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2013年1月16日記者会見「新年の抱負について外2件」
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市政記者クラブからの代表質問
新年の抱負について
記者 今年も始まって半月ほどたったんですけれど、今年の抱負というか、重点的に力を入れていきたい点などがあれば教えてください。
市長 昨年末に申し上げたことの延長になるんですけれど、今年は、「世界に誇れる『まち』」の実現に向けた本格的な取り組みの1年にしたいと思っています。
中身を申し上げますと、ハード面では、楕円形の都心づくりの西の核となる旧広島市民球場跡地の活用に向けての動き、それから東の核となる広島駅周辺では、南口Bブロック、Cブロックの市街地再開発事業、これと二葉の里地区の基盤整備工事を進めます。
さらには、広島西飛行場跡地については、「広域防災」、「新たな雇用創出」という機能を持つエリアとして、県とともに具体的な活用方策の検討を進めます。
さらには、西風新都については、民間の投資意欲を喚起するよう、新たなまちづくりのコンセプトを盛り込んで全体計画の見直しを行い、着実に実行に移していきたいと思っています。
次に、ソフト面では、「区の魅力と活力向上推進事業」を中心に、「ごみのないまちづくり」あるいは「花と緑の広島づくり」といった取り組みにもつなげながら、その中身の拡充を図っていきたいと思います。
観光の振興については、いよいよ開催まで100日を切った「ひろしま菓子博2013」、これを成功させるためのしっかりした取り組み、7月から9月に実施される「広島県デスティネーションキャンペーン」などの大きな集客イベントをしっかりやる中で、「おもてなしのまちづくり」が目に見えるような対応をしていきたいと思っています。
最後、平和行政については、今年は平和市長会議総会、来年はNPDI(軍縮・不拡散イニシアティブ)外相会合が本市で開催されることになっているので、こうした重要な会議をしっかり展開することで国内外に向けて広島の平和への思いを発信することができるよう、着実に準備を進め、かつ成功裏に会議を終えるようにしたいと思っています。
そして、年末にも申し上げた点ですが、今年は市民の生活により近い分野での対策をしっかり進めたいと思っています。その際、福祉や雇用、教育の分野についての政策の打ち出しをやりたいなと思っていまして、時あたかも新政権の打ち出す政策もこういったところで関連性が出てまいりますので、必要な部分についてしっかりと連携をとりながら、取り組みを進めたいと思っています。
今言ったようなことをやる中で、もう一つ自分として大事にしなければいけない視点は、地方から国を動かしていくというぐらいの気持ちで対策に取り組んでいきたいと。国からいろいろセッティングされたものを地方として処理するのではなく、この広島の問題意識をしっかり踏まえてそれに必要な対応策を講じ、それらを有効活用あるいは本来の力を発揮できるようにするために必要な部分は、逆に国を動かすといったような気持ちで取り組みたいと思っています。
可能な限り新しい施策を打ち出す1年にしたいと、そしてその上で、国や県と連携して具体的な成果を挙げるような年にしたいと思っています。
属人的な話で言いますと、今年の干支が「巳」ですけれど、私自身巳年生まれで、60(歳)になりますので第2回目の人生の第1歩という重要な1年になると考えていますので、改めて全力で市政に取り組む覚悟を固めています。以上です。
広島駅南口広場の再整備について
記者 今月8日に広電の社長が解任された件で、市民生活に大きく関わる企業でこのような事態に陥ったこと、そして市の駅前の整備計画に影響が出るのか出ないのかという点についてお願いします。
市長 後者の方ですね、整備計画への影響ですけれど、市としての基本方針、現行のものをもし変えるとすればどういう案が考えられるかについての決定に向けての取り組みをしている中での交代だったんですけれど、新社長からお話を受けた時に、「駅前大橋ルートについては、市とよく協議しながら、できる限りの協力関係を構築できるよう進めていきたい。」というお話を受けておりますので、予定どおり手順を踏んでいけば処理できるということで、特段に影響が生ずるというものではないと認識しています。
広電で、(今)言われたようなことが起こったんですけれど、私自身は広電という会社、もちろん代表者も大切ですけれど、個人的にも社長をよく知っているということで、良好な関係が取れていたと自分は認識していたんですけれど、どうも組織内での対応に、双方の認識のギャップがあったということではあるんですけれど。
広電が運営している路面電車や路線バスは、多方面にわたって広島の支えになっていると。例えば日常生活、経済活動や観光交流といった面で支えになっているわけですので、いわゆる公共交通機関として、しっかりとしたお付き合いをしていくことが重要であると思っています。ですから内紛を越えて、その後の事態に着目してしっかりした関係をつくり上げていくことこそ重要かなと認識しています。
記者 駅前広場の整備と駅前大橋線ですけれど、ちょうど南口ではBブロックCブロックの再開発もありますけれど、これとある程度スケジュール感は合わせていくようなことになるんでしょうか。
市長 BブロックCブロックは27年度の竣工に向けて動いていますから、当然そういったことを踏まえながら、物事を解決すれば一番いいとは思いますけれど、BブロックCブロックと違ってまだ具体的に事業が動いてないわけですね。
そして仮に今の路線を駅前大橋に移すとすればということで2案が出ていまして、今の作業スケジュールですともうしばらくすれば整理がされて、両方とも実現可能な案だという途中経過がありますけれど、どちらが優れているかというか、ふさわしいかという結論になると思いますので、それを頂いた上で、じゃあ本格的にその案と今ある路線と内容とかメリット・デメリットをいろいろ比較して、地元の関係者の了解も得るという手続きが待っていますので、それらが順調に進んでBブロックCブロックと同じタイミングでいけばベストでしょうけどね。
