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ページ番号:0000013123更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2018年05月10日記者会見「2020年NPT再検討会議第2回準備委員会への出席等について(帰国報告)」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

【2020年NPT再検討会議第2回準備委員会への出席等について(帰国報告)】

<会見録>

市からの発表案件

2020年NPT再検討会議第2回準備委員会への出席等について(帰国報告)

市長

 この度、2020年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議第2回準備委員会への出席等を目的としまして、4月22日から4月30日までの9日間の日程でスイス・ジュネーブ市、フランス・パリ市及びスペイン・ゲルニカ・ルモ市を訪問いたしました。そのポイントについてお話をいたしますので、詳しくはまたお手元の配付資料を後ほどご覧いただければと思います。

 準備委員会が開催されました、パレ・デ・ナシオンの総会議場、総会の会議場ですが、議場は、初日には約190ヶ国の政府代表席の両サイドを取り囲むように配置されておりました席が、NGO関係者で満席となり、核兵器条約採択後の最初の準備委員会に非常に高い関心が寄せられていることが窺(うかが)える状況でした。4月25日のNGO(非政府組織)セッションでは、田上市長と共に18団体最後のスピーチを行いまして、核兵器不拡散条約(NPT)の第6条の核軍縮の誠実交渉義務を改めて確認し、具体的な核軍縮処置を速やかに実施すること、そして人間の理性に基づいた対話によって協調的な安全保障に転じ核兵器禁止条約(TPNW)を核兵器廃絶に向けた重要な道しるべとして推進することの重要性を強く訴えたところであります。

 準備委員会のブガイスキー議長をはじめとして、オーストリアやコスタリカといった条約推進派、さらには核保有国の米国政府代表とも面会いたしまして、全ての国の共通の目標である核兵器のない世界の実現に向けて、理性に基づいた対話を大切にしながら、まずは核兵器不拡散条約(NPT)を推進し、その先に核兵器禁止条約(TPNW)を据えた取組を推進していくことの重要性を訴えました。また、平和首長会議としては、市民社会の中で、為政者が安全保障の問題において長期的な視点を持ってリーダーシップを発揮してもらえるような環境作りを進めており、核保有国や傘の下の国においても、加盟都市をさらに増やしていきたいと考えているということを紹介しまして、是非協力をしてほしいという要請も行いました。

 会期中に開催いたしました平和首長会議の理事会には、ヨーロッパのみならず、モントリオールやモンテンルパなどの10都市が集いまして、昨年採択しました2020年までの行動計画に関する具体的な推進方策についての意見交換を行いました。各地域でリーダー都市が推進しております効果的な取組については、平和首長会議全体の活動の活性化や加盟都市のさらなる連帯・拡大に資するものであるという評価を得まして、その推進について共通の理解も得ることができました。またジュネーブではICRC(赤十字国際委員会)を訪問した際に、ICRCが2020年のNPT再検討会議に先駆けて、アピール文すなわち「核兵器による世界の破滅を回避するために」というアピール文を発表したことを知ることになりました。こういったタイミングでの発表はICRCの熱意を感じさせるものでして、今後の活動に活かしていければと考えています。その他、ジュネーブではICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)やユースフォーラムでのPAXやINESAPとの、さらにはゲルニカでは平和博物館や平和研究所など核兵器廃絶や世界恒久平和の実現に向けて活動している様々な団体との意見交換あるいは連携を通じまして、国際世論の醸成・拡大を図っていく上で、こうした団体との協働は極めて大切であり、そして今後も効果的にこういった協働を進めていきたいと考えています。

