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ページ番号:0000012996更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2014年05月22日記者会見「平和記念資料館の展示更新について」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

平和記念資料館の展示更新について

市長 平和記念資料館の展示更新について、ご説明いたします。

このたび、平和記念資料館の展示更新について、具体的な展示内容を皆様にイメージしやすくお示しできるような状況になりましたので、説明します。

被爆者が高齢化し、どのように被爆体験を継承していくかということが大きな課題となっている中で、原爆の非人道性や原爆被害の凄惨さなどをこれまで以上に伝えていくため、平成30年度の完成を目指して、平和記念資料館の本館・東館を合わせた常設展示の全面的な更新を行うことにします。

まず、現行の観覧動線では、被爆の実相を伝える本館の平均観覧時間が全体の4割の約19分という状況であることから、来館者が時間をかけて観覧できない場合でも被爆の実相に関する展示を十分観覧していただけるように観覧動線を変更します。

次に、更新後の展示構成については、観覧動線の変更と併せて、被爆の実相や核兵器の非人道性をより分かりやすく伝えていくという目標意識のもとに、常設展示の構成を四つの展示ゾーンに再編します。

一つ目が「導入展示」、二つ目が「被爆の実相」、三つ目が「核兵器の危険性」、四つ目として「広島の歩み」、この四つの展示ゾーンに再編します。これにより「被爆の実相」を中心的なものという位置付けができると考えています。

「被爆の実相」の展示内容については、基本計画に掲げた展示整備方針に基づき、被爆の事実をストレートに伝える実物資料の展示を重視するなど、原爆の非人道性、原爆被害の甚大さ・凄惨さ、被爆者や遺族の苦しみ・悲しみなどをこれまで以上に伝える展示内容になると思っています。

具体的な展示内容について、平和記念資料館長の方から、画像をお示ししながら説明しますのでご覧ください。

平和記念資料館長 資料館長の志賀です。私の方から具体的にご説明します。展示更新の説明に入る前に、現在の展示について、簡単に振り返ってみたいと思います。

東館から今、入っていただいています。1階では、被爆までの広島の歴史や原子爆弾の開発から投下までの経緯などを展示しています。

その後2階に上がっていただいて、(被爆後の広島の)復興の歩みをご覧いただきます。そのまま3階に上がっていただき、核兵器の現状や広島市の平和への取り組みなどを観覧していただきます。

さらに渡り廊下を渡っていただいて、本館に入っていただいて「被爆の実相」をご覧いただく、こういった展示です。現在の展示では、この本館は「熱線による被害」、「爆風による被害」、「放射線による被害」こういった、原子爆弾の物理的な破壊、脅威、被害を伝えています。観覧を終えると、平和記念公園に出る動線となっています。

先ほどお話が合ったように、この資料館全体の観覧時間は平均で45分です。そのうちこの本館の観覧時間は約19分、こういった調査結果が出ています。このあたりを何とかしなきゃいけない、こういうことです。

リニューアル後の展示がどうなるかということですが、まず観覧動線です。東館1階から入っていただいて、その南側に(新たに)作りますエスカレーターで、そのまま一気に3階まで上がっていただきます。この3階で「導入展示」をご覧いただいた後、そのまま渡り廊下を渡り本館に入っていただきます。この本館は先ほど申し上げたように「被爆の実相」を伝える施設、展示があります。

(本館の展示を見終わると)こんどはまた、渡り廊下を再度渡って東館に戻っていただきます。この時点で、渡り廊下の往復がありますので、渡り廊下を拡幅することとしています。

東館に戻っていただいた後(3階で)ご覧いただくのは「核兵器の危険性」、2階で、「広島の歩み」の展示をご覧いただいた後、1階に下りて退館となります。

それでは、観覧動線に従い、フロアごとに概要を説明していきます。

まず東館の入り口ですが、このエントランス部分、ここはフリー(無料)ゾーン、観覧料をお支払いいただかなくてもご覧いただける、利用していただくフリーゾーンにします。平和公園との親和性を高めるために、視線を遮る展示物は撤去します。ここは開放的な空間とします。

