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ページ番号:0000012995更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2014年05月08日記者会見「NPT再検討会議第3回準備委員会への出席等について(帰国報告)」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市からの発表案件

NPT再検討会議第3回準備委員会への出席等について(帰国報告)

市長 NPT再検討会議第3回準備委員会への出席等について、その概要を説明します。

お手元の資料をご覧ください。この度NPT再検討会議第3回準備委員会への出席等を目的として、4月26日から5月2日までの日程で、アメリカ・ニューヨークを訪問しました。この出張には、小溝広島平和文化センター理事長、「核廃絶!ヒロシマ・中高生による署名キャンペーン」の高校生8名にも同行していただきました。

それでは、日程に沿って主要用務を中心に説明します。

まず、ニューヨークに到着した4月27日に、アメリカ同時多発テロの標的となった世界貿易センターの跡地であるグラウンド・ゼロで献花を行い、約3,000名の犠牲者に哀悼の意を表しました。

翌28日は、最初に、NPT再検討会議第3回準備委員会開会式等を傍聴し、その後、「署名キャンペーン」高校生8名とニューヨーク市立スタイベサント高校生徒との交流会に出席し、あいさつを行いました。

2ページですが、続いて、潘基文国連事務総長と面会し、平和首長会議要請文、それから市民署名21万629筆の目録を手渡した上で、「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた具体的交渉の開始を含め、一日も早い核兵器廃絶の実現に向けた機運が醸成されるよう尽力をお願いしました。また、自国民に味わわせてはならない悲惨な体験というものは、他国民においても同じであり、それを実感してもらうため、世界の為政者、とりわけ核保有国の為政者に対し、様々な機会をとらえて被爆地への訪問を呼び掛けてくださいとお願いをしました。併せて、来年被爆70周年を迎える広島・長崎への訪問を要請しました。

次に、立田康雄・自治体国際化協会ニューヨーク事務所長と面会し、今回の出張に当たり受けた様々な支援に対し感謝し、今後の連携について意見交換を行いました。

夜には、国連日本政府代表部主催レセプションに出席しました。多くの要人が参加する中、「署名キャンペーン」の高校生の決意表明に大きな拍手が送られたことが大変印象的でした。

翌29日には、まず、現地のNGO等が主催する講演会に出席し、広島・長崎の被爆者の被爆体験等を聴講しました。

3ページに移ります。この度初めての試みとして、「核兵器のない平和な世界を目指して」をテーマとする平和首長会議主催のユースフォーラムを開催しました。

私のあいさつに続き、小溝理事長のコーディネートにより、「署名キャンペーン」の高校生等がそれぞれの平和活動や平和への思い、核兵器廃絶に向けた取り組みへの決意等を発表しました。終始立見が出るほどの盛会であり、若い人たちの熱意が伝わったと大変うれしく思いました。

続いて、NPT再検討会議第3回準備委員会のNGOセッションに出席し、スピーチを行いました。スピーチの中では、69年前の広島の惨状をデータに基づき説明するとともに、被爆者のその後の人生に触れ、核兵器がいかに非人道的であり「絶対悪」であるかということを強調したつもりです。また、核兵器の非人道性に焦点を当てた国家レベルでの議論が進む中、平和首長会議の加盟都市とともに、国連やNGO等と連携して「核兵器禁止条約」の早期実現に全力を尽くしていくことを表明しました。さらに、オバマ大統領には、広島・長崎を訪問し、核兵器廃絶に向けたゆるぎない一歩を被爆地から世界に踏み出してもらいたいとの呼び掛けを行いました。

NGOセッション終了後、ロビー活動の一環として、オーストリアの代表団と面談し、年末にウィーンで開催される予定の核兵器の人道的影響に関する第3回国際会議の準備状況について情報収集するとともに、核兵器廃絶の一層の機運醸成を図るため、今年2月のメキシコ会議と同様、被爆者の証言や市民社会の積極的な参加を検討してもらいたいということを要請しました。

