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2021年1月28日記者会見「2020ビジョンの総括について外3件」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市公式チャンネル(YouTube)(市長記者会見)」のページへジャンプします<外部リンク>)
■市からの発表案件■
【2020ビジョンの総括について】
市長
それでは2020ビジョンの総括について発表させていただきます。
平和首長会議は2003年10月に2020年までの核兵器廃絶を目指すことを行動指針にいたしました2020ビジョンを策定いたしまして、被爆者の存命のうちに核兵器廃絶を実現するための取組を進めてまいりました。2020年末をもって、このビジョンが終了したことに伴いまして、この度、その達成状況やこれまでの取組を総括いたしましたので、そのポイントについてのお話をしたいと思います。詳しくは、お手元の資料を、後ほど御覧いただければと思います。
平和首長会議は2020ビジョンの下で、国際世論の喚起に向けましてこれまで加盟都市やその市民、NGO(非政府組織)等と連携しながら、核兵器廃絶に向けた様々な活動に取り組むとともに、国連における核軍縮等に関わる会議などでは、そうした活動実績を基にした平和首長会議の考え方を積極的にアピールしてきました。その中でも2017年の核兵器禁止条約の第1回(制定)交渉会議におきましては、「検証」といったことなど、こういった重要項目につきまして、後から追加して条文化ができることを明らかにした条項を設けて核保有国の参加を促すような提案を行いまして、それに沿って条文が作成されたという経過もございます。同条約は、昨年10月に批准国が50か国に達成いたしまして、今月の22日に発効したということから、このビジョンに掲げました、目標の4つの項目のうち2項目、すなわち、「『核兵器禁止条約』の締結に向けた具体的交渉の開始」と「同条約の締結」というこの2つの項目につきましては、実現を図ることができたと考えております。反面、「全ての核兵器の実戦配備の即時解除」と「全ての核兵器の解体」というこの2項目については、いまだ達成を見通すことができない状況にあると考えております。具体的には、ビジョンを策定した2003年には世界に1万6,500発程度存在した核兵器が、2020年時点で、減少はしておりますけれども、依然として1万3,400発程度は存在しております。また世界の核保有国は、NPT(核兵器不拡散条約)体制すなわち、核兵器の不拡散条約をしていこうという体制の下にありながら、核軍縮を進めるための協議を停滞させ、核兵器をより「使いやすく」するための近代化であるとか小型化、そういったことを進めるなど、核軍縮を巡る国際情勢はむしろ後退しているといったような状況にあると考えています。一方で、ビジョンの下で具体的な取組を進めたことによりまして得られた成果もあります。その成果としては、平和首長会議が国境を越えた平和都市のネットワークへと発展いたしました。活動面においても着実な成果が期待できる存在になってきたのではないかと考えています。まず加盟都市の数につきましては、ビジョン策定当時107か国・地域の554都市でありましたけれども、2020年末には165か国・地域の7,974都市と約14倍に拡大いたしました。直近の数字2月1日現在の加盟都市を申し上げますと、8,013都市ということで、日々増加していると、このような状況にあります。活動面においては、加盟都市が拡大する中で都市がそれぞれに抱えている地域固有の課題解決に向けた活動の活性化を図る必要があると考えまして、2017年に策定いたしました現行の行動計画で新たな目標として、「安全で活力のある都市の実現」ということを掲げました。また各都市における次代を担う青少年の平和活動を促進するための取組として、2016年からは、「平和と交流」支援事業であるとかインターンシップの受入れ、あるいは子供たちによる「“平和なまち”絵画コンテスト」等々に力を入れてきております。こうした取組は、加盟都市における平和活動の持続可能性といったものを高めるだけではなくて、平和首長会議が世界恒久平和の実現に向けて永続し続ける組織となるための基盤づくりにもつながるというふうに考えています。
