンサートは、平和への願いが込められた演奏により、原爆犠牲者の慰霊、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現という「平和への思い」を共有する催しです。今年は、気鋭の作曲家藤倉大(だい)氏が被爆ピアノ「明子さんのピアノ」(下記に詳細)をモチーフに作り上げたピアノ協奏曲「Akiko's(アキコズ)Piano(ピアノ)」を、安佐南区出身のピアニスト萩原(はぎわら)麻未(まみ)氏が世界で初めて演奏します。また、6日木曜日のコンサートの動画をライブ配信する予定です。

「平和の夕べ」コンサート

◆日時:8月5日水曜日、6日木曜日の午後6時45分〜8時45分(開場午後5時45分)
◆会場:広島文化学園HBGホール(中区加古町3-3)
◆出演:指揮:下野(しもの)竜也(たつや) ピアノ:萩原麻未 メゾ・ソプラノ:藤村実穂子
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下野竜也氏
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萩原麻未氏
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藤村実穂子氏
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藤倉大氏

【プログラム】
ペンデレツキ:シャコンヌ(ポーランド・レクイエムより)
藤倉大:ピアノ協奏曲第4番「Akiko'sPiano」(萩原麻未)(世界初演)
ベートーベン:カバティーナ(弦楽4重奏曲第13番より)
マーラー:亡き子をしのぶ歌(藤村実穂子)
バッハ(齋藤秀雄編曲):シャコンヌ(パルティータ第2番ニ短調BWV1004より)
◆参加料など:S席5,000円、A席4,000円、学生2,000円。チケットは広島交響楽団事務局などで
◆問い合わせ先:広島交響楽団事務局(電話532-3080、ファクス532-3081)

「明子さんのピアノ」とは

 「明子さんのピアノ」の明子さんとは、75年前の8月6日に広島で被爆し、19歳の若さで亡くなった女子学生河本(かわもと)明子さんです。明子さんは、1926年5月にアメリカのロサンゼルスで広島出身の両親のもとに生まれました。父親が購入したアメリカ製ピアノと共に、6歳の時に一家で帰国。その後、三滝町(現在の西区三滝)で暮らし始めました。
 明子さんは、勤労奉仕中に現在の中区八丁堀周辺で被爆、翌日に両親にみとられて亡くなりました。
 三滝の家で原爆の爆風で傷付いたピアノが見つかったのは、2002年のことでした。後にピアノを修復した調律師は、鍵盤の状態などから明子さんが大変熱心に練習していたことが想像できる、と話しています。
 2005年夏、修復されたピアノは被爆60周年を祈念するコンサートでその音色を響かせます。
 2013年の8月6日、萩原麻未さんは、神崎小学校(中区)の児童を前に明子さんが好きだったというショパンの曲を奏でました(下写真)。また、昨年8月6日に広島港で行われた船上コンサートで、萩原さんは再び明子さんのピアノで平和を祈る音を紡ぎました。
 被爆75周年の今年、萩原さんは、新たに作られたピアノ協奏曲「Akiko'sPiano」と共に、明子さんのピアノに向き合います。

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明子さんのピアノと萩原さん(2013年)
(HOPEプロジェクト提供)

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