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ページ番号:0000013076更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2016年04月21日記者会見「多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会5月会合への出席等について」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

【多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会5月会合への出席等について】

<会見録>

市からの発表案件

多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会5月会合への出席等について

市長 多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会5月会合への出席等について説明させていただきます。お手元の資料を御覧下さい。

このたびは、国連欧州本部での開催が予定されております「多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会」5月会合への出席等を目的にいたしまして、4月30日から5月5日までの6日間の日程で、スイス・ジュネーブ市を訪問いたします。

この公開作業部会では、今年の秋の国連総会への勧告と報告の提出に向けまして、前回の2月、そして次回8月に予定されております、中間に位置付けられての会合ということで開催されるものであります。

今年2月の公開作業部会におきましては、現存する核兵器のリスクに関連する透明性確保のための措置が、一つ議論のテーマになっておりまして、二つ目は核兵器が爆発するリスクを減らすための措置、核兵器の爆発については、偶発的なものもあるし、誤認もあるし無許可あるいは意図的と、様々なシチュエーションがあるんですけども、爆発するときのリスクを減らす措置ということ。それから三つ目に、核兵器の人道的影響の複雑性とか相互作用についての認識とか理解を深めるための追加的な措置(は)、こんなことがあるという議論をする。

それと併せて法的な措置、あるいは法的な規定・規範、そういったものについての取扱い、そんなことの議論が2月にありましたけども、今回の会合では、そこでの成果を踏まえながら、今言ったテーマに更に加えて、多国間での核軍縮交渉を前進させるための道筋、更には21世紀の安全保障その他における核兵器の役割ということを考察するといったようなテーマ設定を追加いたしまして、更に議論を深めるものになっているようであります。

その会合についての私なりの考えですけども、今回の会合も前回と同じように、核兵器を持っている国の出席がなかなか見込み難いのではないかと思うんですけども、問題は参加した各国政府が法的措置についての議論を、どこまで前進させることができるかという、極めて重要な位置づけになっていると思います。

その際、議論の進め方について、重要な位置づけになる会合なんですけども、ここでの議論が、核兵器を持っている国と非核保有国との対立構造の下での議論展開ということではなく、できるならば、核兵器を持っている国、持っていない国双方が、まずは全ての人々が願っている、核兵器を最終的にはこの世からなくすという目標を、双方がしっかり堅持するということを前提にしながら、それに向けて具体的かつ現実的な前進を図れるようにするためにどうしたら良いか、という議論が展開される必要があるのではないかと思います。

そういう会合でありますので、今申し上げたような会合にならないかなという気持ちを込めて、そのために、平和首長会議の会長として、あるいは広島市の思いを訴えるために、直接会議に出席すべきではないかと考えたわけであります。

出席しての訴えをするということでありますのは、どんな発言をするかということをしっかり考えているところですけれども、発言の骨子と言いますか、要素として何点かご紹介いたしますと、一つご紹介する事案を皆さんに言って、そこから引き出せる結論もまずご紹介しようかと思うんですね。それは皆さん承知のとおり、先般開催されたG7外相会合におきまして、最大の核保有国である米国のケリー国務長官が、広島を訪れて被爆の実相というものに直に触れて発言されたこと、すなわち「核兵器のない平和な世界を作るために私たちが尽力しなければならない責任を思い起こさせてくれた。」と発言されましたけど、私はこの発言をしっかり受け止めたいと思うんですね。この発言をしていただいたということを通じて、核兵器を持っていない国だけでなく、核兵器を持っている国においても、そこにおける為政者の立場として、間違いなく核兵器のない世界を実現したいという思いを持っている方もいる、共通の思いを持ちうるんだということを信じたいと思うんですね。

核兵器を持っている国だって、そう思える素地があるということをまずしっかり踏まえようじゃないかと言いたいと思うんですね。その上で、世界の為政者は、今NPT体制に各国入っているわけですから、そのNPT第6条に基づく核軍縮に向けて取り組む義務があるわけです。それを第一義とすることを皆さん頭に置いてくださいということを言えればなと。そして、核兵器廃絶という共通の理想に向けて、確実にこれを推し進めるということ、明確な方向性を合意するということ、その合意とは、やはり各国為政者、リーダーシップを発揮する中でその合意が形成されるということを、皆さんに再認識すべきじゃないかと訴えたいと思うんです。