 今回の準備委員会に派遣いたしました高校生8名に関しましては、本準備委員会への傍聴、そして国連等の見学、さらに地元青少年との交流を通して様々なことを学ぶということになったと思いますし、それと同時にホワイトコスタリカ政府代表部大使、元核兵器禁止条約交渉会議議長ですが、この方への市民署名目録の手交行事(手渡す行事)や、それからユースフォーラムの場で、核兵器廃絶への思いを自分たちの言葉でしっかり訴えるということが行われました。また、ユースフォーラムに各国から参加いたしました加盟都市やNGOの青少年も、それぞれ自分たちが行っている平和活動やその中で考えたことを、しっかりと力強く発信しておりました。今後、被爆者の思いを確実に承継するためには、こうした次代を担う青少年の育成を地球規模で進めていくと、そういうことの重要性を再認識いたしましたし、こうした場の創出ということに一層力を入れていければなと思ったところです。

 ジュネーブでの活動に続きまして、平和首長会議の加盟都市であるフランスのパリ、(スペインの)ゲルニカ・ルモ(市)におきまして、それぞれ近隣の役員都市の協力も得ながら、被爆樹木の苗木の贈呈式・植樹式ということも実施いたしました。今後、両市での苗木の成長、これが大きく育つにつれまして、市民の心に世界の恒久平和と、あるいは核兵器廃絶といった願いを共に持ってもらうということが、しっかり根付いていければなという期待感を持ったところであります。また、現地での報道などを見てまいりますと、この取組に対する理解が広がっていくのではないかなということが期待できるような状況もありまして、意味のある、あるいは意義のある行事となったのではないかなと思っております。

 パリの市役所におきましてはティヌスという画家の名前を付けた部屋が会場となりまして、そこで被爆樹木の苗木の贈呈式が行われました。このティヌスという画家の由縁を聞くと、2015年のシャルリ・エブド社襲撃事件の犠牲者の一人なのだということでありまして、その画家が描いた作品が、この部屋の壁一面に描かれておりまして、部屋全体で非暴力を訴えているのだという説明を読みまして、そんな部屋での式典ということになりました。

 一方、ゲルニカ・ルモ(市)ではヨーロッパで最も古い議事堂の一つに挙げられておりますビスカヤ県の議事堂、ここで(歓迎行事が)ありまして、この場で、県議会議長、それから副知事等による歓迎行事が行われまして、その後にバスク州の首相も加わりまして、ちょうど、同議事堂の裏手といっていい場所にある相当大きな公園でありますが、ヨーロッパ公園と言っていましたが、そこで盛大な植樹式を開催するということになりました。このように両市の心のこもった対応に感謝するとともに、今回培いました、こういった協力関係を今後とも継続するということができればなと思っております。

 今回の出張では様々な取組を通しまして多くの各国政府や地方自治体の関係者、NGO、市民に核兵器のない世界の実現を願う被爆者の思いを伝えるということをやるとともに、平和首長会議の取組について理解を広げることができたのではないかと考えております。

 また、準備委員会から出されました議長総括を後ほど見てまいりますと、核兵器禁止条約(TPNW)についての推進ということと、それに反対するということ、この両方の議論が併記されるというふうなものになっておりました。これを見て、やはり核兵器禁止条約(TPNW)と核兵器不拡散条約(NPT)の関係整理というものが、引き続き大きな課題として残っているなということを思ったわけですが、それだからこそ、核保有国と非保有国の間での信頼醸成、これを目指すことの重要性というものが改めて浮き彫りになったのではないかなというふうに痛感しております。

 平和首長会議としては、今ある当面の課題、核軍縮を実質的に進めていくにはまだまだ国家間のギャップが存在していることは否めませんが、今後とも様々な機会を捉えて、人類共通の目標に向けて、核兵器廃絶、この人類共通の目標に向けて、幅広い市民社会のパートナー形成、そして、その協働ということをやる、そして世界の為政者の対話を促すということによって、核兵器に依存しない協調的な安全保障といいますか、そういったものへと転換を促す、そういう環境づくりをしっかりやっていく必要があるというふうに考えているところであります。そのためにも、核保有国における加盟都市を、さらに増やすといいますか、連帯を強化する、拡大するといったことに力を入れていくことが重要になるのではないかなと考えておりまして、それを通じて、世界の為政者の核兵器廃絶に向けた取組を最大限に後押しするといった立場で、これからも頑張っていきたい、そのように考えているところです。以上です。