その思想に基づいて、カウンターもオープンカウンターにします。観覧される方はこちらで入館料をお支払いいただいて、一気に3階まで上がっていただきます。エスカレーターをご利用いただけない方は、エレベーターを使って3階に上がっていただきます。

3階では「導入展示」をご覧いただきます。「導入展示」の前半部分は「被爆前の広島」を展示します。例えばこういった戦前の広島を展示します。被爆前の写真です。

そこをご覧いただいた後次のコーナーに向かいます。「失われた人々の暮らし」です。こういうふうに、被爆後の(廃虚となった広島の)パノラマ写真を展示します。今写ったホワイトパノラマですが、これは爆心地を中心に半径2.5キロメートルの地形を白色の模型で表します。それに被爆当時の航空写真のデータを基に、被爆の前後をプロジェクターの映像で投影します。具体的にはこんなものになります。大きさは、本館のパノラマを少し小さくしたような大きさです。

このパノラマでは被爆の前後を、順を追って表現するわけですが、展示室の混雑状況に応じて運用できるよう、1分間のものと30秒間のもの、この二つを状況に応じて使い分けるようにしています。

これが被爆前の広島です。もう少し拡大します。これは中島町ですが、このようにカラーで表現して、路面電車や船の動きで、人の存在を感じとっていただく、そういうものにしています。

この後原爆の投下があります。この間に、きのこ雲の映像や効果音も使用するなどして、原爆の投下を実感していただきます。それから廃虚の映像を展開します。

これももう少し拡大します。これも中島町の画像ですが、基礎データとする航空写真と同様に、白黒での表現を想定しています。今まで申し上げたのが「導入展示」です。

ここを通り過ぎていただいて、本館の「被爆の実相」、こちらが当館の中心的な展示になりますが、まず前半部分、「8月6日のヒロシマ」のゾーンとしています。後半部分は「被爆者」という2つのゾーンを設けます。

まず「8月6日のヒロシマ」ですが、「8月6日の惨状」と「放射線による被害」というコーナーを設けます。さらに「被爆者」のゾーンでは、「魂の叫び」と「生きる」という2つのコーナーで構成します。

本館は、現在の展示では(展示室)全体を見通すことができませんが、このたびの更新ではできるだけ視野を遮るものを排除して、本館全体を見通せる展示に構成を切り替えます。

「8月6日の惨状」ですが、まず「原爆投下」「爆心地」「都市の壊滅と人の被害」「救護所の惨状」「混乱の中の救援・救護活動」こういった展示です。

このうち、「爆心地」「都市の壊滅と人の被害の展示」をCG(コンピューターグラフィック)でシミュレーションしたものをご覧いただきます。

今ご覧いただいたシミュレーションで使う写真ですが、いくつかピックアップしていますのでご覧いただきたいと思います。背景に使う廃虚の写真です。「市民が描いた原爆の絵」も展示します。それから次のコーナーですが、「救護所の惨状」です。「混乱の中の救援・救護活動」これで使う写真です。

次のコーナーですが、「放射線による被害」です。前のコーナー「8月6日の惨状」で来館者に原爆の熱線、爆風、放射線が複雑に絡み合い都市そのものを襲ったことをイメージしていただきましたが、その後、原爆被害の特徴である「放射線による被害」を伝えるため、「急性障害」「入市被爆」「黒い雨」の展示をします。

ここでも、できるだけ低いケースを用いて、資料を間近に見ることができるようにします。こういった写真、資料を使います。

続いて本館の後半部分、「被爆者」のゾーンですが、こちらで中心的なものは遺品です。1点1点の遺品と向き合っていただく、という展示が主になります。

資料と共に遺影を展示します。そうすることによって、一つ一つの遺品の背景にある被爆状況や、残された家族の思いを紹介し、一人一人の命の存在と重さを伝えます。

また、健康被害や家族を失った悲しみ、苦しみという心の傷など今日まで続く原爆被害の実態を被爆者の体験記なども紹介しながら展示します。

「魂の叫び」のコーナーでは「魂の叫び」「外国人被爆者」、今の展示ではこの外国人被爆者を特記したコーナーを作っていませんが、こういうコーナーを作ります。それから「市民が描いた原爆の絵」、この3つの内容を紹介します。