4ページをご覧ください。30日は、まず、草賀純男・在ニューヨーク総領事・大使と面会した後、広島県主催のサイドイベントに出席しました。私からは、「2020ビジョン」具体化のための行動計画に基づく取り組みを説明し、幅広い市民社会の核兵器廃絶への願いの結集に全力で取り組むことを表明するとともに、「絶対悪」である核兵器の廃絶に向け共に行動してもらいたいと参加者に呼び掛けを行いました。

次に、NGOの「ピースデポ」等が主催する日韓NGOフォーラムに出席し、スピーチを行いました。スピーチでは、平和首長会議のヒロシマアピールや昨年の平和宣言において北東アジアの非核兵器地帯化の必要性等を盛り込んだことを紹介し、核兵器廃絶に向けたシステムの一つとして非核兵器地帯の構築は重要な役割を担っていると述べました。

その後、各国政府関係者等との面会を積極的に行いました。4ページから5ページに記載しているとおり、メキシコ国連軍縮大使、アイルランド軍縮・不拡散担当部長、インドネシア国際安全保障・軍縮担当部長のほか、モントレー国際問題研究所ジェームズ・マーティン不拡散研究センター所長に面会し、核兵器廃絶に向けての一層の努力を要請するとともに、核軍縮に関する情勢についての意見交換等を行いました。

夜は、現地NGOが主催する国連ジャズデー特別セレモニーに来賓として招かれ、出席しました。

最後に、この度の出張の総括です。まず、準備委員会NGOセッションでのスピーチや国連事務総長との面会をはじめ、平和首長会議ユースフォーラムの開催、広島県主催サイドイベントへの出席、各国政府関係者等との面会など様々な機会を通じ、被爆の実相と核兵器の非人道性、「絶対悪」である核兵器を一日も早く廃絶するべきという被爆者の願い、そしてヒロシマのメッセージを伝えることができました。

特に、私自身国連事務総長と面会したのが初めてですけれど、核兵器廃絶に向けての尽力と世界の為政者、とりわけ核保有国の為政者に対し、被爆地訪問を呼び掛けてもらいたい旨を直接要請することができたことは、大きな意義があったと思っています。

また、この度初めて、「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める署名活動に取り組む高校生8名を派遣し、さまざまな体験をしてもらったことは、若い人たちによるヒロシマのメッセージの発信、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた将来のリーダー育成といった観点から大変重要であり、かつ意味があると思います。来年のNPT再検討会議に向けても同様な取り組みをしたいと考えています。

最後になりますが、この度の出張では、各国政府関係者等との面会あるいは情報収集を通じて、NPT体制自体を維持することがたいへん重要であること、そして核兵器の非人道性に焦点を当てた議論は必ずや核兵器の廃絶に繋がること、この2点において各国の共通認識になっていることの確認ができました。

一方、この動向が核兵器の非合法化へと進展するかどうかは今後の重要な課題になっているということであり、広島の被爆の実相を踏まえた核兵器廃絶への機運醸成がますます重要になっていることを実感しました。

以上が、この度の出張についての説明です。

記者 今回、精力的に多くの方と面会されたり、スピーチ等されたかと思うんですけれど、一連の訪問の中で一番印象的だったことを一つ挙げていただけますか。

市長 印象というか「これができてよかったな」と思うのは、先ほど申し上げた中に高校生のスピーチ、あれは非常に、来ている方の受け止めもよかったと思いますし、自分自身もいいなと思いました。被爆体験をしたわけでもないし、戦争体験があるわけじゃないんですけれど、署名活動をする中で、自分たちの心情吐露といいますか、本当に核兵器のない平和な世界がどれほど重要かということを自分たちの言葉で語り、自分たちとして将来責任を持ってそういうことをしていかなきゃいけないということをはっきり言っていただいて、次の世代につながる大きな動きかなと、これを本当に、しっかり育てていくということが、これからの広島にとっても重要になるんじゃないかと思いました。

記者 今回準備委に参加されて、長崎市長とタッグを組まれて、高校生のユースフォーラムに出られたりとか、県と協力してフォーラムを開いて、お二人で被爆地への訪問を訴えたりされていましたが、長崎市長との協力、県との協力、共に一緒になって主張することによって、世界にどのようにアピールできたか、成果があったと思われますか。

