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2014年01月28日記者会見「原爆ドーム壁体調査の結果について」
動画は下記からご覧ください。
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市政記者クラブからの代表質問
原爆ドーム壁体調査の結果について
市長 原爆ドームの耐震対策については、想定される最大級の震度6弱の地震が発生した場合でも、原爆ドームの現状を保つことで、文化財の価値を保全するとともに、公園内の安全性を確保するため、検討を行ってきているものです。
昨年度は、想定される地震が原爆ドームの構造体に与える影響を定量的に把握するため、コンピュータ・シミュレーションにより、構造解析を行いました。
今年度は、構造解析の精度を高めるため、レンガ壁に17か所のコア抜きを行い、レンガ目地の強度とエポキシ樹脂の注入状況を調査しました。
この調査結果と昨年度実施した構造解析結果を踏まえ、大きな応力が生じる箇所を中心に、文化財の価値を損なわない手法による対策を実施します。
今後の予定としては、今年度は引き続き、史跡原爆ドーム保存技術指導委員会や文化庁と協議し、耐震対策工法の絞り込みに取り組みます。そして平成26年度は、耐震対策の実施設計を行います。
以上ですが、調査の詳細については、担当局長の方から説明を行います。
都市整備局長 まず、調査の概要、お手元の資料の「3」です。昨年度の構造解析は、コンピュータ・シミュレーションにより、せん断応力と垂直引張応力の分布を明らかにしました。このせん断応力と引張応力について、昨年、分かりにくいというご指摘がありましたので、今日は図に描いてきております。
まず、せん断ですけれど、こうレンガ壁があり、壁面に対して平行した方向に地震波が入った場合に、下の方にかかる力による動きと、上の方の動きとがあって、上の方が大きく動こうとするという物理的な特性があります。こういうレンガの下の列と上の列との間の所にずれを生じさせようとする力が生じます。この力のことをせん断力というわけです。
引張力は、壁に対して直角方向というか、壁のこういう方向にゆれが生じた場合に、傾いた側は圧縮が生じて、反対側は引っ張りが生じようとします。レンガ壁の場合は引っ張りに対して非常に弱いという特性がありますので、こちら側の引張に対する強度を測るということを目的とした調査を行ったわけです。
コア抜き調査の位置については、応力集中が判明した壁面、すなわち構造上の弱点となる、赤の点線で囲った所が昨年度の解析結果として弱点だと言われたところですけれど、こちらから取りました。
図に赤色で表示しています直径200mmのせん断試験用(のコア)が7か所、青色で表示しています直径100mmの引張試験用が7か所、計14か所を抜きました。
また、この他に、過去に亀裂を補修した箇所で、エポキシ樹脂確認用の直径50mmのコアを3箇所採取しました。
また、コア採取後の穴については、外観上の変更を最小限に留めるため、十分な強度が期待できる材料を充填させた後、コアの端面を貼り付けており、外観に配慮した修復になっています。
次に、(2)の破壊試験についてです。せん断強度試験は、7本のコアをカットし、高さ約200mmの試験体を10個つくりました。その試験体ごとに、押し抜きせん断による最大荷重を測定し、せん断面の面積と最大荷重から、強度を算定しています。
一方、引張(強度)試験ついては、7本のコアをカットし、高さ約100mmの試験体を15個つくりました。
試験体ごとに、樹脂接着剤で鋼製アタッチメントを接着し、アタッチメントを直接引っ張ることによりその破断荷重を測定し、強度を算定しています。
次に試験結果について説明します。2ページをお開きください。
まず、エポキシ樹脂確認結果についてです。亀裂補修箇所で採取したコアについては、写真にありますように、亀裂の隅々までエポキシ樹脂が注入されており、過去の補修が効果的であったことが確認できました。亀裂補修箇所以外で採取したコアにおいては、補修箇所からのエポキシ樹脂の浸透は確認できませんでした。
次に、(2)の強度試験結果についてです。亀裂補修箇所以外で採取したコアから抽出した試験体で破壊試験を行った結果、レンガ目地の強度は、お手元の資料の表のとおりです。原データをグラフに示していますけれど、当初の想定値に対して、せん断強度で約2倍、引張強度では、想定に対して3分の2の強度が確認されております。強度はバラつきが見られますが、期待値である平均値を算出して判定評価を行っています。
以上の結果から得られた目地の強度と、想定される最大級の震度6弱の地震波を受けたときに原爆ドームにかかる応力を比較検討し、応力ごとに対応方針を定めました。
まず、せん断応力については、目地の強度を超える範囲がごく僅かであり、耐震対策は実施しません。
垂直引張応力については、目地の強度を超える範囲が当初の想定以上に存在することが判明したため、鋼材を壁に当てるなど、文化財の価値を損なわない可逆的な手法により、大きな応力が生じる箇所を中心に対策を実施します。
今後、具体的な工法が定まりましたら、また、皆様にお知らせしたいと考えています。以上です。
記者 基本的なことで申し訳ないんですが、レンガ目地とは、レンガとレンガを接着させているコンクリートの部分と考えてよろしいんでしょうか。
都市整備局長 (レンガとレンガを接着させている)モルタル部分ですね。
記者 モルタル部分?コンクリート部分?
