ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 監査事務局 > 監査事務局 工事監査課 > 伐採木処分費用支出について

本文

伐採木処分費用支出について

ページ番号:0000318900 更新日:2023年2月7日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第5号 

  令和5年2月7日 

 令和4年12月13日付け第1168号で受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 政氏 昭夫

         同 井戸 陽子

         同 山路 英男

         同 山内 正晃

別紙

広監第170号 

令和5年2月7日 

請求人

(略)

広島市監査委員 政氏 昭夫

         同 井戸 陽子

同 山路 英男

         同 山内 正晃

   広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和4年12月13日付け第1168号で受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

 

第1 請求の要旨

 請求書の記載内容から、請求の要旨は次のとおりと整理できる。

 

 恵下埋立地(仮称)建設工事での伐採木処分費支出における不当な処理に関する措置請求

(1) 監査請求の概要

 「恵下埋立地(仮称)建設工事」では、伐採木の産廃処分に係る「処分費」の支出において、市民団体からは、「受注者から請求された伐採木の処理数量は水増しになっているので、適正数量に見直し、当該工事の請負契約が終了する前に設計変更によって減額しなければ、不当な支出になる」旨、環境局に伝えられていたが、工事担当者は見直しをしなかった。

 その結果、水増し請求に対する水増し支払いが確定した。

 工事を担当した職員を中心とする関係職員の行為が不当な財務会計処理にあたることから監査請求するものである。

 「恵下埋立地(仮称)建設工事」は、2016年3月1日に工事請負契約がなされ、2022年8月31日に請負契約が終了した。本件工事の支払額は約114億4522万円であったが、そのうち伐採木の処分費として支出された約1億円(推定)が、担当職員の不適切処理による不当支出になっていると考えられる。

 本件工事で、伐採木は産廃として処分するために約2200台のトラックで運搬された。そのほとんどすべてが荷箱のあるトラックであり、受注者が荷箱の容量で請求したため、莫大な水増し請求と水増し支払いが行われた。少なく見積もっても約1億円になると推定された。

 この水増し支払いは、工事監督員が数量確認を怠っていたことに原因がある。積み込んだトラック毎に伐採木の「荷積み状態の体積」を測定し、その数量に対して支払いをすべきところ、荷積み状態の体積を荷箱の容量に置き換え、それで是として確認を怠っている。

 本件工事では、荷箱のあるトラックについて、全ての運搬トラックで荷箱の容量が伐採木の体積に等しいとして処分費の請求が行われていた結果、莫大な水増し請求となって約1億円(推定)もの水増し支払いになったために税金の不当な支出が確定した。

(2) 請求の対象となる職員

 この工事及び支払いに関係する職員

(3) 損害の推定

 約1億円と推定される。

(4) 請求する措置

 過大支払いとなっている処分費を認定し、受注業者から返還してもらう措置を講じること

 

(事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

【事実証明書1】伐採木運搬過積載管理表

【事実証明書2】産業廃棄物管理票(電子マニフェスト)

【事実証明書3】荷箱のないトラック広島130あ3133の荷姿

【事実証明書4】荷箱のあるトラック広島130う1033の荷姿

【事実証明書5】荷箱の容量による請求が水増し請求であることの証拠を視覚的に分かり易く示した図

【事実証明書6】水増し支払額の推定

【事実証明書7】「荷積み状態の体積」についての広島市都市整備局技術管理課長及び広島市都市整備局技術管理課長の回答

【事実証明書8】市民団体が、工事終了前に適正な数量に見直し、設計変更によって減額する等で税金の不当支出を適正にするよう求めた質問書の事例

【事実証明書9】住民監査請求の監査結果(令和4年4月19日公表広島市監査公表第9号~12号)結論を支配した広島市長名の「意見書」(満杯になり得ない事実を伏せている)

 

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和5年1月12日に、令和4年12月13日付けでこれを受理することを決定した。

 

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人から新たな証拠の提出はなかったものの、次のとおり代理人により、本件措置請求の内容に沿って陳述が行われた。

(1) 陳述日

 令和5年1月25日

(2) 代理人

(略)

