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道路敷地取得について

ページ番号:0000276642 更新日:2022年5月6日更新 印刷ページ表示

広島市監査公表第14号

令和4年4月25日

 令和4年3月15日付け第1547号で受け付けた広島市職員に関する措置請求について、その監査結果を地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により、別紙のとおり公表する。

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       宮崎 誠克

同       森畠 秀治

別紙

広監第19号

令和4年4月25日

請求人
(略)

広島市監査委員 政氏 昭夫

同       井戸 陽子

同       宮崎 誠克

同       森畠 秀治

   広島市職員に関する措置請求に係る監査結果について(通知)

 令和4年3月15日付け第1547号で受け付けた広島市職員に関する措置請求(以下「本件措置請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第5項の規定により監査を行ったので、その結果を同項の規定により次のとおり通知する。

第1 請求の要旨

 請求の要旨は、請求書の記載内容から抜粋引用すると、大要は次のとおり。

  広島市長による道路敷地取得に関する措置請求

(1) 監査請求の概要

 広島市は、安佐南区沼田町大字阿戸において、すでに市道安佐南4区92号線として取得していた土地を、誤って11456番3の土地として買収し、不当・違法な税支出をしている。

 これは、広島市が市道安佐南4区92号線の財産管理を怠っていることによって、民有地として買収した用地の中に当該市道が含まれていることを理解していなかったために生じたものである。

 いまだ管理を怠る行為が続いているが、これから管理を怠ることをやめて正当な管理を行い、道路の位置を関係者にしっかり説明して境界の位置を変更し、道路敷地を回復するとともに、誤って過大に支払った代金を返納してもらうことで、適正化を図ることができる。

 本件は、現在進行形で管理を怠る事実が続いており、監査請求するものである。

 広島市は、道路の財産的価値が減少する事態を阻止する義務を負っているにもかかわらず、境界立会時に道路の範囲を主張せず道路の財産的価値の減少を阻止しなかった。道路管理台帳の記載や現地の状況から明らかであるにもかかわらず道路の範囲を主張しなかった行為(不作為)は、裁量権の範囲を逸脱しており、「怠る事実」に該当する。そして、このことは、事実を示して関係者に説明することで、今からその財産的価値を回復することができる。

 市道の土地である当該区域は、誤認されて占用された状態になっていたが、その境界は明確にされていなかった。広島市が新たな道路整備のため、民有地と道路区域との境界を確定する必要が生じたときに、当該土地所有者等の立会によって、道路敷地の一部も民地に含んで官民境界が決定された。このことに伴って、広島市は、自らの道路敷地も誤って民地として買収してしまった。これは、官民境界決定時に、道路管理者が道路管理を怠り、自ら管理する道路敷地の範囲を主張せずに官民境界を決めてしまったことから生じたもので、その結果、広島市の財産を消滅させ、かつ不当・違法な税支出をすることとなった。

 この道路の区域は、T字の交差点にあたり、かつて伐採木運搬車両の右左折(北に向かう車両の場合は左折)や方向転換、離合等のために膨らむ必要があって半円状に広くなっているところである。現地では、膨らんでいる部分の道路は民地とは高さが違っており、明確に道路の一部であることがわかる。この道路の広がりは、道路管理台帳においても形状と幅員が明示されている。

 道路の区域は道路管理台帳上も現地の形状からも明らかであるから、道路管理者は、実際の道路敷地の範囲を関係者に説明して、今からでも、官民境界の位置を変更し、誤って過大に支払った代金を返納してもらうことができる。

 管理を怠る行為がいまだ続いているが、管理を怠ることをやめ、これから正当な管理をすることで解決できる問題である。

 市道安佐南4区92号線の区域は、寄付により広島市が取得している。

 道路管理者は、寄付により取得した後も、所有権移転登記をすることなく、また、道路の境界を確定することなく、ずるずると管理を怠ってきた。

 その後、広島市は、新たな道路整備のため、民有地の境界を確定する必要が生じたことから、買収する土地及び隣接地(市道安佐南4区92号線の東側の隣接地のみ)の所有者(参加しなかった所有者もいる)を集めて現地立会し、買収土地との境界線(道路東側の官民境界線)のみ確定した。その境界を、「広島市証明線」と記載して法務局で手続きし、所有権移転登記がなされた。

