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ページ番号:0000013155更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2019年7月11日記者会見「第87回全米市長会議年次総会及びホノルル市との姉妹都市提携60周年記念事業への出席等について(帰国報告)外3件」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

第87回全米市長会議年次総会及びホノルル市との姉妹都市提携60周年記念事業への出席等について(帰国報告)

市長

 この度、第87回全米市長会議年次総会及びホノルル市との姉妹都市提携60周年記念事業への出席等を目的として、6月29日から7月5日までの7日間の日程で、米国・ホノルル市を訪問いたしました。そのポイントについてお話をいたします。詳しくはお手元の資料を後程御覧ください。

今回の出張の前半の、全米市長会議年次総会への出席を主たる用務とする期間中には、様々な発信活動を行いました。

まず、6月30日の総会で約300人の市長さんたちを前にいたしまして、スピーチをする機会を得ることができました。会長であるサウスカロライナ州コロンビア市のベンジャミン市長からの御紹介をいただいて登壇いたしました。スピーチでは、平和首長会議の活動を紹介した後、「被爆者たちは、平均年齢82歳を超えた現在も、『こんな思いを他の誰にもさせてはならない』という信念の下、核兵器のない平和な世界が訪れるよう訴え続けている」、また、「どの核保有国も核戦力の近代化・機能向上のために費やしている予算は、市民の福祉や都市の基盤づくりなどのためにより建設的に使用され得るものである」といったことを述べました。

このようなことを述べた時には会場から拍手が沸き起こり、スピーチの後にも、複数の方から通りすがりに「良いスピーチだった」といった声をかけていただきました。核超大国である米国の市長さんたちに、被爆者の思いが十分伝わり、共感していただいたというふうに思っております。

また、オバマ前米国大統領の母校でもありますプナホウ・スクールで、約130人の高校生を対象に講演を行いました。被爆の実相と被爆者の思いを伝え、核兵器のない世界の実現への道を共に歩んでほしいとの旨を述べました。

生徒たちはメモを取りながら熱心に講演を聴いてくれまして、その後、質疑応答の時間には、「核兵器の廃絶は可能なのか」とか、「平和首長会議の会長として活動の成果をどのように考えているか」とか、「他国が原爆投下から学ぶことは何か」などといった質問が相次いで出ました。私は、「原爆投下は人類全体にとって大変不幸な出来事だったけれども、再びその悲劇を繰り返さないために、意見の対立をいかに平和裏に解決できるか理性的に考えて、持続可能な地球を残していくことが重要だ」といった旨を伝えました。次代を担う青少年にも、しっかりとヒロシマの心を伝えることができたのではないかと感じました。

さらに、ハワイの新聞社からインタビューを受けまして、一面に記事を掲載していただくということがありました。その記事では、全米市長会議で私がスピーチの中で訴えたことの他に、被爆者の体験や核兵器廃絶への切なる願い、平和首長会議の活動を紹介していただいたと思っています。

また、インタビューの後半には、加盟都市であり、毎年全米市長会議において核兵器廃絶や平和首長会議への賛同決議を共同提案してくださっていますオレゴン州ビーバートン市のドイル市長も同席してくださいまして、「市長が市民と共に国を動かしていくのだ、そのために平和首長会議は核兵器のない世界に向けて世界の国々で変化を起こしていく」と力強く記者に向かって言っていたこと、それが記事に記載されまして、日米の市長の平和への思いがハワイの方々にも効果的に伝わっているのではないかというふうに思いました。

今回の年次総会では、スピーチ以外の場面でも、多くの米国の市長さんたちに直接被爆者の思いを伝え、平和首長会議の活動を紹介し、加盟を呼びかけることができました。

サウスカロライナ州コロンビア市では、8月に広島と長崎のために追悼行事を開催しているようであります。今年は「平和都市宣言」を発表される予定というふうに聞きました。また、オレゴン州ヒルズボロ市では、被爆樹木のイチョウの苗木を育ててくださっており、キャラウェイ市長さんはその苗木の写真まで見せてくださいました。そこで両市の市長さんに、すでに広島の思いを共有していただいていることへの感謝を伝えながら、その思いをより一層米国内に広めていくために、是非平和首長会議に加盟して我々と協働してもらいたいというふうな要請を行ったところ、非常に良い反応を得ることができました。

