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2013年1月29日記者会見「原爆ドーム構造解析の結果について」
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市からの発表案件
原爆ドーム構造解析の結果について
市長 原爆ドームの構造解析についてのご報告をいたします。詳しい内容は担当局長の方に頼もうと思っていますが、概要と言いますか、導入部を私の方から説明させていただきます。
原爆ドームの耐震対策については、各種専門家のご意見を頂き、文化庁等と協議を行いながら検討を進めるという状況です。
今回実施した調査の概要ですが、原爆ドームの構造解析は、これまでに実施した調査結果を基に、原爆ドームにおいて想定される地震時の構造上の弱点を定量的に把握することを目的に、昨年の1月から10月末にかけて行いました。
調査内容は、コンピューターを用いた、3次元有限要素解析という方法によって、想定される大型地震について、振動応答解析を行いました。これは、原爆ドームが想定地震の揺れにより、どのような挙動をするかをシミュレーションするものです。
入力する地震波は、中地震1波、大地震2波の計3波とし、それぞれ応力の集中する部分を調査しました。
中地震については、原爆ドーム直下の震度が5弱で、観測データが残っている最大の地震である、2001年の芸予地震の地震波を用いています。
大地震Iは、震度5強で、30年以内に起こる可能性が高い大型の地震波です。大地震IIは、震度6弱で、これは広島市で想定される最大規模の地震波です。
こういった前提条件をもとに、解析結果の詳しい内容については、担当局長から説明させます。
都市整備局長 解析の結果について、ご説明いたします。
解析の結果、原爆ドームに地震の揺れを与えた時に、お手元の資料の(A)から(D)の部分に応力が集中する可能性が高いことが分かりました。掲示している図をご覧ください。これは、お手元の表では、大地震IIに該当する三つの解析結果を示しております。広島市で想定される最大規模の大地震時の解析結果を、絵にしたものです。
レンガ壁の目地の状態に応じて想定した三つのケースについて、応力の集中している度合いを色で表しています。赤色で表示しているのが、目地の許容応力を越える引っ張りが想定される部分です。左の図は、目地の状態が悪い場合で、先ほど申し上げた(A)から(D)の部分に、赤色で表示した許容応力以上の引っ張りが、多数生じている様子がご覧いただけると思います。
中央の図は、目地の状態が比較的良い場合で、許容応力を越える範囲が先ほどに比べると少なくなっている様子がご覧いただけます。
右の図は、過去実施されたエポキシ樹脂の注入が現在も効いておりまして、目地が良好な状態で、許容応力を越える範囲が極わずかだという結果が出ています。
また、こちらの図は、先ほど市長からご説明したもので言いますと、中地震と書かれたものでして、2001年の芸予地震の地震波を用いて解析した、目地の状態は上にあるものと同じ(悪い場合)です。目地の一部に空隙があるものを示しています。大地震と比べると若干赤い許容応力を越える部分が少なくなっていますけれど、ほぼ同じような傾向が見られる様子がご覧いただけると思います。
このことは、配布資料の「3(2)」に述べていますように、原爆ドームが、既に経験済みの芸予地震の場合においても、大規模地震と同様な応力集中が起きていると想定されているにもかかわらず、損傷が生じていないことからすると、過去のエポキシ樹脂効果により、壁の耐力が一定程度高まっているということを表していると考えられます。
したがって、想定されている最大規模の地震(波)を原爆ドームが受けたとしても、今回の解析結果からは、即座に致命的な構造損傷を受けるとは考えにくいと判断されます。
今後は、今回の解析結果を確認するために、応力の集中が想定される箇所について、コア抜き等調査工事を行い、実際の壁の耐力、エポキシ樹脂の注入状況を確認し、必要があれば補強案を作成することにしています。報告は以上です。
記者 この結果を受けて、市長の率直なご感想をお聞かせいただけますか。
市長 一安心と言いますか、今言った形でエポキシ樹脂の注入という工法が相当程度効いているということで、しばらく安心して対応できると思います。
記者 とは言っても赤い部分が残っていると、さらにエポキシ樹脂の注入が昭和40年を経て平成元年の保存工事に至るということであれば、劣化も可能性としては考えられると思うんですが、そういった懸念、今すぐというわけではないかも知れないですけれど、懸念が残るという結果だと思うんですけれど、そのへんはいかがでしょうか。
