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2014年07月11日記者会見「平成26年広島市の国民健康保険料の増額について外1件」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>
市政記者クラブからの代表質問
広島市の国民健康保険料の増額について
記者 広島市の国民健康保険料が一部の世帯で跳ね上がり、混乱を招きましたけれども、市長の受け止めと、追加の緩和措置について教えていただけますか。
市長 この件に関しては、全国で算定方式を統一するという政令改正を受けて行ったものです。
本市では、そのために本年度から国保料(国民健康保険料)の算定方式を変更することにしました。ただ、この変更に当たりましては、保険料が大幅に増加する世帯が出てくるだろうということが見込まれましたので、特に影響が大きくなるであろうと考えられる世帯、すなわち非課税世帯を中心に激変緩和措置を講ずることにしました。
それをやった結果、激変緩和措置の対象とならなかった世帯から多くの苦情、それ以外もありましたけれど、対象にならなかったところから多くの苦情が寄せられたところです。
この激変緩和措置を見ますと、被保険者の方の約3割の方をカバーするというような仕掛けにしていたのですが、対象にならないような方で、年間の所得が200万円とか300万円台の比較的に所得が低い方からの問い合わせや苦情が多く出たわけです。
今回のこの制度改正の背景ということが元々ありまして、さらに激変緩和措置の行き届かないところがあったということが、今回の問題だという分析をしています。
ただ、国の算定方式を統一しろという政令改正を受けてですから、やらざるを得ないということでやっているという状況もあるのですが、この問題に関しては、実は自分自身はもう少し根の深い問題があるという認識を基本的には持っています。
それは、国保(国民健康保険)制度の構造的な問題が実はあるという認識なんです。
元々国保制度に係る保険料が一般的に高いんです。これは制度をご存じの方はすぐぴんとくる話なんですが、この国民健康保険、医療などに要する費用負担をどうするかというときに、今の国の制度は、健保(健康保険)とか健保組合、つまり俗にいうサラリーマンですね、企業に雇われている方の保険は、企業の方が保険料の半分を出して、働く方も半分を出してやるというような保険料の設定になっています。
それと、企業で働くというわけですから、だいたい一般的に定年になる前の方々、若い方々が、被保険者の集団になっている。
そして保険料は出すけれど病気にならない、医療費がかからないという方々ばかりが加盟している保険集団があるという中で、この国民健康保険の方は、そういったサラリーマンになる方以外、例えば自営業者などを中心と言いますけど、実際は企業を退職された方々です。後期高齢者という75歳以上になるまでの方々が入っておられるとか、失業して企業に入っていない方々がこの保険の対象なんです。
そんな状況ですから、そういった方々が、医療機関にかかっていく可能性は高いと。その集団でその費用を見ると。しかもその集団が基礎自治体、市町村単位ごとに運営をしてきているんです。
ですから、小さな集団でそういった医療費のかかる可能性の多い方々同士で面倒を見ているという保険集団ですから、いわゆる低所得の方でもこの費用負担をしていただかなければいけない状況なんです。当然、そういうことで保険料だけでやっているというわけではないんです。
もちろん国からの負担も入っていまして、広島市の保険料収入等全部を見ますと、この国保の年間の予算規模は、平成25年度で約1300億円の規模の保険集団なんです。
その中で約307億円が保険料収入という皆さんの負担。それから国庫負担、国の方から約280億円、その他県とかその他収入で成り立っていまして、こういう収支構造なんですけども、なにせ1200億円からの医療給付が毎年行われる、それを賄わなければいけないという構造の中で、さてその費用負担を皆さんでどうするかということになっていた中で、国の方が算定方式を変えるべきだというのがあってやったんです。