さらに、核軍縮の重要性を訴えて大統領選に出馬されているギャバード下院議員に対しても今後の平和首長会議との連携を要請するという場面もありました。

また、米国のリーダー都市でありますデモイン市のカウニー市長らの尽力によって、19人の米国市長さんの共同提案による核兵器廃絶と平和首長会議の取組への賛同決議が満場一致で採択されました。その結果、2006年から14年連続で採択されることになりました。こういったことも米国内での加盟都市拡大及び都市・市民レベルの核兵器廃絶に向けた気運醸成につながるものというふうに期待しています。

今後も、コールドウェルホノルル市長やカウニー市長をはじめとする米国の加盟都市の市長さんと協力しながら、核超大国の米国における市民レベルでの連帯の輪をさらに広げていきたいと考えております。

次に、今回の出張の後半の、ホノルル市との姉妹都市提携60周年記念事業への出席等についての説明をいたします。

本市とホノルル市の姉妹都市提携60周年記念事業といたしまして、記念セレモニー、被爆樹木植樹、芸術団公演及び広島広域都市圏特産品のPrというものを行いました。セレモニーでは本市とホノルル市との友好関係の再確認文書に、両市長とそれから両市議会議長の四者が署名いたしました。両市の繁栄と両市の市民のさらなる友好関係の発展のため、経済、教育、青少年、平和、スポーツ、文化などあらゆる分野での交流の促進を誓うことができました。

被爆樹木植樹に関しましては、昨年種をホノルル市に送り、フォスター植物園で育てていただいていた被爆樹木のムクノキが立派な苗木に育っておりまして、ホノルル市の代表、本市の代表、さらには在ホノルル日本国総領事とで、同植物園内の中で平和の心を共有する象徴となることを願いながら植樹を行いました。このムクノキへ続くバリアフリーの小道を造っていくというふうな説明がそこでありまして、そういう計画なのだなということを聞きましたけれども、こういった取組の中で多くのホノルルの市民の方が、この被爆樹木を見て平和を感じてもらうことができればなというふうに期待しているところであります。

芸術団の広島ジュニアマリンバアンサンブルは、記念レセプションの公演の他に、市内2か所の大規模ショッピングセンターでの公演を行いました。若いメンバーによるはつらつとした演奏、これは多くの方に高い関心を持って受け入れていただきました。市民レベルの文化・芸術交流を図ることができたのではないかと受け止めています。

それから記念レセプションでは特設ブースを設置していただきまして、広島広域都市圏特産品の展示、試食・試飲等を行い、大変盛況でありました。また、現地のレストランで開催いたしました広島レストランフェアを通して、多くの地元の方に広島の魅力を知っていただくこともできました。

次にホノルル日本人商工会議所会頭訪問をしたときに、日系人が漬物、ふりかけをよく買うというふうな傾向があるということを聞きましたので、今後は消費需要を捉えて、日本の食材、特産品を届けることで、日系人の経済・文化を側面的に支援して、それが経済面で貢献していければなというふうな感触を得ることができました。

ワイキキ・インプルーブメント・アソシエーションという会社にも行きましたけれども、ここではまちづくりの方向性を、住民をはじめ関係者を巻き込んで、2年間掛けて話し合いを重ねた上で、ワイキキの住民にも、あるいは観光客にも魅力ある環境整備、それと美化のための行動計画を策定して、その計画に沿ってまちづくりを今実行してきているのだという説明を伺いました。そのおかげで非常にきれいなまちで観光客数もいったん減っていたのが確実に伸びているというふうなこともお話をいただきました。住民をうまく巻き込むという方法論、本市のまちづくりの基本的な考え方であるエリアマネジメントと一致するものでありまして、その成果を目の当たりにいたしました。エリアマネジメントの一層の推進ができればなというふうな思いを新たにしたところであります。

また、広島からハワイに移住された多くの移民の方々の苦労を偲ぶために、ハワイ日本人移民慰霊碑を参拝いたしました。移民の歴史を学べるハワイ日本文化センターも訪問しました。今回こうした訪問や見聞を通しまして、日本人がハワイという新天地において日本人同士で共生社会を築いてきて、困っている時に助け合える関係を発展させてきたことが今日のこういった勢いにつながっているなということが理解できまして、あらゆる社会の発展には「共生」ということがベースとなることを強く実感しました。本市におきましても、地域共生ということをコンセプトに据えて、持続可能な社会をつくっていくということの重要性、またそれが必要だということを強く思った出張でありました。以上です。

