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2018年08月01日記者会見「平成30年の平和宣言について外1件」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

  • 【平成30年の平和宣言について】
  • 【平成30年7月豪雨災害の対応状況について】

<会見録>

市からの発表案件

平成30年の平和宣言について

市長

 平和記念式典で訴えます、平和宣言の説明をさせていただきます。

 お手元に資料があるかと思いますので、御覧ください。

 まず、1の「宣言作成の基本姿勢」についてです。

 今年も、「平和宣言に関する懇談会」での意見を踏まえて起草いたしました。

 平和宣言の全体といたしましては、若い世代を含めて広く市民に理解してもらうため、できるだけ分かりやすい表現に努めるとともに、被爆地からの発信を意識いたしまして、被爆の実相に関する記載に多くの文字数を割きまして、当時の惨状を想起してもらいやすい表現にしたと考えております。

 個別の内容としては、平成27年の平和宣言から、核兵器廃絶に取り組む際の原動力となる信念を固めるために必要な行動理念を提示いたしました。世界の人々、とりわけ為政者に相互不信や疑心暗鬼から抜け出すために理念の転換を促すようにしております。行動理念として平成27年は「人類愛」と「寛容」を、平成28年は「情熱」と「連帯」、平成29年は「良心」と「誠実」を提示いたしましたけれども、今年は「理性」と「継続」を提示いたしました。これまで寄せられた被爆体験談の中から、これらの行動理念に関連する体験や思いを被爆者のメッセージとして盛り込んでおります。

 また、昨年の出来事ですけれども、ICANがノーベル平和賞を受賞し、被爆者の思いが世界に広まりつつある一方で、世界では自国第一主義が台頭しておりまして、各国間に東西冷戦期の緊張関係が再現しかねない状況であるといったことを指摘した上で、私たち人類は、再び重大な過ちを犯さないために「ヒロシマ」を「継続」して語り伝え、核兵器の廃絶に向けた取組が、各国の為政者の「理性」に基づく行動によって「継続」するようにしなければならないという訴えをしております。

 さらに、核抑止や核の傘という考え方は、極めて不安定で危険極まりないものであることを指摘した上で、為政者は、核軍縮を誠実に履行し、核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取組を進めるように訴えております。日本政府に対しても、同条約の発効に向けた流れの中で、国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、その役割を果たすことを求めております。

 次に、2の「宣言に盛り込んだ主な内容」について説明をいたします。

 7つの要素で構成されております。

 最初に、(1)の「被爆の実相」についてですけれども、冒頭で73年前、今年と同じ月曜日の朝、広島ではいつも通りの一日が始まろうとしていたことを示し、自分や大切な 家族がそこにいたらと想像しながら聞いてもらいたいと呼び掛けることをしております。それとともに、8時15分の閃光の後に生じたこと、また、立ち昇ったきのこ雲の下で何の罪もない多くの命が奪われ、街が破壊し尽くされたことを説明いたします。さらに、母親の助けを求める子どもの声や呻き声、亡霊のごとくさまよう人々などの惨状を示し、脳裏に焼きついた地獄絵図と放射線障害は、生き延びた被爆者の心身を蝕み続け、今なお苦悩の根源となっていることを説明しております。

 次に、(2)の「核兵器を巡る世界の状況」です。

 世界にいまだ1万4千発を超える核兵器がある中、意図的であれ偶発的であれ、核兵器が炸裂したあの日の広島の姿を再現させ、人々を苦難に陥れる可能性が高まっていると指摘します。

 また、昨年、核兵器禁止条約の成立に貢献したICANがノーベル平和賞を受賞し、被爆者の思いが世界に広まりつつある一方で、世界では自国第一主義が台頭し、核兵器の近代化が進められるなど、各国間に東西冷戦期の緊張関係が再現しかねない状況があると指摘しております。

 次に、(3)の「行動理念等」であります。

 被爆者の訴えは、核兵器の恐ろしさを熟知した者が、核兵器を手にしたいという誘惑にかられる者に対し、その誘惑を断ち切るために発する警鐘であって、年々被爆者の数が減少する中で、その声に耳を傾けることが一層重要になっていると指摘します。さらに、被爆者は、命を大切にし、地球の破局を避けてもらいたいと願っており、為政者に「理性」と洞察力を持って核兵器廃絶に向かうよう求めていると指摘いたします。