ですから、この算定方式を変えたときに、今までは保険料を算定するときのルールとしまして、お一人お一人の所得に着目して、家族構成とか、お一人、頭数でとかいろんな負担割合を決めてやっている中で、とりわけ所得に応じて負担するというところですね、市民税をどれくらい払っているかというのをベースに、いくらいくらお願いするとやっていたところが、その市民税、これはその所得を計算して、いくらいくら税金払っていただいていますよということを前提にしていますが、それ以前に所得、税金を払う前の、自分がどれくらい所得をもらっているかに着目して、その割合を計算し直せという命令が出たんです。
そうすると、所得をもらっている方が市民税を払うまでに、いろんな所得控除をして、そしてさらに税金を決めるときも、税額控除するということをやっていて、最終的に払う額を前提として、もらった額のところから計算するということになりましたので、税額控除を考慮しないことになったんです。
そうすると、出てきたのは、これは自らの所得の力があるだろうということで、今回の激変緩和措置に入れなかったのは、例えば住宅取得控除なんていうのは、ある程度一定の収入があって、自分の家を購入されたと。そしてローンがあるから最後の税金のところでローン控除といった税額控除と。そうした形で税金が落ちている方と元々収入が少なくて税金が少ない方と同じようなレベルの方がおられて、税金が低くなる方に注目してやったんですけれども、税額控除しないで所得の方にいくと、その方々がボンと跳ね上がりまして、そうするとその方々が上がったというような事例が端的に出てきたわけです。
その方にとっても、考え方とすれば収入があるからいいじゃないかというふうに言えなくもないんですけども、こういう制度変更は、国の指示に従って、今までの考え方を激変させるわけですから、上がるとしてもやっぱり丁寧にやっていく必要があるだろうということで、今回そういったところの漏れがあったのが明らかになりましたので、もう一回そこの部分は手直しをと。つまり制度を変えたということで跳ね上がっていくところについては、もう一回よく検証してやろうじゃないかということを言ったわけです。
それが出てくるまで十分織り込んでいなかったという点については、こちらの想定ミスなんですが、算定方式が要因となって、こういう保険料が跳ね上がった方々については、もう一回よく調査・分析して激変を緩和するための対応策を早急に考えようと。
しかも、もう実際に6月以降は保険料の納付が始まっていますから、これ以上混乱をかけないように早急に年度途中からでも追加措置を早く確定してやるように指示しているんです。
実際は、もう一回よく個々の方がどの税額控除をやっているかとか、本当に収入要因だけなのか、そういった後の操作の方が大きいのか、個別に見ていかないといけないというのがあって、その調べ方についてもどういった対応をするかということも、事務量も勘案しながら今やっていますので、自分とすれば早急に出来る限り早くその措置内容を確定するようなそのための検証作業を急ぐようにということを言っているのが現状です。
記者 先ほど市長からも「今回不適切だった」という話がありましたけれど、これまでに2万件を超える苦情が寄せられてきています。当初の激変緩和の対象とされる市の試算自体に見通しが甘かったという形で受け止めているという理解でよろしいですか。
市長 試算そのものは、逆にひょっとすれば、激変緩和措置が織り込まれていないということで、ひょっとすれば想定よりもしっかりした収入が入るようになっているかも分かりません。
保険財政とすれば逆に健全な意味なのかも分からないです。
つまり、激変緩和措置をしてやれば、もっともっと収入が落ちるわけです。思ったよりもたくさん取れるということで、保険財政そのものについては、手を付けないほうが本当はいろんな意味で良いという可能性があって、それ自身保険制度そのものについての健全財政からすると、ある意味では、問題はないということなのかも分かりません。
私の問題意識は、保険料を負担する方の立場に立って、制度変更に伴う急激な保険料増という事に対して、低所得者の方々についての配慮は十分したつもりであったんですが、実質的なある程度所得がちょっと上の方々であっても、いきなり高い保険料になるということについては、制度変更に伴う激変ですからね、その部分についての配慮が足りなかったと言われても仕方がないなと思っているということなんです。制度全体ではないんです。収入の多い方に対してもしっかり配慮するということが要ったんじゃないか。