市長 今申し上げたのは、当面の対応として一安心ということですので、今後の、少しロングスパンでの対応ということで考えますと、今度の解析結果を再度改めて確認するための、再度のシミュレーションは要ると思います。
その結果、ロングスパンで構造補強が要るだろうという判断があった場合は、これが文化財という問題もありますから、例えば文化庁との協議も経て具体的な措置を施す許可が要りますから、そういう手続きを経ながら必要な補強案があれば対応するとしたいと思います。
ただ、すぐに、ということにはならないと思いますので、例えば時間を考えれば被爆70年くらい、ですから(平成)27年かな、それくらいのところを頭に置きながら、必要な工事が要るかどうかということを検証したいなと思っています。
記者 ちょうど築100年ごろと・・・。
市長 ということになりますね。
記者 保存に関する考え方なんですけれど、市は被爆60年の時に、出来る限り手を入れないという保存方針を定めた経緯があると思うんですが、先ほど市長は被爆70年を頭に置いてというご発言がありました。保存方針の中では80年と100年を目途にしてらっしゃったと思うんですけれど、70年を具体的にどういった節目にしようとお考えですか。
市長 70年は、被爆してすぐ後に、70年あるいは75年くらいは草木も生えない土地になるだろうと言わた年なものですから、ある意味では70という数字は象徴的な年数になっていますので、そのあたりのところでは、再度シミュレーションした結果本当に補強が必要であれば、そういうタイミングを捉えてきちっと対応した方がいいだろうというつもりで申し上げました。
これが文化財であるということから、文化財としての価値を保存しなきゃならないという立場での許認可権を持っているのは文化庁ですから、そういったところとの関係も考えますと、本当に必要最小限の措置をすることで、被爆の建物が、将来にわたって平和への思いを発信する構造物として、市内で長く残るようにすると、そのバランスをどう取るかということを常に考えていかなきゃいけないなと思っています。
記者 保存方針について、70年に、例えば今後の保存の在り方について検討するとか、耐震補強っていうこともあるでしょうけれど、ソフト面での考え方っていうのをどうお考えなんでしょうか。
市長 70年の段階だとあと数年ですけれど、その段階で、シミュレーションの結果、とんでもないことが起こるということになれば(別)ですけれど、今はエポキシ樹脂で相当しっかりしたものがあると、耐震構造についてはね、あるということが出てますので、将来を見越してどうこうするという大規模な議論をしまきゃいけないかどうか、ちょっと私自身、自信がありません。
補強案について、ちょっとした補強で済むようであれば文化庁との交渉もたやすいでしょうし、そんなに大げさな作業をしなくてもいいというふうになろうかと思いますし。
それから構造そのものの問題の他に、土地の話で、川岸にありますから液状化の対策も、ということも以前には考えて、構造物プラスその周辺のこともあったりしますので、そういったものも含めて、70年までに、そういったことについて整理しないといけないのかどうかっていうことを、もう少しよく見極めたいと思います。
それで余裕があるんであれば、以前言っているような、80年とか90年とかそういう区切りのいいところでもう一度検証するというか、どういうふうにするかということを改めて考えればいいんじゃないかなと思っています。
もうしばらくシミュレーションの結果待ちというか、もう一回よく点検してっていうことでいいんじゃないかと思っています。
記者 コアの採取っていつ頃考えてらっしゃいますか。
緑化推進部長 今後、文化庁の方へ、これが文化財ということで申請をします。許可を得てからですから、4月ぐらいになるかなと思います。
記者 そうなると、4月からのスケジュールというのは、どんなふうに考えてらっしゃるのでしょうか。
市長 4月から。淡々と。サンプル採って。
緑化推進部長 一応、コアを抜いた結果、その状況を見るということで、その中にエポキシが十分充てんしてるのかどうかというのがそこでわかると思います。実際として。今の画はあくまでも想定ですから、全体に入っているのかどうかわからないというので、コアを抜きます。コアを抜いた結果、どういう状態かちょっとわからないんですけれど、その状態を見て今後の補強の方法を、そこで検討したいなと考えております。
市長 タイムスケジュールがいるんじゃないの。4月からどのくらいかけてやるか。
緑化推進部長 今考えているのは、9月頃まで、そういった素案、構造補強の素案を作成するということを考えております。以上です。
