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平成15年度 学会発表
学会発表一覧
学会発表は、行った調査・研究の目的や結果を多くの専門家の前で公表することにより客観的な評価を受けることができ、調査・研究をさらに充実したものにするために極めて重要です。
題目 | 内容 | 所属 |
代替船底塗料物質による海域の汚染状況について | 当所では、広島湾北部のマリーナ、漁港、海域の環境基準点及び河川において、新規防汚剤に使われていると思われる、ジウロン、イルガロールとその分解生成物M1の調査を行った。その結果を報告した。 | 環境科学部 |
広島市におけるツツガムシ病の発生状況と遺伝子検査の試み | 近年広島市で増加傾向が認められるツツガムシ病について発生状況と病原体遺伝子について検討した。 | 生物科学部 |
平成14年度に広島市で発生した腸管出血性大腸菌のパルスフィールド電気泳動法(PFGE)による解析とパルスネットシステムの活用 | 平成14年に広島市で分離された腸管出血性大腸菌の遺伝子型の違いについて調べた。 | 生物科学部 |
市販カキにおけるノロウイルスの定量的汚染調査 | 市販カキについて食中毒の原因となるSRSVについて汚染状況を調べた。 | 生物科学部 |
広島市で発生したastA遺伝子保有大腸菌によると推定された集団下痢症2事例と散発性下痢症患者由来大腸菌の病原遺伝子保有状況 | 広島市で発生した集団下痢症からの特徴的大腸菌と散発下痢由来大腸菌について調べた。 | 生物科学部 |
Listeria monocytogenes actA 遺伝子PRR配列と血清型の関連性およびMismatch PCR法による系統別遺伝子型別 | リステリア菌のもつactA遺伝子の配列を疫学的観点から調べ、PCR検出法を構築した。 | 生物科学部 |
Real Time PCR を用いた夾雑試料からのBacillus cereus の迅速検出法の検討 | 白い粉から炭疽菌を迅速に検出する方法を確立するために、炭疽菌と近縁のセレウス菌をモデル菌としてReal Time PCR 法による遺伝子検出法を検討した。 | 生物科学部 |
八幡川水系における水質の推移 | 広島市西部を流れる八幡川水系について1981年度から2000年度までの20年間のBOD、CODの推移について、最大エントロピー法(MEM)により時系列解析を行った。 | 環境科学部 |
学会発表 詳細 15_01
学会名 | 平成15年度全国環境研協議会中国・四国支部会議 |
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日時 | 平成15年5月15日~16日 |
場所 | 広島市 |
発表者 | 常政典貴 尾川 健 今村光徳 岡村秀雄 |
演題名 | 代替船底塗料物質による海域の汚染状況について |
内容 | 従来から使用されてきた船底防汚剤(有機すず剤)は、その毒性と蓄積性から問題となり、新規防汚剤に代わりつつあるが、早くもそれらによる海域汚染の報告がされはじめている。 当所では、広島湾北部のマリーナ、漁港、海域の環境基準点及び河川において、新規防汚剤に使われていると思われる、ジウロン、イルガロールとその分解生成物M1の調査を行った。 その結果、3物質のうちジウロンのみが検出された。マリーナ、港で濃度が高く、海域の環境基準点で低かったこと、河川水から検出されなかったことから、発生源はマリーナ、港と考えられた。 また同一地点では表層の濃度が高く、下層が低いこと、また低層から検出されなかったことから、調査対象とした物質は、海水の表面に留まりやすく、底質への残留・蓄積はされにくいものと思われた。 |
学会発表 詳細 15_02
学会名 | 第6回地域保健研究会 |
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日時 | 平成15年7月7日 |
場所 | 広島市 |
発表者 | 毛利好江 石村勝之 萱島隆之 山本美和子 下村 佳 橋渡佳子 佐々木敏之 古田喜美 河本秀一 平崎和孝 |
演題名 | 広島市におけるツツガムシ病の発生状況と遺伝子検査の試み |
内容 | ツツガムシ病は、ダニの一種であるツツガムシがヒトを刺す際に、体内に保有する病原体細菌(オリエンティア・ツツガムシ)をヒトに感染させる細菌感染症です。広島市では、11月を主とした秋季に市北部地域(安佐北区・安佐南区)を中心としてツツガムシ病の発生が認められてきました。特に平成11年からは顕著な増加傾向が示されてきたことから、その発生状況の把握と患者血液からの病原体遺伝子検出法の検討を行いました。 その結果、毎年10月から11月に86%が発生しており、大半が50歳以上の人が林などで作業やレジャー中に感染していることが推定されました。しかし、住宅地での感染が考えられる例も23%あり、注目されます。患者の血液から病原体遺伝子の検出を試みたところ、平成8年から13年までの患者5名からカワサキ型の病原体遺伝子が検出され、しかも、その遺伝子配列は調べた領域内では同じでした。 このことから、広島市においてもツツガムシが市内山間部に広く分布しており、その保有する病原体オリエンティア・ツツガムシは同一系統の菌であることが推測されました。従って、秋にツツガムシに刺されないよう予防啓発することが大変重要です。 |