(3) 主な陳述内容

・ 伐採木の処分費は、トラックに積み込んだ荷積み状態の体積に対して支払うべきであるにもかかわらず、トラックの荷箱の容量で支払われており、過大な支払いとなった。

・ 工事監督員が数量の確認を怠り、荷箱のあるトラックでは荷箱の容量を積み荷の量とする逸脱した行為が問題である。

 

2 広島市長(環境局施設部埋立地整備管理課(旧恵下埋立地建設事務所))の意見書

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和5年1月20日付け広施埋第127号により意見書の提出及び同年2月1日付け広施埋第131号により補充意見書の提出があった。なお、陳述は行われなかった。

 これらの意見書の主な内容は、次のとおりである。

(1) 本市の意見の趣旨

 請求人の主張しているような不当な支出は生じていないことから、本件措置請求は棄却されるべきである。

(2) 本市の意見の理由

ア 請求人の主張に対する反論等について

 請求人が伐採木の処分費の支払いについて、違法・不当であると主張しているような不当な支出は生じていない。以下その理由を述べる。

 請求人は、本件工事で、伐採木は産廃として処分するために約2200台のトラックで運搬され、そのほとんどすべてが荷箱のあるトラックであり、受注者が荷箱の容量で請求したため、莫大な水増し請求と水増し支払いが行われたと主張している。

 しかし、A企業体は、処分施設へ伐採木を運搬した全車両(約2200台)について、満載であることを実際に確認したうえで、事前に計測したトラックの荷箱容量を伐採木の処分量としている。

 つまり、A企業体が本市へ報告している伐採木の処分量は、トラックの荷箱に伐採木を満載にして、運搬した数量であり、結果的にトラックの荷箱容量と一致しているものである。

 また、本市が施工状況の照合等を委託している現場技術員が、伐採木を多量に搬出している時期については、ほぼ毎日、トラックの積込状況等を確認しており、運搬する処分施設ごとに1回以上、立会を行い、満載に積み込まれていることを確認し、写真でも記録している。

 さらに、本市においても、トラックの積込状況写真(全34枚)により、伐採木の積載状況を確認しており、その中で満載に積み込まれた状態でないと判断したものについては、実際の積込状況に合わせ、伐採木の処分量を決定している。

 実際に、伐採木がトラックの荷箱に満載に積み込まれた状態でないと判断される写真があったため、平成29年11月から平成31年2月末までに処分施設へ搬入された伐採木の数量(414台のトラック搬出分)については、トラックの荷箱容量に0.8を乗じた数量で処分量を決定している。

 なお、本市は、A企業体から、荷箱のあるトラックに木材を積み込む場合、大きな空隙が生じないよう、さまざまな長さの幹や枝葉を積込、運搬したことを確認している。よって、伐採木については、運搬ごとに積み方や種類等により重量が異なり、運搬する荷積みの比重が均一でないことから、重量データを比例案分し、荷積みの容量を算出する方法を必ずしも否定するものではないが、請求人が事実証明書5で示された、幹のみを積載したトラック1台のみの重量データにより比重を算出し、荷箱のあるトラックの積載量を算出するとした方法は適切でなく、荷箱が満載ではなかったという証拠にはならない。

 このように、伐採木の処分費は、実際の荷積状態での体積で支払っており、トラックの荷箱の容量で支払っているとの請求人の主張は事実ではない。

イ まとめ

 以上の次第で、本件工事で支出した伐採木の数量は、処分施設に運搬した伐採木の体積(実際の荷積状態)に対して支払われており、本市には何らの不当な支出は生じていないことから、本件措置請求は棄却されるべきである。

 

3 監査対象事項

 請求人は、産業廃棄物として処分されている伐採木の処分費は、伐採木の体積に対して支払われなければならないにもかかわらず、荷箱の容量より少なく積み込まれた伐採木を荷箱の容量分あるとする不適正な履行確認により過大に算定され、その結果、受注者に対し処分費が余分に支払われ、市に損害が発生したと主張していると認められる。

 このため、本件工事の請負契約に基づく支払(完成払を含む。)に係る履行確認において、伐採木の処分量を適正に確認せず、これにより伐採木の処分費の支払が違法又は不当になっているかについて監査する。

 

4 監査の実施内容

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、広島市長から提出された意見書のほか関係書類を確認するとともに、関係職員への聴取りを行うほか、本件措置請求において述べられている事実関係について、別添の令和4年4月19日付け広監第14号「広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)」(ほかに3件同様の内容のものがある。以下「前回監査結果」という。)で監査結果を通知した広島市職員に関する措置請求(以下「前回措置請求」という。)において述べられている事実関係と比較し、違いの有無について確認した。