続いて次期ビジョンに向けての今後の取組については、次のように考えております。今年の8月に延期されました第10回の平和首長会議総会で策定を予定しております、次期ビジョンにおきましては、平和首長会議役員都市との協議によりまして、現行行動計画の1本目の柱であります「核兵器のない世界の実現」、これを中心に据えることを合意しております。その上で、この合意事項の達成に向けて重要となりますのは、核軍縮の動きが停滞している中で発効した核兵器禁止条約、これをより実効性のあるものにしていくことであるというふうに捉えております。そのために核保有国およびその同盟国に対し条約の効果的な運用と発展に向けた議論への参画、そして、締約国会議への参加を強く要請していく必要があります。また核兵器禁止条約の実効性を高めるという視点に立った上でのNPTへの対応、これも重要となります。今年の8月に延期されましたNPTの再検討会議におきましては、日程を調整する必要はありますけれども、「他の誰にもこんな思いをさせてはならない」といった被爆者の思いを改めて伝えて、国際社会に対して核兵器廃絶を訴えるということを、この会議でできればというふうに考えております。さらに、次期ビジョンには、現行の行動計画の2本の柱であります、「核兵器のない世界の実現」と「安全で活力ある都市の実現」といったことに加えまして、新たに「平和文化の振興」というものを3本目の柱として立てたいと考えております。現下の世界情勢では自国の利益を優先して他国と競うために核抑止力は不可欠であって、核兵器は有効なものであるといった、いわゆる国家レベルの視点に立った政策展開が勢いを増しているというふうに言えなくもありません。そうした中で、「自分たちと同じ苦しみを誰にも味あわせたくない」と訴えてきた被爆者の思いに基づいて、相互の利益を尊重し、助け合うことこそ大切であり、そうした平和な生活を奪い去る核兵器は廃絶すべきであるという市民レベルの視点から、核兵器は「絶対悪」であると認識されるようになってきております。「平和文化の振興」はそうした市民レベルの認識といったものを市民社会の総意にまで広げる、あるいは高める、そうすることで為政者を核抑止論から解放する、そういったために必要不可欠な理念であると同時に、有効な手段になるというふうに考えております。次期ビジョンと具体的な取組を示す行動計画については今年の8月の策定に向けまして、引き続き役員都市等と議論を深めていこうと考えております。2020ビジョンは終了いたしましたけれども、平和首長会議は今後とも加盟都市10,000都市を目指すとともに、核保有国やその同盟国も含む各国の加盟都市との緊密な連携のもとで取組を強化し、実質的な核軍縮の進展とさらにその先にあります、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けて邁進していきたいなというふうに考えております。
以上2020ビジョンの総括の概要であります。
記者
先ほど御説明いただきましたビジョンの中身なのですけれども、「今後の課題-次期ビジョンに向けて」のところで1年以内に開催される締約国会議にオブザーバー参加をする方向で検討されているというふうに記述があるのですけども、こちら具体的には広島市長のお立場でその締約国会議にも参加されたいというお考えでよろしいでしょうか。
市長
二面性ありまして、私自身は、ここでいう、平和首長会議の会長ということで、長崎も多分御一緒にということになろうかと思いますけれども、ベースは市長として、そして、平和首長会議の会長として発言の機会が与えてもらえたらというふうに思っています。
記者
具体的には、まもなく当初予算も発表されると思うのですけれども、何らか予算措置として講じられるお考えがおありなのかというところと、参加されてどのようなことを発信されていかれるか、どういう役割を果たされるかというところをお願いいたします。
市長
予算に関しましては、当然、出張等が伴いますので、それに必要な経費を計上するということで予算化する予定にしております。予算化設定、まあ、議会で承認いただくような予定をしています。発言の中身そのものは、具体的なものは、まだ確定はしておりませんけれども、ここにボードで示しておりますようなこと、こういう理論をしっかりと展開して、最後の核兵器禁止条約は、人間の暴力性を象徴する核兵器の廃絶ということを目指す市民社会の総意の形成といったことに資すると、それと同時に、核保有国が固執しております核抑止論からの解放と。これは、為政者が当面は固執しておりますけれども、直近のアメリカの大統領選なんか見ていただいて分かりますように、そういった為政者をサポートする国民がおるわけですね。で、国民同士の意見の対立が、ある意味で国政上の抑止論を支持するか、いわば、核兵器は絶対悪であって、この地上からなくすべきであるという議論の対立の根底にあるのではないかと思うのですね。そういう意味では、その国の市民社会、市民の総意として、ここにある抑止論からの解放という状況をつくってあげると。