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2015年06月08日記者会見「平成27年第3回市議会定例会提出案件について外1件」
動画は下記からご覧ください。
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市からの発表案件
- 【平成27年第3回市議会定例会提出案件について】
- 【アストラムライン延伸の事業化について】
<会見録>
市からの発表案件
平成27年第3回市議会定例会提出案件について
市長 本日、平成27年第3回広島市議会定例会を招集しました。開会は6月15日、月曜日です。
今議会に提出する議案は、一般会計補正予算案など13件です。
まず、補正予算についてですが、今回の補正予算の規模は、お手元の「平成27年度6月補正予算の概要」のとおりで、全会計で、24億6,025万7千円となっています。
それでは、今回の補正予算編成についての基本的な考え方を説明します。
本年度の当初予算は、義務的経費や継続事業に係る経費を中心に、骨格予算として編成しました。
今回の補正予算編成に当たっては、これまで進めてきた「活力とにぎわい」、「ワーク・ライフ・バランス」、「平和への思いの共有」という三つの要素を柱としたまちづくりに加え、広島の都市構造を踏まえたまちづくりを展開していきたいと考え、そのための新規事業と拡充事業を中心に編成しました。
以下、主な内容について、説明します。
始めに、三つの要素を柱としたまちづくりの充実強化に向けた取り組みです。
第一の柱である「活力とにぎわい」について、1点目は、都市機能の充実強化を取り上げています。
集約型都市構造の実現に向け、居住機能や福祉・医療・商業等の都市機能を誘導するための施策等を定めた立地適正化計画を策定するための基礎調査を行います。
次に、西広島駅北口地区について、土地区画整理事業の実現に向けた詳細な検討などを行います。
地域主体の乗合タクシーの運行について、収支不足に対する地域の負担を軽減するための補助を行います。
自転車都市づくりの推進については、公共の用に供する駐輪場を整備する者に対する補助を拡充します。
また、建築物における駐車施設の附置等に関する条例の改正に向けて駐車場利用実態調査等を行い、自転車等の放置の防止に関する条例の改正に向けた検討を行います。
2点目は、産業の振興についてです。
ふるさと納税をしていただいた方に寄附への謝意をより具体的に表すとともに、広島ならではの特産品の知名度を向上させ、本市のイメージアップを図るため、1万円以上の寄附者に対して本市の特産品を贈呈する事業を実施します。
次に、農林水産業の振興については、高度な技術を生かし、生産性の高い都市型農業の生産体制を継続していくため、農業経営に意欲のある後継者に対して、農業継承初期における給付金の支給など本市独自の支援を行います。
また、クロダイの新たな活用策を確立するため、クロダイを原材料とする商品開発を行う事業者に対する補助を行います。
3点目は、観光の振興についてです。
安佐動物公園の活性化を図るため、スマートフォンアプリの導入による園内の案内や動物解説などの情報発信力の強化に取り組むほか、宮島水族館と連携した広報活動などを行います。
また、来広者への「おもてなし」を図るために、広島港五日市地区に、大型旅客船入港時の乗船客の受入れ対応機能を備えた港湾倉庫を広島県と共同で整備します。
さらに、本市、広島大学及び広島観光コンベンションビューローの3者で、コンベンションの誘致・開催のための連携・協力に関する協定を締結し、その取り組みの一環として、MICE(マイス)の推進に関するシンポジウムを開催します。
次に、第二の柱である「ワーク・ライフ・バランス」についてです。
1点目は、雇用の促進についてです。
出産等により離職した女性の再就職を促進するために、地元中小企業を対象に、女性が働きやすい職場環境づくりに必要なコンサルティング等の支援を行うモデル事業を実施します。
また、障害者の雇用の促進と生活の向上を図るため、障害者を多く雇用する事業所等をモデル事業所として認定するとともに、その中でも模範となる優良事業所を顕彰します。