 道路の区域は、道路を挟む両方の土地の所有者との現地立会によって、官民境界と道路区域が決定されるものであるが、広島市は、この時、道路の片方(東側)にかかる地権者しか招集せず、片方(東側)の境界のみ決めている。これは、「広島市証明線」が道路の東側の境界線にしか表示されていないことからも分かる。仮に、道路の西側境界の隣接民地の地権者が、境界線を、東側の道路境界線からわずか5cmしか離れていないところであると主張した場合、道路幅員はわずか5cmとなって、道路の機能を喪失することになり、境界を確定させることができない。おのずと、東側境界の位置を再協議する必要が生じ、東側及び西側の地権者と道路管理者が協議し、土地の物理的状況や社会常識としての妥当性等から判断して決定されることとなる。従って、道路の境界は、片方の境界線のみ決定することはできない。道路の東側の隣接地権者のみによって東側境界のみを決定し、西側境界は決定しないとしたやり方は間違っており、このこと自体も道路の管理を怠る事実を明確にあらわしている。

 当該箇所でのふくらみは、測量図である図面上に民地より低い平地(道路の区域)となっている。このことから、道路区域は、11456番3の境界とした広島市証明線の内側に至っていることが証明される。

(2) 請求の対象となる職員

 広島市長ほか市道の財産管理を担当する職員

(3) 損害の推定

 すでに取得済みの道路約50平方メートルの用地取得費(取得単価不明の為算定できない)

(4) 請求する措置

 広島市安佐南区沼田町大字阿戸11456番3を分筆し、寄附により所有権移転登記をするとしている市道部分については寄附とし、その他の部分については適正な価格での取得に改めることを求める。

(事実を証する事実証明書として次の書類が提出されているが、添付を省略する。)

【事実証明書1】 市道安佐南4区92号線の用地が寄附であることの分かる文書(回答4が該当)

【事実証明書2】

・ 大字阿戸11456-3の地積測量図

・ 市道安佐南4区92号線の道路台帳平面図(図面番号20-D及び20-E)

・ 道路台帳(調書)

・ 大字阿戸11456-3の地積測量図に道路管理図の線を重ねたもの(道路区域が膨らんでいるのが分かる)

・ 大字阿戸11456-3付近の道路の現況の分かる写真

【事実証明書3】 分筆登記図書 法務局で許可を得て撮影した図面

【事実証明書4】 公有財産の定義(地方自治法第238条)等

【事実証明書5】 事実証明が不足しているとして具体的に必要とする内容を提示して補正を求めた事例(大阪市ホームページより)

第2 請求の受理

 本件措置請求は、地方自治法第242条第1項の所定の要件を具備するものと認め、令和4年3月16日に、同月15日付けでこれを受理することを決定した。

第3 監査の実施

1 請求人による証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人からは証拠の提出はなく、陳述も行われなかった。

2 広島市長の意見書の提出及び陳述

 広島市長に対し、意見書及び関係書類等の提出を求めたところ、令和4年3月24日付け広安維第546号により意見書が提出された。なお、陳述は行われなかった。

 意見書の主な内容は、以下のとおりである。

(1) 本市の意見の趣旨

 請求人の主張には理由がないため、本件措置請求は棄却されるべきである。

(2) 本市の意見の理由

 本件措置請求者は、広島市が、市道安佐南4区92号線の財産管理を怠っていることによって、民有地として買収した用地の中に当該市道が含まれることを理解しておらず、すでに市道として取得している土地を、誤って買収し、不当、違法な税支出をしていると主張しているので、以下、この点について述べる。

ア 境界確認について

 本件措置請求者が指摘する11456番3の土地は、主要地方道広島湯来線道路整備(ルート変更前)を行うため取得した土地であり、この土地を取得するにあたり市道安佐南4区92号線との道路区域を確定する必要があった。

 市道安佐南4区92号線は、旧沼田町から引継を受けたもので、道路構造物が明確でない道路である。

 道路区域を確定するにあたり、当該市道及び隣接地には法務局備付の地積測量図等の資料は無かったが、平成24年9月4日に関係土地所有者との現地立会を行い、証言等を基に道路の区域(東側)を現地で確認し、協議が成立した後、同年12月に関係土地所有者が押印した境界確認書が本市へ提出されている。