決して、争ってどっちが勝ったかというのではなくて、しっかり対話して、理想を目指す世界をどのように構築していくか。現在ある不信感、国対国のこういったいろいろな猜疑心を取り除くための国家システムを作っていく中で、理想を目指すということこそあるべきであると。現下の状況を単に、一時的に回避するための措置について、どちらが優れているとかっていう議論で言い争うのではなくて、その先を見据えた中でどういった対応をしていくかといったことになるかと思います。今度、大統領が代わられて、いろいろな問題があると言いながらも、ロシアとアメリカで新START(新戦略兵器削減条約)の条約について、5年間の延期をしながらやろうといったような、こういった対応をしながら、あるべき方向に向けた対応をそれぞれが努力すると。そういったことをやるためにも、それを支える市民レベルの視点でそういった動きを全体で支えるという環境をつくらないと、いわば、為政者が捉われ(ている)理論から解放されないということになると思うのですね。具体的な手法については、それぞれ英知を駆使してやっていただくということもありますし、その考え方、個別にコメントを加えるということも当然ありますけれども、そのベースとなる市民レベルの視点、特に核兵器を、その威力なりを自ら経験して、こういったことが二度と起こらないようにといった被爆者の思いを、まず願いをしっかりと押さえて、さらに、現実的に、核兵器をコントロールするという立場に立った方々の経験値から、例えば、キューバ危機のときの非常事態、あるいは、日常起こりうる事故、誤作動による核兵器のミス操作の可能性の高さ、そういったことを考えると、現実問題としてこういった兵器の有効活用そのものは危ういのではないかということを言っておられる実務者も、かつて、そういった軍事コントロールができた方々も言っておられますから、そういった教訓等をしっかりと自分たちのものとして、市民がこういったものの廃絶をしていこうという意識を形成する。そういったことをやろうではないかというようなことを言えたらなというふうに思っております。
記者
改めての質問になるかもしれないのですけど、締約国会議のホスト国のサイドから正式に平和首長会議ないし広島市に対して「松井市長さん、どうぞお越しください」というオファーといいますか、インヴィテイション(招待)といいますか、そういうのがあったという理解でよろしかったのか、どうか確認したいですけども。
市職員
具体的にはないです。出て欲しいという、関係者からのコメントはありますけど、具体的なインヴィテイションという形ではないです。
市長
ということです。まだ、そういう雰囲気という感じで、確定ではありません。
記者
松井市長としては、ぜひ。
市長
ぜひ出たいと思いますね。
記者
2020ビジョンが今日、総括されて次期ビジョンについてなんですけど、2019年の11月の記者会見で次期ビジョンに核兵器廃絶の年限を置くことは考えていらっしゃらないと御説明があったのですが、その方向でお変わりないかということと、その理由を改めて教えてください。
市長
核兵器廃絶という最終目標のですね、年月を決めるというのは、この間2020ビジョンの取組の中で現下の状況、今後も少し見通して、できる、するということがなかなか難しいだろうという整理をしたことと、そうした最終目標に向けてまずやるべきはベースとなる市民社会の総意形成のための具体的な取組をしっかりやるということを徹底し、そのPDCA(PDCAサイクル)といいますかね。やった成果がどうなるかということを積み上げていくということですね、確実にやるということこそ重要だという判断で年限は示さないというふうにしたわけであります。具体的にやっていく上で、手段・方法などをやっていく上で、例えば、長崎などはいつも核兵器の禁止を地域で申し合わせてやる、非核兵器地帯とかいったのは世界各地もあるから、そういったことも、取り込みながらという御提案もある。そういったものについて、例えば年限を示してこういった条約締結をいつごろまでに目指そうとかね、そういったやり方は否定するわけではありません。あると思いますけど、平和首長会議はそういったことも念頭に置きながら、市民社会の総意形成ということを目指しますので、年限を示すということはなくていいんじゃないかというに判断をしたわけであります。
記者
分かりました。追加で、一方で被爆者の存命のうちにというのが平和首長会議の2020ビジョンあるいは、他の活動のかなり根底にあったのかと思うのですけど、被爆者が存命のうちに一歩でも前に進むというか、その辺りの時間感覚への重視、被爆者が存命のうちにということの重視というのは変わらないですか。
市長
