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ページ番号:0000013106更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2017年08月01日記者会見「平成29年の平和宣言について」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

【平成29年の平和宣言について】

<会見録>

市からの発表案件

平成29年の平和宣言について

市長

 それでは、今年の平和記念式典で訴える平和宣言についての説明をさせていただきます。お手元の資料を御覧いただければと思います。まず、1の「宣言作成の基本姿勢」についてですが、今年も「平和宣言に関する懇談会」での意見を踏まえて起草しました。

 平成27年の平和宣言から、核兵器廃絶に取り組む際の原動力となる信念を固めるために必要な行動理念を提示して、世界の人々に、特に為政者に、相互不信や疑心暗鬼から抜け出すために、理念の転換を促しています。行動理念として平成27年には「人類愛」と「寛容」、平成28年は「情熱」と「連帯」を提示しましたが、今年は「良心」と「誠実」を提示しました。これまで寄せられました被爆体験談の中から、これらの行動理念に関連する体験や思いを被爆者のメッセージとして盛り込んでいます。

 また、先月、核兵器禁止条約が採択されたことに触れまして、各国政府が「核兵器のない世界」に向けた取組を更に前進させなければならないと訴えています。日本政府に対しても、同条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組むことを求めています。さらに、これからも、できるだけ多くの人々に広島を訪れて、被爆者の核兵器廃絶への願いを受け止めた上で、世界中に「共感」の輪を広げていくこと、とりわけ、若い世代には、非核大使として友情の輪を広げてもらうことを呼び掛けています。それとともに、広島が世界の人々がそのための交流をして、行動を始める場でもあり続けるということを表明しました。なお、平和宣言を広く市民に理解してもらうため、できるだけ分かりやすい表現に努めるとともに、被爆地としての原点に立ち帰って、例年に比べて、被爆の実相に関する記載を増やしたほか、原爆投下日と投下時刻を示すなど、若い世代への継承も意識をしました。

 次に、2の「宣言に盛り込んだ主な内容」としては、平和宣言の要素として、これまでと同様に、「被爆の実相」、「核兵器を巡る世界の状況」、「平和への誓い」、「核兵器廃絶に向けた訴え」、「被爆者援護施策充実の訴え」、「原爆犠牲者への哀悼の意」等を盛り込んでいます。

 最初に(1)の「被爆の実相」ですが、まず、宣言文の冒頭で、72年前の8月6日8時15分に広島に「絶対悪」が放たれ、立ち昇ったきのこ雲の下で、何が起こったかを思い浮かべるように呼び掛けを行っています。とともに当時の広島が正に地獄であったことを説明します。そして、原子爆弾が、罪のない多くの人々にむごたらしい死をもたらして、放射線障害や健康不安など、心身に深い傷を残し、社会的な差別や偏見を生じさせ、辛うじて生き延びた人々の人生をも大きく歪めたことを説明します。

 次に(2)の「核兵器を巡る世界の状況」ですが、以上のような72年前の地獄というものが、決して過去のものではなく、核兵器が存在し、その使用をほのめかす為政者がいる限り、いつ何時、遭遇するかもしれないものであること、そして市民社会が、既に核兵器というものが自国の安全保障にとって何の役にも立たないということを知り尽くし、核を管理することの危うさに気付いていることを指摘しています。さらに、核兵器の使用は、一発の威力が72年前の数千倍にもなった今、敵対国のみならず自国をも含む全世界の人々を地獄へと突き落とす行為であり、人類として決して許されない行為であること、そのような核兵器を保有することは、人類全体に危険を及ぼすための巨額な費用投入にすぎないことを訴えています。また、193か国が加盟する国連において、122か国の賛同を得て、核兵器禁止条約が採択され、多くの国によって核兵器廃絶に向かう明確な決意が示された中、各国政府が「核兵器のない世界」に向けた取組を更に前進させなければならないと訴えています。

 (3)の「行動理念等」ですが、被爆者の体験に根差した「良心」への問い掛けと、為政者に対する「誠実」な対応への要請を我々のものとし、世界の人々に広げ、更には、次の世代に受け渡していくように呼び掛けています。特に、為政者に対しては、互いに相違点を認め合い、その相違点を克服するための努力を「誠実」に行うこと、また、そのためには、核兵器の非人道性についての認識を深めた上で、自国のことのみに専念して他国を無視することなく、共に生きていくための世界をつくる責務があることへの自覚が重要だと訴えています。宣言では、それらの行動理念に関連する15歳だった被爆者と17歳だった被爆者のお二人が書かれた体験談を引用しています。

