本文
2016年03月17日記者会見「サッカースタジアムの建設について」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>
市政記者クラブからの代表質問
【サッカースタジアムの建設について】
<会見録>
市政記者クラブからの代表質問
サッカースタジアムの建設について
記者 3月3日にサンフレッチェ広島の久保会長が旧市民球場跡地にサッカースタジアムを建設する独自案を発表されました。この案を受けてのその後の県・市・作業部会の対応についてお聞かせください。
市長 まず、3月3日に久保会長が個人の見解ということでしょう、発表されたサッカースタジアム建設案については、現在、作業部会として検討している内容と比較いたしますと、まず収容人数等について前提が異なっていますし、整備費の基礎となる仕様の内容等が明示されていないものですから、そういった点についての確認をした上で比較しないといけないという思いでいます。
そういう意味では、現在、サンフレッチェの建設案の詳細について、作業部会とサンフレッチェ広島との間で確認作業をやっていまして、早急にその作業をまずは終えたいと思っています。
記者 サッカースタジアムの建設について、三者会談で3月末には一定の方向性を示すとこれまで言われていますが、現在の開催までの見通しについてお聞かせください。
市長 この3月末という日付なんですけども、直近は、昨年の1月に知事、商工会議所会頭、県サッカー協会会長との四者会談で、平成27年度末までに建設候補地、事業主体など一定の方向性を出すということで合意をしたというものです。
また、自分なりに合意することの必然性を感じたのは、この前の議会でも、議員とのやりとりでも、皆さん明らかになったことをご承知と思いますけれども、もともと旧市民球場跡地の問題についての議会、理事者、我が方とのやりとりについては、イベント広場にするということに議会も意思決定していたということを、当時の市議会議長であった立場で言っておられます。
そういう中で、市議会として検討委員会をつくってイベント広場にということを決めていたという状況がある中で、市長になって、決まったことがなかなか進んでいないという立場での指摘をされました。「小田原評定(長引いて容易に結論の出ない会議・相談)だ」というようなことをずっと言われ続けているわけです。私は、そういった意見もあるけれど、議会の中での議論も必要だという意見を踏まえて、四者会談をお願いする中で議論してきて、早くやらないといけないという要請もあるということで、年限を区切ってやってきているわけです。そういった意味での重みのある期限だと思っています。
そういう中で、現在は作業部会で、サンフレッチェ広島の関係者とお話しが進んでいるところですので、その状況をも踏まえなければいけない。両方の要請、これをどう満たすかということが課題となっています。
ただ、現段階では、先程申し上げたようにサンフレッチェ広島との間で、久保会長の提案されたスタジアム建設案の前提とか整備費の仕様等が十分分かっていないものですから、それを関係者とお話をしながら、まずそれを確認するという作業をしているという状況です。
もう一つ比較をという対象になっているみなと公園に関しては、港湾関係者の方の懸念というのもあります。交通が混雑するというのもありますので、そっちの方についてもその問題、懸念に関しての解消を図るため、県と一緒になって決めていかないといけないということはあります。
そういう、外から見るとどうだろうと、確かにいろいろな状況があるというのは変わりはないんですけど、先程申し上げたように一定のところで判断を示さないといけないということで、今のところ3月末までに一定の方向性を出すというスタンスは維持しながら、しっかりと話し合いを進めるということをやりたいと思います。
記者 みなと公園案については、サンフレッチェ広島から球団経営が赤字になるとの試算があり、これに対して湯崎県知事は「誤解があるようだ」、深山会頭は「検証が必要である」と見解を示していますが、市長はどのようにお考えですか。また、港湾の物流業者から強い反発が出ていますが、市として、作業部会としてどのような対応をお考えですか。
市長 すでに二問目のところでお答えしていると思いますけども、今の検討、作業部会といいますか、四者が合意して三者がしっかりやろうという中でやっている時の基本的な問題意識は、まず、サッカースタジアムを造る、造った時に今後に渡って経営が安定的に、かつ持続できるようにする意味で採算性とか事業可能性を検証しようということで、こちらはこちらでしっかりとした数字の積み上げをやって議会で予算を頂いてやっているわけです。
