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2017年02月06日記者会見「平成29年第1回市議会定例会提出案件について」
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市からの発表案件
【平成29年第1回市議会定例会提出案件について】
<会見録>
市からの発表案件
平成29年第1回市議会定例会提出案件について
市長
本日、平成29年の第1回市議会定例会の招集告示を行いました。開会は2月13日(月曜日)です。今回の定例会には、全会計で総額1兆2,211億円余りの新年度当初予算案を提出します。詳細な内容については、先日、財政当局の方から説明していると思いますので、私の方からは、予算編成の基本的な考え方と注目していただきたい重点施策について、新規事業を中心に説明させていただきます。
お手元に用意してある資料の「資料1,平成29年度広島市当初予算の概要」の10ページ「平成29年度当初予算のポイント」を御覧ください。本格的な人口減少・少子高齢化社会が到来する中、近隣市町と生活面や経済面で深く結び付いている本市にとって、近隣市町が衰退すれば本市の中長期的な発展も望めません。そこで、将来にわたり、市民にとって安全・安心で暮らしやすいまちを持続していくためには、本市単独ではなく、共通の問題意識を持つ近隣市町と連携して直面する難局に立ち向かい、圏域経済全体の底上げを図っていくことが必要と考え、打ち出したのが「200万人広島都市圏構想」です。本市では、今後、この構想に基づき、大きく三つの方向を目指していきます。
一つ目は、広島広域都市圏における市町と連携し、圏域内外からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込み、更にそれらが圏域内で循環する「ローカル経済圏」の活性化です。
二つ目は、圏域の中心である本市等に、医療や教育など圏域内住民が生活していく上で必要となる高次都市機能を備え、かつ、充実した広域的公共交通網により、圏域内住民がそれらの機能を利用しやすい環境を整備することです。
三つ目は、中山間地や島しょ部対策といった各市町に共通する課題に対する施策の共同実施や、各市町が有する公共施設をはじめとする行政資源の共同利用、本市による事務の補完などにより、圏域内の行政サービスの効率化を図ることです。
平成29年度の当初予算編成に当たっては、こうした圏域の将来像を見据え、これまでのまちづくりの基礎、基盤を踏まえつつ、「200万人広島都市圏構想」に基づく取組を加速化することによって、「人口減少・少子高齢化に打ち克ち、世界に誇れる『まち』の実現に向けて飛躍する予算」とすることに意を用いました。
「活力にあふれにぎわいのあるまち」の実現に向けては、新たに策定する「都心活性化プラン」に基づいて「楕円形の都心づくり」の加速化を図り、広島駅自由通路等の整備や南口広場の再整備に引き続き取り組むとともに、(広島)駅周辺地区におけるエリアマネジメント体制の構築を図ります。
また、広島高速5号線や新交通西風新都線などの交通ネットワークの整備、西広島駅北口地区や西風新都におけるまちづくりなどを着実に進めます。
更に、圏域市町と連携し、圏域の特産品の販売促進と農作物の消費拡大を推進するとともに、新たな観光資源の開発や企業誘致に取り組むことによって、圏域経済の活性化を図ります。
この他、超高速ブロードバンド環境の整備など、中山間地・島しょ部の活性化や地域コミュニティの再生に積極的に取り組みます。
「ワーク・ライフ・バランスのまち」の実現に向けては、昨年度策定した「広島型・福祉ビジョン」の具体化を図ることとし、「翁・媼」と「童」に着目した自助・共助・公助の適切な組み合わせにより、持続可能な地域福祉の構築を進めます。
子ども・子育てに関しては、まず、本市の現状を理解していただくために、ここにグラフを用意しました。これは20歳から39歳までの出産適齢人口に対する0歳から4歳までの(乳幼児)人口の割合について、政令市を比較したものです。20歳から39歳までの年齢層の方々は大体、子どもたちを産むことができる年齢層なので、自分たちの世代と同じ人数の子どもを産んだと仮定すると、0歳から4歳までの人口(5歳分の年齢層の人口の出産適齢人口に対する割合)は、20分の5,つまり0.25となるはずです。グラフの縦軸の一番上の値がちょうど0.25となっていますので、そういった意味で、フルに(同じ人数の)子どもたちが生まれていれば0.25なのですが、どこの都市も0.25に至っているところはありません。そんな中で本市の割合は、他の都市から比べると突出と言いますか、その前に浜松市がありますが、そういう意味ではトップクラスであります。これは、若い方が次の世代を産んでいるということであり、本市としては、この強みを生かしていくという発想が必要だと思います。
次に、もう一つグラフを用意しました。これは、広島市の人口構成を示すもので、棒グラフは本市の年齢階層別、つまり0(歳)から4(歳)、5(歳)から9(歳)という5歳刻みの人口構成を示していて、折れ線(グラフ)は政令市に置き直して見たときの水準です。これを見ていただくと、(本市と政令市の水準は)大体傾向は似ていると見てとれますが、少し特徴点を申し上げると、この辺りを見ていただくと、この間が少し空いています。これは即ち、0歳から4歳、5歳から9歳、10歳から14歳という乳幼児から中学生くらいまでの年齢区分では、他の政令市より本市の水準が上回っているということで、この辺が大体5万5千人の水準です。これは割り算をすると、一つの年齢層に1万1千人ぐらいはいるということが見てとれますし、比較的安定した出生数だということがうかがえます。