市政記者クラブからの代表質問

平和宣言について

記者

 市政記者クラブからの代表質問が、今回三つございます。まず一つ目なんですけれども、平和宣言について。8月6日の平和宣言について、二つの広島県被団協などの県内の被爆者団体、市民団体などが相次ぎ市長に向けて要請書を市に提出されて、宣言の中で広島市長として日本政府などに明確に核兵器禁止条約の署名・批准を訴えるよう求めていらっしゃいます。要請に応えて、今年の平和宣言で広島市長として明確に日本政府に条約の署名・批准を訴える文言を盛り込むお考えはありますでしょうか。お聞かせください。

市長

 この度受けています要請は、被爆後74年という年月が経過する中で、長年にわたって核兵器廃絶を訴えてきた被爆者の方々が存命のうちに、核兵器廃絶を見届けたいという切なる思いが根底にあるんだなという受け止めをしています。そして、そのためには被爆国日本が、被爆者と同じ気持ちで行動してくれることを切に希望されている、望んでおられるということの表れだろうという受け止めをしているところであります。

 私自身は、平和宣言は、「このような思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の思いであり、また「ヒロシマの心」でもありますけども、これを世界共通の価値観にするために行うものと位置付けて、これまでもやってきていますし、これからもそうしていきたいと考えております。したがって、要請にあります被爆者の思いをどのように反映するかに関しましては、今申し上げた考え方をベースにしながら「平和宣言に関する懇談会」での御意見もお聞きしながら、しっかり検討していきたいと思っています。

記者

 市長の今のお答えの中で、宣言というのは「このような思いを他の誰にもさせてはならない」という世界共通の価値観を共有するためにしていきたいという世界共通の価値観という観点を重視されているということなんですけれど、過去の平和宣言を見ると、一番最後から2番目ぐらいのパラグラフに「日本政府には」という日本政府に対する個別の問い掛けというパラグラフが、段落がずっとあるように見受けられまして、例えばエネルギー政策の見直しとか、あるいはNpdi(軍縮・不拡散イニシアティブ)の広島会合への期待とか、あと黒い雨とかですね、重視しているのはおっしゃったことだと思うのですけど、日本政府への要望というものをしてきていると思うのですけど、過去にそういう日本政府に対する言葉で言ってきたことに比べて、日本政府に対して核兵器禁止条約の署名・批准を求めるということは、緊急性がないというか重視していないというお考えなのでしょうか。

市長

 いや、そんなことは言っていません。今申し上げたように被爆者の思いを、ヒロシマの心を世界共通の価値観にするために行おうと思っています。これからもやっていくということをベースにしながらですね。日本政府に言っている部分の内容をよく見ていただくと、被爆者の援護措置とか被爆者を大切にするということをやってくださいという視点から結びで必ず言うようにしているんですね。高齢化して大変な目になっていると、そういう思いをちゃんと受け止めて、今被爆者を救える立場にあるのは日本国しかないんですね。原爆を投下したアメリカが救ってくれるわけではないんですよ。救う方いないんですよ。だから、そこに向けてはという文脈で日本政府にはしっかり言うということであります。核兵器禁止条約についての要請については、他でも言ってますけども、平和首長会議の立場として、しかも、国内99.5%の市町村を組織する組織の長として、しっかりと日本政府にこういった考え方を受け止めてやってくれということは言い続けておりますので、先ほど申し上げたように、平和宣言はヒロシマの心を世界の共通の価値観にするためということを念頭に置きながらやるということを貫く中で、先ほど言いましたように、日本国政府にも同じように、被爆者と同じように行動してくれということを切に望んでいることをどう表せるかと検討しているということであります。

記者

 あと一つありまして、事実確認に近いことなのですけど、今回の要望に加わった被爆者6団体には、坪井直さんが理事長を務める広島県被団協も名を連ねています。坪井さん自身は、市の懇談会には出席はしないけれども、助言者として平和宣言の作成に関わるというふうに広島市さんは位置付けていらっしゃると思います。それで、こういう要請があったことだけに、本年度、坪井さんへの意見聴取というのは、既になさっているかどうか。明日、懇談会があって宣言の文案が示されると思うんですけど、これは本年度に坪井さんから既に聞いた意見を踏まえた文案なんでしょうか。