 (4)の「平和への誓い」ですが、広島が会長都市となって世界の7,400を超える都市で構成する平和首長会議は、市民社会において世界中の為政者が、核兵器廃絶に向け、「良心」に基づき、国家の枠を超えた「誠実」な対応を行えるような環境づくりを後押ししていくことを誓っています。

 (5)の「核兵器廃絶に向けた訴え」ですが、これは、世界中からの訪問者が年間170万人を超える平和記念公園を、これからもできるだけ多くの人々が訪れ、被爆の実相を見て、被爆者の証言を聴いていただくこと、そして、きのこ雲の下で何が起こったかを知り、被爆者の核兵器廃絶への願いを受け止めた上で、世界中に「共感」の輪を広げていただくこと、とりわけ、若い人たちには、広島を訪れ、非核大使として友情の輪を広げていただくことを訴えています。また、日本政府に対し、日本国憲法前文を引用しながら、憲法が掲げる平和主義を体現するために、核兵器禁止条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しに本気で取り組むよう訴えています。

 続いて、(6)の「被爆者援護施策充実の訴え」です。平均年齢が81歳を超えた被爆者を始め、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々に寄り添い、その支援策を一層充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めています。

 最後に、(7)の「原爆犠牲者への哀悼の意等」となっています。

 宣言に盛り込んだ主な内容は、以上のとおりです。なお、参考資料として、平和宣言に関する懇談会の開催結果と引用した被爆体験談を書かれた方のコメント等を付けていますので、後ほど御覧いただければと思います。

 最後に、お願いがあります。平和記念式典に関しては、この(平和記念)式典が、世界恒久平和を実現することを正に祈念する式典です。同時に、原爆死没者の霊を慰めるためのものでもあります。霊を慰めるために参列される被爆者や遺族の心情に配慮した厳粛な式典にしたいと考えています。そういう意味で、是非とも、式典会場及びその周辺における静粛の確保に御協力をお願いしたいということです。よろしくお願いします。以上です。

記者

 宣言の中で、「核保有国と非(核)保有国との橋渡しに本気で取り組むよう」というふうに「本気で」という文言が入りました。被爆者の中には、これまで政府に対して、橋渡しと言いながら口だけじゃないかという苛立ちを持たれている方がいますが、この「本気」という文言はこうしたものを受けたものになるのでしょうか。

市長

 そのとおりです。本当に本気でやっていただきたいという万感の思いを込めて述べました。

記者

 日本国憲法に触れていると思うのですが、憲法に平和宣言で触れられるのは初めてでしょうか。それと、これは改憲の議論を意識されて入れられたことなのでしょうか。

市長

 平和主義に関しましては、私自身はいろいろな意味で日本国憲法をベースにお話していますが、考え方を整理し、そのことも話してきている積もりです。これについての考えを少し御紹介しますと、国家の安全保障というのは現下の国際状況あるいは政治、国際政治の中で不可欠な要素であるということは事実なのですが、ただ、この国家の安全保障ということをどうしようかと考えたときに、それ自身を実現しようとしていくと、国同士の調整が進まないという現実もあるというのが今の状況かと思います。そこで、安全保障ということをよくよく考えてみますと、しかも核兵器廃絶ということを言っている、この広島の立場から考えますと、非人道性というものをしっかり認識し、それを踏まえて考えたならば、実際には国家の安全保障というのは、より根源的にはその国を構成している人の安全保障に着目するということの方が重要といいますか、正にそれが根源的な問題ではないかと。そうすることで、安全保障の問題を考えていくべきではないかということです。そうすると、国境を乗り越えて、物事を考えていかなければいけない、人という、人の安全保障をどう考えるかという視点で考えていくわけですが、そういった視点で、この現行の日本国憲法前文を見ますと、平和主義の尊重、そしてそれを擁護する義務を明確に書いていますが、それは自国という国の枠のことだけではなくて、それを越えたことを考えると。越えたことを考えるということは結局それを構成する人ということを考えたときにそれが調和するということではないかと思いまして、憲法の平和主義の理想、これをしっかりと受け止めて、核兵器を持っている国と持ってない国との橋渡しを本気で取り組むということをやってもらいたい、そういった根本精神は憲法にもあるよということを示した積もりです。