「魂の叫び」コーナーの立面図です。遺品や被爆資料を通して、亡くなった人や傷ついた人たちの叫びを伝える狙いを持っています。資料の大きさや形に合わせ、低いケースと大きなケースに使い分けて展示します。

「魂の叫び」に展示を予定している資料の一部を紹介します。資料と遺品です。「魂の叫び」のコーナーの最後に市民が描いた原爆の絵、つまり、あの惨状を実際にご覧いただいた方ご自身の手でお書きになった、それで資料館にお寄せいただいた原爆の絵を展示します。

さまざまな絵がありますが、総計5,000点に今達しています。そういった作品、絵を、テーマを設けながら随時更新して展示する計画です。この絵をご覧いただき、本館最後のコーナー「生きる」へ移っていただきます。これが今予定している原爆の絵です。数点あります。

最後のコーナー「生きる」では、「家族を失って」「後障害」「心の傷を抱えて」という3つの内容で構成します。コーナーのイメージです。こちらでは、こういった遺品や手記に寄り添い、被爆者の思いに向き合っていただきます。

「心の傷を抱えて」では手記を読んでいただきます。手記から抜粋した文章を展示すると同時に、タッチモニターを設置し、選択して読んでいただくことも可能にします。日本語と英語で表記します。今までご説明したのが本館の展示です。

本館の観覧後、東館に戻っていただきます。

また渡り廊下を渡っていただくわけですが、今度は「証言ビデオコーナー」を設けます。ここでは証言ビデオ等を放映します。現在ここはミュージアムショップが位置している場所です。レストスペースを設けると同時に、個別のビデオブースを設けます。

その後、移っていただくのが東館3階の展示エリアです。こちらでは「核兵器の危険性」というゾーンで三つ展示します。「原子爆弾の開発と投下」「原子爆弾の脅威」「核の時代から核廃絶へ向けて」という三つのコーナーです。

本館では人間的悲惨さ、あるいは被爆者の視点による展示という表現を使いますが、こちらでは科学的知見に基づき、例えば、広島と長崎に投下された爆弾の違いや熱線・爆風・放射線による被害について、模型や映像も用いて分かりやすく解説します。

また、ここでは、メディアテーブルという、今まで扱っていないタッチパネル式の大型の検索装置を設け、壁面の展示と関連する情報を見ることができるようにします。

そのメディアテーブルなるものですが、東館の3階と2階にも設置します。このような、かなり大きなタッチパネルです。できるだけ検索しやすいように、層の浅い構成にしますが、前後2列に並べ、手前に子ども用の一問一答式のボタンを設置します。できるだけ分かりやすく、かつ、深い内容でコンテンツ(中身)を構成するようにします。

最後のゾーン、東館2階は「広島の歩み」です。ここでは「戦時下の広島と戦争」「ヒロシマの復興、さまざまな支援」「平和な世界をつくる」という三つのコーナーを設けます。

例えば、「ヒロシマの復興、さまざまな支援」では、被爆直後の混乱から、平和記念都市建設法をなどにより進展した復興事業や被爆者援護施策などについて分かりやすく解説します。この階にもメディアテーブルを設置します。

これが各フロアの展示内容ですが、展示形式について少し説明します。ゾーンサインとコーナーパネルというのを設けますが、ゾーンサインというのは、ゾーン全体の説明をします。簡単に、かつ、コンパクトにまとめたタイトルを付けますが、これは日・英・中・ハングルの4カ国語で展示します。

