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2016年07月06日記者会見「「ヒロシマから世界へ」ふるさと納税制度を活用した取組の開始について」
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市からの発表案件
【「ヒロシマから世界へ」ふるさと納税制度を活用した取組の開始について】
<会見録>
「ヒロシマから世界へ」ふるさと納税制度を活用した取組の開始について
市長
今日は、ふるさと納税に関しての我が市の新たな取組をご紹介します。皆さんご承知のとおり、昨今、ふるさと納税に関しましては、高額な贈答品等、競っているように自治体間の競争が過熱するというようなことがありまして、どうするかということが取り沙汰されているという状況が一つありました。
また、そういった中で、この度、オバマ大統領が広島訪問されまして、これを契機に「被爆の実相を守り、広め伝えていくこと」すなわち広島の、この平和の思いを共有していただいて、多くの方が、お一人お一人、平和の思いを世界に広めていくという取組を、どうしたらいいかという問題意識がございました。この二つを一緒にできないかと考えまして、この度、ふるさと納税の意義にも立ち戻りながら、納税ということと、平和への思いの共有ということを、結び付ける取組をやってみたいなと思い立ったわけです。この「ヒロシマから世界へ」というスローガンを掲げまして、いわゆる新しい納税の取組を、スタートさせたいと思っています。
今日、こういう説明を設けましたのは、「なな、なな」(7月7日)、明日から受付を開始したいということで直前、駆け込みでお話しをするということにしたわけです。この寄せられる、ふるさと納税ですが、使い道を次のように考えていきたいと思っています。
まず、これによる納税ですが、原爆ドームの保存事業等の基金に積み立てます。そうすれば、既に、この保存事業等基金という受皿の中で、例えば次世代である若者を広島に招いて、平和の思いを共有してもらうという、若者を中心とした、交流活性化の支援にも使えるようになっていますし、それから被爆建物とか被爆樹木の保存継承にも使えます。更には、平和記念資料館の劣化防止と、いったことに使える器を用意していますので、個々に充当していくと、事業の費用充当ということを考えています。
そして、この「ヒロシマから世界へ」という形での、ふるさと納税をやっていただいた方への贈答品といたしましては、納税していただいた方全員に、被爆体験証言のDVD、それと平和宣言をお送りしたいと思っています。また、その資料、お手元にありますとおり、一枚目のオバマ大統領にも贈呈いたしました、平和記念資料館の図録です。これは、お配りしたいです。それから、その他、平和の実相、被爆の実相を伝えるための図書です。それから、原爆の子の像に捧げられました、折り鶴再生による製品です。こういったものを納税額に応じて贈呈するようなことをやりたい。
平和への思いを日頃から持っている方については、うんと深まるということ、そういう状況、世界状況にありますが、ご縁のない方は、とんとご縁がないということも、まだまだあるわけです。被爆の実相を知っていただいて、ちょっとでも広島の思いを受けていただくために、あらゆる機会を通じて広めることを考えるのが、これからの大きな課題と思っていますけども、この度、ふるさと納税の意義に立ち戻った納税制度の在り方に結び付けてトライしてみたいので、是非とも、こういった取組を皆さんに周知していただければと、敢えて記者発表の形で報告させていただいたのです。よろしくお願いします。
記者
今回の改めて、取組を始められる意義について確認しますが、冒頭の部分で、自治体間の競争が過熱しているっていう部分に触れられたと思うのですが、こういったことと、一線を画したいというか、そういった思いがおありということですか。
市長
もちろん、そうですね。納税制度というのは、本来は、いわば自治体に即していえば、国民が、自分たちが住んでいる地域を共通事項として考え、きちっと調整してもらうための財源を、どう確保するかといったときに、いわば各市民に課せられた義務です。責務なのです。それを、自分たちが住んでいるエリアに税金を投入するのだったら、分かりやすいけれども、離れた地域にやるときに、何か工夫はないかということで、「ふるさと納税」が始まったので、その発想自体は、決して、「良い」「悪い」という話ではないのですけども、それをより、助長していくためということで、その納税した方に、いくらかプレゼントを、あげるという仕掛けもいいですよということは、認知された中で、そのプレゼントの方に、どうも地域の産業振興という、もう一つの理屈がうまく付くものですから、その対価が、どんどんどんどん、エスカレートします。エスカレートすること自身も、自治体とすれば、地域の産業振興にもなるという、また、いい理由付けもありましたので、なかなか、歯止めが掛からないという状況だというのは、昨今の状況だと思うのです。
そこで、そういった物で争うのではなくて、この地域の熱い思いを伝える、額にそんなに問題になるわけではなくても、思想と言いますか、考え方を伝授する、それに共鳴するという形で納税もあっていいじゃないかと。金目に引かれるのではなくて、思いに引かれて、地域を越えて納税するという、そういうやり方もあるのですよ、ということを明示的にやることで、そういったことについての、ちょっとしたクーリングと言いますか、冷静な判断をするきっかけにもなるのではないかなと思いながら、もう一つ、オバマ大統領が見えて、ああいった形で広島が、世界に名を馳せたわけですけど、その裏付けとなる平和の思いっていうのは、どんなんだろうということを知りたいと思っている方も、きっと増えているに違いない、そして、あらゆる手段を通じて、その思いを伝えることを、これからしっかりやっていくということも、大きな課題ということがありまして、この二つの課題を一気に解決する方法として、どうかと思ってみたということです。
記者
確認ですが、これは使途が新しいのか、贈答品が新しいのか、どちらでしょうか。
市長
贈答品は、今まであるものですから、発想が新しいというか。
記者