 また、人類は歴史を忘れ、あるいは直視することをやめたとき、再び重大な過ちを犯してしまうものであるからこそ「ヒロシマ」を「継続」して語り伝え、核兵器の廃絶に向けた取組が、各国の為政者の「理性」に基づく行動によって「継続」するようにしなければならないと訴えます。宣言では、それらの行動理念に関連する、いずれも当時20歳だった被爆者のお二人が書かれた体験談を引用しております。

 次に、(4)の「核兵器廃絶に向けた訴え」です。

 核抑止や核の傘という考え方は、長期にわたる世界の安全を保障するには、極めて不安定で危険極まりないものであることを指摘し、為政者に対し、このことを心に刻んだ上で、NPT(核不拡散条約)に義務づけられた核軍縮を誠実に履行し、さらに、核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取組を進めるよう訴えております。

 また、日本政府に対しては、核兵器禁止条約の発効に向けた流れの中で、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現するためにも、国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、その役割を果たすことを求めております。

 次に、(5)の「平和への決意」であります。

 市民社会は、朝鮮半島の緊張緩和が今後も対話によって平和裏に進むことを心から希望していると指摘しております。そして、為政者が勇気を持って行動するために、市民社会は多様性を尊重しながら互いに信頼関係を醸成し、核兵器の廃絶を人類共通の価値観にしていかなければならないと呼び掛け、世界の7,600を超える都市で構成する平和首長会議は、そのための環境づくりに力を注ぐとの決意を示しております。

 続いて、(6)の「被爆者援護施策充実の訴え」です。

 平均年齢が82歳を超えた被爆者をはじめ、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、その支援策を充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう、強く求めます。

 最後に、(7)の「原爆犠牲者への哀悼の意等」となります。

 宣言に盛り込んだ主な内容は、以上のとおりです。

 なお、参考資料として、平和宣言に関する懇談会の開催結果と引用した被爆体験談を書かれた方のコメント等を付けておりますので、後程御覧ください。

 最後に、平和記念式典に関して皆様にお願いがあります。平和記念式典は、世界恒久平和の実現を祈念するものであると同時に、原爆死没者の霊を慰めるためのものでもあります。

 霊を慰めるために参列される被爆者や遺族の心情に配慮した厳粛な式典にしたいと考えておりますので、式典会場及びその周辺における静粛の確保ということにぜひとも御協力をお願いしたいというふうに思います。

 以上です。

記者

 平和記念式典が西日本豪雨から、ちょうど1か月を迎えますが、式典の中でもしくは平和宣言の前後ぐらいで、何か、それについてのコメントもしくは何か慰霊のことは(言われますか。)、平和宣言は自然災害とは別だとは思うのですが、ちょうど1か月ということで、今年はちょうど重なるものですから、何かおっしゃるようなことがあれば、もしくは少しささやかでも何かやるようなことがあれば教えていただきたい。また、やらない、やるに関わらず、その理由を教えていただければと思います。

市長

 平和記念式典、そのものでの豪雨災害の犠牲者の方に対する特別な思いというものを今のところ予定してはいないですが、8月7日、翌日は、それこそ被災から1か月ということでありますので、私自身はできれば被災地をずっと回ると、で、進捗状況を見るとともに、避難者なども見て、被災後1か月の状況をしっかりと見て、これからの復旧・復興に役立てたいという予定は立てております。平和宣言に関しましては今言われたように人類が被る災害の中での大きく分類をいたしますと、原爆は人による災害、人災と言っていいと思いますし、7月の今度の豪雨は天災、人によらざる災害でありますから、それは明確に分けた上で、それぞれ、そういった災害が起こらないようにするということを我々としてできる限りのことをやっていくという整理はしております。そんな状況であります。

記者

 (平和)宣言の中で、昨年までは核兵器のことを絶対悪と表現されていたと思うのですが、今年は、それは宣言から消えているのですが、何かその辺に意図というのはございますか。