 

第4 監査の結果

1 事実の確認

 本件工事の請負契約における伐採木の処分費の支払については、本件措置請求において述べられている事実関係と前回措置請求において述べられている事実関係は、履行確認に係る点において内容が同一のものであると認められる。

 したがって、本件措置請求に対する判断の基となる事実関係については、前回監査結果において確認した事実関係のとおりである。

 なお、受注者は、令和2年8月から令和3年11月に伐採木の処分を完了するまでの間において、伐採木をトラックの荷箱に満載した状態での運搬・処分量を重量でマニフェストに記載するよう変更し、市においては、その重量を体積に換算して処分量を確定した後、契約変更を経て、所定の検査員による検査を行い、伐採木の処分費に係る履行確認を行っていた。

 

2 判断

 上記1の事実関係から、本件措置請求に対する判断は、前回監査結果における判断のとおりとする。

 なお、完成払に係る伐採木の処分量の一部が重量でマニフェストに記載されていたが、その重量を体積に換算して処分量を確認しており、履行確認も適正になされていたことから、この判断に影響を与えるものではない。

 

3 結論

 請求人の行った本件措置請求については、理由がないものであり、請求を棄却する。

 

別添

広監第14号 

令和4年4月19日 

請求人

(略)

広島市監査委員 政氏 昭夫

         同 井戸 陽子

         同 宮崎 誠克

         同 森畠 秀治

   広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和4年3月15日付け第1546号で受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

 

第1 請求の要旨

 請求の要旨は、請求書の記載内容から抜粋引用すると、大要は次のとおり。

  広島市長その他関係する職員による伐採木処分費用支出に関する措置請求

(1) 監査請求の概要

 本監査請求は、産廃として処分されている伐採木の処分費は、運搬トラックの荷箱のあるなしに関係なく、処分施設に運搬した伐採木の体積に対して支払われなければならないにも関わらず、恵下埋立地(仮称)建設工事において、荷箱のあるトラックでは荷箱の大きさで支払われていることが違法・不当であるとして、監査請求するものです。

 本監査請求は、伐採木の処分費は、荷物の大きさを測った体積を基にして支払われるべきで、そうしていないことが違法・不当であると主張しています。

 「恵下埋立地(仮称)建設工事」では、伐採木を処分施設(再資源化施設)に運搬して再資源化処理することとしており、そのための処分費を、広島市が受注者であるA企業体に支払っています。

 2台のトラックでの運搬に対して、荷箱のないトラックでは52,800円、荷箱のあるトラックでは70,840円の処分費が元請業者に支払われました。(実際には、これは「直接工事費」であり、諸経費が上乗せされますから、さらに大きな金額が支払われています。)

 どちらもほぼ同じ量の伐採木の幹を運んでいますが、処分費が大きく違っています。

 伐採木の数量として、荷箱のないトラックの場合は、荷物の大きさを測ってその「荷積み状態」の体積を計上しています。それに対して、荷箱のあるトラックでは、荷箱の容積より少ない積み荷を運んでいても、荷箱の大きさで計上されています。このことから差が生じたものです。これは、トラックの荷箱の長さが6.1mであるのに対して、積込まれている木材の長さが4mであることから、荷箱容量の約3分の1にも及ぶ大きな空隙が生じてしまい、支払額に大きな差がでたものです。

 しかし、伐採木の処分費は、荷箱があるなしに関係なく、荷物の大きさを測った体積を基とすることが定められています。つまり、荷箱のないトラックの通り、荷積み状態での荷物の体積を計測して、その体積に対して処分費を支払わなければなりません。

 支払われたのは、積み荷の伐採木をチップ等に再資源化するための処分費ですから、どちらのトラックでも、積み荷に対して支払われなければならないもので、同じような支払い額になるべきものですが、荷箱のあるトラックでは過大な支払いとなっています。

