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2021年12月23日記者会見「原爆ドームの特別史跡への指定について外1件」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市公式チャンネル(YouTube)(市長記者会見)」のページへジャンプします<外部リンク>)
日時 令和3年(2021年)12月23日(木)午前10時15分~11時2分
場所 市役所本庁舎11階第1会議室
■市政記者クラブからの代表質問■
【原爆ドームの特別史跡への指定について】
記者
広島市は、原爆ドームの特別史跡への指定を目指されていますけれども、これを目指している理由と指定されるメリットについてどのようにお考えなのか、お聞かせください。よろしくお願いいたします。
市長
原爆ドームは、ご存じのように人類史上初めて使用された核兵器の惨禍というものを如実に伝える遺跡であるというふうに捉えておりまして、これ自身時代を越えて核兵器廃絶そして世界の恒久平和、この実現を訴え続ける人類の共通の思いといいますか、それを記念する碑として位置づけられておりまして、平成7年(1995年)に国の史跡に指定されております、そして翌年には世界遺産に登録されると、こういった経過を経ているものであります。
今回、この原爆ドームを特別史跡へと考えているわけでありますけれども、これは、実は市内には被爆建物というふうに指定しておりますのが85(件)あるんですけれども、その中でも代表格として、原爆ドームだけじゃなくて、(広島市平和記念公園レストハウス)であるとか旧日銀(旧日本銀行)の広島支店などもあります。ただこれはまだ実は史跡に指定されてないというものでありますけれども、広島市としては被爆建物として、原爆遺跡が残るものとして、被爆の実相をしっかりと伝えていくために重要な遺跡だとこういうふうに思っているわけであります。
その中で、この原爆ドームをその中でもトップといいますか象徴的なものにするという特別史跡ということで格上げすることができるならば、他の被爆建物についても今後、国の史跡として指定を受ける可能性も出てまいります。トータルでこういったしっかりしたものを被爆建物として扱っていきたいと、そういう意味ではこの特別史跡に原爆ドームがなるということが、広島市にある原爆遺跡全体の価値をきっちりと国にも認めてもらい、それを使って被爆の実相を国内外に普及・継承していくということに使えるんじゃないかなというような思いでやっております。
実際、この原爆ドームに関しては、国の方でも「被爆の記憶を後世に継承し、平和を希求していくことは唯一の戦争被爆国として大変重要だ」というふうな認識を持っていただいておりまして、特別史跡の指定に向けて助言はいただけるというふうになっております。そういう意味では、まず来年度中に市の方から総括報告書というもの、これを特別史跡を進めたいならば文化庁からこういった報告書を出せというふうに言われておりますのでこういったものを作成するということに着手して、早期に文化庁との協議をしていく中で特別史跡の指定これを目指したいというふうに思っているところであります。
記者
来年度中に報告書を出す、作成に着手されるということで、実際にその報告書を出したり指定を目指す上で、広島市として基礎資料を収集したりとか改めて(広島)県産業奨励館、被爆前のヒロシマのまちにとってどういう存在だったか歴史的な位置づけとか、そういうことを改めて資料を集めたり、調査されることが指定に向けて重要になるのではないのかなと思うんですけれども、実際、今、世界遺産25年に合わせて広島平和記念資料館の地下で最近、(原爆)ドームに関して見つかった資料を紹介するような展示等々なされていて、被爆者の方とか市民の方からかなり関心を集めているようなんですけれども、そういう特別史跡の指定に向けて広島市として報告書をまとめていく上で、資料収集とかあるいはその資料を通じて市民の(原爆)ドームへの関心や史跡の指定に向けた機運を高めるような広島市としてどんなことをして、今後一層していかれるかというか、もう少しちょっと具体的にありましたら教えてください。
市長