2点目は、保健・医療・福祉の充実についてです。
まず、健康寿命の延伸に向けた取り組みについては、国民健康保険の被保険者の健康状態や医療機関への受診状況などの情報を把握・分析し、効果的かつ効率的に保健事業を実施するため、データヘルス計画を策定します。
次に、地域福祉の充実については、民生委員・児童委員の負担を軽減し、担い手の確保を図るため、民生委員・児童委員補助員を配置するなど、活動しやすい仕組みづくりに取り組みます。
さらに、高齢者が安心して暮らせる社会の形成については、誰もが介護予防に取り組むことのできる地域づくりを進めるために、地域に開かれ住民が主体となって運営する介護予防拠点の開設に向けた支援等を行います。
また、様々な地域団体等が連携しながら、地域全体で高齢者を支え合う仕組みを構築するためのモデル事業について、実施地域の拡大を図ります。
被爆者援護の充実については、広島赤十字・原爆病院6号館の改修に係る経費に対し、広島県と共同で補助を行います。
3点目は、未来を担う子どもの育成についてです。
子どもが健やかに育つ環境づくりについては、放課後児童クラブの待機児童の解消を図るため、学校の余裕教室の利用やプレハブの設置によりクラスを増設するとともに、民間事業者に対しクラブ運営費等の補助を行います。
また、狭あい化・老朽化している児童相談所及びこども療育センターの建替えに向けて、基本計画を策定します。
安心して子どもを生み育てることのできる環境づくりについては、妊産婦の産前・産後サポートや産婦の産後ケアを行う妊娠・出産包括支援事業に取り組むとともに、産後ケアを実施するための施設整備費を補助します。
また、地域団体が主体となって運営している子育てオープンスペースについて、参加者の傷害保険料を負担することにより、親子が安心して参加できるよう支援します。
このほか、外国人学校の児童生徒の社会参加を促進するとともに、市立学校における国際理解教育を推進するため、外国人学校に対し、市立学校や地域住民との文化・スポーツ等を通じた交流事業に要する経費を補助します。
4点目は、安全・安心に暮らせる生活環境の整備についてです。
子育てや介護などの支え合いを促進するとともに、地域コミュニティの次世代の担い手の確保を図るために、三世代での同居・近居を始める子育て世帯の住替えを支援します。
災害に強く安心して生活できるまちづくりについては、災害時の被害情報や雨量等の各種防災情報の収集・共有機能、避難勧告等の支援機能などを備えた防災情報共有システムを構築します。
また、土砂災害特別警戒区域内に存する既存不適格住宅等の区域外への移転に要する経費を補助するとともに、同区域内の住宅等について、外壁の強化など土砂災害に対して安全な構造にするための改修に要する経費を補助します。
さらに、消防力強化のため、西風新都に消防出張所を新設するとともに、災害現場と同様の環境で各種災害訓練が可能な消防訓練施設を整備します。
また、機器の老朽化等に対応するため、消防通信指令管制システムの更新整備に着手するとともに、消防団員の確保など消防団の活性化に取り組みます。
このほか、津波による浸水が想定される範囲内の各地点において、標識柱などの道路施設等に海抜を表示します。
生活環境への優しさが行き届いたまちづくりについては、ごみ収集か所のステーション化の推進、ごみステーションの適正な維持管理、道路上のごみボックスの改善を図るため、地域コミュニティ主体の取り組みを支援します。
また、家庭からの温室効果ガス排出抑制を図るため、家庭用燃料電池の設置費用を補助します。
さらに、老朽空き家の所有者に対する適正管理の指導や除却支援など、今後の総合的な空き家対策の検討に向け、現状を把握するための実態調査を行います。
このほか、広島高速5号線のトンネル中間部付近への階段式避難口の整備にあわせ、周辺道路の線形改良や拡幅を行います。
また、遺骨を共同で埋蔵し、永代にわたって管理する新しい形態の市民合葬墓を高天原墓園に整備します。
第三の柱は、「平和への思いの共有」についてです。