要するに、収入全体に関わらず、制度激変ということについて全般的なものについての考慮をしようという立場からすると、行き届いていないエリアの方々がおられたということだと思っています。
記者 結果的にそうした市側の想定ミスが、市民の混乱を招いた形になったんですが、端的に伺いますけど、市民に対して市長として陳謝なさいますか。
市長 陳謝というか、制度を今一生懸命立て直して、激変緩和措置を講ずるということをしっかりやることで了解していただきたいんです。
苦情の何万人という数字はありますが、内容として今申し上げた、制度を変えたことに伴って引き上がったという点については、ぜひともご了解いただきたいんです。
今までも1万件近い、平常時でも7000件~8000件近い方々が、保険料算定の毎年の算定時期には、何でこんなに動いたんだというような苦情があるんです。
それを上回った部分のところが、今回制度変更に伴ったところかなという分析もしているんですが、その多くの方の苦情なり問題意識があったという点は否定いたしませんが、その中でも先ほど申し上げましたように、変更したそのことで、激変緩和措置が行き届いていないところの方々については、今申しましたように早急に対応策を講ずるという事でご容赦いただきたいと思うんです。
制度全般についての直しが決定的におかしかったというような問題ではないということで、ご了解いただきたいと思います。
記者 昨年は1年間7000件ですかね。
市長 7000件か8000件だったと思いますよ。
健康福祉局長 違います。1万1000件。
市長 1万1000件。すみません。差引が逆です。増えた分が7~8000件です。
記者 現時点では2万件ほど。
市長 だから増えた分が7~8000件ということ。
記者 これは、市側の算定方式の変更に対する説明ですよね、これは説明不足があったという思いはございませんか。
市長 いや、説明はしたと思いますよ。実際に演算してやったところが結果として額が上がったということです。説明方法は別に誤ってはいません。
記者 説明不足もなかった。
市長 説明は誤っていませんよ。実際に演算をしたときに、先ほども申し上げましたように、例えば税額控除の額が数字で言うと年間30円だったと。その所得はこちらで100円とか150円の方が所得控除をして税金を出したけれど、税額控除をしてなった方と、元々所得が100円とか80円くらいでそのまま税額を出したときに同じになったと。
同額であっても税額控除をした上でなった方と、しないでなった方々も同額だったんです。ですから、そういう方をつかまえて、今後は所得のところからそういう方々、こういうふうにして計算しますよとやったら、税額控除部分を今度考慮しなくなった方々が、跳ね上がったからそこのところを何とかしてくれということになっているということ。だから、そこの部分を一定程度考慮してあげるということをやらないと、いきなり保険料が上がるなという事なんです。
説明はしています。そういう結果が出たんだと思うんですよ。
記者 今後の追加措置についてなんですが、出来るだけ早いうちにというお話でしたが、すでに1期目の納付期限は過ぎておりまして、具体的にいつ頃までに対象となる世帯の調査を終えられたいとお考えですか。
市長 先ほど申し上げましたが、すでに6月以降納付が始まっていますから、本当に出来る限り早くということしか言えません。
ただ、これがいつかというのが、なかなか対応の方があるので、どうですかね。区切れますかね。
健康福祉局長 調査分析でいうと、やはり1月、2月はかかると思います。要は全部で17万世帯について、従前の方式でやったら一体いくらになったであろうかということをやった上で、算定方式の影響というのがどれだけあったかということを見ようとしていますので、そういうことをプログラムを組んで計算したりするという作業をするだけでも、やはり1月くらいかかるかなと。それを踏まえて措置案を検討して、まず内容を確定したい。そこら辺りを数ヵ月でやるかなというような感じで今作業をやっています。
市長 2,3ヵ月かな。
健康福祉局長 そうですね。措置内容の確定というのは。実際の実施ということになると、さらにそこからもう1ステップ入ってきますから、措置内容の確定は今市長が言われたとおり2,3ヵ月でやりたいと思っています。
記者 追加措置をとる場合、保険料だけでなく、税金、一般会計からの支出も視野に入ってくると思うんですけど。
市長 可能性はありますよね。