特別報告書の中身がどこまでのものになるか、私自身まだ現時点では正確に把握しておりませんけれども、文化庁から求められておりますのは、地方自治体からの意見具申を行うという際に添付資料が要りますよと。その添付資料として総括報告書なるものが要るというふうに言われておりまして、内容として少なくとも盛り込む必要があるというふうに聞いておりますのは、原爆ドームの歴史上、学術上の価値というものが明確に分かるようにということだと思います。それともう一つは、これまでの保存工事の内容ということでありまして、そのものに対する評価というものを適正に行えるかどうかということ、最小限の必要事項というふうに伺っております。ですから、それを取り巻く、今言われたような皆さんの評価とか動きとかっていうものは、書いて悪いとは言われないと思いますけれども、それがなければいけないというものではないように受け止めていますけれども。ものとしての価値がしっかり分かるようなものというのが基本になっているというふうに承知しています。
記者
先ほど、ドームの特別史跡への指定を目指すということと並行して、他の被爆建物についても価値を高めるというか、そういうお話もあったのですけれども、その他の被爆建物についても、何らかの史跡指定を目指すであるとか、そういった具体的な動きなどは、当面出てくるものがありますでしょうか。
市長
今、直ちに具体化しているというものではないのですけれども、こういった原爆ドームが特別史跡に、もしなれば、先ほど申し上げたように、まだ史跡に指定されていないレストハウスであるとか、旧日銀の広島支店等々、そういった非木造のものであって、実相を伝えていく上で先ほど申し上げた市の被爆遺構85件はあるのですけれど、そういった中でそれに値するものを選んで史跡指定をお願いしますということをやっていければなというふうに考えています。結果をよく踏まえた上でやっていきたいなというふうに思っています。
市職員
すでに昨年度、令和2年度において、被爆の痕跡が顕著になっております物件につきまして基礎調査を行っておりまして、報告書案を取りまとめておりまして、それをもとに今、文化庁とそういった物件の史跡指定へ向けた協議というのを今続けているところでございます。一応補足で説明させていただきます。
【今年1年の総括と来年の抱負について】
記者
今年1年の総括と来年の抱負についてお伺いできればと思います。
今日が今年最後の定例会見になると思うのですけれども、広島市、あるいは松井市長にとって、この2021年はどのような1年だったというふうに総括されますでしょうか。また、この1年で最も印象に残った出来事はどのようなことでしたでしょうか。来年の抱負も合わせて教えてください。よろしくお願いいたします。
市長
1年を振り返ってみますと、前年から続いております、新型コロナウイルス感染症、これが市民生活に大きな影響を与えたという1年であったということが第一印象であります。とりわけ感染症拡大に伴いまして、緊急事態宣言がなされました時期は、市民の皆様も本当に不安な気持ちで日々を過ごしてこられたのではないかなというふうな受け止めをしていまして、そんな中で感染対策に協力いただいた市民の皆様の努力、そして、ワクチン接種が順調に進んだこともあって、現在では感染状況も落ち着いてきたという状況に至っていることに関しまして、まず、多くの市民の皆様に心より感謝申し上げたいと思います。
そしてもう一つの出来事、災害関係ですけれども、7月、8月、記録的な大雨で、河川増水、土石流、道路の通行止め、公共交通機関の運休等々発生いたしまして、市民の生活に大きな影響もありました。特に災害に遭われた皆様、改めてお見舞い申し上げたいと思います。
そういった中で、もう一つ。昨日もちょっとありましたけれども、10月に亡くなられた名誉市民の坪井(直)さん。核兵器廃絶を国内外にしっかりと訴え続けてきて、「ネバーギブアップ」の精神で、核兵器のない平和な世界の実現に尽力されたという生き様。この生き様は多くの市民の記憶に残るし、広島市民として誇りに思う方が亡くなったことを大変残念に思っておりますが、その遺志をしっかり引き継がなきゃいかんなと、そういうふうな思いをしております。そういう意味では被爆地の市長として、この「ネバーギブアップ」の精神でしっかりと市としての取組をやっていきたいというふうに思っているところであります。
それと一つは市長としての、いわば重要な仕事であります、まちづくり。これもありました。これに関しましては市長に就任して10年間の成果を踏まえて、もうひと踏んばりするという年になったと思うんですけれども、まちづくりに関しましては3つの柱をずっと立てておりまして、そういう意味で今年も3つの柱、すなわち国際平和文化都市に向けて「世界に輝く平和のまち」という方向性。それから「国際的に開かれた活力あるまち」。さらには「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」というこの3つの柱。まず、それを立てて持続可能なまちづくりということを目指して、いろいろな取組をやったというふうに思っています。
