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「平成18年度包括外部監査結果報告書」の概要について

ページ番号:0000003732 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

目次

  1. 外部監査の概要
  2. 監査実施の概要
  3. 監査結果の概要
  4. 監査意見の概要

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1.  外部監査の概要

(1) 外部監査の種類

 地方自治法第252条の37第1項及び第4項並びに広島市外部監査契約に基づく監査に関する条例第2条に基づく包括外部監査

(2) 選定した特定の事件(テーマ)

 開発事業特別会計、西風新都特別会計、用地先行取得特別会計に関する財務事務の執行について

(3) 外部監査実施期間

 平成18年7月20日から平成18年12月21日まで

 なお、平成18年4月1日から平成18年7月19日までは、事件の選定を行うとともに、補助者の選定を行った。

2.  監査実施の概要

 広島市特別会計条例では、23種類の特別会計が設置されている。
 このうち、開発事業特別会計、西風新都特別会計及び用地先行取得特別会計は、長期の事業期間を要する事業にかかるものであり、多数の土地を保有していると思われる。
 しかしながら、企業会計手法が導入されていないため、単年度の収支は公表されているものの、資産や負債の状況については必ずしも実態が十分に公表されているとは言い難いであろう。また広島市の財政事情を勘案すると、土地等の財産の取得、管理、処分等が合理的、かつ、適法にされているか、また効率的な運用がはかられているかという点について、検討する必要があると考える。
 また、広島市が開発事業特別会計を通じて行っている第三セクターへの支援について、その内容を検討することも有意義である。
 昨今、国の特別会計が問題とされているが、地方自治体においても、特別会計を収支のみならず資産や負債の状況と併せてその実態を検討することは、有用であると判断し、監査実施テーマとして選定した。

(1) 監査対象

  • ア 開発事業特別会計
    • (ア) 特別会計で所有する土地の利用状況、取得、賃貸及び売却に関する取引
    • (イ) 進行中の開発事業における土地の取得
    • (ウ) 第三セクターに対する資金の貸付け、損失補償
  • イ 西風新都特別会計
    • (ア) 土地の取得、売却、賃貸に関する取引
    • (イ) 遊休土地の管理状況
  • ウ 用地先行取得特別会計
    直轄国道用地先行取得事業、公共用地先行取得事業、都市開発資金事業における土地の先行取得及び再取得に関する取引

(2) 監査の視点

  • ア 土地の取得は法令、規則等に従い適正に行われているか。
  • イ 土地台帳等が整備され、土地の管理が適切に行われているか。
  • ウ 土地の貸付け、一時貸し等は合理性があり、かつ、適法になされているか。
  • エ 土地は効率的に利用されているか。遊休、未利用土地は適切に管理されているか。また、活用、転用あるいは売却が図られているか。
  • オ 土地の売却は適法になされているか。
  • カ 第三セクターに対する貸付け、損失補償等は必要かつ適法なものか。また、適正な手続に基づいているか。
  • キ 工事の発注、入札手続は適法になされているか。

3.  監査結果の概要

(1)  開発事業特別会計について

ア 西部開発事業

 西部浄化センター用地について

 (物件の概要)

 所在 西区扇二丁目 登記面積 156,850.49平方メートル

 「西部開発事業の未分譲地」については、5ページ及び6ページに一覧表及び位置図を掲げている。本物件は物件(9)である。また、現場写真及び上空からの写真は4ページに掲げている。
 本物件は、現在の西部浄化センター(下記平面図「東系」)に隣接しており、今後の下水道の整備に伴う、下水処理場の増設用地として、既に都市計画決定済みである。下水処理場の増設に合わせて、有償で順次下水道事業会計へ移管されている。また、「流通業務市街地の整備に関する法律」(以下「流市法」という。)による制限区域ではないため、用途の制限はない。
 本物件は西部開発事業の未分譲地の中で最も面積が広く(156,850.49平方メートル)、固定資産税評価相当額は約131億円である。資産価値は高いものの利用度は低く、多目的広場としてソフトボールなどの無償使用が多く、資産価値に見合った有効利用がなされていない典型的な例である。
 下水処理場の増設用地として順次、下水道事業会計へ移管されているが、すべてが下水道施設として、移管されるかどうか疑問である。現在、下水処理場の施設計画の見直しを行っているとのことであり、これを早急に行い、処理場用地の面積等を確定させるとともに、残余土地の利用若しくは売却を検討すべきである。