その際、合意形成に役立てるものとして、まず被爆の実相を、ヒロシマの思いを実感していただくということがあると、そういったこと(合意形成)も進むのではないかという気持ちも込めて、手段として、改めて広島と長崎という被爆地を訪問してくださいということも言えないかなと思うわけであります。そんなことを折り込んだ訴えをしたいと思います。

その他、サイドイベントとして国連に被爆樹木の苗木を贈呈いたしまして、このヒロシマの思いも、改めて目に見える形で、皆さんに認識してもらえるようにすると同時に、国連、各国政府関係者等にも個別に時間があれば意見交換を行うということをやりたいと思っています。

それともう一つ、(公開作業部会に)行っての訴えをやる準備といたしまして、平和首長会議加盟都市の共通の思いということで、今言ったようなことを公開書簡としてまとめておりまして、今週中にでも国連加盟国を中心に関係のところに送付したいと思っております。会合においても、この書簡を改めて配布して、平和首長会議会長、あるいは広島市長としての思い、訴えを伝えるような対応をしていきたいと思ってます。以上が今回の出張の概要になります。

記者 資料の方では、核兵器の法的禁止に向けた動きをさらに加速するよう要請するというふうに書いてありますけれども、今、市長のご発言の中ではその点に触れられなかったのですが、発言の中で当然触れるのでしょうか。

市長 もちろん、それをメインにします。それを補強する論理構成といいますか、どんな訴え方をするかと申し上げました。

その他の質問

オバマ大統領の訪問について

記者 オバマ大統領の広島訪問について、また、かなりの報道が出ておりますけれども、先日の会見でも未来志向でぜひ来てほしいという趣旨の発言があったかと思います。もちろんそれは、広島市長としての立場として理解しているのですけれども、一方で様々な意見もあるということを踏まえておっしゃっておりました。当然被爆された方の中には、つらい思いをしたというところで謝罪はしてほしいと、そういった思いを抱えていらっしゃる方も、そういう声も一方であるのは事実だと思いますけれども、逆に未来志向ということを市長の立場でご発言されるのであれば、そういったやはり謝罪とかを求めたいという感情がどうしてもあるような被爆者、あるいはそのご遺族といった方に対しては、広島市の代表として未来志向ということをおっしゃるのであれば、市長の立場として、そういう被爆者の方のそういった思いに対してはどのように向き合いたい、どういうふうにそういった方には言葉をかけたいかということを。

市長 私自身は、多大な人的・物的犠牲を強いるという結果を招いた行為、原爆投下という行為、それを行った、人、国(が)いるわけですから、その方を責める、要するに、なぜこんな焦土にしたんだということで、第一義的にそういった方に対する非難といいますかね、なぜ、そういったことを詫びないんだろうという気持ちはものすごく自分なりに理解しているつもりであります。

しかし、他のところで言った事があるのですけれども、そういった行為(原爆投下)が行われたのは70年を超える前のことでありますね。直接そういった行為をした方々は今もういないんですね。ですからその直後であればそういった気持ちの方が勝って、まだ当事者も生きてますからね、責任を追及する、その気持ちがあって当然でしょう。私も他でも言いましたけれども、地元にいた頃、高校ぐらいのあたりにまだ(当事者が)おられたと思うので、その気持ちは間違いなくありました。

しかし、そういった気持ちを受け止めて、今後対応していこうとなったとして、それが、未来、これから後についてどういうふうな問題を起こすか、あるいはどういった展開をするんだろうというふうに考えたときに、恨みつらみを残して、謝った、謝らないという議論をやり続けるということが、本当に、直接の当事者、それからそれを引き継いだ次の世代、さらにまたその先にも繋いでいかないといけない時に、どこかでそれを乗り越えなきゃいけない時が必ずあるはずなんですね。それをいつやるかということに、今はなっているのではないかと思っているわけです。

その思いを決して無視するということではありません。そういった思いを持ちながらも、それを一人一人が乗り越えるということをやろうではないかと、ぜひやりましょうということを申し上げてきているつもりでありまして、それが、私は慰霊碑にあるあの碑文に全て込められていると、だから、あの碑文を我々のものにしましょうと申し上げているつもりなんですね。一部の意見では、日本語で読むと「過ちは繰返しませぬから」の主体が分からないと。だから、というご意見があるのもよく知っています。だからこそあえて日本語で出てない主語を、英訳するときに「We」、「我々は」と、関係者集めて乗り越えようじゃないかと言っている。あの碑文を理解するということで、皆さんのそういった気持ちを昇華すると、乗り越えるということをやっていただきたいなということを言っているつもりですし、今みたいなご質問があればその点をしっかりご説明して、今後の平和というか、ヒロシマの思いが世界中に行き届くようにするということをやりたいなと思っております。