このような本市の強みを将来にわたり生かしていく、本当はこれがもっと増えれば少子化に至らないのですが、直ちにそういった状況になりませんので、まずはこれを維持する、あるいはこの良好な基盤を更に向上させていく発想で、各施策を考えていくことがポイントだと思っています。そのために、不妊治療費助成の拡大、妊産婦・乳幼児健診の実施、こども医療費の補助、待機児童対策など、ライフステージに応じた切れ目のない支援を積極的に行っていきます。
また、人口構成のグラフにおいて、もう一度見ていただきたいのが、こちら(高齢者の人口)です。40(歳)から44(歳)や、例えば65(歳)から69(歳)のところにあるように、団塊の世代、団塊ジュニア世代がありますが、大体、団塊の世代が約9万人、団塊ジュニア世代が約10万人です。こういったところをもう一回見ていただきたいと思います。この世代はだんだん年月が移るにつれて、右にシフトしていきます。この高い山が大体80(歳)に至るまで40年間ぐらい、ずっと山が移動していきます。つまり、年を重ねるごとに1人当たりの介護費用や医療費が掛かってきます。トータルでいくと、社会保障費が大幅に増加していくことが見込まれます。
その一方で、その間の生産年齢人口、広島の場合は割と横ですが、一般的にいうと傾いていますので、この低い層がこちらに入ってきます。そうすると、生産年齢世代3人で1人の高齢者を支える騎馬戦型の人口構成から、1人で1人の高齢者を支える肩車型の人口構成に変わることが見てとれます。本題は、そういった場合に最終的に掛かる費用の財源、税や社会保険料などの社会保障財源を捻出することが厳しくなることが現行制度の中で明らかになっています。
こうしたことから、こういったことを緩和していくために、介護予防や健康寿命の延伸につながるような、先を見据えた取組を今から着実に進めていかなければ、大変なことになると思います。そういう意味では、今の人口構成、そして30年、40年そういった動きが基調としてあることを市民の皆さんと認識を共有し、自助・共助・公助の適切な組み合わせの下、今から多面的に手当てを講じていくことが不可欠という基本認識に至っています。
そうした中、高齢者福祉については、介護予防・日常生活支援総合事業の開始に伴い、新たにポイント制によって介護予防・健康増進への活動を促進する事業を実施するほか、地域における通いの場や介護予防拠点への運営費補助、地域包括支援センターの体制強化など、可能な限り住み慣れた住まい、地域において生活が継続できるよう支援します。
こうした子育て・高齢者支援を安定的に実施していくためには、保育・介護を担う人材が必要ですが、その人材に対して新たに買物支援サービスによる実質的な処遇改善に取り組むほか、特に保育士については、国による更なる処遇改善が予定されていますので、それに併せて、本市独自の支援を継続します。
この他、特定健康診査においては、受診率向上のために自己負担の無料化を拡大するなど、将来的に医療費等の抑制につながる健康寿命の延伸に向けた取組を推進します。
また、昨年策定した「広島市教育大綱」に基づき、個に応じたきめ細かな質の高い教育や充実した学習環境の整備などを推進します。
更に、防災拠点となる公共施設の耐震化については、昨年の熊本地震を教訓とし、そのスピードを倍増させるなど、災害に強く安心して生活できるまちづくりのための施策を講じることにしています。
「平和への思いを共有するまち」の実現に向けては、「迎える平和」を一層推進することとし、新たに国連関係者を招いて被爆の実相を伝える取組を実施するほか、デルタ市街地の街並み等が一望できる比治山公園については、原爆の惨禍から国際平和文化都市として復興した広島の「今」を実感できる「平和の丘」として、新たな広島の魅力的な拠点とするための再整備に着手します。
このように、限られた財源の中、引き続き事務・事業の見直しに取り組むとともに「選択と集中」を推し進め、広島の将来も展望しつつ、真に求められる施策について、重点的に予算配分しました。
それでは、新年度の予算に置いて、注目していただきたい重点施策について、市政推進に当たっての基本コンセプトに掲げた三つの要素に沿って、順次説明します。
第一の要素は、「活力にあふれにぎわいのあるまち」の実現に向けた取組、12ページです。
まず、「都市機能の充実強化」です。「楕円形の都心づくり」の推進については、東の核となる広島駅周辺地区について、南口と新幹線口とを結ぶ自由通路等の整備を着実に進めるとともに、広島駅南口広場の再整備等に向けた調査、検討を行います。また、今後も持続的なまちづくりが進むよう、地区内の事業者等によるエリアマネジメント組織の設立や設立後の運営を支援します。
大規模未利用地の活用方策については、広島西飛行場跡地に関し、県と連携して事業予定者の募集を行うとともに、基幹道路の拡幅工事の設計などに着手します。
また、広島大学本部跡地の旧理学部1号館について、保存、活用の方針に基づき、検討会及び懇談会を開催し、活用方策の具体化に向けた検討を進めます。