市長

 いえ、絶対悪を消したことに対することについての特段の意図はありません。だけど、申し上げたように核兵器についての評価は変わっておりませんので、そういったものを、どのように捉え、それ(核兵器)がない世界に向けて、どういった行動をすべきかという行動理念を示す、今年が最後の年でありますので、とりわけ為政者に、被爆者のそういった願い、思いを、改めて被爆の状況をしっかりと訴える中で、それこそ、きちっと受け止める理性、その理性を発揮して、行動理念を想起して、しっかりと続ける。もちろん、訴えることも続けますが、そういった理性に基づく判断をしっかりやっていただくという為政者への注文を、今回はしっかりしたいということで、そちらの方に重きを置いて書いたということであります。

記者

 平和宣言の一番最後から2つ目のパラグラフになろうかと思うのですが、日本政府に対してのくだりの中で核兵器禁止条約の加盟を直接に求めるくだりというのはないように思うのですが、それはなぜかということが一点と、それと、この最後から2つ目のパラグラフの2行目最後のところ、その役割とあるのですが、これは、恐らく日本政府が果たすべき役割のことをおっしゃっているだと思うのですが、ちょっと読んだだけでは、どういう役割なのかということがイメージしにくいのですが、具体的には、どういったことを指していらっしゃるのか、お願いいたします。

市長

 現時点で少なくとも日本政府は核兵器禁止条約に、いわゆる批准をするということには、抵抗しているというか、抵抗という言い方はおかしいですね、批准はしないということを明言しております。そういうふうなことを明言している立場の政府に対して、ここにありますように、まず日本国政府は日本国憲法が掲げる平和主義を体現するという責務を負っているのではないでしょうかということを言いました。そのためにもというのは、もちろん、自国内の憲法の施行をしなければいけないわけですから、それをやるためにも、そして、元々政府は被爆者の思いを受けて、核兵器を廃絶するという方向性については同調しているというか、同じだと、ヒロシマと同じだと、こういうふうには言っているわけですから、そういったことも踏まえるならばということで、まず前提条件をしっかり提示した上で、さて世の中の流れを見てください、核兵器禁止条約の発効に向けた流れがあるのではないでしょうかと。これは禁止条約を作る、作らないの議論から一旦進みまして、122か国も了解して、国連加盟国の多くの国が理解して、条約を作ったわけですから、次は、残る発効に向けての流れがあるわけですから、状況を見ていただけば、おのずと分かるのではないでしょうかということです。今の立場というものを、今起こっている状況の中で、そして本務として日本国政府がやるべきことをよく考えてもらえば、おのずと方向は分かるのではないでしょうか。その際に対話をするというようなことも政府は言っています。そうすると、ここにありますように国際社会を核兵器のない世界の実現に向けた対話、そのための対話です。そして協調を進めるという、そのことをやると言っているわけですから、その役割を果たしていただく。だから当然、自分として、今まで日本国政府が言っていることをそのままなぞれば、やるべきことはおのずと決まっているのではないでしょうかということを言っておりまして、むしろ、このことを市民社会を挙げて当然のことだと受け止めてもらえるように私はしたいと思っております。直接、あれをやれ、これをやれというのではなくて、そういうことをやらざるを得ない状況にあるのではないでしょうかという状況についての説明をしっかりすることで、それこそ理性に基づく判断をしてもらう。それをしっかり続けてもらう。それを、平和宣言の今回の行動理念で、繰り返しここでも訴えているというふうに整理しております。

記者

 核兵器禁止条約のところで核なき世界への一里塚という表現がありますが、この一里塚というのは世界の各国に条約に対して批准を求める、そういう意味があるのですか。それとも前段にあるNPT(核兵器不拡散条約)に義務付けられた核軍縮を誠実にというのがありますが、従来のNPTというのを守りながらというか、従来の体制のまま、核兵器なき世界を目指すという、そんな趣旨なのか、どちらの意味があるのですか。

