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ページ番号:0000012963更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2013年5月2日記者会見「NPT再検討会議第2回準備委員会への出席等について(帰国報告)」

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市からの発表案件

NPT再検討会議第2回準備委員会への出席について

市長 NPT再検討会議第2回準備委員会への出席について帰国報告させていただきます。このたび、(4月)20日から26日まで(スイスの)ジュネーブ(市)に行って参りました。私と、(公益財団法人広島)平和文化センター理事長の小溝さん、職員2人の4名構成です。主要な用務の報告、(資料の)項目「4」以下でざっと申し上げます。

22日月曜日から会議がございまして、NPT再検討会議第2回準備委員会オープニングセッションを傍聴しました。その際、コルネル・フェルッツァ準備委員会議長の進行により、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表が挨拶を行い、NPTの目的、大きく三つの柱を持っていまして、核不拡散、横の対応と言っていますけれど、核軍縮、これは縦の対応、原子力の平和利用について、2010年NPT再検討会議での取決め、これをしっかりやっていかなければいけないと呼び掛けました。

その後、議事進行の中で、第3回準備委員会を平成26年4月28日から5月9日までの間ニューヨークで、また、2015年NPT再検討会議を平成27年4月27日から5月22日までの間同じくニューヨークで(開催することが)決まりました。この点については、広島で、ということを要請して参りましたけれど、それがかなわないという結果になりました。

これについては、私としては、引き続き、こういったNPT再検討会議の開催を含む為政者の会合を可能な限り広島で開催できるようにしてくれという要請は今後ともやっていきたいと思っています。

その後、天野(万利軍縮会議日本政府代表部特命全権)大使と会いました。天野大使は資料にありますように、軍縮会議日本政府代表部特命全権大使という立場ですが、この場で、長崎と一緒に参りましてお話をする中で、大使自身は日本政府と長崎・広島は、(核兵器の)非人道性についての共通認識は持っていると自分も確信しているという話があり、そんな中でその流れがあるんだったら、南アフリカ等が発表する予定である「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に日本政府として是非賛同してもらいたいと要請しました。

天野大使は、その場では、平和市長会議の加盟都市数が増加している、そういう意味では賛同者が増えて影響力が増していることを評価するという発言されるともに、広島・長崎両市が「核兵器のない世界」を目指すという方向性において(日本政府と)共通認識しているということもよく分かっており、協力できることを共に進めていきたいという一般論的な話があり、その時点ではがんばってもらえるかなという感触を受けました。

実際は、本省とのやり取りを相当やっておられて、なかなか判断がつかないという状況があったということを後から伺いました。

その後、(カシムジョマルト・)トカエフ(国連欧州)本部長との面会は、(平成)23年の(国連欧州本部における被爆に関する)常設展示での開会式に続き2回目でしたけれど、またお会いできまして、広島・長崎(両市)の目指すところを重ねて説明したところ、ご自分もそういう核実験に関係するという経験を持っておられる方ですので、(このように繰り返し協議の場を持つことは)非常に重要であると認めていただいたと思っています。

私自身はこの場で、自分の日頃から感じている見解を申し上げて、今言ったような事態が起こるというのは、基本的には国同士が疑心暗鬼となる、相手が何をやるか分からないという前提の中で、不信感を前提として、自分達の国民を防御するというような立場であるから、そういう構造を認めるということになったときに最終の兵器、核兵器を持たざるを得ないと思考してしまう。だから疑心暗鬼を取り除く構造を作っていかなきゃいかんと。その構造は、何といっても各国のリーダーを中心に疑心暗鬼を取り除くような環境を作っていかなきゃいかん。だから国連からそういったことをやっていただくようにお願いしたいと。そのときに、最終兵器である武器、これは「絶対悪」なんだから、理屈抜きで持ってはならないというメッセージをともに発信してもらいたいとの要請をし、あわせてその場で潘基文国連事務総長に対する「核兵器禁止条約」の早期実現に向けた取り組みの推進を求める要請文を手渡し、(事務総長に)間違いなく渡すというご返事をいただきました。そういった要請をしていますから、国連と価値観を共有したうえで、共に今後とも活動したいと述べたところ、トカエフ本部長からは、「そのとおり」と、引き続き平和市長会議と協力すると、もちろん支持するというお話をいただきました。

