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2017年04月27日記者会見「2020年NPT再検討会議第1回準備委員会への出席等について」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

【2020年NPT再検討会議第1回準備委員会への出席等について】

<会見録>

市からの発表案件

2020年NPT再検討会議第1回準備委員会への出席等について

市長

 それでは、2020年NPT再検討会議第1回準備委員会への出席(等)についてコメントします。この度、2020年NPT再検討会議第1回準備委員会への出席等を目的としまして、5月4日から9日までの6日間の日程でオーストリア・ウィーン市を訪問します。ポイントについて話したいと思いますので、詳しくはお手元の資料を後程御覧いただければと思います。今回の出張において、私はできるだけ多くの国連・各国政府関係者等にお会いし、世界中の為政者が誠実に核軍縮交渉を行うというNPT第6条の義務を遂行するべきであると改めて訴えるということをしたいと思います。それと同時に平和首長会議の取組に対する理解と協力を求めることも行いたいと思います。

 また、日程の都合で私自身は参加できませんが、5月3日(水曜日)のNGOセッションに、広島平和文化センターの小溝理事長が出席しまして、私のスピーチを代読する予定です。このスピーチの中では、世界中の為政者に対し、次のように訴えたいと考えています。現在の国際情勢が混迷を深め、不透明性を増す中で北朝鮮問題に見られるような核拡散の危険も現実のものとなっています。しかし、非人道性の極みである核兵器に依存する安全保障は、現在、国際社会が直面する安全保障上の問題に何ら根本的な解決をもたらすものではありません。また、今回の国際的な緊張状態が収束するとしても、それが武力の行使や威嚇による結果であるとするならば、その成果自体は喜ばしいものであったとしても、本質的な解決とは言えず、安住すべき状況ではありません。是非とも、長期的かつグローバルな視点に立って、相互理解や同胞意識を促進しうる新たな安全保障の枠組み作りを先導していただきたいと思います。併せて、核兵器保有国及び核の傘の下にある国々の代表の皆さんに対しては、6月、7月に開催される核兵器禁止条約の制定交渉会議への出席について呼び掛けていきたいと考えています。

 また、平和首長会議主催により4つの行事を開催することにしています。一つ目が「核廃絶!ヒロシマ・中高生による署名キャンペーン」に参加しまして、平和首長会議の活動を応援してくださった高校生、広島女学院高等学校、修道高等学校、盈進高等学校等の生徒8名を派遣し、この高校生たちから「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める市民署名を国連関係者に手渡すことにしています。

 二つ目は今回で3回目となる平和首長会議ユースフォーラムを開催しまして、派遣高校生に加えて長崎市、ロシア・ボルゴグラード市を始め、平和首長会議加盟都市等の青少年が自分たちの活動や平和への思いについて発表、意見交換を行うことを予定しています。

 三つ目は今年の8月に長崎市で開催する第9回平和首長会議総会に向けて、平和首長会議役員都市との意見交換会を実施するほか、本準備委員会の会期中、国連ウィーン事務局が置かれているウィーン国際センター内で、平和首長会議原爆ポスター展示を行います。ここでは会議参加者に被爆の実相について、理解を深めていただきたいと考えています。以上が今回の出張の概要です。

 続いてお手元の資料を御覧ください。本日、先程10時に市民局長が外務省を訪問いたしまして、日本政府に対し、次回6月、7月に開催される核兵器禁止条約の制定交渉会議への参加を求める要請を行っています。

 日本政府は、先月開催された交渉会議の初日に出席したものの、「核兵器国が出席してないこと」及び「核兵器、軍縮・不拡散における5原則が満たされていないこと」を理由として、その後の会議への不参加を表明しています。私は、核兵器の法的禁止の議論というのは、核軍縮・不拡散の努力と同時並行で進めることが必要であると考えており、日本政府が核保有国と非核保有国の橋渡し役を自任するのであれば、なおのこと、双方を結び付けることの重要性をこの交渉会議の場において、主張していただくことが必要ではないかと考えています。