最初の「世界に輝く平和なまち」というこの柱に関しましては、まず7月・8月に東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されまして、アスリートの活躍ということもあり、これらについて多くの方も感動されたと思います。
そんな中で本市はホストタウンといたしまして、ベルギー・メキシコの事前合宿の受け入れということをやりました。(新型)コロナ(ウイルス感染症)の影響で当初予定していたような市民との交流ということができなかったので非常に残念ではありますけれども、こういったスポーツ、あるいは文化・芸術といったものは私達の暮らしを豊かにするとともに、国の地域あるいは国境といいますか、垣根ですね、そういったものを越えて世界の人々が集うことができる。そんな中で平和を願う気持ちを通い合わせることができる。そんな絶好のチャンスであるというふうな受け止めをしています。そういった思いの下に、国際平和文化都市を目指している本市であります。
そういった中でこの「世界に輝く平和のまち」ということを貫く上では、市民お一人お一人が幸せに暮らすということをやるとするときには、戦争・武力紛争がない、あるいは人種差別とか命を危険にさらしていくような社会的差別がないということは大切であるという、そういった思いをまず共有していただく。そしてその上で、自分としてそういった考え方の下で何ができるか。できることを日常生活の中で実践することができるような、そんなまちにしていくということがこの平和のまちであるというふうに思っています。そのためにスポーツであるとか文化・芸術、こういったものを通じて「平和文化」の振興に取り組むということが重要であるということを改めて確認いたしまして、新たに11月を「平和文化月間」と位置づけました。そして様々な取組を集中的に行っていこうということにしたわけであります。またこれと同じような考え方を思い巡らせまして、平和首長会議としても7月に策定したビジョン、これをPXビジョンというふうに略称いたしましたけれども、「持続可能な世界に向けた平和的な変革のためのビジョン」というこの打ち出しの中に平和文化の振興ということを新たな目標に設定いたしました。こういった意味で本市内でも、また平和首長会議としても、こういった取組をしっかりやっていくということを改めて確認できたということであります。
そして来年は、広島の広域都市圏だけではなくて、国内外の都市と一緒になってこの平和文化の振興といったものにしっかりと取り組んでいくことによって、日本中そして世界中にこの平和の思いをさらに広めていくと。そうすることが為政者が抑止力に依拠しないでもいいよという状況をつくり出し、そういった依拠する政策を改めていくと。そのための環境づくりを目指していきたいというふうに思っています。
次に「国際的に開かれた活力あるまち」に関しましては、現在見ていただいて分かりますけれども、都心部におきましては広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区、これを東西の核と見立てて両地域で多くのプロジェクトが進行しているところであります。
来年以降も引き続き、広島駅周辺地区におきましては、JR西日本の駅ビルの建て替えと南口広場の再整備等に向けた工事を進めていきます。また中央公園におきましては、サッカースタジアムや旧広島市民球場跡地の整備に着工するとともに、広島城三の丸のにぎわいづくりにも着手することにしております。こうして新しく生まれ変わるまちの一端を、皆さんに見ていただけるようになろうかと思うんですけども、こうした都心部のまちづくりと並行いたしまして、この市域をもう少し広い領域に当たってのまちづくりもやっていこうということで、例えば芸備線などの鉄路の活性化であるとか、瀬戸内海の海路の振興、こういったことによって、近隣市町との連携というものを強めながら、広島の内外の人が集い交流できる、そんなまちづくりを目指していくというふうに思っています。
最後に、「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」ということに関しましては、今回のコロナ禍というものを通じまして、多くの人が、人との交流であるとか、それから、このこと自身が、我々の日常生活を支えているんだということ、それからもう一つは、交流する中で共に助け合うということですね、これをやるといろいろな困難を乗り切ることができるということを実感されたというふうに思っています。人の交流、助け合い、こういったことは、実は、こういったコロナ禍という非常時だけではなくて、当然、平常時からも大切なものでありまして、地域で人々が安心して暮らしていくためには、多分、絶対不可欠なものであるというふうに思っています。そういう意味では、とりわけ「共助の精神」といったものを地域に根づかせて、その上で住民が主体となって、共助の取組を推進するということ、これが現実化すれば、持続可能な地域社会の実現ということは夢ではなくなるというふうに思っていまして、そういったことを目指して、改めて、まちづくりをやっていく必要があるということを強く思ったところであります。
