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ページ番号:0000013132更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2018年08月17日記者会見「平成30年第3回広島市議会臨時会提出案件について」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

【平成30年第3回広島市議会臨時会提出案件について】

<会見録>

市からの発表案件

平成30年第3回広島市議会臨時会提出案件について

市長

 冒頭、改めまして、この度の豪雨災害でお亡くなりになられた方々に対しまして、謹んで哀悼の誠を捧げますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げたいと思います。

 さらには、けがや住宅の損壊などの被害に遭われた多くの皆様に対しましても、心からお見舞い申し上げたいと思います。

 さらに、この度の災害に対して、救出あるいは救助活動等を行っていただいた国、県、さらには関係機関、あるいは宅地内の土砂撤去に従事していただいたボランティアの皆様、さらに災害義援金や寄附金を送っていただいた全国の多くの方々に対しまして、この場をお借りして厚くお礼申し上げたいと思います。

 その上でそれでは、補正予算案の説明に先立ちまして、まず被災者の生活支援についての取組を御説明したいと思います。

 まず、民有地内の土砂等の撤去ですが、こちらに関しましては現在、施工業者を34社42班という体制にまで増強しておりまして、10月中には全ての撤去を完了させるべく、鋭意作業を進めているところであります。

 なお、昨日の時点におきまして、被災地の皆様から撤去の同意を得た750件のうち212件の作業に着手しており、176件は完了しているという状況にあります。

 次に、仮住宅の提供状況等についてでありますけれども、昨日時点におきまして、市営住宅、県営住宅及び国家公務員宿舎等には44世帯、民間賃貸住宅には、御自身で住宅を探して入居され、本市が無償提供することにしたものを含め、60世帯の入居が決定しております。

 なお、こうした取組などもありまして、避難世帯数は最大で3,742世帯ありましたけれども、昨日時点においては、53世帯となっておりまして、今後、入居状況が整えば順次、退去できるようになると見込んでおります。

 次に、水道施設につきましては、最大で1万3,300世帯で断水していましたが、被害施設の応急復旧を進めた結果、8月10日をもちまして断水は解消されております。

 続いて、補正予算案についての御説明をいたします。

 この度の公共施設等の本格的な復旧や7月22日の専決処分後に新たに判明した被害への迅速かつ確実な対応に必要な予算を確保するために、8月28日火曜日に平成30年第3回広島市議会臨時会を招集し、一般会計補正予算案など6件の議案を提出する予定にしています。

 まず、補正予算案についてでありますけれども、今回の補正予算の規模はお手元の資料をご覧いただきたいと思います。全会計で172億794万4千円となっております。

 その内訳といたしましては、公共施設等の本格的な復旧を行うため、道路については矢野・安浦線など178路線468か所、河川については榎山川など190河川815か所、農道や水路、農地、林道などの農林業施設728か所、公園施設14公園、下水道施設20地区48か所、水道施設11地区などについて、それぞれ所要の予算措置を講じております。

 これらにつきましては、3年間を基本的な復旧期間と位置付けて、一刻も早く復旧が行えるよう、全ての被災箇所に関わる予算を計上しているところであります。

 なお、国に対しまして、単純な復旧にとどまらず、改良の効果が上がる復旧が認められるよう要望しているところでありまして、これを前提にしながら効果的に予算執行を行っていきたいと考えております。

 また、土石流の被害が大きかった地域のよりよい復興を目指し、地元の皆様方からの意見を聞きながら、復旧作業に取り組んでいきたいとも考えております。

 次に、被災した民間社会福祉施設の復旧を支援するため、2施設の復旧工事に要する経費の一部を本市が補助いたします。

 次に、生活福祉資金貸付について、利子補給に関わる予算を措置し、被災された方の早期の生活再建を支援いたします。

 次に、被災した中小企業者等の資金繰りを支援するため、本市の中小企業融資制度における災害復旧資金等を利用する場合の信用保証協会への保証料について、本市がその全額を負担いたします。

 そのほか、避難所の運営や施設の応急復旧などに多額の予備費を充当いたしましたので、今後の不測の事態に備えまして、予備費の追加計上もいたしております。

 次に、予算以外の議案といたしましては、専決処分承認案3件を提出する予定であります。

 これは、豪雨災害への応急的な対応として、直ちに予算措置が必要な災害見舞金の支給、民有地堆積土砂等排除、公共施設の災害復旧などに要する経費106億7,750万9千円について、地方自治法第179条第1項の規定に基づいて、補正予算の専決処分を7月22日に行っていますので、そのことについての承認を求めるものであります。