 核保有国と非核保有国に溝がある中、核保有国を追い立てるというのではなくて、取り込むためにはどうするかという視点を交えた条約作りこそ重要であると思います。日本政府にはこのために果たすべき役割があることを認識していただくとともに、被爆者の思いというものをしっかりと踏まえた上で、勇気を持って次回の交渉会議に参加していただきたいと思います。そして、実効性のある核兵器の法的禁止の実現に向け、双方の橋渡し役としての役割を果たすという力強いリーダーシップを是非とも発揮していただきたいと思います。以上です。

記者

 準備委員会、本体というか、そこでの市長の発言の機会というのはあるのでしょうか。準備委員会の中での演説等の機会があったりということですか。

市長

 メンバーではないですから、前さばきのところでですよね。構成員ではないので。会議では、認知をしてもらえる場でスピーチはできるということです。

記者

 そのスピーチで、たびたび市長がおっしゃっている、NPTの枠組みでの議論と、その先にある法的禁止の議論を並行で行っていくべきだというところを、これを広げていく必要があるというふうにお考えだと思うのですが、今回のその機会というものをどう捉えてどのように訴えていこうとお考えでしょうか。

市長

 ややもすれば、核兵器禁止条約という条約の性質や、それを作り上げようとする対応と、NPT体制、この6条に象徴される軍縮不拡散、(核の)平和利用という締約国全てに課せられた義務を履行するということに乖離があって、それぞれ対立する立場のような分析をし、(核兵器)保有国と非核(兵器)保有国が争っているという構図そのものが、あたかもごく当たり前のように説明されるというその点を、「決してそうではないのだ」ということを申し上げたいということです。それともう一つは、日本政府に、ブロックごとに一つ一つの条約ができあがっていますが、それを一個一個解決していくということ。大きくいうとこの三つぐらいに分けて。それぞれが言わば水と油のように溶け合わない状況の中で、(核兵器)保有国と非核(兵器)保有国が混迷を極めているということになるのですが、私自身に言わせれば、いずれもこの地球上から核兵器をなくすということが望ましく、「それに向けての対応をしようではないか」というその目的においては共通なのです。そして、まず最初にブロックごとという考え方は、既にあるCTBT(包括的核実験禁止条約)やFMCT(核兵器用核分裂性物質生産禁止条約=カットオフ条約)、あるいは「お互い2国間で核兵器をなくそうではないか」といった個別の取組というものをまずしっかりやっていくということを積み上げていけば、おのずとそちらに向かうのではないかという主張ですし、NPT体制は、今申し上げた軍縮不拡散、核の平和利用とそういったものをしっかりと履行していけば、いずれ上手くいくのではないかと言っているわけです。問題は、その道筋なり目標意識は分かっているが、実行できていないということです。様々な事情があって実行できていない現状の中で、それらを進めるということがあれば、本当は言わなくても済むのに、実際に事態が進まないから、核兵器を持っていない国を中心にもっと強力認識を改めるために、核兵器禁止条約により、こういったもの(核兵器)があってはならないということをしっかりと周知せしめ、そしてそれを守らないことがどれほど良くないことかということを分からしめるということで、核兵器廃絶に追い込もうではないかという状況だという認識です。であれば、そういった動きも私はどこかの段階で、核兵器が本当に違法で要らないものだと言わなければいけない時点が核兵器廃絶の前に来ると思います。それに向けての対応も要りますが、現に「やるべきだ、やらなきゃいかん」という問題意識を持ってできあがっている条約ですので、2国間の取決めを確実にやるということもなければいけないのではないかと。ですから、同時並行できないわけはないのではないかと申し上げたいのです。そして、いやいや、三つの方法があるから物事がうまくいかないのだというエクスキューズといいますか、そういう状況説明こそ「自分たちのような思いを他の誰にもさせてはならない」、「早くこの世から核兵器を無くしてくれ」という、高齢化していく多くの被爆者の思いに正に背いていることになっていると思います。その思いを実現するための方法論のところで、理想への歩みを進めてないというその状況こそ問題だと思います。そういった論争する前に個別のやるべきことをやりながら、次のステップに向けての話合いもする、その橋渡し役ができるのは、唯一の被爆国である日本がそういう役割をすべきではないか、してもらいたいという多くの被爆者の思い、いわば総意をしっかりと(日本政府に)受け止めてもらいたいし、それは核兵器を持っている国、持っていない国、全てがそういう認識になってもらいたいと思います。そして、国レベルでの思いをさらに強固なものにするために、平和首長会議は国という枠組みを取っ払って、都市間で、軍事力を持ちえない都市という、その構成員が主体となって市民ベースで、今言った被爆者の思いをしっかり受け止めて、原爆の非人道性というものに着目して、もし自分が被害者になれば、「二度とこんなことは起こさせない」、「こんなもの無くなって良いと思うでしょ」という思いを持つ方をもっと増やしていく、そうする中でそういった思いを託せる為政者も出てくる。為政者にそういう思いを、都市ごと、各国ごとで伝えていくということができるように、平和首長会議の取組をしています。(こうした取組を)これから広げていく、理解してくださいと、そんなことを言いたいと思います。

