ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > 市政 > 市の概要 > 市長の部屋 > ようこそ市長室へ > 市長記者会見 > 平成28年度 > 2016年12月22日記者会見「今年1年を振り返って外1件」

本文

ページ番号:0000013090更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2016年12月22日記者会見「今年1年を振り返って外1件」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市政記者クラブからの代表質問

  • 【今年1年を振り返って】
  • 【来年開催される核兵器禁止条約の制定交渉会議について】

会見録

市政記者クラブからの代表質問

今年1年を振り返って

記者
 今年1年を振り返って達成できたこと、やり残したことなどをお聞かせください。また来年に向けての抱負をお願いします。

市長
 今年は様々な行事がありまして、「広島の年だね」と言われる本当に充実した年になったと思っています。G7外相会合の開催、オバマ大統領の広島訪問、そして25年振りのカープのリーグ優勝等々、広島が国の内外からの関心を集めて、多くの方に広島に来ていただく動機付けができる年になったと思います。そういう良い年ですから、来年もこの流れを途切れさせることなく、市政の三本柱、「活力とにぎわい」、「ワーク・ライフ・バランス」、「平和への思いの共有」というこの三つの柱を立てて、しっかりとまちづくりをやり続けたいと思っています。これが大きな方向性だと思います。

 そのような中で「活力とにぎわい」についてもう少しコメントを加えますと、まず今年は広島駅の南口の再開発ビル「BIG FRONT(ビッグ・フロント)ひろしま」が8月末に完成しました。そして12月には、そのビルの中に(市の)総合福祉センターを開所しました。それからCブロックですが、「EKI CITY HIROSHIMA(エキシティひろしま)」も竣工しました。そして更に駅北口の二葉の里地区でも、オフィスビル等の建設が着々と進んでいまして、陸の玄関口である広島駅周辺は、広島の拠点性を高めていくことがますます重要で、それができる場所になってきていると思います。それを更にしっかりとしていきたい。

 ここまで駅の方をやってきましたので、もう一つの焦点「楕円形のまちづくり」ということを申し上げます。この駅周辺地区と同様に、改めて紙屋町・八丁堀地区の方も活性化ということにも少し目を向けていくこともやっていかなければいけないと思います。いずれにしても両方の地点を見定めながらエリアマネジメント、地域単位で関係者の方が一緒になってまちづくりをしようという手法を駆使していきたい。市民、地元企業、行政、多様な自治体との連携、協働によってまちづくりを進めていきたいと思います。

 そういった大きなハードの面でのまちづくりと同時に、もう少し日常生活で目の行き届いたまちづくりということに重点も置きたい、その中で、今までやってきています「花と緑の広島づくり」、花を大切にする緑も愛でましょうとやってきていますが、これにもう一つ、音楽を加えて、言語を超えて色々なメッセージの伝達ができる音楽も取り込んで、広島のもてなしの心を、まちの至る所から発信するというイメージのまちづくりをしたいと思っています。花と緑と音楽によるまちづくりもやっていければというのが次の展開です。

 また大きな柱として、安佐市民病院の建て替え問題がありました。9月に整備スケジュール等を盛り込んだ中期計画を策定しました。その中で跡地に関しましては、跡地活用検討協議会を立ち上げまして、活用策の報告書を11月にもらいました。現在、市としてこの活用方針を前提にしながら検討しています。来年は中期計画に基づいて、着実に安佐市民病院の建て替えを進めていきたいと思います。そして同時に、跡地の活用方針を策定して、それを基に地域の理解、協力を得ながら、跡地に導入していく施設や機能を円滑に整備・運営が出来るように、一層地域との連携を密にした対応をしていきたいと考えています。