そこへ持ってきて、サンフレッチェ広島の方から自分達の方の考え方だと赤字になると言われたので、その中身について、なぜそういうふうなことを言われるんですか、そこの根拠を検証するという作業をしていますから、どちらが客観性を持っているかということを検証する作業をやっているわけです。
同時に、もしそういう中で、本当にサンフレッチェ広島の言われるような使用料が問題になるとか、施設の規模とか整備が問題になるんだということがあれば、その作業の中で当然、採算性、事業可能性たるようなものをやれるようにするためにはどうすればいいんですかということも含めて、十分説明を尽くすということを、まずやる必要があるのではないかなと思っているんです。
そういう意味で、我が方は検証作業の方でいろいろな根拠は出せるような状況にありますので、対比するということをしっかりさせていただく中で、本当に誤解があるのか、十分な意思の疎通が図れていないといった問題があったのか、そういうことも明らかにしていかなければと思います。
宇品地区の方については、港湾関係者の皆さんが交通課題に関して強い懸念を示されていますが、これについては、問題解決のための基礎となる調査を、予算を取ってやっていますし、それについてのご説明もやった上で、それについてさらに、十分な納得がいかないということもあるんでしょう。そうすれば、それを解決するための対応策とか、こういうこともあるんですよということも含めて、十分にお話して、それで対応可能かどうかということも検証しなければいけないし、そういうことを説明するという作業があるんです。それを今、県が中心になってやっていただいておりますが、市も一緒になって、引き続き懸念解消に努めるということをしっかりやるというふうにしていきたいと思います。
いずれにしても、関係者の納得度を高めて、関係者が合意できるような状況をつくりあげていくということに一生懸命力を入れたいなと思っています。
記者 改めての確認になるのですが、今、関係者の納得度を高めて作業をしていきたいとのお話があったのですが、その納得度を高められるかどうか、高められていないとしてもやはり3月末までには一定の方向性を出されますか。
市長 3月末と言ったのは、先ほど言ったように関係者の合意に基づき、また議会などからの早くしなければいけないというご指摘がまずある中で、後ろを決めてやっている話ですから、それを軽々に放棄してということではないのではないかと申し上げているんです。とりあえず、そこを目がけて関係者がきちっと話し合いができるように可能な限り努力をする。納得度の高いものにすると申し上げたのは、期限があるから納得がいかなくても物事をやるということではないということを申し上げたくて言っているんです。とりあえずここを目標にしながら、関係者の納得度を高める作業を一生懸命やりますと、お互いにそこに向けて、話し合いを深めるということをやれるようにというつもりでおるということです。
記者 この間のサンフレッチェ広島の会長の会見の中でもありましたし、その後も話が出ているものとして、ちょっと話がいろいろこじれている中で、直接トップ同士での話をしたいという話もあるようなのですが、そういった要請がある場合、市長はそれに応じるご意志があるかお聞かせください。
市長 最終的に合意に至れるような状況設定の中で、関係者が会うということはとても意味のあることですし、それはぜひやりたいと思います。ですが、今申し上げたのは、作業部会でこういう根拠があってやっていますよということは、我々としては公に出しているつもりです。資料や、記者発表もしていますし、詳しいものを見ていただければ分かります。その基礎などをということであれば、会議の中での議事としてお出しできるんです。ですけど、今伺っているのは、久保会長の言われたアイデア、案は、その根拠たるものが十分開示されていなくて、一定の根拠があって言われているんでしょうから、それのすり合わせをしましょうということを事務レベルでお願いしていまして、そこの作業を今やっています。
だから、そこで先ほど申し上げたお互い納得のいくようなものにするための双方の確認作業をしっかりやって、その上に立って、関係者が話し合うという方が物事がスムーズにいくんじゃないかなと思っているんです。ですから、その作業をまずいたしましょうということを申し上げて、実際に今やりとりをしておりますので、そういったことをご理解いただきたいと思います。