 これは、工事監督員がその任務である数量の確認を怠り、荷箱のあるトラックでは荷箱の容量を積み荷の量とするという逸脱した行為が原因で生じたものです。

 公共工事の監督業務は、地方自治法第234条の2(契約の履行の確保)により、その実施が位置付けられています。地方自治法第234条の2第1項は「普通地方公共団体が工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行なう工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分の確認を含む。)をするため必要な監督又は検査をしなければならない。」と規定しています。工事監督員には、完了の確認のため、積み荷の体積の測定結果の確認が必要です。

 伐採木の処分費は、積算基準によって「荷積み状態の体積」に対して単価設定されており、その体積に対して支払われなければなりません。

 本件では、荷物を積み込んだ状態での体積を計測し、その体積に対して処分費の支払いをすべきところを、体積を計測することなく荷箱の容量で支払ったことから、違法な水増し支払いとなっています。

 税金を財源とする公共工事では、水増し支払いは許されません。実際に処分する廃棄物の量に対して、その処分に必要な費用を支払うこととなっており、数量の確認を行うことなく漫然と支払いを続けた結果、莫大な額の水増し支払いが行われたと考えられます。

 2台の比較では、18,040円の差(「直接工事費」ベースで)が出ています。実際には1台だけではなく、相当な台数になりますので、全体では数千万円から億円単位に及ぶ差が生じるものと思われます。

 産業廃棄物のマニフェストには、「排出量」欄に、トラックの荷箱の容積が記載されており、その数量で処分費の請求が行われていたため生じたものです。

 荷箱のあるトラックでは伐採木の量が荷箱の容積で計上されていたために荷箱内の空気に対しても処分費を支払うことになって、結果として過大な支払いになりました。これは、明らかに、違法な支払いです。

 なお、通常、トラックの積み荷は、運搬先でトラックスケールによって重量で計量され、計量伝票が発行されるのですから、荷物の体積が分からない場合には、マニフェストに、この重量を記載(収集運搬業者か処分業者によって)することによって確定させるべきものであると思われます。

 事実、本件工事の前に行われた「恵下埋立地(仮称)取付道路建設工事」では、マニフェストに、計量伝票の値を記載して重量で確定し、その重量に対して請求がなされ、支払いが行われています。

 積算基準では、重量が判明していれば、「重量換算係数」によって、重量を体積に換算することで支払いができるようになっています。重量換算係数は0.5t/立方メートルですから、計量された重量を0.5で除して体積にし、その体積に処分費単価を乗じることで、適正な支払いを行うことができます。

 本件工事では、荷箱容量が40立方メートルものトラックでも運搬されています。この荷箱に満杯に積めば、重量換算係数を用いて換算すると20tにもなり、日常的に法律に違反して大幅な重量超過での運搬が行われていたことになりますが、搬入先で計量されることからもこのような違法行為はできません。荷箱容量40立方メートルのトラックでは車体重量が重くなることから、積み荷は7~8t程度までしか積めないものと思われます。

 行政庁には、一定の裁量が認められているものの、その判断が事実の基礎を欠き、社会通念上著しく妥当でないことが明白な場合には、裁量権の逸脱や裁量権の濫用とされます。

 本件は、荷積み状態での体積に対して支払わなければならないとされていることから、荷箱の容量で支払うことは、明らかに裁量権の逸脱・濫用が行われているといえます。

(2) 請求の対象となる職員

 この工事及び支払いに関係する職員

(3) 損害の推定

 荷箱のあるトラックでは、積み荷の量に関わらず荷箱の大きさで支払われ、荷箱のないトラックでは積み荷の量で支払われるという不適切な支払いは、税金の違法な支出であり、積み荷の量とトラックの荷箱の大きさとの差が過大に支出された処分費となるので、それが損害と推定されます。

 なお、額の確定にあたっては、先に記載した通り、運搬先によるトラックスケールでの計量伝票に記載の重量を、重量換算係数によって体積に換算して処分費単価(1立方メートル当たりの)を乗じて求め、現在の支払額との差を過大に支払われた額として確定することが可能です。

(4) 請求する措置

 過大となっている処分費を設計変更で減額する等の方法で適正な支出とすること

 (事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

【事実証明書1】 荷箱のないトラック「広島130あ3133」と荷箱のあるトラック「広島130う1033」での運搬数量(どちらもほぼ同じ量であるにも関わらず大きな差が生じている証拠)

