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中環境事業所の日当支給について

ページ番号:0000276665 更新日:2022年4月22日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第7号

令和4年4月15日

 令和4年2月18日付け第1390号で受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       宮崎 誠克

同       森畠 秀治

別紙

広監第3号

令和4年4月15日

請求人
(略)

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       宮崎 誠克

同       森畠 秀治

   広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和4年2月18日付け第1390号で受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

 

第1 請求の要旨

 請求の要旨は、請求書の記載内容から抜粋引用すると、大要は次のとおり。

  広島市長及び環境局中環境事業所長による日当支給に関する措置請求

(1) 監査請求の概要

 この監査請求は、環境局中環境事業所において、「実費弁償」として支給される「日当」が、実費支出がない場合に、ある一定の職員には支給すれば不当な支給になるとして非支給としているにも関わらず、他の一定の職員に支給されていることは、日当の範囲を逸脱した恣意的支給にあたり、支給した結果、不当な税支出になるとともに、支給額がそのまま非課税の給与所得となって組織ぐるみで脱税をしているおそれがあることから、不当・違法な財務会計上の行為に該当するため、是正を求めて請求するものです。

 環境局中環境事業所の旅行命令権者は、広島市職員等の旅費に関する条例第43条第1項を恣意的に運用し、「ごみ収集」を担当する職員には、「旅費を支給した場合には不当に旅行の実費をこえて旅費を支給することとなる」として支給していないにもかかわらず、「ごみ収集作業指導監督」を担当する職員には、1日550円の旅費を支給しています。

 環境局中環境事業所の旅行命令権者は、用務先で自らのポケットから旅費を支出する必要のない一定の職員(ごみ収集担当職員)に対しては非支給決定をしていながら、全く同様の他の一定の職員(ごみ収集作業指導監督職員)には支給するという恣意的決定によって、税金を不当に支出しています。

 これは、税金の不当な支出にあたるだけでなく、その不当な支出が、国税庁によって日当ではなく給与所得とみなされ、非課税であることが所得税法に違反し、組織ぐるみで脱税をしているというおそれがあります。

 環境局中環境事業所長(旅行命令権者)は、「ごみ収集作業指導監督」を担当する職員には、外出する日(在勤地を離れた旅行をする日)ごとに1日550円の日当を支給しています。

 しかし、同様に外出する(在勤地を離れた旅行をする)職員である「ごみ収集」を担当する職員には一切日当を支給していません。

(2) 請求の対象となる職員

 広島市長

 環境局中環境事業所長

(3) 損害の推定

 不明(対象となっている人員、期間ともに不明であるため計算できていない)

(4) 請求する措置

 旅費としての支出がなく、不当に支給された日当は返還すること。

 旅費としての支出がない日当は支給せず、また、他の自治体のように日当を廃止すること。

(事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

【事実証明書1】環境局中環境事業所の旅行命令権者が決定した日当支給の事例

【事実証明書2】所得税法基本通達 法第9条《非課税所得》関係

 

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和4年3月11日に、同年2月18日付けでこれを受理することを決定した。

 

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人からは証拠の提出はなく、陳述も行われなかった。

2 広島市長(広島市中環境事業所)の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和4年3月22日付け広業中第47号により意見書が提出された。なお、陳述は行われなかった。

 意見書の主な内容は、以下のとおりである。

(1) 事実

 日当は、広島市職員等の旅費に関する条例に基づき支給している。また、職員が行う旅行の時間や距離等を個別に鑑みて日当を定額で支給することが適切でない場合に、広島市職員等の旅費に関する条例第43条第1項により日当を減額調整している。

(2) 本市の意見の趣旨

 本件措置請求は、理由がないものである。

(3) 本市の意見の理由

 請求人は、実費支出がない場合、ごみ収集の担当職員には日当を非支給とする一方で、指導監督業務を行う職員には日当を支給していることは、日当の範囲を逸脱した恣意的支給にあたると主張しているので、以下、この点について述べる。

 ごみの収集運搬は決められたルートを時間どおりに行う業務であり通信費等の諸雑費がかからないとの考えの下、広島市職員の旅費に関する条例第43条第1項による日当の減額調整を行っているのに対して、指導監督に係る業務は調査や指導、監督等の為、不定期な場所に突発で行くことから、職場との通信費等の諸雑費が必要になるとの考えで日当の減額調整は行っていないものである。