記者 そうすると、保険、国保に加入していない人のお金も使うことになると思うんですが。その点についてはどう思われますか。
市長 それはおっしゃるとおりで、今だって先ほど言いましたように、保険料収入307億円、国庫(負担)が280億円ですね。それを足したって全体の1280億円には足りていません。その他県からとか、市からのいろんな予算を組み合わせてやっています。
今回のは、なるべく保険料収入の中で、公平性を保つという事をやりましたし、そして設定した中で、保険料がずっと図抜けてというのは、観念的にいうと、それ以上に収入をとっているんです。バランスをとっているから増えていますから、ひょっとすればこの中で賄えるかも分からないです。やってみないと分からないということなんですね。
それでどうしても足りなければ、これは年間通してカバーしなければいけませんから、最後ぎりぎり国庫からの収入も今言った予定で出てくるわけですから、それで不足米(たらずまい)が出なければできますし、元々の想定の保険料収入の割合に対して十分足りるのであれば、この中だけでできる。それもちょっと今言った計算を、申し訳ない、やってみないと分からないと。
いずれにしても、必ず収支を賄うような措置をやる。その時に、一般会計の負担も出る可能性もあるということ。
ただこれは、出たとしても数年間かけて事後的な調整ですね、翌年以降の保険の中で調整すれば出入りができるんです。
そういうことでありまして、一過性の問題ということで処理できるんじゃないかと思っています。
G8サミットの誘致活動について
記者 G8サミットの誘致について、現状をお聞かせください。
市長 G8サミットの広島への誘致、これははっきり言って前向きにかつ着実に作業していると受け止めていただければと思っています。
実際、誘致するためには、本市で開催するということになりますので、会議場、宿泊施設、さらにはプレスセンター、そういったものの確保、どこでどうするかということですね。それから警備の問題、輸送に関する条件、そんなことがどうなるかということがすぐに浮かぶわけです。
同時に、それらについてどういった要請、要件があるかということについては、まだ国の方から次回の具体的条件設定は出ていませんが、少なくても2008年に北海道の洞爺湖サミットの際に提示された条件は明らかですので、それを見ながら検証作業をやっているということです。それを踏まえて、県あるいは関係団体との調整にも入っています。
その上で、検証作業の状況ですが、まだまだ途中段階でありまして、各施設の具体的な調整の必要な部分もまだ残っています。ただ、ペーパー上の検証は、少なくとも2008年の洞爺湖サミットの際に提示された条件との照らし合わせで見ますと、概ね当時の示された条件に対しては対応できるのではないかなという報告は今のところ受けています。
それを前提に、今作業を進めているということですので、県とか関係団体の調整を図りながら、今後いずれかのタイミングで国からの条件提示があろうかと思いますので、この条件提示があれば速やかに誘致の名乗りを上げたいと思っています。そんな状況です。
その他の質問
被爆体験の継承などについて
記者 広島・長崎の被爆された方の数が、今年初めて20万人を下回ったという、厚労省のまとめで明らかになったのですが、市長の受け止めを伺えますでしょうか。
市長 私自身は、被爆者のいろんな面での影響が出てきていると思います。被爆者に対する援護措置の問題もありましょうし、さらには皆さんの平和を願う気持ち、核兵器を無くすべきだという心の問題、それをどう伝えていくかというようなところにも響いてくる等々ありますけれど、とりわけ被爆者の気持ちを伝える問題というのは、これからの広島にとっても大きな問題だと思っています。
平和の思いを今までも伝えてきたし、これからもしっかり伝えていくということの重要性がいろんな意味で増してきている昨今の状況かと思いますので、この被爆の実相を「守り、広め、伝える」ということをやっていく上での原点、これが被爆者の方々だと思っています。その高齢化が進んで、今言われたように、対象の方が減ってきているわけですので、今やっている被爆者の体験談、こういうものをちゃんと伝えられるようにするということをしっかりやりたい。そういう意味で平成24年度から被爆体験伝承者養成事業をやっていますけれども、それをしっかりしたものにしていくということだと思います。