国際電気通信連合が主催する国際会議「WTIS2015」が、日本で初めて本市において開催される機会を捉え、参加する約80か国の政府高官に平和への思いを共有してもらうとともに、新たな交流の創出を図る取り組みを広島県と共同で実施します。
また、原爆ドームの保存整備について、耐震対策のための補強工事を行うとともに、引き続き、保存技術指導委員会を開催し、専門的見地からの意見を聴取します。
次に、広島の都市構造を踏まえたまちづくりを展開していくための取り組みについてです。
まず、デルタ市街地でのまちづくりについてです。
楕円形の都心における回遊性の向上とにぎわいの創出に向けて、「広島駅周辺地区の歩行者ネットワーク整備計画」及び「紙屋町・八丁堀地区の歩行環境整備計画」、両地区をつなぐ「西国街道を軸としたにぎわいづくり計画」の基本方針を取りまとめるとともに、袋町裏通りの歩車共存道路の整備に向けた実態調査等を行います。
また、都心活性化プランの策定に向けたシンポジウムの開催や都市計画制度を活用した都心部の活性化の検討などに広島県と連携して取り組みます。
次に、デルタ周辺部でのまちづくりについてです。
1点目は、昨年8月20日の豪雨災害からの復興についてです。
被災者が安心して将来設計できる環境を整えるため、自宅の再建等を予定している方に対して、仮住宅として提供している民間賃貸住宅等の入居期間を延長するとともに、被災者の生活再建を支援するため、専門家による相談会を実施します。
また、被災した地域の早期復興と安全・安心なまちづくりを着実に推進するため、地域が主体となって取り組むまちづくりプランの作成を支援するとともに、復興まちづくりビジョンに定める道路や河川の整備に取り組みます。
2点目は、住宅団地の活性化の推進についてです。
住宅団地活性化プランの作成や空き家等を活用した住民間の交流拠点づくりなど、地域団体が自主的・継続的に行う住宅団地の活性化に資する取り組みを支援します。
また、住宅団地において、空き家を活用して子育て世帯の住替えを促進するための取り組みを行う場合に、空き家のリフォーム費や家賃に対する補助を行います。
さらに、地域住民が団地の現状を把握しやすくするため、ひろしま地図ナビに地域の統計情報等を追加するとともに、活性化施策の効果検証等を行うための住宅団地活性化推進協議会を開催します。
次に、中山間地・島しょ部でのまちづくりについてです。
中山間地の活性化を図るため、中小企業による雇用確保の取り組みや、湯来地区の中小企業グループが共同して行う地域活性化等の取り組みへの支援を行います。
また、地域おこし協力隊を活用し、南区似島においてその魅力や特性を活かした交流活動の一層の促進と地域コミュニティの再生を図るとともに、安佐北区小河内地区において小学校跡施設を拠点として地域の活性化に取り組みます。
以上が、補正予算の概要です。
次に、予算以外の議案としては、「広島市区の設置等に関する条例及び広島市水道事業の設置等に関する条例の一部改正案」など条例案6件、その他の議案3件を提出しております。
そのうち、市長等の給与の特例に関する条例の制定について説明いたします。
本市における行政改革を推進する一環として、平成27年7月から平成31年3月までの間、市長、副市長、教育長及び代表監査委員の給料月額の5%を減額します。
以上が今議会に提出する議案の概要です。
最後に、追加提出予定案件について説明します。
副市長の選任の同意についてです。
6月30日で、荒本副市長の任期が満了となり、また、西藤副市長が退職いたします。このため、副市長2人の選任同意議案を提出したいと考えています。
私からの説明は以上です。
記者 予算のこと全体についてお聞きしますが、これまで三本の柱(「活力とにぎわい」「ワーク・ライフ・バランス」「平和への思いの共有」)を立てて政策展開されていて、今回、都市構造を踏まえたまちづくりということで、もう一つの柱を追加されたという(ことになる)のか、どう考えるのか、都市構造を踏まえたまちづくりというものをセットして予算を組み立てたのには、市長のどういう思いがあるんでしょうか。