【平面図】

平面図

【写真1 入り口から見た写真】
入り口から見た写真

【写真2 上空から見た全景写真(右側の空地部分)】
上空から見た全景写真
(広島市西部浄化センターパンフレットより転載)

参考 西部開発事業の未分譲地一覧表

(臨海部)

No 所在地 地目 筆数 登記面積 土地利用区分
(1) 西区草津港一丁目、
扇二丁目
宅地 4 9,123.73平方メートル 流通関連加工業用地
(2) 西区草津港二丁目、
三丁目
宅地 3 31,151.78平方メートル 運輸関連施設用地
(3) 西区草津新町一丁目、
二丁目、草津浜町、
草津南一丁目
宅地 57 11,588.25平方メートル 戸建住宅用地
(4) 西区井口明神二丁目 宅地 1 2,733.15平方メートル 国道2号拡幅用地(代替地)
(5) 西区井口明神一丁目 宅地 5 1,351.25平方メートル 国道2号拡幅用地(代替地)
(6) 西区草津新町一丁目 宅地 1 11,295.98平方メートル 中高層住宅用地
(7) 西区庚午南一丁目 宅地 2 2,451.04平方メートル 一部南道路側道予定地
(8) 西区井口明神一丁目 宅地 1 1,521.98平方メートル 教育施設等用地(保育所用地)
(9) 西区扇二丁目 宅地 3 156,850.49平方メートル 西部浄化センター用地
(10) 西区商工センター
八丁目
宅地、
雑種地
6 2,529.47平方メートル 公共広場(井口漁港)、
一部は胸壁用地として県に
貸し付け中
(11) 西区草津新町一丁目 宅地 1 4,042.93平方メートル ミクシスビル敷地
(12) 西区草津南一丁目 宅地 1 2,119.58平方メートル 漁民会館(草津南集会所)敷地

(山地部)

No 所在地 地目 筆数 登記面積 土地利用区分
(13) 西区鈴が峰町 宅地 2 6,710.37平方メートル 鈴が峰駐車場として使用中
(14) 宅地 2 2,789.11平方メートル 未利用地
(15) 宅地 1 506.39平方メートル 児童館敷地

参考 西部開発事業の未分譲地位置図


西部開発事業の未分譲地位置図

4.  監査意見の概要

(1)   開発事業特別会計

 物件番号は前掲「参考 西部開発事業の未分譲地一覧表」の番号である。

ア 物件(1)(2)について

 (物件(1)の概要)
 流通関連加工業用地
 所在    西区扇二丁目ほか 登記面積9,123.73平方メートル
 固定資産税評価相当額 926百万円
 (物件(2)の概要)
 運輸関連施設用地
 所在地 西区草津港二丁目、三丁目 登記面積31,151.78平方メートル
 固定資産税評価相当額 2,917百万円
 この2物件で固定資産税評価相当額は約38億円になるが、一時貸し程度の利用にとどまっている。
 いずれも流市法によって、卸売業並びに卸売に関連する流通業などに用途が制限されており、やむを得ない点もあるが、流市法の趣旨は、都市部において交通渋滞等による流通機能の低下を予測して、流通機能の向上及び道路交通の円滑化を図ることと考えられるが、例えば、流通業務地区においては、流通業務地区の機能を害するおそれがないと認めた場合、又は公益上やむを得ないと認めた場合には市長権限により施設の建設等を個別に許可できることになっている。流通業務地区については、この規定を利用して、利用方針を再検討すべきである。

イ 物件(3)について

 (物件(3)の概要)
 戸建住宅用地
 所在地 西区草津新町一丁目ほか 登記面積11,588.25平方メートル
 一部分譲中であり、平成15年度5件、平成16年度3件、平成17年度9件の分譲実績がある。不動産市況が回復しつつある中で、早期の完売を目指すべきと考える。

ウ 物件(6)について

 (物件(6)の概要)
 中高層住宅用地
 所在地 西区草津新町一丁目 登記面積 11,295.98平方メートル
 固定資産税評価相当額 990百万円
 現在、その一部は3か月更新の月極駐車場として、その他の部分は一時貸付けとして利用されている。
 広島市は本物件のうち9,193.5平方メートルについて、以下の条件で平成18年12月1日に分譲公告を行った。
 参考価格 約9億6,600万円
 販売方法 一般競争入札(入札日 平成19年1月15日)
 指定用途 公益的施設(教育、医療、社会福祉施設など)
 用途を公益的施設に限定しているのは、法令上の制約ではなく、中小企業大学校等の教育施設があることから、調和を考えてのことである。買い手が見つからない場合は限定を解除する可能性もある。(広島市説明)
  意見として、中高層住宅を建てるしか有効利用法はないであろう。場所的に見て、早期の売却が可能と考える。