市長

 一里塚という用語には、さまざまな意味付けがあると思うのですが、私から言わせれば、最終目的地ではないという意味がまずあると思うのです。最終目的地は、この世から核兵器がなくなることであります。そして、そのためのある意味で第一歩が踏み出されていて、核不拡散条約、NPT、これは国連という各国が加盟して、国際的な調整をすることができる機関において認知されたNPT、核不拡散条約があります。そして、その中で、今ある核兵器を少なくする、これ以上広げないようにするということで、これ以上核が広がらないようにしようという合意があります。そして、次のステップとして核がないものにするためには、そういったものを、皆が合意して作らない、使用しない、そういった核の威力も自分たちで抑制する、いわば、そういったものを違法にするということをしようと、そのために核兵器禁止条約を作りました。具体的に、それを実現するための手段等については、まだ合意が取れておりません。ですから、それに向けての詰めをこれからやるべき、たたき台としての核兵器禁止条約ができておりますので、最後の核をなくすという、この世から核をなくすための次のステップとして、次の目標地として核兵器禁止条約があるということで一里塚というふうに、ここでは読んでおります。

記者

 さっきの中国新聞さんの質問にも、ちょっと絡んでくるとは思うのですが、核禁条約(核兵器禁止条約)に日本政府が署名するかしないか、それを求めるかといったことについてなのですが、今の日本政府の姿勢を見ていますと、必ずしも核兵器廃絶っていうところに対する目標に対して近づいているとは思えないような節があると私は思うのですが、例えばアメリカの核兵器の近代化を評価して歓迎するというようなコメントもありますし、そういった中で核兵器の禁止条約に対して、やはり日本政府に強いメッセージで署名批准を求めるっていうことも選択肢にあっていいとは思ったのですが、ちょっとさっきの質問と重なってしまいますが、そこら辺をどういうふうにお考えなるかということをお聞かせいただければと思います。

市長

 核兵器禁止条約について署名する、しないというのは、ある意味でこの時点における政府の結論なのです。私自身は、なぜ、そういった結論になるかという理由付けの方こそ問題だと思っておりまして、たぶん日本国政府は今までのいろんな主張からすれば、核兵器のない世界を目指すことについては間違いない、自分たちもヒロシマの思いと一緒だと。ここはまず押さえたいと思います。そのためにステップ・バイ・ステップといいますか、徐々に行うということが重要だと、いきなりはできないというような表現でいろんな局面で言っております。そして、その一歩ずつという考え方の背景に今ある核兵器不拡散条約(NPT)この条約ですら満足に履行されていない。そういったルールがあるのにされていない。あるいは包括的な核実験の禁止です。実際に核兵器の威力の強化を図るために使われる実験。こういったこともしないという条約を日本は維持していますが、世界が批准していないと。そういった状況の中でむやみに結論を押し付けて違法な核をなくせというのは現状の中でかえって一歩ずつ物事を進めるというやり方にはそぐわないのではないかという立場で言っているというふうに理解をしているのです。ですからその理解(立場)そのものが本当に正しいのでしょうか。今ここに書いたように核兵器禁止条約は、既に122か国の賛成によって出来上がりましたよと。出来上がっていないステージから一歩進みましたよと。だから、次の批准の流れがあるでしょうと。そして、改めて日本国政府は日本国憲法という、この崇高な平和主義を体現するために頑張ると言っている憲法にも従うなら、さらに核兵器のない世界を目指すと言っていることにするならば、今言った国際情勢の認識というものが変わっていいのではないでしょうかと。その理由の部分をしっかりと突きつけることで、そして、ここにありますように核兵器のない世界の実現に向けた対話ということをやるための条約と考えるべきじゃないでしょうかと。具体的に核兵器を廃絶にするための検証手段をどうするかということを今から議論すればいいのです。出来ていないということは事実ですから、これからやっていくと。そして、その対話をしながら協調するというそういう手段と判断を示せば、あるいはそれに同調すれば、この核兵器禁止条約への対応というのはおのずと決まるのではないでしょうか。理由の部分をしっかり展開するということをやっているつもりであります。

記者

 この(平和)宣言は日本政府に核兵器禁止条約への署名批准を求めているのかどうか再度確認させてください。市長がおっしゃられている「おのずと決まる」というのは、つまり、おのずと禁止条約(核兵器禁止条約)を署名批准するっていうのは、おのずと見える結論というか、求めていることとして含意されていることなのか、含意もしていないのか、まずは、条約への署名批准を日本政府に求めているのか、再度そこの認識をはっきりさせていただきませんでしょうか。