記者

 国連や各国の政府関係者との面会は、田上市長が行かれると思いますが、平和首長会議の役員として、その方々と一緒に行うということなのでしょうか。

市長

 可能な限りやりたいと思います。今、一生懸命アポ(アポイントメント)を取ってくれています。可能な限り、会える方にはやろうと思います。

記者

 日本政府が橋渡しということをよく言っていますが、市長の考え方、捉え方として今その日本政府は十分に橋渡しができているのかというのは、どの程度だとお思いでしょうか。

市長

 日本政府は橋渡しをやらなければいけない立場であるという認識は持っていると思います。実際、言っていますから。その認識をしっかり踏まえて真に勇気ある行動にもう一歩踏み出してもらえればと思います。

記者

 「もう一歩踏み出す」とは具体的に教えてください。

市長

 今度の場合であれば、この核兵器禁止条約の制定交渉会議に核兵器保有国が参加しない、そして、日本が言っている5原則といいますか、NPT体制のしっかりした履行などが出来上がっていない中、「条約交渉というのは却ってうまくいかないのではないか」ということを言うのではなくて、先程申し上げたように同時並行して進めるべき、あるいは進められるものではないかと。そして、そのために被爆者の思いというものをどう皆さんにぶつけていくか、ということをあらゆる場面でやっていただきたいと思います。そうであれば、制定交渉会議への参加ということもあって良いのではないかと。参加するために色々な背景事情があるとすれば、それを乗り越える勇気を持ってもらえないかなと思います。

記者

 外務大臣への書簡の件で、市長がおっしゃるとおり(核兵器禁止条約の)交渉会議への参加は、被爆者の総意と思いますし、今後の核軍縮の展開にとっても、本当に今は非常に重要な局面だと思いますが、その前提の上で2つほど、お伺いしたいのですが、一つは、被爆者の総意であり、非常に重要な局面だけに訪問者と対応者が松井市長と岸田大臣であるべきだと思いますが、そこがなぜこういう形になっているのかっていうこと。あるいは、市長が大臣に直接言う機会が今後調整するつもりなのかということが一つと、こういう重要な局面であり、かつ被爆者の総意が交渉会議の参加ということを広島・長崎以外の国民にも知ってもらうことが非常に重要だと思いますが、その意味では、こういう要請活動自体を国民が知るにはメディアを通して知ることが重要だと思いますが、今回の書簡提出については事後報告で、向こうで取材できたかよく分かりませんが、要請活動自体をメディアに通して発信するということも、それこそ世論形成の上では重要だと思いますが、なぜ、こういう形に後で書簡を出したっていうことは事後報告なのかと、市長御自身としては、要請活動自体を極力メディア取材に応ずる機会を設けて国民に伝えるべきだと市長自身はお考えかどうかということを教えてください。