エ 物件(8)について

 (物件(8)の概要)
 所在地 西区井口明神一丁目 登記面積 1,521.98平方メートル
 固定資産税評価相当額    249百万円
 元々、保育所用地を予定していたが、現在では公立保育所を設ける計画はない。広島市として有効な利用方針を出すべきであろう。
 JR及び広島電鉄の駅に近く、アルパークの北側に位置するという好立地の土地であり、いつでも売却可能である。有効な利用方針が見つからなければ、広島市全体の財政事情を考慮すると、早期の処分が相当であると考える。

オ 物件(14)について

 (物件(14)の概要)
 所在地 西区鈴が峰町 登記面積 2,789.11平方メートル
 固定資産税評価相当額 189百万円
 この用地は現在更地である。さきごろ財団法人広島市都市整備公社が月極駐車場の需要調査を行ったところ、その需要は旺盛ではなく、地元の社会福祉協議会から多目的広場及び時間極駐車場として使用したいとの要望を受けている。
 公有財産について地域住民の意見を先ず聞くことは、行政として当然であり、有用な案が出れば、これを最大限尊重するのも当然であろうが、多目的広場と時間極駐車場というのは、実は利用方法がないに等しい。
 現状で有効な利用法を検討する→利用法が見つからなければ、売却先を探す→売却先が見つからない→売却先が現れるまで、広場なり時間極駐車場として利用するという道筋が本来であると考える。
 当初予定の保育所としての需要もなく、月極駐車場の需要も旺盛でない。いわば、現状では使い道がない土地であれば、次に処分を考えるのが、当然ではないかと考える。

カ   西部開発事業の未分譲地の利用について

 広島市は、土地開発公社長期保有地について、検討会議を設置し、その方針を検討してきた。西部開発事業の未分譲地は公社所有の土地と異なり、開発により取得したため取得価額が低くいわゆる地価下落による含み損失を抱えているわけではない。
 しかし、その利用状況は資産の価値を十分生かした運用とは言えず、有効に利用されているとはいい難い。また開発に伴う法令等の制約もあり、その利用について消極的対応に終始していたことも事実である。
 現在広島市の財政状況は一時の危機的状況は脱しつつあるとはいえ、今後見込まれる都市再開発事業等に多額の資金を必要としているため、資産はできるだけ資金化して、新規の投資へ振り向けていくのが望ましい。
 西部開発事業の未分譲地について、担当部署の枠を超えて、広島市としての有効活用あるいは処分方針を検討することが必要と考える。

キ   代替予定地の問題

 代替予定地とされながら、実態は必ずしもそうではなく、代替案件もないまま時間が経過している物件がある。事業用代替地の需要についての調査を広島市全体で行うことが望まれる。現在は各所管課で管理している土地の一部をそれぞれの会計で事業用代替地として保有し続けている。積極的に未利用地の処分を図る必要がありながら、事業用代替地については未利用地としての認識に欠けている。一か所で公共事業の進捗状況の把握と事業用代替地の需要予測を行い、それらの情報を特定部署で一元管理すべきであると考える。

ク   安佐地区開発事業について

 安佐地区開発事業は、工業団地整備事業として平成元年度から用地取得を開始し、平成9年度までに広島市が田畑8.3万平方メートル、広島市土地開発公社が山林61.5万平方メートルの取得を行ったが、平成10年4月に計画の繰延べを決定し、平成18年3月に「土地開発公社長期保有地の取扱方針に関する検討会議」で「安佐・市民の森創生事業」(以下「市民の森構想」という。)として利活用する方針を決定した。
 当該開発事業に投じられた資金は、開発事業特別会計が42億円、広島市土地開発公社が36億円(開発事業特別会計より同額を無利息で貸付け)になる。このほか、一般会計から支出された周辺インフラ整備として28億円が投じられたので、合計106億円が支出されている。
 しかしながら、その支出効果は全く生かされていない。
 広島市が計画している「市民の森」構想については、既に広島市安芸区阿戸町に「里山あーと村」という施設があり、牛ヶ谷市有林(約280ha)の一部とふもとの棚田を市民の森として提供している。果たして同様の施設が2か所も必要なのか疑問である。
 最初に「市民の森」構想があり、市有林の中からそれにふさわしい場所として選択したというわけではない。安佐の「市民の森」構想は事業計画がなければ広島市土地開発公社からの土地取得ができないため、事業構想を策定したものと考えられる。
 広島市の構想は、なるべく地域住民の協力を得てボランティアなどの参加者の活動を支援する方針であるが、いかにボランティア中心とはいえ、道路整備、駐車場、広場、衛生施設などのハードの整備はもとより、事業を継続的に実施するためには市民、ボランティア団体等をまとめる役目は広島市が担わざるを得ない。どれをとっても追加の支出が必要であるため、最低限の維持管理のみを行い、現状のまま自然山林で残すことも考えられる。