その上で各コーナーの解説ですが、コーナーパネルによって説明します。これにも4カ国語で表記しますが、そのコーナーの展示内容を簡単に概観できるような展示にします。

実は今、観覧される方から苦情をいただいているのは、英語(の文字)が小さ過ぎる、見えづらいという意見をいただいていますので、日本語も英語も同じ大きさで表記します。

さらにタッチモニターを用意しまして、15カ国語、中国語やハングル、フランス語、ドイツ語など、現在も14カ国語を用意していますが、そういったモニターによって解説を選択でき、読めるようにします。このモニターを使って日本語の手話の映像も選択できるようにします。さらに視覚に障害をお持ちの方のために点字パネルも用意します。

ご覧いただいた後、最後に降りていくのが東館1階です。こちらは入館料をお支払いいただかなくても入っていただけるフリーゾーンにします。そこでは、従来地下の企画展示室で行っていた企画展示を設けます。さらに、インターネットにアクセスできるコーナー、あるいは今、対話ノートっていうのを設けていますが、こちらを書いていただくコーナーを設けます。

さらに現在、館内に入っていただかなければアクセスできないミュージアムショップを1階に設け、どなたでもご利用いただける、そういう構成にします。

このスケジュール、ご存知かと思いますが、既に東館は改修工事に取り掛かっています。この改修工事が終わる平成28年にリニューアルオープンします。

その後、本館の工事に着手して、グランドオープンが平成30年というスケジュールです。

説明は以上なんですが、一つ申し添えさせていただきます。こういう計画をしながら考えていたことが一つあります。今回のこの更新後の展示は、実際にあの日を体験された方がご覧になる最後の展示になると思います。そういう意味で、我々のこの展示(更新)というのは、今までに増して重要な仕事、作業になると思っていますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。以上で終わります。

記者 改めてということになるんですが、以前ジオラマについてのいろんな賛否があった中で、もう一度市長のお口から、なぜジオラマを撤去したいのかというのと、今後重視するところについてお伺いできないでしょうか。

市長 今、展示の内容をご説明しましたが、この内容については、多くの方の意見をいただきながら、有識者、被爆者の意見もいただいた検討会での結論を踏まえて、本当に、被爆の実相をリアルに伝えるためにということで、大幅な組み換えもしています。

それをやるということを前提にした上で、ジオラマ模型については、ありのままを伝えるという考え方の基にやるんだから、撤去とか、代替展示のほうがいいんじゃないかという流れの中で出てきた話で、今ご覧いただいてどうでしょうね、ジオラマ模型が無くても、実相が伝わるようなものになるんじゃないかという受け止めをしていただけるようになったのではないかと思います。ただ、今までの議論の過程の中で、ジオラマを何とか残してはというご意見もありましたので、その点については、今年の1月に検討会議の中で、被爆の再現人形の保存・活用ということもやろうじゃないかという意見になりまして、常設展示というところまでは、今の流れの中で無くてもいいんだけれど、企画展示、企画展等をやるときは、そういうものを使えるように保存しておこうというご意見をいただいておりますので、そういった対応の中で、引き続き上手く調整しながら、いろんな意見を加味しながら、被爆の実相を伝えるようにできたらなと考えております。

記者 昨年の7月頃にイメージが湧かないという声が多かったら、技術的な面で解決したいとかいうお話をされていたと思うのですが、それは今回ホワイトパノラマが該当するような形ですか。それとも、今回もう必要ないというか、必要ないというのも変ですけれど・・・

市長 今見ていただいたように、全体を通じて皆さんへの実相の伝え方が、今までと様変わりするんです。本館のところが、影響を与えた爆風とか熱線とか放射線というような、いわば分析的な展示方法になっていたのを全面的に変えまして、時の経過とともに、人々が経験した流れに沿って見ていただけるようにしました。

そこで、かつ、実写といいますか、写真とか皆さんが実際に手掛けられた、影響を受けた資料といいますか、そういうものが出てくるわけですから、そういった流れの中で、ジオラマ模型が本当に要るんだろうかということになったというように私も受け止めたんです。

そして、そういった現状を見る前後で広島のまちの変遷とか、マクロの視点での見方とか、それから勉強していただく時にも、時間をとってゆっくり見ていただく方、ある程度早めに通過したい方々の動線まで配慮するというさまざまな工夫がされていますので、全体でもう一回吟味していただければ、ジオラマ模型は絶対なくてはいけないというようにはならない、あったほうがいいなというくらいのご意見は有り得るんじゃないかなと受け止めながらやっています。