記者 コアを抜いて、それで結果が出て、それを踏まえて補強の素案を出すのが9月ということですか。
緑化推進部長 そうですね。素案が出た後、またさらにそれを検証しないといけない。先ほど市長が申しましたけれども。検証の作業がありますから。
記者 検証は誰がするんですか。検討会とか委員さん達がするのか。
緑化推進部長 一応、来年度いっぱいかけて検証したいなと思って今やっております。
記者 審議会とか。
緑化推進部長 もちろん専門家の委員会の意見を聞きながら作業していきたいと。
記者 耐震部会でするのか、その上部団体でするのか。
緑化推進部長 まずは、耐震部会のほうでしたいと考えております。
記者 9月までに素案を出して、それから来年度いっぱいをかけてというのは何をするんでしたっけ。すいません。
緑化推進部長 先ほど言いましたけれど、構造補強の検証を、どういったものを効果があるのかというのを検証していきます。
その他の質問
黒い雨について
記者 黒い雨に関して、報道でもあった厚労省が指定外の地域の、昨年夏に認められなかった人達について、国が特定健康診査の自己負担分を補助するというのが今日あったんですけど、それについての受け止めを。
市長 実はそれの詳しい話はまだ行政的には来てないので、新聞情報とか議員情報で断片的に入っていますので、それを前提にということでお答えすることになると思います。
まずは、今後の詳しい内容を確認するということが第一なんですけれど、今回のこういった対応が、自分の意識とすれば、前の政権の時に、市が被爆地域の拡大ということをいろんな調査を使ってお願いしてて、国がそれを踏まえて、その調査結果では科学的、合理的な根拠にはならないという結論を出されて、しかしそうは言っても、私のほうからは未指定地域の方々の高齢化の話とかを踏まえたら、科学的知見というものを超えた政治判断をしていただきたいという言い方をいたしました。
その政治判断が前の政権の下では滞っていたのが、ちょっと足踏みというか動いてなかったのが、今度の新しい政権で進展した一定の成果じゃないかなと受け止めてるわけですね。
そういう意味では、今度立ち上がった、多分自民党関係の議連の取り組みの成果が出て、私なりに一歩前進かなと思っています。
記者 一歩前進ということなんですけれど、それでも未指定地域の人々は求めているものとはやっぱまだほど遠い内容であると・・・。
市長 元々は市の要望とすれば、地域拡大をという、エリアの拡大ということを要望してて、いやいや根拠がないから全然駄目だということで、その中で、地域外の人でもなにかの手当てをということですから、一歩前進かなということです。
記者 これまでどおりの要望を引き続き求めていく姿勢には変わりない。
市長 要望はもうしてますから、それを取り下げるという状況にはないと思います。ですから、その要望した状況、我々が要望したこと、そして国の判断が示されて、それをあと政治的にどう調整していただくかというステージに入っていると思いますので、政治的な調整がどうなるかということをしっかり私は今見守るべき状況じゃないかなと思っています。
記者 今度の調査では、黒い雨の日時とかそういったことも盛り込んで、一緒に健康診断をやるということで、これで因果関係とか、そういったものが出た場合とか、そういった場合は何か地域指定拡大とか、そういったものには結びつくものでしょうか。要望として引き続き。
市長 因果関係、とりあえず科学的には無いと言われてて、実際に今言われたのは、言われた方を健康診断して、健康診断が何らかの形で、いや因果関係ありという健康診断になるか、それとも現在の健康状況は分かるとしても、それから因果関係という話に行くかどうかはちょっとわからない面があるので、なかなか今の想定にはお答えしづらいんですけども、私としてはそういった可能性も含めて政治的に、今回どういう対応をするかということをやっていただければと思うんです。
結局、今のようなご質問が出るのは、政治的な判断をやることが、判断そのものが中途半端じゃないかとか、中途半端だったらどうするかというようなご質問につながっていると思いますので、しっかりした政治判断をしていただきたいというのが現時点における立場です。
記者 一旦は、科学的に、根拠的には難しかったので、当面政治判断を求める。ここでは一歩前進だと。そういうふうな評価をしていると。そういうことですね。
市長 (国は)全然もう因果関係がないから、影響があると思っている方についての対応は十分することができないという考え方でベースが動いていましたので、(市は)元々、地域拡大して救済すべき問題じゃないかなという主張でおりますから、(評価するためには)こちらの基本的な立場に向けて、どれほど政治的な判断で措置していただけるかというのを十分見ないといけないと思うんですね。それで出た結果どうするかというのは、その後聞いていただければ。