それと、当事者のお話が直接聞けないわけですから、それを補完するためのいろんな材料、写真もありましょうし、被爆の手記もありましょう。いろんな体験談の出版物、様々あります。それらを上手く使えるようにしていくということもやらなければいけない。
それともう一つ、こうした中で思いを新たにしているのは、被爆の実相を伝えるための、市内の被爆建物の保存といいますか、「守る」という観点からの措置も重要になっているというように思っています。
今までの被爆建物の保存の仕方ですね、解体されるものも少し出てきているという状況ですので、残す努力を一層しやすくするために、出来るならば、被爆建物が公的な所有であるか、私的な所有であるかということをそんなに厳格に分けることなく、むしろ建物の特性に応じて支援方法を上手く調整して、もっともっと必要なものは保存する、守るということができないかなと思ったりはしています。
そのほか、被爆樹木というものも市内には数多くありますので、そういったものもちゃんと守れるようにするための対応策、人とモノ、それが伝えるメッセージというものをちゃんと保存して、それらが上手くこの広島の地から発信できるようにするための支援なり措置として何がふさわしいかということを今一度しっかり考えていくべきタイミングにきているなと思っています。
記者 建物の部分は、具体的には「私的なものか公的なものか厳格に分けず」というのは、金額面のお話ですか。
市長 もちろん金額面にも最終的には響いてくると思います。
記者 どういう措置、具体的なものはお考えになっているものはありますか。
市長 まだ具体的な案はないんですが、内々に担当部局にしっかり残せるような仕掛けをちょっと考えてくれないかとは言っています。
とりわけ、私的な施設は所有者の方に最終的な処分権があるからということで、なかなか手付かずなんですが、今言われたように、そうはいっても何らかの支援策が手厚くなれば、今よりかもう少し手厚くなれば、残すのになと考えておられる方もいなくはないはずなんです。
だからそういったところには、支援の手厚さというのが効いてくる場合もありましょう。それをおいても、いやいやもういいとか言う方もおられるし、支援は変わらなくても、もう少し他のいろんな規制とか、ルールとかそういうものを手当てすることで(保存したい)という方もおられるかも分かりません。そういったことをよく調べた上でということです。
記者 お話の中で、被爆樹木についても挙げられたんですが、現時点で被爆樹木に対する支援というのは特にちょっと思いつかなかったんですが、それも新たに作るというようなお考えをお持ちだという理解でよろしいんですか。
市長 出来たらいいなと思っています。
記者 金額的な部分でという意味ですか。金額の補助ということですか。
市長 守るための支援策を色々考えれば、最終的には何かの財源を手当てするということになろうかと思います。それをどういう形で捻出するかというのがありますから。
記者 被爆建物ですが、既存の今の支援策では何らかの課題があるというようなお考えをお持ちですか。
市長 課題があるというか、今のままでは十分に保存できないのではないかというご意見があるということを承知はしています。
記者 具体的に制度のここが使いにくいとか、そういう声が入っていたり、そういうことではなくて。
市長 一番分かりやすいのは、もっと支援してもらったらいいんじゃないかという話もあります。とりわけ民間の建物に関しては。
記者 額面が少ないという。
市長 ということもあると思います。
記者 被爆樹木や建物の支援程度の検討というのは、具体的にいつ頃までに打診したいと思っていますか。例えば70年を目標にとか。
市長 おっしゃるように、少なくとも被爆70周年に向けてですから、そこまでにいい措置ができればなと思います。
旧球場跡地とサッカースタジアムの問題について
記者 旧(市民)球場跡地とサッカースタジアムの問題についてお聞きしたいんですが、昨日、西風新都の命名20周年式典で市長が講演のなかでおっしゃった内容の中でお聞きしたんですが、サッカースタジアム検討協議会で旧球場跡地が適地とされて今の案と比較検討できるくらい、今の緑地広場・文化芸術・水辺案だと思うんですけど、バランスがとれる案が出れば検討したいということをおっしゃられて、これを聞いたときに、比較検討のバーが上がったのかなという印象を持ったんですが、レベルの高い案でないと検討できないよという、この発言の趣旨とはどういうことだったんでしょうか。