また西風新都の都市づくりを推進するため、沼田スマートインターチェンジを完成させるとともに、善當寺地区及び梶毛南地区に置いて、西風新都環状線の整備を進めます。
更に東部地区連続立体交差事業については、地元の理解を得るため、平成27年6月に公表した「見直し案」を基本としつつ、地元意見への対応策を検討することとしています。
公共交通については13ページ、新交通西風新都線の整備に向け環境影響評価や予備設計に着手するとともに、西広島駅の南北自由通路の実施設計に着手します。
更に、広島高速5号線のトンネル工事等の進捗に合わせて、事業を行う広島高速道路公社に対し出資及び貸付けを行うとともに、関連道路の整備を進めます。
次に、「産業の振興」については、ものづくり産業の強化の一環として、圏域の中小自動車部品メーカーによる生産技術力向上を目的としたグループ活動に対し、支援を行います。
また、紙屋町地下街において、道路占用許可基準の見直しを踏まえ、西国街道に関するにぎわいイベントを開催するとともに、多様な圏域特産品をテスト販売し、都心部での常設販売の可能性を検討します。
14ページの農林水産業については、圏域農作物の生産拡大及び出荷促進を図るため、市場卸売業者との商談会や、圏域農作物の消費拡大に向けたPRを新たに実施するほか、中山間地域の畜産農家に対する経営基盤強化のための支援を新たに行います。この他、中央市場について、早期の現地建替に向け、基本計画を策定します。
次に、「観光の振興」については15ページ。外国人旅行者等の周遊を促進するため、主要な平和関連施設を巡るルートを設定するとともに、スマートフォン用のコンテンツの提供を行う、ピースツーリズム推進事業に新たに取り組みます。
また、歴史ある西国街道沿いの水辺の魅力を向上させるため、猿猴川左岸の河岸緑地において、にぎわいづくりイベントを定期的に開催するとともに、16ページのように京橋川両岸に設置されたオープンカフェ周辺のライトアップに向け、実証実験を行います。平和記念公園レストハウスについては、耐震補強や旧中島地区の歴史資料展示のための設計などを行い、工事に着手します。
また、広島駅自由通路の完成に合わせて、観光案内と鉄道案内を総合的に行う広島駅総合案内所をJRと共同で再整備するとともに、案内所内に無料公衆無線LAN環境を整備します。
更に、瀬戸内4県の都市が共同して、タイの旅行雑誌担当者等を招へいし、瀬戸内の魅力発信を行うプロモーションを実施します。
この他、「花と緑と音楽の広島づくりの推進」として、「全国都市緑化フェア」を平成32年度に県内一円で開催することを目指し、県と共同で基本構想を策定します。
次に、「中山間地域・島しょ部の活性化」については、中山間地域・島しょ部において電気通信事業者に対する補助制度を創設し、超高速ブロードバンド環境を市内全域に整備します。また、似島や安佐北区小河内地区において、地域の活性化に取り組みます。
第二の要素は、「ワーク・ライフ・バランスのまち」の実現に向けた取組、17ページです。
まず、「雇用の促進等」については、保育・介護分野における人材確保、育成を図るために、「ひろしま保育・介護人材応援プロジェクト」の取組として、地元企業、事業者、市が協力して、保育・介護事業所の職員を対象とした買物支援サービスを実施し、実質的な処遇改善を図ります。また、保育士については、国による更なる処遇改善に併せて、本市独自の支援を継続します。
次に、「保健・医療・福祉の推進」です。健康寿命の延伸に向けた取組については、引き続きがん検診の受診率向上に取り組むとともに、特定健康診査について、自己負担の無料化の対象を拡大します。この他、地域介護予防拠点や地域高齢者交流サロン等の実施箇所の拡大を図ります。
高齢者が安心して暮らせる社会の形成については18ページです。介護予防・日常生活支援総合事業により、多様な主体による総合的なサービス提供を開始します。また、高齢者の社会参加をより的確かつ効果的に促すとともに支援を充実させるという観点に立って、既存制度である高齢者公共交通機関利用助成から、事業効果を見極めつつ段階的にシフトしていくための新制度として、活動実績に即した補助制度である高齢者いきいき活動ポイント事業を創設します。
更に19ページ、認知症の早期診断、早期対応に向けた支援体制を構築するため、認知症患者等の自宅を訪問して、必要なサービスに結び付ける「認知症初期集中支援チーム」を新たに設置します。
障害者の自立した生活の支援については、新たに、重症心身障害児やその保護者等に対する相談支援や、地域で生活する障害者に対し24時間対応可能な相談支援等を行うサービス拠点の整備に取り組みます。
次に、「未来を担う子どもの育成」については、20ページ。産後うつの予防や新生児への虐待予防を図るため、新たに産婦健康診査に係る費用を助成します。また、本年1月からこども医療費補助制度を大幅に拡充しましたが、これを契機に、今後の子どもの健康・医療対策等を検討するための調査を実施します。
妊娠・出産への支援については、不妊治療に係る経済的負担の更なる軽減を図るため、第2子以降の出産のための不妊治療に対する助成を拡充します。
待機児童対策については、保育園等の整備費補助を行い、平成30年度当初における、受入枠を614人分拡大します。
また、地域の子育て支援拠点やひとり親家庭等の居場所づくり事業、学習支援事業の実施場所をそれぞれ拡大します。