 大きな柱がもう一つ「ワーク・ライフ・バランス」ですが、これに関しては高齢者福祉と子育て・医療のバランスに配慮しながら、「自助」、「共助」、「公助」の組合せを適切にすることをしっかりと頭に置いた上での対応をしていきたい。そして、持続可能な地域福祉の構築を目指したいと思っています。そういったことを盛り込んだ広島型の福祉ビジョンを2月に公表していますので、この大枠を踏まえながら、まず高齢者福祉については各区に地域包括ケア推進センターを設置すること、そして、この地域包括ケアシステムを構築する取組を進めています。そんな中で来年は、高齢者公共交通機関利用助成制度を見直し、新たにポイント制補助を導入していく中で、こちらへの切替えができないかと思います。ポイント制度に変えていくことで、高齢者に向けての様々な余生つまり社会参加を今以上に促したいと同時に、社会参加をすることを通じて健康増進とか介護の予防にもなっていく、更にそのようなことがうまく機能すれば、介護給付費とか医療費の適正化にもなるということで、トータルで色々な仕組みを変えていくこと、単に交通機関の利用のお金を安くするということで何となく目的を達成するといったような制度から、もっと目標値を明確にして、今申し上げたような三つの目標につながるように、多くの方が参加してポイント制度を活用しながら、まち全体として取組が出来るような政策展開をやっていけないかと思っています。

 今年の3月には、こども医療費補助制度を拡充する条例改正を行いました。これも最初に申し上げた、福祉の中での「自助」、「共助」、「公助」を念頭に置きながら取り組んだもので、1月からの制度改正を円滑にまず施行する、その施行状況の中で様々な意見があります。実態を見て、その効果ももちろん、考慮しながら、調査をすることを通じて、PDCAサイクル「ものを作って動かして、それでチェックして改めるところは改める」という考え方をしっかりと享受しながら、この制度の更なる充実を考えることをやっていきたいと思います。こういった医療費制度などについては、あくまで国がしっかりしたベースをつくるべきだと思います。国がつくってある(制度の)足らざるところを地方自治体が補完して、「こちらの方がより良い制度ですよ。だから皆さん、こっちに来なさい」というふうに人口を誘引するような素材、そういう装置として使うべきではないと思っていまして、国に向けてしっかりとしたメッセージも出しながら、こういった制度運用を着実にやるという視点も忘れてはならないと思っています。

 更に広島の子たちが「平和を希求する心」をしっかりと身に付ける、そのための資質・能力を身に付けること、そして「心身ともにたくましく思いやりのある人」として、可能性を最大限に発揮できるような教育を目指そうということもやり、12月に広島市教育大綱を策定しました。これを今後の広島における教育に、今までの教育の流れを踏まえながら、更に発展させる気持ちで策定したものです。今後、子どもに関わる全ての人が連携、協働して、子どもの学びを支えていく際、「ひろしま型チーム学校」の構築を目指しますし、更に幼児教育について受け入れ体制がまだ十分ではないところもあります。この充実を図る、そして教育、保育の水準の向上が図られるように、幼稚園、保育園それぞれの施設群は、国の役所系列から言うと別系統で地方に下りてきている施設群でありますが、我が市において、一緒に一体として市民サービスを提供できるようなものにすべく連携、協働ができるような制度拡充を図るということをやっていきたいと思っています。

 そして、平和関係ですが、来年は、核兵器禁止条約の実現に向けた交渉が開始される見通しが立ってきました。是非とも建設的な議論が行われることを願っています。そういう意味では、全ての国連加盟国への働き掛けをしっかりやる中で、建設的な議論ができるように努力したいと思います。この動きについて少し今年を振り返ると、米国のオバマ大統領、カザフスタンのナザルバエフ大統領などが(広島に)来ていただき、今まで言っていた「迎える平和」というものが目に見える形で推進できた年ではないかと思います。引き続き世界の為政者、例えば次期(米国)大統領トランプさん、現大統領であるロシアのプーチン大統領等、こういった方も是非この被爆地を見ていただき、自分たちの政治的なリーダーシップを発揮する上での基礎的な判断材料に据えていただくということをお願いできないかと思います。