 以上が議会に提出する議案の概要です。私からの説明は以上です。

記者

 補正予算の関係で3年間を基本的な復旧期間として位置付けて、全ての復旧、これは今回挙げられている公共土木施設、橋だったり道路だったり、これは基本的な原型の復旧は3年間で終える目標だという理解でよろしいでしょうか。

市長

 その中に改良の余地があれば、当然、国とも調整しながら、この中で収められればと思いますが、改良部分が大規模になって収まらないときは、それを超える可能性もありましょうけれども、改良復旧の改良を行うという話は、なるべく3年内に収まるように調整しながら行うというのが基本にするという意味です。

記者

 少なくとも基本部分は、3年間では復旧するという理解なんですよね。

市長

 例えば、橋なんかを考えてもらえば分かると思いますが、今まで、例えば5mぐらいの幅だった橋を、改良復旧だから6m、7mにしたいというふうに言ったとき、3年間で5mまでやって、残りで2mってことはないから、全体として幅を広げてやるという交渉をしながら、なるべく、その期間に収まるようにやっていこうと、こういう意味なのですけれど。

記者

 大幅な改良を行うケースでは3年間、超えることもあると。

市長

 あるだろうと思いますが、いろんな意味で、3年間を復旧のための期間ということにし、その中で必要なもの、できるところは改良も施しながら行う。そのために多少時間を要することもあろうかという構えで行っているということです。

記者

 今回の補正予算の規模ですが、これまでと比較してどのような規模感か、今までで過去最大規模になるのか、例えば8.20(豪雨災害)と比較してどうなのかは、いかがでしょうか。

市長

 8.20(豪雨災害)から比べれば災害の発生した地域がかなり広範囲にわたっているということ、それから河川・道路等もいわゆる公共施設の傷みがひどいものですから、それを超える規模になっているという受止めであります。そして今回の予算はそういった被災したとか、傷んだところを今捉えられるところで全数的に捉えておりまして、それらを少なくとも復旧はしますという頭で予算を計上しております。ですからその作業をやっていく過程の中で改良等の了解が取れればそれをまた予算を上乗せするということもありますし、そして時間も3年ぐらい見込んでいますから、まず当初をやる時に設計をして次年度着工して完成という段取りを考えていますが、そのための繰越明許費といいますか、そういった予算等も作業を進める中で随時調整するという必要性も出てくると思いますので、そのための災害地(被災地の)被災(状況)を全視野におきながら、それぞれの復旧・復興作業はその事案ごとに調整して、より良いものにするというやり方で復旧・復興していきたいという気持ちで取り組んでおります。

記者

 補正予算としては過去最大規模という理解でよろしいでしょうか。

市長

 良いと思います。

財政局長

 過去の単なる補正ということでは、例えば災害という今回(と同様の)、4年前の8.20(豪雨災害)の時には9月議会で、今回のような本格復旧の予算をあげていますが、それが大体102億程度なので今回172億ということですから、それから比べても70億程度(大きな規模)です。やはり要因としては道路橋りょうとか河川といった公共土木施設の被害が前回に比べると大きいこと、そういったものがやっぱり事業費が膨らんだ要素となっています。政令市移行後(災害復旧関係の)補正規模としては過去最大となっています。

記者

 先ほど、(災害復旧関係の)補正規模としては過去最大と御説明いただきましたが、3年で基本的な部分を改修すると先ほど教えていただきましたが、市長として、この過去最大規模の補正を組んでより迅速に取り組んでいきたいとか、何か今回の災害復旧に向けての意気込みなどを教えていただいてよろしいでしょうか。