記者 サンフレッチェとの話し合いなんですが、一応公開ということで考えてよろしいんでしょうか。
市長 トップ会談でやるときは、さっき言ったようにお互いに納得できるような状況にして、それが合意できたというふうにできればいいなと思っていますので、皆さんに見ていただく方がこれからのいろいろな物事をやる上でいいんじゃないかと思います。
記者 だいたい月末までというと、あまり時間がないというような気がするんですが、それだとだいたいどのくらいの、すぐに出すかどうかは分からないというような受け止め方をしているんですけれども、話し合いによっては。だいたいどのくらいの話し合いを持つ、内容にもよるでしょうが…。
市長 今申し上げたように、作業部会担当者と事務的に色々調整をしています。だから、確認作業ということをしているわけでして、その確認作業がとんとんとんといって、お互い納得できるような状況が速やかにできれば、3月末までの日程の中に納まると思いますし、もしそれが全然うまくいかない、なかなかはかどらないというのであれば、3月末までにやるという目標日程をどこかで調整しなければいけなくなるかは分かりません。ただ、それを安易に今どうこうしますと言うつもりはないということです。そこを置いて、そこに向けて了解点に達するような作業をとにかく今一生懸命やりたい。
記者 今まで3月末までにやると言ってきたので、一応それを目指してやるけども、状況によってはまた考えていくということでよろしいですか。
市長 ありえるかも分からない。申し上げたように、これからずっといろいろな作業を展開していかなければならないわけですから、第一義的に重要なのは、関係者の納得度が得られる高い結論を出すこと、その次くらいのところで、今までの経緯の中で早く結論を出す。昨年1月に関係者が決めて、今年度中に出すというふうに申し上げた、このお約束も重みがある。それをどう兼ね合せるかということを今やっていまして、その時に納得は全然いかないんだけども、一方的に期限を区切って何か発表するということは、やはり慎まなければいけない。それまでに納得してちゃんと話し合いができて、うまくいくのが理想的だと思うんです。ただ、その理想的な状況に持っていくためにも、日程はそこに必要なら、早く事務的に調整しましょうというやり方をする方がある意味では効果的な面もありますからね。後ろを区切ってやりましょうということをやる方が、関係者が緊張感を持ってやりますから。そういう状況だということでご理解いただきたいと思います。
記者 二点お伺いしたいのですが、宇品の港湾事業者の反対というのも大きいかと思うんですが、3月末のトップ会談までに港湾事業者側との一定の合意も必要だと思うけれども、その合意が得られなかった場合も先ほどおっしゃたような先送りのような日程調整が必要だとお考えなのかどうか。もう一点が昨年7月のトップ会談、三者会談では、みなと公園が優位という位置付けになっていまして、県知事は2月の交通量調査の結果を踏まえて、優位性が強まったという発言をなされていましたが、市長としては、交通量調査とその後の市の実現可能性調査の二つの調査結果を踏まえて、みなと公園優位という位置付けはどのように分析されていますか。お変わりございませんか。
市長 少なくとも、そういった客観的な指標に基づく判断とすれば、商工会議所、県知事の言われたようなそれぞれの根拠はありましょうけれども、私なりに同じように優位という、今時点の評価そのものは変わっておりません。
あとは、その久保会長が提案されたやり方、方法論、その方法論に至る根拠、それが、どれほど客観性のあるものかというのを比較するということができておりませんので、そちらが、明確にこうだというのがあればそれと比較して、今の優位の判断が覆るかどうかということを検証したいと申し上げております。
それをしっかり事務的に明らかにするということを今急いでおります。それがまだ分かっておりませんので、優位という考え方は、私の頭の中では残っております。
港湾業者の関係は、そういった中で最終的に一番重要なのは、関係者の方々の納得度の高いものにするということですから、その港湾関係者の方が全然納得いかないのに、やっていくということは多分できないでしょう。それを納得度の高いものにするために、先ほど申し上げたように、県が窓口になってやっていただいていますけれども、市も一緒になって、納得していただけるようにしていくということではないかと思うんです。