 そして、広島を訪れた方々に被爆の実相を伝えるという観点に立って、今後とも、平和(記念)公園のあり方について、しっかりした対応をしていきたいと思います。旧中島地区の遺構の活用という問題も出てきました。これについては、少し時間も手間も掛かることも考えて、75周年の展示ということを念頭に置きながら、発掘現場や展示の手法等、そういったことを考えてできればと考えています。あわせて、これも直接の手段という中で違う系列なのですが、ふるさと納税を活用することも打ち出しました。ふるさと納税が本来の創設の趣旨を履き違えて、サービス競争に陥っている実態もあり、是正すべきではないかと議論もされている状況にあることにも配慮して、正に本来の使い方に戻るようなやり方を考えて、被爆建物保存の取組の中に組み込むということもしてきました。これもしっかりやりたいと思います。

 そして、平和の状況の中で、被爆の実相とともにこれからもう少し、復興した広島というものも同時に実際に見ていただいているわけですが、改めてそれが実感できるようなセッティングをということも考慮して、比治山公園の再整備に着手をしようと考えてきました。市内を一望でき、そこから見える街並みを通じて、国際平和文化都市という広島の復興した今の姿を実感できないかということで、比治山を「平和の丘」と位置付けて、新たな広島の魅力づくりにも着手する、これも同時にそこにある施設群の利活用、修繕等も同時進行にすることはできないかと思います。そうした中で、もう一つまちづくりにとって欠かせない安心、安全確保のベースのところですが、一昨年、平成26年8月の豪雨災害からの経験値ですが、これを踏まえた復興ということを今やってきています。災害発生から5年間を集中復興期間と位置付け、2年が経過したわけですが、全体の復興計画の中には避難路の整備や被災者の支援等を着実にする中で、被災を受けた地域が今以上にしっかりしたまちになるようにと狙って取り組んでいます。その際、国、県の協力も得て緊急事業ということでの事業完成、相当完成度を高めてきました。現在までに30渓流、31基の砂防堰堤が完成しました。この2年ぐらいで31,全国どこを見ても一定の地域にこんなに砂防堰堤ができた所はないのではないかと思います。これも被害の実相を踏まえての国、県の協力があってこそだと思います。しかしこれは、あくまでハードの状況で、未だに住み慣れた地域に戻れない方々がいらっしゃいます。こういった方々のこともしっかり頭に置きながら「復興まちづくりビジョン」も引き続きしっかりやっていく、そして防災、減災のための施設整備とともに、これからのまちづくりに役立つ施設群の整備を併せてやっていくと、とりわけこの点については安佐北区全体のことも視野に置きながらやるということを肝に銘じたいと思います。