教育については、新たに、指定校において小3,中1段階における学力調査を実施し、基礎学力の定着状況を把握した上で、個の課題に応じた授業改善を行い、基礎、基本の確実な定着を図るほか、小・中学校教諭を志す大学生等を対象に、実践的な経験を積むための実地研修等を行う教師力養成事業を行います。この他、「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト」の実施校を拡大します。
次に、スポーツの振興については、東京オリンピック・パラリンピック等への対応として、メキシコ合衆国選手団等の事前合宿の誘致などを行います。
また、サッカースタジアムについては、中央公園広場に係る騒音対策や観客の動線などの調査・検討を行います。
22ページの文化芸術の振興については、広島交響楽団等による様々なコンサートなどに加え、青少年を対象とした「ひろしまユース文化芸術祭」の開催や市街地でのまちかどコンサートの実施など、市をあげて「音楽のあふれるまちづくり」に取り組みます。
また、浅野氏の広島城入城400年を迎える平成31年に向け、記念事業を開始します。
次に、「安全・安心に暮らせる生活環境の整備」については、地域団体が自主的、継続的に行う地域コミュニティの活性化に資する取組を一層支援するため、現行の補助事業の対象エリアを住宅団地から全市域に拡大します。
また、安佐市民病院移転後の跡地活用については、跡地に導入する施設・機能の円滑な整備・運営に向け、地域の代表者等で構成する推進協議会を設置し、検討を行います。
23ページの災害に強く安心して生活できるまちづくりについては、昨年の熊本地震を教訓とし、防災拠点施設の耐震化の目標年次を前倒して、そのスピードを倍増します。
更に、西風新都地区への消防出張所の新設や、災害現場と同様の環境での訓練が可能な消防広域訓練施設の整備を進めます。
平成26年8月20日豪雨災害からの復興については、復興まちづくりビジョンに基づき、道路や雨水排水施設など防災、減災のための施設整備を推進するとともに、地域の復興まちづくり活動への支援や被災者の生活再建の支援に引き続き取り組みます。
この他、持続可能な低炭素都市の実現を目指し、市民、事業者、行政等が一体となって、新たに「脱・温暖化!市民総ぐるみ推進キャンペーン」を実施します。
また、24ページの安定的なごみ処理体制を確保するため、恵下埋立地の整備に取り組むとともに、更なるごみ減量化を図るため、食品ロス削減キャンペーンを実施します。
第三の要素は、「平和への思いを共有するまち」の実現に向けた取組です。まず、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた取組としては、国内外の約7,200の都市が加盟する平和首長会議を中心に、2020年までの核兵器廃絶に向けた取組を一層推進します。具体的には、ニューヨーク市で開催される核兵器禁止条約の制定に向けた交渉会議に出席し、各国政府関係者に対し建設的な議論を要請するとともに、ヒロシマのメッセージを伝えます。また、それに先立ち、オーストリアのウィーン市で開催されるNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議第1回準備委員会に出席します。
次に、「迎える平和」については、本年度策定する比治山公園「平和の丘」基本計画に基づき、公園整備や管理、運営手法の検討に着手するとともに、頼山陽文徳殿やまんが図書館など既存施設の整備に取り組みます。
また、被爆の実相を正しく伝えていくための取組として、平和記念資料館の再整備事業を進めるとともに、25ページの原爆ドーム保存事業等基金を活用し、新たに常設の原爆展を開設している国連のツアーガイド等に対する研修や、被爆建物、被爆樹木等のガイドブックの作成を行います。
最後に、26ページの「効果的、効率的な行政の推進」についてです。現行の第5次広島市基本計画が平成32年度で満了するため、広島市基本構想及び基本計画の改定に着手します。
また、経済団体、大学、行政で構成する懇話会を通じて、広島の拠点性強化に向けた意見交換を行うとともに、「200万人広島都市圏構想」の実現に向けたPDCAサイクルを実践します。
この他、公共施設等総合管理計画に基づき、耐用年数を経過する公民館、集会所等の近隣施設との複合、集約化について、ワークショップ等を実施し地域住民とともに検討を進めます。
以上が新年度予算で注目していただきたい重点施策の概要です。
次に、組織、職員数について説明します。お配りしている資料の「平成29年度組織及び職員配置の見直しについて」を御覧ください。
まず、組織については中山間地、島しょ部を中心とした地域の活性化やコミュニティの再生を区役所との連携の下、より強力に推進するため、企画総務局に地域活性化調整部を設置します。また、大規模、特殊災害等への対応力を強化するため、消防局警防部警防課に消防機動隊を設置します。更に、民設民営の給食センターの開設に伴い、五日市北地区及び五日市中央地区の学校給食センターを廃止するなどの見直しを行います。
次に、職員数については、広島市総合計画の改定や地域包括ケアシステムの構築に向けた取組の推進などのため、職員を増員する一方、事務、事業の見直しなどによる減員を行い、差引約30人の減員を予定しています。
この他、県費負担教職員制度に係る包括的な権限が移譲されることに伴い、5,651人の増員を予定しています。
以上が予算編成等に関しての私のコメントです。よろしくお願いします。
記者