市長 被爆地としての訴えということは、広島市と長崎市が一緒になって行動し、皆さんにいろんな要請活動をするということで、非常に成果があったんじゃないかなと思います。その際長崎市と広島市、田上市長と私は多少、平和について、核兵器廃絶を訴えるときに、役割を少し違えてやっているんですね、意識的という部分もありましてね。長崎の市長さんは、ある意味でロジカル(論理的)に、いろんな立ち位置で主張されることをしていますね。それはそれで、私は役割分担としては非常にいいなと思うんですね。

例えば核の傘という問題に関して、核兵器がなくなれば核の傘という概念もなくなるわけで、私自身は核兵器廃絶ということを言っている限りにおいては、核の傘も核兵器がなくなっていく途中経過のような存在ですから、核兵器は絶対悪だということを追求すればおのずと(核の傘もなくなるという)、一連の流れの中の一方法論と捉えているんです。

一方、田上市長は、核兵器のない状況を目指すというのであれば、早めに核の傘のない状況というものを論理的につくるという努力を先行させる、要するに核の傘すらない状況を早くつくる、それに代わるようなものを一生懸命やるための論理構成として、核の傘もいらないと言える、こういう立ち位置なんですね。

それに代わるものには何があるかとなると、日本を含めた場合は非核兵器地帯、核の保有国であってもそこを責めないような協定を作るようなエリアゾーンを設定する、それを同時にやるという方法論がいいんじゃないかということで、核兵器廃絶に向けての具体的な方法の一つを一生懸命やるべきだという立場で説明を展開されています。

私はそれも支持しているんですけれど、それは、究極の目標は核兵器廃絶だと、そういった気持ちを、とりわけ政策決定をする為政者の方に方向性を確認し、やるための意欲を喚起するという意味で被爆地を訪れて、自ら実相を見ることでそれへの意欲を喚起するべきだと、あるいは方向性をしっかり認識すべきだということを言っていますから、そういう意味で補完関係を持ちながら、行動を各国に促す、あるいは国連を通じて促すということをやれていると思いますね。

知事さんもそういった中で被爆地広島を含む広域行政体の長として、私と一緒に行動していただく中で、国あるいは国連へ働き掛けをする方法論を一つ提案されました。それはNPT再検討会議の中でも議論されてきた、核兵器を持っている国が実際どれくらいの核兵器を持っているか、現状どうかということを確認しながら履行状況を自ら点検するということをやる流れの中で、その方法論の一例を「ひろしまレポート」という形で提示して、「こういう方法を採用しては」という具体的提言をされていますね。

そういうふうに、いわゆる方法論としての一方法を県政として出していただく。それが一緒になって核兵器廃絶への行動をするということですから。長崎、広島それから知事ということで、役割分担をしながら同一の方向に向けての各国へのあるいは国連への要請をやっていく。

私自身は、それをベースにしながら、平和首長会議、6000を超える都市に向けて国境を越えた対応を促すということを引き続きやるし、平和首長会議のメンバー構成を引き続き拡大していくということで直接関わる市民の数を増やすということをやるという考えでおり、これを引き続きやりたい。そういう中で一定の理解は得られつつあるんじゃないかなと受け止めました。

記者 来年、被爆70年を迎えることや、NPT再検討会議が開催されるということなんですけれど、今回実際に出席して、国連の事務総長であったり、各国関係者に直接被爆地訪問をお願いすることができたということなどですれど、実際に手ごたえというのはどのように感じることができたのでしょうか。