 また、日当は、旅行中の諸雑費を賄うための旅費として、広島市職員の旅費に関する条例第3条第1項及び第6条第1項第6号により旅行中の日数に応じて定額で支給しているものである。

 以上のとおり、日当は、広島市職員の旅費に関する条例に基づき支給しており、適正なものである。

3 広島市長(制度所管課である企画総務局人事部給与課)の見解

 広島市長に対し、広島市職員等の旅費に関する条例を所管する観点から見解等を求めたところ、令和4年3月24日付け広人給第77号により以下のとおり回答があった。

(1) 制度所管課としての見解

 日当は、旅行中の諸雑費を賄うための旅費であり、額に内訳はなく、支給事務、精算事務を効率的に行う観点から、定額での支給を行っている。したがって、旅行完了後に、支給された旅費の実際の使途を確認することは行っていない。

 ただし、旅行の実態からして定額で支給することが適当でない場合は、広島市職員等の旅費に関する条例第43条第1項に基づき、減額することができるとしており、各所属においては、条例の趣旨を踏まえ、旅行の実態に応じて日当を減額するかどうかの判断を行っているものと認識している。

 また、本市の日当は、国の旅費法に準じた定額を条例に定めており、所得税法第9条第1項第4号の規定に該当し、非課税と取り扱っている。

 なお、この日当については、従前から事務事業見直しの一環として検討を行っていたところ、この度、他の政令指定都市等の支給状況を踏まえながら職員団体とも協議を行い、令和4年4月1日から近距離への旅行及び公用車による旅行に係る日当について見直しを行うこととした。

(2) 公用車での旅行する場合の日当の支給に際しての各課等への指導状況

 日当を含む旅費制度について、職員向けのネットワーク内に旅費の手引き、運用指針及び通知を掲載し、職員が閲覧できるようにするとともに、毎年度、職員向けに実務研修を実施している。

4 監査対象事項

 請求人は、広島市中環境事業所長が、外出する一定の職員に対しては日当を支給していないにもかかわらず、同様に外出する他の職員に対して日当を支給していることは恣意的なものであるとして不当な支出であると主張していると認められる。

 このため、令和3年4月分を例として、次の点について監査する。

(1) 広島市中環境事業所における日当の支給は、条例等に基づき適正に行われているか否か。

(2) 日当の支給について、他の所属を含め運用上の問題はないか。

5 監査の実施内容

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、広島市長から提出された意見書のほか関係書類を確認するとともに、関係職員への聴取りを行うなどして監査した。

 

第4 監査の結果

1 事実の確認

(1) 旅費制度について

ア 地方自治法第204条第1項で、普通地方公共団体は常勤の職員等に対し旅費を支給しなければならないとされており、同条第3項において旅費の額、支給方法は条例で定めなければならないとされている。

イ 広島市職員等の旅費に関する条例(昭和27年広島市条例第17号。以下「旅費条例」という。)第2条第1項第6号で、職員が公務のため一時その勤務場所を離れて旅行することを出張というとされ、旅費条例第3条第1項で、職員が出張した場合には、当該職員に対し、旅費を支給することとされている。日当を含む旅費の種類は旅費条例第6条第1項で規定されており、同条第6項の規定により、日当は、1日当たりの定額により支給するとされている。その額は、旅費条例第20条第1項で別表第1の定額によるとされ、5級以下の職務にある者が内国旅行する場合、1日につき2,200円とされている。

ウ 旅費条例第43条第1項では、旅費を支給した場合には不当に旅行の実費を超えて旅費を支給することとなる場合においては、その実費を超えることとなる部分の旅費について、旅費の全部又は一部を支給しないことができるとされている。

エ この不当に旅行の実費を超えて旅費を支給することとなる場合については、「広島市職員等の旅費に関する条例の運用について」(昭和27年4月1日広職甲第88号。以下「運用通知」という。)第43条関係第1項で、正規の旅費を支給することが旅費計算の建前に照らして適当でない場合においては、各機関の長は、各号に掲げる基準により旅費の調整を行うこととされ、その例の一つとして同項第2号では50キロメートル未満の旅行(勤務場所の存する地域(広島市にあつては、安芸郡の府中町、海田町及び熊野町を含む。)内の旅行を含む。)の場合の日当の額は、旅費条例別表第1の日当定額の4分の1に相当する額とするとされている。