そうして来年、今申し上げたようなことを踏まえながら、地域社会をしっかりしたものにしていこうということを考えておりまして、そのための具体的な方法といたしまして、2月には「広島市地域コミュニティ活性化ビジョン」、これを策定することにしております。理想とする地域コミュニティの姿などを、具体例を交えて皆さんにお示ししていくということを予定しておりまして、また、このビジョンの中でも紹介する予定にしていますけれども、その地域の課題解決に向けて住民が主体的に取り組んで、そして、持続可能な働き方として「協同労働」といったようなことに、しっかりと取り組んでいけるようにすること、これが重要になると考えておるところであります。これに関しまして、国において昨年12月に労働者協同組合法が成立しまして、来年の10月、同法施行が予定されていると、そういう状況なんですけれども、本市では、この法整備に先駆けて、平成26年度から「協同労働」の推進に取り組んできております。同法の施行というのを機に、地域の特性、特色に応じた地域コミュニティの活動、そしてその活動基盤を強化するというために、この「協同労働」といったものをより一層、推進するといいますか、普及するようにさせていきたいと考えているところであります。
今申し上げたようなことを含めて来年も引き続き、「世界に誇れるまち広島」の実現に向けて着実に前進していきたいというふうに思っています。
以上です。
■その他の質問■
【「黒い雨」訴訟の原告以外の救済について】
記者
黒い雨についてなんですけれども、訴訟の方で原告以外の方でも、できるだけ救済するという方向で、(広島)県や国、長崎市、長崎県などと協議が進められています。今日、協議があるわけですけれども、国の方はですね、まず、11の疾病は、要件として外さないと。それで、切り離してほしいと、広島市は言っているわけですけど。まずそれについて、市長の受け止めを聞かせていただければと思っています。
市長
国が具体的にどういった提案をしてくるかはね、今日の午後の多分、3回目となる厚労省(厚生労働省)、(広島)県、(広島)市それから長崎県、長崎市の協議のその場で明らかになるんじゃないかなというふうに思っているんですけども。一部の報道で、我が市が、このやり取りの中で、(被爆者健康)手帳の交付と、それから疾病ですね、11の疾患などは切り離すべきではないかと申し上げている点はどうなんだろうということが焦点になっているというふうな受け止めをしておりますけれど、本市とすれば、今までの我が方の主張、お願いを聞いていただいているかどうか、それをまずその提案を受けて、確認しなきゃいけないというふうに思うんですけれども、少なくとも今までも、またこれからも高齢化が進んでいる中で、黒い雨を体験された方々に、繰り返しになりますけど、直ちに、また確実に手帳の交付を行えるような内容であるかどうか、それに向けてしっかりと条件を設定していただきたいというふうに思っておるところであります。この疾病そのものを発症すれば、手帳を受けたあとでいろいろな(健康管理)手当が出るという制度になっているわけで、手帳はそれが発症するまでの間でも、あなたは間違いなく被爆したんですよということを認めてあげるというか、国として認知するための手段なんですね。だから、私どもの受け止めは、厳格に手帳を出すということと、病状が発症してそれに対する手当をするということは切り離して考えることができるんじゃないですかということを言ってきているんですね。だから、それをどこまで考慮していただけるか。そうすることによって黒い雨に遭った方々は、直ちに、かつ確実に手帳をもらえるようになるんじゃないかなというふうに思っていますので、ギリギリまでそういった立場で国と調整していきたいなというふうに思っています。
記者
それとともに、まだ昼からになるでしょうが、白内障の手術歴が加わることによって緩和されるんじゃないかというようなことですが、それが出た場合、市としてはオーケーを出す予定はあるんでしょうか。
市長