市長 三本の柱というのは、一期目でも申し上げましたが、「活力とにぎわい」、「ワーク・ライフ・バランス」、そして「平和への思いの共有」という大きな三つの枠組みを設定して、さらに、それぞれの枠組みの中で施策の充実・強化を図るということを第二期目でやれればという考えがベースになっています。そんな中で、都市構造の充実・強化といいますか、これはやはり「活力とにぎわい」という範疇にもありますし、こういったことをしっかりやることで、それぞれの市民の生活、「ワーク・ライフ・バランス」にも好影響が出てくるでしょうし、そういった構造をしっかりすることで、広島の平和の思いを発信する上でも、ベースができるという意味になると思います。そういう意味では、基本は「活力とにぎわい」というところにしておきながら、こういった構造をしっかりするという考え方を打ち出すことで、他の二つの柱にもいい関係を持たせながら、市政を推進していきたいという判断です。
記者 活力・にぎわいというと、得てして中心部に目が行きがちでしたが、これからは周辺も底上げしていこうという狙いが二期目にはありますか。
市長 はい。それは、このまち自身を、「活力とにぎわい」ということで考えたときに、このまちの地勢学的な考察をしていきますと、デルタ部、周辺部、中山間地・島しょ部という三層構造に分けられていくと思いますが、これは全体として広島という都市ですので、それぞれの地域特性を活かしながら、バランスの取れた都市開発をやるといいますか、充実した施策を展開するという必要性があると思います。ですから、都心部、デルタ部での活力・にぎわいづくりと同時並行で、デルタ周辺部では、住宅団地を中心とする、そこにお住まいの方々に焦点を当てた都市づくり、さらには、中山間地・島しょ部では人口減少が著しい、あるいは衰退するというようなことが言われている中で、そこで定着する方々の生活環境をしっかり整える、それに力を注ごうとする中小企業群、あるいは、活力を生み出すために一生懸命取り組んでおられる地域特性をしっかり捉えて、そこへの支援を充実・強化するという、バランスの取れた都市づくりをするという方向を目指してやっているところです。
記者 追加提出予定の案件で、副市長選任の同意案ですが、西藤副市長は最終的には総務省に帰任されるという理解でよろしいですか。
市長 西藤氏の件に関しては、国の方から割愛させてほしいという話が、具体的には先週末にありましたので、総務省の事情も勘案して、私としてはそれを承諾するということで、今対応を考えているところです。
記者 後任はまた国から…。
市長 後任については、引き続き、「きちっとお願いしますよ」ということを申し入れて、今、調整に入っているところです。
記者 あと荒本副市長は任期満了ですが、選任同意案が出されるというのは再任なのか、それとも交代も含めて検討されているのか…。
市長 お二人の副市長にはしっかりやっていただきましたので、そういう意味では、二期目は新たな体制でやれればなと思っています。
記者 荒本さんは退任の方向だという理解でよろしいですか。
市長 はい。
アストラムライン延伸の事業化について
市長 アストラムラインの延伸計画については、この度、広域公園前駅からJR西広島駅までの延伸を事業化することとしました。その判断に至った経緯及び理由について説明します。
まず、資料の1ページ目をご覧ください。このアストラムラインの延伸計画というのは、平成11年に策定した「新たな公共交通体系づくりの基本計画」において、広域公園前駅からJR西広島駅までの区間を「新交通西風新都線」として位置付けて、概ね15年後の完成を目指すことになっておりました。
さらに、JR西広島駅から平和大通りなどを経由しJR広島駅までの区間を「新交通東西線」、本通駅から広大跡地付近までの区間を「新交通南北線」と位置付けて、JR西広島駅から白神社前交差点を経由し本通駅までの区間を第【2】期事業化区間とし、残る区間を第【3】期事業化区間としていました。
このうち、「新交通西風新都線」については、上位計画である平成13年1月策定の「広島市都市計画マスタープラン」や、平成21年10月策定の「第5次広島市基本計画」においても延伸計画を位置付けてきましたが、事業化に関しては、公共事業の見直しを行う中で先送りした経緯があり、現在もその状態が続いているということが基本になっています。