市長

 メディアに取り上げていただくことで、私の行動が効果的になるということが100パーセント保証できれば私だってやりますよ。そういう状況でないという中で、どういった主張をするかということをやっていることを、まず御理解をいただきたいと思います。メディアは、世論を客観的に届けなくてはいけないわけですから、私の主張も載せていただくでしょうし、多分、客観的にするとすれば、そうでない主張も取り上げて、そこでの議論を国民に示すということになると思います。私の言い分だけが通るかどうかは保証のかぎりではないはずです。ですから、私としては、現時点でできうる最大限の努力をするという中で、ここでやっているような対応をしているという認識です。実際、(日本政府は)第1回の会合で出ました。出たけども発言し次回から出ないという対応をされたわけです。そこまで、日本政府としていろいろなことを考慮して対応したという事実があるわけですから、それを踏まえて、もう一度、被爆者の考え方をしっかりと伝える。私が会うということよりも、何を考えているか、どう思っているかということをしっかり伝えることの方に意味があるわけで、むしろ、私と大臣が会うということよりも、私の言っている中身を広くマスコミで伝えていただきたいと思います。是非お願いします。パフォーマンスではありません。実質を問いたいということです。

記者

 今おっしゃった中で、そういう状況にないっていうのは、より詳しく言うとどういうことですか。

市長

 実際、調整がつきませんでしたし、申し入れるためにどうするかという工夫をして、こういうふうにしたということです。

その他の質問

平和行政について広島県との連携について

記者

 また平和のことについてですが、最近、県の湯崎知事が、かなり積極的な平和外交というか、今度バチカンの方と会われるみたいですが、改めて、県との平和での連携というか、市長は以前、「あんことパン」ということで言っておられましたが、県の方はかなりその辺、積極的にされている中で、(県との)連携を取っていくなど、その辺りを伺えたらと思います。

市長

 県との関係は、今言っていただいた自分自身の整理では、あんパン全体というか外側(と内側)の関係でやれたら良いのではないかと申し上げましたけど、正にそういう状況になっているのではないかと受け止めています。私の言う(内側の)「あんパンのあんこ」というのは、被爆者の思いです。「こんな目には他の誰にも、これから遭ってもらいたくない」、その思いを多くの方、できれば地球上の全ての方に持っていただき、もし自分が被爆者の立場になれば、こんな兵器はいらない。更に、恒久平和ということ、戦争が起こらなければ、こんなことを使うこともないだろうということを皆が得心し納得すれば、きっとこの地球上から核兵器も無くなるのではないかと思っているし、そう願っているわけです。その願いを届けて皆に理解してもらう。そして、広島の地に来ていただいて被爆の実相を間近に見る、直接見ることでそれを感じ取っていただく。そういった視点での平和発信を我が市はやり続けると言っているつもりです。それを、「あんパンのあんこ」という表現で申し上げました。そして、あんパンの外側は、そういったことをより多くの方に取り上げていただくこと。先程言われましたが、例えば、マスコミで取り上げていただくときには、世の中で色々影響力のある方、そして、核兵器や平和についての日々の研究を重ねている方々の御意見等も促し、そこでも間違いなく広島の思い、被爆者の心を汲み上げた対応をしてもらうことが、色々な意味で良いのですよということをやる。様々な行動があるとすれば、それはあんパンの外側だと思うのです。それらが一体となって、核兵器廃絶に向けての様々な取組をやっていただく。正に、被爆の実相を伝えられるのは広島市だと思います。その実相を踏まえた上で、どう対応していくことが核兵器廃絶に向けての具体的な機運醸成、動きになるかという中で、その動きのいろいろな側面でそれを刺激する、あるいは作り上げていく対応をしていただくのは、とてもありがたいことだと思います。そういった意味で、(湯崎)知事の動きも、被爆者の思いを実現していくための一助になっているのではないかと受け止めています。