それは、もうベースですね。被爆者が存命のうちに(核兵器)廃絶を目指してできるだけそれに近づけるという努力はもちろんやると。それは大前提の上で個々の手段についての達成目標というのをいろいろな形で研究して掲げるということもおおいにあり得ると思いますけどね、トータルな目標についてベースとなる取組について廃絶するということを念頭に起きますから、いつまでということは実際に言えない中で、言ったからじゃあ、事態が解決するかといった問題であります。むしろ、取組について効果的なやり方を日々検証する中で取り組むということをやっていく中で思いを実現する努力をしますということを誓うというか、皆様にお示ししてともに頑張ろうというものにしていきたいと思っています。
記者
今までの背景事情の中にも国家間の安全保障を中心に議論されてきた核軍縮だということで、これがそういった脈絡の中で語られ、ただこの間、広島市長、長崎市長のご尽力、多くの方の思いを背負った平和市長会議が出ていって、発言されることでそういうこともあってこの度の条約が発効に至ったというふうに見るのですけれども、やはりただ足元の日本を見ても、どうしても安全保障の中でしかこれが語られないという現実は、あまり日本国内においては変わってないような気がするのですが、その辺り広島市長としては、なかなか、常日頃から安全保障については国のお仕事ですからというところがありますけれども、市民の思いを背負った広島市長を会長とする平和首長会議としてこの辺りもうちょっと活発な議論なんかを国の外交の国内での議論において、もうちょっと国会なんかでも活発な議論をなされてもいいんじゃないかというふうに一市民としても思うのですが、その辺り平和首長会議の会長としては、ちょっと今の水川記者の質問にもありましたが、被爆者の存命のうちにというのは変わらない中、もうちょっとスピードを上げていくためにもその辺りはいかがでしょうか。
市長
今の御質問は今まで言っていること、だいぶ御理解深まった上での御質問ということで納得なのですけど。私が申し上げておりますのは、今の国政をコントロールしている方々に核兵器廃絶ということを願う対応をするのであれば、それに即した行動をしていただきたいという主張はずっと変わっておりません。ただ、それを取るためにどういった状況設定があればそれが可能になるだろうかと考えたときに、核兵器禁止条約を具体的にサポートするということができれば、それを願う方々の気持ちに添った、非常に元気づける行動ですし、多くの世論を喚起するとそういった効果も、いわばトリクル(ダウン)というか、上からおりてくるということも十分あるのですけれども、政治というものを市民の目線で見たときに、こういった被爆者の思いを皆が持っていただくようにするためには市民社会といいますか、多くの方々が市民の、あるいは被爆者の思いを自分たちのものにするということを、まずしっかりやらないと、これが充実した対策にならないんじゃないかというのが私の根本的な発想なのですね。これは、被爆者の援護措置もそうなのです。被爆者に対する手厚い援護措置をするというふうにしたときに、確かにそうだと言う方と、一方で、終戦間際には原爆で亡くなった方以外に、焼夷弾で亡くなった方々もおるのだと、そういった方々とのバランスを考えて、被爆者だけ手厚くするのはどうかというような御意見もあったりするという中で、援護措置なんか、なかなか円滑にスタートしないということも実はあったのですね。そうすると市民社会、つまり、そういった決定をする国会議員のレベルで、間違いなく市民社会の総意としてやれるのだということがあれば、こういった問題、もっとスマートにどんどん進むのですよね。それをどこかの決定者がやらないから、あの人が悪いのだと、あの人をやっつければということを言い始めると、平和とか被爆者の思いが政争の具になるのですね。私がやればそういった問題解決しますと。じゃあ、その方々を支援しようじゃないかと、じゃあ、そういう方々がコントロール権を取ったときに、やることができたかと。一旦、民主党政権、確立した局面ありました。そのときに、被爆者援護とこの平和の核兵器廃絶に向けての取組がどれくらい進歩したか、その3年間。私はその頃内閣というか政府におりましたけれども、そういった議論すら進まなかったのですよ。そういった現状を見たときに、政争の具にすることなく、本当に被爆者の思いを実現していくためには、市民の総意、国民がそういったことを思うような状況にして、そこから為政者が選ばれて、しっかりした対応をしていくためのベースを作ることこそ重要だということを申し上げているのですね。政争の具にしないでいただきたいということはそういった思いなのであります。ですから、国際社会に向けても同じようにそれをやりたいと思います。そして、今の各国、核兵器を持っている国、同盟国、それが当然、廃絶に向けての動きをやっていただくことはあっていただきたい。その前に、国々の中でNATO(北大西洋条約機構)でもそうです。そういった国々の国民、多くの方がこの考え方を支持して、それを推進する政治家を出すという状況を作っていくこと。それこそ重要じゃないかということを申し上げているということを御理解いただきたい。