記者

 憲法を引用されるのは初めてになりますか。

市長

 直接的にこういう言い方をしたのは初めてかも分かりません。

記者

 もう一つ、1ページ目2の(2)アのところなのですが、「いつ(何時、)遭遇するかもしれない」というような表現がありますが、これは今の北朝鮮やトランプ政権、そういった世界情勢を鑑みて入れられた文言なのでしょうか。

市長

 これ直近状況がありますが、1945年以降の過去の事象を考えても、核兵器使用の危険性というのは、ずっと続いているのです。たまたま表面化してないだけ、あるいは現実化してないだけということがあります。例えば、ずっと遡ればキューバ危機、ケネディ・フルシチョフの時代のキューバ危機もありましたね。その後においても、幾度か核のボタンを押すか押さないかというようなことは、実は国際政治の中では多々あったわけです。そして今は、この北朝鮮問題等々巡ってその危うさが露呈しているわけですので、そういったことを踏まえるならば、いつ何時、1945年当時の威力の数千倍にもなる核兵器の使用が危ぶまれる状況はあるということをもう一回心に留めるならば、そういった兵器そのものを持たないこと、なくすこと、それ以外にこういった危険を取り除く方法はないのではないかということを言っている積もりです。

記者

 何点かお聞きしますが、核兵器禁止条約のくだりで、条約の締結促進を目指して核保有国と非核保有国との橋渡しをということですが、これは日本政府に対しては、その条約加盟を求めるという意味も含むのでしょうか。

市長

 はい。

記者

 あと、先ほど「本気で」という言葉には被爆者の憤りであるとかを含まれているとおっしゃいましたが、そうであるならば例えば被爆地の怒りであるとか、その条約加盟を求めているのだということを直接訴える手もあるかと思うのですが、宣言、そこにあえて直接的には言ってないところはどういう意図があるのでしょうか。

市長

 被爆者のその気持ちとかいったことは、重々誰しも分かっていると思うのです。未来に向けてこれからやるべき行動を明確に注文するということの方に力を注ぐということに意を置きました。

記者

 「良心」と「誠実」というところですが、こちらを改めて選んだというところを少し丁寧に説明していただきたいのと、特に「良心」という言葉がぱっと聞いてイメージできる簡単な言葉でもないと思うのですが、この辺りはどのような意味合いで使っているかというところをお願いします。

市長

 私自身は、平和宣言を何度かシリーズといいますか、まとめて全体で考えてきているところなのです。最初に申しましたように、二期目に入ってから(平成)27年に「人類愛」と「寛容」というような考え方をまず行動理念の中で提示しました。ベースとなることです。そしてその翌年には、それらを実現していくための、あるいは、具体的な行動に結びつけるための心のありようということで、「情熱」や「連帯」という方向も提示しました。そして、改めて、「人類愛」、「寛容」や「情熱」、「連帯」ということを自ら対応していくときに、核兵器の非人道性を考え合わせれば、当然、人間の「良心」の目覚めといいますか、そういったことがあるわけです。それは被爆者の方はずっと様々な訴えの中で、これを主張しているわけです。そうすると、その「良心」の目覚めを為政者もきちんと受け止めるということをやるべきではないかと。国際情勢がどうのだとか、現下の現実の対応がどうだからということを超えてあるべき姿を求めるという根源には、やはり、人間性というものが重要ではないかと思います。そして、それをやる上で、きちんと受け止めて「誠実」な対応をするということをやっていけば、おのずと方向は決まるのではないかという気持ちで、今回は「良心」と「誠実」ということを入れて、今度の平和宣言を構成したということです。

記者

 もう一つ。この核兵器禁止条約が採択されたという文言のくだりで、こうした中、「各国政府が『核兵器のない世界』に向けた取組を更に前進」と書いてありますが、ここで核保有国や同盟国とくくらず、「各国政府」としているのは市長のどのような思いがあるのでしょうか。

市長

 これは、今、言われているのは核保有国と非核保有国の対立があるのではないか、あるいは非核保有国の中でも核兵器禁止条約ができたために、立場が分裂するかもしれないというようなコメントをされる方もいます。ですが、この提起された核兵器禁止条約がそういった問題をはらむという指摘よりも、私自身は、今既にNPT(核不拡散条約)という核軍縮を進めようという国際条約があるわけで、それの次なるステップとして核廃絶というものに向けた新しい目標を提言している。その提言もなかなか実らないということで、何十年掛かっていた中で国際規約としてできたので、この新しいステージに向けて一歩を踏み出すための努力を、(核)保有国も非核保有国も共にやろうと、それは政府の意思です。国民や被爆者を含む多くの人々は、核兵器廃絶を望んでいるのは間違いないと私は思います。それを実現するための手段・方法として、どういう取組をしていくかということで、更にステージを高めたということですから、政府レベルで対立するのではなくて、為政者レベルでそれを、違いを乗り越えて共に話し合って、今の状況の中で理想的な状況に向けた対応をしてもらうという気持ちを込めて記述しています。