(国が)今やってるところで、(今やっているものでは)足りないかも分からないからこう、というのはちょっと政治判断していただくと言った立場上、とても難しいと思うんです。
記者 まずは結果を見てから。そういうことですね。
市長 もちろんそうなりますよね。総合判断しなければいけない。そういう意味で、政治判断の動向をしっかり見守るということを今やりたいと。
記者 一定の前進だと評価してるっていう今の言葉は、前進してるという・・・。
市長 ちょっと良くなったということです。ちょっと良くなったと思ってください。
記者 一定の前進と言いながらもですね、非常にわずかな前進とも言える、元々の相談窓口で言えば、3千万(円)くらいの(予算)計上と言われていたのが、4千万(円)ということと健康診断といった意味ではちょっとの前進という意味で、逆にここである意味終わってしまうのではないかというところも無いわけではないという気もするんですね。
それをどのような形でさらに求めていく。具体的に市としてはどういう行動を起こしてさらに地域拡大という本当の目的にまで繋げようと考えてらっしゃるのでしょうか。
市長 具体的に自民党の方の議(員)連(盟)で動いていただいていますから、議連で対応していただいている議員の方々に、元々、市は拡大ということでお願いしてますよということを再度強く言うことではないでしょうか。
記者 議連に向けて・・・。
市長 議連でやっていただく。議連に向けてまず、元々市の要求はこういうものですよということを改めて強調するというか、確認するようなことは要るんじゃないでしょうか。
それは、自民党関係の議員の先生おられますから、議連のメンバー見ると、比較的お話ししやすい関係の方々ですから、そういうことをお話するということをしたいと思います。
記者 国に対して、厚労省に対して直接何か新しい動きをしようというお考えは。
市長 厚労省には、昨年の段階でずっと言って、行政的にやってきて、動かないから政治判断したんですから。私は、手続きとすれば、それ以上のレベルでやってるという認識なので、(今より)下(のレベル)でやることはないと思っています。
記者 今回とにかく政治判断を求める行動をしていくと。
市長 皆さんご存じのように、行政の対応というのは一回(結論を)言ってかちっとした(判断をした)ことを行政で崩すということはなかなか難しいですから。政治判断の方でやっていただかないといけないこの構図は変わらないと思いますよ。
北朝鮮の核実験について
記者 北朝鮮の方が核実験を示唆する形で、米朝関係とか、極東アジアに関して不安が高まっています。広島市長として、今回の行為について、どのような見解をお持ちかというのをお伺いしたいんですが。
市長 これはもう核兵器、核実験、そういったものについて、今までも問題提起をしておりますし、この考え方は引き続きというか、一切変わっていません。本当にそういった対応をすることを厳に慎んでいただきたいと思います。
それは今の状況ですと、国際政治の状況の中でも、そういった基調で動いていますから、本当に国際政治のレベルでもしっかり北朝鮮は受け止めて対応していただければと思います。
記者 受け止めてということで、いわゆる核実験をカードに、威圧するような態度に出ていると思うんですけど、そういった態度そのものについてどんな印象を持たれますか。
市長 そこは個人的にというか、パワーポリティクス(権力政治)の世界でのご議論もよく分かりますし、政治レベルでの対応、枠組みの中で北朝鮮もしっかりそういった状況を把握して動いていただきたいと言うべきだと思います。
改めて市長の立場で申しますと、市というのは、市民外交といいますかね、都市外交というか、一人一人のレベルで、原爆というものがこの地球上から無くなってほしいと願っているまちですから、そのまちの思いをしっかり受け止めてくださいという意味では、核兵器の開発につながるような危険なものもやめていただきたいということをひたすら主張し続け、それに反対するような対応はやめていただきたいということを言い続けるほかないと思っています。
学校における体罰について
記者 大阪の桜宮高校での体罰の関係なんですけど、広島市教委の範疇で実際に数えていらっしゃる数が最新の調査結果があれば、教えていただきたいのが一つと、市長ご自身が体罰についてどうお考えかというところをお聞かせいただければと思います。まずデータの方から。
市長 データの方は今時点ではつかまえておりません。
記者 いつまでに調査するんでしょうか。
生徒指導課長 文部科学省の通知によって、4月30日までに報告するようになっていますので、2月を目途に調査を実施するように考えております。