市長

 これを読んでいただければ条約批准を含意しているのは当然だと私は思っています。含意していないと読む方が難しいのではないでしょうか。

記者

 分かりました。

平成30年7月豪雨災害の対応状況について

市長

   それでは次に、平成30年7月豪雨災害について、現在の対応状況についての説明をさせていただきます。

 まず、改めまして、このたびの豪雨でお亡くなりになられた方々、現時点で23名あと不明の方2名という状況であります。こういった方々、特に亡くなられた方々に対しまして心から御冥福を祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。さらに、被災された地域の方々、あるいは実際に被災されておられる多くの皆様に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 今申し上げましたように、今なお2名の方の安否が不明となっておりますので、現在、警察などと連携しての、捜索、救助に当たっています。その関係で、その捜索に関係するエリアのですね、応急、復旧もまだ手が付かないというふうな状況もございますけれども、こういったことにも留意しながらこれからしっかりと対応していきたいと思っております。

 そんな中で現在、市では、国や県、関係機関等の協力を得ながら、被災地での復旧、そして、被災された住民の方々の生活再建に向けた取組をやっております。全力で取り組んでおります。

 今日は、概ね4点についての御説明をしようと思います。

 1つが、民有地内の堆積土砂等の撤去の見通し。

 2つ目が、仮住宅の提供等による生活再開のための支援状況。

 3つ目が、本市の公共施設や農地、こういった所の被害状況と復旧事業の見通し。

 そして、平成30年7月豪雨災害における避難等に関しての検証と、この4つについて、御説明しようと思います。

 最初に、民有地内の堆積土砂等の撤去の見通しについてであります。

 民有地内の土砂等の撤去に関しましては、国等に要望活動を行っておりまして、この要望活動については、国土交通省と環境省に対しまして、「被災現場の実情に即した民有地内堆積土砂等の撤去にかかる包括的な国庫補助制度の整備について」ということで要望を行っております。国土交通省所管の堆積土砂排除事業というものと環境省所管の災害廃棄物処理事業がございまして、これらは土砂等の撤去作業を支援するものというふうな位置付けがあります。それにもかかわらず、民有地からの搬出、そして分別して、最終処分に至る一連の土砂の撤去作業について、必ずしも、一体的な利用ができるものとはなっていないという現状があります。

 このため、省庁の垣根を越えた包括的な国庫補助制度となるよう整備を要望したところでありまして、この要望に、一応、応えて頂くというふうな状況になっていまして、両省の補助制度の活用が一体的なものとなるように少し今改まってきているという状況があります。

 なお、環境省所管の災害廃棄物処理事業につきましては、補助対象になる経費が撤去作業に要する諸経費までも含まれていないという課題が残っているため、今後、さらに改善を要望したいというふうな思いでおります。

 本市においては、土砂等の撤去を迅速に進めるために、今申し上げました国による財政支援を前提として、補正予算を専決処分により編成いたしまして、約53億円の事業費を確保いたしました。撤去が必要となる土砂等の総量の見積もりは現時点で、約30万立方メートルにおよんでおります。また、土砂等の撤去が必要となる箇所数については概ね1,000件程度となると見込んでおります。そういったことから、撤去完了までには一定の時間を要するものというふうに見込んでおりますけれども、可能な限り速やかに撤去を進めるというふうな覚悟であります。

 具体的な土砂等の撤去の手順に関しましては、下水道局に47名体制の専従組織を設けて、施工業者11社19班体制で土砂等の撤去作業に当たっているところであります。

 行方不明者の捜索活動や道路啓開が完了したところから順次、この作業に入ることにしておりまして、土地所有者の同意を得た上で、土砂等の撤去作業を進めているという状況にあります。来週の月曜日8月6日以降は、この施工業者の体制を23社37班体制に増強いたしまして、撤去作業を加速することにしております。

 現時点、昨日7月31日、時点において、被災地の皆様から778件の撤去要望を受け付けておりまして、これまでに523件の同意を得まして、現在の段階で98件の撤去作業に着手しています。65件は、523件の同意を得た中で65件は撤去完了というふうな状況にあります。