都市整備局長 セメントと砂と水とを混ぜて、間を詰める。レンガっていうのはそうやって積み上げていくわけです。そのモルタル部分のことです。それを目地と呼んでいるんです。
記者 モルタル?
緑化推進部長 セメントと水と砂を混ぜたものがモルタルです。コンクリートというのは、それに粗骨材といいますが、石ですね、石を混ぜたものです。
都市整備局長 ですからこれは、モルタルというのが正確な言い方です。
記者 エポキシ樹脂ですか、これについては、一応、補修箇所については問題ないんだけど、さらに期待していた浸透、細かい毛細血管みたいなところにまでの浸透までには至っていなかった。だから狂っていたっていうわけじゃなくて・・・。
都市整備局長 当初期待していたような効果は、ここにあるように、亀裂内には十分詰まっていました。ただそれが、隅々まで浸透していて、構造的に強固なものにするような効果を及ぼしているんじゃないかと予想をしていたんですけれど、そういうことはなかったと。
記者 だから、当初、「最低限これだけは」という以上はあったんだけれど、さらにっていうところになると、そこまでにはなかった。
都市整備局長 そうですね。
記者 今回問題になっているのはせん断強度ですが、このせん断強度っていうのは・・・。
都市整備局長 せん断強度は問題ないです。十分ありますから。
記者 ごめんなさい、引張強度ですね。引張強度については、当初(の想定)よりも3分の2くらいだったんで、その引張強度っていうのは、傾いたときに・・・。
都市整備局長 そうですね、こちら側に、引っ張られる側ですね。こう傾いたときに背中になる側が引っ張られますので、こちら側に強度不足が生じるから、これへの補強をしないといけないということですね。
記者 揺れる方向と反対側で反る。
都市整備局長 そうです。ただ揺れは行ったり来たりしますから、こちら側だけじゃなくて・・・。
記者 反りの強度っていったらいい?反りに対する抵抗力ですか?
都市整備局長 はい、そうです。部材的に言うとそういうことです。反った側が引っ張られますので、それに対する抵抗を強化するような対応をしないといけないということです。
記者 確認なんですけれど、先ほど市長の方からの発言で、今年度中に引き続き保存の技術、耐震技術について文化庁と協議をして耐震の方向の絞り込みを行うというお話だったんですけれど、そうしたらもう残り2カ月ちょっとである程度、引張強度に関する耐震の仕方という方法は、かなり固まると考えてよろしいわけですか。
市長 はい。事務的に申しましたように解析はできていますから、あとは年度内を目途に工法を絞り込んで。皆さんへの公表は新年度になろうかと思いますが、できるだけ早い時期にいたします。
記者 このエポキシ樹脂がすごく効果的だというのは分かったんですけれど、これ(の注入)をいつごろされたのかというのと、これから具体的に考えられるんでしょうけれど、市長の方から、「文化財の価値を損なわない可逆的な手法により」というのを、もうちょっとこう・・・。
市長 具体的に?
