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平成25年度 学会発表
学会発表一覧
学会発表は、行った調査・研究の目的や結果を多くの専門家の前で公表することにより客観的な評価を受けることができ、調査・研究をさらに充実したものにするために極めて重要です。
題目 | 内容 | 所属 |
広島市で発生したクドア属粘液胞子虫による食中毒事例について | 平成25年に広島市で発生した食中毒事件において、喫食残品のヒラメからクドア・セプテンプンクタータが検出され、患者便からもクドア属遺伝子が検出された事例について報告した(平成25年度獣医学術中国地区学会)。 | 生物科学部 |
最近の微生物性食中毒の現状と課題 | 本邦における食中毒発生現状を概説した。最近の生食様式から、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌に代表される食中毒細菌、ノロウイルス等の食品媒介下痢症ウイルス、最近解明されたクドア・セプテンプンクタータ食中毒などが多く発生しており、これら病原体への食品衛生対策構築が食中毒制御の大きな課題となっている。 | 生物科学部 |
2012/13シーズンに広島市で発生したノロウイルスによる大規模食中毒 | 2012年12月に、広島市内の弁当製造施設で発生したノロウイルスによる大規模食中毒の特徴について概説した。 | 生物科学部 |
広島市における有害大気汚染物質(1,2-ジクロロエタン)の挙動 | 平成9年から継続調査している有害大気汚染物質の1,2-ジクロロエタンについて、その調査結果をとりまとめ、広島市の状況を報告した。併せて、平成24年5月に観測された高濃度事例についても、その背景等を検証したのでその結果を報告した。 | 環境科学部 |
広島市域の水質中ダイオキシン類調査結果 | 平成16年度から平成24年度までの広島市域の公共用水域水質中のダイオキシン類の調査結果をとりまとめて報告した。懸濁物質(SS)との相関関係についても調査したのでその結果も併せて報告した。 | 環境科学部 |
衛生研究所における細菌感染症発生時の検査体制について | 2013年に発生した三類感染症事例に基づいて、衛生研究所における検査体制について概説した。 | 生物科学部 |
感染症発生動向調査事業における呼吸器感染症患者からのウイルス検出状況(2012~2013年) | 感染症発生動向調査事業において、2012~2013年の2年間にわたり、呼吸器感染症患者から検出された9種類のウイルスの調査結果について報告した。 | 生物科学部 |
広島市で発生したクドア属粘液胞子虫による食中毒事例について | 平成25年に広島市で発生した食中毒事件において、喫食残品のヒラメからクドア・セプテンプンクタータが検出され、患者便からもクドア属遺伝子が検出された事例について報告した(第27回生活衛生関係業績発表会)。 | 生物科学部 |
パンソルビントラップ法による食品中のノロウイルス検出法の検討 | 新たな食品からのノロウイルス検出法である「パンソルビントラップ法」と当所が従来行ってきたアミラーゼPEG沈法の比較検討を行った。 | 生物科学部 |
学会発表 詳細 25_01
学会名 | 平成25年度獣医学術中国地区学会 |
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日時 | 平成25年10月13日 |
場所 | 鳥取市 |
発表者 | 鈴木 康仁 |
演題名 | 広島市で発生したクドア属粘液胞子虫による食中毒事例について |
内容 | 平成25年4月、広島市内飲食店において会食した1グループから、下痢、嘔吐を主症状とした患者が複数発生した。飲食店の食品検体および患者便等を検査した結果、それらから食中毒起因菌は検出されなかったが、喫食したヒラメの残品からKudoa septempunctataの胞子が3.0×106個/g観察されるとともにK.septempunctata 18SrDNA遺伝子が検出された。さらに患者便からもクドア遺伝子が検出された。以上の結果から、本事例はK.septempunctataを原因とした食中毒事例と断定された。一方、本事例では残品のカンパチからもK.septempunctata 18SrDNA遺伝子が検出されたが、詳細な検討結果から調理時におけるヒラメからのクロスコンタミネーションと考えられた。 |
学会発表 詳細 25_02
学会名 | 第83回日本感染症学会西日本地方会学術集会(シンポジウム2「消化器感染症」) |