 次に、仮住宅の提供等による生活再開のための支援状況について説明をいたします。

 お手元の資料を御覧下さい。これまで、今回の豪雨災害に伴い住宅に困窮されている方への仮住宅として、市営住宅、県営住宅、国家公務員宿舎等の公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅を、順次、提供してきました。

 昨日時点、7月31日時点で、抽選のあった市営住宅及び県営住宅や国家公務員宿舎には41世帯の入居が決定しております。民間賃貸住宅には65世帯からの申し込みがありました。合計で入居決定等のあった戸数は全体106戸となっております。

 なお、このうちすでに入居済みは37世帯ということで決定のあった方々の入居が進んでいる状況にあります。

 仮住宅の提供については、7月12日木曜(日曜日)から募集を開始いたしました。そして、今説明したとおりの提供状況となっていますけれども、会場を設けて行った民間賃貸住宅のあっせんの最終日7月22日日曜日の時点で開設しておりました16避難所におきまして88世帯の方々がおられたので、改めて別途、仮住宅の要否を確認してみたところ、その中には必要とするとされた方々が、19世帯ありましたことから、これらの世帯の方に対しては、個別に仮住宅を提供いたしますということを申し上げながら相談にあたっているところでもあります。

 こういった形で、仮住宅が確保できても、そこでの生活を営むためのいろいろな資材が整わないと、生活の再開もおぼつきません。そのため、できる限りの支援を行うという立場に立っておりまして、具体的には、仮住宅において身の回りの生活用品を確保するということをいたしまして、可能なかぎり従前と同じような生活環境を整えていただくようにしております。すなわち、仮住宅とあわせて寝具や食器、歯ブラシ、タオル、カーテンといった日用品に加えまして、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品を提供するということを行っております。

 また、仮住宅での生活は、従来の生活環境と大きく異なります。心や体の不調、あるいは不安、医療や介護に関する困りごと、生活での困りごと等々が発生しやすいことから、気軽に相談できるように、保健師などが健康相談や家庭訪問を行います。

 さらに、仮住宅に入居された方など、元の住居とは異なる場所での生活を余儀なくされている方々につきましては、生活上の支援策に関する情報を、新たな住居地、今住んでおられる所に郵送等により提供することにしております。

 さらに、本市の広報紙やホームページなどによって情報提供も引き続き行うということにしております。

 続きまして、本市の公共施設や農地における被害状況と復旧事業の見通しについて説明をいたします。

 まず公共土木施設、道路・橋梁・河川・下水道・公園こういったところの被害状況であります。

 すでに7月20日に速報値としてお知らせしているところですけれども、土木施設合計で、被害箇所数557件、被害額93億2,000万円となっております。

 この被害額は、平成11年の6.29災害の38億円や、平成26年の8.20災害の24億円を大幅に上回っており、過去最大の被害額となっております。

 これら公共土木施設の災害復旧事業の見通しでありますけれども、まずは、応急対応(策)・応急復旧として、道路啓開や河川内の土砂撤去等、下水管の仮復旧や公園の崩土撤去などを含めてでありますけれど、これを順次進め、被災された住民の皆様が一日でも早く、被災前の日常生活に戻っていただけるような取組をしております。

 また、本市が管理しております主要な道路につきましては、多くの箇所で全面通行止めなどの規制を行っていましたけれども、バス路線の応急復旧を重点的に進めるなど、順次、通行規制の解除を行ってきており、8月中にはこの主要な道路の全てが通行可能になります。この詳細はお手元に配布しております、別添資料を見ていただければ分かるようになっております。

 道路や河川などの本復旧については、9月から国、国土交通省と財務省による災害査定を開始いたしまして、順次工事を進めていくことにしています。年内には全ての査定を完了させて、速やかに工事に着手するというふうな予定であります。

 こうした復旧を進めるに当たっては、国にも要望・提案したとおり、砂防堰堤から下流の普通河川まで、流域全体の一体的な計画のもとで整備を進めることや橋梁等の改良復旧などに力を入れていきたいと考えております。

 また、これらの復旧工事を踏まえながら、将来の安全・安心なまちづくりに資するような復興を行う必要があると考えておりまして、地元の皆様の御意見も活かしながら取り組んでいきたいと考えております。