白内障についての話は、伝え聞くところによると、まだ具体的に聞いていないので、新聞等の情報で読んでいる限りですよ。こちらは疾病と切り離して考えていただいていいんじゃないですかということになると、いやいや、この疾病等の切り離しが、どういう理屈かは、またよく確認しなくちゃいけませんけど、要るんだろうということを言われておると。そして、ただそういった中で疾病とはいっても、我が方の主張もある程度考慮されたんでしょう。いろいろな手当を出すときの、いわゆる健康管理手当を出すときの要件とは、多分違ったものでいいだろうというところまでは考えられたんじゃないかと思うんですね。そうすると、白内障というふうな事例については、人間年を取るとレンズが白濁していって、老化現象的なことでもなるというふうなものなんだけれども、一定の疾病があったときに手帳を出すというふうなやり方の方が、国のやり方としては馴染むというぐらいのことまでは言われているんだと思うんですね。そうした中で、今、白内障という病気にかかっていない人などについても、過去に白内障の手術をしたということは、1回白内障になったということなんだから、病気がある人と同じように扱っていいよというふうな位置づけで手術をした人もいいと、こういうふうなことを言っておられるということは、手帳と疾病をそんなに厳格に考える必要はないんじゃないかということを考慮して、いろいろ具体例を挙げて説明されているんじゃないかというような気もするんですね。その辺もよく聞いてみないと分かりませんけれどもね。我々とすれば、健康管理手当、いわゆる手当と手帳を切り離すということをちゃんとやっていただいた上でやるという、我が市の考え方をしっかり受け止めていただくと。そんな中で自分たちの主張をだいぶ考慮しながら、いろいろな検討が進んでいるんじゃないかなという受け止めをしているという状況であります。
記者
整理しますと、白内障については、市長のお考えとしてはプラスになれば。
市長
いいと思いますよ、プラスの材料にね。いわゆる手帳発給と疾病の因果関係というか、設定条件を緩めていくための一つの施行方法だということであれば、それはそれで結構だと思っていますよ。
記者
だから、それをプラスかどうか慎重に判断した上で検討するというような。
市長
ことになりますよね。
記者
そういうことでよろしいですもんね。
市長
そういった具体的な考え方を示されたことが、さっき申し上げたように、手帳の、早急、確実な発給につながる方向での提示であれば、プラスに捉えられるんであれば、それはプラスに評価したいと思います。
記者
あとですね、全体を通して聞いていますと、黒い雨の原告以外の方達の市長の基本的な考え方っていうことは、速やかにさらにできるだけ多くの人に手帳が交付されることを最も重視していると、そういう理解でよろしいでしょうか。
市長
はい、もちろん。だから相当部分は受け止めは進んでいるんじゃないかなというふうに思うんですね。実際、黒い雨にあった方々がその場にずっと居続けなきゃいけないみたいなことを言われていたけれども、あったという事実があればいいんじゃないですかということを繰り返し言った上で、病理現象もそのあと出れば手当てが出るんだからいいじゃないですかと。あったということをきちっと制度的に認めるというものにしていただくことを中心に考えてくださいということを伝えているところですので、国の方もそういったことをやりながら、基本的に譲れないというとこがどこかあるのかも分かりませんけれども、そういったことを通じて申請される多くの方、大半の方がパッともらえるようにしていただくというのが基本だというふうに思っています。それができるかどうかは正式な提案があったときに内容を検証して対応していきたいというふうに思っています。
記者
まとめますと、だから、できるだけ多くの人に速やかに手帳が交付されることを、まず第一に目標に置いて切り離して考えればいいんじゃないかとはいうものの、それが被爆者の健康手帳を交付される要件として加わったりすると、また柔軟に考えてしっかりそこを検討していきたいと、そういうことでいいですかね。
市長
ちょっと抽象的で分からないところもありますが、もういっぺん具体的な条件を提示されて検証して、今言った方向にプラスに働くようであればそれを是としますし、そうでなければ我々の主張を取り入れていただくようにしっかりとお願いしていくということ。でも、来年の4月には、ということを言っていただいているし、予算措置なども整うというようなことをやっていますので、確実に実施に向けての態勢は整っているというふうな受け止めの中で、最後の要件の詰めというとこまで来ているんじゃないかなというような思いはしています。
【NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議について】
記者
先日、NPTへの参加が断念されたということ、渡米されることはやむなくという発表ありましたけれど、その後、具体的な例えばNGO(非政府組織・民間団体)セッションへの参加だったり、ビデオメッセージの検討といったところで、前回の発表された時点から具体的になった部分とかがもしあれば教えていただきたいです。
