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市長コラム 忙中有閑 第37回

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広島の使命を未来につなぐ

 日ごとに暑さが増してきました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
 来月、広島は77回目の8月6日を迎えます。コロナ禍により、2年にわたって規模を縮小することを余儀なくされた平和記念式典ですが、医療従事者をはじめ、市民の皆さんの日頃からの感染拡大防止に対するご協力のおかげで、感染症に係るさまざまな制限が緩和されたことに伴い、今年は参列席をコロナ前の3分の1程度にまで増やすこととしました。参列者の事前募集や式典前後における平和記念公園内への入場規制といった、密集や混乱を回避する感染防止対策をしっかりと行った上で、一般の人にも参列していただき、少しでも多くの人に平和記念公園で祈りをささげていただきたいと考えています。

 また、来月には、市民一人一人が日常生活の中で平和について考え、行動する「平和文化」が社会に根付くための新しい取り組みの一つとして、第1回ひろしま国際平和文化祭(略称:ひろフェス)が開催されます。
 ひろフェスでは、世界中の人々をお迎えしている8月に開催する、音楽や映画、漫画、アニメーションなどのイベントを通じて、次世代の子どもたちがプロと触れ合い、文化芸術や平和への理解を深めるとともに、「平和文化」が広島から世界へと広がっていくことを目指していますので、市民の皆さんの積極的な参加を待っています。

 ところで、ロシアのウクライナ侵略を契機に、「戦争はいやも応もなく引き起こされるというのが世界の現実だ」「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼しても、安全は保持できるはずがない」「軍事力による暴挙は軍事力によって抑え込むしかない」といった考えが勢いを増していると感じます。しかし、核兵器が存在し、そのボタンを握る為政者が疑心暗鬼になり、判断を誤ったことが、ロシアのウクライナ侵略を招いたのであり、こういったことがなくならない限り、人類は甚大な危険に脅え続けなければなりません。
 このように考えると、広島での開催が決定した2023年G7サミットは、現在のような国際情勢の下で、核保有国を含む主要国の首脳が、人類史上最初の被爆都市であるこの広島でこれからの世界平和の在り方について対話できる絶好の機会であり、その意義は極めて大きいものがあります。私としては、各国首脳には、平和記念資料館の視察や被爆者との対話などを通じて被爆の実相に触れ、核兵器を使用した場合の結末を真に理解していただいた上で、核兵器のない世界を目指す外交政策の実現に向けたゆるぎない決意を、広島から発信されるよう願っているところです。

 世界を動かす各国の為政者は、その多くがその国の各地の市民から選ばれた者です。私は、そうした各国の為政者を選ぶ市民一人一人が「平和文化」を実感し、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う社会を形成することにより、「ヒロシマの心」を共有する為政者が選出される国の形成へとつなげていきたいと考えています。これは、広島が担う大切な使命のひとつでもありますので、市民の皆さん、特に若い世代の皆さんには、ぜひともさまざまな機会を捉えて平和について共に考え、広島の使命を未来につないでいただくようお願いいたします。

市長コラム