 その後、この境界確認に基づき道路区域外となる民有地を道路用地として買収している。

イ まとめ

 以上のことから、市道安佐南4区92号線の敷地を、誤って買収し、不当、違法な税支出をしたものでないことから、本件措置請求には理由がない。

3 監査対象事項

 請求人は、市が主要地方道広島湯来線道路整備を行うため本件用地を取得した際、既に市道として取得していた土地の一部(以下「当該土地」という。)を民地と誤信して買収したが、これは、市が市道の財産管理を怠り、買収した本件用地の中に既存市道の一部である当該土地が含まれていることを理解していなかったために生じたものであり、今後、境界の位置を変更し、道路敷地を回復するとともに、誤って過大に支払った代金を返納してもらうよう主張している。これは、本件用地の取得契約が無効であったことにより代金返還請求権(不当利得返還請求権)が市に生じたが、その不行使という状態にあるため、この財産(債権)の管理を怠る事実の是正を求める旨の主張であると認められる。

 このことから、本件用地の取得契約は、既に市有であった土地を含んでいたことにより一部無効であり、代金返還請求権(不当利得返還請求権)が発生するかについて監査する。

4 監査の実施内容

 請求人から提出された広島市職員措置請求書及び事実を証する書類、広島市長から提出された意見書のほか関係書類を確認するとともに、監査事務局職員による現地の確認及び関係職員への聴取りを行うなどして監査した。

第4 監査の結果

1 事実の確認

(1) 本件用地の取得経緯について

 本件用地は、主要地方道広島湯来線道路整備を行うために取得したものである。

 本件用地の取得に当たっては、公図等の図面の確認を行うとともに、本件用地に隣接する既存市道(市道安佐南4区92号線。以下単に「既存市道」という。)の管理者である市の担当者と本件用地の所有者との間で平成24年9月4日に境界確認が行われた。このときの調査記録票によると、本件用地と既存市道の境界は既存市道の中央から一定の距離をとった線を当該境界とすることで合意を得たとされており、調査記録票に添付された立会簿にも本件用地の所有者の署名が確認できる。

 本件用地の周辺の土地については、所有者から立会及び境界確認の協力が得られなかったことから、境界未確定となったものが数筆残ったものの、本件用地については境界未確定の部分がなく、平成29年12月1日付けで市と本件用地の所有者との間で取得契約が成立し、本件用地について市に所有権の移転登記が行われた。

(2) 本件用地に隣接する既存市道について

ア 認定状況について

 本件用地に隣接する既存市道は、安佐南区沼田町大字阿戸引地郷3434番地3地先を起点と、同町大字阿戸字日ノ浦1455番地1地先を終点とし、道路台帳上の総延長は1,281.94mである。

 昭和46年4月1日の旧安佐郡沼田町との合併の際、同町の町道天王原(てんのうばら)線及び林道穿ノ谷(うげのたに)線の一部が市道沼田区42号線として編入され、昭和62年3月31日には市道の再編に伴う一括廃止再認定で名称が現在の市道安佐南4区92号線へと変更された。

 なお、既存市道のうち本件用地に隣接する区間は、同町との合併前は同町の林道であった。

イ 道路台帳について

 同町が町道認定した際の道路台帳に係る図面が市に引き継がれていない。なお、現在の道路台帳平面図は昭和55年に撮影した航空写真を基に作成したものであり、権利関係を表すものではない。

ウ 現地の状況について

 既存市道の現況について、令和4年3月29日に監査事務局職員に現地を確認させたところ、本件用地に隣接する区間も含めて道路上に倒木が数か所あり、また、ところどころ石が露出し、道路として現に使用されているような状況は認められなかった。

 また、請求人が既存市道の一部であると主張している当該土地は、既存市道と同じ高さの平面となっており、当該土地の端から東側は高さ数十cmの上法となっているが、当該土地が既存市道の一部であると明らかに認識できるような境界石等は見当たらなかった。

2 判断

 本件用地の取得契約については、本件用地と既存市道の官民境界の確定に当たり、公図等の図面の確認や本件用地の所有者との立会など必要な手続が行われた上で境界を確定させたものであり、監査した限りにおいてこれを覆すに足る資料は見当たらなかったことから、本件用地の取得契約が無効であるとはいえず、よって当該契約が無効であることを前提とした代金返還請求権(不当利得返還請求権)が発生していると認めることはできない。

3 結論

 請求人の行った本件措置請求については、理由がないものであり、請求を棄却する。