 そして目を転じて、市内の対応とともにもう少し広い地域、つまり広島の広域都市圏、こういったところにも目を転じたいと思います。人口減少というものを1都市だけで対応するのではなくて、経済圏、文化圏そういったものがある程度一体化できる地域まで視野に置いて、皆で一緒にこの問題を乗り切ろうということを決断し、3月に近隣の23市町と連携協約を締結し、「200万人広島都市圏構想」を打ち出しました。これに向けての動きを着実に進めているという認識です。来年はこういった考え方の下に、より具体的な取組に何があろうかと、トップダウン、上からものを下ろすのではなくて関係する市町ともに問題意識を共有して対応策を考えることで、広島広域都市圏産業振興研究会を立ち上げ調査研究をやっています。その成果を踏まえて、ものづくり産業の生産性向上のための取組、あるいは都市圏域内の農水産物の生産と消費拡大のための取組、これは域内の経済循環等を考えて地域が一緒になって取り組むという具体化策を考えていきます。そうした中でこれをやる際には、圏域内の地場産業や地域資源、あるいは各圏域市町の施策方針、こういったところの擦り合わせが要ります。隣の市町と競う形での政策立案に慣れてきた市町が、今回初めて一緒に物事をやろうというわけです。そういったベクトルが変わっていく中で、共同作業ができる取組、連携強化を今後一層強めたいと思っています。更にもう一つ、少子高齢化、人口減少の中できちんとした成果を出すのだという取組にスポットライトを当て、しっかりした取組をしたいと思っているのが、安佐北区の取組です。白木、高陽、安佐、この三つの地域において地域主体の熱心な議論が行われました。自分たちのまちを創るために、こんな取組がほしい、これをやりたいということが出てまいりましたので、このまちづくりのやり方こそ、本当の郷土に根ざした、自分たちの地域を、皆がつくろうと考えた時のあるべき方法論、これが少し芽生えたと思っています。「自分たちのまちは自分たちで創る」ということを実現するやり方、実践が安佐北(区)の白木、高陽、安佐で芽生え始めましたので、これを一つでも二つでも成果に出しやっていくことが、これからの大きな課題だと思っています。そして安佐北区での取組をうまく成功させることができれば、広域都市圏の中でも、いずれもやはり人口減少等で悩んでいる市町がたくさんあります。そうした中でこういうふうにすれば市町が元気になりますよという、いわばモデルとして示し、改めて広島広域都市圏の23の市町とも同じような取組ができるという位置付けになると思っています、広げて中山間地、島しょ部の活性化をより深めて検討していくことをこれからの課題にしたいと思っています。今申し上げたことを総じてある程度スローガン的に申し上げますと、来年は酉年ですので干支の「ニワトリ」、鳥の第1羽です。そして平和の象徴である「ハト」、そして思いを色々織り込んだ「ツル」、ちょうど鳥が3羽おりますので、来年のスローガンは一石三鳥で、色々なことをやっていきたいと思います。すなわち一つの対応策、施策を講ずることで多面的な成果を上げる意気込みで、もろもろの課題に取り組んでいきたいと思っています。以上です。

記者
 やり残した仕事としては、サッカースタジアムの建設候補地の選定作業というのもあると思うのですが、これに関連して先般、県知事の方が中央公園の他の候補地との比較検討するための調査費を早ければ来年の当初予算に計上したいという旨を言われていまして、この点について市長の考えをお聞かせください。

市長
 直接知事とその話はしていませんが、新聞報道で見せていただいた中で、知事の発言を見たときに、このように書いてある記事がありました。「来年度の予算に検討費用など計上できればいいが、地元の皆さんを無理やり押し込むような形になってはいけない」という発言の中での知事の所感だと受け止め、ここの考えの部分は同感なところがあります。すなわちサッカースタジアムを中央公園広場に整備できるかどうかの検討をするに当たり、周辺住民の皆さんの意見、懸念をしっかりと把握して、それが解決できるかどうかというのが最優先課題であると考えています。そして今のところのスケジュールは、年明けに基町連合自治会の方で質問状を取りまとめられてという手続きだと聞いています、それを頂いた上でそれに対して誠実に答えていくのが今の段階で確実に見通せている手続きだと思います。ただ質問状が来た中で、色々考えていかなければいけないという答えが必要な場面があれば、そのお答えをするために、例えば調査を行うということもあるでしょう、とすればその調査に関しての予算も必要になってくるでしょう、その質問状のやり取りは、少し時間がかかって来年度要求に間に合わなければ、その後の補正予算を組むところで入れるとか、そういう意味では基町連合自治会の皆さんとのやり取りが、まずベースにあって、その中で必要となることについて予算措置が必要であればそれを構えるという構えです。いずれにしても、まず地元の皆さんとの意見交換をして、その中で個別具体の判断をしていくようにしたいと思っています。

記者
 確認なのですが、地元対応を市長としてはまず優先されて、スケジュールありきではないということでしたが、調査についてはそれぞれ県等と一緒にやりたいというお考えですか。