ただ、ある程度次の、グランドオープンした後の姿を私なりに身近で触れることができていたのでどうかなと思いながら、皆さんにはそういう丁寧な説明までできてなかったものですから、その辺をまず見ていただいて、という議論の仕方をしてまいりました。

今回、見ていただいた上で、ご判断いただければという再提案みたいなものです。

記者 以前の記者会見でも、今日はマスコミに公開はされましたが、一般の方には分かりにくいであろうから、説明の場を設けたいと言われていたんですが、その一般への周知というのはこれからどのようにされるおつもりですか。

市長 確かに工夫がいると思うんですよ。どうですかね、そういう場を設けるとかできますかね?

少なくとも、こういう形でうまく広報していただくのが一番効果的だと思うんですが、もう少し、しっかり問題意識を持っておられて、本当にどのようになるかをぜひ見たいという方がおられるようであれば、そういった方への詳しい説明をちょっと工夫してもいいかなと思いますけどね。

ちょっとまだ、今、具体的にどうこうするということは、すいません、思っていませんけど、いずれにしても自分が納得いくくらいの情報量を得てこのようになっていますから、どうなるかということを思っておられる方に同等の情報が行くような工夫はしたいと思います。

記者 動画もすごく分かりやすかったと思うのですが、これはネットで見られるというかそういうことはまだ考えてないですか。ホームページで見られるとか。

市長 いいかも分かりませんね。

平和記念資料館長 まだそこまで考えてないです。

市長 宿題ということで。皆さんにこういう形で見ていただいて、分かりやすいという評価をいただけるのであれば、それを多くの方に実感してもらえるような動きをしていきたいと思います。

記者 エントランスホールの視界を妨げるものは、撤去するという話だったんですが、今ある太鼓とかは無くなるんですか。

平和記念資料館長 無くなります。

記者 あれは・・・

平和記念資料館長 国際会議場の方に(移動します)。

記者 被爆の実相に関連しての質問なんですが、今回被爆の実相を伝えるための充実を図ることに一番力を注がれているかと思うんですが、今の様子と比べて、被爆の実相の伝え方ですよね、今まで以上に伝えるためにどういった工夫をされたといいますか、どういったことを特に強調されたのかということを改めて伺いたいのと、被爆の実相を伝えるということが非常に大切だという事を、市長もNPTの準備会議でも海外の方にもアピールされていますが、海外の方が見に来られた時に、広島の被爆の実相が分かり得るものになっているのかどうかという部分を、このアピールの大切さについても一緒にお話しいただけますでしょうか。

市長 工夫は繰り返しになりますが、現状の観覧の仕方をしっかり分析していただいたと思うんです。全体が45分くらいかかっているという状況の中で、東館に入って、まずそこで1階を見て2階を見て、3階まで上がってという時間帯で最初来た方々は、どんな広島だったんだ、どんな原爆が落ちたんだろうという予備知識を得るような時間帯で結構時間をくって、時計を見たら、(もう時間が)無いやということで、放射能とか熱線とか、爆風という本館のところを、たたたっとこう行ってしまうと。それが20分足らずの時間になっているということです。

その時に、ジオラマなんかがあると、説明とか読まなくても印象に残るから、あれがすごいんだというようになっていたんだと思ったんです。

それを今回は動線ラインを完全に変えて、入ってすぐに本館の方の状況を見ていただくようにし、まず被爆の展開がどうなったかということ、そこでどんな経験をしてどんな思いになったかということをまず見ていただいて、それから広島の歴史などを紐解くという、ここの実情の訴え方の動線ラインを完全に変えたということが、私は大きいと思うんです。

最初に直に被爆にあった方々の状況にぶち込まれるというか、そこに入っていくということで、印象はまず強くなるでしょうと。そこで受け止めて、自分も一緒に考えていく。被爆して、その後の救援活動がどうなっているかとか、黒い雨があった、そしてその後、皆さんどう思っていたかと。