記者

 平和宣言の2段落目の中に「惨(むご)たらしい目に遭うのは、あなたかもしれません」という表現があるのですが、このように直接的に呼び掛けているのは、珍しいと思いましたが、そのところの事実確認と、あと、そういう文言を入れた思いを教えてください。

市長

 被爆の実相を多くの方に知っていただき、その実相を知れば、おのずと核兵器がない世界を皆が同じように考えていただけるのではないかというのが、自分のベースにあります。そして、そういった意味で、被爆の実相を「守り、広め、伝える」ということをやり続けていますが、今回の宣言の中で、核兵器禁止条約ができましたが、NPT(核不拡散条約)体制との問題、要するに方法論において、どちらが優れているなどの議論を起こしながら、どちらが優れている、優れてないという議論を起こしそうな状況もありますので、そんなことをやるよりか、もっと重要なのは、個々人の安全保障、一人一人の平和を確保するために、どういうふうに考えるかといったときに、核兵器があることが、我々お一人お一人にどんなに大変な状況を起こすかも分からないということを如実に知り、身近な問題として考えれば、この市民社会といいますか、多くの人が本当に「核兵器のない世界」を願うことをいろいろなところで、表現できるし、自らの中で、そのことを言えると思います。そうすれば、その意思は、必ずや、そういった中から選ばれた為政者に伝わるはずです。多くの市民社会、人々がまず、核兵器がいらないことを本当に実感することをやってもらいたいという気持ちを込めて書いた積もりです。

記者

 2点ほどお聞きしたいのですが、一つは最後の平和宣言の文言の、「核兵器を巡る世界の状況」のとこでも説明があるとおり、一番最後のところで「人類全体に危険を及ぼすための巨額な費用投入にすぎないことを訴える」など、正に核兵器を巡る世界の状況を反映したような文言が入っていて、それは核兵器禁止条約に入っている、そのキーワードも、いくつか散りばめられているなと、そういった状況も踏まえてのものだなと印象を受けたのですが。(核兵器)禁止条約に入れられた文言ですとか、盛り込まれた内容、そういったものをかなりキーワードとしても意識した平和宣言ということでもあるのかどうかというところを一つお聞きしたいのと。あと、もう一度お聞きするのですが、核兵器禁止条約を前に進めていくということにおいて、橋渡しというのでは、日本がそういう役割だったら、「それでは足りないのではないか」「弱いのではないか」という声が被爆者の間でもあると思うのですが、あえて、「日本も批准してほしい」ではなくて、橋渡しという表現に止めたというか、そういった判断というのはどういうところがあったのか、お聞きしたいのですが。あえて入れなかった理由です。

市長

 前者の方につきましては、核兵器禁止条約の議論が行われる中でも取り上げられた具体的な問題ということで、提起をした積もりです。実際に、「絶対悪」という、この存在を維持するために各国家が、その多額の費用を掛けているという実情があると聞いています。更にそれは核実験などにおいても多額な費用が掛かるということですが、そういった、使うことができない、使ってしまえば全人類を滅ぼしてしまうようなもののための費用投入ということは、本当に意義があることでしょうかということは、この文脈の中で多くの人に分かるということだと思いますので、それに言及したということです。

 それから橋渡しということについては、核兵器禁止条約を当然、締結する、自らも批准するということは含まれていますが、問題は、日本国は核兵器を持っているわけではありません。核兵器を持っている国々が、この核兵器をなくすということ、そして広げないようにするということ、それが具体的な対応で、それをやる上で批准も支持もしないでやるのはできないのではないかという御議論だと思います。ですから、その先の核兵器をなくすための対応をするために万般の準備をしていく必要がありますよという思いを込めて橋渡しということを私は言っています。自分さえ批准すれば、あと世の中が片付くという問題ではありません。核兵器を持っている国が批准しなければ意味がありません。そこまで持っていくということです。