職員

 実際には、まだ伺っておりません。

記者

 聞いていない。なるほど。

市長

 今回は体調が悪くて出られていないので、今まではずっと来られていましたからね。今回は出ていないです。事務的には、お聞きしてということ。

職員

 今回の懇談会の先になるか後になるか、調整をしています。御意見は伺います。

記者

 これから伺うと。今回の要望というのは、平和宣言の作成に加わると位置付けている坪井さんの助言の一環としても受け止めるという理解でよろしいですか。

市長

 今までも坪井さんにずっと意見いただいていますし、今までと変わらないと思います。

記者

 今までと変わらないということに関連して、坪井さんは、昨年の8月6日の平和宣言について、取材に対して、「なまっちょろい。平和宣言に政府のお膳立てをする行政の色が強くなってきた」と話されていらっしゃって、去年の8月7日の中国新聞にも載っています。松井市長は、坪井さんの昨年の宣言に対するそういう不満を把握されていらっしゃるか。そういう昨年の宣言の不満があったのに、最終段階、文案を示す段階になって、まだ坪井さん、ないしは坪井さんの代理の方に御意見を聞いていないのは不十分と思われませんか。

市長

 坪井さんがそんな不満を持ったということは、私は直接聞いておりません。

記者

 分かりました。

記者

 先ほど最初の言葉の中で、お考えを述べられて、その後、懇談会の意見も伺いながら対応されていくと話されましたけども、この懇談会で平和宣言で日本政府に批准を直接求めてほしいということについて、皆さんはどう思いますかという、そういうことが話題になったことが今まで2回の中であるのでしょうかという質問と、あとは、ない場合なんですけども、明日が最後となりますけども、そこで意見を聞いてみる考えというのはありますでしょうか。

市長

 この点については、中身は非公開でやっていますから詳述するという立場にはないと思っていますけども、私の平和宣言このようなものにしたいんだということは皆さんにその場でしっかりとお話しし、そのことについての意見を伺いながら今までも平和宣言を作ってきています。今回も同じようなやり方で平和宣言を書くということをやりたいと思っています。ですから、今度示しますものについて、きちっと意見を伺いながら最終確定したいというふうに思います。

記者

 懇談会でも意見を伺いながらとおっしゃった以上は、そこでこういう被爆者団体とかから、そういう意見が出ていると、それについての意見というのも聞くことも必要なのではないかと思うのですけれども。

市長

 聞いていますよ。ずっと聞いてますよ。皆さんの要請も聞いています。

記者

 その平和宣言の中で日本政府に訴えてほしいという声があるけど、皆さんどう思うかというようなことを懇談会の出席者に投げ掛けて聞いているわけですか。

市長

 ですから、中身は詳述しませんけども、私の基本的な考え方は皆さんに御説明しながら今までもやってきています。

記者

 直接このことについて聞いてはいらっしゃるんですか。

市長

 日本政府に対してどういう対応を取るかということについては、何度も今までもお話ししてきております。

記者

 30団体近い被爆者団体の方が市長に対して申し入れをされていると思うんですけれども、率直に申し入れを読まれた感想というものを教えていただいてもよろしいですか。

市長

 もう一回言いますけども、74年経過する中で、長年核兵器廃絶を訴えてきた被爆者の方々の御存命のうちに、核兵器廃絶を見届けたいという切なる思いが根底にあると受け止めております。そしてそのためには、被爆国日本が被爆者と同じ気持ちで行動してくれることを切に望んでいるというふうに思って、その表れであるというふうに受け止めております。

記者

今回、被爆者団体から多くの意見が出されまして、このこと自体が、懇談会の在り方自体の問題提起でもあるのではないかと思っていまして。特に幅広い意見の聴取という意味では、被爆者団体の意見含めてですね、もっと幅広い意見を聞くべきなんではないかという声もあります。特に先ほど実際、核兵器禁止条約を日本政府に訴えるべきじゃないかという意見が懇談会で出てきたかどうかっていうことの中身を、非公開だという市長の発言もありましたけども、そういうのを市民の意見をちゃんと酌み取っているかどうかをチェックするためにも議論をきっちり公開すべきじゃないかという考えもあると思います。来年度以降ですね、そういった懇談会の在り方そのものを、人選を含めてですね、公開の在り方も含めて見直すような考え方がありますでしょうか。