記者

 今、最後の方におっしゃって頂いた所と少し関連するのですが、非常に今回の準備会合では禁止条約の推進派と(核)保有国側との意見の対立が、これまでもあったわけですが、こうして一同に会した場で、改めて鮮明になったように思いますが、そうした中で今度の再検討会議、再来年になりますが、それに向けて本当に実質的な核軍縮の進展というのが期待されるわけなのですが、この被爆地のヒロシマの役割ですね、どのような役割を果たしていくべきかということを、現地を訪れてお感じになったかというのを教えてください。

市長

 被爆者の立場ということの再認識、再確認ということなのですが、まずこれが重要であると思ったのですが、本当に自分たちの体験ということを通じて、それが人類共通の目標までも願うものになっていると、こんな非人間的な体験というものを、どなたにもさせてはならないのではないでしょうかと、この思いは、いわば絶対善といいますか、ゆるぎないものだということを自分自身、確認したと思います。それはそういう意味で、すごいしっかりした理想なのですが、ただ現実の問題として、その理想状況がなかなか実現できてないという、これをどのように考えるかということですが、この理想ということでありますが、身近な問題として市民社会、市民ベースで考えれば自分がやってほしくないことは、人様だってやってほしくないのだから、他の言葉では「情けは人の為ならず」という日本のことわざがありますが、人様にいろいろな思いを掛けていくというのは、人の為ではなくて、巡り巡って自分の為になるのですということと、全く同じような構造だと思います。こうして大量に破壊して、それを使ってしまうと人類そのものが滅んでしまうような行為を、自分たちも経験したのだけれども、そういうことをやめようじゃないかというのは、もちろん皆さん他の方に対して向けているということを、ぐるっと回って自分の事なのです。だからこの構造を、もし為政者が本当に頭の中にきちっと入れてもらえるならば、もう少し今やっている現実的な、核抑止力を使った外交、あるいは様々な国家間の競争や、貿易外交、様々なものが、少し視点が違うはずだというふうに思うのです。さらには、それを行っていこうとする国連を中心として、今、国同士の枠組みが核を持っている国、持っていない国というその位置付け、条約の中で核を持つということを認知する国、そうでない国、その間に、認知されないけど実際核を持っている国と、大きく分けて3種類のグループがあって、それらが今言った市民社会の原点をもう少し本当に理解する為政者が、各国に増えてくれば、今やっているような様々な対応が必ず変わるのではないかと。でもやっていることはそれを理解してもらってない、自分自身の問題と捉えてなくて、いわばパワー・ポリティクス(権力政治)といいますか、権力外交の延長線上で考えているのではないかというふうに思えて仕方がないのです。そんなことを思っている中で、先ほど言いましたようにICRC、赤十字などは国境を越えて、いろいろな人的被害にあった方々を救済するという活動を世界的に展開している、こういった組織が、NPTの再検討会議の準備委員会の段階で、そういった破壊的なことをやめようではないかということをきちっと訴えていくということになりました。だから、このように理解している組織があるのだなと。今まではどちらかというと、検討会議の直前や、前後の辺りでようやくまとめて行うということだったのですが、今回は準備委員会の段階からしっかり自分たちのアピールをしておかないといけないのだということを言い、かつ対応されたというのが印象的でありまして、だから自分の思っていることを同じように感じている方々や、そういう組織もあるのだなと思ったわけで、そういう意味で改めて都市といいますか、国境を越えた形でのお付き合いをするこの平和首長会議の立ち位置をしっかりして、多くの市民社会、あるいは市民の方々の理解を広めるための活動をもっとしっかりと行う、そのためにも次代を担う若者たちが、しっかりした対応をしているというのを目撃しましたので、こういったところに力を入れるということの重要性がますます高まってきているのではないかなと思いました。