市長
 多分そうなると思います。

記者
 オバマ大統領の訪問以降半年あまり経ちましたけど、その後の変化は今年の後半どのように感じられたでしょうか。

市長
 変化というのは私自身から見ての変化か、それとも世の中全体の変化ですか。

記者
 市長が見てここが変わったとか、どう感じたかをお願いします。

市長
 オバマ大統領の広島訪問の評価は、私自身はトランプさんの登場でより明確になったと思います。それはなぜかと言いますと、オバマ大統領が8年間かけてアメリカ合衆国大統領として取り組んできた様々な問題への姿勢といったものが対比的に明らかになる状況が今来つつあると思います。敢えて言えば、色々な対外的な政策推進、国内政策は置いておきまして、対外的な外交政策などは正義、道徳のようなものをかざしてそれを引っ張っていく。今までのアメリカのやり方に修正を加えながら国際バランスを考えていますけど、ある意味では理想を掲げてやる政治運営だったと改めて確認できる事態が起きました。これはトランプさんが主張される政治のやり方、俗に言うパワー・ポリティクス(権力政治)といいますか、パワーです。その勢力とか利害を調整することこそ重要だというような価値判断の下に大統領への取組の意欲表明をされています。いわゆるビジネスの、経済の中の一定のエリアの中でそういったことは不可避でありますから重要なのですが、総合的な取組が必要な世界情勢の中でパワー・ポリティクス、勢力利害調整を強調する運びがいいのかどうなのかが問われます。それは正に正義、道徳といった抽象的な概念を掲げて、それに向けてみんなで頑張るというようなやり方との対比が明確になってきていて、それはどうなのかということを皆さんは心配しておられる。それが典型的に広島が追求している核(兵器)のない、核(兵器)廃絶という理想的な世界を目指すという考え方にどう影響を及ぼすかということになりますが、仮に利害調整、勢力調整を優先することに特化すれば、争いが起きやすい状況が訪れているというようにも見えます。そういう意味では、理想である核(兵器)のない世界を目指した取組についての信念を共通の価値観として、その理想を実現するために現実的かつ柔軟な対応をしなければならない。そういった点を、あのオバマ大統領が5月27日に来たスピーチの中で言っていたことが改めて浮かびあがっている、そんな感想を持っています。

来年開催される核兵器禁止条約の制定交渉会議について

記者
 核兵器禁止条約についてですが、前の市議会において来年開催される核兵器禁止条約の制定交渉会議などの重要な局面には、市長や職員が国連に赴くことを検討しているとの答弁がありましたが、市長としては先ほどのお話にもありました核保有国と非核保有国との間で建設的な議論がなされるように、全ての国連加盟国に対してどのように働き掛けるお考えか、具体的なものがあればお聞かせください。