【事実証明書2】 「荷積み状態」についての広島県土木建築局技術企画課長の回答

【事実証明書3】 「荷積み状態」についての広島市都市整備局技術管理課長の回答

【事実証明書4】 排出量欄に荷箱容量が計上されている本件伐採木の電子マニフェストの一部(H28年6月分の一部)

【事実証明書5】 本件電子マニフェストに記載されているトラック毎の荷箱容量

【事実証明書6】 事実証明書4に記載されているトラックのうち、車両番号「広島130う1033」の荷箱容量を証明する資料

【事実証明書7】 建設発生木材の処分費単価が積み荷状態での空立方メートルであることについて記載されている文書

【事実証明書8】 社会の一般常識(社会通念)について

【事実証明書9】 処分施設に搬入した伐採木の量を、処分施設で計量した重量で記載している「恵下埋立地(仮称)取付道路建設工事」のマニフェスト

【事実証明書10】 伐採した幹材の長さが4mである事実

【事実証明書11】 事実証明が不足している場合、具体的に必要とする内容を提示して補正を求めることができるので、その事例。(本事例は、補正を請求したが補正されなかったので受理前却下したという大阪市監査委員の事例(大阪市ホームページ))

【事実証明書12】 広島市が、1回のトラックで運搬した伐採木の数量を、そのトラックの荷箱の容量で数量認定している事実

 

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和4年3月16日に、同月15日付けでこれを受理することを決定した。

 

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

(1) 地方自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けた。

(2) これを受けて、請求人は、次のとおり、書類を提出するとともに、令和4年3月25日、本件措置請求の要旨に沿って陳述した。

ア 提出された書類

・ 「広島市長その他関係する職員による伐採木処分費用支出に関する措置請求(新たな証拠等)」(添付を省略する。)

イ 主な陳述の内容

・ 伐採木の処分費は、トラックに積み込んだ荷積み状態の体積に対して支払うべきであるにもかかわらず、トラックの荷箱の容量で支払われており、不当に過大な支出となっていること。

・ 工事監督員が数量の確認を怠り、荷箱のあるトラックでは荷箱の容量を積み荷の量とする逸脱した行為が問題であること。

2 広島市長の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和4年3月24日付け広施恵第208号により意見書が提出された。なお、陳述は行われなかった。

 意見書の主な内容は、以下のとおりである。

(1) 本市の意見の趣旨

 請求人の主張しているような不当な支出は生じていないことから、本件措置請求は却下されるべきである。

(2) 本市の意見の理由

ア マニフェストに記載された「排出量」欄の数量について

 請求人は、マニフェストの「排出量」欄には、トラックの荷箱容量を記載していると主張している。

 しかし、受注者は、処分施設へ伐採木を運搬した全車両(約2200台)について、満載であることを実際に確認したうえで、事前に計測したトラックの荷箱容量をマニフェストの「排出量」欄に入力している。

 つまり、受注者が本市へ報告しているマニフェストに記載された「排出量」欄の数量は、トラックの荷箱に伐採木を満載にして、運搬した数量であり、結果的にマニフェストに記載された「排出量」欄の数量とトラックの荷箱容量が一致しているだけである。

 さらに、本市が施工状況の照合等を委託している現場技術員が、伐採木を多量に搬出している時期については、ほぼ毎日、トラックの積込状況等を確認しており、運搬する処分施設ごとに1回以上、立会を行い、満載に積み込まれていることを確認し、写真でも記録している。

イ 伐採木の処分費の支払いについて

 請求人は、伐採木の処分費を、伐採木の体積で支払わなければならないにも関わらず、荷箱のあるトラックではトラックの荷箱の容量で支払っており、違法・不当であると主張している。

 しかし、上記アのとおり、受注者が本市へ報告しているマニフェストに記載された「排出量」欄の数量は、トラックの荷箱に伐採木を満載にし、運搬した数量である。

 また、本市においても、トラックの積込状況写真(全34枚)により、伐採木の積載状況を確認することにしており、その中で満載に積み込まれた状態でないと判断したものについては、実際の積込状況に合わせ、伐採木の処分量を決定することにしている。

 実際に、伐採木がトラックの荷箱に満載に積み込まれた状態でないと判断される写真があったため、平成29年11月から平成31年2月末までに処分施設へ搬出された伐採木の数量(414台のトラック搬出分)については、マニフェストに記載された「排出量」欄の数量に0.8を乗じた数量で処分量を決定している。