記者

 準備会合の中では日本政府が設置した賢人会議の提言も河野外務大臣御本人が御出席をされて御説明なさいました。いくつか橋渡しを果たすための取組の内容にも触れられて現地でお聞きになったと思いますが、これについてはどのように評価されていらっしゃいますか。

市長

 賢人会議での成果をきちっと披露されて、橋渡しをする立場でしっかり言われました。これは欠かせないことだと思います。平和首長会議、ヒロシマ・ナガサキとすれば橋渡しをすることは絶対条件です。やっていただくということですから、橋渡しをする際に今までのステージを越えて、もう一歩先の「核を皆が持たないようにする」という出来上がった条約をうまく廃絶へのプロセスの中に取り込んでもらって、今あるNPTと対立するものではなくて、次のステップにあるものに向けてうまくソフトランディングといいますか、そちらに確実に動く事態をどうするかということをもう一回、心に留めて橋渡しをしてもらえないかと思います。橋渡しは絶対に重要だと思います。その橋渡しをする際の視点についてもう少し踏み込んでもらえないかという思いを持ちました。

記者

 アメリカのフォードさんという担当者(米国国務省国際安全保障・不拡散局次官補)と面会をされたと思いますが、トランプ政権になって、オバマ政権時代の核兵器なき世界を目指す方向と、逆行とも取れるような、新たな核体制の見直しなどがある中で、被爆地に結構懸念もありますが、フォードさんとのやり取りの中で、特に印象に残った、特にフォードさんの考え方といいますか、感じられたことを教えてください。

市長

 フォードさん(米国国務省国際安全保障・不拡散局次官補)は日本にも来たことがあるし、ナガサキも実際に知っているということで、両被爆地についての思いについては、しっかり受け止めていただいたという思いであります。ある意味では相当個人的にといいますか、理解はしていただいたという思いでした。時間もたっぷりいただきました。ただ問題は、次官補という立場でありますので、現在のアメリカの、いわばオフィシャルな公式的な立場に関してのコメントは差し控えるということで、私自身とすれば、立場上そういうこともあるのかと思いながら、しかし現政権を支えている方ですから、そういった方に、個人としての理解であるとしても、被爆者の思い、そしてこういった考え方で我々対応しているということを時間を掛けて、ゆっくり聞いてもらったことについては、必ず今後に繋がる良いきっかけになったのではないかという思いであります。そして、来月はボストンで全米市長会議に出て、できればいろいろなスピーチも考えていますので、こういったことも踏まえながら、どういった形で市民社会といいますか、皆さんを取り込んでいくか、あるいは、我々の理解をしっかりとしていただけるかということを考えながら、話をしたところであります。

記者

 それに関連して、トランプ政権がイラン核合意から離脱後、ヨーロッパ諸国、日本も含めて維持を求める声を振り切る形で離脱を決めましたが、それに対する受止めはいかがですか。