市長 国連事務総長とは、ちょうど私の真正面に座っていただいて、少し長めのお話を伺うことができました。これは後から聞いたんですけれど、私と一緒に行っていただいた大使は「事務総長があんなに冗長に話すとは思わなかった。あまり経験がない」というようなことを言われて、私自身は(国連事務総長との面会は)初めてなので、「そんなものかな」とお聞きしたんですけれど、国連運営についての自分の意欲的な取り組みを紹介されて、そんな中で核兵器廃絶についてのわが方の要請についてもポジティブ(積極的)に対応していくべき課題という認識を示され、私が最後に「(平和記念式典には以前にも来ていただいたことがありますが)被爆70周年となる来年にも、改めて来ていただけないか」というと、にこにこしなから「そういう気持ちもあるんだけれど、忙しいし日程もあるから、具体的な日程調整を見ないと」という言い方で、決してネガティブ(消極的)な対応じゃなく、調整さえできれば来ていただけるという雰囲気での話だったんですね。そういう意味では、直接被爆の実相を伝えるというミッション(使命)を持っているということ、それをやるために来ていただきたいということを直接伝えるということが、相手に対して本当に真摯な対応を促す有効な手段であるということを実感しましたし、被爆地訪問ということを他の閣僚諸氏も発表されておりますので、そういったことが一定の成果を生んでいるんじゃないかなと思いました。

記者 準備委員会が始まる前の段階の、グラウンド・ゼロを訪れたときの話なんですけど、その時に市長は、ここは恨みを越えた場所だというように感じると言われていたんですけど、それは広島で言うと、やはり平和公園と通じるものを感じているのかということと、あと為政者を広島に、平和公園を含め来てほしいとおっしゃっていますけれど、それはやっぱり、そのグラウンド・ゼロの恨みを越えた場所だという、そことグラウンド・ゼロとの共通項みたいなものを感じられたのかというところを教えていただきたいと思います。

市長 グラウンド・ゼロと平和公園の共通項のようなものは、実際にそこで事件が発生したという現在地という意味では共通だと思うんですが、多少なりともそのエリア設定が、国が違い、担当者が違うということかも分かりませんが、広島の場合はああいう開かれた公園で、どなたもが慰霊碑に参拝できるような状況設定になっているじゃないですか。

ところがグラウンド・ゼロに対しては、テロ行為で殺りくが行われたということがあるせいか、あのエリアに行くのに、身体検査を受けるんです。これはちょっと、私自身はすごくびっくりしまして、ニューヨークでは自由の女神だって飛行機に乗るときのような、身体検査を受けないとその現場に行かせないということをしているんです。

それ自身は、そういった聖地を犯すことのないようにという、その後の措置と考えられますけれども、そういう事件が起こった前提となるさまざまな状況を乗り越えて、皆が祈りを捧げるというような、広島の平和公園のようなものから比べると、多少まだ生々しいと言いますか、問題事象がまだまだ治まっていない地点だなと感じ、その点はちょっと違うなと思いました。

それと、池が二つあるということで初め聞いて行ったんですが、池じゃなくて掘り込んであって、滝になっているんです。ざあっと水が落ちて。すごい、ざあざあと音がしていまして、音の中の静寂というのもあるのかも知れませんが、私の思った平和公園の慰霊碑前にあるような、静かな水面をした池という感じではなかったのが、ある意味でちょっと、だからどうってわけではないんですが、ちょっと違う面持ちがいたしました。

記者 為政者に来てほしいとずっと言われていますが、そのやっぱり恨みを乗り越えなきゃいけないというか、そこの部分での同じようなことを。

市長 だから、恨みを乗り越えるという行為は総じて平和公園のほうが優れていると思うんですけど、さっき言ったまだチェックしないと、そういうところに人を受け付けないというようなこと自体が、まだまだ物を破壊するような行為があるんではないかということを前提に身体検査をするんじゃないかと思ったりもするんですね。そう思いました。

記者 今回、ニューヨークまで行かれて、いろんなことを見たり聞いたりされたと思うんですが、その成果、先ほどユースフォーラムの高校生のスピーチとかを挙げていらっしゃいましたが、今回出張された成果を踏まえて、来年のNPTに向けて、同様の取り組みをするべきだと言われていましたけれど、どんなことをするべきだと、出張の成果として感じていらっしゃるか教えてください。