翌23日には、国際安全保障フォーラムの議論を傍聴しました。「核軍縮を巡る情勢」をテーマにフォーラムが開かれて、分科会で三名の方の議論がありました。

元オーストラリア外務大臣、もう一人が元国連軍縮(問題)担当事務次長、もう一人が元英国国防大臣の三者の議論を聞く中で、2010年NPT再検討会議のアクションプランがなかなか(具体的に)進んでおらず、これは市民社会というレベルで世論を盛り上げて押すということが必要じゃないかという話がありましたので、ここはということで、一緒に聞いていた小溝さんが積極的に手を挙げて発言されました。

そこでは私どもの論旨に関して主張していただいたんですけれど、現在、相互不信に基づく不安定な安全保障体制、(つまり)相互不信があるからこそ安全保障体制がいるんだという、不安定な体制に依存し続けるのは、現在では仮に持つとしても、長い目で見て永続するものではないんだと、そんな前提で考えた中で、被爆者の、近親者の被害を目の当たりにすると、そして、そういうことを起こした人(核兵器を使用した人)を恨むんじゃなくて、それを越えて「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」と願う、そこまでの気持ちを皆が共有し、人類は皆同胞なんだという新しい発想で物事を考えていけば、新たな安全保障体制ができるんじゃないかと、相手を不審に思うことでつくる安全保障体制ではなくて、同胞意識に基づく安全保障体制というのが今後絶対いるんじゃないかと、そういう視点からのコミュニティ意識の醸成が必要であると発言いただきまして、一定の評価を得たと考えています。

その後、フレッド・タナー(ジュネーブ)安全保障政策センター所長と面会しました。タナー所長は、核兵器の非人道性を巡る動きが加速しており、今後の展開に期待を示しましたが、(今年)3月にオスロであった(核兵器の人道的影響に関する国際)会議、ここで核保有国が出てなかったということが事態の進展の難しさを示しているという話をされていました。そして、こうしたプロセスに(核)保有国を出席させるようにしていくためには、市民社会の参画の中でいかに機運を醸成するかというのが重要だという話をされました。そんな中で加盟都市が5,500を越えている平和市長会議なんだから、そういったところでも今までの動きを評価するので、今後ともしっかりやってくれということを話されて、我々に対する期待のお言葉をいただきまして、共にがんばりましょうということを申し上げました。

その後、クリスティーヌ・ベアリ赤十字国際委員会副総裁とお会いしました。ベアリさんには、なぜ(我々が)ここに来たかということを紹介する中で、赤十字(国際委員会)から来られていた(故)マルセル・ジュノー博士の話をしました。そして、核兵器が非人道性を持っているものだということと、それに関する動きという中で、(平成22年に)赤十字国際委員会総裁がステートメント(公式の声明)を出していただいて、従来から広島が言っていた非人道性ということが世界的なレベルで取り上げられるようになったという意味で非常に赤十字に対して親近感というか感謝の念を持っているとまず最初に申し上げました。

その後、実際にこういった活動を通じて、赤十字というのは被害を受けた方々を区別することなく救済すると。私自身は、そういう救済局面を本当は無くさないといけないという立場ですけど、(被害が)起こった場合は救済すると。

そして、我々(平和)市長会議は、そういった悲劇的な事を起こさない、事前の対応ということで、一連の同じ考え方、つまり、核兵器というものは非人道的であり、使わないことでそういうものを予防する。そして、人を救援しなければいけないという立場で、そういうこと(被害)があるから救援しないといけない事態が起こるんだという意味で、共に共通目的を持っているので、がんばりましょうという話になりました。

そして、私自身はそんな中で、福島で原子力発電の事故が起こり、多くの問題が生じているという中ですけど、この(原子力の利用を)人為的にやろうとするものですら上手くいかないんであるから、意図的に人を殺すために使う核兵器なんていうのは、こういう時代だからこそかえって「絶対悪」ということで、あってはならないということを一緒に言おうじゃないかということを要請するということもしました。

実際、赤十字と我々の連携した動きをいろんなレベルでやっていこうじゃないかということを申し上げまして、その点については、ベアリ副総裁からも納得いただきまして、こういった共通項目が多くある中で、プロジェクト的な動きをやろうじゃないかと。

日本の場合は、日本の赤十字ですね。そういった所とも連携を取りながら、やっていこうではないかということで、今後の協力関係を深めるということについての了解をいただいたという状況があります。