市長

 今、3年と申し上げたのも、8.20の(豪雨)災害を受けての復旧・復興の経験をベースにしていると言って過言ではありません。あの時も予想を超えた大災害で多くの方が亡くなり、その地域そのものが、ひょっとして人が住みづらい地域になるのではないかというようなことも多くの人に感じさせた状況でしたが、国・県・市の連携の成果もありまして、その当時も3年間をいわゆる応急復旧というか緊急の取組をやる期間に定めて、25基の砂防堰堤を一気に造っていただきました。それと同時にまちのつくりに対しても、そういう災害に備えるまちづくりをやるということを3年で、そして5年内には砂防堰堤なども、その後の事態にも備えるべく堅実なというか、より一層、堅固な砂防堰堤にするという計画を作った経験がありました。3年で概ね完成いたしましたので、それと同等のことを今回もやることができればという思いです。そして3年の範囲を前提にしていますが、それは早くできればそれに越したことはないと思います。

 もう一つは、前回の対応でまちづくりについてのいろいろな取組ができて成果もあったと思いますが、今回、前回災害を受けた安佐南の地域がそんなに被害が出てないということもあります。そういったいいところと言いますか、そういったものを今回の復旧・復興にも生かせるようにしたいということ。ただ、本題はあとでもう少し言いますが、実際に人命がやはり失われたことについて、物的損害については何とか回復の余地はあるとしても人命は戻ってまいりませんので、こういった災害における避難といいますか、対応、それについての課題は引き続き残っています。そういう意味では前回の経験を踏まえて相当工夫をして関係者への周知なども図ったつもりですが、もう一回、再点検すると。そして、より人命を大切にするための取組、どういうことが求められるかということをしっかりやらなければという思いでいます。

記者

 今、市長がおっしゃられた中で、その災害における避難とか、そういった対応についての課題が引き続き残っているというお話があったと思うのですが、今そこに対しての対応をどうやっていくか、どのようにその課題を克服していくかっていうお考えがあれば、ちょっと教えてもらえないかと思うのですが。

市長

 それに関しましては、検証するための組織を立ち上げるということを今考えております。

 実際にそういった地元の取組をされた方々とか、それから、学者先生(学識経験者)とか関係する行政機関なども交えて、避難の対応についてどういう点が問題だったかとか、そういったことを検証するということをやれればと思っていまして、近くそれを立ち上げるという段取りで今準備を進めております。できれば、年内には整理してもらった対応を出してもらうということを考えておりまして、その際、あわせて被災された方々への避難所での支援の在り方などについても検証するなどですね、さらには、こういった災害が相当広範囲に起こるということも、今回、経験しましたので、近隣市町と連携、あるいは支援の仕方、そういったこともあわせて検証した上で、今後の取組方針をしっかりしたものにできないかなという思いでいます。

記者

 先ほどの質問の確認ですが、専門家による検証のための組織のことですが、いつ初会合を開いて、メンバーをどうするかというのはまだ決まっていないのですか。

市長

 メンバーは、ほとんど決まっています。

危機管理担当局長

 また、後日発表します。

記者

 それで、市長が言われた、どういう議論をするかのポイントなのですが、一つは避難の在り方ですね、避難の伝達方法であったり、それを実際に避難に繋げる方法の検証をということと、もう一つ、被災者への支援の在り方という発言があったと思いますが、これは例えばどういったことを考えていますか。

市長

 今回も、8.20(豪雨災害)の経験を踏まえて、避難所でいろいろな支援について、前回の教訓を生かした支援を行ってきたつもりです。それでも、実際に避難された方々に関しては、いろいろな問題があろうかと思うのです。そういったことをもう一回よく点検して、それに備えをするということですけれども、例えば、避難所の場所の設置とかも時期によって、今回、一番よかったのは、夏の暑い時期でクーラーの設置なども、はじめは、ポイントで風を送る装置があったのですが、効きやしないということで、最終的にはきちっとした冷房装置を備えることができましたから、そういうのであれば、端からそうした対応をすることができないだろうかということもあります。そして、いろいろな避難所に行ってお話を聞くと、やむかたなく来ている、そして、そこでの生活の間に、生活再建について、いろいろな情報をある程度自分が把握しないと、再建計画もできないわけですから、そういった意味で、総合窓口のようなものを作って、あらゆるお話を聞いて、我々がその話を聞いて必要なところに繋いであげると。単に教えて、自分たちでそれぞれの専門の所へ当たってみなさいというのは、とても大変だということも今回分かりましたので、そういったものをうまく機動するようにやるということをもう一回ちゃんと押さえておいた方が良いと思います。そのためには、避難所を立ち上げるときに、どういう手順でそういう関係者を直ちに呼び集められるようにするかということも考慮した方が良いと思います。