市長 この資料の最後のところに言わしていただいたところに収れんするんですが、6ページの(4)ですね。いちばん最後のところになります。

最終的には、核兵器をなくするという意思決定は各国政府代表なんです。とりわけ核兵器をもっている国あるいは、最近テロも増えているということで、政府関係者ではないというような評価もあるんですが、ただそれは核兵器を開発できるような国が核兵器の拡散を防ぐという措置をしっかり講ずることで、国家以外の犯罪行為をするかも分からないような方が、技術を入手するということを抑えるということをやる。

核不拡散をやるということを徹底すれば可能になるということだと考えれば、各国政府関係者がしっかりとした認識を持って、核兵器を廃絶していこうという意思を持つということがとても重要だと思うんです。もちろん世論というものがそれを後押しして、行動を促すという重要な局面はありますが、それをきちっと捉えていくということが重要だと思います。

各国政府関係者の多くの方には、今までNPT体制が十分機能していないという多くの方の疑問とか、不安があるんですが、さりながらこのNPT体制をまず維持するということを前提として物事を進めていこうという認識があると受け止めました。これは大きなことだと私は思っています。

そういう意味では、この体制に対する疑心暗鬼を生じさせないように、各国政府が真摯にこのNPT体制での取決めを実行していくということを本当にやらないといけないと受け止めてもらいたいと思います。その際に、コア(核)となる考え方は核兵器の非人道性をしっかりと受け止めてもらって、必ずや早期に核兵器を無くしていこう、いろんな諸事情があるけれども、それを乗り越えて無くしていこうということをもっともっとしっかり考えていく。

全体としてそういう世論を形成するということが重要だと思うんですね。その考え方をしっかりしたものにしていくための、具体的な広島の対応とすれば、正に人類で最初にそういう惨禍を受けたわけですから、被爆の実相と言いますか、これをいかに非人道的なものかということをまざまざと見せつける、このことを多くの被爆者が高齢化して亡くなったとしても、もちろんその方々がいる間にこれを実現するということをやり続けるわけですが、それでも、もしいかないような局面がでてくる可能性がありますので、若い方々にもそれをしっかり訴え続ける、やっていただけるようにやるということなんです。

実相をしっかり維持して、広めて伝えるという事をこの広島市がやり続ける。その一連の対応をいろんな会議の場でお示しし、各国の為政者を中心に、平和首長会議では、世界中の都市の各市民にそのことを伝えるということをやりたいんです。

今申し上げた考え方に則した個別具体的な対応をケースバイケースで展開していくということをやり続けたいと思っています。

記者 そういう非人道性を訴えることで世論を醸成していくことで、今回、先ほどおっしゃったユースフォーラム等もすごく意味があったのかなと思うんですが、来年のNPTの会議でもそういったことをやりたいなということですか。

市長 それは先ほど申し上げましたように、NPT再検討会議の際も、若い方々のサイドイベントになるかも知れませんが、出席していただく。あるいは、被爆者の証言の機会をそういう機会で設けていただくということを要請していますし、可能であればやりたいと思っています。

記者 グラウンド・ゼロと平和記念公園の関係の事、違いみたいなことで、破壊行為が前提としているという話があって、それは、けしからんという話なのか、そうじゃなくて、置かれている状況が違うよねという趣旨かなという気がしたんですが。

市長 まだ生々しいからかなと思いましたけど。

市政記者クラブからの代表質問

サッカースタジアム検討協議会について

記者 先月28日のサッカースタジアムの検討協議会において、候補地などについて市民アンケートを実施することになりましたが、それについてどのように受け止めておられますか、お聞かせください。

市長 先月の28日に開催されたサッカースタジアム検討協議会で、今後の協議会の検討に役立てるためにということで、幅広く市民の声を聞く必要があることから、アンケート調査を実施するということで、委員の意見の一致をみたということを聞いております。

私自身の受け止めですが、このアンケート調査は、よく見ますと先月の10日にサッカースタジアムの検討協議会から報告をいただいていますが、これは「中間取りまとめ」という位置付けですが、その「中間取りまとめ」の「4 あるべき姿の提案に向けて」という項目のところで、すでに言及されている中身かなと受け止めています。