ケ 広島地下街開発株式会社に対する支援について

コ 広島駅南口開発株式会社に対する支援について

 両社ともに、平成17年度に経営改善スキームが策定され、広島市及び金融機関等から金融支援を含む経営支援が行われている。この詳細については、監査結果として指摘すべき事項はなく、本概要版では記載を省略する。
 意見としては、両社ともに、今後さらに経営内容の市民へのわかりやすい開示の充実が必要であるということである。
 なお、総務省の「第三セクターに関する指針」(総務省自治財政局長平成15年12月12日改定)においては、「地方公共団体は、公的支援の内容及び当該地方公共団体の出資比率が二分の一以上である第三セクター等の経営状況等について、インターネット等も活用し、地域住民に分かりやすく公開するよう努める必要があること」を情報公開様式例を示して要請している。

サ   土地の貸付けについて

 (貸付料の算定基準の変更について)
 広島市財産条例第9条では「普通財産及び物品の交換価額、譲渡価額及び貸付料の額は、適正な時価により評定した額をもつて定めなければならない」とされている。
 何をもって適正な時価とするかは解釈に幅のあるところであり、実務的には、他都市では、相続税評価額、固定資産税評価額いずれも用いられている。
 広島市は、平成17年4月1日から、土地の貸付料の算定基準を従来の相続税評価額に100分の4を乗ずる方法から、固定資産税評価額に100分の4を乗ずる方法に変更している。
 変更の理由として次のような説明がされている。
 「相続税課税標準額の算定にあたって、相続税評価の補正率ではなく固定資産税評価の補正率を使用することとしており不適切である等の監査指摘があったこと、また、複数の通知があるため、事務処理に誤りが生じやすい状況になっていることから、これらの問題を改善するために改正を行うものである。」
 管財課に質問したところ、相続税評価に比べて、固定資産税評価の方が広島市としては簡便で、誤りが生じにくいということであった。事務の簡素化自体は結構であるが、それは広島市内部の事務処理上の話であり、基準を変更する理由として不十分ではないかと考える。
 広島市は不動産鑑定士に改定後の基準について意見を求め、貸付料の相場として妥当であるとの見解を得ているが、さらに改定前基準と改定後基準のどちらが貸付料の水準としてより妥当であるかの見解を求めるべきであったと考える。

(2)   西風新都特別会計について

ア 西風新都における負担事業宅地の取得について

 広島市は、「広島西部丘陵都市の根幹的都市基盤施設整備に係る開発者負担要綱」(以下「負担要綱」という。)を制定し、西風新都における「計画開発地区」及び「開発保留地区」の開発事業者から広島市が行う根幹的な都市基盤施設の整備によって増進する開発利益(以下「増進利益」という。)の一部を公共へ還元させる制度を採用している。
 この制度により無償取得した宅地(負担事業宅地)を販売あるいは貸付けして西風新都特別会計の収入としている。
 現在の地価動向は底を打ったといえるものの今後大きく上昇することは考えにくい。未着工の区域においては、現在の地価で推移する限りにおいては、造成費を抑えなければ、そもそも最初から造成費用充当のための保留地面積が可処分宅地面積を上回り、換地面積自体がマイナスになる可能性がある。現行の負担要綱は、かかる事態を想定していない点で、見直しが必要である。
 増進利益を根幹的都市基盤施設の整備による地価上昇効果と定義する限り、地価上昇の程度によってその額は変わってくる。今後の開発においては、平成元年時点で算定した増進利益をそのまま採用するのは現実的ではないと思われる。増進利益の見直しも必要と思われる。

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電話:082-504-2533/Fax:082-504-2338
メールアドレス:kansa@city.hiroshima.lg.jp

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