記者 2月何日から何日にかけてとか、ありますか。
生徒指導課長 そこまではまだ決めていないんですが、2月中に調査を実施するというふうに考えております。
記者 (体罰についての)見解を。
市長 自分自身、今回問題になったような体罰、つまり教師といいますか、人生の先輩に当たって、いろんな知識、ノウハウを若い方々に伝授する、そういう立場にある人間が、後輩といいますか、教えを乞う人間にそういうものをきちっと伝えるという使命がある中で、なかなか覚えが悪いとか、きちっとした対応ができないときに、ちょっとした手を掛けるというようなことはごくあり得るような状況だと私は認識しています。
そういう意味では、自分の子どもたちに指導するときに、ちょっと言うことを聞かないと、拳固をくらわすとかいうことはあることはあるんですけれど、今回問題になっているのは、度を超えた対応だということじゃないかなと思うんですね。
本来、教育ということを本旨にしながら、その教育を補完するような形で言葉プラスちょっとした手を掛けるということは無きにしもあらずですけれど、手を掛けることが、それ自体が目的化したみたいに、対象となる方を痛めるとか、刑事事件でいえば傷害罪になるようなことをやっていくということ自身は決してあってはならないと思うんですね。
今回の体罰という一言で言いますけど、これが客観的に見て犯罪事実、刑事犯罪ですね、粗暴犯とか、破廉恥罪とか、そういうことに該当するような行為が行われるようであれば、これは断固こういったものを排除するということをやらなければいけないと思っております。
ですから、子たちを指導するという気持ちに悪乗りして、体罰、今問題となるような行為をやること自体は決してあってはならないことだと思っています。
記者 県教委なんかは、ここからここが体罰だよとか、結構明確なガイドランを設けたりしていますけれども、部局は違うかもしれませんが、一応、市としてはその体罰ということに対してどう向き合っていこうと、いうお考えがあれば聞かせてください。
市長 今、体罰についての教育委員会の指導基準みたいなのを詳細にあるかどうかということを含めて私は承知していないので、正確な議論になりにくいかも分かりませんけども、今申し上げた気持ちを敷衍(ふえん)すればですね、お子たちを育て指導するという中でのいわば拳固みたいなことまでも、要するに「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)(を吹く)」っていうことまでもダメっていうことではないようにしながら、しかし、今申し上げたように手を掛けることが傷害罪とか、脅迫とか、威圧とか、いわゆる刑事犯罪にも匹敵するような行為になるようなことは絶対にやらないようにするという判断基準をしっかり作るなり、各教員が自分の行為規律として持つ、確立するということをしっかりしなければいけないと思っています。
地方公務員の給与削減について
記者 今日、知事が会見で、地方公務員の給与の削減について、現実としてこういうふうに絞られた場合、事業を減らすのかということを考えると、給与を減らさざるを得なくなるという会見がありましたが、その辺、市長はいかがお考えでしょうか。
市長 この給与カットは、今非常に悩ましい問題です。端的に言って、情報じゃなくて、具体的な動きを見ながら慎重に検討しなければならないというのが、現下の心境です。少し解説的に申し上げれば、実は昨日、総務大臣から要請通知なるものを受けました。お手紙ですね。
ざっと読ましていただいたりしたんですけども、受け取るまでの私の気持ち、今も変わっていない部分があるんですけども、今回やっている国の方針、これ自身はある面で地方の自主性とか、自律性という観点から見たら、極めて容認し難い対応ではないかなということで、この点については全国の市長会とかを通じて国等に対して、しっかりと主張してきていますし、この考え方は変わるものではありません。
ありませんが、総務大臣からいただいた書簡をざっと読ませていただくと、こんな点が少し配慮しなきゃいけないかなと思った点なんですけど、今後の消費税についての国民の理解を得るために、より広い意味で理解を得るために、公務員が「隗(かい)より始めよ」という精神で取り組む、そういう必要性があるんだと、だから、公務員といえば、国家公務員であるとか、地方公務員もそうだと、こういう論旨を展開されていましたし、それから更には、今の内閣から「元気な日本の再生」ということに向けては、ぜひ頼むと、こういうことは強調されておりましたので、大臣名でそこまでお手紙を出されるという、その気持ちも配慮しなきゃいけないかなと、主張は変えないけども、そういう気持ちは配慮しなければいけないかなと思っているということで、これが今せめぎ合いをしております。