市長

 懇談会を設けて、平和宣言を書くというやり方は私が市長になって始めたやり方でね。それまでの市長さん方がどういうふうにやったかということを問うことなく自分の方式でやらせていただいています。その中で、先ほどから言いましたように、「ヒロシマの心」を世界共通の価値観にするために、どういったやり方をするといいんだろうかということをベースに、自分なりに発信する文面をいろいろな方の意見を聞いてより分かりやすく効果的にするために相談をするということで、懇談会を設けているわけであります。だから、その目的に沿うように懇談会を常に考えていくと。どういうふうにするかということは、極めて重要な発想だというふうに思っていますしね。メンバーの方だっていろいろな事情があって入れ替わらずを得ないというような中で、一定程度の入れ替えをやってきていますからね。そういう機会を捉えて、より発信力が強い宣言ができるようにするためのメンバー構成をどうするかという視点での見直しは、常にあっていいなという思いを持っています。言われたように、意見があるなということ、そういうことをどう思うかということについては、そういう懇談会の在り方を考えるときの参考にはさせていただこうというふうには思います。

記者

 公開の部分については。

市長

 公開の部分はですね、今までのやり方の中でも見てますけども、本当にいろいろな、その、個々人の方のつながりを背景にしながら発言する場面と、それを解説しながら説明していただけるという場面もあったりするものですから、そういったことを素直にお話ししていただけるのは、非公開にしていることの成果かなと思っていましてね。公開すると、本当に、個人としてお願いしていますから、その方の意見が捉えにくいところがあったりするものですから、私は、議論のプロセスは非公開でいいと思います。できあがった成果で判断していただくということでいいんじゃないでしょうか。そして経過の主要な点は発表していますからね。これは守っていきたいと思っています。

記者

 今回、多くの被爆者団体が、要望を出されたということはやっぱり自分たちの思いがこれまでの宣言に反映されていないという思いが強いのだと思うのですよね。

市長

 先ほど申しましたように、日本国政府、被爆国日本が、被爆者と同じ気持ちになって行動してくれるということを切に望んでいるのだけど、それが文面に出ていないと。こういうことだということは受け止めていますのでね。それをベースに、先ほど申し上げた自分が世界共通の価値観にするという気持ちでやっている、そういうこととの調整をどうやるかということを今検討しているということで、受け止めておいていただきたいと。

記者

 もう一点だけ。長崎の平和式典だと、被爆者の代表が直接訴える場があると思うのですね、式典の中で。同じように広島も、被爆者が直接訴える場っていうのが一つのアイデアとしてはあるのかなと思うのですけども、その点、市長はどのようにお考えでしょうか。

市長

 これは今までのやってきた平和記念式典のやり方ですからね。平均年齢が82にもなる、その中で、修学旅行生などに被爆体験を、ずっと施設でやっておられる方なんかもですね、数も減ったりなんかしてですね、そういう証言ができないとか発言できないという方が増えている、そういう状況なのですね。だから、やるんだったらもっと、若い頃からずっとやっていただくようにしておくべきだった課題じゃないかと思うのです。長崎方式は、それでずっときているのならそれでいいことだと思うのですけど。それをやっていない中で、いかに被爆者の、その本当に「ヒロシマの心」を伝えるということをどう伝えるかということで、自分の解説じゃなくて、被爆者の証言を引用し始めたというのが私の市長になっての経過なのですよ。御自身が言えないと、言っていないという中で、どう伝えるかということで、発言したい内容を求めている。それを引用するということで、間接的かも分かりませんけど、直接皆さんにお伝えするというやり方を自分なりに工夫してきたと思っています。

記者

 ちょっと改めて確認というところになるのですけれど、2017年・2018年の平和宣言では、核兵器禁止条約ということには言及はされていると思うのですけれども、そこに対して世界の為政者だったり日本政府に対して、賛同だったり署名・批准を求めているかどうかっていうところで、今いろいろな議論が起きているのだと思うのですけれども、市長としては改めてお伺いしたいのが、どういったお立場で言及をされていたということを確認させていただけますか。