記者 具体的と言うか、今考えられるのはこんなこととかこんなこと、というのがあればありがたいなって思うんですけれど。例えば、(資料の5の)「今後の対応方針」のところの、⑴番の二つ目のマルです。
市長 今局長がご説明した二枚紙(資料)ありますよね。それの「今後の対応方針」の⑴番の一番下の黒ポツの二つ目ありますでしょ。ここに一例が書いてあるんです。私の理解ですよ。「鋼材を壁に当てるなど、文化財の価値を損なわない可逆的な手法」と言っているんです。つまり、永遠に構造物をがちっと固めるのではなくて、何かあれば取り外せるけれど効果があるような手法、こういうことなんです。
何かあるときは、取り外してまた元の姿が見られる・・・。
記者 8月6日の近くとかになると外したり、こういう・・・。
市長 ということじゃないかと私は理解しています。どうでしょうか?そういうことを言ってるんじゃないですか?
都市整備局長 付けたり外したりじゃなくて、付けておくんです。いつ地震が来るか分かりませんから。
記者 ずっと付けておくという・・・。
市長 付けておきますが・・・。
都市整備局長 あまり外観を損なわないような形のもので耐力が十分にある・・・。
記者 支柱とかなんかだったら外装を損なうんですが、そこを今から考えるということですか。
市長 そうでしょうね。
都市整備局長 もうすでに協議に入っていますから、それを年度内に詰めて、年度が明けたときには皆さんにもう一度発表できるようにしたいということです。
記者 今も鋼材みたいなのが入っていますよね。あれが増えるという意味なんですか。
市長 かも分からないです。いずれにしても、文化庁が、「文化財だから原則外観を変更しないようにしながら可逆的」とこういう定義をしているらしいんですね。だからいろんな価値観があるんですけれど、補強分があっても(それが)なかりせば元々はこんなものだなというのが分かるくらいのものにはしつつ、かつ、効果として耐震構造になるようにと、それを詰めなきゃいけないということだと思うんですね。
だからどなたかが一律に「これがいい」と決めるんじゃなくて、協議をする中で「こうかな?こうかな?」ということをやるので、もうちょっと時間がかかるということだと思うんです。
記者 鋼材を当てるというのは、内側に当てていくわけですよね。両方に当てるわけではないですよね。表のほうにも。内側のほうにまた梁を作ってという形になるということですか。
市長 だと思いますけど。
都市整備局長 はい、そうです。そういうことを考えています。まだ具体化はこれからですけど、そういう方向でどうかなということで、今いろいろ案を巡らせて協議を始めようとしているところです。
記者 2つお伺いしたいんです。一点は実施設計が来年度ということで、着手と完成、終了がいつ頃になるかという見通しと、この調査結果を受けた市長のお受け止めと、今後の、広島市としてやるべきことはどういうこととお考えか、というのを。
市長 26年度当初予算で実施設計に入れればと思っていますから、作業が上手くいけば、被爆70周年という年の(平成)27年度には工事着工に入れるのではないかと思いますが、工事がどこで終わるかというのは、ちょっと、どうなんですかね?
緑化推進部長 工法がまだ確定していませんので。
市長 工法によるということらしいんです。すいません。着手は上手く順調にいけば70年の年には入れると思います。
あと原爆ドームをどう考えるかということですけど、自分自身は広島のこの平和への思いを共有していただく、その思いを発信し続けるまちであるための重要な使命として、被爆した建物等を将来にわたって保存するということは、とても重要な位置付けを与えているつもりです。
だから、こういった被爆の実相を多くの方が感じられるようなものをきちっと保存していくということはやり続けたいと思います。
記者 それでは、被爆70年に工事の着工ということですけども、被爆70年たくさんの観光客が来られることが予想されると思いますけども、そういった方への工事で見えなくなったりすることもあろうかと思うんですけど、そういった配慮はどのように考えていらっしゃいますか。
市長 そこは、確かに。どうなのかな?