その後、会議場でコーナーを陣取りまして、各国政府関係者と次々と会って参りまして、その中でオーストラリア、フィリピン、ベルギー、トルコ、マレーシアの政府関係者とそれぞれの国の取り組み状況などを聞き、核兵器禁止条約に向けての取り組みについて、政府レベルでがんばっていただきたいという話をさせていただきました。

そしてその後、平和市長会議のメンバーで運営体制充実に向けての意見交換を行いました。今年の8月に広島で、総会の事前の調整ということで役員都市等とその内容について協議して、今まで詰めてきた内容、すなわちメンバーシップ納付金をいただくこと、そして、地域グループ化して推進リーダーを決めてやっていくこと、被爆樹木の種の配布であるとか育成、そして、平和公園内にある「平和の灯」の分火・継承、そういったことを今度の総会で決めていただくということについて、役員間での了解がとれました。

次に24日ですけど、第2回のNGOセッション、NPT再検討会議準備委員会でNGOセッションに出まして、ここでスピーチをさせていただきました。

若手の方が当初、フリーディスカッションと言いますか、それぞれのテーマで発言をされて、その討論が終わった後で、壇上の後ろで控えていた我々三人、私と、長崎市長ともう一人関係者ですけど、前面に出ましてスピーチをさせていただく機会を得ました。

私自身は、そこでは昨年の平和宣言の一節を引用しながら、核兵器の非人道性、「絶対悪」であるということを訴えまして、こういった思いをさせないような国際社会、こういった思いをしないような社会になっていくように共に行動していただきたいということを申し上げ、また、こういったことが起こるのは、疑心暗鬼、相互不信というものを前提にしながら、安全保障体制を構築するというやり方に基本的に問題があるのであり、もっと発想の転換をして、同胞意識ということに根差した安全保障体制を構築しようと考えるのが、もっと違った方向になるのではないかというところを訴えたところです。

そして、そういった考え方を受容していただいて、とりわけリーダーシップを各国為政者といいますか、代表の方が持ちながら、核兵器禁止条約の交渉に向けて取り組んでいただきたいというような話を申し上げました。

その後、(平和)市長会議の2020ビジョンキャンペーンの役員会も開催しまして、活動状況の報告を受け、今後の活動・行動計画についての問題点などについて討論をしてもらいました。これは、引き続き継続する課題がたくさん出てまいりまして、メンバー同士でさらに充実する対応策を練っていこうというまとまりになりました。

その後、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表とも個別にまたお会いしまして、核兵器の非人道性に焦点を当てた核兵器非合法化の動き、そんなことを前提にしながら、政府とか関係機関、特に国際機関に働きかけをしていただきたいということを申し上げ、その際、国連と一緒になって安全保障体制を構築していく必要性があるということを申し上げました。

代表からは、「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に、(日本政府が)賛同しなかったことに触れながら、(日本)国内の事情は、立場上多少ご存じのようでして、いろんな議論があったということは承知のようではありましたが、私が言うような方向、正しい方向に向かって、議論が向いていくことを願っているということで、私なりの考え方に賛同と言いますか、ご支援をいただけるような発言をいただきました。

その後、(日本政府が)共同声明について賛同しないというような報告がありましたので、急遽、長崎の市長さんと天野大使に話を聞かせてくれということで、面会を申し込み、同じパレ・デ・ナシオン(国連本部建物)の離れの方で席を作ってもらい、面会するという局面がありました。

そして、今回の結論、最初にお願い申し上げたときには、共同で協力するというお話があった中で、結論としてどうも納得がいかないと、経過などをなぜかということで重ねて聞くという、1時間近くお話させていただきました。

こんな中で、今回の結論そのものは、大変、自分たちの考え方からすると、遺感、納得できない、残念であるということを申し上げ、申し上げたんですけど、大使の話ですと、限られた文言ですよね、長い長い文言の中で、一部の部分のところについて、ここを深く解釈していくと安全保障、今、我が国がとっている、当面の状況下の中の安全保障政策と必ずしも整合してないという議論がどうもあるということでした。