 それから、近隣市町の小さな行政体では、応援隊をいろいろな形で国、県も出すということを行っていますが、私自身は「200万人(広島)広域都市圏」ということで、まとまりのある、平素からの行政連携をやろうと言っていますので、こういった災害時もそういった視点で取り組むときに、どういった連携が皆様にとって良いだろうか、あるいは我々にとっても動きやすいのだろうかということも、あわせて検証できればと思うのです。実際、消防業務についての委託・受託という業務関係で、広島(市)の近隣の坂(町)と熊野(町)と海田(町)、これは我が消防が消防業務を請け負っているわけです。単独の組織も各町は持っていないのです。そういったやり方の中で効果的な行政展開をするという視点で、どんな連携があるだろうかなど、そういうこともこの際、検証できたらという思いです。

その他の質問

8.20豪雨災害について

記者

 8.20(豪雨災害)から間もなく4年になるということで、まだ広域避難路の整備や雨水の貯留施設の整備など、やるべきことがたくさんあると思うのですが、現状の復興事業の進捗についてどのように捉えていらっしゃるか教えていただけますでしょうか。

市長

 先ほど言った8.20(豪雨災害)の対応については、まず3年間で復旧に必要な取組をしっかりやって、国等とのいろいろな関係で、5年の範囲内でそういったものを完了しようと進めてきております。そんな中で、ちょうど4年目でまたこういった災害が起こったわけですが、5年の期間内におさめるという目標に向けて、最終整備をしっかりやっていきたいと思います。とりわけ、安佐南の災害に関しては、いわゆる都市計画道路ですね、そういった既存のまちづくりの計画も生かしながら、山裾から出てくる雨水をきちんと処理して川に流し込むと。同時に砂防堰堤で構えた土砂の流入を抑えながら、もう一段それを阻むような道を造るという規模の計画をやり、地元の方の了解を得て、土地等の所有関係もうまく整理できていますので、着実にそれを執行する段階になっています。それを急ぐということ。安佐北の方についても、必要な避難路などを確保していますから、そういった災害に備えるということを「いろんな大変な状況を経験しながらも、それに打ち勝つだけのまちづくりをやっています」ということを皆さんにお示しすることで、今回の災害についてもそれを乗り越えるだけの対応を可能な限り迅速にやるということで被災地の皆さんにはぜひ元気を出して頑張っていただくと。もう一回頑張ろうという気持ちを起こしていただけるように、なお一層、今の取りかかっている仕事の完成度を高めていければという思いでいます。

記者

 今回の西日本豪雨の影響で、建設業者がかなりそちらに取られていると思うのですが、8.20(豪雨災害)の復興事業であったり、そのほか通常の別の事業などへの進捗への影響についてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

市長

 それは、いろいろな具体的な復旧のため、あるいは復興のための事業をやるために、専門の業者の方にお願いしないと到底叶わないわけでありまして、そのときに、8.20(豪雨災害)のときにもありましたが、いろいろな作業ブームというか、当時は岩国の基地の建設事業で多くの業者が取られていて、なかなか広島で事業をやってくれる方がいないというようなことがありました。今度はまた、オリンピックに向けてのいろいろな、特に全国展開されている業者の方は大変だということがあります。そんな中で、地元でもそういった技量を持ち、かつ、今までのいろいろな公共事業についてのいわば成功、修理・修復をいろいろな関係を持ちながらやってきている業者もあります。そして、市内8区ありますが、その区との関係でも良好に仕事を進めてきていただいているところがありますので、そういった今までの繋がりなども大事にしながら、いざというときの作業をお願いできるような方をまずは中心に、地域における復旧事業に応募していただくと。入札をかけると。そして、それでも足りないときに少しまた範囲を広げて、そういった事業の入札をかけると。現場レベルで相当工夫しながら、業者不足の中で確実に作業がこなせるような工夫を今やってもらっているという状況であります。

記者

 今のところ8.20(豪雨災害)の復興事業が遅れるとか、その他の通常事業が遅れるような感じではないということですか。

市長

 そうならないように調整しながらやろうということです。問題意識は十分ありまして、今言われた問題が発生するかもわからないですが、それが大きくならないように抑えながら、事前、事前に今までやってきた経験を生かしながら調整していこうというのが今の現場の基本スタンスであります。

