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広報紙「ひろしま市民と市政」

広島市ホームページ令和2年7月15日号トップページ特集次世代と考える被爆体験の継承

次世代と考える被爆体験の継承

 中央図書館では、被爆70周年の節目を迎えた平成27(2015)年度から、次世代を意識した、「伝える」「つなぐ」という視点からの展示を行ってきました。今年度は、被爆の実相や被爆体験について伝える活動を行う高校生・大学生の取り組みに焦点を当て、所蔵資料や写真パネルで紹介しています。アニメーションなどの映像作品や原爆をテーマにした演劇の映像などもモニター上映しています。
 この特集では、企画展の一部を紹介します。若者の活動を通じて、被爆体験の継承について私たちが今できることを一緒に考えてみませんか。


令和2年度 被爆体験継承事業 企画展
ヒロシマを受け継ぐ-若者たちの取組-

◆期間:7月4日土曜日〜9月6日日曜日
◆期間中の開館時間:
●火〜金曜日/午前9時〜午後7時
●7月・8月の土・日曜日、7月23日祝日、24日祝日、8月6日木曜日、10日祝日/午前9時〜午後6時
●9月5日土曜日、6日日曜日/午前9時〜午後5時
◆会場:中央図書館2階展示ホール
◆休館日:月曜日(8月10日祝日を除く)、7月28日火曜日、31日金曜日、8月11日火曜日
◆問い合わせ先:同館(電話222-5542、ファクス222-5545)

VR爆心地
県立福山工業高等学校計算技術研究部

写真
「VR爆心地」の一場面。手前は元安橋、奥が産業奨励館
(細工町(さいくまち)、猿楽町(さるがくちょう)。現在の中区大手町)

 『原爆投下直前の産業奨励館(原爆ドーム)の前に立つ。セミの声が聞こえ、背後には朝日にきらめく元安川の川面が見える。直後、空襲警報の音、上空からの轟音…』これは、専用のゴーグルとイヤホンを着けて、被爆時の広島を体験することができる約4分間の映像「VR爆心地」の一場面です。あの日起きたことをできるだけ忠実に伝えるため、VR(バーチャルリアリティー・仮想現実)の技術を使って、同部の生徒が制作しました。元住民の証言や資料、検証結果をつき合わせながら、建物の高さや色、音を映像化しました。生徒たちは「原爆の恐ろしさをこれまで以上に実感しました」と振り返ります。
写真
制作風景

次世代と描く原爆の絵
市立基町高等学校創造表現コース

写真
「閃光」 被爆体験証言者/笠岡貞江さん
制作者/小川美波さん 平成27年度制作 油彩画


 基町高等学校普通科創造表現コースの生徒が被爆体験証言者と協同し、証言者の記憶に残る光景を描く「次世代と描く原爆の絵」。平和記念資料館が平成16年度から取り組む事業で、同コースは平成19年から継続して、有志生徒が制作ボランティアとして参加しています。
 生徒たちは、証言者の被爆体験を聴き、想像を絶する光景をどう描くのか悩みながらも、資料を集め、証言者と何度も打ち合わせを行い(メイン写真下)、約半年から1年かけてこの「原爆の絵」を描きあげます。
 完成した「原爆の絵」は平和記念資料館に寄贈され、それぞれの証言者が修学旅行生などに被爆体験を話す際に、当時の状況をより深く理解してもらうために使われます。

光の肖像展プロジェクト
市立大学芸術学部油絵専攻

写真
「肖像No.27」
制作者 大畑稔浩(としひろ)さん
平成17年度制作 油彩画


 平成16年度から、同専攻の学生や教員らが中心となって広島の被爆者やその二世・三世に当たる人々の肖像画を描き、展示公開しています。被爆者と向き合い、対話し、描き、現代のさまざまな価値観の中で絵画の本来的な意味と価値を問い掛ける展覧会を国内外で行ってきました。
 制作者や制作年などの作品情報は、市立大学芸術資料館のホームページでご覧いただけます。

留学生を英語で案内
広島なぎさ中学校・高等学校

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 広島と平和への理解を深め、自分の思いを世界に発信する力を養うことを目的に、毎年、高校1・2年生の有志生徒が、英語ガイドボランティアとして平和記念公園を中心に英語で留学生を案内する「広島ガイド」を行っています(写真)。留学生案内用のワークシートやパンフレットは、メンバーで平和記念資料館などを見学したり、慰霊碑巡りなどをしたりして、作成しています。

平和を願う銅板折り鶴
市立広島工業高等学校機械科

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 平成17年から同科3年生が授業の一環として、銅板を使った折り鶴の制作を始めました。工具を使用して、銅板をたたいて折り曲げ、折り鶴に仕上げます(写真、メイン写真上)。平成28年からは、被爆の実相を学ぶために国連軍縮フェローシップ・プログラムで来広する若手外交官に記念品として手渡しています。
 令和元年11月には、初来広されたローマ教皇にも贈りました。

平和のモニュメント制作
市立広島商業高等学校

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 同校生徒のビジネス体験学習と平和貢献を目的に、平成19年度から開催している「広島市商ピースデパート」。生徒が中心になって考案、制作した商品を販売する他、ピース部門の生徒がさまざまな平和貢献活動を行っています。平和の祈りを込めたモニュメント(立体作品)制作もその一つです。毎年テーマを設定し、昨年度のテーマは、「平成を振り返り、これからの平和を考える」(写真)でした。

被爆の痕跡、慰霊碑巡り
ノートルダム清心中・高等学校

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 平和活動を行う同好会「P‐step(ステップ)」を結成し、メンバーが碑巡りを行ったり(写真)、慰霊碑などを掲載したピースマップを作成したりしています。また、より自発的な平和活動を考えるために外部機関との交流も行っています。昨年は、カトリック広島司教区平和記念行事の青年プログラムへの参加や平和記念資料館の中・高校生ピースクラブとの交流会で平和活動の提案などを行いました。

慰霊碑巡り
進徳女子高等学校

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 同好会「平和ゼミナール(puzzle(パズル)of(オブ)peace(ピース))」略してPOP(ポップ)を結成し、県内のさまざまな平和活動に参加し、他校の高校生と意見交換し交流を行っています。活動の一つとして、広島県高校生平和ゼミナールが主催する勉強会に参加。自国だけでなく世界視野で平和活動を考える学びを行っています。昨年は、同ゼミナールの活動で、平和記念公園や縮景園などの慰霊碑巡りを行いました(写真)。

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