少なくとも、港湾関係者の方々が言われているのは、今のあの港の状況のところに何もしないで、ぽんとスタジアムができると大変だと言われている。そうすると、今の状況の中での交通量調査という中でも一定程度、決定的なハードの措置がなくても、ソフト面でできるというようなことでしょう。そうすると、じゃあまちづくりをやっていくという上で、県市が一緒になって、こういうことをやるということがもし出てきて、それでもどうですかというような調整の仕方もあると思うんです。これからですからね。もうすでにいろいろな建物が立て込んで建っていて、それを取り壊したりすることで、利害調整がどうのこうのというような、都心のいわゆる利害関係が錯綜するようなエリアと違って、割と広い所で、これから自由度のある所について、どういった形で展開することが、共存、スタジアムと運送を共存させるための方法があるかということは、もし話し合いの中で、将来それが見通せるようなことができれば、それは一歩前進です。しかし、それを具体化するに当たっては予算措置がありましょうから、この三者四者だけじゃなくて、さらには県議会、市議会という手続きが待っていますから、いきなりとはいきませんけど、そういう方向性を持ってやりましょうというコンセンサスを得て、納得度の高いものであれば、皆さんの総意に基づいて、そういう方向に行くという状況ができると思うんです。そういう状況を作り上げるということを今一生懸命やりたいなと思うし、そのための基礎になる作業をやっているという認識でおります。
記者 サンフレッチェ側と作業部会との事務方のやりとりということで、重ねているということでしたけれども、いつ頃から、どういったレベルでどういった話し合いをどの程度されているのかということ。今後、どういうふうに詰めていくのか。そこが一点。もう一点、久保会長がスタジアムの規模として2万5,000人ということで言っておられて、そこでもう結構前提が違うのかなとは思うんですけども、その辺り、規模は結構スタジアムで重要なところだとは思うんですけども、そこが何でずれてしまったのかとか、その辺りをお伺いできたらと思うんですけども。
市民局長 面会したり、メールでのやりとりということで、作業部会の方とサンフレッチェの方と確認しているということです。
市長 実際やりとりはしていますので、そのことを申し上げたということでご理解いただきたいと思います。
サッカースタジアムの規模は、作業部会、報告書などで最初に書いているんです。皆さんお読みいただいているのではないかと思うんですけども、国際的な試合ができるようにするための基準というのがありまして、それによると、2万5,000人から4万人位の範囲の中で、規模を設定してもらわないといけないとなっているんです。2万5,000から4万という、これは皆さん周知の事実なんです。それで、作業部会でその作業を始めた時に、2万5,000から4万という中で、もう少し数字をきちっと設定しないと規模とか決まらないからということでやりまして、その時の議論は報告書を見ていただければ分かるんですけども、日本国内に、いわゆる国際的な試合をやるための基準を満たすような規模のサッカースタジアムがどれ位あるということも検証しまして、そして、そういった中でもわざわざ広島で造るんだったらそれに互して負けない位の規模というものとして設定して、場合によっては世界的な試合をこの新しいスタジアムでできるようにするためにということで、3万でいきましょうという合意をしてスタートしたんです。それが、議論のスタートでした。
ところが、久保会長の方は、その議論を知ってか知らずか、2万5,000で、実質最低基準ですね、2万5,000から4万の最低基準で打ち出しておられるので、そういった根拠とか、考え方も確認させていただきたいということをやりたいわけです。それだけのことです。そんな大したズレはない。
なぜそういうことを言われているかということをやってもらうように、今、事務局でやっているんです。そういう状況です。
記者 先ほども現時点ではみなと公園優位というお話でしたけども、サンフレッチェの久保会長の方から、みなと公園だったら使用しないということがありました。最終的にみなと公園と結論づけた場合、それでもサッカースタジアムは造られるというお考えでよろしいでしょうか。