オ また、運用通知に掲げられている例のほかに、旅行の実態に鑑みて更なる減額を行うことができるという考えが制度所管課や制度運用課で認識され、取り扱われている。

カ これまで、運用通知では、半径8キロメートルを超え往復100キロメートル未満の公用車での出張の旅費の支給額は、日当定額の4分の1に相当する額とされていたが、令和4年4月1日以降の旅行分から、往復100キロメートル未満の公用車での出張に係る旅費の日当を非支給とする等の見直しが行われた。

(2) 広島市中環境事業所長による旅費の支給について

ア 環境事業所は、固形状一般廃棄物の収集運搬や、不法投棄の防止に係る監視や指導などを行う事業所として、広島市中環境事業所を含め、本市に7事業所設置されている。

イ 市長から提出された意見書によると、決められたルートを時間どおりに行い諸雑費がかからないごみ収集運搬業務については減額調整により日当の全額を支給せず、不定期な場所に突発的に行くような指導監督に係る業務については諸雑費が必要となるとして日当定額の4分の1を支給しているとのことである。

ウ 実際、ごみ収集に関する業務については日当は支払われておらず、清掃指導に関する業務については日当が4分の1に減額されて支給されている。

エ 後者の清掃指導に関する業務につき一部減額していることについて、広島市中環境事業所における運行日誌及び清掃指導員勤務日誌により業務の実態を基に監査したところ、市長の意見のとおり、日当全額を減額調整せずに日当定額の4分の1支給の減額調整としているのは、単に作業指導監督職員といった職種で判断しているのではなく、不法投棄防止パトロールや不法投棄ごみに対する対応などごみ収集作業指導監督業務としての具体的な業務の内容を考慮して、広島市中環境事業所長が減額の有無や程度を判断した結果であることを確認した。

(3) その他抽出により日当の支給状況について調査した結果について

 日当の運用状況について市の他の所属の中から抽出して日当減額の有無やその理由を調査したところ、運用通知に従ってその例示のとおり減額支給している事例がある一方、諸雑費が不要であることを理由として旅費条例第43条第1項を直接適用し日当定額の全額を減額としている事例も見受けられた。

 この調査結果から、旅費条例第43条第1項については、運用通知が示されてはいるものの、その運用に当たりばらつきがみられた。

2 判断

 旅費条例第43条第1項では、各機関の長は、実費を超えることとなる部分の旅費の全部又は一部を支給しないことができるとされ、運用通知で例示された基準のほか旅行の実態に応じて旅費の調整を行い、日当の減額の有無や程度を判断することとなり、このことは、各機関の長に一定の裁量権が与えられていることを示すものである。

 広島市中環境事業所長は、日当の支給に当たって各職員が業務を実施するに伴う旅行の実態に応じて日当の減額の有無や程度を適切に判断しており、この判断はその裁量権の範囲内で行われたものであり恣意的なものとはいえない。

 したがって、広島市中環境事業所における日当の支給は、違法又は不当な公金の支出には当たらないと認められる。

 また、調査した所属において日当の支給に当たっての判断は様々であったが、一般に、日当の支給に係る判断は、旅費条例及び運用通知にのっとり旅行の実態を鑑みて行うものであることから、その日当の支給の運用実態が各所属で相違がみられるということのみをもって裁量権の濫用があるとはいえず、よって、違法又は不当な公金の支出とはいえないと認められる。

3 結論

 請求人の行った本件措置請求については、理由がないものであり、請求を棄却する。

 

第5 意見

 日当の支給については、その減額の運用に当たりばらつきがみられていたところ、市長においては、この度、令和4年4月1日から、近距離への旅行及び公用車による旅行に係る日当の見直しが行われた。

 現在、他の地方公共団体においても日当について広く見直しが進められており、市長においては、今後も引き続き日当の支給の運用について不断の見直しを行うとともに、国や他の地方公共団体における状況を注視しながら、市民の納得度の高い日当のあり方を検討されるよう望む。