すなわちそこで、「県民・市民をはじめ関わりのある人々の意見に耳を傾けつつ」途中飛びますけれど、「更に候補地を絞り込みながら議論を深めていく。」と整理されていますので、それを踏まえた方法としてのアンケート調査実施ということが合意されたと理解しています。

私としては協議会の議論が深まって、現在の5ヵ所からさらに候補地が絞り込まれるということができればいいなと望んでいます。

記者 これは民意を推し量る上で非常に重要なデータになると思うんですけど、この調査はですね、協議会だけでなく、市としてこんなふうに活かしたいという今後の方針はありますか。

市長 この協議会でのまとめを踏まえて考えます。今やっていただいていますからね。

記者 現在の協議会の予算が864万円ということで、外部の業者さんに調査業務委託を予定していますが、その費用で使い切ってしまう公算が強いわけですけど、別に調査をする場合新たな費用が必要になりますが、市としてはどのように対応を考えていらっしゃいますか。

市長 必要になるかどうか、私もよく分かりませんが、なんで必要なんですか。

記者 864万円業務委託で使ってしまうと、あと協議会の予算が無いですよね。

市長 ちゃんとやれるんじゃないでしょうか。協議会で決めているわけですから。

記者 予算が無くなるとできないではないんですか。

市長 予算をどう執行するかは決めているわけではないので、協議会を支援する予算は、市と県とサッカー協会が協力して出していますから、その中でやると思いますよ。

記者 864万円の中でできるという見込み。

市長 できるんじゃないでしょうか。

記者 もしできなかった場合は、要請があれば追加予算に。

市長 予算が必要になればもちろんやりましょうけど、やれるから意見が協議会で一致しているのではないでしょうか。できないことを一致すると思えませんけど。

アストラムラインの延伸について

記者 アストラムラインの延伸についてお聞きしたいんですが、延伸ルートについて、先月22日の都市機能向上対策特別委員会で表明されました。一方で、利用者数予測に疑問の声も出ています。今後どのように対応されますか。

市長 アストラム延伸の需要予測に関しては、今言われたように4月22日の都市機能向上対策特別委員会で説明が行われておりまして、その中で、一部意見で駅勢圏法による需要予測もしてはどうかというようなご意見があったところなんですけれど、当局側が説明した内容そのものについてはご理解をいただいたという評価になっております。私もそういう受け止めをしております。

ただこの需要予測は、後々のことを考えてまいりますと、国による事業許可を受ける際の重要な要素になっておりまして、当然精度の高いものが要請されるのは当然のことで、しっかりしたものになっているのではないかなと思っております。

ただ駅勢圏法による予測もしてはどうかというようなご意見がありましたので、この委員会での理解をさらに深めていただくために、今後、駅勢圏法による需要予測結果についても、参考までにお示しして、今申し上げた理解を深めるというようなこともやる余地もあるんじゃないかと思っています。

記者 まず、ご理解いただいたということですけども、市議会議員に後で聞いてみると、道路だけでいいんではないかとかですね、アストラムライン必要ではないかという議員さんもいらっしゃいます、たくさん。それともう一つ、今の延伸部分の一日の利用者数見込みが1万5200人、この数字は今後の収支見込みで非常に基礎となる重要な数字でありますけど、取材で聞きますと通勤・通学とか目的別・業務別とかですね、目的別には数字の内訳が出ないと。それから己斐中央線の新たな道路ができる見込みでこれをやっているわけですけど、新たな道路によってどれだけ車のスピードアップが図られるかとか、そういった数字は前提として反映されていないという、この1万5200人の利用者見込みの数字を出す上でですね。コンピューターでこれは出したんだから間違いないという形で言われると、これは非常に説明不足で分かりにくいと思います。その点についてはいかがですか。

市長 今言ったようなご意見を正に委員会で言っていただいていれば、きちんとお答えできているんですけどね。

記者 いや、委員会で出なくても、取材にも答えられないということなんで。

市長 え?