引き続き(広島)駅周辺の開発に投資される色合いが結構見えると思いますが、その点について、引き続きこの流れを加速させるという意味合いが込められた予算なのでしょうか。
市長
広島駅前周辺は、今までの駅周辺のまちづくりの計画がもう決まっていますので、それを確実に進める方向に、これからは重点がシフトしていくと思います。そのために、先ほど言いました、エリアマネジメントです。その地域に関係する方々が、主体的に出来上がった施設群等を利用しながら、その地域における活性化をどう図っていくか、エリアマネジメントの最低レベルだと、地域の安全確保といったことがベースにありますが、それを超えて、その辺りを自分たちできれいにしていく上で、更に、その運営財源等を地域内で生み出して、自分たちの共同経営体を作って、地域が自立的に、その地域の美観や、そういったものを図り、イベント等も色々な形を主体的に展開できるように、エリアマネジメントのレベルはそれぞれありますが、そういった取組を、どういう体制でどこまでやるかを議論していただくステージに入っていると思います。そういった意味で、まちづくりの取組がハードから、もちろんハードの残り部分もきちんとやらければならない部分もありますが、ソフト面についての課題をこなしていくというステージになっているのではないかと思っています。
記者
財政全体のことでお聞きしますが、今年もかなり市債発行が800億円超あるいは、財調(財政調整基金)20億(円)ぐらい取り崩して予算を組んだということですが、今後、大きなハード事業で例えば、アストラムの延伸(事業)や、サカスタ(サッカースタジアムの建設)も場合によってはありますし、そういうものが控えている中で、現状の今年の予算編成の厳しさや今後の見通しなど、財政運営の見通しについては現時点でどうお考えでしょうか。
市長
新年度予算を組むとき、市税の状況や国の地方財政対策、そういったことを踏まえながらやりましたが、決して楽観できるものではありませんし、ある意味では逆に厳しい状況であることは変わっていません。その中で、今言われたように(財政)調整基金も取り崩さざるを得ない状況になっていますが、ざっくり申し上げて、市税は大体2千億(円)です。そして市の一般会計の予算規模は、大体6千億(円)のオーダーです。自分たちが直接賄える財源は、市の予算規模(一般会計)の3分の1のオーダーであることはまず変わっていませんし、これが今までも大体そうですが、これからも基本になるかと思います。その中で、残りの部分は国からの政策裏付けを持った色々な国庫負担や、そういったもの等を組み合わせてやっていくわけです。それが一つ財源から見た予算の特徴です。
今度出す方の話になりますと、我が予算の福祉関係予算を色々な形で積み上げていくと、これは大体2千億(円)近くになります。これはもちろん、先程申し上げた6千億(円)の中の予算、国から来る事業に対応して、それに市の予算を付けてやる部分や、市の単独予算等を積み上げたりしたのですが、そうするとそれ以外の所で、いわばハードに掛かる予算(土木費)が出てきています。それが大体900億(円)ぐらいです。福祉関係(民生費)はざっくり言って2千億(円)で、いわゆる今後のまちづくりに関係する設備投資といいますか、公共投資といった所が900億(円)ぐらいです。当座の先程申し上げた「翁・媼・童」そういったソフト面での政策の充実が不可避です。
まず、高齢者に関しては対象人員が増えてまいりますので、健康長寿というものを願いながらも、数の上でそれに関係する予算は着実に増えるでしょう。そしてもう一方、「童」に対する予算は、政令市と比べても好条件のこの少子化を乗り切るベースである多くのお子たちをしっかり産んでいただく、育てていただくための必要な支援策の充実が不可避です。こういった面での予算強化ということが、当然の必然性があるわけです。そして、この額が増えることはあっても減ることはないと。
しかし、ここから市税収入2千億(円)の内訳を見てまいりますと、ざっくり言って2千億(円)の半分近くが固定資産税、都市計画税と一緒になって、いわゆる土地の資産等から評価を得て出てくる額です。約半分と見てください。残り半分ざっくり1千億(円)のうち、更に市税の個人に掛かる部分が7割5分ぐらいです。そしてあと法人からが大体2割5分です。900億(円)から1千億(円)のオーダーです。この個人所得、法人所得に係る市税に関して、正に人口、市の中で給与所得や多くの所得を得る方々を対象にして、そこから得られる税収ですから、こういった方々が減っていく、要するに稼ぎをする方々が高齢化とともに減って退職年齢に入って、むしろ支援をしてもらう側に回るとなると、そちらの収入も減るという蓋然性があります。それをいかに維持し、減らないようにするかということをしなければなりません。それと国の経済対策等で、お一人お一人の所得等が増えて経済成長になれば、人数が減っても成長分が市税の増に回ってくる可能性もあります。その辺の見込みといいますか、どこまでいくかはある程度、頭に置きながら考えている状況です。そうすると、今言った福祉関係で2千億(円)程度、公共投資等で1千億、900,800,700(億円)、そのぐらいの範囲の中で、まずこれからのまちづくりを考えていかなければいけません。そして、その700,900(億円)辺りのオーダーの中で、これから必要となっていく施設群の整備を同様に考えていかねばなりません。ある一時点で全てを賄おうと考えると、財政はパンクします。ですから、必要な事業モデルをしっかり立てて、どういう手順で、どういう順番でやるかです。選択と集中と言うときの優先順位の付け方だと思います。ある必要な事業、例えば三つ四つあっても、これからの限られた5年の間で全てやろうと思うと、当然原資で賄えない。しかし、それを10年の中で、その次のステージを見越して調整しながら、必要な手順でやるということが、皆さんの了解を得ながらやれるのであれば(財源調整ができるかもしれない。)。