あともう一つ具体的な対応をするときに、行政として拠り所になる考え方はないかなと、ざっと見ていましたら、今回の一連の前の政権のときにできた法律なんですけど、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」というのが去年できておりまして、そこの附則第12条に、こんな趣旨のがあります。条文の規定ですけど、「地方公務員の給与については、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとする」という、ですから、今の総務大臣のこういった書簡もこの法律に則って通知されているはずなんですね。ですからポイントは自主的かつ適切にという法律の指示も入っていますからね、この三つの要素をどう調整するかということで悩んでいるということです。
そうすると、具体的に交付される地方交付税の額も見ないと、そういう総論だけなんですね、具体的な額はまだ分かっていないんですよ。そして、いろんな地方都市も関係するところもいろいろ対応しましょうから、そういうのを見た上で、慎重に考えたいという状況です。
記者 結論というか決めるのは4月までにとかいうのは・・・
市長 もう少し時間がかかります。
記者 どのぐらいとかいうのはありますか。もしあれば。
市長 予算が成立すればですよ、具体的には。成立する前に大体地方への配分も決まってまいりましょう。そしてそれらについて各自治体もどう対応するかと、それを見て自分が自主的にかつ適切に対応したと自ら言えるかどうかの判断もしたいと思います。
記者 だから4月・・・3月、4月・・・
市長 厳密に言えば、この予算が次の国会で地方交付税も含めてね成立した時に確定なんですよね。そこまでは与野党も含めてせめぎ合いがあるはずなんですよ、理屈上はね。
だけど、衆議院の場合に、圧倒的多数ですから、予算は参議院で仮に否決されても、3分の2で可決すれば通りますから。そういうことを含めたら、成立日が確定日にはなりましょうね。
そして我々もそういったことを見計らいながら市議会に予算を提出しますからね。枠は取っていますけども、実際に執行するときにどの範囲で執行するかという判断は、もうしばらく時間が稼げると思っているんです。
そして具体的な給与カットも今年度限りっていうようなことを言っていますから。そうすると給与を受け取る職員の側とも折衝もやるということで、そこで納得性の高い理由を言わなければ職員としても受け難いと思うんですね。だからその辺の判断材料といいますか、説明材料をもう少しちゃんと集めるというのが今段階だと思っています。
記者 公務員給与に関しては自主的にということがありましたけども、各自治体は今人事委員会の方を設置してやっているわけですけども。今回の場合で言いますと、半ば強制的に交付税の方を削減するというので、そういった政府の対応を、市長、直接的にはどのように受け止められているのかという・・・。強制的な部分があったのではないかと思うんですけども。
市長 強制的と言えなくはないというところは先ほど申し上げましたように、今回の国の方針が地方の自主性とか自立性の観点から到底容認できるものではないですよということを、全国市長会等を通じて申し上げてますから。その点は全くその通りです。
記者 具体的に言いまして、地方分権とかそういったことを求められている中、それに逆行するような動きでもあると思うんです。率直に市長のご感想として、今後こういったことがほかの場面でも起こりうるような話でもあると思うんですけども、国の方で強制的に交付税の方を削減するというようなことが前例としてありますと。そこに対して市長としてどのように思われますか。
市長 地方分権は政府全体として推し進めようということを言われていますから、言ってる言葉と矛盾することはやらないんじゃないんですか、やるべきじゃないんじゃないですかということを申し上げたいと思います。
記者 確認ですが、先ほど政府の予算、国の予算の成立等、様々な状況を勘案して判断すると、せめぎ合いをしているということをおっしゃいましたけど、そうはいっても市の新年度の当初予算に人件費を固めないといけない状況です。もちろん後からテクニカルな問題で執行を保留すればいいだけなのかもしれませんけれども、少なくとも新年度当初予算では人件費は削減は見込まない額を盛り込むおつもりですか。
市長 その後の対応を考えればそういうことになりますよね。執行停止をかける方が執行方法としては楽であれば、前年度の考え方に基づいて一応計上しといてやると。しかしその分を、交付税の方が減りますから、収入の方を立てなきゃいかんとすると、貯金を取り崩す、基金などを取り崩して使うと、要するにポケットマネーを使うと、そういう構造ですよね。その辺の仕掛けはできると思いますよ、技術的な話ですからね。