記者 オバマ氏の訪問に関係してなんですけれども、そもそも、かなり伊勢志摩サミットが近づく中で、各社報道の中で、もう訪問の方針を固めたという報道があったんですけれども、市の方にそもそもオバマさんがですね、来るという趣旨の予告がアメリカないし日本からあったかどうか、それがない状態でも例えば先遣隊とか警備の関連で何かこう準備を促されたようなこととかはございますか。

市長 今段階ではありません。

記者 全くなし。

市長 全く来てません。

記者 前回、先遣隊のことでちょっと会見で触れられたんですけど、あれは報道を見て、そういうのがあるというふうに。

市長 直接こちらへの公式なお話があったというのは一切ありません。

記者 オバマ大統領の訪問に関してなんですけれども、これも報道ベースなんですけども、アメリカ国内の有力紙のワシントンポストであったり、ニューヨークタイムスとか、アメリカの有力紙も広島に被爆地訪問するべきだという、アメリカ自身の世論もそういう被爆地に行くべきだとなっているのかと思われるんですけれども、そういうアメリカの動きについてですね、思いというか、世論が変わってきているんじゃないかということについての、市長の受止めを聞かせていただきたい。

市長 アメリカ全体の世論がどうかってことは、私自身、正確に知るだけの情報を持ってないので、世論の変化っていう意味でのお答えというと難しいと思うんですけど、ただ、今言われた新聞の論調ですね、見させていただく中で、先ほど申し上げましたように、戦争当事者としての恨みつらみですね、そういったものを乗り越えて、未来志向、むしろ今後、そういったことを二度と起こさないとすることこそ重要であって、その決意を固めるために、広島に来てみていかがですかという、広島のずっとやってきていた主張ですね。それについての理解が、確実にあのアメリカの地で、芽生えているというか、それの証拠だというふうに受け止めたいですね。

ですから、それに対するさまざまなご意見があることも承知しています。いろんな方がおられますし、広島がいろんな思いを乗り越えてきて、今の考え方をみなさんにご紹介して、むしろこれから将来に向けて物事を良くしていくために、核兵器のない恒久平和な世界を作っていくために、広島はこう考えているんだと受け止めていただいて、それなら広島というところに行って、そういったことを言う都市がある、そういうことを言う人々がいる、そこで接して、自分たちのそういう世界を目指そうということを、やってみようじゃないかという、それを肯定する考え方が確実にアメリカにあるということは、非常に私としては喜ばしいことですね。こういった形で良い関係が、これから築かれる前兆になればなと思います。

記者 まだ広島市に正式な話はないということなんですけれども、そうは言っても(伊勢志摩サミット開催まで)もう一カ月となってくると思うんですが、その中でもし決まった場合に、その準備を進めていく上で、今ある部署で対応していくのか、また、そういったチームを作ってやっていくのかということや、その準備態勢が決まっている範囲で、急に決まった場合準備をしていくということになると大変だと思うので、何か動いていてらっしゃることがあるのであれば、具体的に教えていただきたいんですが。

市長 正直言って今具体的な動きがあるわけではありません。ただ、もちろん皆さんご承知のように、今言ったような状況がありますので、決まればということを念頭に置きながら、幸いというか、G7外相会合で、一定のチームを組んでおりましたので、4月の異動等で異動した方がおりますけども、そのフレームワークというか、そういう対応したという実績が直前にありますのでね、それを再稼動するといいますかそれがもしできれば、比較的短期にかつ効率的に準備ができるんではないかというぐらいのことは考えています。

記者 もし、決まった場合のことになるんですけれども、広島として「おもてなし」といいますか、これだけはオバマ大統領にやってもらいたいといったことは、何か考えていらっしゃいますか。

市長 外相会合のような形での「おもてなし」はないんじゃないでしょうか。伊勢志摩サミットメインで来られて、こちらに立ち寄るという日程でしょうし、一日ずっとおられるかどうかも分からないんじゃないでしょうか。だから、もちろん「おもてなし」という意味では、安全安心ということを確実に確保できるということをやった上で、実際に訪問していただく。平和記念公園、慰霊碑、資料館、それからもし、チャンスがあれば、被爆者の方との面談、そういったことが考えられるわけですから、そこで、向こうの体制によりますけども、どこまでそういった我々の思いをちゃんと受け取っていただけるかと、そのための、もちろん向こうに合わせてになりましょうけども、可能な限りの対応するということが、今回の場合の「おもてなし」になるのではないかと思います。