記者 取材で答えられないという、広島市がですね、それについて。

市長 答えられない?

記者 ええ。

市長 答えているんじゃないんでしょうか。

記者 答えてないから今お聞きしているんです。

市長 ああそうですか、答えていない?

道路交通局長 今言われました1万5200人の内訳で、これは四段階推計法ということで、目的とかそういうものを分類しながらやっているというのは、今記者が言われたとおりなんですけども、それは言われるようにコンピューターの中でやっていますから、それの途中でアウトプットを出すという作業はしていないので、それをするとしたら新たな費用も要りますし、別の観点から、また作業しなきゃいかんということからすぐ出ません、ということを申し上げています。

この全体の正確、先ほど市長も言いましたように、もしやるとしたときには事業許可を取らないといけませんので、そういった意味で確実性が、精度の高いものが要求されますから、そういったものの確度については、特別委員会でもご説明しましたように、現況のものを再現をしまして、今アストラムラインが通っていますけども、そこで推計値と現況がどうなのかと。乖離(かいり)が1%以内とその時に説明をしていると思いますけども、そういった確認作業もしながらやっております。そういった意味で全体としての確度は高いと・・・。

記者 いや、既存路線で合うのは当然です。今の条件でやっているわけですから。

道路交通局長 推計方法を新たに、パラメーターも組み替えて、モデル式を作ってやっているわけですから、それと今回のを比べてやっていますから、それは、精度は高いと、これは統計学上というか交通の計画上もこういった作業は道路の予測でも使いますけど、そういった確認作業もしながらやっていると、いうことでございます。

記者 新たな延長路線なんで、新たな条件を入力しないとそれはいけない話だと思いますけど、その新たな条件というのがどれだけ精度の高いものになっているかということだと思うんですけど。

市長 提案されているのは、精度の高い予測方法っていう、具体的なものがあるんですか。

記者 いや、私が(市に対する)取材で(市が)質問に答えられないからお聞きしているんですけど。

市長 具体的にそういう提案があるんですかと、委員会で、きちんとしたオフィシャル(公式)な場所で当局が説明し、そこでの了解を取られているということを前提に、私は今説明しました。その後に(記者が)議員にお話を聞いていて、そういう疑問が残っているというふうに説明を受けていると思うんですけども、そうであれば議員の方は、そこの場で言っていただいているべきことだと思いますしね。

記者 議会は議会ですんで。

市長 議会は議会って、議員が議会を構成しているわけですから、そこで発言するのが職責ですからね。

記者 そうですね。議員は議員でそういう・・・。

市長 言われていれば、それに答えていると思いますけどね。

記者 取材する上で、説明が十分ではないですね、これ。

市長 取材として、そういうふうな、具体的な精度の高いやり方を提示されて言っているんですかとお聞きしているんです。それがあるけどどうかと・・・。

記者 精度が高い、それは違うんじゃないですか。市のこの調査では答えられない部分が多いからお聞きしているのに、「新たな提案をしてくれ」というのはおかしいんじゃないですか。

市長 答え切っているんじゃないかと言ったのは、説明を納得されていないというのは分かりますけれど・・・。

記者 それは市民に対して失礼じゃないですか。

市長 え?市民に対して失礼?そんなことないですよ。議会にお答えして、申し上げたように、予測ですから、精度の高い予測方法についてのやり方で、「この予測方法と違ってより(精度の)高いものがあるんだけど、これと比較してどうか」ということを聞かれるのなら説明できますけれど、この予測方法が「単に正確じゃないんじゃないですか」という設問ではね、お答えできないんじゃないかと思う、ということを申し上げたくて言っているんですよ。

記者 正確かどうか分からないからお聞きしているんです。

市長 ですから、予測ですから、「神のみぞ知る」ですよ、そういうことを言えば。だから、先ほど申し上げたように、最終的には国の事業許可を受ける際に、そういうことも含めてオーソライズ(権威付け)されたところからチェックを受けるわけですから、それに向けて作業をしておりますから、その大前提についての諸条件は整えながらやっているという説明は、今局長もしているところですよ。