こうした中で、平成25年6月に、私の市政になってからですが、西風新都を本市のみならず広島広域都市圏や中四国地方をも牽引する活力ある都市にして、民間の投資意欲を喚起するよう西風新都都市づくりの全体計画を抜本的に改定して、アストラムラインの延伸を、西風新都のポテンシャルの飛躍的な向上が期待できるものとして、当該計画に位置付けました。
また、平成26年1月に広島高速交通(株)が経営改善計画を策定しましたが、この計画についてもアストラムラインの延伸が経営改善につながることを前提にしたものとなっておりました。
JR西広島駅までのアストラムライン延伸の事業化の検討は、こういったそれまでの経緯を十分踏まえた上で、平成11年の基本計画の策定当時とは間違いなく背景が大きく変わってきていることによる影響をしっかり再確認する必要があることから、利便性とコスト節約の両視点を立てながら構造等の見直しを行ってきました。
これまでの検討経過ですが、平成26年4月に、その時点の評価として、最も合理的である五月が丘団地、石内東開発地を経由して、己斐中央線の全線を通り、西広島駅に接続するルートや、単線構造を基本とすることなどを盛り込んだ「アストラムライン延伸事業の基本方針」を取りまとめたところで、この基本方針は資料1として別添に付けています。
2ページをご覧ください。この基本方針を取りまとめた後に、平成27年1月には、延伸事業の効果をより高めるための方策や、事業スケジュールなどを盛り込んだ「アストラムライン延伸事業の整備プログラム(案)」を取りまとめ、資料2として添付しています。
この整備プログラム案の概要ですが、建設費は総計で約570億円、そのうち市の負担額は約289億円を見込んでいます。その他、国等のいろいろな支援を使うということです。
そして、開業後30年間のインフラ外部の設備更新費は約106億円で、そのうち市が支援する額を約66億円と見込んでいます。
また、延伸効果をより高める方策として、段階整備による部分開業、近隣団地からの連絡通路の整備、フィーダーバスの運行などを検討していまして、これらを併せてやるといずれも効果があることが確認できました。
3ページをご覧ください。新交通東西線と南北線の取扱いについても検証を行いました。検証は、「新白島駅整備後のデルタ周辺の交通拠点から都心へのアクセス状況」、「事業費」、「第【2】期事業化区間の整備による他の交通機関への影響及びまちづくりとの整合性」といった視点からの検証を行いました。
これらの検証結果により得た考察として、第【2】期事業化区間については、西方面から都心への速達性を確保する上で有効ではありますが、既存の公共交通の大幅な見直しをしないといけないことから、現時点では計画を存続させるということにしますが、その事業化の判断は西風新都線整備後に、市の財政負担や西風新都の開発状況及びデルタ内の交通状況など、社会経済情勢を踏まえて、改めて検討することが適当であるとの考えに至りました。
さらに、第【3】期事業化区間については、新白島駅の整備などによって既に平成11年計画の目標値と同等の速達性が確保できていることから、この計画については廃止することが適切であるとの考えに至りました。
したがって、重ねて申し上げると、第【2】期事業化区間については、西風新都線整備後に改めて検討するという判断、第【3】期事業化区間については、この計画を廃止するという扱いとすることにしました。
4ページをご覧ください。今回、新たに検証した項目です。
1つ目は公共交通を中心とした環状の形成です。アストラムラインの延伸は、JR山陽本線と接続し、基幹公共交通の環状型ネットワークを形成することによって、西風新都の都市づくりの推進に大きく貢献するとともに、被爆70周年の取り組みの中で、まちづくりの戦略として位置付けられている公共交通を中心とした「四つの循環」の一つである「西風新都・デルタ間の循環」を形成するという考え方に合致する事業であると考えています。