市長
日程の関係ですか。
記者
そうですね。こういうことができそうだとか、より具体的な部分が。担当課さんにあとから聞いた方が。
市長
今やっていることを。
市職員
これまでお話させていただいているとおり、会期中ずっと平和首長会議原爆ポスター展をやったりとか、発言の機会は恐らく得られるというふうに考えております。
市長
その発言をビデオで撮る予定に。
市職員
そうですね。バーチャルということになっておりますので、ビデオで広島市長・長崎市長両方のビデオを流していただくと、他の市民社会の発言とともにです。という方向で調整できるというふうに、ほとんど確定しております。
記者
ちなみにオンラインで会議が配信された場合に、それは視聴している場面を公開するとか、そういうことっていうのはあまり考えにくいですかね。
市長
公開はどうなんだろう。
市職員
今、おっしゃっているのは会議全ての部分の話ですか。それとも、市民社会の発言の部分の話ですか。
記者
併せて、何か公開でその場で見られる場面があるのかどうか。
市職員
詳細なことはまだこれからだと思いますけれども、基本的には国連(国際連合)の(UN)Web TVというものがありまして、それを視聴できるというふうに思っております。
記者
分かりました。引き続きよろしくお願いします。
市長
多分、アクセスはオープンでしょうね。
市職員
そうですね。一般に視聴できるようには国連側がしてくれるというふうに思っております。
【2023年G7サミットの誘致について】
記者
G7サミットの誘致についてお伺いしたいと思います。先日、誘致計画案を外務省の方に提出されたと思うんですけれども、改めて、この計画案について、どのような思いで作成されたのかということと、今後、誘致に向けての活動、来年以降本格化すると思うんですけれども、市長自ら、国であったり、あるいは総理大臣であったり、外務大臣であったり、そういうふうなところに要望をしに行くような活動を予定されているのかどうか、現時点で決まっていることがあれば教えてください。
市長
これに関しましては、誘致の正式な表明を11月30日にしましたし、それから、そののちに、担当者レベルになるんですけれども、12月20日には外務省に誘致計画案なるものを提出いたしまして、担当者レベルのやり取りですけれども、非常に快く受けていただいたというふうな報告も受けておりますので、幸先よしというふうに受け止めています。
そうした中で、今後の展開の大きなポイントに関しては、参議院の予算委員会で、(岸田)総理も言われましたけれども、現時点での候補地は、広島県・広島市、愛知県・名古屋市、福岡県・福岡市というふうなこともある中で、誘致希望都市が3つあるというふうなお答えがあったことと、それから、6月末までには開催決定すると、こういうふうな話がありましたので、この間の対応ということになると思うので、広島のアピールポイントを積極的に提案していくというのが、これから、誘致活動の主要な点だと思います。
そんな中で、アピールする具体的なポイントは、開催にあたって必要となる施設と交通と警備、こういったことが中心になろうかというふうに思っていますけれども、それら、正確な情報を事務的にも届けていますけれども、それをしっかりと担当部局、外務省の方にもお伝えしながら、理解していただくとともに、ある意味で広島の地での開催に意義ということをしっかりとアピールしていこうと思っています。原子爆弾の破壊、これを乗り越えて、奇跡的な復興を遂げ、そして、国際平和文化都市を目指して、確実に発展してきていると。そして、そういった地に、世界の為政者が集まって、国際的な課題解決に向けた対話ができると、それは、こういったしっかりとした平和都市で、国際的な社会の連帯を訴えるということです。さらには人類の存続、繁栄を続けるためのトップの会議でしょうから、そういったことにふさわしい場ですよというふうなことをまずアピールするということ。それから、実績も、もちろんしっかりお伝えして、2016年にはG7の外相会合が成功裏に終わっていますね。そののちにも、オバマ元(米国)大統領が来られたし、ローマ教皇も来られて、いろいろな著名人が来て、その度に、広島訪問よかったという評価をいただいていると。そんな土地柄ですよということも申し上げ、そんな中で、官民一体、地元も一緒になって、この会議を開催できるということはいいことではないでしょうかと。こんなトーンでお話をしっかりと届けたいと思っています。