市長

 トランプ大統領は、アメリカ・ファーストをスローガンにやるというふうに宣明されて大統領職を務められておりまして、スローガンどおりやっておられるなというところが、まず客観的な評価だと思います。ですがアメリカ・ファースト、アメリカのためだけということをやるのは、本当に長い時間を掛けて、一過性のものではありませんから、物事を展開していくときに、本当に良いのだろうかということをちょっと考えてもらった方が良いのではないかという気がすることと、それから、アメリカ・ファーストということで、アメリカの国民のためということでやっておられることが、地球をぐるっと回って他国の国民にそれが影響し、そしてまたそれが自国の国民に跳ね返ってくるという、そういう循環がある中で、そういった視点で物事をやっていくことが、本当に自国の民のためになるかということを、もう少し時間軸を先に延ばして考えたときに、どうかなと考えてもらった方が良いのではないかと思います。自分自身も外交が得意ではありませんので、そんなに詳しく知るわけではありませんが、いろいろなところからの資料で知るかぎりは、イランに関する今の国際的な位置付けというのは、国連の安保理(安全保障理事会)で6か国が合意しているということ、その内容を安保理でも承認して、2015年に成立・発効しているものです。そういう意味では、アメリカ一国とすれば十分でない内容だという主張が正しいとしても、他のところで、例えば、核軍縮などについて、ステップ・バイ・ステップでやっていく必要があるという主張を一方でされています。そうすると、こういった問題についても、ステップ・バイ・ステップでやっていくという発想ですると、今やろうとしている、離脱するという対応はどうかという見方もできるのではないかと思います。そういう意味で、もう少し視点を少しずつ変えるといいますか、今言っている主張について、いろいろな要素を加味して判断できることもあって良いのではないかという思いでありまして、いずれにしても、国政レベルの対応でありますので、対応を慎重に見守ることがいるのではないでしょうか。国政レベルでは、そういった離脱を支持するグループもいますし、留まってということで、もう少しこの状況の中で、良い方向に向けてという御意見もありますので、そういった様々な要素を加味しての事態展開がもう少しあると思いますので、それを見守りたい。ただ、市民ベースで願うのは、そういったことがいわば今後のいろいろな核を巡る紛争の悪化に繋がらないよう良い方向に、最終的には、全ては核廃絶に向けての一歩になるように、半歩になるように願うばかりであります。

記者

 お伺いしたいことが二つほどあるのですけれども、繰り返しになってしまったら申し訳ありません。まず一つが言わずもがなですけど核兵器禁止条約ができてからNPTの準備委員会を迎えて核廃絶を巡るところに対する核廃絶を願うモメンタム(勢い)がどういうふうに今なっているかっていうのを市長が感じられた部分を一つ教えてもらいたいなと思っています。あともう一つが賢人会議のことに先ほど言及されたと思うのですが、その際に「もう少し踏み込んだ視点というものが望ましいのではないか」ということをおっしゃられたと思うのですが、それが具体的にどういうものなのか、お考えがあればお聞かせください。

市長

 モメンタムっていうのは地球全体というか国政レベル、あるいは市民レベル、様々な状況がありますので、全てが全てではないということを前提で申し上げますが、国のレベルで申し上げると核兵器を持つことを現時点で正当化されている国と、持たないということを約束し実行している国と、その条約(核拡散防止条約(NPT))に入る、入らない、NPTに入る、入らないということを判断しながら結局事実として核兵器を持っている国と、こういう3分類された国家群の中で核兵器禁止条約ができた。という、その成果については、核保有国が核を持っているということを前提に抑止力を使っていろんなことをやっていくというのはおかしいでしょうと。持つというのは核軍縮をする、不拡散をやっていくことを前提にNPT第6条ができているのですよということを言い続けて、持ってない国にとって、この事態の進展がないことに対する苛立ちをどうするかというのでずっと揉めてきた中で、一つの解決策として(核兵器)禁止条約という次のステージを出すことで、さらに、取組を強化してもらいたいと、そういった一つの希望を具現化する目標ができたということで、核廃絶に向けてのモメンタムは、そういう意味では高まったと思いたいのです。

 ところで、核兵器を持っている国は、持つということを認められている国以外のところ(国)で、核を持っているというそちらの方が今問題なのであって、廃絶の先の話よりも、今(核兵器が)広がっているところについての問題を解消するためにはそういった禁止ではなく、自分たちは持つということを合理化しておいて、持つことができないとされている国の核を徹底的に持たさないようにするということが重要なのだから、そちらの議論より自分たちの今のやり方を支持すべきだと。そのために、自分たちの核軍縮、核不拡散は確実にやるけども、それに則ってないところは、いろんな意味で「直ちに早くやれ」と「それやらないと自分たちだってできないんだ」と、こういう理屈をより強固に展開されている。それを皆さんが「対立」と言うのですが、それは私にとっては「対立と言うんですか」と申し上げているのです。現実の問題を対応するときの論点はあってもいいですよ。だけど、それを越えた先に核兵器禁止条約を作ったのだから、それに向けて議論が進むような対応をすればいいじゃないですかと。それをなぜ分断や対立などというコメントを加えるのですかということを言い続けたいと思っているのです。そういうのが私にとってのモメンタムと言えばモメンタムと、思っています。