2つ目は投資効果です。国土交通省のマニュアルに基づく費用便益比を算出しました。その結果、新交通西風新都線は1.3,親道路となる都市計画道路己斐中央線は1.2となり、延伸事業の投資効果が認められることを確認しました。
3つ目は、財政的観点からの事業化の見通しです。グラフに示しているように、現在進行中の都市開発や交通基盤整備に係る大規模プロジェクトについては、今年度は約170億円を投資していますが、今後順次完成していくことに伴い平成30年代半ばには100億円以上減少し、平成40年代初頭にはほとんど完了するという事業展開です。
アストラムライン延伸事業の本格化を平成30年代半ばから平成40年代初頭の間に予定することにすれば、全体事業費を年平均すると約60億円となりますが、この期間内に、この事業費を確保することは可能という判断ができます。この大前提は、今と同じように年度当たりの大型プロジェクトに関わる予算規模170億円程度が今後も確保できるような財政状況があればその枠の中に十分入るということです。
4つ目は、アストラムラインを運営する広島高速交通(株)の経営への影響です。「新交通西風新都線」の開業により営業利益が見込まれることから、借入金の早期償還に貢献するなど、同社への好影響が期待できます。今のアストラムラインは、広域公園前駅までの、環状線ができていない中で営業努力をしながら、その中で借金返済に充てていますが、環状線を造ることでより利便性の高い公共交通システムになれば地域の利用者も増える。そうすると営業利益が上がる。借入金の早期償還も可能になる。もともと事業計画というのが環状線を造るということを前提にスタートしているものですから、当初の計画・モデルに近づく中で好影響が出てくるということを期待しているものです。
5ページをご覧ください。以上、これまでの検討結果を踏まえた「結論」です。
「延伸事業の基本方針」で取りまとめた延伸ルートや構造等については、開発動向や利用者の推計結果などの前提条件を大幅に変更する状況変化は起こっていません。そういう意味では妥当性があるということです。
また、「整備プログラム(案)」で取りまとめた延伸効果をより高めるための方策により、更なる利用者増などを期待することが可能です。
さらに、「公共交通を中心とした循環の形成に資すること」や、「延伸事業に係る投資効果が見込めること」、「本市財政面からの事業化の見通しが立つこと」、「広島高速交通(株)の経営に好影響を与えること」などが改めて確認できたところです。
以上のことから、「新交通西風新都線」を事業化することとしたものです。
今後、「新交通西風新都線」の事業着手に向けて、必要な調査・設計、法手続き等に取りかかり、平成30年代初頭の事業着手、平成40年代初頭の全線開通を目指します。
また、「新交通東西線及び南北線」について検証した結果、第【2】期事業化区間は計画を存続させ、その事業化の判断は、「新交通西風新都線」整備後に改めて検討すること、第【3】期事業化区間については、計画を廃止することとします。
以上で「アストラムライン延伸の事業化について」の説明を終わります。
記者 三点伺いたいんですが、新たにルートができることによって利便性が高まることは間違いないとは思うんですが、利用の見込みのところで、延伸後は1万5千人と見込まれていらっしゃると思うんですが、既存の区間について言うと、もともと6万9千人と想定されていて、現在一番多くて5万4千人です。見込みそのものの信憑性というか、大丈夫なのかというのが、採算性にも関わると思うんですが、その見込みについてと、(二点目が)財政負担について伺いたいんですが、かなり大きな事業であると思うんですが、ここ(配付資料)に書いてなかったものでも車両の更新も新たにしないといけないと思うんですけど、それも今後20年間で200億円以上あったり、広島高速交通(株)そのものに累積損失もありますし、その辺の財政負担が本当に大丈夫なのかというところと、最後が単線、複線のことについて伺いたいんですが、【2】期工事のことにも絡むんですけど、今回の【2】期工事(について)、本通りまでの延伸で完全な循環型を見込んだ場合、複線で己斐まで下ろしておいた方がいいのではないかという意見もあったり、逆に単線で己斐までで止まるということはその先の延伸はもうないんじゃないのかというような指摘の声もあるんですが、その辺り三点伺いたいのですが。