記者

 連携という面では、今後、何か強化していくなど、その辺りはどうですか。

市長

 連携などについては、特に若い方々にそういった思いを伝えるときに、被爆の実相などをしっかり伝える役割は、広島市として引き続きやります。そういう場のセットなども、県などが様々な局面で考えていただければ、そういうものも協力します。我が方も、迎える平和という中で、迎える方々について検討してこういう取組をしている、こういう研究成果があるということがあれば、それを情報提供することもできていくと思います。連携の方は様々あるだろうと思います。

2020年NPT再検討会議第1回準備委員会への出席等について

記者

 NPTに戻りたいのですが、小溝さんが代読の形で核保有国に禁止条約にも参加してほしいという趣旨のことをスピーチの中で触れるということですが、松井市長が各国代表に実際にお会いするときも、例えばアメリカやロシアの保有国に参加を直接求めることになるのでしょうか。

市長

 ウィーンで、アメリカの代表に伝えられるようなポジションにある方とアポイントメントが取れれば、そういった話は直接しようと思います。我々の考え方を御披露して理解を深めてもらいたいということは伝えるつもりでいます。

平和記念資料館東館のリニューアルオープンについて

記者

 昨日、原爆資料館(広島平和記念資料館)の東館がリニューアルオープンしました。市長も新しい展示を御覧になったと思いますが、御感想を伺ってもよろしいですか。

市長

 今度の東館の展示で、今まで(広島)平和記念資料館で展示してきたスタイルを再整理した第一歩がようやく出来上がったという受け止めです。平和記念資料館の本館は、まさに実相そのものをきちっと伝えるための施設群というものに組み替えていくことが大前提にあり、その前提として、東館をどうするかという姿勢になったわけです。そうすると、実相を見ていただくまでに今までの(組み)立て方だと、はじめに様々な様子を東館で展示していまして、「こういうことか」と一生懸命東館で読んだり、見たりして、時間を掛けて本館に行ったところ、修学旅行生などもそうだったらしいのですが、滞在時間が限られていることで実相に十分時間を掛けずに、さっと流れてしまうという現状を何とか改めたいというのが今回のスタートです。そこで、見ていただくと分かりますが、今回、順次本館に行くための準備をしていただくエリアとして、東館の方に広島の心を分かっていただくような仕掛けをし、それを見て帰ってきて、「ここかな」と考えを深めるための設備にするということで造り始めました。まだ半ばなので実相は入っていません。そういう中で、まず一つ、導入展示をやったわけです。導入展示は、被爆前の広島の街並みを見ていただいて、「それが一瞬でこんなふうに変わってしまったのですよ」ということを見ていただくという仕掛けにしました。その上で、そのような状況になるのはなぜだろうと、核兵器が本当に危険なものだということを見ていただけるコーナーを作りました。それが、核兵器がどのような歴史で作り上げられてきたかが一目で分かるようになっていますし、その核兵器の脅威はどのようなものかということも学習できるようになっています。そして、広島・長崎の原爆投下ということがあり、正に今は核の時代になっていて、人類全体が大変な状況になることはお分かりですね、という展示があります。これが二つ目のエリアになっています。そして、三つ目は、実相を見ていただいた後でまた来るということですが、「広島の歩み」といった、(被爆という)未曽有の被害を受けたが、頑張って恒久平和を訴え続ける都市に今変わっていますと、そして、このような平和のメッセージを発しています、という三つの造りになっています。本館が出来れば、今言った導入部分から入って実相を見て、またこっちに帰って全体で平和の思い、広島の思いを受け止めていただけるという構造になりました。本館完成までもう少しということです。ただ、本館が閉鎖していますので、その間、被爆の実相を見ていただけるコーナーがないというのは困るので、仮設として、被爆の実相を見ていただくために本館にあった、皆さん「うん、そうだな」と思っていただける象徴的なものということで、例えば「三輪車」を展示するとか、「佐々木禎子さんの折り鶴」なども展示しています。それから形が歪んだ「形見のビー玉」や、「学生服」などを随所に配置して、本館がしっかりできるまでの間、原爆被害の悲惨さや凄惨さも少し分かっていただくという工夫をしています。いずれにしてもそういう意味では、新しい平和記念資料館はどんなコンセプトで出来上がるかという、予告編のような形で施設が出来上がったのではないかと思います。