 そして、そういったことを市民社会として認知してもらえれば、今言ったように、もう少し被爆の実相、そういったことがない世界がいいなと皆が思っているのですよということを認知してもらうことをやれば、そんなにぶれるということはないのではないかと、理念形かもしれませんが間違いない方向だと思っています。そうした中で、賢人会議については、橋渡しをどうするかという、今のNPT体制をより実効のあるものにするという視点から出ているものですから、それは確実にやってもらうのですが、さらにもう一歩、今言った現状の中で、禁止条約というものを作ったというステージをもっともっと配慮した対応の方法を考えてもらいたいと思います。そして、賢人会議の文書の中にも今言っているような視点での取組っていうのは非常にもろい、長期的な視点で見れば、核廃絶についてやらなきゃいかんというような共通認識だというような文も入っているのです。だけど、それは単なるコメントでとどまっていて、それでどうするかというところまで行ってないというところが、先ほど申し上げたもう少し踏み込んだ議論ができる環境ができたらなというふうに思っているということであります。

記者

 核兵器廃絶に絡んで、先月の27日に南北の首脳会談が実現しました。朝鮮半島の非核化、そして、休戦状態の解消ということで一致しましたが、北朝鮮側からの発表では、核廃絶、核という言葉は、一言も出てきませんでした。一定の評価が見られる上で、まだ核廃絶が実現性としては低いのではないかという見方もありますが、このことについて、市長の受止めをお聞かせください。

市長

 今まで言っていることの繰り返しになるような気もしますが、ただ、北朝鮮の問題に関しての自分なりの整理としては、朝鮮半島における紛争は、日本が原爆投下を受けて1945年に敗戦を迎えて、それから5年後に朝鮮での戦争が起こって、その時からの分断というか、ずっと続いています。南北での休戦はしていますが、平和状況ではないのです。いわば、戦闘的な状況にあるけれども戦いはしていないという状況の中であるということが一つです。さらに、北朝鮮は今のNPT体制、つまり、特定の国が核兵器を持って、それ以外の国は持っていない、それを守りましょうというグループに入っていない存在です。それでありながら、そういった条約を締結している中で、皆で守ってくださいよと言っているグループの外側にいて、事実、核を持っているということです。それを皆で減らす、せっかく、核を持つ国を限定しながら、そして、核軍縮をしていこうとやっているのにはみ出ているのは問題ですと、入ってくださいということをやり取りしていくべき立場にある国なのです。そこに対して、究極は核兵器のない、あるいはいろいろな意味での非人道的な兵器を持たない国になってもらうというのは、当然の要求です。それを目指していろいろなやり取りをやっていくべきと思います。そういった中で、今関係している国が、自分たちのグループにない国をどう取り込むか、だから向こうの言い分も聞きながらやろうというような対応をされているのではないかと思うのです。ただ、取り込んだ先には完全な非核化、つまり、完全で検証可能で不可逆的な非核(化)を必ずやってもらいたいということを構えながら、でも、そこに入り込むための調整をしようとしているのが、関係する各国の状況ではないかという認識です。ですから、その方向性をぶれることのなく、進化していくために、平和首長会議あるいは市民社会のベースとすれば、最初に申し上げましたように、この地球上から核兵器がなくなることが理想であるので、その目標を忘れることなく今の様々な事態の取組の中で可能なもの、非核化に向けての確実な歩みをしていただくということを是非やってもらいたいと思っています。そうした中で、今までは、ある意味で対立的な対応をしてきていた北朝鮮が、いろいろな意味で対話に応じるというメッセージを今発し始めています。そして、ここからは自分なりの判断なのですが、核を持っている国の核抑止力というものを使ってやったから対話に応じたというような評価を強調するのではなくて、そういったもの抜きで、例えば、今までやっている経済制裁といいますか、こういった取組をしているとあなたはこの国際社会の中で生きていきませんよと、兵器を少し置いたとしても経済はうまくいかないようになりますがどうですかといった、いろいろな総合的な対応がボディーブローとして北朝鮮に効いてきて、そちらを重視するために、この軍事力についてもう少し協調的な判断をした方がいいと考えてもらったのではないかと。あるいは、それを着実にしようとしているという受止めの中で交渉を進めていく方が、より実りのある対話をできるのではないかという思いでおります。