そして、手続き的にはそういったことを踏まえて個々の微修正を願い出たところ、そういった微修正であれば聞かないこともないんだけど、そこまで言うんだったら、今、賛同国が70超えているけど、個別に、窓口の担当国がいるんですね、窓口の担当国のところに行ったら、個別にあなた(大使)が(70超の賛同国に)言ってくれたらやる、つまり、窓口としては、ちょっとくらいの修正は問題ないんだけど、自分でやったら、ということを最後言われたので、それじゃあできませんということで時間切れになってしまったという局面があるという説明を受けまして、手続き的な話ではなくて、実質的にどうなんですかと言ったら、結果としてはこういうことなんだということを言いながら、こういった手続きを重ねたという実績は残るので、今後の対応については、中身と全体を読んでいくと賛同できる部分は多いので、少し展望が開けたと大使自身は思っているというような説明もいただきました。

その中で我々とすれば、そういう内心の意図と言いますか、裏事情は分かるとしても、結果として同調できていないということについて、重ねて納得できない、疑問だということを申し述べて、もしそういった動きがあるんであれば、今後に向けて本当に我々の考え方、被爆者、被爆国としてのビジョンをしっかり書いて、リーダーシップをとっていただくよう、さらに努力していただきたいということを申し上げ、会談が終わるという局面がございました。

その後、レミー・パガー二、ジュネーブの市長さんが、懇親会を開いてくださいまして、その場で核兵器禁止条約交渉開始を求める市民署名、その場に準備委員会の議長さんが来ておられましたので、コルネル・フェルッツァ準備委員会の議長さんに、この市民署名を渡すというセレモニーもその場でさせていただきました。

パガー二 ジュネーブ市長の主催の中で、平和市長会議が5500を超えるという重み、そして10億人の市民を抱えている大きな組織になっているということで、これらを前提に8月に総会に諮って、これからの組織拡大をしていくということをご紹介申し上げ、多くの参加を要請するということを申し上げ、市長自身は非常に我々の対応を歓迎してくださるという局面がありました。

そして、このパーティー会場は非常に歴史のある建物で、これは資料に書いてないんですけども、こういった歴史のある建物を市内に持って、そしてこういった国際的な会議がある中で、市長がそういった方々を懇親会などで招いて、その市の存在感を示すというやり方があるんだなと実際経験させていただきまして、広島市としてもこういった対応ができるように、もう少しセンスを磨いていくのが広島市のポジショニングを世界にアピールするのには有効なのかなと、ちょっと思いながら、この懇親会を去るという局面がありました。

翌25日は、ピースデポ等主催のワークショップに行きました。ここではピースデポ主催で、北東アジアの問題「平和政権と非核兵器地帯の将来」というテーマでのワークショップがあるということで出させていただきまして、冒頭に、私のほうからスピーチ、そして長崎市長もその後続くということでやりました。

私自身はここでも同じように、核兵器の非人道性そしてそれが「絶対悪」であるということを皆さんに実感していただきたいと、そしてとりわけこれは、ここにおられる方以上に為政者に特に分かっていただかなければいけないと。この思いをいかに届けるかということがポイントという話をさせていただきました。

そして、共に「核兵器のない世界」に向けて行動する状況がきているし、やっていこうではないかということを訴えたつもりです。以上言ったような対応をこの間やってまいりました。総括は資料にあるとおりです。

自分自身、どこに行っても異口同音に申し上げたこと、すなわち核兵器の非人道性、そして核兵器というものが英語で「absolute evil」(アブソルート イービル)と言っていますが「絶対悪」であるということを申し上げております。これは理屈抜きで「絶対悪」であるということです。

そしてそのために今、多くの方がNPT再検討会議の進捗状況などを鑑みて向かうべき目標は、となると、核兵器の禁止条約というものを目指して交渉するということを訴えておられますので、この必要性をやはりしっかり認識していただくようにしていかないといけないと私自身も思います。

そして、「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に、NPT再検討会議の準備委員会のメンバー、これ190カ国かありますけど、その内の75カ国まで賛同するというような現実がきております。

この非人道性の理解が着実に広まってきていると。そして、多くの国が非合法化に向けた取り組みをしようとしているということを目の当たりにすることができました。

ただ、この共同声明に賛同しなかった日本政府の対応ということは、今回非常に残念でありました。しかし、日本政府とは、この日本国内の一基礎自治体として政府とお付き合いしなければなりません。この政府がこういった対応をこの広島の思いを受けとめた対応になっていくべき、これからもいろんな形で連携しながら方向性をしっかり広島に向けていくような対応をし続けるということをやりたいと思っていますし、そして、こういった動きをしている国々と我が国との連携というのも引き続きやっていただくということをぜひしていきたいと思っています。