記者
今の話の続きなのですけれども、市民の盛り上がりということでいいますと、去年は少し延期になりましたが、若者たちによる夜の平和を考えるというイベントがあったのですけれども、今年もああいう若者が主体になって、被爆者から体験を引き継ぎ、思いを発信していくなど、誓いを立てる場というかそういったイベントを今まで以上に場として作っていきたいのか、その辺り市長の考えをお願いします。
市長
はい。次世代を担う、次代を担う方々にこういった思いを相互に交換するといいますか、被爆の実相を知り、かつ考え、自分たちの行動をどうしていくかということを考える、そういった機会をふんだんに用意するというのは、多分この平和首長会議の使命であろうということで、「平和文化の振興」ということを柱にしたいと思ったわけであります。若い方々、幸いこの日本国においては戦後75年間、戦争行為ということに加担しないというそういった中で、現実の問題として、そういった被害に遭う経験をしない世代が次の時代を決定していくという、そういった時代に入りました。世界各地ではまだ紛争があり、その紛争を経験している方々は決してこういったことはいいとは思わないでしょう。ない世界をということを自らの体験として願う世代まだまだおられます。けれども、日本はそういった状況になくなっております。したがって、どこよりも強く若い方々が自らは体験してないけれども、被爆者の思いというものを自分のものにするための活動をしっかりとやっていくということが、一層強く求められております。戦後75年間の間の日本国における平和憲法の維持や、被爆者援護措置というものは、自分たち自身も戦争を体験してこういったものはあってはならないなと思った多くの方がおられて、そういった方々の気持ちを具現する政治がこういった状況を作ってきたというふうに思っております。そういった思いを大事にするということをやり続けたい。そういった災禍を経験しないとそういうふうに思わないということをやってしまえば、そういった世代がいなくなれば、また同じような過ちを繰り返す世代が出てまいりますので、その苦い経験を繰り返さないための学習といいますか、自らのものにするための活動、これがますます平和(な状態が)ある程度長くなれば(続けば)、反比例してそういったことをしっかりやっていく(必要性が生じる)ということかと思うのですね。そういう意味で次世代を担う方々への平和に関係する行動、「平和文化の振興」ということを、そういったことをしっかりやっていきたいと思います。
記者
ちょっと重ねてなんですけれども、去年の11月に行った若者の集いみたいなことも今年も。
市長
できればいろいろな形でもっともっと多様な機会を捉えて、若者が平和について考え行動するいろいろな取組をやっていただければというふうに思います。
記者
ありがとうございます。
■市政記者クラブからの代表質問■
【市内4区の住民等を対象としたPCR検査について】
記者
新型コロナウイルス関連で3点、質問がございます。まず1点目なんですけれども、市内4区の住民らを対象にしたPCR検査について伺います。新型コロナウイルス感染症対策として県が計画している、中区、東区、南区、西区の4区の住民らを対象にした無償PCR検査について、現在の広島市における感染状況を踏まえ、その必要性を市長がどう考えているのか聞かせてください。
市長
はい。この新型コロナウイルス感染症対策につきましては市の立場を申し上げますと、国、県が計画いたします対策というものを確実かつ着実に実行するという立場にあるというのが基本認識であります。その上で今回のPCR検査につきましては、県からは感染が収束すれば別途判断するが現時点では予定どおり準備を進めるというふうな考えだということを聞いております。本市の状況を見てまいりますと12月以降は急速な感染拡大、歯止めがかかっておりまして、直近1週間の10万人あたりの感染者の新規報告者数、1月18日以降ステージ2のレベルですね。これをなんとか維持しているというふうな評価になっております。一方で全国的な状況を見てまいりますと、いまだ感染状況は収束していなくて、(本市でも)再び感染拡大、しかも急拡大が起こる可能性があるというふうなそういう状況にあります。県の計画は、多分こうした状況、市の状況と全国の状況、こういったものを踏まえて策定されたんじゃないかというふうに受止めております。