その他の質問

賢人会議について

記者

 今の関連になるのですが、この前、岸田外相が「賢人会議」を開くことを発表されて、核保有国と非核保有国の橋渡しというか、それの一つと思ったりするのですが、その賢人会議に期待することをまずお聞かせいただきたいと思います。

市長

 賢人会議について、私が今まで知り得た情報を前提にしますと、いわゆる核軍縮を進めるための会合というような位置付けだと聞いています。これ自身は、現実世界の中で、実践的な核軍縮のための措置を建設的に議論するということです。しっかりその成果を成してもらうべく、その会議が成功裏に終わればと思いますが、今度の核兵器禁止条約ができたということを踏まえれば、この自制的な核軍縮を進めるということは、次のステップとして、更に核兵器そのものを禁止していくという市民社会の願い、今や国連で採択された条約に繋がるような議論展開をしてもらいたいと思います。くれぐれも核軍縮こそが現実的な対応であって、核兵器禁止条約、禁止するという措置が、これを阻害するなど、反対に物事をうまくさせないという御議論はあることは知っていますが、そういうものとしてではなく、うまく調和する。あくまで、この二つ、核兵器禁止条約と核軍縮ということを排他的な関係に置くのではなく、核廃絶に向けた第一歩を、更に次のステップという受止めで、どう展開していくか、そして、世界の国々が、これらをどういった形で実現に結び付けていくか、そのためのダイアログ・対話、同じテーブルについて議論するといったきっかけになる会議になってもらえればと思います。

記者

 今回、小溝さんも広島代表として送り込まれることになると思いますが、そういった広島の意見をどういうふうに発信してほしいのかお聞かせください。

市長

 今、申し上げたことに尽きるのですが、具体的な議論展開がどうなるかは、それぞれの方の様々な意見がありましょうから、正に議論の中心になるような気がしますが、小溝さんに、もしうまく議論展開してもらえるとするならば、核兵器禁止条約というものがうまく関係者の間で議論していくことができれば、実践的な核軍縮措置の次のステップとして位置付けられるというようなものとしての位置付けなり、それに向けての議論を展開するようにしっかりやってもらいたいです。決して双方の措置が排他的な関係ではないと、理念的にそういうふうに言う論法もあるのは知っていますが、実際問題として核廃絶ということを双方が共通の課題というか、目標にしているわけですから、「どっちの道から富士山に登る」といったときに、そっちが良くてこっちが悪いっていうのではなくて、方法論に関しては目標に向けての手段として整理し、最初のステップ、次のステップという取組をする中で、関係者の合意形成を図るという議論をやってもらいたいです。そのためには現実問題として、様々な転換点を超えなければならない、ある意味では洞察力もいるでしょう。それを超えるために勇気もいるということです。いろいろなシステムもいるでしょう。しかし、それらをしっかり議論して超えていくための議論、どういう方法があるかと。そしてお互いに核保有国、非核保有国が信頼関係を築きながら、疑心暗鬼の下でどうするか分からない相手だから抑止力がなければやっていけないという、今ある現実を乗り越える、次のステップのための議論をしっかりやってもらいたいと、小溝さんにお願いしたいと思います。

市立中学校で生徒が死亡したことについて

記者

 7月24日に市内の中学校で飛び降り自殺とみられる事案が発生して、女子生徒が亡くなられていますが、この件についてどのように受け止めておられるか、またその原因について、いじめの有無など現在の調査状況を教えていただけますか。

市長

 これにつきましては、教育委員会の方に学校の対応がどのようになっているかということを確認しました。現時点で把握していることでお答えします。

学校の方では本事案が発生した直後から学校長が中心となって、まず御遺族に相談をし、その意向を尊重した対応を行うということを最初にしました。

 まず生徒が亡くなった7月24日ですが、実はその日と翌日に予定されていた保護者懇談会があったのですが、これはそういった騒動の中ですので中止にすると、それとともに部活も中止した上で翌25日に保護者懇談会を開いて中止した経過と経緯等を保護者の方に説明しました。そういう意味では臨時保護者集会を開いたということです。その保護者集会の状況ですが、集会に参加した保護者の方から、「いじめがあったのではないか」、「事実確認や原因究明を早急に行った上で説明してもらいたい」、「他の子供たちへのケアというものをしっかりやってほしい」という意見が出ており、学校側の答えぶりは最初申し上げましたように、保護者のお話を受けていた中でとりわけ「校内で生徒が亡くなったこと以外の詳細は言わないでほしい」ということがありました。

