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エノラ・ゲイの展示における原爆被害の説明についての要望(2003年10月16日)

スミソニアン航空宇宙博物館
館長 John R. DAILEY様

エノラ・ゲイの展示における原爆被害の説明について(要望)

12月15日に開館するスミソニアン航空宇宙博物館新館におけるエノラ・ゲイの展示公開を前に、この展示に原爆被害の説明を加えていただき、核兵器廃絶と世界恒久平和を願うヒロシマの心を一人でも多くの人に届けていただくよう要望いたします。

1995年に、原爆被害の展示により原爆が生身の人間に与えた苦しみを示し、原爆投下の意味を見直すという目的を持った貴館における特別展が、「原爆投下は正当で不可欠な行為」という全米退役軍人協会の主張や議会の決議により事実上中止となったことは、ヒバクシャをはじめとする核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う多くの人々を失望させるものでした。ヒロシマは、貴国上院議長に反論の書簡を送るなど、当初の計画どおりの展示が実施されるよう努力しましたが、原爆投下に対する貴国とわが国の歴史観の違いを乗り越えることはできませんでした。その後、ヒロシマは、実現されなかった特別展の代わりにアメリカン大学において原爆展を実施しました。そして、引き続き、核保有国の主要都市を中心に原爆展を実施し、核兵器の非人道性を訴え続けてきました。

しかし、被爆から58年が過ぎた今なお、世界には大量の核兵器が存在し、新たな核の拡散や核兵器使用の危機に瀕しています。私たちは、人類の未来のために、そして世界中の子どもたちのために、地球上から核兵器をなくし、暴力のない明るい世界を創る義務があります。貴航空宇宙博物館においては、ライト兄弟の歴史的な飛行機をはじめ貴重な実物の展示によって、子どもたちに飛行機や宇宙への夢を与えておられます。ヒロシマとしては、貴航空宇宙博物館が、広島に原爆を落としたエノラ・ゲイの完全復元展示を、単に航空機の科学技術の進歩を示す一片とするのであれば非常に残念に思います。また、仮に、この展示を原爆の威力の誇示や原爆投下の正当性を示すものとするならば、極めて遺憾に思います。

どうかこの展示が、核兵器使用の悲惨さや、ひとたび核戦争が起きれば人類は破滅の危機に瀕するという事実を伝えるとともに、核兵器を廃絶し戦争のない世界を創造するうえで意義あるものとなるよう、館長様をはじめ展示の企画に関わる全ての方が英知と勇気を持って御決断下さることを要望いたします。

2003年10月16日

広島市長 秋葉 忠利