記者 現段階で、松井市長として、訪問の実現性というのは、どのくらいあるというふうに捉えてらっしゃるかっていうのと、市議会の方で、今日要請文を発送するということでありましたけども、もう過去5回送られていますよね。現時点で更に、何かしらのメッセージをあちら(アメリカ側)に伝えるっていうお考え(がある)かっていうのをお願いしたいんですけども。

市長 見通しとして、自分自身判断しかねて、ただ、皆さんがこういった質問をされるぐらい気運は高まっているんじゃないかという受け止めはしています。具体的な要請に関しましては、もう今まで自分としてはやり尽くしていると言いますか、今申し上げたようなことをしっかり頭に置きながら、来ていただくための準備はやり尽くしていると思いますので、もし受け止めた側で国内事情とか、いろいろあるでしょうと、それらを是非うまく判断していただいて、つつがなくと言いますか、無事にいろんな意味を込めて、この広島訪問が意義あるものにしていただけるようにしていただきたいということを願うばかりであります。ですから、私の対応とすれば、あとは結果を待つと、静かに待つということにしたいと思ってます。

記者 もしオバマ大統領が来るとなったら、当然被爆者の話というか、ケリー国務長官、G7のときも被爆者の話はなかったんですけれども、当然被爆者の話も、もちろん聴いてほしいというスタンスで市としてはよろしいでしょうか。

市長 そういうことは向こう(オバマ大統領)との間で確認するということは必ずしたいと思います。

記者 先程おもてなしの話の中で、外相会合の もある中で、資料館、慰霊碑、できれば被爆者の話と、今回逆にオバマ大統領がスピーチをしたいという思いがあるような報道もあるんですけども、そういう希望がある場合も、どこかの場所で公衆を対象に、そういうこと(スピーチ)ができるような場を設ける努力はしたいと(思いますか。)

市長 ご要望があれば準備しなければいけなくなると思います。今まで言っている中身は、広島の地に来て、被爆の実相を見ていただき、ヒロシマの心に共感していただいて、その上で為政者としてリーダーシップを発揮すると、核兵器廃絶、恒久平和に向けて、その決意表明をしていただくということが一番望みですということを申し上げておりますから、その決意を込めた表明をこの地でやっていただくのであれば、そのご要望に応じて準備するというのが「おもてなし」という対応の中で重要になると思います。

熊本地震への支援等について

記者 熊本の地震の支援の件なんですけども、職員も派遣されていまして、今応急的な対応の段階だと思うのですけども、今後恐らく中期的・長期的な支援を、これだけの規模ですから必要になってくると思いますけども、この支援ということに対しては、熊本市中心になるかとは思いますけども、どのように対応されていくお考えですか。

市長 この支援体制は本当に、熊本の地で起こっている大災害ですけども、日本国中の方々が注視していて、皆さん本当にご支援しなければいけないと受け止めておられると思ってます。我が市も、市としての対応を決めるときに、全国の市長会という構成員の立場と、政令指定都市の市長会のメンバーであるという立場でありまして、そういった関係市町と一緒になって被災地支援をするといったこともやってまして、そんな中で、昨日も職員90名近く派遣しましたけども、いざ行ったときに熊本市内のどのエリアを担当するかということも政令指定都市の中で調整してそれぞれが役割分担を持ってやるということ、そして長期に渡るということですので、行くとしても輪番といいますか、いつからいつまではどこどこへ入って、次はどこへ入る、そういったことを関係者の間で調整してやるということをやっています。

具体的にはその調整の中で決まってくるのでここでは申し上げにくいのですけども、いずれにしても関係する都市が、地元の支援が効果的に行われるように、かつ行った人間がそこで地元の活動をかえって不便にするということがあってはなりませんので、地元との連携を図りながら効果的に動けるような手配をしたいと思っています。ですから、派遣の人数であれ、派遣の期間であれ、どういうタイミングで入替えをするか、所管するエリアを市の、あるいは関係市町の機能のどこを補完するか、そういったことをしっかり調整しながら、これまでやってきていますけども、これからもやっていくと、事態の変動に応じて、動きに応じて適宜対応するということでやっていきたいと思っています。