市長 精緻には担当局長のほうが追加するか分かりませんが、利用見込みということに関しての私自身の受け止めは、当初のアスラムラインの計画が西風新都を10万人の都市にするという大きなモデルを立てて、そこに新しいレーンを通してその中での利用者をどれくらいにすると、その採算性をというモデルだったんです。
西風新都のモデルは、開発を進めていく中で10万人目標というのを下げまして、8万人に落としました。そしてその8万人モデルも具体的な今の進捗状況を加味して、第一義的に7万人台を当座狙ってやるという形で、計画に即しながら実際の進捗状況を加味した形で実践的な西風新都開発をやるという事業計画に組み直す中で改めてこの新交通アスラムラインを延伸するかどうかというふうに考えてきたところです。今回のいわゆる利用予定者数というのは都市のモデルを組み替えた中で、そして今までの交通の利用者等の実績、結果を踏まえた上でのあくまでもこれは見積もり、見込みですから、これでできれば採算性が十分確保できるものになるだろうというものです。ですからこれについては、どの場合も一緒ですけども、将来見込みですから、100%可能ですということは決して言える訳ではありませんけども、少なくとも営業をし始めてその実績を積む中での成果を踏まえて、そして新しい計画、事情を考慮しての数値ですから、議会等で初めて導入するときに計画を立てて、その計画と実績の乖離があるので今度はどうかというご質問に対しては、今申し上げたようにこれまでの運用実績とそれから全体計画の見直しの中で、より精度の高いものにし、そしてその中で採算性を取れるようにしていますということでお答えしてきていますし、ここでも同じような説明をしておきたいと思っています。それが一点です。
記者 2点目の財政の関係で、広島高速交通(株)の借金がある中での大型(投資)…。
市長 車両の方はどうですか。
道路交通局長 車両の更新費は、言われましたように200億円強ありますけども、これについては、健全化計画を昨年1月にアストラムラインが作っておりますけども、その中でしっかり見込んでおりまして、市の財政的支援も必要にはなりますけども、新白島がこの度開業した効果等々もございまして、その辺も見込んで、会社の経費の中でやっていく、市の負担も応分していくという必要がございますけども、考えております。
市長 少し分かりにくいかもしれませんが、これは先ほど言った会社の方が立てた今後の事業計画、運営計画がありまして、今の借金の返済方法についても利払いの来るものと来ないものの区分けをして相当融通しながら経営改善に向けての努力をしている、そんな中で、車両交換の来るタイミングまで可能な限りの経営改善努力をして、主体的な費用負担をやるという計画を立てていますので、まずそれに向けての展開をやる中で、車両交換に必要な経費というのは、個々で言うハードと言いますか、大型プロジェクトを執行するための予算枠とは違った形での予算捻出になりますけども、それは一般会計規模で言えば、市全体で6千億円ありますから、そんな中での様々な予算調整をする中で、一定の経費負担をするということで、調整可能だと思っています。
そして、この中での個別のハード事業ということで、先ほど言われた複線とか単線、それから【2】期目の事業の接続という問題ですけれども、今回の事業に関しても、費用対効果ということも考えながら、そして時間がかかると言いながらも可能な限り早いものにするというようなことも考えた中で、延伸について、複線ではなくて一本でも十分可能な状況じゃないかということで今、組んでおります。そして、その後の扱いについては先ほど申し上げたように、これが完了した後に、その時点で他の市内の公共交通の在り方については、別途様々な既存のものの組み合わせを通じながら利便性を高めるということをやっておりますので、それらの定着状況ともう一度絡めていけるかどうかをやれば、十分効果的な対策が打てるだろうという予見も得られましたので、進めたいということでした。