市長 納得度を高めなければできないと申し上げてきたわけであって、久保会長がしないと言われている理由が問題なんです。結論より理由です。そこでやると「経営体として赤字になってやっていられない」と言われたんです。「何故、赤字になると思われていますか」ということを問い掛けているわけです。赤字にならないような支援方法とか何かがあるのではないでしょうかと。作業部会でやっている時に赤字となるとなっていないわけです。だけど、赤字になると評価された何かがあるわけなので、その認識のところのズレがないかどうかを検証して、よく話し合って、それを解決するということを申し上げて、なお行くんでしょうかということを確認したいわけです。その上でトップ会談をしないと。やりたくない、やりたいだけで、トップ会談して物事が片付くわけないわけです。そこの部分の根拠とか、考え方をよくすり合わせして下さいということを今やっているということを重ねて了解いただきたいんです。手続きを尽くしているということを分かっていただきたいんです。
記者 先程と同じような感じになるかもしれないですけれども、逆に、旧市民球場跡地の方で、議会側としてはイベント広場でこれまで決定していたというふうになっていましたが、市長が今考えになっておられるイベント広場、例えばサッカースタジアムがここに出来るということに関しては、賛成する余地はあるのでしょうか。
市長 全然なくはないです。この過程は、私にとってもう5年ぐらいかかっている過程なんです。始めの方をご存知かどうか申し上げますと、先ほど議員の発言をご紹介したのは、そのもっと前なんです。私が市長になる前からの市議会としての決定がありまして、野球場を撤去した後は空きますよね。その野球場を撤去するための費用を議会が認めて撤去したんです。そして、今ズームズームスタジアムとして、野球場が出来たんです。それを移すにもいろいろな議論があったんです。あそこにいくと、遠くなるからお客が来ないから採算が取れないんじゃないかとか。それをやってみたら、今すごくカープファンが来て上手くいっているというのがあるんです。
その後の跡地をどうするかといった時に、私の前の市政の中で、議会の方向性としてイベントを主体とする広場にするという決定を受けていたんです。それで、市長になりまして、それを深めるために、じゃあもっと具体的なものを検討しようということで検討会を立ち上げて議論していただいていたところ、始めたら、その中にサッカースタジアムを入れるか入れないかの議論が入っていないから、それと同じように議論をしてくれという意見が議会の議員の方から出てきたものですから、その議論と一緒にすると混乱するから、既に議会として決まっているイベント広場をどうするかというのは詰めますと。それと別にサッカースタジアムというのは、そもそも持続的に運営するためにどれくらいの規模がよくて、どんな事業体でどうするかということと、今あるスタジアムは利用しているけれども、それがなくなった時の今のビッグアーチの方の運営なんかもしっかり考えないといけないから、それらを相互勘案して、やはりここが良いのがきたら、それと照らし合わせて議論したいと思いますので、別途、スタジアム建設については議論しましょうということで立ち上げて来ているんです。
そうしたら、それを持続可能性があるかどうかということで、10カ所ぐらい選んで、絞り込んで5カ所にし、最後ようやく2カ所まで来たというのが現状なんです。だから、この議論の中で、結論として、球場跡地も良いとなれば、今言ったイベント広場との、観念的なことですよ、どちらがいいかということを皆さんに分かっていただくということをしなくければいけないと思っています。
しかし、今段階で申し上げますと、球場跡地とみなと公園だと、今までの積み上げの資料、議論の結果からすると、みなと公園が優位だと申し上げているということを分かっていただきたい。
それを、ずっと説明責任を果たすために、この5年間かけてやっているということをお分かりいただきたいということなんです。
記者 イベントの集客が年間100万人、現在75万人ぐらいあるのですが、サンフレッチェが今の状態で来ると年間20試合程度で、そこには及ばないという集客面の差もあると思うんですが。