都市整備局長 工事用の櫓を組んで、通常いろいろシートを被せるんですけど、原爆ドームの工事の場合は、そういう観光客の方の視認性を確保するために、透明のシートを覆うような工夫をしておりますし、期間もなるべく短くなるように、それから8月6日の頃には撤去するようにという工程の組み方で工夫しております。
記者 ということは、被爆70年の8月6日以降に着手するのではなく、8月6日までに終わらせるということですか。
緑化推進部長 先ほど申しましたように、工法が確定しておりませんので、どのくらい期間がかかるかは分からないんです。おそらく短期間では出来ないので、おそらく8月6日以降の着工になろうかと思います。
記者 8月6日以降ですね。それに関連して、本筋とちょっと逸れるかどうか分からないんですけれども、3年に1度の健全度調査もちょうどこの時期に当たるかなと思うんですが、その辺の整理はどうしていらっしゃるのでしょうか。
緑化推進部長 3年に1度そういった調査、劣化に対する調査をしておりまして、今回、実施設計するに当たりましても、現場を調べなくてはいけないので、足場を組んで、というような作業に入ります。
そういったことから、何回も何回も足場を組んだり外したりというのは、観光客の皆さん、あるいは市民の皆さんにとっても支障があるということで、そういった時期というのは、一回組んだ時期に実施設計の調査にも入るし、健全度の調査にも入るというように、時期を合わせてやるように考えています。
記者 8月6日以降ということですか。補修工事も8月6日以降ということですか。
緑化推進部長 そうです。
記者 補修工事も耐震の工事もいずれにしても櫓を組んだりする作業は、被爆70年の8月6日以降ということで間違いないですね。
緑化推進部長 健全度調査は、来年度、3年に1回調査をしていると言いましたけど、健全度調査も補修工事も来年度やります。前回調査をした結果に基づいての補修工事というのは来年度に入ります。そこは来年度、調査と前回調査分の補修の工事、これを同時に入る予定です。
記者 後で聞きます。
記者 引張強度が想定の3分の2だったということですけども、震度6弱が仮に起こったときに、レンガがどうなる可能性があると言えるものなんでしょうか。
都市整備局長 部分的に言うとこんなにばらつきがありますから、非常に強い部分とほとんど耐性がなくなっている部分とあるわけですけど、構造体としては一部分だけで保たせているんじゃなくて、壁で保ちますから、壁全体として強度として保ちますから、崩壊に至る、なんていう状況ではなくて、一部破損するかもしれないけど、構造体として全体が致命的な状況であるというようには思っていません。全体としては保つ、ただ部分的には弱点があるので、それに対する補強をしないといけないというのが今回の結果分かりましたということです。
記者 それはドームのどの場所になるのですか。
都市整備局長 こういうところが、だいたい応力が強いところなんですけど、こういうところについては、何らかの補強が必要だと、こういうところですね。
壁がざぁーっと立ち上がっていて、後ろに支えが無いようなところについては、壁自体に対する何らかの補強をしていかないといけない。
記者 4か所について鋼材を当てるというようなイメージでいいんですか。弱い所。
都市整備局長 大きく見るとこういうところですね。ただこれも両側ありますから、箇所としてこれを1か所と見るかどうかですね。
部分としてはこの部分、この広がり。ここの部分。ここですね。
記者 箇所で言ったら何か所くらいなんですか。
都市整備局長 工法によって、ポイントで示す箇所は変わってきますから、今の段階は、工法が決まるまではなんとも言えないです。
記者 今回想定は震度6弱が発生した場合ということですけど、その想定外というのは東日本大震災でもあったように、震度6強とか7とか、もしそういうことが起こった場合は、どうなるというようなシミュレーションはされているのか、もしくはどうなる、その点はどう考えていらっしゃるのでしょうか。
市長 ちょっとテクニカルな、技術的なことではありますけど、想定を超えたら今のような補強のやり方だと、一部崩れたりするというのは(起こりうる)。素人的な判断ですけどね。
先ほど申し上げたように、この被爆の実相を発信し続ける施設として、ずっと保存すべきだという立場からいきますと、崩れた後でも修復するなりするということをやるということで対応していかなければいけないと思うんです。