そして、施設群などについては、老朽化してくる施設群の改修・修繕があるので、それについて予防措置、事前の傷みを軽減する措置を講じながら、一手に大量な必要原資が出てくるタイミングを一方でずらすという大きな枠組をしながら、財源を調整することができれば、大変苦しい状況ではありますが、福祉関係予算と公共施設の必要となる施設整備への予算確保は、できるのではないかと思います。それを今回の予算の中でも一部見ていただいていけるようにしました。そのために、財政調整基金を予定ではもう少し貯めると、何かのときの備えにする予定でしたが、正にその備えを今回使う局面かなとの思いで一部、(財政)調整基金を予定より少し多めに取り崩すことをやって、予算を編成している状況です。
記者
(東部地区)連続立体交差の予算で、先ほど市長は見直し案を基本としつつ地元意見の対応を探るための検討という主旨の予算だと説明がありましたが、そうすると今年の予算、つまり今から流れてしまう予算は設計費だったわけですから、設計という一歩見直し案で進める予算から、立ち止まるという見直しの見直しをするための予算と解釈してよろしいですね。
市長
そういうことも可能な予算だと思っていただきたいです。設計をするためには4者と言いますが県、両町(海田町、府中町)、広島市関係者が合意して、それらに関わるJR、そこが具体的に線路をどうしていくかを設計していくわけですから、それが今の4者合意のままで関係者が異議なくいくのであれば、予算は設計費がついていたわけですが、しかし地元の方が取り分け市に関係する船越地区の方々が、もう少し、もともと連続立体で自分たちも高架になるアイデアが前にあったので、そのことを踏まえてもっと意見を聞いてくれないかというお話をされている現実があるわけです。ですから、そういったご意見の中で、今の4者合意を基本としながら、どこまで話ができるか、少し踏みとどまることをやってみようかとなれば、設計予算をもう一年というか一回ずらすことをやる必要があるということでやっているわけです。ですから、今までの合意を基本としながら皆様方との話し合いをして、4者合意に至った中で関係者のご意見が、船越の色々なご意見を聞いた上で、もう一回調整できるかどうかをチャレンジする年になるように、あるいはそれが可能な予算にしていると見ていただければと思います。全然、船越の意見を聞かないことはないですよと、そういったことを考慮してどこまで調整が可能かをチャレンジしてみましょうと、そんな予算になっていると思います。
記者
ただ、これまで共同事業で県と市が大体連動して予算を色々付けてきておられて、鉄道は繋がって、しかも船越は600メートルしかないので、必ず市と県が両方ともが影響すると、今回、県は予算の発表で知事が「市と直接連動している予算ではない」と仰った。そうすると市域だけで検討されることになるかと思いますが、それで行くと市域だけの市の持分で自分の領地だけで考えることになると、鉄道高架は、非常に検討としての可能性は難しいのではないかと見られますが、鉄道高架の可能性も探りますか。
市長
具体的な中身はまだ確定していないので、分かりやすく説明するのが非常に難しい気もしますが、東部(地区)連続立体(交差)の問題、構造を少し分かりやすく整理しますと、広島市でない行政体、つまり片や府中町、片や海田町、その両町を跨ぐ鉄道施設をどうするかという問題です。その間に船越という広島市が入っています。そこの1市2町を跨ぐ、そして2町を跨ぐことで、取りも直さず県もこの関係者として登場するわけですが、この4者がここに連続立体(交差)という形で鉄道を組み直してもらう、そうすると、そこの周辺の土地をどうするか、道路をどう造り替えるか、更には、それぞれ今ある駅の造りをどうするか、海田町の場合はそれと絡めて、町の役場の施設はどうするかといったような問題と絡めて、一連の方向性をもって処理をしようとやっていた中で、連続立体が色々な費用対効果を考えてどうも難しいことを県・町、そして更に市が加わって話がありましたので、一旦下ろしましょうという問題提起でした。
そうすると、下ろしただけでは、府中町の方は下ろしたとしても今までの都市計画や、そういった鉄道計画、更には駅の造りなどついては、あまり影響を受けないが、主に海田町の方がまだ用地は獲得してきているが、完全に獲得しきれていないなど、問題が混乱する中で、それに影響しないように合意してみようということでやってきました。その案で皆さんに一応示したら、今度は船越の方が、それだと両町は今まで通りと変わらないのではないかと、実際海田の方は随分変わっているのですが、鉄道とそれをクロスする道路という視点から見ると、何も変わっていない、船越の所だけが当初のアイデアからすると後退している、これは何とかできないかと、こういうお話として承っているわけです。そうすると、それぞれ立体化していくための事業に、一度に上げる計画から一旦下ろす計画にして、それからまた上げることになっています、これを同時にやるか、一回下ろして、それから調整して上げるかとか、時間軸をもう少し長く取ることも考えられましょうし、その中で、もう少しここの調整をすることで、海田の色々な事業取組に大きな影響を与えない範囲で、それが可能かどうか、もう一つ最後の調整段階で可能性を検証できるのではというステージに今入っている認識です。
