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有害大気汚染物質を含め様々な化学物質の新しい管理手法としてPRTR制度があります。
事業者(企業など)が1年間にどのような化学物質をどのくらい環境中に排出したかを把握・届出し、国がその結果を集計・公表することで化学物質の排出状況を明らかにしていく仕組みです。諸外国でも同様の制度がありますが、日本では平成11年7月に法律(注1)が公布され、届出は平成14年4月から開始されています。
事業者から届出られた化学物質の排出量等のデータは、集計後に公表されるほか、だれでも個別事業所データの開示を国に請求できます。
(注1)特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律
PRTR制度による広島市への届出件数は263件で、業種別でみると、燃料小売業が177件と最も多く、以下、製造業51件、自動車整備業9件、一般廃棄物処理業9件となっています。
届出があった化学物質の年間排出量・年間移動量の合計は2,460トンでした。
物質別の内訳をみると、最も多かったのはキシレン:999トン、以下、トルエン:919トン、ジクロロメタン(塩化メチレン):203トン、エチルベンゼン:171トンとなっています。
また、排出先は大気への排出量が2,199トンで最も多く、89%を占めています。
【広島市において排出量・移動量の多い物質】
当所がモニタリングを行っている有害大気汚染物質のうち、平成14年度に届出のあった物質の年間排出量・移動量を示します。 (単位:トン/年)
物質名 | 平成14年度 | 主な排出・移動先 |
---|---|---|
ベンゼン | 2.8トン/年 | 大気 |
トリクロロエチレン | 14トン/年 | 大気、廃棄物 |
テトラクロロエチレン | 0.017トン/年 | 廃棄物 |
ジクロロメタン(塩化メチレン) | 203トン/年 | 大気、廃棄物 |
ニッケル化合物 | 2.9トン/年 | 廃棄物、公共用水域 |
ホルムアルデヒド | 6.1トン/年 | 大気 |
マンガン及びその化合物 | 24トン/年 | 公共用水域、廃棄物 |
六価クロム化合物 | 1.2トン/年 | 廃棄物 |
また、国はこの他に届出の対象とならない事業所、家庭、自動車などからの排出量を推計し(注2)、届出と合わせて集計・公表しています。
(注2)例えば防虫剤として使用されるパラジクロロベンゼンなど