実際、今写真とかで3次元でいろんな形を撮っていますから、崩れても復元するということをやるという構えではいたいなと思いますけど。
記者 それは6強以上だったら崩れると想定しているわけではない。
市長 ないですけど、まず予防措置として、6を超えるのがほとんど無いと言われるから、何百年に1度だとしても、それが明日来るかも分かりませんけど、その時の心構えをして、修復して、復元してでも残すというその心構えをしておくということが、現状の中での一番の備えじゃないかと思いますけど。
記者 震度6弱だったら、今のままをこの工事さえしておけば、今のままで残っていける。
市長 今の技術水準からなら大丈夫でしょうということだと思います。
市政記者クラブからの代表質問
政令市の「総合区」の設置案について
記者 幹事社から代表質問をさせていただきたいと思います。まず1点目が、政令市の「総合区」の設置案についてです。
政府の地方自治法改正で、政令市の行政区の権限を強化する「総合区」の設置案が浮上していますが、これに対する期待、注文など市長の受け止めをお聞かせください。
市長 「総合区」という考えは、少し勉強したところによりますと、地方自治法の改正法案の中に出ているんですけども、昨年の6月の地方制度調査会の答申を受けて地方分権の一環ということで位置付けられていますね。そして、内容も都市内での分権をすることで住民自治を強化すると、こういう流れで言われていると思います。
本市の場合、見ていただくと分かりますように、住民の意向をまずしっかり汲み取って、住民の身近なところで行政サービスを提供するということが極めて重要で、そのシステム構築ということが自分としては、真の分権型社会を目指すことになるという認識でおります。
その認識の下で今、実際やっていることは、国・県等と連携しながら、現行の枠内であったとしても実現可能な住民サービスの向上につながるような取り組みをするという整理をしていまして、そういう取り組みをしている私からすれば、現段階で、直ちに都市内分権まで急いでやらないといけないということではないんじゃないかと思うわけですね。
実際、見ていただくと分かりますけども、私自身は区役所の機能強化という位置付けで今いろんな作業をしております。すなわち、副区長を配置するということもその一つでありますし、それから区長の裁量権を拡充するということで区政運営調整費を創設いたしました。これらをある意味では試行的なやり方ではありますけれども、今の枠組の中で着実な分権というようなことをやっていると認識しています。
そういう意味では、地方分権というのは間違いなく今後とも加速すると思いますけれども、ここで言う「総合区」というのは、こうした方向の中の一つのやり方だと考えていいと思いますので、地方自治体のいろんな意見を十分聞いていただいて、地方分権にふさわしい制度設計が行われればいいんじゃないかなと思っています。
記者 ということは今おっしゃったのは、要するに県からいろいろ権限を受けようとしている段階で、市自体が権限を強化しようとしている、そのときに「総合区」を作って、これをまた区に譲り渡すというのはまだ・・・。
市長 現段階では、我が市としては無くてもいいんじゃないかと、今の自分のやっているやり方で、もう少し真の分権型社会が目指せるんじゃないかと思います。
記者 ということは、これはたぶん大都市向けで、横浜とか大阪とかそういうもの向けのいわゆる・・・
市長 そうですね。いろんなタイプがあっていいと思うんですね。だから、それをやり方の選択肢の一つとして認知するというのはあっていいんじゃないかと思いますね。
待機児童ゼロに向けた対策について
記者 二つ目は待機児童についてです。待機児童ゼロの目標達成に向けた来年度の対策として市長が考えていらっしゃることをお聞かせください。
市長 来年度の取り組みの具体的内容というのは、今、(来年度予算の)査定作業を含めてやっていますので、もうしばらく待っていただきたいと思いますが、現段階で基本的な考え方をご紹介することで、それに代えたいと思います。