時の流れとともに一緒に考えていただきながら、さてじゃあ、広島どうだったんだろうと。そこの点が、被爆の実相に力を入れた展示方法じゃないかなと理解しています。

そして、海外への訴えについては、4カ国語で基本的なことは見ていただくということで、多くの外国人の方は、英語などがベースになっているということもあるので、そこでまずしっかりやるとともに、個別の詳しいところは自分が知りたいところをタッチパネルを触ると15カ国語で出てくるようにしていますから、そういう絵図面などを見ながら、実相のところはそんなに言語でなくても、見ながら、解説の場面のところでしっかりそういうものが読み取れるというような工夫になっていますから、トータルとしてアピール効果も強いような構成になっているんじゃないかなと思っています。

記者 原爆資料館の役割として、展示とともに、もう一つ保存というのも資料館の重要な役割があると思うんですが、先ほど館長の方から、あの日を体験した方のご覧になる最後の展示になるのではないかということで、被爆者の方の平均年齢も高くなる中で、被爆資料を提供してもらったり、収集したりする意味でも本当に最後の重要な時期なのかなという気はするんですが、今回のリニューアルのタイミングで、保存収集の在り方など、あるいは広い呼び掛けなど何か考えていることがもしあれば教えていただきたいんですが。

平和記念資料館長 遺品等に関しては、毎年呼び掛けはしています。体験記あるいは遺影、そういったものを常に呼び掛けはしています。

今回、70周年を迎えまして、さまざまなマスコミの方たちに取り上げていただいて、寄贈の申し込み、あるいは情報提供がありますので、そういったことを引き継いで、資料の収集には務めてまいりたいと思います。

ただ、保存に関しては、なかなか悩ましいものですので、いろんな資料が集まってまいります。そういう意味では、これからそういった保存の方法に対して、相当学識経験者あるいは研究者を交えて、研究していかないといけない、そういうことを考えております。

記者 核兵器の危険性というテーマがあるんですが、そこの内容をもし踏み込んで伺えるようだったら、危険性を訴えるところまでなのか、核廃絶までの具体的な取り組みであるとか、2020年あるいは核兵器禁止条約とか、どこまで踏み込んだ内容にするご予定でいらっしゃるのかを伺えないでしょうか。

市長 被爆の実相ということをベースにしていますから、今言われた危険性ですね、本当に見た方が(核兵器は)あってはならないという気持ちを持っていただくくらいのところまでは絶対必要条件として展示したいと思うんです。

その後の展開、そういったことを受け止めた後で、どのようにしてこの世から核兵器を無くしていくかという、方法論になるんです。

その点に関しては、今は少なくとも平和首長会議というメンバーで2020ビジョンっていうものを掲げて、そこまでに無くすべくがんばろうということをやっていますから、そういった事をやっているという紹介もやりたいとは思います。

それを、どのように受け止めるかということについては、それぞれの立場がありますから、情報提供するというくらいのところで対応できたらなという気にはなっています。

その他の質問

広島駅南口の再整備について

記者 伺いたいのはJR広島駅前南口広場の再整備について、先週4回目の地元の住民説明会が一通り終わられて、地元から提案のあった循環ルートの説明を主にされていました。私も出席させていただいて、地元からもいろいろ賛否あったんですけども、この度の説明を終えての市としての受け止めと、(市議会の)委員会でも、今年度のできるだけ早い時期に基本方針を決定、とあるんですけども、そのあたり具体的な目途といいますか、そういったものがございましたら伺えますでしょうか。

市長 まず後者の方、議会でも言っているとおりでありまして、今年度のできるだけ早い時期に基本方針を決めていきたいというのは変わりません。そういう状況になっているのは、今回の地元説明会への成果といいますか、反応がどうだったか、ということがベースになると思うんですね。

言われたように地元説明会は12日から17日まで6回開催して、トータルで74名の方が説明会に来られたと報告を受けています。その際に、多くの説明ポイントになったのは、今年の3月に実は地元の方から提案をいただいた循環ルートの整備という提案内容なんですね。