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日時 | 平成25年11月6日 |
場所 | 大阪市 |
発表者 | 石村 勝之 |
演題名 | 最近の微生物性食中毒の現状と課題 |
内容 | 近年の微生物性の食中毒は、生食の文化および喫食様式の広がりと少量の病原体摂取で発症し得る微生物が複合することにより多くが発生している。主な原因となっているノロウイルス、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌などへの適切な食中毒制御対策の構築が喫緊の課題であり、体制整備が進められている。また、最近、原因不明生鮮魚介類食中毒の原因が寄生虫の一種であるクドア属によるものであることが解明され、その対策にも取り組まれている。 全国の地方衛生研究所では、それらの行政検査において、遺伝子検査法を含め、各種の高度専門的な病原体検査技術の確保、維持に努め、できる限りの迅速、精確な試験検査業務を遂行していることを概説した。 |
説明資料 | 講演要旨 [PDFファイル/132KB] |
学会発表 詳細 25_03
学会名 | ウイルス性下痢症研究会第25回学術集会 |
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日時 | 平成25年11月9日 |
場所 | 神戸市 |
発表者 | 藤井 慶樹 |
演題名 | 2012/13シーズンに広島市で発生したノロウイルスによる大規模食中毒 |
内容 | 2012/13シーズンは2006/07シーズン以来、6年ぶりに全国的にノロウイルス(NV)が大流行した。NVの新しい変異株(G2/4 Sydney 2012)が出現したことも、大流行の一因となったものと考えられた。 こうした状況下、2012年12月、本市において、弁当製造施設を原因とし、NVによる食中毒としては国内で過去最多となる2035名もの患者が出た大規模な食中毒事件が発生し、本事例においても、NV G2/4 Sydney 2012が検出された。 NVの新変異株であるG2/4 Sydney 2012の特徴として、ORF1/ORF2ジャンクション領域での組換えとP2ドメイン領域の抗原エピトープのアミノ酸変異があり、こうしたウイルスの性状変化と相まって、大量調理施設で発生した食中毒事件であったことが、多数の患者が発生した要因につながったと推察された。 |
学会発表 詳細 25_04
学会名 | 第40回環境保全・公害防止研究発表会 |
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日時 | 平成25年11月26日~27日 |
場所 | 松山市 |
発表者 | 小中 ゆかり |
演題名 | 広島市における有害大気汚染物質(1,2-ジクロロエタン)の挙動 |
内容 | 1,2-ジクロロエタンは、他の有害大気汚染物質(VOCs)が経年的に減少している中、増加傾向にある。また、市内、全域その濃度が均一化されている。通常時は、広域の発生源の移流・拡散により汚染が希釈され、均一濃度で市内に到達していると推察される。今回の高濃度事例は、気塊に乗って発生源から高濃度のまま市内に到達するなどの可能性が考えられ、大陸からの移流や煙霧などの影響による極めて特異な事例であったと考えられる。 1,2-ジクロロエタンは、(1)市内に発生源がない、(2)市内全域がほぼ均一濃度である、(3)分解速度が遅い、などの挙動を示すことから、大気中濃度を的確に捉えることで、広域的な発生源の状況や移流・越境汚染の状況変化などを探知する物質となるのではないかと考えられた。 今後、近県の調査結果等を広く収集し、有害大気汚染物質とSPM、PM2.5の関係や大陸からの移流・越境汚染との関係など、さらに検討を進めていきたいと考えている。 |
説明資料 | 講演要旨 [PDFファイル/493KB] |
学会発表 詳細 25_05
学会名 | 第40回環境保全・公害防止研究発表会 |
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日時 | 平成25年11月26日~27日 |
場所 | 松山市 |
発表者 | 村野 勢津子 |
演題名 | 広島市域の水質中ダイオキシン類調査結果 |