市長 昨日言ったことは今まで言ったことと同じですけど。変わっていません。
記者 スタジアム検討協議会で適地とされれば、検討すると。
市長 そのようにずっと言っていますけど。変わっていません。
記者 分かりました。現状昨年3月から、緑地広場・文化芸術・水辺案というのを計画付けがされているわけですが、途中経過が全く出ていない。
市長 まだ検討中じゃないでしょうか。
記者 そうですね。スタジアム協議会のほうは混乱ぶりも含めてすべて公開でやっているわけですが、比較検討を検討する上で、市民にとっても緑地広場なり今の現状はどうなのか。案の作成が非常に分かりにくいという状況だと思うんです。その途中経過でも出されるお考えはないんでしょうか。
市長 まとまれば出すと思います。まとまれば出します。
記者 そうですね。検討経過を出すのは、やっぱり分かりやすいやり方ではないかと思うんですが。
市長 検討経過を含めて出します。まとまれば出します。
記者 もう1年以上経っても途中経過が出ていないので。
市長 今年予算が付いて、ようやく動き始めたばかりです。昨年は付いておりません。検討予算が今年度付いたので、ようやく動き始めました。昨年は付いておりません。予算が付いていなかったので、動いておりませんでした。
記者 昨年もでも検討はされています。よね。
市長 検討の素材であって、検討をするまでの予算が付いていなくて動いてないんです。議会がそう判断いたしましたので。
記者 分かりました。サッカースタジアムが旧球場跡地に適地だとした場合、検討俎上に上ればという事ですけど、検討協議会で今4ヵ所まで絞り込んでやっていますが、最終的に何ヵ所まで10月までに絞り込めるかわからない状況ですけど、それが3ヵ所であろうが2ヵ所であろうが、旧球場跡地がその中に含まれれば検討するということなんでしょうか。
市長 先ほど申し上げたように、サッカースタジアムは球場跡地に作るべきだというようになれば、具体案が出ればそれと比較いたしますと申し上げているとおりです。変わっておりません。
記者 分かりました。
きのこ雲のイラストについて
記者 先日ですね、中国の週刊紙に広島と長崎の地図にきのこ雲のイラストを描いたような地図が掲載されたんですが、それに対する受け止めをお聞かせください。
市長 その件については、私自身、逆にマスコミ等で見たんですけども、すでに政府の方で、抗議されているということですので、特段の対応を取っておりませんけども、その政府の発言の中でとりわけ、被爆者の感情を逆なでするものであるとのその指摘は、私は全く同感でありまして、妥当な対応をしていただいているんじゃないかなと思います。
記者 重慶といえば、広島市にとっては姉妹都市でもありまして、市民、市の持っているチャンネルっていうのもたくさんあると思うんですけども、何かその、被爆地の市民として、姉妹都市として何か対応なされるお考えは。
市長 おっしゃるとおり姉妹都市ですからね、市民同士・行政同士の気持ちは十分理解していただけるんじゃないかなという前提でいますので、今回日本政府が抗議したこと、そして今私が申し上げたように、被爆者の感情を逆なでするというものであるというその政府の指摘は、私自身全く同感で考えているということを、こういった機会を通じてしっかり伝えていただきたいと思っているんです。
ラグビーワールドカップについて
記者 ラグビーの2019年のワールドカップの日本開催の件でお聞きしたいんですけども、一部会場の広島誘致についてどのような方針で検討されているかお聞かせください。
市長 ラグビーのワールドカップの件につきましては、前回お話がありましたので、あと事務的に確認いたしました。そうしましたら、実は昨年のですね、昨年、組織委員会の方から、こういったワールドカップがあるからどうかということで案内がありまして、それに対して、わが市としては関心があるという返答をしています。
それを踏まえて現在担当部署で試合開催会場の条件などを満たせるかどうかを検討中というのが現状です。関係方面とも具体的な内容等について今調整を進めています。現時点での方針は未定です。回答期限が今年の10月末ということになっていますので、それに向けて鋭意検討していきたいと考えています。
記者 その条件なんですけども、何がネックになっているんでしょうか。
市長 まずネックもなにも条件そのものを検証しているというところです。