記者
県の判断が、近々に正式に認定されると思うんですけれども、もし実施された場合に陽性者がたくさん出て、市の方で当然、濃厚接触数の把握、実務の方を担うことになるので相当職員さんの負担とかも増すことになる可能性もあると思うのですが、それの可能性がある中でも一応協力していくのでしょうか。
市長
最初申し上げましたように県の方が感染が収束すれば、どこをもって収束するということを判断されているかの問題はあるんですけれども、収束すれば別途判断する、つまりやめるということだと思うんですけどね、そういった状況の中で現時点では収束が見通せたというふうには受け取れないので予定どおり進めたいと、こういうことであります。将来のことについてはどなたも分かるわけないと思う、神のみぞ知るでありまして、直近の状況は市とすれば年末年始の個々人の対応、3密を避けていただくということをお願いした中の成果が一定程度出てきているというふうに思うんですけれども、県下全般見たときに、あるいは一定程度、全国的に移動は抑制されているけれども、まだまだ交流があるという中で、全国の状況を見たときに、この市の状況が安定的に推移するかどうか分からないので、やるというふうにいわれておるそのこと自身は一つの知見でありますのでね。こちらの方でいい悪いということを言えるだけの具体的な判断材料は持っていないというそういう中で、やるとすれば今言われたように市の職員としても、先ほど申し上げましたように確実かつ着実に実行するための体制確保と業務量というのは出てまいります。しかし、問題を乗り越えるためにはしっかりと受止めて頑張るというほかないなと思うんですね。そういうふうに受止めておりますけれども。
【新型コロナウイルス感染症のワクチン接種体制の準備状況について】
記者
2点目なんですけれども、ワクチンについてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症のワクチンについて、厚生労働省が早ければ2月15日に専門部会を開き、特例承認の可否について決定することと、A製薬会社と年内に7,200万人分の供給を受ける契約を締結したと発表しました。ワクチンの承認後、早ければ2月中旬から医療従事者への先行接種が開始される可能性があると見られています。医療従事者の先行接種を含め、市民へのワクチン接種体制の準備状況についてお聞かせください。
市長
国の方から現時点で示されております、この新型コロナウイルス対応のワクチン、このワクチン接種のスケジュールを見てまいりますと、まず来月下旬には国が医療従事者、約1万人を対象として先行的な接種をすると。そこでいろいろな効果なども見定めるということをやりながらやると。そして、3月中旬には、今度は県の方が医療従事者や保健所の職員、さらには救急業務に従事する消防職員、そういったものを対象に優先的な接種を行うというふうな予定だと聞いております。そうした中で、市の役割は直近時点では、4月上旬から65歳以上の高齢者をまず対象とした接種を行っていくと。そして、その後のステージで接種時期そのものはまだ決まっておりませんけれども、国・県が接種した方々を除く、かつ、また65歳未満の方を対象とする接種という、こういう大まかなスケジュールになっております。こうした中で、本市では昨年から事前準備に着手しておりまして、今月に入りまして18日には健康推進課の中に8人体制の専門チームを設置いたしました。この専門チームの取組でありますけれども、まずは先ほど市が4月上旬からという役割分担を仰せつかっておりますので、市内にこの65歳以上という方を見ますと約30万人はおられますので、そういった方々を念頭において、こういう4月上旬からの接種に向けての準備作業に入っております。具体的には、接種会場をどういうふうに確保するか、会場内の配置を考え、そして、そこに配置する医師等をどういった形で確保するかを医師会等と関係機関、一緒に調整をすると。そして、後は接種するに当たって対象者を呼び込む、チェックするというふうな機能を持たせるクーポン券、こういうのも記載なども国の指示を受けながら発送の準備をすると。こういった作業に取り組んでいるところであります。そして、残りの市民、大体、広島119万(人)の市民(当面対象と想定される16歳以上は102万人)ですから、ざっくり言って高齢者の方30万(人)やればその残り、単純に引き算すれば70万人になりますけれども、そういった数十万人の方に向けての接種、今申し上げたような対応も含めて必要な措置をとると。こういった準備作業に入っております。いずれにしても、こういったワクチン接種が(新型)コロナウイルス感染症対策に一定の効果があるということで国としても本腰を入れて取り組む課題であります。市とすれば、そういった課題の取組に関しては、市民の皆さんの立場に立って、円滑に行われるようにしていきたいと考えております。今後、必要に応じて適宜、情報もしっかり提供して、皆さん方の協力を仰げるような状態にしていきたいと思っております。