いずれの問題指摘についても、恐れと言いますか、可能性、いろんな意味でのご疑問もありましょうけれども、それら問題の処理、可能性を残しながら、今できる最大限の対応を、あるいは最善の対応をやるという方針でここに書き上げた事業化案を取り上げているとご理解いただきたいと思います。
記者 今回、予算は付けていらっしゃらないと思いますが、この事業化について6月議会で説明をされるのかということ、事業化で松井市長ご自身が一番期待していること、そして最後に、立ち退きが必要な住民も出てくると思いますが、今のところは何軒ほどと見込んでいて、そういった住民の皆さんにはどう説明していくのか、お願いします。
市長 今回取り上げましたのは、先ほどもありましたように、この事業化そのものについての今までの経過からしての見込みがどうなんだろうかと、しっかりしているんだろうかとか、アストラム新線というものの東西線、南北線までを含めた全体像はどうなるんだろうか、それが分からないのにやる、やらないの議論はないだろうということを今までずっと聞いていましたので、私としては全体構想をお示しするということの意義をまず捉えてほしいんです。
その議論を尽くした上で、必要となる予算を、次の早いチャンスに、議会にお諮りして付けていただく。そういう意味では、議会との対話を深めるための問題提起といいますか、自分の考え方をまずお示しして、十分議論を深めていただく。その中での調整の余地があるかどうかを議論した上で、実際の予算を付けていくという方法だと認識してください。
したがって、それを具体化していく上での、例えば、新線を引くときの住居の移転とかも出てくるでしょう。それらについても、十分な対応をするために、では路線がどうなるんでしょう、そのときの影響はどうなるんでしょうということも含めて、具体化していく次のステップのところでしっかり議論したいと思います。私自身は、市全体のマクロの環境として、こういう構想の中で物事を進めるということをまず頭に入れていただいた上で、そしてそれを達成していく上で、個々のところでの問題が生じますから、それを予見し、可能な限り、その問題を解消するための方法論も十分理解していただく、議論した上で必要な措置を講ずるということを市民の皆さんに分かっていただくようにするための手法だとご理解いただきたいと思います。
したがって、今すぐに、問題となる立ち退き住宅はどこにありますかというところまでは決め込んでおりません。だけど、地図を見ていただければ、自分たちの所に影響しそうだというのは、少なくとも関係者には分かるようになっています。そこで、そういったところを捉えて、全体のまちづくりのためのこういった事業と、ご自分の利害がどうなるかということで様々な意見が出てくるでしょうし、その構造をどう解決していくか、どんな対応が要るか、どんな措置が要るかということも、オープンで、前広に議論した上で対応するということをやりたいなと思っています。
記者 期待することは…。
市長 期待することは、もちろん今申し上げた、広島のまちの「活力とにぎわい」、そういったことに一番重点を置いていますが、ただその上で、そういったまちで暮らす方々の利便性の向上とか、西風新都というまちを今まで以上に住みよいまちにするという視点もあるでしょうし、それから、そこへのアクセス、都心部に住む方々の利便性の向上ということになるでしょう。そういう意味で、まち全体の利便性の向上のために、公共交通を中心とした循環を少なくとも市内には四つ用意してやっていくということを、自分なりの考え方として打ち出していますから、それを実現するための、大きな一歩を提案したということに私は意義があると思っています。
記者 6月議会でも説明はされますか。
市長 まず6月議会で、こういった形で、そういう気持ちを持っているということをお示ししますので、予算はついていませんが、当然6月議会でも議論の対象にしていただきたい。そこでしっかりした議論をする、それでこの話をして、必要な措置をしていくための予算を、それ以降の議会で計上していくというふうに考えています。
※ ( )は注釈を加えたものです。