私自身の個人的な感想を言いますけど、今回小溝理事長を迎えて、非常に自分としては助かったなという思いがあります。

実際、外務省内での経験を踏まえていただいて、外務省との折衝あるいは国外の大使経験者、こういった平和関係の機関で働いている方々と面識が非常に多くて、非常にフランクにいろんな方と話せるということを経験いたしまして、この小溝さんが、引き続きこれからもこれ以上の活躍をしていただけるということを大いに期待しております。

この平和市長会議の取り組みというものが、これから一層充実していけるといいますか、そういうことを確信するというか、感ずる局面が多くあったということです。

以上今回の出張についての感想を含めての報告です。

記者 この中でも報告いただいた部分ではあるんですけど、共同声明に日本が賛同しなかったということは広島にとっては遺憾であるとか、残念であると言葉以上の深い強い思いもおありだと思うんですけど、なかなかこれまでずっと被爆者が訴えてきたことであって、もちろん歴代の市長が訴えてきたことがなかなか身近な日本政府の行動に結び付かないということに対して、もう少しどういう思いをお持ちだったのかという部分を深くお伺いできたらと思います。

市長 天野大使との直接の話の中で、いろいろご説明を受けたわけですけども、天野大使も現地での担当大使として、私及び田上市長の話には耳を傾けていただいて、言っていることは、すごく理解していただいたと私は思うんですね。

ただ、外務省本省とのやり取りの中で、本省内での総合的判断と言いますか、そんなことが実際に起こっているということですね。

ですから、外務省とすれば、日本国の在り様の中で、現在日本国近辺で起こっているいろんな問題、諸事情を考え、第一義的に日本の安全保障ということを考える中で、今の段階でどこまで踏み込んだ対応をするかという点をある意味では非常に重視し、当面の政治課題の方に、どうも重きがあるというような趣旨の説明を繰り返しされました。

そういう意味では、我々広島、長崎の主張を否定しているわけではなく、受容はされている。しかし、その対応を打ち出すタイミングが今ではないということをどうも言われているんじゃないかと思ったわけなものですから、この思いをしっかり受け止めて、そのタイミングが来るような努力をしてほしい。そのためには共同声明を発出している国との連携は絶対に欠かさないでほしいと要望したところ、「それはやる」というようなことを言われていました。

そういった展望を少し垣間見ながら、「現時点での対応に問題があるという指摘なんでしょ」ということを我々に言われましたから。私自身はそういう意味では、現時点での結果としては、我々の考え方は受容されていないけれども、(外務省の)組織内でのいろんなところでの評価は相当浸透してきていると信じたいんですね。

先ほど申し上げたように、NPT再検討会議のメンバーは190カ国かありますけど、非人道性の考え方がまとまっていますよね。南アフリカ、スイスなんかも当然、そこの市長さんもさっき言ったように懇親会を開いてくださったりしましたからね、間違いなく広がりが出ていると思うんですね。

だから、今後の展開に向けて一層の我々の主張をいろんなところを通じて、今までもやってきていますから、その延長でありますけども、やり続けるというこの努力を惜しまないというやり方でやっていければと思います。

そして、ある意味では政府内に多くの賛同者といいますか、広島、長崎の考え方を理解してくれる方をどれだけ増やすかということもやっていきたい。そういう意味では小溝さんに来ていただいていますからね、いろんな人的な関係も使って理解していただくことを引き続き、いろんな機会を通じてやっていきたいなと思います。

記者 今回の声明の部分で、政府が引っ掛かったのは、「いかなる状況下でも」という英語にしたら、たった3ワードの話なんですけど、それが浮き彫りにしたのは、場合によっては核兵器の使用を認めるというメッセージではないかと思うんですが、その点について、市長の認識はいかがでしょうか。

市長 私はその言葉があろうとなかろうと、絶対悪ですからね、使ってはいけないし、元々あってはならないという主張ですから、自分の立場からすれば、あろうとなかろうと一緒じゃないですかということを申し上げました。

記者 三つの単語ですが・・・。

市長 削ったから、評価が変わるなんていう解釈そのものが、私としてはおかしいと思いますと申し上げまして、そのままでいいんじゃないんですかということは主張しました。

ところが、今申し上げたように、本省の検討段階では、そこのワーディング(言い回し)にこだわっているという、現場での議論ですから、本省と直接やったわけではないので、直接の反応は聞いていませんけどもね。大使にはそう申し上げました。