記者 じゃあ今の、現段階では当初予算では想定通りの人件費を思い描いている・・・
市長 そうですね、そういう意味では慎重に検討するという意味は、アローアンス(余裕)が取れるように、動きが取れるようなものにしとかなきゃいかんかとは思っています。
記者 わかりました。
旧広島市民球場跡地について
記者 先般ですね、旧広島市民球場跡地委員会が、最終的に会が終わりましたけども、3つの機能について出されたんですけども、今回出されたその案についてどういう評価をされて、今年度に判断を出されるということなんですけど、もう2カ月程度しかない中で、その中で絞り込むということは実際に可能なのかどうかということをお伺いしたいのですが。
市長 もともと跡地委員会が申し上げたように、全体の機能分化を考えながら個々にどうするかと。そして出来れば、そこにやるという理由づけよりは、できないというような理由づけをしっかりしながらセレクトできればということを思ってやったんです。
それは今までもいろんなご意見が出ていて、どれをどう判断していいかわからないというような状況だったので、いわゆる判断軸を提示しながら、皆さんが議論する中で、可能であればそこに、跡地に置けないものはこういう理由で排除するというようなことを、そちらのほうが分かるような議論展開を私は最初から希望しながらやってきたものですから。
今回4つと言われたり6つと言われたりしていますけども、一定の案が絞り込めたかどうかということは別としても、整理されたと受け止めております。ですからこの整理された考え方をベースに、球場跡地にどういうものがふさわしいかということを自分が提示して皆さんに賛意を問うという作業がいよいよスタートすると、こう思っているんです。
そして今回出た4つと言われている、あるいは6つと言われているこの案を前提にしながらもう一回、多分今年度末に私の方向を出すまでに、市議会などでも議論いただけると思うんです。
だから市民から出たいろんな意見、それから議会を通じて出た意見、それらを総合勘案して、本当にこれだけなかなか決め難いものであればという状況を、もう一回確認していただければ、最後の決断として、市長として選ばれた私に任せていただけるという状況ができると思っているわけです。そのための手順を踏ませていただいているというのが自分の認識です。ですから決めることはできます。
なかなか決まらないことについては決める人がまず誰かということを皆さんに了解していただくという手続きがいるわけです。市長に決めてもらっていいんじゃないかということを言っていただけるような状況が来るんじゃないかと私は思っています。
旧広島市民球場跡地活用のスケジュールとサッカー専用スタジアム建設について
記者 そういう意味で新サッカースタジアムの関係ではですね、協議会を作ってこれから考えるっていうことで、そうするとスケジュール的にずれ込む可能性はあるんじゃないかっていう・・・
市長 その辺のスケジュールは整理して、決めるときにはその辺の扱いについてもご説明してお示しできるんじゃないかなと思っています。
あと協議会も呼びかけして、今からどういうふうにしていくかっていう問題もありますしね。他のところでも、県庁の方での記者会見で申しましたけども、県とか市とか商工会議所横一線で、皆さんが問題意識を共有して、どう対応するのがいいだろうかということから始めていきたいと思います。
そしてスタジアムの場所の話というのは、スタジアムをどんな規模のものにするか、どういうふうにして運営することで恒常的な健全運営が保てるか、それから今あるビッグアーチなどの残った施設の運用をトータルに考えてどうするかというのがあって初めて、最後に場所が決まるものですから。
スタジアムの場所が決まらないという状況の中ですが、少なくとも市民球場跡地については年度末までには一定の方向を出すと申し上げていますから、そのスケジュールの中で調整していきたいと思っています。
黒い雨について
記者 話は元に戻るんですけども、黒い雨の関係、指定地域外のことなんですが、先ほど言われたコメントについては、閣議決定後、正式に確認なんかはできるんですけども、それはそのままあった、今確認中だっていうことなんですけども、確認できた場合はこのまま使わせていただいて結構ですか。
市長 確認できても、少なくとも今段階で思ってますのは、政治判断ということでお願いした中での議連を中心とした調整の結果だと第一義的には受け止めなければいけないと思ってます。
記者 そのときはその言葉でよろしいですか。
市長 はい。
※ ( )は注釈を加えたものです。