まず基本認識ですけれども、本市の人口が平成27年の118万8千人をピークに、その後は減少する見込みという統計数値をしっかり頭に入れてということであります。その人数が減少するという中で、老年人口比率、これは今後も確実に増えると、すなわち現在の21.4%から平成52年あたりには34.8%になると、こういった状況があります。
これは、対策などを打たなければ、今までの流れの中でこうなるという予測でありますが、それを、いきなり物事を変えるというわけにはいかないので、これをいかにあるべき方向をにらみながら調整していくかというようなイメージとして捉えるんですけれども、その際、いわゆる高齢者を支える層というのをもう少ししっかり政策のターゲットにすべきじゃないかと。
すなわち、生産年齢人口とか、将来、生産年齢になる年少人口、これを可能な限り厚くしていくということをやっていかなくてはいけないんじゃないかなと思うんですね。
そのためには、今の若い世代が地域で子どもを生み育てやすい環境を今から早急につくるということで、今言った単純推計と言いますかね、それを少しでもまちの活性化のために、役立つ状況に持ち込むということをやりたい、これが基本認識です。
そうするためには、限られた予算の中で、高齢者の方から子育て世代への予算配分ということを少しシフトするということも当然念頭に置く。それと同時に女性の社会参加を促すということですね。今の労働力、生産性を落とすことなく、同時に、ここがなかなか大変なんですけども、安心して子どもを生み育てられる環境づくりのための施策展開ということにウエイトを置いていくということがいると、こういう認識です。
そうすると、そういった考え方の中で当然、待機児童解消というのは、非常に重要な、かつ喫緊の課題になると認識しています。
それで、26年度はどういう考えで(予算を)組むかということをやっている所ですけども、少なくとも、国の動向なども当然見据えるということで、この場合は、子ども・子育て支援新制度の施行というのが控えておりますので、まず、できれば、そういった新制度を先取りするような展開を我が市でできないかということが一つですね。
それから、もう一つは、待機児童ということになると、二つの要素があるんですよね。その児童を預かるための受入枠ということと、実際に受け入れて、そのお子たちの面倒を見る保育士、この二つが重要な柱だと思います。
まず受入枠の方は、今までも言っていますけれども、27年度当初までに必要な枠を確保できるようにすると。それと急ぎですから、こういった施設を迅速柔軟に確保するということになれば、もちろん預かったときの質等の問題もありますけれども、それをちゃんと維持しながらということですけれども、賃貸物件なども考える、あるいは既存の施設を活用するというようなことを考えて、その受入枠をしっかりつくるということをやる。
それからもう一つ、その受け入れたお子たちをしっかり見守るといいますか、お世話するための保育士の確保が要ります。これは当然、保育士がちゃんと勤められるようにさまざまな支援と、概念的には、保育士をする方々がずっと働き続けられるようにするということと、それから、潜在的に、一回勤めていても辞めたという方がおられれば、そういう方々の再就職支援ですね。
そしてできれば、そこの動機付けを高めるために就労条件なども良くする、そういったのを一体的にやれるような施策を打ちたいなと思っています。具体的には、作業を終えて、そういった要素を盛り込んだ対策を発表したいと思っています。
記者 確認ですが、平成27年度当初で待機児童ゼロというのが目標だった思うんですけど、それを目指して来年度予算を・・・。
市長 目指しています。
記者 かなり、年度途中でも(待機児童が)増えている状況で、状況的には厳しい状況ですが。
市長 受入枠を多めに確保するというのが、どこまでできるかなんですけどもね。受け入れる方々も発掘しなきゃいけませんから、その作業もあるんですけどもね。ある意味で、そのための刺激策みたいなのもかませて、少し計算値より多めの受入枠を確保できるような仕掛けにということを今検討しています。
その他の質問
中学校でのノロウイルスの感染拡大について
記者 中学校でノロウイルスの感染が拡大したという問題なんですが、昨日デリバリー給食の業者の従業員からノロウイルスが確認されたということなんですが、今回の件で改めてデリバリー給食の業者に対する選定の在り方であったり、指導の在り方、あるいはもっと広く言うとそもそも中学校の給食も、デリバリー給食というスタイル自体がどうかということも含めてですね、市長としては何かお考えというのはあるのでしょうか。