これは全体の文脈を単に説明しているだけであって、それを削ることで(核兵器の使用を)許すなんていう判断すること自体が誤りだと思いますよ。

記者 もう一点、さっきの質問にも関連しますが、広島はずっとそういう(核兵器は)絶対悪であるということを訴えてきたわけですが、政府にはまだ届いていない。その中で、市長として迎える平和をずっとおっしゃってきているわけですけど、アンパンのあんの話ですけど、それだけでいいのかと、やっぱり外に出していく、政府が外側の皮の部分だとしたら、誤ったメッセージを発するというのは、やっぱりおかしいと思うんですよね。そうした中で迎える平和というのを今後転換するお考えというのは、あるんでしょうか。

市長 転換?転換はしません。

記者 転換というか、積極的に広島のメッセージを出していくという・・・。

市長 迎える平和というのは、広島のメッセージを積極的に出す重要な手法だと私は信じております。メッセージを出すということをやめるということはまずありませんからね。出し続けます。

多分その議論が、絶対悪であるというだけでは足りなくて、絶対悪であるということの認識を深めるために、もっと技巧的なやり方とか、大仕掛けなこういうやり方があるんじゃないかとか、そういうことも考えて、もっともっと汗をかけというご趣旨ですか?

であるとすれば、私自身はこういった取り組みは、最初に申し上げたように、同じような共通認識を持っていただいて、為政者が最終的に取り組まなければ進まないんですね。為政者にそういう思いをしていただくために、何があるかということですから。

もちろん市民社会が多くの意識を共感して、為政者が選ばれる過程で、そういう考え方を持った為政者を選ぶようにするためには、平和市長会議を通じて、各都市の市民人口が、例えば選挙のときに、70億のうち、60億近くの方が賛同する都市群になって、そのときに選ばれてくる為政者は、自ずとその市民の意を呈した方しか選ばれないわけですね。そういった民主主義のプロセスを通じた形で賛同者を増やしていくやり方というのは、決して間違っていないし、この方向を変えることはないと思うんですね。

それ以上に現在のパワーポリティックス(権力政治)の中で様々なシステムを使ってより進めようとしているのがNPT再検討会議でもあるし、そこに向かってちゃんとメッセージを発しています。

そして外で様々な評価システムを使って、もっと刺激をしてはどうかというようなことを私は県知事が考えてやっておられると思っています。それはそういった意味でやっていただいていますから、大いに賛同しますし、それを支援するということでやっています。

だから、様々な取り組みをされている方との連携を取りながら、アンパンのあんこの役割を果たし続ける、つまりコアの部分のメッセージを出して、その思いを受けていただいた方は、それぞれの立場でいろんな取り組みをしていただく。そことの連携を取るというやり方の方が、私は効果があると信じています。

記者 関連して、今後、政府にはリーダーシップを、ということですが、具体的に行動することとして予定しているものはございますでしょうか。

市長 今までの取り組みの中で、やっていますから、引き続きということで、今回、このために特別にということは考えていません。

また、近々8月6日に平和記念式典があります。そういった場面で、総理も来ていただくようにやっています。そういった場面でも、きちっと伝えるべきことは伝えると準備はしていこうと思っています。

記者 もう一つ、平和市長会議がいわゆる市民社会の醸成に期待を持ったというお話なんですが、それに当たっては後押しする市民社会の形成に向けて、例えばこの夏、新たにこんなことをしようと出張を経て思われたことがあれば教えてください。

市長 一つ、赤十字のベアリさんと話する中で、自分の平和市長会議の対応と共通しているものがありましてね、それは今年、赤十字が確か設立150周年だということがありまして、それで赤十字国際委員会の本部で、被爆樹木の苗を植えると。イチョウなんですけど、やるようにしていますと言われたんです。

その場で確認できたんですけども、これは実はグリーン・レガシー・ヒロシマ、平和市長会議でやろうとしていることを先取りしていて、その前にもやりますからと言われていましたので、そういう意味で国際機関などもこの広島の思いを伝える対策、つまり思いを共有していますよと、その証しとしてこういったことを使っていただけるということがありましたので、ある意味で自分のやろうとしていることが認知されたかなと思いました。こういうのをしっかりやっていきたいと思っています。