市長 それは、久保さんの案も認めておられるから、だからサッカーだけじゃなくて、いろいろなものをスタジアムに造ってやって集客力を高めるとおっしゃっています。その問題意識は全く正しいんです。だから、それが本当に、どういうふうな論拠でされるか、スタジアムを造ってそこにいろいろな方を入れるとすると、例えば、天然芝ですと傷めますから、それを傷めないようにしながら、どうその維持費をかけてやるか。それは、実は、今ズームズームスタジアムでそれを経験しているわけです。芝生を傷めないようにするために、昔の市民球場は、小学生とかアマチュアがいっぱい入って利用できたんだけど今のスタジアムではできない。なぜか。それを再々やると、維持費にたくさんお金がかかって、せっかく収益構造が黒(字)でいっているのに、ひょっとすると赤(字)になったりするかもの分からないから、極めて慎重にズームズームスタジアムはやっています。今回は、5年に1回の芝生の張替えをやるというので、今年度かな、最後だからというので、割とオープンにして、皆さんに来てもらってやったんです。そして、きれいにしました。だから、またしばらくは抑制的にしないと、大変なことになるというのは、そういう実績を持っています。そういう経験値を持っている立場からした時に、久保さんが言われる造ったところにいろいろなものをやるというのは、どうなんでしょうか。
そうすると、それの収支計算みたいなものをして、本当に黒字になるか赤字になるか、どれくらい集まるかということをやりたいんですけど、そういうのをどういうふうに考えておられますかということを聞きたいわけです。だけど、やると言われているんで、じゃあ、どういうふうにするんですかということを聞くことを、今事務的にやって、そして納得度を高めて、トップ会談すれば話がうまくいくと思うんですけど、そこはまだ見えていないので、ということを申し上げているということなんです。作業をきちっとやっております。
記者 3月末の期限の関係で、重みがあるというのは、球場跡地について、やはり何年も空き地状態というか、ほぼ手を入れずに置いているから、早くどういう活用方法でいくのかを決めてしまいたいというのが3月末にこだわる理由の一つなんでしょうか。
市長 スタート点はそうでした。一期目の市長を終える時くらいに、本当は結論を出したかったんですけどもできなかった。そして、選挙に入る前に二つまで絞り込んで、どちらかにするということができればと思っていましたが、実際できなかった。
だから、その中で、早くやりましょうということを申し上げてお願いしてやったと。そうすると、議会との関係でも、それまでの私が市政に携わる前でも、イベント広場でという方向性で詳細を詰めるという宿題が残っていて、その方向でいこうとして、結局、それもイメージまで作りました。しかし、それを実現する次の手立てが打ててない。そこにサッカースタジアムと来たわけですから、早くどうするかということを結論出さなければいけないという相対的な要請がありまして、そういうことを、まさに今度の議会でも以前の市議会議長だった方が指摘して、「小田原評定だ」なんて言われるわけです。
決してそういうつもりは、ポジティブにやっているわけじゃなくて、皆さんの納得度を高めるための手続きを一生懸命やったらこうなったわけですから、だから、期限を守るという基本的姿勢はしっかり堅持しながら、しかし、物事をやっていく上で関係者の方々の納得度を高めるということも同時並行で必ずやらないといけない。それが、どちらが優先するか、ぎりぎりのところで判断したいということだとご理解いただきたいと思います。
記者 トップ会談、三者会談で最終的に決定されると思うんですが、候補地だけでなくて、事業主体、誰が造るかという整備主体はまだ決まってないかと思うんですが、今回、作業部会で示された実現可能性調査では、県・市の負担と経済界の寄付というのもスキームとして想定されました。市長として、現段階では、整備主体は、県・市の負担、経済界の寄付で進められるとしたら、どのようなスキームの形が理想とお考えでしょうか。
市長 私は本当は、地元関係者の協力を得られる事業主体がと思っています。どれとは言えませんが、選択肢とすれば、いろいろな方が出資して特別な法人を作るというやり方もありましょう。それか、行政が実施主体になる。その時には、(実施主体が)県なのか市なのかという問題も残ります。これは市議会の中での議論で先生方が言われているのは、市民球場については市が事業主体になった、だから今度は、県・市一緒にやるんだったらサッカー(スタジアム)の方は、県が主体になってやってもいいじゃないか、というご意見もあったりします。そういったことも考慮しながら決めないといけない。