 農林水産業の被害については、農地への土砂堆積やビニールハウスの倒壊、農林道・水路の崩壊など、現時点で1,230件、約45億円の被害が発生しております。

 現在、被災した施設周辺の、土のう設置等の安全対策をはじめ、仮設パイプによる農業用水の確保などの応急復旧に取り組んでおります。本復旧については、9月以降、国、この場合は農林水産省と財務省による災害査定を経て、順次、工事を進めていきます。

 また、倒壊したビニールハウスの復旧については、国による具体的な支援策の確定を待って、その活用等により支援をしていきたいと考えております。

 本市が管理する水道については、最大時で1万3,300世帯の断水が発生いたしました。しかしながら応急給水を実施するとともに、被災施設の応急復旧を進めた結果、現時点で断水が継続しているのは110世帯となっております。

 断水している110世帯につきましては、安佐北区狩留家(かるが)・小河原(おがわら)地区の一部70世帯は本日解消の予定になっております。

 安佐北区白木地区、三田の一部、10世帯は、安駄(あんだ)橋の落橋に伴い水道管が流失していることから、新たなルートで水道管の整備が必要であり、解消は8月中旬を見込んでおります。

 安芸郡坂町小屋浦地区の一部30世帯は、安否不明者がおられ、土砂の撤去が進んでおりません。今後、土砂の撤去に合わせて復旧を行い、一日も早い断水解消を目指しております。

 なお、水道施設の被害額は25億5,600万円となっております。

 その他公共建物等の被害については、高陽出張所、中野出張所の庁舎2施設、合築の安芸区総合福祉センター、安芸区民文化センター1施設、公民館・集会所等の8施設、保育園、幼稚園、小・中学校等の16施設、スポーツセンター、森林公園等の7施設、その他8施設、合わせて42施設となっております。高陽出張所、中野出張所の被害額は3,900万円と判明しておりますが、その他の被害額は現在算定中となっております。

 全体としては、算定中の額を除いて被害総額164億3,200万円となっております。

 本市では7月22日に専決処分を行いまして、災害見舞金の支給等の被災者支援や道路、河川等の応急復旧など約107億円の予算を補正したところでありますけれども、今申し上げた被害状況などを踏まえ、8月中に臨時会を招集し、本格復旧のための予算を確保することを予定しております。

 最後に、平成30年7月豪雨災害における避難等に関する検証について説明をいたします。

 本市では、平成26年の8.20豪雨災害の教訓から、市が行う避難情報の発令基準、発令時期、住民への伝達方法及び市民側の居住地域の危険度の認識と早期の避難行動の促進などについて、見直しを行いました。

 今回の豪雨災害においては、この見直しに基づいて取組を行い、避難情報の発令時期については改善の効果は認められるものの、残念ながら避難勧告が発令された地域において人命が失われるという結果になっております。

 このため、今回の豪雨災害において、避難情報が地域住民に確実に伝わったかどうか、また、避難された方と避難されなかった方で避難行動が分かれた原因などを検証・評価し、今後避難が確実に行われるようにするための方策等を検討してまいります。

 また、合わせて、生活再建支援や周辺の被災自治体への支援等についても検証・評価をすることを考えております。具体的には、学識経験者による会議を立ち上げて、本年中を目途にとりまとめを行い、今後の対策につなげていきたいと考えております。

 最後に、被災された皆様には、引き続き厳しい状況が続きますが、自助・共助・公助の適切な組み合わせによって、被災された皆様の一日も早い生活の再建に向けて、市民の皆様と一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。

 さらに、それぞれの地域の皆様の御意見を伺いながら、災害に強いまちづくりに向けた復旧・復興を速やかに実現できるよう努めたいと考えております。

 また、平和記念式典開催日の翌日8月7日には、被災後おおむね1か月ということになりますので、再度、市内各地の被災地域に赴き、復旧状況等を確認するほか、主要な避難所を訪問したいと考えております。なお、一日で回りきれない場合は、日を改めて調整します。

 最後になりますが、このたびの災害に対し、全国から義援金、寄付金が寄せられるとともに、市内外から多くの方々にボランティア活動に御参加をいただくなど、温かい御支援をいただいております。心から感謝を申し上げます。