記者 平和市長会議の関連なんですけど、各国の大使等とお話しされる中で、具体的にどのような言葉で評価というか、認知度が高まっているとお考えなのかということと、市長自身、最近5500を超えて巨大化した中で、平和市長会議というものの存在感というのはどのぐらい高まってきていると今回出席した中でお感じになったのか。

市長 向こうに伝えるメッセージですか、言葉というのは。

記者 どんな言葉が評価としてあったのかというのと、市長自身がお感じになったこと。

市長 ひとつは、理詰めっていうのはおかしいですけど、自分の考え方を展開したところについては相手の方にうなずいていただくという局面があったんですよね。そこは、現在の安全保障体制というのが疑心暗鬼、相手を疑ってその相手がいつ襲いかかるかも分からないから、かかってきたときに負けないように攻撃力を高めるという思想がある、その行き着くところが最終兵器を持たなきゃいかんというふうになっちゃうんだと。だから最終兵器をいらないというだけでは、国民の安全とかいうものを守ろうとする為政者はその観念があると核兵器を放棄できないと。だから為政者になる人は、人間みんな一緒、同胞なんだと、だから疑心暗鬼じゃなくてまず信じると。信じるための日ごろからの共通認識を持つようなコンセプト(観念)が要ると。そのために市民社会がまず仲良くするというシステムを作っていく中でそれに乗っかった為政者が出るようにして、その方は疑心暗鬼を取り除き、不安な、攻撃があるということをなくするようにする。そちらから攻めていくということをやらないと、この状況は根治しないじゃないですかと。そしてお互いに疑っているという状況をやり続けるのは、どこかで息切れして長続きしないシステムと考えるべきじゃないですかという論理を展開しました。

それは政府機関などから来ている方は理詰めでは分かると言われましたね。その理屈は分かるんだけど、ただ現在その(安全保障の)システムは機能している、その点についてはいきなり理想郷に持っていけないから、もう少し時間をかけてやる必要がある。それがNPT再検討会議とかそういう位置づけになるんだと。それは分かっているんだと。だけどその発想の転換をするという覚悟をしないとその次の一歩がでないんじゃないかというような議論を自分はしました。

その点については先ほど申し上げたように、その議論を展開するなかで相手は間違いなくうなずいていたし、そうだということを言っていただいた。あとそれがどこまで行くかですね。その感触はNGOのセッションのスピーチをやったときに、それまで前の方の発言のときは会場でも拍手はありませんでしたけど、私がスピーチした後は会場から相当拍手をいただきました。言ったことは一定程度通じたということを実感しました。

普通ああいうスピーチは国連の総会であれば自国の方とか関係者が発表するその時だけ関係者が会場にぱらっとおられて、入れ替わり立ち替わり来るんですけど、私の場合はほとんどおられました。聞いていただいたということで、自分なりに自分の国際経験からすると、相当多くの方に聞いていただき、一定の評価を得たんじゃないかなという実感を持っています。

記者 平和市長会議そのものの手ごたえは・・・。

市長 平和市長会議の方は先ほど申し上げた5500を超える、今は5617になりました。ですけどもそこで影響力、70億の7分の1の方々をまとめた組織ということに説明が及ぶと多くの方が「え?」って感じですね、聞いていただけます。それはとりわけ政府関係者とか行政関係者、政治的な色彩を持った仕事をされている方にとってはとても印象的な情報だと受け止められております。そういうことも含めて相当、非人道性についての主張が浸透してきていると思っています。

記者 この赤十字の国際委員会の会合の中で市長が福島での原子力発電所での事故について、平和的に利用するために人為的に管理しようとしてもそれがなかなかできないという趣旨のご発言をされたということなんですが、NPTの発言の一つもこの原子力の平和的利用というところがあると思うんですけど、それに対して何か思いはございますか。