それまでは電停を廃止して、機能が落ちるから、なんとかならないかということで、じゃあバス路線でカバーするというのはどうでしょうか、というような議論をしていたところ、なかなかバス路線では住民の気持ちとしてストンと行かない。レールが残るということがポイントだっていう議論があった中で、今は段原の方にぐうっと右に曲がっている電車を、例えば左に曲がるようなことはできないんだろうかというようなことですね。

曲げてしまえば後はまた、電車の運行スケジュールとか、全部を全面改訂しなければいけませんけども、一応環状線ができるから、そこを電車を回すようなことをすれば、ずいぶん違うんじゃないかという提案を受けました。

それを含めて、ご提案の中で、どうでしょうかということだったんで、検証したところ、実現可能性があるということになりましたということを含めてご説明したところ、先ほど言われたように、全体としては、循環ルートを含めてやるんであれば、駅前の大橋ルート案は理解できるんじゃないかということになったと思うんですね。そういう意味では大きな反対意見があったとは受け止めていません。

実際に出席者からあった意見ということで、ピックアップして報告が来ていますのは、駅前大橋ルートの高架案については、「景観に配慮してほしい」というような、景観に関する意見がありました。

それから、循環ルートを実現するとしても、例えば運行便数とか利用者の利便性、そういったものを「確保するということが必要じゃないか」というご意見、さらには、部分的な話も重要なんだけど、広島駅前の周辺ですね、その環境整備もきちっと推進して、「街づくりそのものもちゃんと考えてくれ」、というような意見もあったという報告を受けていますので、そういったこのご意見も含めて、今後の対応を考える。

とりわけ第一義的には、広電のレールの話もありますから、そういったところも含めて関係者と十分協議して、さらにその上で景観に配慮したものについてどのようにするかというようなことを関係者と十分協議するということが要ると思うんですね。

それらをある程度整理するのに時間がかかるということも考えながら、かつまた、できるだけ早い時期ということで、今の段階で言えるのは、今年度のできるだけ早い時期に基本的な方針を固めると、こんな考えに今落ち着いているということです。

記者 確認なんですが、4回目のこの説明会で、地元の方は、ある程度理解は得られたというふうにとらえているというお話でよろしいですか。

市長 理解しています。はい。

集団的自衛権に係る憲法解釈の変更について

記者 安倍首相が憲法解釈の変更について会見されまして、政府が検討を始めましたけども、それに対する受け止めとですね、今回の基本的な方針では、集団的自衛権の行使が許されないという従来のものが、だいぶ変わっているのではないかと思うんですけども、それに対するお考えをお聞かせください。

市長 結論からすると、私自身は、今までの憲法解釈というものをちゃんと受け止めて、国民への丁寧な説明とね、時間をかけた慎重な議論というのをぜひやっていただきたいと思っているんですね。

その心は、今回こういった動きが起こっているのは、この集団的自衛権に関する議論そのものが、我が国の周辺の事情が厳しい状況、特に安全保障環境の変化の中での対応が求められているという問題提起、それから、国際平和の積極的な貢献ということをすべきじゃないか、そんな大きく二つの理由だと思うんですけど、それで議論するということになっているということを承知しております。

この議論をするに当たってのベースですけども、集団的自衛権を行使するということに関して、まずもって歴代の内閣が、我が国を防衛するための必要最小限度の自衛権の行使ということを考えたときに、平和主義を掲げている現行憲法下では、集団的自衛権の行使は許されないんじゃないかという解釈をしてきたという事実がありますから、この重みとの比較考量と思うんですね、そこが出発点です。

そして、今までの憲法解釈は適当でないという報告書、これを踏まえての議論が始まったわけで、その時の提案というのは、整理すると、限定的に集団的自衛権を行使するっていうのはどうだろうかと、全面解除じゃなくてですね。