記者 条件の検証のなかで課題になっているのが・・・。
市長 それを含めて今全体を検証しているということで、ご了解いただきたいと思います。
きのこ雲のイラストについて
記者 ひとつ前に戻るんですが、重慶の新聞の件で、市長は、被爆者の感情を逆なですることに全く同感であると。市長としてはこのイラストに対して、不快感をお持ちなのか、それとも怒っているんでしょうか。
市長 実は直接見たわけでもなくて、この週刊紙という扱いで出された意図が本当によく分からないんです。別にこういう説明があったわけではないと聞いていますし、ただその意図がどうあれ、こういったものが掲載されるということに関して、間違いなく被爆者の感情として良くはない、逆なですることは間違いないと思うんです。
その点をしっかり市の方で受け止めていただいて、自らの判断で適切な対応をしていただくということはできないものかなと思っているのが現状です。
平和宣言について
記者 平和宣言のことなんですけども、また来週、週明けに会議があるのでちょっと言いづらい部分もあるかもしれないんですけども、集団的自衛権の行使容認を盛り込むかどうかというのが半々だという状況の中で、市民の一部には盛り込んで反対してほしいと署名活動なんかも始まったり、そういう声もあるんですけども、そこを市長として今どのように考えるのか。
市長 そういったことも含めて、今の検討しているメンバー、9人ですけども、皆さんにお諮りしたいと思っています。
そういう意味で、前回いろんな、少なくとも2種類の案を作ってみて、皆さんに見てもらおうということをやることにしました。
その中で十分議論させてもらいたいと思います。必ず皆さんにご紹介して、広島市、あるいは広島市長として、この局面どういった宣言にするのが良いんでしょうということを、きっちりお話しして決めたいと思っています。
被爆建物の保存について
記者 被爆建物のことで、もう一回教えてください。市長としては保存するということを、もっと保存に向けてやりやすくしていくように制度の在り方を考えたいという趣旨でおっしゃったと思うんですが、保存というのは、例えばその、全面保存なのか、もしくは一部(保存)か象徴(保存)か、そういったところは、全面保存を意味して残しているとおっしゃっているんですか。
市長 そこはですね、よく聞いていただきました。言葉をよく考えたつもりなんですけども、その際、建物の特性に応じたということなので、物によると思うんです。だからその辺もよく吟味していただきたいんです。
建物の特性に応じてどのような保存がいいのかと、それに対して、じゃあどういった支援が効果的なのかということですね。決して決め打ちじゃありません。本当に皆さんがこの建物をどのように(保存)する、今言われたように、全部なのか、あるいは象徴保存がいいのかと幅があります。ゼロにすることは保存でありませんから、そこには入っていませんけども、今ある立地条件の中で、あるいは、とりわけ民間の方であれば、それをどう利用するかっていうのは、他のものとの兼ね合いもあります。
ですから、そういった中で、その折り合いがつくところで何がいいか、そして折り合いがついた中で、どういった支援がふさわしいかということです。一律じゃなくて、多様な支援策とかがあっていいんじゃないかと思っているんです。
ただ、制度化するとなると、そんなに柔軟にできないから、一定のルールも要りましょうし、そういったものを何か、知恵を出してもらえないかということで今検討しているということで了解していただきたいんです。
記者 ニーズに応じて、建物の特性に応じてとおっしゃいましたけども、ちょっと卑近な例で言って悪いんですけども、例えば理学部一号館なんかも今、最たる例だと思うんですが、特性とか活用策とかによって柔軟に支援ができるような制度設計を考えていると。
市長 したいなと思っています。
記者 ありがとうございます。
市長 現に使われているところもありましょうし、全然使われてないと、使い方についての用途が、制約があるかも分からない。
用途替えして保存するか、用途替えしないでそのまま(保存するか)、いろいろケースがあると思うんです。
だからそういうことも含めて、その特性に応じて、どのように保存するか、その支援をどうするかと、もっとこう弾力的な支援方法が本当は欲しいんですけど、なかなか制度論として難しいところもある、よく検討していきたいと思っています。