内容 | 平成12年度から平成24年度までの広島市域の水質中ダイオキシン類濃度を調査した結果、環境基準を超えた地点はなかった。しかし、感潮域の2地点は比較的高い濃度であった。特に新大州橋では最大値が0.97 pg-TEQ/Lであり、今後も重点的にモニタリングを実施し、高濃度となる要因を解明していきたい。 夏季および冬季の濃度を比較した結果、海域および感潮域を除く地点で夏季に濃度が高い傾向にあった。このことは夏季に降水量が増加することが関与していると考えられる。 ダイオキシン類濃度とSSとの関連を調べた結果、比較的高い相関を示した。しかし、地点によっては高い相関は得られなかった。今後は、個々の異性体との関連や底質汚染の解析結果との関連についても詳細に調査していきたい。 |
説明資料 | 講演要旨 [PDFファイル/273KB] |
学会発表 詳細 25_06
学会名 | 第16回地域保健研究会(第1分科会) |
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日時 | 平成26年2月3日 |
場所 | 広島市 |
発表者 | 築地 裕美 |
演題名 | 衛生研究所における細菌感染症発生時の検査体制について |
内容 | 2013年、広島市において腸管出血性大腸菌感染症、細菌性赤痢、コレラおよび腸チフスの届出があった。患者便および家族等接触者便の分離培養を行い、生化学的性状・毒素遺伝子等を確認し、当該病原菌であると同定した。菌株についても同様に検査を実施した。 |
学会発表 詳細 25_07
学会名 | 第16回地域保健研究会(第1分科会) |
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日時 | 平成26年2月3日 |
場所 | 広島市 |
発表者 | 藤井 慶樹 |
演題名 | 感染症発生動向調査事業における呼吸器感染症患者からのウイルス検出状況(2012~2013年) |
内容 | 2012~2013年の2年間にわたり、感染症発生動向調査事業で搬入された呼吸器感染症患者由来の検体からのウイルス検出状況を調べた。検索対象ウイルスはRSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヒトボカウイルス、パラインフルエンザウイルス1、2、3型の計9種類とした。 調査の結果、各ウイルスの季節的な流行状況、年齢別の検出状況、臨床症状の比較等を詳細に解析することができた。さらに、呼吸器感染症ではウイルスの単独感染だけでなく、複数のウイルスが検出される重複感染例が約2割の症例で認められることが明らかになったが、単独感染と重複感染により、臨床症状に差があるかは不明であった。また、重複感染例において、どのウイルスが真の起因病原体であるかを究明することはできなかった。 |
学会発表 詳細 25_08
学会名 | 第27回生活衛生関係業績発表会(兼地域保健研究会第二分科会) |
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日時 | 平成26年3月18日 |
場所 | 広島市 |
発表者 | 池田 伸代 |
演題名 | 広島市で発生したクドア属粘液胞子虫による食中毒事例について |
内容 | 平成25年4月、市内飲食店で8名が嘔吐、下痢、腹痛、発熱等を呈する食中毒事件が発生した。顕微鏡検査の結果、食品残品のうちヒラメからクドア・セプテンプンクタータの特徴を有する胞子が検出された。遺伝子検査では患者便の一部、残品のヒラメおよびカンパチからクドア属遺伝子が検出された。カンパチについて大阪府立公衆衛生研究所に検査を依頼したところ、内部からクドア属遺伝子は検出されず、表面からクドア属遺伝子およびヒラメミトコンドリア遺伝子が検出され、ヒラメからカンパチへのクロスコンタミネーションの可能性が示唆された。 |
学会発表 詳細 25_09
学会名 | 第27回生活衛生関係業績発表会(兼地域保健研究会第二分科会) |
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日時 | 平成26年3月18日 |
場所 | 広島市 |
発表者 | 山本 美和子 |
演題名 | パンソルビントラップ法による食品中のノロウイルス検出法の検討 |
内容 | 新たな食品からのノロウイルス検出法である「パンソルビントラップ法」と当所が従来行ってきたアミラーゼPEG沈法の比較検討を行った。検討の結果、パンソルビントラップ法の方が優れていることがわかった。しかしながら、パンソルビントラップ法でも、食品によっては90%程度の阻害を受けることが示された。 |