 このように、伐採木の処分費は、実際の荷積状態での体積で支払っており、トラックの荷箱の容量で支払っているとの請求人の主張は事実ではない。

ウ 事実証明書1について

 請求人は、事実証明書1を根拠に、トラックの荷箱の長さが6.1mであるのに対して、積み込まれている木材の長さが4mであることから、荷箱容量の約3分の1にも及ぶ大きな空隙が生じてしまい、支払額に大きな差が出たものであり、荷箱のあるトラックでは過大な支払いとなっていると主張している。

 しかし、事実証明書1に掲載している荷箱に積まれた伐採木は、平成28年6月1日に有価物としての幹を搬出した際の写真であり、その幹は市場に直接運搬し、売却していることから、本市が処分費を支払っている事実はない。

 本市は、受注者から、伐採木を積み込む場合、トラックの荷箱に大きな空隙が生じないよう、さまざまな長さの有価物でない幹や枝葉、根株を積込、運搬したことを確認している。

 また、本市においても、実態として満載状態かどうか、大きな空隙が生じている事実がないかを確認するため、処分施設に対して伐採木の搬入状況について照会し、平成31年3月19日付で、処分施設から満載状態であることを確認し受け入れた旨の回答を文書で受理している。

 したがって、荷箱容量に大きな空隙が生じて運搬している事実はない。

エ 事実証明書10について

 請求人は、事実証明書10を根拠に、処分施設へ搬入するトラックに積み込まれている木材の長さが4mであると断定しており、事実証明書10に記載している木材市場での記録が、あたかも処分施設へ搬入された木材のように記載している。

 しかし、掲載している精算書は、受注者が直接、木材市場へ運搬し、売却したものであり、処分施設へ搬入されたものではないこと、また、処分施設へ搬入している木材は、すべて処分施設において、選別、切断もしくは破砕等を行っていることから、たとえ木材の一部を市場へ売却していたとしても、処分施設に搬入した木材の長さが4mであることの根拠にはならない。

オ 伐採木の計量方法について

 請求人は、通常、トラックの積荷は、運搬先でトラックスケールによって重量で計量され、計量伝票が発行されるため、荷物の体積が分からない場合には、マニフェストにこの重量を記載し確定させるべきであると主張している。

 しかし、本件工事において、伐採木の処分量を体積で管理しており、重量で確定させる必要がない。

3 監査対象事項

 請求人は、産業廃棄物として処分されている伐採木の処分費は、伐採木の体積に対して支払われなければならないにもかかわらず、荷箱の容量より少なく積み込まれた伐採木を荷箱の容量分あるとする不適正な履行確認により過大に算定され、その結果、受注者に対し処分費が余分に支払われ、市に損害が発生したと主張していると認められる。

 このため、本件請負契約に基づく部分払に係る履行確認において、伐採木処分量を適正に確認せず、これにより伐採木処分費の支払が違法又は不当になっているかについて監査する。

4 監査の実施内容

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、請求人の陳述の内容、広島市長から提出された意見書のほか関係書類を確認するとともに、関係職員への聴取り及び関係人調査を行うなどして監査した。

 

第4 監査の結果

1 事実の確認

(1) 恵下埋立地(仮称)建設工事(以下「本件工事」という。)における伐採工の概要

ア 恵下埋立地(仮称)建設工事請負契約(以下「本件請負契約」という。)の概要

(ア) 工事場所  佐伯区湯来町大字和田

(イ) 工期  平成28年3月1日から平成32年3月10日まで(当初契約時)

平成28年3月1日から令和4年8月31日まで(変更契約後)

(ウ) 請負代金額  93億4,848万円(当初契約時)

114億3,050万1,680円(変更契約後)

(エ) 受注者  A企業体

(オ) 当初契約日  平成28年3月1日

(カ) 工事内容  全体計画容量160万立方メートルのうちの35万立方メートルの廃棄物埋立地建設工事(埋立地の用地約22万4,000平方メートルの造成その他工事)

イ 伐採木に係る設計図書上の記載

 本件工事の特記仕様書、土木工事施工条件及び工事設計書には、準備工の一つである伐採工について、次の内容が記載されている。

・特記仕様書(当初契約時から変更なし)