その他の質問

国民健康保険に加入できない外国人に加入を認め保険給付を行ったことについて

記者

 昨日、保険年金課から発表があった、国民健康保険に関する事務処理のミスと言って良いのかどうか分かりませんが、ミスのことついて伺います。発表を見ますと、医療目的で来た外国人の方にわざわざ、国保の給付金を与えるということなんですが、普通に考えてありえない対応だと思います。

市長の受止めをまず伺います。

市長

 この案件についての報告を受けて全容を知ったときに、まずもってこういった制度、特定の目的を持った制度・運用に関して、誤った判断で運用実績を作っていくということ、これは市政を運営する上で市民の信頼関係を欠くことになるという、とても重大な問題だという受止めをいたしました。

 そして、この問題に関して自分なりに分析いたしますと、そもそも国民健康保険に入れるべきではない方を入れさせてしまったということ。そして、入れさせてしまったので、後で間違ったということが分かり、それの停止措置は比較的スムーズにしましたが、加入させていた期間についても本来であれば給付することができない、給付についての返還手続きといいますか、ある意味で過ちを是正するための一連の手続きが相当時間を要しているという報告が来ましたので、こういったことに関しましては、市民に不信感を与える対応であるということで、誠に遺憾な事態だという受止めであります。

 で、そこからですが、職員がいろいろ対応したということをこの数年掛けての話を聞いた中で思ったのは、ある意味で、それぞれ組織の担当窓口で処理をするという事務をしている職員一人一人が、自分たちが関わっている制度の基本原理みたいなものをもう少し、きちんと頭に入っていると、自分たちが当然やっていく処理手続きが変わったからといって、ちょっと立ち止まって判断するということはできるのではないかと思いました。というのが、この問題のきっかけが外国人の方であっても、3か月以上、長期に滞在するようになると住民票が取れるようにするというそういう手続き変更があったそうです。で、国保(国民健康保険)に入るときに当然、住民票がある方、市民とかそういう方ですから入れるということであり、今までは住民票に入ってなかったわけですので、あまり制度を考えなくても外国人だからといって保険に入ることはできませんと簡単に断ってたそうです。

 3か月以上たったところでは入れるようになったといったものですので、住民票を出せるようにすると言ったことと、さらにもう一つ、国民健康保険という仕掛けの保険制度ですから、それに対しての基本要件のところの資料を飛ばして手続きをしたということだと思いました。外国から来ている方が様々いる中で、わざわざ日本に治療行為をすると。治療行為したくて来たのだと。治療行為する段になって保険集団に入れるとなると、保険集団は日本の国民、市民が何かの備えで保険料を収めていて、元々いた方が事故に遭われたときに給付するというように、すでに事故が起こってしまっていて給付自体が発生しているのに、入れてくださいと来るような方を入れるという手続き変更は本当にあるのだろうかということ。ちょっと考えますと、別の視点で長く居られれば自動的に住民票を出して、入れるようにしましたということがあったとしても、もう一段考えるということをしておくと、こういう誤解はなかったと思うのですが、その手続きの書面のところだけ、こちらが見て、あったからというので安易にしてしまったところが原因だったということが自分なりの分析結果です。