最近は、PFIという方法論などもありますから、民間の出資等を得て、行政と一緒になってやるとか、それの中のどれかに絞り込まなければならないと思っています。
それにしても、そういったものを判断する上で、どれくらい民間からの寄付が集まるか、そうすることで、当初の初期投資の予算を圧縮する。そうすると、その後の運営費を使っての返還が確実になるとすると、優良物件ということになりますから、優良物件であるという認識度が高まれば、民間の投資も呼び起こせる可能性が高まる。同時に、最終的に市や県が一定の原資を出す時に、行政体として債権等を発行したとしても、その発行額が圧縮できますから、行政体の負債額も抑えられるという構造になります。
ですから、本当に優良な運営事業体になるという計画をしっかり作ることが何よりもスタートなんです。そういう意味で、久保会長が言われるように赤字体になるということは、決して考えていないです。黒字にするための事業体をどうするかということで、ここまで来ているわけですから、赤字になると言われていると、その問題意識は我々としては重く受け止めているんです。どこがそういう判断基準なんだろうということを知りたいんです。そして、それをやった上で、これならいいなという合意ができれば、行政がやるか、民間と一緒になるか、その辺が自ずと決まってくると思っています。
記者 次のトップ会談では、候補地と併せて事業主体も一緒に判断したいというお考えですか。
市長 もともと、「一年かけてやる」と申し上げた時に言っているんです。事業主体も含めてやると申し上げています。それが目標です。そこに至っていないというのは、また現実にあります。ただ、今申し上げたようなことを考えて、事業主体も決めて、場所も決めると。場所と事業主体、つまり事業運用の収益性も絡んでくるのは、久保会長が言われるとおりなんです。
今の状況の中で考えると、お客さんが来やすいから黒字になる、今のみなと公園だとお客さんが来にくいから赤字になる、それだけの話ではないでしょうと。いろいろな要素を加味しないといけないんじゃないでしょうかということなんです。双方が黒字になるような前提で仕掛けて比較しないと。明らかにこちらは絶対に黒字にならないというような前提では作業していない、ということをまず分かっていただきたい。ですが、「赤字になる」と言われればそれは大変ですから、なぜそうなんでしょうか、と(問わなければならない)。
そこにどちらかの認識誤りがあるかも分かりません。そこをちゃんと検証しないと、トップ同士が話をしたって話にならない、ということを申し上げているんです。
記者 市長は、手続きを踏んでじっくり議論していきたいとおっしゃいますが、久保会長の発言を聞く限り、「自分たちの意見がすくい取られなかった」と向こう(久保会長)は捉えているということですけども、サンフレッチェが発言できなかったのか、しなかったのかは、そこは久保会長でないと分からないと思いますけども、その辺り市として今までのやり方がどうだったのかとか、考えるところはありますか。
市長 そこも、度々議会でも説明しておりますが、平成25年にサッカースタジアム検討協議会を立ち上げる時に、11人のメンバーで立ち上げたんです。そこにサンフレッチェの社長も入っておられます。ずっと終始おられて、メンバーについても了解をいただいて入って、資料作りの中でも発言をされている。その中で発言をされていることは、少数意見に留まったところもありましょう。ですが、その場を通じて発言されていて、やった後、記者会見でもいろいろなことを言われているわけです。その運用方法は会長であるわけですから社長から聞いておられるのではないでしょうか。それをその会議の場で言われているはずだと思うんです。そこは我々としてはどうも合点のいかないところです。排除しておりません。社長という立場で入っていただいて議論しています。
記者 今あった検討協議会について、取りまとめが未定稿という形になっていて、正式な署名捺印をサンフレッチェとしてはしてないという意見もあるようなんですが、そのあたりいかがでしょうか。
市長 そこは実に事務的な手続きの部分と、内容についてのOKかどうかという実質的な部分とちょっと混同しているんですけども、議事録というものは、こういったオープンにした会議でしたから、皆さん聞いておられるし、いわゆる議事の状況を記録したメモは作っています。