市長

 立場。先ほども申したように、被爆者の気持ちを受け止めた上で、「ヒロシマの心」というものを伝えるためにどうするかと。一番は、核兵器をなくせというのは、世界の為政者といいながら核兵器を持っている国が、なくさなければ核兵器なくならないわけですね。そしてそういった核兵器を持っている国に対して、核兵器を持っていない国がなくしましょうと言う。日本政府は、その橋渡しをするという言い方をしていましたので、じゃあ、それをしっかりやってくれということを、論理的に展開するということをやってきたわけですね。だけど、訴えられる方は、何回も聞いていますけれども、橋渡しをするといっても、それが十分ではない、やってないじゃないかと。そのやってないことについて、ちゃんと指摘をしろと、こういうところまで入ってきたわけですね。こういうふうにやってくださいと言っていながらやっていないそのことを指摘しろと、こういうロジックで平和宣言で言えって言われるから、そうじゃなくて目的を確認して、「ヒロシマの心」を共通の価値観にするためのものにしたいのであってね。やってないことをあげつらって、それをやれということを、直接やるということは本当に効果的なのかということを言い続けているつもりなのですよね。話さないことをオッケーって言っているわけでは決してないのですよ。目標を掲げているのだから、それに向けてきちんとやりましょうと言う。そうしたら、やってない事実があるのだからそのことを言えとか、そこをちゃんと指摘しろと。こういうことですから、その指摘の仕方は工夫しなければいかんなと思っているということは伝えたいです。

記者

 そのお立場は分かった上で、核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取組を進めていきたいという文言は、これは賛同を呼びかけているというふうなことになるのか…。

市長

 もちろん、その一里塚ということについては条約が発効しなければ、単なる絵に描いた餅ですからね。発効させるためには、条約を批准するということをやりますよね。そういうことを込めて書いているつもりですけども、そこが丁寧に書いていないということかも分かりませんね。それを日本国政府もやれということが書いていないからということを言われているのだということは重々分かっているのですけども、文脈で言っているということでは物足りないということを言われている。そのことに関して、足りない部分は、平和首長会議の立場ではきちんと言っているのですよと言ったら、いやそれを言うのだったら平和宣言じゃないかということを言われるから、平和宣言はこういう性格のものにしたいと言っているのですよということも、少し分かっていただきたいんですよ。その上で調整はしようということを今、しております。

放射線影響研究所の移転について

記者

 二つ目の質問です。放射線影響研究所の移転を巡って、6月に米国であった評議員会で昨年度の調査が報告され、放影研は市が提案する市総合健康センターを候補の一つに移転の検討を具体化すると方針を決めました。調査ではセンター移転は技術的に「可能」とされ、市が長年求めていた移転の実現に一歩進んだともとれます。市長の受け止めと、放影研、日米両政府に今後望むこと、実現に向けた市の今後の対応についてお考えをお聞かせください。

市長

 放影研のですね、比治山への建設は、実は、占領下で市民の反対の意見がある中で行われたものだという事実があります。したがって、その移転は全市民的な宿願になっているというふうに考えています。このため、本市では、長年にわたって、国に対して早期に移転を行うよう要望をしてきています。

 こうした中で、昨年度、放影研で移転に関する調査が行われまして、今年の6月27日に、調査内容等についての放影研からの本市に対する説明がありました。

 放影研からの今回の調査結果の説明のポイントは、一つ目が、現在の建物は老朽化が進んで、建物の寿命、工期、費用等を考慮すると、現在の建物を改修して使用し続けるよりも、移転するか、解体して新築することが望ましいということを自らの組織で認める、自ら確認していただいたということが一点。

そして、移転先を検討するに当たっては、超低温自動検体搬送保冷庫(ロボットフリーザ)を搬入できるかというようなことを判断基準としたときに、クリアできる市内の物件を調査したところ、実は、本市が、「移転するのだったらこういうところがありますよ」という形で提案していた広島市総合健康センターが、その判断基準に該当するというかクリアできるということだったと示されました。

 私自身は、この調査結果を見させていただきまして、本当に、ようやく、放影研の移転に向けた本格的な検討が進められる状況になったのだなというふうな受け止めをしております。

 したがいまして、これからは、本市としては、提示させていただいている、広島市総合健康センターが移転先としてふさわしいものになるために、どのような課題があって、どういった対応が可能か、あるいは、するべきかといったようなことについて、同センターの区分所有者でもあります広島市医師会と連携を図りながら、さらには、放影研としっかり協議をしたいと考えております。