 だから、こういった意味で、それぞれの制度の原理・原則ということをもう一遍、いろいろな手続きが変わるときに振り返るということをする。そして、もう一つの方は担当職員が誤って支給したというので、直ちに支給停止を掛けていくということ。そちらの手続きはしたのですが、誤った期間に出していた給付が外国人であるということもあって、その方々への返還請求をしようとするときに自分たちの判断ミスが重なったときに相手に対して、どういう形で請求するのが正当性があるかとか、いろいろ争われたときにどういうふうに言う必要があるかについての関係のところをいろいろ協議をして時間を掛けたのだと。そのために後の処理について、実際そういう結果が起こっておりまして、外国人で医療行為を受けた方が、もうすでに本国に帰っていると。そういう方々にこの日本国政府内の一部の自治体が請求権を行使して、無効としてどこまで請求できるかとか、民事でしょうから強制にならないと。で、住所地がつかまらなくなっていくと。国内にいる方だと一応言っていますが、今言ったように自分たち元々そういう意図でこの国の制度を利用されて、医療を受けたいが受けるに当たって、そちらの方が保険制度を出してくれると言い、自分たちの知らないうちになったのだから、なんで返さなければならないのか、そういう論争も出てくるということもあり、その対応についての判断がなかなかできなくて、こういった事態になったということを聞きました。

 これについて後者の方は、そういったことがあっても逆に保険を負担している市民の意識からすると、まずそういったものを整理するか、それを発表して追求するとか請求するということを先にすればいいのではないかと。ワーストシナリオを考えて、そこをチェックしながらどうすればいいのかということで時間を掛けて、後々、ようやく整理できると言えるか、同時平行でするとか、もっと対応方法に工夫があるのではないかということをやり取りいたしましたので、そんなことが今回、これを巡る問題の一連の私の感想であります。

記者

 関連で、まず一点は、これ発覚したのが平成26年10月と平成27年1月。もうそれから3年以上たって発表ということに大変不信感が市民の一人としてもあります。もう一点この相当大きいトータルで3700万(円)以上の給付の返還も今、なかなか難しい状況だと聞いていますが、これは市の財源からですね。国民保険の財源で補填していくことになっていくのか、そこら辺のお考えもお聞かせください。

市長

 それは、いわゆる保険制度で保険料が徴収できない方と一緒の話になります。外国人だからうんぬんじゃなくて、保険給付をしたけれどもその方々に対する保険料負担をとれない方もおります。一部負担もありますから、それ以上に保険料も取ってないわけですから、それがその制度内の負担額を請求するという形でやるのか、元々、制度に入れないのだから市に対する損害ということを与えたということで、そちらの損害賠償を請求すると、そういった法律上の整理とかをどうするかというので時間かかっていたということを言っているのです。だからそういったことは、まずこういった問題が起こって相手に対して請求するんだということを言った上で、その事態解消に取り組むというのはあったのではないかということを今申し上げたので、今その整理をして今やり始めているということであります。

記者

 市長はもっと早く公表すべきだったと。

市長

 そう、私自身、出来れば、もっとやりますということを言った上で、経過を説明していけば納得していただけると思うのです。そんなに支給したことに関しての過ちはありましたが、それ以後の手続きはやっているわけですから、支給停止をしておりますし、だからその間、誤った部分の是正措置に関しての対応をもっと市民に説明しながらやるということさえやれば、こんなにこの悩みましたということを報告するということをしなくてもいいと思ったわけであります。

記者

 市長への報告はいつだったんですか。

市長

 報告は、この(発表をする)少し前です。

記者

 今週に入って。

市長

 はい。これに関してこういう事になりましたと。事務手続きでやっておりますということを言っていましたので、もっと早くできたのではないだろうかということは言っております。だからといって事態解決するわけでありませんのでそういったことを特に言うわけではなく今後のいわゆる戒めにしてもらえたらと思っています。

※( )は注釈を加えたものです。

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2020年NPT再検討会議第2回準備委員会への出席等について(帰国報告)(985KB)(PDF文書)

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