 よく、「被爆の人形がなくなるのは残念だ」というお声も聞きますが、今言った、きちっとした考え方の下に理解していただくような施設の配置をしましたので、出来上がったものを見ていただければ、今は残念だという声が、どれくらいになるかというところです。また企画展でそういう人形も展示することもやれるように予定しています。この世から無くなるわけではなくて、そういう御意見もあると頭に置きながら、しかし、新しい施設群ができたときにどうなるかということを見ていただいて、改めて人形の扱いなどもどうするかということを問えるようにしています。それと後は、今の東館だけでは混雑する状況がある中で、東館の地下のエリアは無料で見ていただけます。そこを使いながら混雑解消を図ることをやりながら、新着の資料を、多くの方がこういったものを是非、見せてあげてほしいとか資料館で扱ってほしいというのが来ていますので、タイムリーにそういったものを展示して、トータルで被爆の実相を分かっていただくような運用にも、この間、心掛けたいと思います。

 そういう意味では私自身、今回の展示がグランドオープンに向けてうまく滑り出したのではないかという受け止めをしています。

洪水浸水対策について

記者

 先日、国交省が千年に一度級の大雨被害による浸水の想定を発表されて、広島市の中心部でもかなりの被害が予想されると。そのような発表に対して、市として今後どのような対策をとっていくかということを簡単にお考えなどお聞かせいただければと思います。

市長

 今回、国交省(国土交通省太田川河川事務所)が発表した内容は皆さん御存じ、平成27年の関東・東北豪雨、あるいは平成28年の台風10号などで生じた降雨による災害が想定を大幅に上回ったということで、国の方として最大規模の降雨があった場合に洪水の浸水想定区域であるとか、家屋の倒壊等想定区域を示し、それから浸水継続時間は、すごく長くなるという想定で、どんなになるかちゃんと各地方も出してくれとこんなことになったというのが前提です。それで広島の太田川にこれを当てはめて見ますと、近年の最大の降雨量は262mmでした。これは平成17年の台風14号がもたらして太田川で2日間、雨が降りまして262mmという大雨だったのですが、今回最大規模ということでやりましたので、その降雨量は763mmで想定、3倍近い量ということです。しかも河川の流域全てで降るという想定でやりましたので、デルタを含む河川流域の平地のほぼ全て浸水するという想定になりました。問題はこの発生頻度、そんなものは千年に一度ぐらいのものだということですので、こういった規模での想定を立てた後の対策というのを今までも考えついてないわけです。これから国交省など国や県、我が市で構成する協議会において検討を進めていきたいと思いますが、当然、全面浸水しますからそういったことについての住民への周知と避難全般の在り方をどうするかということを考えていかなければいけないと思います。ただ今までの結果の中で200年に1回程度発生したときにどのような対策をするかという対応を作っていますので、それをベースにしながら今申し上げた協議会の場で今から検討していこうという状況です。

平和行政について広島県との連携について

記者

 核兵器廃絶に向けた県との連携について市長の認識をお伺いしたいのですが、岸田大臣も広島一区の選出でありながら、今回、核兵器禁止条約に日本政府が参加しなかったことについて、怒っていらっしゃる被爆者の方々の声なども伺いますが、その辺りで東京から見た広島や海外から見た広島は、県も市も一つとして見ている方も印象として多いと思いますが、その辺りで市長としてもう少し県と連携してやっていきたいとか、どのくらいの重要性を感じていらっしゃるのか、お伺いします。