学会発表 詳細 15_03
学会名 | 中国地区公衆衛生学会 |
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日時 | 平成15年8月29日 |
場所 | 山口市 |
発表者 | 橋渡佳子 河本秀一 古田喜美 佐々木敏之 下村 佳 毛利好江 石村勝之 萱島隆之 平崎和孝 |
演題名 | 平成14年に広島市で分離した腸管出血性大腸菌のパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)による解析とパルスネットシステムの活用 |
内容 | 平成14年に、広島市では17人の腸管出血性大腸菌に感染した患者が発生しました。腸管出血性大腸菌はO157が最も有名ですが、他にO26やO111といった菌もあります。 これらの菌は、お腹の中でベロ毒素という毒素をつくり、腹痛や下痢、血便を起こします。パルスフィールドゲル電気泳動法という、菌同士が同じ塩基の並び方をしているかどうかを見る方法を使って調べると、同じO157という菌でも、色々な種類があることが分かりました。 現在、全国で分離されたO157を調べるパルスネットというシステムが試行されています。この方法によって、広域に渡る、同じ食品を原因とする食中毒をいち早く探知できた事例もあります。 |
学会発表 詳細 15_04
学会名 | 全国公衆衛生獣医師協議会平成15年度調査研究発表会 |
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日時 | 平成15年9月5日 |
場所 | 東京都 |
発表者 | 野田 衛 西尾 治 国井悦子 藤井彰人 池田義文 平崎和孝 荻野武雄 |
演題名 | 市販カキにおけるノロウイルスの定量的汚染調査 |
内容 | 「カキを食べて、あたった」という経験がある人もおられると思います。 これは、SRSV(ノロウイルス)と呼ばれるウイルスが含まれるカキを、加熱しないで(ウイルスを生かしたまま)食べることによります。 私たちは、このSRSVが市販されているカキにどれくらい含まれているかを、PCR法と呼ばれる方法でSRSV遺伝子を検出することにより調べました。 その結果、加熱調理用カキのみならず生食用カキにもSRSVが含まれている場合がある、カキに含まれるSRSVの量は同じパックでも異なることが多い、食中毒様集団発生の原因と思われるカキに含まれるSRSVの量は必ずしも多いわけではない、SRSVが含まれるカキでも加熱して食べれば下痢などの症状を起こすことはない、ことが分かりました。 生食用と表示されているカキでも、加熱して食べることが安全と言えます。 |
学会発表 詳細 15_05
学会名 | 第24回日本食品微生物学会学術総会 |
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日時 | 平成15年10月2日~3日 |
場所 | 岡山市 |
発表者 | 石村勝之 毛利好江 橋渡佳子 山本美和子 古田喜美 下村 佳 佐々木敏之 萱島隆之 河本秀一 平崎和孝 荻野武雄 |
演題名 | 広島市で発生したastA遺伝子保有大腸菌によると推定された集団下痢症2事例と散発性下痢症患者由来大腸菌の病原遺伝子保有状況 |
内容 | ヒトに下痢や腹痛を起こす大腸菌が自然界にはいます。その種類は、現在、病気を起こさせるメカニズムの違いから4~5種類に分けられていますが、全体像はまだよく分かっていないのが現状です。このような状況の中、広島市において、1998年と 2002年に、まだ病原性があるのかどうかが確定していないastA遺伝子を保有する大腸菌が原因菌と考えられる集団下痢症が発生しました。 2事例から取れた大腸菌は互いに異なりましたが、それぞれの事例で患者から取れてきた菌は、種々の検査結果から同じ菌であると考えられました。そこで、本市の散発性下痢症患者の大腸菌を調べたところ、4つの大腸菌(2%)が認められました。これらの菌についてはさらに詳しい検討が必要です。 |
学会発表 詳細 15_06
学会名 | 第24回日本食品微生物学会学術総会 |
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日時 | 平成15年10月2日~3日 |
場所 | 岡山市 |