報告は解除していいというか、じゃあ議論に当たっては少し限定解釈で行こうじゃないかということで、問題提起があったと理解しています。

でも、これも、いわゆる限定的であろうと無制限であろうと、集団的自衛権を行使するというその考え方が現行憲法9条の平和主義の根本原則、そして今ある法体系について、様々な影響を与えるわけですね。ですから、その点を重視して、本当にやるんであればまず、法律の基になっている憲法そのものを改正するかどうかしっかりと(議論を)やるべきだ、という強い意見があります。

そして、そういったことを抜きに、解釈の部分で処理しようということについて慎重であるべきだという議論がありますけども、私は、それは極めて重要な指摘だと受け止めています。

ですから、そういう立場がまずあるということと、それからもう一つ平和を願うこの広島の市長という立場で考えていきますと、今ある戦後70年間、日本国が、もうすぐ70年ですね、戦争という状況にならなかったという、いろんな説明があろうかと思いますけど、広島の理解とすれば、今の憲法解釈を踏まえた外交政策を展開すること、そのことが日本国を取り囲む諸外国に受け入れられているということが一つあるんじゃないかと思うんですね。

それと、またそういったやり方を、多くの国民も支持してきた。つまり、国内的にも、周辺諸国も今までの解釈を是としてきていたからここまで来たという、まず事実があるという、そのことも重く受け止めていく必要があると思うんですね。その状況が変わってきたから、じゃあすぐに変えようという議論になっているような気がするんですけども、そこは国民への丁寧な説明と、時間をかけた慎重な議論をして検証すべきだということじゃないでしょうか。

やはり国民の生命・身体に関わる重大な判断ですから、多くの方の納得いくような慎重な議論をする中で、ぜひ物事を決めていっていただきたいなと思います。

記者 確認させていただきたいんですけども、まず一点目はだから、解釈の部分で処理しようということには慎重であるべきだという・・・

市長 そういうご意見があるというのを、私自身は重く受け止めています。

記者 もう一つ後半についてはですね、戦後70年間の平和が保たれている事実を踏まえてということは、あまりその、今までの解釈を変えるべきではないというお考えのように聞き取れますが・・・

市長 これは、判断する前の前提条件として、方法論ですけどね、現在この半世紀以上にわたって日本国が平和であったというそのことが、いろんな説明があるかと思いますけども、広島の立場の理解とすれば、現行憲法の下で、実際日本国政府が執ってきた外交政策が諸外国から受け入れられているという結果があるから、戦闘状況に入ってないと、そういう外交政策をやることを多くの国民が支持してきたからできたんだと思うんですね。

それが変わっていくということですから、もう一回慎重にするという意見がある、そしてやらなきゃいけない状況がある、というこの対立する意見ですね、これをしっかり時間をかけて慎重な議論をする中で国民が納得するような状況を作っていただきたいと、そういうことです。

記者 今の動きはちょっと急すぎるというふうなお考えですか。

市長 みなさんの受け止め方は急だというふうに受け止めているようですけども、私自身の受け止めは、報告書は相当、がっとね、進んだ話ですけども、総理はそれを受け止めて、その少し前で限定的な集団的自衛権の行使と、少し慎重さを見せたということですけども、それにしたとしても集団的自衛権の行使というそのテーマそのものは重いんじゃないかということを申し上げたいんですね。

記者 すいません、もう一個だけ、個別の状況で、自衛隊が展開してもいいんではないかと思われるようなケースっていうのはいかがでしょうか。

市長 これも基本的には防衛政策の、個々のケースバイケースの話ですから、様々な意見がある中で、私自身はしっかり議論していただければと思います。

問題提起されている具体的事象が集団的自衛権という議論を持ち出さなくても、個別的自衛権、つまり、今の解釈で認めている考え方の中でカバーできるんじゃないかという意見もあるというふうにも受け止められていますからね。それが、どちらがいいかということ自身、自分自身まだ結論を出すような状況じゃありませんし、市長の立場としてコメントを加えなくてもいいと思うんですけど。

そういった対立する意見があるということですから、重ねて言いますけども慎重な議論、そしてそれが決まった時には、多くの国民がそうだなと納得できるような状況をまずつくっていただくということが先じゃないかなと思います。

※ ( )は注釈を加えたものです。

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