記者 もう一個、今回の地震で指定避難所に被災された方々が来なかったり、車の中で避難したり、また、行政側の人手不足というところもありまして、ニーズが把握できなかったり、物資が届かなかったりっていう事態がありますけども、広島に置き換えても、多分そういう、なかなか今回のようなことっていうのは想定して作られていない部分もあるかと思いますけれども、今後いろんな検証が必要になってくると思いますけども、市に置き換えては、どのようにビルドアップというか、体制の強化っていうのにつなげていきたいとお考えでしょうか。

市長 少なくとも、いろんな意味でまた想定を超えた事態だという言い方になっていると思うんですけども、今までの例えば、ビルのあるいは建物の耐震構造も、大きな地震と言いながら、やはり一過性の地震を想定した耐震構造であるということが今回明確になりました。一度大きな震度を受けて、とりあえず見た目は障害が残らなかったり、そこに第二波、第三波が続けてくると、一回目の振動がボディーブローで効いてて、二回目でいとも容易く倒壊するとかっていう事象が出てきますので、そういった連続して起こる長期にわたって、起こるような地震に耐え得る耐震構造というようなことまで、今まで考えてなかったから、そういったものについて、見直しを必ずやっていくということになろうかと思います。

それと、今言われた被害状況とか支援体制も、一過性の災害でありますから、そういった場合に、広島の土砂災害でも経験いたしましたけども、災害の起こったあとに、支援をするための道路を確保するということを課題にするということが多かったんですけども、今回、その救援するための道すらなかなか確保できない、まだ大地が揺れていますからね。そうしたときに、被災者の把握というのは、一定程度事態が落ち着いたあとで、早急かつ合理的にやるということ以上に、まだ危ない状況の中で、つまり、色んなものを調べにいく、救済をしなきゃいけない方々もまた危険な目に遭うということも、考慮した上でのそういった調査体制、支援体制っていうものを組み直すということも出てくるというふうなことが今回明らかにあったわけです。そういう意味では、今までの支援体制の足らざるところを、必ず持続型の長期にわたる様々な障害が起こる場合の現状把握、支援体制、そういったものについての見直しが、今回の事例で必ずややらなきゃいけない、ということになったんじゃないかなと受け止めています。

広島市の建築物の耐震化について

記者 広島市の中で、建築物の耐震改修促進計画っていうのは、2009年の3月に策定されて、2015年度中に90%にするという耐震化率を目標にされていたかと思うんですが、それも15年度で終わって、16年度が計画としては切れているという状況のようなんですけども、そうすると、そもそも90%に到達したかどうかも含めて、今後、官民、公共施設、ホテルとかも、そういった自治体の庁舎以外とかも全て含めてのことだと思うんですけども、今後、一波ではなくて二波・三波(の地震に耐えうる耐震化)を含めた耐震体制を、もっと立て直して整えていくというような、そういうことになるんでしょうか。

市長 正に今言われたご質問は、今回の事案と、改めて、耐震化をしっかりやらなきゃいけなくなってますよという啓示だと受け止めたいと思うんですね。耐震化をする場合に、大きく分けて、公的な公共施設と民間の施設ということで、整理してますので、それを引き続きやるということになろうかと思いますけども、まず公的な施設に関しては、結論とすれば、耐震化のスピードを更に加速するということをやらなきゃいけない。今までもやってきておりますけど、一層スピードを加速して耐震化するということでやります。そして、100%を目指す必要があると思います。これが基本的な考えですね。

民間の方は、こちらがダイレクトに手を掛けるということができるものが少ないわけでありまして、今までのやり方からすれば、まず、耐震性の調査といいますか、自分たちの建物がどれほどしっかりしているかどうかを、まずしっかり把握して、そして、その中で必要性を認識したら、耐震化に向けて費用を掛けてやってくださいと。その費用っていうのは、掛かりますからね。それらを補助制度を使ってやると。もちろん耐震化の診断のときにも補助っていうのをするようにしてますけども、建替えのときの補助というのもやると、こういう枠組みでやってきてますね。

そして、今言われた実は民間についての建物の計画は、平成27年度までの計画になってるものですから、ちょうど(平成)28年度からまた(平成)32年度まで5ヵ年ですね。この計画を策定するという作業をしてます。これを今年の4月末を目途にやろうということを今やってきている中でありまして、そんな中で今までの流れの中で、耐震化率を8割を超えるということで今きておりますので、これを高めて9割台にするという目標設定にいたしまして、そして、先ほど申しましたように、耐震補強とか耐震改修工事の補助ということ、特に不特定多数の方々を迎え入れる大規模な施設について、補助制度を創設するということをしっかり、この計画の中で明らかにするということをしたいと思います。そのほか、家屋が倒壊したら、そこの中にいる人プラスですね、倒壊したときに物資の運搬とか人の移動等をやる道路を閉鎖するということが起こったりするというのがまたありますので、主要な道路の沿道にある建物について、必ず震度に耐え得るかという診断を義務付けるとし、かつまた、そういった診断をするのであれば、多少でも補助してあげてでも、徹底すること、そういう意味ではこの補助制度も創設するというようなことを明らかにしたいと思ってます。