市長

 私自身は、まちづくりなどにおいても言っていますが、国・県・市が同じようなベクトルを持って取り組むことが、色々な意味で何よりも重要だと思います。そして、広島の平和に関しての立ち位置として、被爆者の思いをまずしっかりと受け止めて物事を考えるということは、ある意味では広島の宿命というぐらいの気持ちで自分はいます。今言われた言葉にありますが、原爆がこの地球上で実際に使われて都市に落とされ、多くの命を奪うということが起こったのは、広島と長崎、ここだけしかないのです。そのような中で、そういった行いが本当にあってしまったことではあるが、二度とないようにしてもらいたいと、誰よりも強く思っているのは被爆しながら今も存命な方々の一致した強い思いだと考えています。それを追求することは、ある意味で広島の使命です。その使命を県・国もしっかり受け止めてもらって、役割分担は違うとしても同じ方向に向けて共に様々な対応をしてもらいたいと思います。そうしたときに、役割が違うということを表現する意味で、私は県と市の関係で「あんパンのあんこ」というようなことを言いました。実際、基礎自治体というのが、住民直接の行政をする。県というのは、かつ、基礎自治体がやる行為を調整する。基礎自治体と広域自治体というのは、役割があり、実際、予算措置などの住民の直接対応は基礎自治体が、それを調整や加速させる、近隣の市と町を連携させる措置については(広域自治体である)県がやってくれると。ですから、平和の思いをこの広島市がコアの部分で実相ということを皆さんに知ってもらいたいということをやり続ける中で、その実相を受け止めた後に平和へ実現するための道筋をどう考えたら良いかということを今、県が一生懸命考えてくれていると思います。市も考えていますが、重きは被爆の実相に重点を置きながら、それをまず、次の世代にしっかり伝える。守り、広め、伝えることをやる。そして、それを伝えていったことをどう展開するかといった点について、県の方は知事を中心に一生懸命やっていただいていると思います。この連携は、あとは国です。国家として、ではそれを発信していくときにどうなっているかという問題なのですが、これに関しては、多分、皆さんも言外で理解されていると思いますが、市や県は、もともと暴力装置を持つようなシステムがありません。国家というのは今の世の中、それをどこでも持っています。そうすると、その装置を持っている国同士が平和を願い、これを実現しようとするときに、国家の安全保障という考え方と全体の平和ということを調整するもう一つの立場があります。そのためになかなか調整が進んでいない状況もあります。そういったところでは、原爆の非人道性をしっかり訴える立場とすれば、国家の安全保障ではなくて、国家というのは人々からなる、いわゆる観念の組織ですから、人の安全保障ということに着目すれば、それを乗り越えられるのではないですかということを言っているつもりです。それをしっかりと国家として理解してくれる日本であってほしいし、実際、そういった趣旨のことは現行の日本国憲法に書いてあります。直近の問題でも、例えば、憲法前文を持っているのですが、こういう今の状況がややこしくなっていることを予言しているようなところがあって、憲法前文の中に「われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて…」飛ばしまして、政治的道徳の法則は、政治道徳の法則に従うことが「各国の責務であると信ずる」と。何か予言しているようなことだと思います。理想の憲法を持っているのです。だから、この理想の憲法を持っている国が、その理想を果たすような方向に向かってもらいたい、個人ではなく国全体がそういうふうになってもらいたいと思います。そういう意味では、どういうふうに整理しているかということであれば、今申し上げたように現行のこの平和憲法をしっかりと踏まえて、広島の被爆者の思いをしっかり受け止めてもらえば、自ずと道は開けるのではないかと思うのですが、その思いがなかなか伝わっていないところがあることが問題です。それで、私自身は国内にあっては平和首長会議、首長さんレベルで平和首長会議100パーセントをメンバー都市にする、今、95~96パーセントです。もう少しなのです。そういうことで、首長さん全部にこの核兵器廃絶、恒久平和を願う広島と同じような状況になってもらう。その中で改めてまた市民ベースでこの思いを伝えることをやっています。そして、「あんパンのあんこ」の部分をしっかりやれば、次にどういう展開をするかということを市中どこでもやってもらっていますし、実際、市の中にあっても市立大学があります。そして、こういった中で平和を研究する部門、学部があるのです。それがまた連携しながらやれるという素地があります。だから、先程申し上げた多面的な協力方法はいくらでもあると思います。

※( )は注釈を加えたものです。

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