記者

 4年前の8.20(豪雨災害)と今回の西日本豪雨とちょっと縦断した質問になってしまうのですが、前回の8月広島土砂災害のほうで経験されたことで、今回の豪雨災害、経験として具体的にどんな点が活かされたでしょうか。

市長

 まず、豪雨になると、7月の5(日曜日)、6(日曜日)、7(日曜日)、その状況の中で避難を呼び掛けるための注意情報といいますか、そういった皆さんへの周知方法については前回の経験で相当前倒しでできたのではないかなというような思いでいるわけであります。そこの点は前回、8.20(豪雨災害)の経験を踏まえて、やれることはやったと。しかしながら、受け手の方で十分に受止められてない部分もあったのではないかという思いがあるのです。前回の経験を踏まえて、地域で「自分たちの命は自分たちで守るのだ」ということを徹底してやっていただいたところなどについては、避難される方の割合が高いということが、今出ておりますし、そして当時言っていたのはバックビルディング(バックビルディング現象:次々と発生した積乱雲が一列に並び、集中的に雨が降ること。)という雨が一時に集中して、山沿いの土砂崩れの起きそうな所は危ないと言われたけれども、市内全てがそうじゃないのだということもあったのでしょう。いわゆるバックビルディング(現象)の雲の構造がずっと東のほうに行った途端に、そちらのほうでは「高台だから大丈夫だ」とか思われていたところあたりでも、そうでない、つまり、花こう岩が風化したまさ土が、ほとんど全面的に展開している中国山地ですから、どこが安全だということはそんなに言えないということも、皆さん今回のことを通じて分かったということは、そういう被害を経験してしまったということでありますので、その点についての皆さんへの周知と、そしてそれらへの備えをもう一段どうするかということをよく考えないといけないなという思いであります。

 それと、今回に関しては、前回いろんな問題が起こったときに、個別の箇所、箇所で国・県に「ここはこうしてください」というようなことで必死な思いで、やはり一定の成果が上がったのですが、今回に関してはいわば被災場所に関わる、迅速かつ的確な作業をしていただく上での、共通の問題を割と早くえぐり出すというか、皆さんで議論して、出せまして、国に3点項目といいますか、全ての作業に共通するような要望項目を出せた。つまり、そういった作業についての熟度が上がっておりまして、ここをうまくやってもらうと自分たちもうまく対応できるのだということを割と早めに整理し、得た。そしてそれを踏まえながら、市としての対応として、例えば民有地における土砂の撤去を、前回よりか迅速にできたと思います。さらにはここに出てくる成果とすれば、がれき等の混じった土砂の、あとはその処理というのは、前回は相当期間を要したんですね。被害区域2年ぐらい掛かったんですね。1年ぐらい掛けてその土砂、がれき混じりのものを整理して、最終処分に持っていくために、それを処理するためのプラントといいますか、大きな整備施設も作らないといけないぐらい、一気に、がれき混じりの土砂を出してしまったのですが、今回は現場で少し整理できるものはするということもやり、仮置き場においても、さらにそういった区別するという対応を少し心掛けたこともありまして、がれき含みの土砂の量が、ある程度特定できましたので、そういった大掛かりなプラントを造らなくとも、地元での産業廃棄物の処理をするような業者に、一定程度、複数をお願いできれば、処理できるような分量になっているというようなこともありまして、そういった点は大変な中でしたが、災害を受けての、それをこなしていくための、作業についての経験値がある程度活かされたかなという思いでいます。そんなところが前回と今回の比較になろうかと思います。

記者

 関連なのですが、先ほども専門家等を交えての検討会みたいなものを立ち上げるという話があったのですが、今現時点で考えられるその避難しない人たちが、避難するようになるにはどうすればいいか。難しいことだと思うのですが、市長としてはどんなことが重要になってくるとお考えですか。