13 建設副産物の搬出について

(1) 工事の施工により発生する建設副産物は、下記の場所に搬入することとする。なお、指定場所等との協議等で他の受入れ場所へ搬入する必要がある場合又は、他の受入場所がない場合は、本市と協議し決定するものとする。なお、運搬、搬入等にあたり産業廃棄物に該当する建設副産物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を遵守すること。

受入場所

建設副産物

搬入場所

発生木材

産業廃棄物処分業の中間処理の許可を有する再資源化施設

・土木工事施工条件(当初契約時)

7.建設副産物関係

(5) 伐採木及び根株

 

 本工事において発生する伐採木及び根株については、下記の受入場所に搬出することとし、所在地への搬出を見込んでいる。

 ただし、下記の受入場所以外の「産業廃棄物処分業の中間処分の許可を有し、木質チップ等として再資源化可能な再資源化施設」に搬出することを妨げるものではない。

 施設名  B社樹木リサイクルセンター

 所在地  佐伯区五日市町大字石内     

 運搬距離 19.4キロメートル

9.その他

(2) 伐採除根量について

 本工事の施工に当っては、伐採除根量(体積)について近隣工事の実績により、下記のとおり見込んでいる。

 なお、下記の条件により難い場合は、発注者と受注者の協議のうえ契約変更の対象とする。

 伐開除根10,000平方メートルあたり

項目

数量

伐採木、木くず等

1,300立方メートル

根株

900立方メートル

・土木工事施工条件(変更契約後)

7.建設副産物関係

(5) 伐採木及び根株

 本工事において発生する伐採木及び根株については、下記の受入場所に搬出することとし、所在地への搬出を見込んでいる。

 ただし、下記の受入場所以外の「産業廃棄物処分業の中間処分の許可を有し、木質チップ等として再資源化可能な再資源化施設」に搬出することを妨げるものではない。

 施設名  C社樹木リサイクルセンター

 所在地  佐伯区五日市町大字石内     

 運搬距離 19.4キロメートル

10.その他

(2) 伐採除根量について

  本工事の施工に当っては、伐採除根量(体積)については、下記のとおり見込んでいる。

 なお、下記の条件により難い場合は、発注者と受注者の協議のうえ契約変更の対象とする。

  伐開除根10,000平方メートルあたり

項目

数量

伐採木、木くず等

1,900立方メートル

根株

1,200立方メートル

・設計書(当初契約時)

名称

数量

単位

伐採・除根

224,000

平方メートル

集積

224,000

平方メートル

発生木材運搬費

224,000

平方メートル

伐採木処分費

29,120

立方メートル

根株処分費

20,160

立方メートル

・設計書(変更契約後)

名称

数量

単位

伐採・除根

231,000

平方メートル

伐採(発生木材)

5,600

平方メートル

集積

236,800

平方メートル

発生木材運搬費

236,800

平方メートル

伐採木処分費

46,220

立方メートル

根株処分費

28,090

立方メートル

ウ 伐採工に係る施工

 受注者は、伐採工について施工計画書を作成し、市に提出していた。伐採工に係る施工は、当該計画書に基づいて実施されている。

 平成28年4月13日付けで受注者から市に提出された施工計画書には、伐採工について次の内容が記載されている。

施工時期・数量

項目

施工時期

数量

伐採・除根

平成28年4月~平成30年12月

224,000平方メートル

伐採処分

平成28年4月~平成30年12月

29,120立方メートル

根株処分

平成28年4月~平成30年12月

20,160立方メートル

施工方法

・ 伐採前確認

・ 草刈・立木枝払い

・ 伐採

・ 伐採材集積

・ 除根

・ 場内運搬

・ 場外運搬・処分(伐採材積込)