それから、個々の住宅があるんですけども、これについては、耐震の程度についてどうしましょうかとかいうときに(費用が)掛かるので、それから、戸数が多いということもありまして、具体的な改修工事までは補助がいくというのは、ちょっと足止めしてたんです。つまり、設計費のほうまでは、ちょっと補助するということで続けてたんですけども、改めて、耐震の改修工事についても補助するというようなことを復活というか、予算規模等考えて、ちょっとこちらの補助制度を止めておりましたので、改めて耐震化促進のための補助をやっていこうということにしております。いずれにしても、官民挙げて、我が地における建物の耐震化を急ぐということを明確に打ち出し、確実に実行していこうと思ってます。

記者 公共施設の(耐震改修)100%(にする)スピードを上げてというのは、具体的な何年度末までといったそういうふうな考え方はお持ちでしょうか。

市長 年限は、ここではまだちょっと言ってないんですけども、国が基本計画を立てているときに南海トラフの計画を立てたときに、(防災拠点となる公共施設の耐震化を)平成35年度までにということで掲げているんですね。だから、この計画の中で、今の気持ちで言えば、なるべくこれは前倒しできればなという気持ちはあるんですけど、そうなってくると、(市も平成)35年度までに100%を目指すということで、やってきております。

記者 前倒しの幅というのは、どのくらいの幅ですか。

市長 それは予算規模等が今すぐに出ないものですから、気持ち可能な限り早められればということで今考えております。

記者 あと、今の官民でというところで、当初予算の中で既に織り込まれている話と、今回の震災を受けて、追加で6月議会なり、追加で予算措置として必要なものがもしあるとすれば、どのくらいの規模になりそうでしょうか。

市長 そこまで計算していません。今申し上げたようなのをもう一回チェックして、同時に民間の方は、4月(末)までに計画を作り直しますから、その中で一定の数量的なものは測定で計算できますので、それを踏まえてどの段階で予算措置するかと、これも今言われたように可能な限り前倒しでやるということを念頭に置きながらやっていきたいと思います。

旧理学部1号館について

記者 今建設委員会でも出ていると思うんですが、(旧)理学部1号館の市民アイデア募集の結果で、保存を求める声が全部なり、一部なり、7割強ありました。解体、全部解体は20%くらいなんですが、それについてどう受け止められているのかというのと、活用策では博物館というのが一番目立ったわけですけど、その辺を含めてどう受け止めているか。

市長 皆様からいただいた意見はまず、これは旧理学部1号館の建物を今後どうするかというものを考えるときのベースにはしたい、というふうに思いました。そういう意味で、今のところいただいた意見をベースにすれば、なにがしの形かで残すと。残すやり方をもう少し精査する必要がありますけども、残すという方向がいいんではないかと思いました。残した上で、かつ有効活用という考え方の中で、その施設にどういう機能を付加するか。博物館というのもありますので、これもちょっと考慮しなきゃいけないかなと。それだけではもったいないわけでありますので、もったいないというか、元々あそこが「知の拠点」というようなエリアの中の設定でありますし、それから広大ですね、大学、まさにその「学問の地」でありますので、そういったところとの連携も考慮しなきゃいけない。実際使い方等についても要望をいただいています。ですから、そういったものを加味して、できれば被爆建物としての意義付けをきっちり発信できるようなものとするということをベースにしながら、もう少し複数機能、多機能化した施設群があそこにできればいいんじゃないかと今思っています。具体的にどうするかは、皆さんの意見を踏まえて、もっと広く議論した上で決められればと思います。

記者 広く議論するという意味では、有識者とか大学関係者の懇談会の設置を(する)予算がついてたと思うんですが、開始の目途は今たっていますか。

市長 具体的にいつかはまだ決めてないかな。ちょっとまだ日時は決めてませんけども、議会報告をいたしましたので、少なくとも、間違いなく年内には立ち上げますけども、もうしばらく時間をいただければと思います。人選等もしなきゃいけませんしね。

※( )は注釈を加えたものです。

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