ただ、一般的に議事録というときに、作り上げて関係者の方に「この発言で良いですか」というのを確認して、未定稿を定稿完了という形で外に出すことが慣例的なものですから、そういう手続きだと認識していた事務局が、作業がバタバタな中で、先生方に未定稿を見ていただいて確認する作業をしていなかったものですから、議事録は出せませんということを今までやってきていたんです。
そんな中で、県議会、市議会、議会の議決を経て、予算を付けてオープンでやってきていた会議の中で、議事録を出さない、ないというのはおかしいだろうと言われ、しかし、手続きとして個別に未定稿を定稿にするという手続きをしていなかったので事務方は悩んで、最終的に公文書館に最近になって聞きました。聞いたところ、仮に個々の方のOK(了解)を取らなくても、事務方でこういうやり取りがあったということを示すことは、公開するということでやった会議の性格上、いちいち了解を取らなくても問題ないんじゃないかという判断を得ましたので、出せる状況にあります。
そんな中にきちんと、作っている中で、少数の意見も発言された部分もダイジェスト版で入ったりしているという状況でして、これ自身が決定的に手続き違反という問題ではないと思っております。
最終報告書の中も、皆さんが了解をして出しているわけですから、協議会の中で賛成の立場のご意見もありましょう。反対部分については、少数意見などに留めるとちゃんと表記してあります。しかし、全体としてその報告書を最後に了解ということでやったから、協議会としての最終報告は取りまとめられ、それを踏まえて今作業が進んでいるというようにご理解をいただきたいと思います。
記者 極論かもしれませんが、事業主体の関係で言うと、サンフレが全部民間資金でやる、県市の税金はあてにしていないとまで言っているわけですが、だったら「どうぞやってみてください」と丸投げしてしまったら、例えば県市も税金を使わずに済みますし、そういう選択肢もなきにしもあらずだと思うんですが、それをあえてやられないのは、動き続けた行政として、責任を持ってサッカースタジアム建設に関わりたいという思いがあるからでしょうか。
市長 今、言われた意見は全く同じものを、ついこの間に市議会議員から言われました。イベント広場としてちゃんとやれと言いながら、直前の議論では、「サンフレッチェの今の案は反対する根拠は何もないと思うんです。全部市が自らお金も集めてやるんじゃなくて、自分たちで出すのだから、良いじゃないか、任せれば良いではないか」と。実に市民サイドといいますか、外から見ている方が感じるご指摘をされたと思ったんです。ですが、その時は答えませんでしたけれども、今言われて改めて考えますと、あそこに民間で造ると言われるが、国有地なんです。そして、法令等に基づいて利用させていただく。その手続きに行政が関与しないで民間だけでは多分出来ないのではないでしょうか。だから、OKしたからと言って、何もしないというわけにはいかないというのが一つと、それから、あそこの中で、これは議会の中で先取りしたかどうかはわかりませんが、別の市議が言いました。「商工会議所やPL(教団)の建物をちゃんとやってもらわないとできない。それを市はちゃんとやるんでしょうね」というようなことを言われました。しかし、建物を建てると言われた時に、その周りの建物についてどうするかということは、実際に久保会長はおっしゃっておりません。だから、分かっていないわけです。それが分からない中で、丸投げするというのは、ある意味無責任で、むしろどのように考えておられるのか。
それから、高さ制限等を満たすという行政上の制約を全部呑み込んでやるというのをおっしゃるようだが、例えば一部武道場にかかるという中で、140億円の中に15億円は含まれていると説明されましたが、武道場を立て直すのに15億円だけで本当に済むのでしょうか。そうすると、武道場を移す時にどこで誰が武道場の場所を確保するのでしょうか。
そうすると、行政が全然関与せずには済まない状況になっている。少なくとも、国有地である、県の建物もある、民間の建物もある。民有地であれば、自分の建物の中でやるが、公的なところにお金を出すから全部やりますということで「はい、どうぞ」ということを言うのは、今言ったような状況を知る立場からすると、「はい、そうですか」とはなかなかいかない。何かの形で必ずやるとしても、ご支援をしないといけない状況があるので、そういう意味でも正確な考え方を示していただきたいと申し上げています。感情論ではありません。正確なものを知るということは何よりも我々の判断のスタートとなるということを分かっていただきたいんです。
※ ( )は注釈を加えたものです。