 それでその御遺族の意向を尊重した中での事案説明に参加した保護者の方からは十分な説明があったという評価には至ってないという現状があります。

 この事案については具体的な説明や更に背景調査ということが必要になってくるのですが、そういう意味で今の状況は多くの保護者の方々、御心配な点があるということです。

 これは明らかですが、そんな中で学校として今把握していること、知り得ていることをできるだけ丁寧に説明して、事態の沈静化を図りたいと考える一方でもう一回、亡くなった御遺族の方からはできれば夏休み中は「そっとしておいてもらえないか」という話もあります。そこでこの意向との調整をどうしようかということに悩んでおり、個別に遺族の方にもお話ししながら、保護者の方のこういったお話があるので、何とか説明するということを認めてもらえないかという話をやっているところです。これは調整に時間を要しているという報告を受けています。

記者

 学校現場で生徒が亡くなるという、あってはならない事案が起こっているのですが、このことについて市長の受止めを率直にお聞かせください。

市長

 学校で生徒が亡くなるという痛ましい事案で、まずは遺族の方の深い悲しみ、これが相当ショックもあると同時にこういった事件、あるいは事故が他の生徒、保護者の方にも大きな不安を抱かせるということですので、こういったことそのもの教育長も言っていますが、痛恨の極みでありまして私自身は今後こういったことは繰り返すことのないように生徒が安心して学校生活を送れるようにしっかり対応していかなければいけないと思います。

サッカースタジアムの建設について

記者

サッカースタジアムに関連してお聞きしたいのですが、今月にも基町の住民の方に調査結果を報告されると思いますが、一度説明された後というのはどのような対応をされていくのか教えてください。

市長

サッカースタジアムの地元との調整は元々、いろいろな質問を頂いていましたので、それにお答えするためにということで、4月に専門業者に委託して中央公園広場に関わる配置図面の作成、概算工事費の積算作業や他都市の類似施設における騒音、渋滞対策の事例調査などを行っています。それらの調査状況について、まず基町地区の住民の皆さんに中間報告をして、ある程度状況を理解していただいた上で8月中に回答しますということで作業の流れを考えていましたが、中間報告がいよいよできそうなので説明をしたいと申し出たところ、それを受けて住民の方々が、自分たちとすればまだ反対の立場が変わっている状況もない中で、先ほど申し上げたような資料説明を受けても余り意味がないといいますか、そういう状況にはないという返事を頂きまして、こちらが考えていた段取りは少し狂ったのですが、まずは最初にお約束していた8月中の最終回答を行った上で、今までやっていた調査等に関わる資料も提示しながら、事例調査も使いながら住民の皆さんの不安や懸念の解消をするという作業をしていきたいと思います。

記者

説明されても引き続き反対が根強い場合は、合意形成を得られるまで意見交換を続けられるということでよろしいですか。

市長

回答を出すまでにこういった事情を踏まえてこんなことがあるからこういう回答になりますと、手順をきっちりして皆さんに説明しようと思っていたところ、もう一回言いますが、地元の住民の方々はまだまだ反対の立場が変わっているわけではなく、そういう個別の段階説明をされても十分受けきれないので、まずは回答をしてほしいということでした。回答したその心や理由付けをしっかり言ってみないと、こちらとすれば、なぜこういうふうになるのかと、しかも4月以降に業者に委託していろいろな事例調査などやっていますので、こういったことを踏まえてやるということを確実にしっかり相手に伝えたいと思います。

それをやっていく中で回答を踏まえながら今ある懸念、不安は様々な措置をすることで解消に向けた対応ができるのではないかと思います。今申し上げているのは、住民の方から頂いた騒音や渋滞対策などは可能なのかという質問についてです。

ここに作るのかどうかというのはその後の問題で、そういった問題が発生するのではないかと言われたら、それはこういった形で措置できると、なぜかということを言うと。その上で今三つの選択肢がありますから、その中でどこにするかというその建設地の絞込みの話というのは今申し上げた点についての理解をしていただいた上で、改めて県や商工会議所と連携してサンフレッチェ広島の意見を聞きながら絞り込んでいき、それをまた住民の方とやるという次のステップになるかと思います。今やっているのはあくまで住民の方から出ている御質問です。騒音や渋滞対策どうなるのですかというその点についての答えだということで理解していただければと思います。すぐにここになるのではないかというイエス、ノーの結論を言われますが、手順を踏みながらやっているということを了解いただきたいと思います。

※( )は注釈を加えたものです。

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