 バックホウにてダンプトラック(10t)に積込む。低木・枝葉類はパッカー車に積込み、過積載とならないように注意する。

 ダンプトラック(10t)及びパッカー車にて、所定の処分場所まで運搬し、処分する。

 場外搬出前に、元請職員がマニフェストにより産廃項目・数量を確認する。

 運搬中は決められたルートを走行し、交通規則の厳守により運搬する。

 検測方法

項目

単位

検査時期

検査方法

伐採工

平方メートル

伐採範囲を明示後

 巻尺、測量機器及び設計図書により面積を算出する。

伐採木処分

立方メートル

伐採処理後

 マニフェストで確認する。

根株処分

立方メートル

伐採処理後

 マニフェストで確認する。

(2) 伐採工の状況

ア 伐採木の集積の状況

 木を伐採した際は、枝葉を払い、トラックに積み込めるよう切断した上、幹、枝葉及び根株に分けて集積していた。

イ 伐採木の運搬の状況

 受注者は、伐採した木から有価物となる幹を除き、産業廃棄物として処分する幹、枝葉及び根株をトラックの荷箱に満載に積み込み運搬していた。

 積込みについて受注者は、あらかじめトラックの荷箱の内寸法を計測して荷箱の容積を求め、荷箱に伐採木を満載にした状態をその都度確認し、荷箱に満載状態の伐採木の体積、すなわち荷箱の容積をマニフェスト(産業廃棄物管理票)に記録していた。また、荷箱に満載にした状態で積み荷の重量を計測した記録を確認し、最大積載量を超えた積載という過積載になっていないことを確認していた。

 以上のことについて、発注者である市は、受注者からの記録や現場状況を委託業者を通して確認していた。

ウ 伐採木の処分の状況

 受注者は、木材市場へ持ち込む有価物となる伐採木を除いた幹、枝葉及び根株を産業廃棄物として処分するため、本件請負契約の施工条件に合った産業廃棄物の中間処理の許可を有する処分施設に搬入し処分していた。

(3) 本件請負契約におけるこれまでの部分払の支払状況

ア これまでの部分払の状況

 部分払は、広島市建設工事請負契約約款第37条及び第41条を根拠としており、これまでに次のとおり6回の部分払が行われ、うち4回の部分払において、準備工の一つである伐採工(伐採、集積、運搬及び処分)の出来高を含めた支払が行われている。

 部分払の支払状況の一覧表

年度

種別

支払金額

支払日

備考

平成28年度

部分払

119,205,000円

平成29年3月27日

伐採木の支払あり

平成29年度

部分払

309,140,000円

平成30年3月26日

平成30年度

部分払

517,269,000円

平成31年4月11日

伐採木の支払あり

平成31年度

部分払

661,116,000円

令和2年3月30日

伐採木の支払あり

令和2年度

部分払

2,153,000,000円

令和3年3月30日

伐採木の支払あり

令和3年度

部分払

136,000,000円

令和3年8月10日

イ 部分払における伐採木の処分量の確認状況

(ア) 市は、各部分払の出来高となる伐採木の処分量の把握については、受注者から提出されるマニフェストにより確認していた。

 これは、本件請負契約の施工条件に伐採木の処分量の確認の方法が示されていないものの、受注者の提出した施工計画書において、マニフェストにより確認するとされていたことによるものである。

(イ) 当該マニフェストには、(2)のイのとおり、伐採木の処分量が荷箱に満載に積まれた状態の容積で記録されていた。

 なお、市は、荷箱に伐採木が積まれた状態を受注者が撮影した写真で確認し、荷箱に満載に積まれた状態でないと認められた一部の搬出ケースについては、工事打合せ簿による協議により、処分量をマニフェストに記載の数量から一部減じた数量としていた。

ウ 部分払に係る検査

 本件請負契約における部分払に係る検査は、広島市建設工事請負契約約款第37条第4項を根拠としており、広島市請負工事検査要領の規定により都市整備局技術管理課が実施することになっている。各部分払においても、同課が検査を実施し、伐採木の処分量を含む出来高の確認が行われていた。

2 判断

 地方自治法第234条の2第1項の規定によれば、地方公共団体が締結した工事請負契約において、その受ける給付の完了の確認をするために必要な検査を、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行うものとされている。

 本件請負契約における部分払の際の履行確認として、その基礎となる出来高の一つである伐採木の処分量の確認について監査したところ、市は、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて、受注者から提出されたマニフェストや伐採木を積載したトラックの写真により、その量を確認した上で、所定の検査員による検査を行うことにより伐採工の履行確認を行っていた。

 以上のとおり、出来高の一つである伐採木の処分量が適正に確認され、部分払に係る履行確認が適正になされていることから、伐採木処分費の違法又は不当な支払はないと認められる。

3 結論

 請求人の行った本件措置請求については、理由がないものであり、請求を棄却する。