それら全体の見通しを確定しないと、JRにお願いするにしても、こういう形で仕上げていきたいので、第一弾の鉄道事業に入ってくださいとは言えないと、そうしないと先はどうなるか分からないが、とりあえず事業を始めてくださいという形でJRへのお願いができない状況です。ですから、全体の見通しを、将来的にどうなるかと、どういう段取りでやるかまでも含めて、改めて船越の意見も聞きながら、この基本とした4者合意にどこまで調整ができるかをこの間にやって、そしてJR等にもきちっと申し入れができるにしようというのが今の状況です。その際、今の部分での県の予算、市の予算はそれぞれ自分たちが主に調整すべきところについて必要な予算は来年度に向けて付けていると、そしてそれらを合意ができたら、双方が調整しなければいけない予算部分は、その考え方を踏まえて手当できるとなっています。逆にそうしなくてはいけないと思っています。パーツパーツの予算で、それぞれ所管の部分について、今言った事態の中で一歩進めるための必要な予算はとりあえず付けています。そして、この議論を踏まえて調整が生ずるようなところの予算については、もう少し議論しなければいけない構造になっていると見ていただければと思います。
記者
立ち止まるという見直しであることははっきりしたことで、その後は市長も細かくは今から原局が検討ということで。
市長
次へのステップに向けて、もう一、回関係するところの予算をしっかり固めておいて、調整するところは、どの辺にあるかということも含めて皆さんの意見も聞いていくことになるかと思います。
記者
都市圏の連携事業としては、新年度直接的な事業として72事業、5億9,000万(円)あると伺っています。例えば物産の販売など、その辺りの事業の狙いをまずお聞かせください。来年度に関して他の市町との連携はどのようにお考えですか。
市長
市町との連携は、この中(新年度当初予算案)でも基本的な考え方で申し上げましたが、一つの経済圏域にしていくためには、まずヒト・モノ・カネが循環するために、例えば公共交通網など、こういったものが、ハード(面)はすぐにいかないとしても、ソフト(面)で人々が同じ地域に住んでいると感じられるような料金体系にしていくことや、交通の発着の便などを組み替えていく運用面が考えられます。それをやっていくための基礎として、まず広島市内の都市部と郊外との公共交通体系について、そういった弾力的な運用と言いますか、今までと違った発想での取組ができるかをやっています。こういったものが可能であれば、それを広域にも及ぼすことを考えながら今スタートしています。それがまず「ヒト」の動きです。
それから公共施設などについても、これから各市町同じように既存の施設群の建替等を迎えるが、市内においてもまず起こります。そういったものの利用に関して、もし近隣市町と今後、合理的な利用ができるのであれば、そういった施設群の建替などの調整をやることも視野に置きたい。そのためにはまずは、市内の各区ごとにある色々な施設について、利便性があれば集約するなど、共通利用していくやり方をこの市内で確立し、また近隣の市町にも話しかけていくということが要ると思います。そういった次のステップを睨んだ対応を、まずこの市内でやっています。
もう一つ比較的早くできるものについては、例えば神楽や食と酒、まちづくりということで、ちょっとしたイベントにこの近隣の首長さん方が集まって、お互いの地域での催しだけど自分たちの地域の催しであると認識して、双方が協力し合うという比較的馴染みやすいものから入るということを今やっています。そういう意味で、やりやすいものを同時に取り組みながら次への課題の準備をする中で、今回は、「こういった事業は広域都市圏の事業展開に必ず結び付くんですよ」ということが分かるように明示しながら予算を組みました。
そして、もう一つ典型的なのは研究会といいますか、こういった事業をやっていく上で、それぞれの予算措置をしていくことが最終的に必要なわけですから、例えばものづくり産業などについて、この地域全体を支える企業群をどう支援するかを研究して、その支援策を見つけて、それぞれの自治体を超えて、そういったところに支援するための方策を勉強しようと今立ち上げました。そして観光事業については、今やっているようなことを超えて、圏域全体の観光地設定をしてコースを設定する。そのための観光ルートを設定したときに観光業者とどういう形で支援体制を組むかなどといったことも研究する。いずれもそういった勉強に着手するという中で、少なくとも中枢都市圏における連携ということで、国から予算配分が頂けるものについては、「この広域都市圏につながるものですよ」ということで明示して予算を出すことを今回やっているという状況です。今回予算を出している部分は、そういう意味で今申し上げた一連のものが一部で、全てではありません。ただ、今申し上げた説明を聞いて頂けると、「ソフト、ハード」、「ハード、ソフト」、色々なことを組み合わせながら今できること、それから将来に向けてやるべき課題を、いずれも例えば市内で展開する、中山間地で展開するそういうやり方をしています。
記者