使途は今まで、平和に関する事業に使ってくださいっていう、メニューはあったのですか。
市長
ありますよ。もちろん、あったものを、こういう形で配分すると言いますか。例えば、私は、これは今まで、市に来られた外国のお客さんとか、もちろん、国内でも平和に関心があって、市長訪問するというふうに来られた方に手を変え、品を変え、いろいろな物を渡し、必ず、平和宣言とそれから、とりわけ外国の方々には、平和市長会議への参加申込み用紙まで、「宿題だ」と言って、お渡ししてきています。
そんな中で、広島へのふるさと納税ということを思いつくときに、もちろん、広島の産品が欲しいから、広島をそういった故郷として、愛して、納税したいという方もおったときに、その方にあえて、「広島の平和ということに共鳴して、納税するコースを作ったのですけど、どうですかね」という問い掛けをするという意識で作ったということです。
記者
なので、使途をこういうメニューで作りましたっていうのは、7日からということなのですか。
市長
7日から受付をします。
記者
これまではなかった。
市長
もちろん、このコースで初めて。
記者
そういう、発案をされたのは、市長がされたのですか。
市長
市長がされたということです。アイデアとしてです。皆さん、一生懸命やってくれました。考えてやりましょうということです。きっかけは、法人の納税ができることになったので、そんな、改正するのだったら、もう一回、今やっている納税方法で、もっと我が市が、皆さんから、「あっ、すごいな」と思われるような方法を、ちょっとないかという議論から思いついたのです。
記者
目標っていうのはちょっと、そぐわないかもしれないですが、大体どれくらい、何口というか、1年でどれぐらい目指したいなというか、そういったのはありますか。
市長
現段階ではありません。まず、このやり方そのものに、どの程度の共感が得られるかということを知りたくて、異例の記者発表です。こんな形で皆さんに宣伝するなんてないですけども、ちょっと、こういう形でも取り上げていただかないと、その存在が目立たないと思います。
これは実際、最近、外国の要人の訪問とか、リオデジャネイロのオリンピック開催とかで、折り鶴の活用についてとか、この中にもありますが、いろいろなアイデアを頂いたりしながら、これ活かせるなということで、色々なところでトライしていますが、なかなか、いろいろな障害があって、思ったとおりにいかないのは事実なのです。私は、そのときの一番の障害は、折り鶴、広島の平和の思いというものを、自分自身は、ノンパルチザンということで、政治的な色合いを抜きで、多くの方に共有してもらいたいということで、やっているのですけども、どうも、この平和問題になると、政治的な色合いというものは、どうも多くの方から払拭できないらしいのです。
そうすると、こういった折り鶴を提供するとかいうことも、広島は、そう思っているのかもしれないけども、「外から見たら、必ず政治的なパフォーマンスなのだから」ということを言われて、アイデアが、なかなか成就しないってことに、何度かぶち当たっていまして、そういったことですので、本当に広島、そういったこと(政治的な色合い)抜きで、この思いを発信するということを、あらゆる機会を捉えてやっていますということを、是非、広めていただきたいということは根底にあります。
記者
使い道についてなんですけど、納税されたものの、平和への活動をしているNPO団体さんとか、そちらに使うという使い道などというのも検討されていたりはしますか。
市長
もちろん、税金ということですか。これは納税していただく方に、これをプレゼントするということで、個々の納税意識と平和の思いってものは、決して、水と油じゃなくて、広島というものを介在させると、うまく機能するのですよってことを、お示しするための方法論としてこれを提示しました。ここに取り上げている、差し上げる贈答品など、NPOの方などが使いたいというのであれば、それは、また別途提供します。
記者
その納税をされて、頂いた納税金の方を、被爆の建物などに使うこととプラスして、他のここに書いてある用途以外に、NPO団体や平和活動をしている方への寄付なども考えているのかなということを、お聞きしたいのですけど。
市長
いやいや、納税される方に対してのふるさと納税っていうものは、いくらかの対価、値打ちあるものを納税された方に返していいよという仕掛けができたと。その送り返す材料として、今までは、多くの自治体は、その地域の特産品とかいうものを送るということで、ふるさとと結び付けて、納税というのをやってきた。ところが、その値段が、段々高価にすることで、自治体間の競争に入っているという状況があるので、その見直しをした方がいいのじゃないかという議論が起こっている中で、我が広島は、その値段を争うのではなくて、お返しする中身について、広島固有のものを感じ取っていただくものをお出しするから、是非、納税してくださいという、新しい構想を作っていますと申し上げています。
そして、頂いた税金については、実は、平和に向かう使い方をします。ここにあります原爆ドーム保存事業等基金、そこに投入することにします。基金は受皿として、既に、次世代の若者を招いたりすることにお金を使うという使命を決めていますし、それから、被爆樹木とか、被爆建物の継承保存もやります。建物劣化とか、そういったことにも使う。
まさに広島の被爆の実相を守り、広め、伝えるための事業展開をする基金を設けていて、頂いたものを、そこに投入するから、平和尽くしで、こういった仕掛けを組立直してみたのですけどもいかがでしょうかってことを皆さんにお知らせしたいということです。
記者
納税の使い道として、今、三つここに書いてあるのですけど、それ以外で、今後、取り組んでいくようなことはありますか。
市長
ここで申し上げた「被爆の実相を守り広め伝える事業」というものに該当するということで、新しい運営方法が、これから出てくれば、それに充当するということは、十分考えられます。
記者
ちょっと単純な質問で、何で、7月7日から開始なのか。
市長
七夕だから、ただ偶然というか、「なな、なな」(7月7日)がいいだろうということで合わせてやりました。特に深い意味はないのですけど…。
※( )は注釈を加えたものです。