そうした中で、この届け方についても、来年1月には、広島県、広島市、経済団体、平和・観光の関係団体を構成員とする、サミット広島誘致推進協議会、これを設置する予定にしておりますので、これを設置し、設置後は、この協議会として、官邸、外務省、関係国会議員等に、しっかりと要望活動をすると。その際にお伝えするのは、今申し上げたようなことを皆さん方に、しっかり知っていただき理解していただいた上で、広島誘致を決断していただくようにしたいというふうに思っています。いずれにしても、地元が一丸となって、熱意を持ってやっているんだと、それがもっともだなというふうに思っていただけるような状況をつくっていきたいなというふうに思っています。
【新型コロナウイルスのワクチン接種について】
記者
新型コロナウイルスのワクチン接種なんですけれども、国の方が高齢者施設の入所者とか、そこで働く人は、6か月に前倒し、他の高齢者も7か月に前倒しというようなことをできるように方針転換しましたが、広島市での今それに向けた検討状況とか、どういうふうに、それを実施していくのか、何か具体的に決まっていることなどあれば教えていただければ。
市長
今、言われたとおり、国からの通知がありまして、医療従事者それから、高齢者施設等の入所者とか従業者、さらに、通所サービス事業所、利用者、従業者、そして、病院とか有床の診療所の入院患者については、初回の接種の完了から、6か月以上の間隔を置いてということです。それから、その他の高齢者については来年2月以降ですね、初回の接種の完了から7か月以上の間隔を置いて接種を実施することができるようになると、こういった内容の通知を受けております。
現在はこの通知を受けまして、今までのやり方の変更ということが起こりますので、変更が起こるっていうのは、まず接種会場の増設ですね。それと接種券の送付の前倒しということをやるということ、そういったことがどういうふうになるかということでね、周知ですね。この3点、具体化するための検討を進めておりまして、今その詳細を策定中ということであります。これは決まり次第お示ししたいと思っています。ちなみに、こういった対応ができるだけのワクチンの量は確保できているということが前提になっているということも御承知いただけると思います。もうしばらく時間をいただければ具体的なものをお示しできるというふうに思っています。
記者
現時点でワクチン量は、まだ分からないというのが。
市長
いや、これをやるのに足るだけのワクチン量は確保できているということであります。
記者
接種券の送付とかがいつ頃始まるかというのも、まだこれからということですか。
市長
これはどうでしょうかね。もう少しかな。
市職員
そうですね。今月中の送付というのは非常に厳しいというふうに考えております。
市長
あとちょっとですからね、1週間。ちょっとなので、年越しになるかな。
市職員
来月中の送付を目指して、今準備の方を進めているというところでございます。
市長
そうですね。正月かけてやりまして1月にはできますよね。
市職員
はい。
市長
もうしばらくお待ちいただけるというふうに思っています。
【核兵器禁止条約の第1回締約国会議について】
記者
核兵器禁止条約の締約国会議についてなんですけれど、広島市としては、条約に入る前でもオブザーバー参加ということを求められてきたと思うんですけれど、日本政府の現時点の説明では、アメリカとの信頼関係を築くことを先にするなどという形で、ちょっと後ろ向き、オブザーバー参加も後ろ向きと受け取れるような姿勢なんですけれど、そのことについて、松井市長はどのように受け止めていらっしゃるかということを教えてください。
市長
はい。オブザーバー参加の話に関しましては、ずっと日本政府にお願いしてきている中で、皆さんご存じのようにヨーロッパ、NATO(北大西洋条約機構)がある中でヨーロッパ諸国、オブザーバー参加を決断した国もあるという状況が出てまいりました。ですから、オブザーバー参加が一切ないという中での環境とだいぶ違ってきているということが、まず第一点でありまして。私自身は、これから開催されるNPT再検討会議の進捗状況ですね、それも多分3月にある核兵器(禁止条約)の締約国会議にも何かしらの影響があると思うんですね。だから、その成果といったようなこと、進捗状況も踏まえた上で、もう一回この考慮できる時間はあるというふうに思っておりまして、それを踏まえながら日本政府、橋渡し役をすると、こういうことは言われておりますのでね。客観的状況、周囲の状況などを的確に把握し、捉えながら、かつアメリカとの信頼関係も築かなきゃいかんということを言われていますので、それを両立させる道をしっかりと追求する中で、オブザーバー参加というこの選択肢を放棄しないでいただきたい。必ず、それを目指して再考するという姿勢でギリギリ臨んでいただきたいというふうに思っています。
※( )は注釈を加えたものです。