発表者 | 石村勝之 井上 智1) 仲真晶子2) 寺尾通徳3) 萱島隆之 河本秀一 平崎和孝 荻野武雄 1)国立感染症研究所 2)東京都健康安全研究センター 3)新潟大学医学部 |
演題名 | Listeria monocytogenes actA 遺伝子PRR配列と血清型の関連性およびMismatch PCR法による系統別遺伝子型別 |
内容 | リステリア菌(Listeria monocytogenes( L. m ))に感染することにより髄膜炎や敗血症を起こすリステリア症は、欧米においては集団発生が認められている重要な感染症で、食品が感染源となることが明らかにされています。一方、わが国では年間約80症例の発生が推計されていますが、食品の関与が認められた事例はなく、食品汚染と本疾患の関連性や集団発生の認められない理由は不明です。 そこで、欧米で集団発生を起こしたL. m菌が特徴的に持つと報告されたActA蛋白質内のアミノ酸配列を、わが国の患者や食品、あるいはネズミなどから取れてきた菌が保有するのか否かについて、塩基配列を調べ検討してみました。 すると、わが国の菌もその配列を持つことが明らかとなり、当初このタイプの菌がわが国では少ないことが集団発生が起きていないことと関連するのではと予想しましたが、異なりました。しかし、今回、系統的には特徴的な塩基配列があることが認められましたので、それらを区別して検出できるPCR法を設計・構築しました。今後、この方法を用いて食品などを調べることにより有益な情報が得られないかと考えています。 |
学会発表 詳細 15_07
学会名 | 平成15年度日本獣医三学会・日本獣医公衆衛生学会 |
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日時 | 平成15年10月12日~13日 |
場所 | 米子市 |
発表者 | 古田喜美 橋渡佳子 佐々木敏之 下村 佳 毛利好江 石村勝之 萱島隆之 河本秀一 平崎和孝 荻野武雄 |
演題名 | Real Time PCR を用いた夾雑試料からのBacillus cereus の迅速検出法の検討 |
内容 | 2001年10月から2002年1月にかけて、12検体もの『白い粉』が当衛生研究所に搬入され、わたしたちは炭疽菌(Bacillus anthracis)の検査を実施しました。バイオテロが発生したとき、いかに早く炭疽菌かどうかの判定を行うということは、わたしたちの腕にかかっています。今回実験をするにあたって、炭疽菌はとても危険な菌なので、炭疽菌と近縁の食中毒菌の一種であるセレウス菌(Bacillus cereus)を使うことにしました。 方法は、数種類の『白い粉』とセレウス菌を混ぜて、通常のPCR法よりも2時間半くらい時間を短縮することのできる『Real Time PCR法』とよばれる方法で検討しました。その結果、検体を培養せず直接Real Time PCRにかけると、3時間以内に判定することができました。しかし、白い粉の種類によっては、検出が難しいものがありました。そこで、確実に菌を検出するために、前もって菌を増やす処理を行った後、Real Time PCRにかけました。 その結果、増菌処理をしても、7時間以内に判定できることが分かりました。この方法を実際の検査に応用することによって、より早い原因菌の特定に役立てたいと思います。 |
学会発表 詳細 15_08
学会名 | 第30回環境保全・公害防止研究発表会 |
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日時 | 平成15年10月31日 |
場所 | 徳島市 |
発表者 | 橋本和久 尾川健 今村光徳 |
演題名 | 八幡川水系における水質の推移 |
内容 | 広島市の西部を流れる八幡川は、流路延長21km、流域面積83km2の二級河川です。水質は、流域人口の増加とあいまって、都市基盤の整備も進んではいますが、生活雑排水対策は、まだ十分といえる状況ではなく、中流から下流の環境基準点では、環境基準が達成されていない状況です。 そこで、八幡川の支川である石内川の影響を調べるために、過去20年間(1981年度~2000年度)の水質試験項目のうち、BODとCODに注目して、最大エントロピー法(MEM)による時系列解析を行ないました。MEMは、有限の時系列データの解析に有効であることから、この方法を適用して解析しました。 その結果、八幡川と石内川の合流前後の地点(郡橋、泉橋)と石内川(石内川河口)における水質データの変動周期とその周波数におけるパワースペクトルの強度から、石内川の水質が八幡川下流域の水質に影響を与えていることが分りました。 今後は、MEMを細分化した区間に適用し、さらに詳細な解析をすることとしています。 |
説明資料 | 講演要旨(スライド) [PDFファイル/416KB] |