それを踏まえて、これまで広島市の首長として、平和都市の首長として、更に都市圏の旗振り役ということが加わってくると思いますが、どういった行政運営が求められるのか、この1年の決意や所感をお述べいただけないでしょうか。
市長
今日申し上げた人口構成について市内の話を一生懸命しましたが、近隣市町は我々よりもっと厳しい状況で少子化が進み、高齢化が進んでいる所が多いです。一部は人口が増えていると言いますが、人口規模が広島(市)は120万(人)都市です。しかし近隣市町は、多い所で数十万(人)で、数万、数十万(人)単位の都市です。その小さな人口規模の中で、こういった問題すべて一つ一つ対応することは、財政規模からしても到底できません。そして広域行政という県の方に頼るとしても、ベースは自分たちのところで予算を組み、それを支援するのが広域行政、県の立場ですから、事業ごとに組み込んで予算を継続的に出すことは、多分、今の予算システムではできません。ですから、同じような協同事業をしようという意思決定をして、それに継続的なシステムをかぶせて、お互いに予算を投入する。それが両方の圏域全体にまたがって事業展開できるようにという、全く新しい発想と言いますか、今まで多分どの首長さんもあまり考えてないような事業展開を、全てと言いませんが、主要なところでやっていこうと思います。そして「そういったことができますよ」ということを、まず示さなくてはいけません。それぞれの事業体をやると言っても自分のまちの中で、そういった提言がうまく実行できないのであれば、ましてや境界線を超えた近隣の市町にそういう提案は持ち込めません。ですから、まず今回、市内でやる施策の中で、広域的な事業に役立つ予算費目、事業を完成させるというか、成功させたいのです。
典型的な例は、中山間地・島しょ部での活性化事業です。これは、この地域どこでも同じような課題を抱えていると思います。市内(中心部)にある町は、観光や色々な福祉がありますが、少し遠い所では、こういった問題があるわけです。そうすると、「その活性化をするために、我が市としてこんなやり方を今、色々提言しているが、国の支援も使ってやりましたよ」と。この取組を、例えば中山間地で受ける気候変動には大きな問題がある、間伐材などを有効活用しなくてはいけない、エネルギー対策としてやれば地場産の木材を使う方が良いのではないか、そういったことを事業展開しながらその事業をする拠点を設けると、その地域で人が定住する可能性があって人口減が防げる。そしてそれと同時に、「半農半X(エックス)」というか、例えば農業も片手間でやりながら、そういった事業展開できる生活圏を作る。そこでの農産物を今度は循環させて、地産地消という形で食材供給システムができると、この市(我が市)でうまくやると、「これと同じように、自分たちの地域でもやってみませんか、そうすると中山間地の人口減を防ぐことがこういう形でできますよ」というふうなことを見せられるようにしたいのです。そしてその具体的な成功モデルを見せながら「一緒にやりませんか」ということをやっていきたいと思います。そのための協定書を結んでいますし、それをつなぐために今「食と酒」の活性化などもやっています。神楽なども、我が市が相当負担して、神楽が得意だという市町の首長さん方も、活動している方を我が市で見せて、全国発信して自分たちの自慢の地域を作り上げる。そして、そういう文化伝統も発信しながら良いまちですよという取組をやっています。そういった硬軟、両様織り交ぜながら、我が市はこれから皆さん方の行政の取組の補完というようなこともやりながら、かつ一部リードをして範を示すこともやっていますと言えるような目論見で予算を作っています。この予算がきちっと執行されて、成功事例となるように取り組むのが来年度の狙いとなると思います。
記者
恵下の処分場で、廃タイヤが大量に見つかり、新年度予算に大きな処分費用が掛かると思いますが、その点について見解を教えてください。
市長
これは恵下の埋立、いわゆるゴミ処理の最終処分場の確保で、地元の協力、理解を得ながら確実に進めているところですが、去年の作業を進める中、その地盤を整備していこうと掘ると、タイヤの燃えかすが出てきました。「燃えたものがあるのは大変だ」ということで、もう少し範囲を広げて調べることにしました。どうも恵下が村でなくなった後、その辺りに当時おられた方が、古タイヤを全部そこに(保管場所として)持ち込んで、(別の場所で)処理していたらしく、それがあるとき燃えて、そのままになっていることが分かり何十年も経て出てきたわけです。そういったタイヤの燃えかすについては有害物もありますので、これから処分場としていく上で放置しておくわけにはいかないので、その作業工程においても、危険な有害物質が飛散しないようにしながら丁寧に処理をすることを決めました。ですから、それに必要な予算は出さざるを得ないと思います。当然の安全確保のための費用負担だという思いで、今やっています。
記者
購入された地権者に責任を問う、そういうことはないのでしょうか。
市長
検討したくてもその方(※廃タイヤを持ち込んだ方)がいません。亡くなられているそうです。ですから何十年も前のことですから当事者がおられないので、個人責任を追及しようにもできません。とりあえずとにかく現状は、そういう有害物を除去する。有害物となる可能性が高いものなので、それをきれいに除去することを、まずこの作業の中でやるということです。
※( )は注釈を加えたものです。