市長
 核兵器禁止条約の制定に向けて間違いなくスケジュールに載っており、来年の3月、6月には(制定)交渉会議開催の見通しです。そのタイミングに合わせてどういった対応をするかということですが、まず平和首長会議として核兵器を持っている国、(核の)傘の下にある国、そういうのも含めて全ての国がこの会議に積極的に参加をしていただいて、そこで真摯な取組をしてもらうというのが願いであり理想です。それを目指して私としても対応するということです。そのために公開書簡といいますか、「こんなふうに考えてますよ」と「どうでしょうか」ということをしっかりと問い掛けるための文書も国連加盟国に出します。そうして国に対して出しておいて、平和首長会議加盟都市に向けてはそういった動きを伝えて、各都市が自国の政府に同じように呼び掛けてみてはどうですかと言うことをやっていきたいです。そしてその後も交渉、進行状況に応じて必要な書簡を出すということです。決して物事の決定当事者ではありません。こういう方向で考えてもらうのがヒロシマの心、被爆者の心、そして多分間違いなく世界中の市民の思いであり、それを踏み外すことのないような対応を、為政者に少し考えてくださいと言い続けることが重要だと思っています。それが基本でありまして、その辺り、3月会議は平和首長会議の事務総長、それから(広島)平和文化センター理事長の立場を持っている小溝さんに行ってもらいまして、ここでNGO(非政府組織)とか市民とか平和首長会議加盟都市などの声を会議での議論に反映させる様々な働き掛けをし、私は会議の主催者ではありませんので、会議進行の中でこういった思いがうまく投影できるような工夫をしていく必要があるかと思います。そして6月の会議の方は、できれば私もその会議の場に行って、発言の機会を確保できないかと思います。発言の機会が調整できるのであれば、そこでの発言の基本的な骨組みは、自分とすれば、こういう基本認識の下で話すということでは時間がないのですが、今の核兵器禁止条約とNPT体制という現状と、できていないこの2つの対比は、片や理想的な核兵器禁止条約を作ることで、停滞気味なNPT体制に向けて道義的な責任を問うて追い込む、あるいは政治的に追い詰める、つまり「サボっているっているから、しっかりとやれよ」と、「やらないとこんなことになるよ」と、例え核兵器保有国が入らなくても多くの人数で「こう思っているのだから」と言って押し込んでいこうという作戦だと思われている。だから核兵器を持っている国は、そういうことをやるのだったらますますそこに行って議論をしないと、自分たちの中で物事を解決するのでという対立構造になっていると思うのです。これは今、現場で起こっている議論ですが、考えてみればそういった議論以上に私が重要として受け止めるのは、「本当に核兵器を使用してはいけない」ということ、どこかの国が議論していて近視眼的な視点に陥って、核兵器のボタンを1回でも押してしまうと何にもならないのです。議論の間は色々あっていいでしょう。そうすると廃絶すべき核兵器を使ってはいけないという規範を逸脱する国が1つでも出てしまっては何にもならないのですから、まずそれが出ない状況設定をしっかりやっていく、それからボタンを押さざるを得ない状況になったのだという言い訳をさせる状況を作らないこともとても重要だと思っています。恐らくそれが広島の基本的な立場であるべきだと思うのです。これからの国際社会における核兵器の役割を冷徹に分析して「こういうものでしょう」と、「だからどうすべきだということをもう一度よく頭に入れてください」と、そして核兵器をなくすことを実践していくためのプロセス、段取り、プログラムをみんなで作ろうではないですか、現実と理想をつなぎ合わせるための作業をみんなで土俵に乗ってやろうではないですか、そうしないと1個でも爆発すると、とんでもないことになるのだからということこそ強調すべき局面だと思います。改めて理想を実現するための現実的かつ柔軟で弾力性のある対応をみんなで考えていこうということ、その際には違いも乗り越えて共通の価値観、世界の平和、戦争のない状況を実現していくために何ができるかを言いたいと思うのです。

 先ほど申しましたように、今の政治状況は不透明感が増している、ある意味で利害調整主体の国がどんどん出てくる、これは保守的、排他的な考え方が広がっている兆候かも分かりませんが、まずそれを乗り越えるための道徳心や正義感を世界の為政者がしっかり持っていただくことを強調してもしすぎでない状況があります。そしてそれをやっても直ちに行かない現状がある中で、今申し上げた方法論をしっかり訴え続ける。ただ私自身はこのパワー・ポリティクスに対して守勢になったときにおいても、「少なくとも成功した事例もあるので、その時のことも考えてくださいよ」というメッセージは欠かせないと思っています。例えば1987年にレーガンとゴルバチョフという両国の首脳が対峙するという機会がありましたが、そのときには中距離核戦力全廃条約を合意しました。その当時の政治は正に利害調整、パワー・ポリティクス全盛期と言ってもいい状況でしたが、そんな中でも協調を保って大幅な核兵器の削減もできたわけですから、そういった中でも着実な、核兵器のない世界を目指す対応をやろうと思えばできなくもないという事実も押さえながら、この辺をしっかりと伝えていくことができたらと思っています。

その他の質問

平成27年に死亡した区役所職員の事案について

記者
 昨年に広島市職員の20代の女性が自殺していたことで、遺族の方が「過労」ではないかと労災認定を請求されましたが、それについての市長の受け止めをお聞かせください。