それを「自分は分からない」と言われているだけであって、分からない論拠を示されているとは思えないから申し上げているんですけれど。

記者 非常に単純なことがこう、説明できないっていうのは非常に・・・。

市長 条件設定を申し上げているじゃないですか。こういうことでやっているっていうことをまず理解していただきたいんです。

その他の質問

地方中枢拠点都市制度の活用について

記者 総務省が創設を目指している、地方中枢拠点都市に関連する質問なんですが、松井市長が3月の終わりにこの制度の活用を視野に広島のまちづくりを進めるということを会見でおっしゃったということは記憶にあるんですが、今日が総務省の先行モデル事業の締切日になっています。

広島市が名乗りを上げられるのかどうかその辺りと、さらに連携する圏域のエリアですとか、具体的にこんなことが想定できるとか、そういったどんな中身になるのかとか、具体的な中身について、もし名乗りを上げるのであれば、教えていただきたいと思っています。

市長 名乗りを上げたいと思っています。担当部局にその方向で指示を出しておりまして、実は今日のお昼が締切でして、それに向けて申し込みをすべく、今最終の処理をしているというのが現状です。

現段階における申し出の構成要素ですが、この地方中枢拠点都市の活用というエリア設定は、広島広域都市圏をまずベースに置こうということを今やっております。

すなわち、17市町の参画のもとに、これを展開できないかということで、17市町に呼びかけて概ね「じゃあ乗ろう」ということで、了解を取り付けているという状況と認識しています。

そして、この17市町のメンバー構成のもとに、具体的な地方中枢拠点都市をどういうものにするかという検討会議をまず設置しようというのが、一つの大きな枠組みです。

その時の先例ですね、全然何をやっていいか分からないということにしては申し込みとして用を成しませんので、その時の先行的な取り組み実施を取り上げるとすればということで、これは既に今やっております「まち起こし協議会」における地域資源活用型の活性化という事で、例えば神楽とか食と酒をやっていますが、それらを使いながら、さらに他のものも考えていくという展開をしたいということにしています。

それともう一つは、広島の拠点性の強化ということ、全体の取り組みというのと、その中枢となる広島そのものの強化をどう図るかということをやっていくために、懇談会を設置するという枠組みにしていまして、その懇談会は他の場でも申し上げているんですが、構成要素として、産学官これが一体になるということを提案しております。

産業界であれば中国経済連合会、広島商工会議所、広島経済同友会、広島県経営者協会、こういったところ。学の方であれば、広島大学、(広島)市立大学、修道大学とこういった昔で言う公立と私立、こんなところです。官としては、わが広島市ということにしておりまして、この中で経済発展、経済成長に資する取り組み、どういったことをするかということですね、これを間違いなく今日のお昼までには提出いたします。

記者 今お聞きすると、観光とか経済とかいう面での、なんかマスコットキャラクターがありましたよね、なんか犬みたいな。あれだと思ったんですけど、例えば観光とか経済とかそういう中枢拠点性を高める上でのポイントもあると思うんですが、市民自身が暮らしながらサービスが高まっているなと実感できるような要素で言うと、どんなことをお考えでしょうか。

市長 この協議会、懇談会を立ち上げた後に、具体的な事業展開をするテーマ設定にもよると思うんです。市民が身近に感じることができるテーマ設定となれば、例えば教育分野での取り組みであるとか、それからさらにはより身近な、ということになれば高齢者の方々の生活圏での日々の支援措置の在り方とか、そんなことにもなると思うんです。

ですからこの協議会なり懇談会を立ち上げて、もちろん産業界とかマクロでの政策展開というのを重視したテーマ設定というものと、ミクロ、市民生活レベルで中枢性が実感できるようなテーマ設定をするというようなことをして議論していけば十分可能だと思っています。

私自身、大きな問題とすれば、保健事業、こういったものを各基礎自治体共通にやっていくということは、これからの少子・高齢化の展開の中でとても重要なテーマ設定だと思っています。

※ ( )は注釈を加えたものです。

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