記者
65歳以上の高齢者を対象とした、65歳以下の方への接種への段階の話ではあるんですけれども、例えば心疾患を持った方とか感染リスクが高い方、そういった方を優先して接種していくっていう方針っていうのは、今のところありましたでしょうか。
市長
まず4月から始めていく中で高齢者、65歳以上をというのは多分、国の方の判断ですけれども、年をとると基礎疾患も増えてくるということで、ざっくり65歳以上をつかまえておられると思うんですね。さらにその後の64歳以下の方々を対象にするときにも、今言われたような区分がちゃんとありまして、例えば基礎疾患を有する方とか、それから65歳未満でも高齢者の施設に入っておられるとか、そういう施設で従事されておる方々といったような方、これは今言われたように感染リスクが一層高いわけでありますので、そういった方々を優先してやると。そして、そういった優先してやるときに、いわゆる接種の方法も集団接種と個別接種というやり方が出てまいりますので、そういった感染(リスク)の高い方々にやるときに、集団接種を優先するのか個別接種を優先するのか、そういった操作の組み合わせもして、それらを処理した上で先ほど申し上げた案内、通知といいますか、そういったものをやるとかいったようなことが必要になるかというふうに思っております。ただ、日程とそのワクチンの供給量とか具体的なスケジュールは、まだ国から来ておりませんので、想定でいろいろな場面をシミュレーションしているといいますか、対応方法を考えているというのが現下の状況であります。
記者
先ほど市民の立場に立って円滑に行われるようということでおっしゃいましたが、これに関しては一定の効果があるということで、鋭意進められるという御準備だと思うんですが、お話を市民の方に聞いていると受けるのが怖いと、高齢者の中でも自分たちが優先して受けるのは逆に怖いとおっしゃる方もいるんです。それはワクチンというのが、急いで研究者の方が作ったものであるが、それの安全性について危惧を持たれる方が多いのは、これは当たり前のことだと思うのですけど、その辺り、受けないという権利も担保されるのかとか、その辺について不安を抱えておられる市民の方もいるんですが、特に子宮頸がんワクチンの記憶があるので子育てをしている、今回は16歳未満の方は関係ないですが、その辺り、ワクチンとのつきあい方というか、受ける受けないも含めて、市民の選択として、どうあるべきかという御意見をお聞かせいただけないでしょうか。
市長
確かに市民本意で考えたときに、ワクチンを受ける立場になったときの判断というのは非常に現時点では複雑ですよね。言われるように、マクロで見ると新型コロナウイルスを抑制していくために、不可欠なものとして、ワクチンというのは誰しもいるだろうなと分かると。しかし、そのワクチンが本当に人体に悪影響、副反応を起こさずに、きちっとした効果が出るものかということについて、開発を始めて間もない、治験も十分だというふうな情報が流れてない中で、良くなる可能性があるのだからやってみてはという、そういった段階で皆さんに強制して提供できるようなものではないだろうということ。しかしながら、やらないとまた状況が沈静化しないという苦渋の決断の中で国としても世界レベルでも検証しながら、使っていこうという状況であることは皆さん御承知だと思います。そして、これ薬というものについては10万人100万人打った中で、特別な体質があって、ごく僅かな範囲で副反応が起きるといったようなものが薬一般の宿命だということ、そしてその範囲が世の中に流通する薬として、一般的にそういったものが出れば症状を抑えるための対応ができるんだということで、薬として許可をするということで、世の中、流通しておるわけです。コロナについてのウイルスが世界的に行き渡って、そして他国でも使用しながら成果は出るけれども副反応がほとんどでないという状況が、もうしばらくすれば出てくるんじゃないかという見込みのもとでやっているということを、まず市民・国民の方、ある意味で信じてもらいたいのです。そうしないと、この物事がスタートしないという状況。そしてどうしても個人としてまだまだ納得いかないと、その代わりに3密を避けて自分の症状に応じて健康維持をしっかりやるということとセットで、慎重な対応するというようなことを言われる方に強制ということはできないということだと思うのです。