市長
 その件に関しましては、労災認定請求が出てまいりました。公務災害認定請求です。今言われたように、昨年の10月に亡くなっておられまして、10月以降職場におきまして、死亡した原因を知りたいというご遺族の気持ちがあり、学校を卒業して間もなく、若い方で、とても我慢強くて真面目な方だったという評価です。遺族の方は、そういう子供がなぜ死んだのか、その理由を是非知りたい、それが分からない限り納得できないということです。それで遺族代理の方とやり取りをずっとやっていました。そのための資料請求を、代理の方を通じてやってきた中で、こういう事態になりましたが、私自身は引き続き、ご遺族の気持ちに添って誠実に対応しなくてはいけないし、やりたいと思っています。どこが問題かということですが、職員がおられた現場の勤務状況がありましたので、その勤務状況に関して点検いたしまして、直ちに改善できるところはやったということで、もう1年経っていますが、過去に起こった事実がありますので、この認定請求を重く受け止めて、必要な対応をしなくてはいけないと思っています。

記者
 過剰な勤務実態とともに、職場への不満を綴った遺書も残されたと、こちらの取材では聞いていますが、その辺のところを市としては把握されているのでしょうか。

市長
 勤務実態に関しては、残業の記録とか職員がどういう業務命令を出したというものは、聴き取り調査や資料を見ていけば分かりますが、職員間のトラブルというものは、組織として認知するというより、職員同士のやり取りの部分もあったりして、必ずしも客観的に把握できていないところがあります。今までの話を私が現場から聞いての話ですが、残業時間を少し申しあげますと、亡くなられる前の(平成)26年、(平成)27年、2年度の状況で、(市役所に)入って間もない若い熱心な方ですが、担当業務が(平成)26年、(平成)27年で区役所の中で変わっています。(平成)26年は保育所の入所事務で、申請があったものを捌くための事務をされています。(平成)27年に入ると、今度は児童手当の支給事務に所管替えになっています。この事務が、業務の性格と業務の繁閑があるのですが、保育所の入所事務は、新年度から色々な人が入ってくるので、年度末に色々な手続きがあって繁忙期が年度末に重なりますので、12月から年度末にかけて仕事が増えてきます。(平成)26年の4月から11月まではそんなに残業はありません。少ないところで20時間、多くても60時間、ところが、12月からは100時間を超えるものが12(月曜日)、1(月曜日)、3(月曜日)と3回ぐらいあったという結果が残っています。そして、それをこなしておいて所管替えになっています。今度は逆に児童手当の支給事務は、年度当初が繁忙期になります。以前は年度末(が繁忙期)ですが、今度は年度当初に忙しくなるところに移っていまして、そちらの方は4月から9月までが(残業が)増えるということで、4(月曜日)、5(月曜日)、6(月曜日)、8(月曜日)とそこで100時間超えがあると、当人にとっては仕事替えをする中で忙しい所、忙しい所に張り付くという状況がセクションで起こっていたのです。同じ課の中で他の職員の事務を見ると、そこだけ突出しているということが事実としてあります。それ(業務)をやるときにチームワークを編成していまして、同僚の方がいて、その方も同じような(残業)時間になっています。その同僚とのやり取りを職員間で見ていると、職場ですから、厳しく指導する場面もあったという事実まで確認しております。ただそれが、ご両親から言われているように、娘が心を病むようなやり方であったかどうかというところまでは、客観的に把握できていません。2人のやり取りの中で、残業を2人がやっているわけですから、残ったり早朝に来てやっている中であったということもあります。その辺の事実確認をきちんとできていない中で、今それを是非解明して娘がどういう状況だったかを知りたいと、それに対してしかるべく措置をしてもらいたいというご要望だと受け止めていますので、私もしっかりとその要望にお応えしたいと思っています。

※( )は注釈を加えたものです。

<外部リンク>