市長 今回の事件は本当にあってはならないことだという基本認識でおりまして、生徒、保護者にお見舞いと一日も早い回復をしていただくように祈っております。
そんな状況ですが、今後の対応ということになれば、それこそデリバリー給食そのものの意義が、今言われたように問われることになりますので、衛生管理の一層の徹底、再発防止というものをしっかりやらなければいけないというのが今時点での基本認識です。
そういう認識に立てば当然再発防止策をしっかり徹底するということになると思いますが、今回の食中毒事件について今原因究明をしております。一人(ノロウイルスの感染者が)おられたということですが、どういう経路で行ったかということ自身まだ不明でありますから、そういう原因究明の結果を受けて、衛生管理の徹底を図るための再発防止策をしっかり講じられるよう指導していきたいと思っています。
記者 関連で、保護者の方からすると、感染が広がらないようにするに、一番安心なのは、難しいかもしれないですけど、自校の調理室でやってもらうのが一番安心だったり、あるいは市が直営の給食センターというのが、信頼度・安心感という意味では、あるのかなという気もするんですが、そこの部分を検討する余地というのはあるのかということについてはいかがでしょうか。
市長 大量にものを生産する、作るということで、そこでの衛生管理が少しこういうふうに問題が起これば大きな影響が出るという、その側面をとらえれば、分割して生産すると、ものを作ると、いう点、プラスの影響を与えるという判断はありますが、大量にこういった食材を提供するというやり方として、デリバリー給食も今までの経過の中で、効果を発揮してきているわけですから、今回起こった事案に関して言えば、衛生管理の徹底ということを、それ自体が極めて問題だったんですね。
そんなに分割して生産する、ものを作るとしても、その分割したところでの衛生管理はずさんになっていいかというと、それはないわけで、それはそれでまたやると。問題が起こったときの被害の広がる可能性が、もし他のところが適正に管理できていけば広がる可能性が少ないということですね。
その時には当然にアプリオリ(初めから)に分割すれば当然全てがかちっと衛生管理が出来るだろうという想定なんですけど、部分部分の衛生管理がどれだけ分割したとしてもできてないとすると、これは事態は変わりませんから、そういった生産の分割、あるいは直接学校がやるという問題と、現在直ちにくっつけて考える必要はないと思うんですね。それはまた別の視点で、こういうことも配慮しながら、きちっと議論すべき課題です。
今の問題とすれば衛生管理を徹底すると、どんな生産システムであろうと、そのシステムに応じた衛生管理を徹底するということをしっかりこの際、追及すべきだと思っています。
記者 今回、実際にノロが検出された従業員は、自身体調不良を訴えていなかった、つまり健康保菌者であったので、こうした方たちを未然に防ぐ方法とか、今回どうしても、もし事前に体調不良を把握していれば、それは何らかの対策ができたんですけれども、やっぱりそれは分かっていないキャリアだったために、こうして広がった可能性があるともみられるんですが、そうした人、そうした場合へのこうした調理施設に対する対応っていうのは何か考えがおありですか。
市長 私自身、こういった問題に詳しくないのでちょっと正確な答えになるかどうか分かりませんけども、いずれにしても少なくとも今回の調査をしっかりやって、感染経路などの解明を進めるという中で、今言われた答えが一つ出てくるんじゃないかなと思うんですけども。
最新情報によればこの35人の検体の中で1人陽性が出てきた、その方が容器を運ぶ時に、手袋と言いますかね、業務用の手袋をしていなかったという、そこの点があるということまでは分かっている話ですから、そういった本当に基本的な作業を徹底するということで防げたのかも分かりません。
それだけでは足りないというような調査結果になるかも分かりませんので、それはその際にそれプラス、どういった対応策があるのかということも併せて検討し、繰り返しになりますけど、今回起きた事案をしっかり調査して原因究明をするということから解決策を考えていきたいと思います。
※ ( )は注釈を加えたものです。