ですから、今申し上げたようなことをよくよく咀嚼するということをかつ冷静にやっていただいた上で、臨むという覚悟をまず市民の方に持っていただいた上で、それを施行する側は必要かつ的確な情報を皆さんに包み隠さず提供するということだと思うんです。適正な判断をしていただくための隠し事をしないということが、基本になろうかと思います。そうした上で後は実務として接種を受けようとしてきたけれども、ちょっとした情報の処理がまごついて、せっかく接種しに来たんだけれども、こんなに手間食うんだったら、もう受けないとか言って、その接種会場を去るとか、担当者等とトラブルが起こるというようなことがないようにする、その点についての注意をしっかりしながらやるというのが、私は基礎自治体、実行部隊の使命だと思っております。そういう意味で、そういった点についての留意をしっかりしながら円滑な施行ができるような準備をしっかりするよう担当チームに指示をしていきたいと思っています。そういう状況を御理解いただきたいということです。
記者
今のワクチンなんですけれども、ちなみに副反応とかいろいろどうなるか分からない中あるんですけれども、市長自身はそのワクチンを受けるつもりはあるのかないのかその辺はどうでしょうか。
市長
私自身は今申し上げたのを総合判断して適用対象になれば、もう65歳以上ですから割りと早いタイミングで受けるべき対象になるし、受けようと思いますよ。
記者
その辺りのいわゆる副反応とか、そういったとこのリスクはどこか頭の中にあるけれども、総合的な判断として御自身、市長も高齢者とおっしゃいましたけれども受ける方がメリットが高いと思って接種に臨まれるんでしょうか。
市長
おっしゃるように副反応というリスクはありますけれども、それはインフルエンザを受けていますけれども同じなんですね。医薬品っていうのは元々、その人間が一つの完成態としての生き物として生きている中で機能障害を起こしたときに、外から、ある意味でその機能を阻害するか妨害するという役割というかそういう機能を持ったものを注入してそれに肉体がうまく反応してその症状を和らげるかうまくこなすか、自分の中でそういう抵抗反応をやるというのが薬の本来の働きだというふうに学習しています。ですから「毒をもって毒を制す」という言葉があったりしますよね。毒でも少量入れることでその毒をこなす力を人間が作り上げて、大量にきたときにその毒に勝てるというようなそういった要素もあるようでありますので、それうまくできない方々はそういった治療ができないということ。それを副反応という言葉で言っているようであります。ですから一生懸命開発をするというその努力の中でめいっぱいそういったものが起こらないような開発をしてきて世界中でみんなで取り組もうというふうな流れになっているわけですから事態を冷静に見た上で自らも総合判断し、そういった症状が起きたときにはきちっと対応していただけるということを期待して、きちっと自らの健康状態と人様に感染させることのないようにするということを重視しようということになれば、いろいろなことを考えてもやはりワクチンを打っていくということがいいことじゃないかなというふうに思っております。
【新型コロナウイルス感染症の状況について】
記者
広島市における新型コロナウイルス感染症の感染状況については感染者数が減少傾向にありますが現在の状況を市長はどのように捉えられているかお聞かせください。また、国は広島市における感染状況が改善しているとの判断から緊急事態宣言に準じる地域に該当しないことを決定しましたが、この対応について市長の受止めをお聞かせください。よろしくお願いします。
市長
今までお話しした中で大体分かっていただけると思うんですけれども、市の感染状況については今申しましたように、ステージ2のレベルでなんとか維持できていると、これは皆さんの個々人の行為対応でのおかげだと、こういうふうに思っていますからこれをもっと徹底していただくとありがたいなというようなそういう状況であります。そうした中で1月16日の緊急事態宣言に準じる地域に該当しないという決定は、まさに市域に限ってのこういった状況を客観的に評価していただいたものじゃないかなというふうな受止めでありまして、市域に関してはそういうことでありまして、また市域を囲む圏域全体とか隣接する地域とか日本国全体を考えると収まってないという状況があるという中でこの状況を確実なものにし、できればもっと抑えるということをしっかりやり続けると。せっかく緊急事態宣言に準じる地域にも該当しないと言っていただいたんですからそれが維持できるように頑張りたいなというふうに思っております。
※( )は注釈を加えたものです。