市長 そこのところですね、NPTは現実的な対応として原子力の平和利用を進めるということを、各国政府代表の面談のときに聞いたら、このオーストラリア、フィリピン、ベルギー、トルコ、マレーシア、異口同音に言われたんですね。つまりNPTの進め方として三本の柱のうち一つ重要な柱だと言われたんですね。ですけども我が国の国内の今の世論を考えますと、それが直ちに皆さん納得できる状況にない、それをさらに乗り越えるというようなことがありましたので、私はそのこと自体でじゃあNPTがだめだというわけにいきませんので、そういう議論があったとしてもそのことを直接争うよりも、そのコントロールしようとして出来ない原子力なんだから、意図的にそれを使って殺すみたいなことに使う核兵器っていうのはアプリオリ(まず先)に前提抜きで、あってはならないというふうになるんじゃないですかと。そういう意味で、広島が従来主張していることがより鮮明になったというように思いませんかという説明をいたしました。皆さんは、そりゃそうだとその点については異論はないということでありますね。

記者 平和利用に対しては・・・。

市長 平和利用に対しては、ですから、そういう意味ではコメントを加えないでおります。平和利用でさえうまくいかないという現実の中で、殺人目的の兵器なんていうものをやること自体、もっと原点に帰って絶対いけないということを再確認していただくべき状況があるんじゃないですかという申し上げ方をしたら、どなたも異論はないということでありました。

記者 NPT関連なんですけど。ちょっと戻るんですけども、共同声明に賛同しなかったことについて、日本を取り巻く国際情勢を踏まえて、そのタイミングではないという説明を大使からされたということをお話しされたと思うんですけれども、そのタイミングという点を踏まえると、広島・長崎から見た時に、被爆者というのはどんどん老いていて、そのタイミングではないという説明に対して広島の市長として納得はいっておられるんでしょうか。

市長 視点が違いますからね。我々は広島の思いを今届けないと、皆さんの思いが伝わらないということを申し上げている。日本国政府の立場は、という説明でありますが、広島の思いという総論のところは分かるけれども、それを自分たちの態度表明の中で受容するかどうかは、現時点における日本国の、日本の国が置かれている国際情勢の中での判断として、とこういう言われ方をされたんですね。だから要するに、被爆者の思いという最後のところで、いやそこは国民、現下における国民の安全保障という立場とすると広島の思いを直ちに全面的に受容できないと、こういう言われ方をされたと思いました。そういう意味で被爆者が思っている思いは理解できたけども、被爆者のその思いに立って直ちに行動できないと。もう少し国全体、自分らは国の安全を守るという立場でその思いを受け止めた時には、現時点ではなくてタイミングを見てその考え方を受容するというふうにならざるを得ないという説明をされたという理解です。そういう意味では満足はいっていません。もっと被爆者の気持ちにより沿った対応ということをやると。確かに国際情勢は難しいでしょう。ですけど、その間を縫うという工夫をもっとやるということをやっていただきたいと。共同声明を発した国との連携関係を深めるという中でもっともっと工夫をしていただけないかという気持ちで申し上げました。

その他の質問

市長の憲法観について

記者 憲法記念日が近づいていますけど、松井市長の憲法観をちょっとお伺いしたい。自民党中心に、今、改憲論議が進んでいますけど、その点について96条の改正から進めようとしている、この点についてのことと、さらに先を見据えた憲法9条のことについて、市長のお考えというのはいかがですか。

市長 私自身は現行憲法、制定論いろいろありますけども、基本的には現状の中で相当うまく機能していると思っています。ただ、それでは足りないというご主張ですね、この主張についていろんな立場を考えるに、これから10年先のことを見据えてなのか、50年先を見据えてなのか、もっとこの視点をしっかり持って議論していただくといいんじゃないかと思っています。

少なくとも戦後68年、憲法が出来てからもう少し短いから65,6年になりますけども、この現代の日本という状況に至るまでに、この憲法があってうまく機能してきている。そしてこれから50年60年見据えて考えた時に、本当にこの憲法でどこが機能不全になるかというような議論をきちっとしてやるべきであると私は思っています。

そこのところを抜きに当座の対応のところで焦点を当ててマルバツの議論っていうのは、もっと慎重であっていいんじゃないかなという気がしていますけどね。それは個別の条文を含めてすべて一緒です。

記者 ではまず改憲論議が進んでいること、まず96条の改正から進めてこの国会のハードルを下げようという議論が進んでいる今のやり方っていうことについては、決して好ましいとは思っていない?

市長 そのテクニックをする前に先ほど言った50年60年見据えた我が国の在り方というものをちゃんと、多分あるんでしょうから、それを国民の前に示してそれを踏まえてじゃあどうかという議論がぜひほしいなと思います。

※ ( )は注釈を加えたものです。

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