 被災地では、家屋内の土砂等の撤去など、まだまだボランティアの方々を必要としている状況がございますので、ボランティア活動に御協力をいただける方々の御参加をお願いしたいと考えております。

 私からは、以上であります。

記者

 避難の呼び掛けの部分で、緊急速報メール、エリアメールが適切に届いてなかったという問題があったということを聞いておりますが、これについての受止めと検証作業はどのように進めていくのか、本当に人為的なところのミスがなかったのかというところも含めてどのように検証していくのかお考えをお聞かせください。

市長

 災害に関する情報提供でありますけれども、8.20(土砂災害)のときの経験を踏まえて、多段階的に皆さんに情報が提供するようにできるようにということをしっかりやってきたつもりであります。それと同時にこの情報の発信のタイミングについて気象庁からの情報を見て、1時間たってどうこうという判断をしながらやるというのは改めまして、(土砂災害警戒判定)メッシュ情報、区域ごとにどういう状況かということを確認して(土砂災害警戒判定)メッシュ情報に基づいて、その基準を超過したら直ちにアラームが発せられて、それを皆さんにお知らせするという、そういう情報発信のタイミングを見直した上で今回もシステムを稼働させました。そして情報を提供する手段、多段階的にと申し上げたのは、まずは防災行政無線の屋外スピーカーなどが配置できているというところで全体に情報提供をする、あるいは個別の発信機に情報を送って、町内会長等が関係者に連絡するということ、さらにはテレビでのテロップ等々、多様な手段を講じた上で、その他、防災情報共有システムというのを用いまして、登録した方(に)、防災情報メールを携帯電話に届くようにする。あるいは緊急速報メール、携帯電話持っている方々、民間のそれぞれの情報機関から情報等届ける。あるいは広島市のホームページで載せる、Facebook(フェイスブック)にも載せる、Twitter(ツイッター)でも載せる等々、ここにありますように防災情報を複数のシステムから個々人にも届けるようにするといったような情報提供をやっています。さらには防災ポータルを設けまして情報を知りたい方はそれにアクセスすると分かると。こんなシステムを構築しているわけですが、今回起こりましたのは、この防災情報共有システムの作動不具合がございまして、これ機械的な問題なのですが、区域によっては避難指示、緊急のメール発信を行うまでに短いところで8分、長いところで40分ぐらい遅れてその情報が届いたという問題がありました。この点についてシステム作動不調に関しては、これは直ちに改修できるということでありましたので改修をするようにいたしましたけれども、問題は先ほど申しましたように、警戒をしてもらわなければいけない地域にあるといったところ、そこには情報がいったのですが、そんな中でそういった地域の中で犠牲者が出たということ、それが安芸区・東区内にそういったことが起こりましたので、この情報のシステム上の問題の解消はもちろんのこと、こういった避難に関する情報の伝達が確実にいくように、そしてそれがその上で住民の避難行動にきちっと繋がるようにするためにどういった問題があるのだろうかということを検証するために先ほど申し上げました、学識経験者による会議を設けて、その中で方向を出していただこうと、それを踏まえて改善していこうと考えております。

記者

 原因については、まだ調査中ということだという理解でよろしいんですかね。今の防災情報(共有)システムについては。

市長

 原因は、そこの機械的な原因だということだったので、その根源のところをどうするかということ、今、調整しております。

記者

 その根源のところが解消できてないということなのですが、もし解消できるまでに同じようなことが起きて、8区同時に緊急に情報配信しなきゃいけないという場合が起きたときに、どのように対処してその事態に対応する方針なのでしょうか。

危機管理担当局長

 まず機械的な問題で即対応できるものについては対応するようにしております。それからシステムという対応が即できないものについては、時間が掛かるものですから、それについては業者の方に調整をしていただくようにやっております。

 今の御質問は、その間、雨が降ればということだと思いますが、それは別のやり方で、例えば私どもの方で、区からの発信じゃなくて危機管理室の方から一斉に発信するなりその対応については、ちゃんとやっていこうと思います。以上です。

市長

 いずれも技術的な問題なものですから、今のシステムの補正と同時に代替システムを作って、そちらで届くようにしようということをやっていると御理解いただければと思います。

※( )は注釈を加えたものです。

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