 いずれにしても、放影研の取扱いに関しましては、日米両国政府の判断に委ねられることになっております。可能な限り早急に移転の方向性が決定されて、着実に移転することができるようにしていただきたいと、また、それにしっかり協力していきたいというふうに考えています。

平成30年7月豪雨災害から1年を迎えて

記者

 多くの犠牲者を出した昨年の西日本豪雨から今月6日で1年となりました。被災地はいまだ復旧、復興の途上にありますが、1年を経過した所感をお聞かせください。また、市長は以前、基本的な復旧工事の完了について3年という目安をおっしゃいました。その進みぐあいと、今後の復旧、復興作業についてお聞かせください。

さらに、同様の被害を出さないための防災対策にどのように取り組まれていくかをお聞かせください。

市長

 昨年の豪雨災害から1年を迎えました。まずもって、犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、実は、先週、東区、南区、安佐北区、そして、安芸区で開催されました追悼式にも参列させていただきまして、亡くなられた方々に献花もさせていただきました。

 改めて、こういった災害の犠牲者を出さないようにするということ、そして、今もなお、仮住まい等で不安やストレスを抱えておられる被災者の方々の一日も早い生活再建に、力を尽くしていきたいというふうな決意で今おります。

 そんな中で、進みぐあいでありますけども、今、質問にありましたように、3年という基本的な復旧期間をベースにしながら、改良復旧に主眼をおいて、国や県と連携しながら進めております。

 進みぐあいに関しましては、民有地内の土砂等の撤去に関しましては、要望のありました宅地はすべて完了いたしました。それから、被災した家屋の解体、撤去に関しましても、多少、被災された方々のいわば、引越し先の選定などに時間を要しておりますけれども、約93パーセント完了しているという状況にあります。

 一方、道路、河川等の公共土木施設等に関しましては、復旧工事全体で344箇所ありますけども、そのうちの5割、168箇所で工事に着手済みであります。なお、完成しているのは69箇所という状況であります。

 それから、農林業施設等に関しましては、119箇所ありまして、そのうちの3割の34箇所で着手済みであり、そのうち12箇所で工事完了ということであります。

 いずれにしても、すべての箇所の復旧に向けまして、地域の皆さんとの話し合い、協力を受けながら、しっかりと完成に向けて努力をしていきたいと考えております。

 次に、防災対策でありますけれども、これに関しましては、避難情報などが出たときの対応ということ、災害の危険性の認知ということがとても重要であるということで、まず、我がこととして認識していただくこと、そして、行動を共にできるようにするために、避難という行動をする際に、地域コミュニティの役割が極めて重要であるということが分かってきております。

 こうしたことから、この二点についての問題意識をしっかりと頭に入れながら、自主防災組織の充実、そのための防災リーダーの養成であるとか、さらには、地域コミュニティが一緒になって実効ある避難をするために、避難訓練を住民参加のもとでやっていく。さらには、住民が災害発生の危険性を認識できるようにするための取組と、こういったことをやっていこうということで今、取り組んでおります。

 具体的には、昨年7月の豪雨災害で人的な被害が発生いたしました東区の馬木地区、安佐北区の口田南地区、安芸区の矢野地区、安芸区の上瀬野地区、こういったところをモデル地区といたしまして、さらには、各モデル地区に区の担当者を割り当てまして、住民と一緒になりまして、わがまち防災マップの作成、さらには、防災訓練の実施、そして、危険箇所への防災ライブカメラの設置、さらには、地域の防災リーダーの養成といったようなことを総合的に取り組んでおりまして、それも年間スケジュールを設定した上で取り組むということをやっております。

 わがまち防災マップに関しましては、東区の馬木地区では既に完成いたしました。安佐北区の口田南地区、安芸区の矢野地区では、6月にそういったものを作るためのまち歩きを行い、この作成に取り組んでいます。

防災訓練に関しても、防災リーダーが中心となって、子どもたちまでも含めて、この防災体験学習をするといったことを今進めております。

防災ライブカメラにつきましては、数から言うと現在、5箇所に既に設置しているというふうな状況があります。

 こうした中で、このモデル地区以外の地区についても、今申し上げたわがまち防災マップの作成や地域の防災リーダーの養成、さらには、避難訓練、こういったことを確実に広げていくということをやりたいと思っておりまして、地域の防災力の強化を目標にしっかりと対応していきたいと思っております。以上です。

※( )は注釈を加えたものです。

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