市長

 具体的にどうするかというのは、もう一度よく議論しないといけないですが、少なくとも自分たちが住んでいるエリアで、もちろん安全なつくりを一生懸命やっているけれども、それが完全ではないかもしれないというぐらいの気持ちを多くの方にまず持っていただくということなんですね。非常に矛盾したことを言うようですが、実際に災害に強いまちをつくりますというのですから、それで安心だというように本当は言いたいところなのですが。そうは言っても今の気候変動の状況、100年に一度といいながらもここ4年前から見ると、日本全体を見ると毎年のようにいろんな災害が起こっていますよね。そうするとどこで、日本国土の中で何が起こるか分からないといったときに、今までの経験を踏まえての、完全な、あるいはほとんど問題が起こらないような公共施設を整えたとしても、それでもひょっとすればという気持ちを抱いていただき、自分たちの住むエリアに関しての地震・雷・火事・おやじじゃありませんけれども、地震とか風水害ですね、台風の襲来、そういった災害ごとに予見可能な状況をなるべく自分でやはり、何ていいますか、集め、判断するという癖をつけていただく。決して強制ではなくて、それが一人で難しければ地域の方々のそういったコンセンサスというか、自分たち共にそういった情報を共有し合って、何かのときには一緒に何かやるべきではないかという、いわばその地域コミュニティの中での自分たちの安全確保という、そういう風土みたいなものと言うんですかね、そういうものができれば大分違うのではないかなと思うんですね。だからそれをつくるためにどういう仕掛け、そしてそれを起動させるために我々の情報提供をもう一段工夫するところがあるかどうかという、そんな発想で問題解決できればという思いでいます。

記者

 今のお答えにも関連するとは思いますが、今回の西日本豪雨で亡くなった方の多くは、土砂災害の警戒区域に住まわれている方であったりとか、過去に水害が発生していたところであったり、自分たちが住んでいる地域は危険だという認識を持ってもらうために、今、市長もお話になった情報提供の仕方、市としてはどういうふうに、これを知ってもらう必要があるのか。そして、どういう呼び掛けをすれば、より皆さんに知ってもらえるのか。その辺りは、どのようにお考えでしょうか。

市長

 それも最大の問題なのですが、いわゆる個人の経験としてのいろいろな情報というのは限りがあります。例えば、自分は65(歳)ですけれども、60余年間生きた範囲での経験。20歳であれば、20年の。こういった風水害などの自然災害については、たぶんひょっとすれば50年、100年、自分の人生を超えたその経験を、実際その地域は経験しているのですが、地域が持っている経験を自分のものにできるかどうかというところが問題なんです。たまたま、そこに住んでいるからと言って、俗に言う郷土愛って言いますか、その地域を愛でて自分の地域特性を知って、こういう地域に住んでいて、こんなことがありますということを、果たしてどれくらい多くの方が、そういう思いでその地域で暮らしているかです。単に、ここで日々の生活をうまくやればいいのであって地域特性あんまり関係ないのではないかと、何か起こったときにはというぐらいの意識だと、地域における地形とか災害に備えての条件設定なんかは、決して自分のものにならないです。だから、そこにずっと長く居ついて地域を愛している方なんかであれば、どこの地域に行っても慰霊碑や、こういった災害があった日を、碑文など残して誰でも見られるような措置を考えられますが、それはたぶん、昔から行ってきている伝統でしょう。そういったことと同時に、それを今度は読むという、その当事者がそれに積極的にアプローチして、情報を得ようとする行為がなければ、情報は入ってきません。それを促すためには、そういったことについて、こういうものがあり、こういうメッセージを出していますよということを、その地域の運営体といいますか、人の営みの中で、そこにいる方々に、ごく自然に普段の生活の中で、それが届くようなコミュニティの運用を行っていただけるようにする。そして、その行っていただけることを、持続するために行政として、どういった工夫や、どういった支援があるかなどといったことになるのではないかと思っているわけです。そういう意味では、まちづくりの基本、コミュニティの活性化といいますか、その地域特性をみんなが共有できるようにする仕掛け、そしてそこにいる方々は、その地域を愛して自分たちの地域を良くしようという気持ちを抱いていただけるような、そういう相関関係を作り上げるということが、たぶん遠回りのようですが、こういう災害に強いまちになるのではないかという思いでいます。

サッカースタジアムについて

記者

 話はがらっと変わるのですが、サッカースタジアム問題についてお伺いします。6月に住民説明会を開きまして、その後、目に見えた動きがないわけですが、今後どのように進めていこうとされているのか教えていただけますでしょうか。

市長

 サッカースタジアム問題については、直近ですと7月29日に基町の連合自治会の定例会という、基町の自治会(長)の皆さんの集まりの場で、説明をするという機会を得ました。これは、その前の6月24日に住民説明会をした際に、やりとりの時間が十分取れなくて残された説明などをやれるようにとお願いしていた中で、今までのやりとりを整理して、お話をようやくできたということになりました。

 そうした中で、問題は、住民の皆さんがある意味で一番心配されているのは、サッカースタジアムを造らんがために基町のまちづくりみたいなことを言って、ある意味で懐柔といいますか、「これをやるんだったらこれをやりますよ」という取引関係みたいな、そういう気持ちで市が説明しているのではないかということを言われるので、そういう認識でやっているのではないですということをしっかり言わせていただいたつもりです。

 というのは、われわれはもちろん、サッカースタジアムの候補地として皆さんに了解を得たいということで話し掛けたのですが、そういった中でやりとりを通じて、そういった議論をする以前に、まず自分たちの住んでいる地域をどこまで行政はしっかり考えてくれているのだろうかと、そういったことも考えもしないで、行政から、あるいは皆さんが言ってきたことについての返事を求めるというのは、あまりにも乱暴ではないかという思いを持っておられるというように感じたものですから。それであれば、原点に戻って、基町地区のまちづくりについてどういう認識でいるかということをきっちりお話しし、そして、そこで出てくる問題はそれとしてちゃんとやるんだと、そういったことをやるということを前提に、もう1回スタジアムについて考えてもらえませんかと。こういうことなんですよということをわれわれとしてはお話ししているつもりなんです。

 そのような中ですぐに出てくるのが、例えば、高齢化率がもう50パーセントなのです、自分たち(基町地区)以外の市内と比べると、とても大変でコミュニティの活動ができませんなどという話が直ちに出てくるわけです。ですから、それに関しては、説明の中でまずそういった高齢化率を市内の平均ぐらいまでは落とすような取組をやりましょうと。それから、地形的にも、基町の中高層のアパートが大分年限が経って古くなっていますから、それ(中層棟)を建て替えるときには、河岸緑地などの確保、水と緑が調和したきれいな地域にするということを念頭に置きながら建て替えをやりますよと。そして、いろいろ課題にされている基町のショッピングセンターや基町の小学校を活性化するために考えてもらい、そして、今いるお年寄りの世話をするときに宿泊機能のある介護事業所、そういったものも入れてもらいたいというお話がありますので、そういった要素を取り込んだ上で、そこをどういうふうにするかというビジョンを示す、そういう腹積もりでまずお話をしますと。そして、できたらそれを来年度の基町の活性化の計画の中に入れ込んで、きちんとしたものを作りますからというお話をいたしました。

 そして、もう一つ、それを踏まえて、じゃあスタジアムに関してはそれをやるということは必ずやるのだから、それと、もう一回はじめにお願いしていたということで、そういう施設を造ったときに騒音や渋滞問題が生じるという、そういうものができることの裏返しの状況ですから、それについては、そういったものをうまく処理している実例というのが神戸のほうにありますから、そういったものを見ていただきながら、そういうことを参考にして、十分対応できる課題ではないかということで、もう一回考えてくださいと。まあ、このような説明をしています。

 そうした中で、少なくとも7月29日の説明会でそういったことを言い、一通り聞いていただいたので、次なる話はその気持ちをもっとしっかり地元住民に説明してもらうようにということになりましたので、自治会単位等で、今、連合会の単位で来ておりまして、それぞれ自治会ですね、一つか二つになるかもしれませんが、さらにより皆さんに近いところに行って、その自治会単位で説明会を丁寧にするというところまで、了解を得ました。ですから、この手続きを徹底してやるということをやれればと思っております。

 そうする中で、順次、話を深め、同時にまちづくりをということをやる。それと同時にもう1回、スタジアムの話も進めていくと。こういうやり方を丁寧にやっていきたいと思いますので、外目でなかなか、というふうに言われるか分かりませんが、相手のある話ですし、まちそのものの特性を踏まえたまちづくりをまずは考えているのだということをしっかりと理解していただいた上で作業するということを引き続きやっていきたいと思っています。

※( )は注釈を加えたものです。

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