実際問題、調整なりに時間が掛かればもう少し時間がかかるかも分からない。ただ方向として、駅前全体の機能と景観を良くするという方向性は皆さんに分かっていただけますので、皆さんの了解を得ながら手続きを進めるという中で、多少時間軸が前後するということがあっても私はやむを得ないと思っています。
記者 先ほどの駅前大橋線の話なんですけれど、今の段階で2案出たと。2案なら実現可能なんだという、今、段階にあるんですけれど、その上で、今ある現行の路線との比較ですね、これも重要なことだと思うんですけれど、市長の今の気持ちの段階で、つまり現行路線との比較というのは、結局、駅前大橋線自体を全く白紙にするということも可能性としてはあるのでしょうか。
市長 議論の可能性としては全然無くはないですよね。つまり、私が市長になる前には、正面から入るときの路線について、高架か平面か地下かという3案で議論してますというところから引き継ぎを受けたんです。その時の、それまでの市のいろんなやり方を、路線を変更するかどうかについては、まだ実は決めてないんだと。ですけど、技術的な面で、その3案どれが可能かという議論をまず先行して今やっていると。こういうような事で引き継ぎを受けて、私はチェックに入ったわけです。
その中で平面案が、いろんな機能を整理していこうという時に、電車もバスもタクシーもあるというのであれば、機能整備ができないというような、交通事情から考えてなかなかふさわしくないという議論にだんだんなっていって、それならば、上か下かということで、結局、スタートにおいて、路線を変更するんだという意思決定をすることなく、仮にやるとすれば、技術的にどんなのが可能かということをまずやるということだったんです。
ですから、ようやくこの案がまとまった段階で、市としては正式にと言いますか、この案と現行路線がどうですかということを、きちっと市民なり市議会に問うて、その中で、移設する場合の案との比較をして、メリット・デメリットを十分納得していただければ移設可能になるし、そういうことにしても、地元の足とかいうことがあって、納得が絶対得られないということであれば、今言われたように、せっかく作った案がだめになる可能性は無きにしも非ずと。
私自身は、せっかくここまで議論していただいているんですから、この新しい案と地元の方々のご意見を調和させるために、どういうことがあるかということもしっかり議論して、それらをさらに加えた上で、しっかり議論していただいて方向性を出したいと思ってます。
記者 地元の意見と調和させるというのは、先ほどまさにおっしゃたんですけど、具体的にどんな。
市長 すぐ考えられるのは、今路面電車を利用されている沿線の方々の足の便がどうなんでしょうかということです。仮に路線を無くすとすると、公共交通機関の足が無くなりますから、それに代替する機能っていうものが最小限要るんじゃないでしょうか。そうすると、路線が無いんだから、バス路線というものを組み替えて、どこまでその代替が可能かということもありましょう。
ですからそれ自体が、皆さんの評価に頼るかどうか、路線の作り方にも問題ありましょうし、それから電車をこちらの駅前大橋にしたときに、そこの部分での交通量調整をすると、全体で必要な交通量を今度は電車路線の無くなったほうにシフトさせるということもしなきゃいけないでしょうから、それらが関係者の了解がきちっと得られるかということも出てくると思うんです。
ですから、具体的な案を示して初めて、個別の検討計画と言いますか比較ができるというような状況になったということじゃないかなと思います。
記者 広電の椋田新社長が会見の中で、これまで広電の中では地下案を支持する人はいなかったということを言われています。それも市長はお聞きになっていると思うんですけれど、それに対してどう率直に受け止められていますか。
市長 だからそこが先ほど申し上げた、社内の意思の疎通が欠けていたかなというような決定的な点だと思ったんですね。
私は、越智社長とは何度も直接いろんなお話をして、技術的に検討委員会で、可能だと言われる案の中で、越智社長は、自分はずっと地下案というものにこだわり続けるということを言われていたから。会社の代表権を持っている立場として、社とすれば、そういう気持ちがあるのかなというような受け止めの中で、その案と高架案との比較の中で、問題点を出して、よりどちらが問題のアプローチとして、現実的な対応かという議論を事務的に進めるというのを実はやっておりました。
立場はJRの高架の立場と、広電の地下の立場と言われながら、事務的にはそれぞれの問題点をブレークダウン(分析)して、技術検証してたわけですから、それはそれで別になんてことはない、結論に至るまでの大いなる議論はあってしかるべきですから。
ただそれが、越智社長が取締役の代表権が無くなったとたんに、実は会社内ではそうでもなかったんだとお聞きしたんですね。
しかしながら、我々とすれば、一組織の代表者という方の意見が、組織を代表する考えということで取り組んでいましたので、その点は先ほど申し上げたように、本当に十分な意思疎通ができてなかったんだなと受け止めたということです。
2020年五輪の東京への招致に対する支援について
記者 五輪についてなんですけれども、東京が2020年の五輪に立候補ファイルを提出して、招致レースが本格化する中で、市議会でも招致支援に向けた議決が行われたと思うんですけれど、被爆地広島、国際的知名度がある市として何か支援に向けて活動する考えっていうのはありますか。
市長 被爆地広島という形で特別何かということは、正直今のところ考えておりません。ただ、実際問題として、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京招致に
ついては、昨年の7月、指定都市市長会という立場で、応援決議に参画しています。ですから、そこで表明したスタンスでおります。
それと、個別には文科省から依頼を受けたりいたしまして、招致委員会が作成している広報用のポスターというものも市内の各区のスポーツセンターで掲示するということで、これに向けての賛成・支援の立場はしっかりと表明しつつ、皆さんに周知してきています。
そして、今月7日には、東京都の方からIOCに対して立候補ファイルを提出したという報告がありましたから、今後の誘致活動についても、支援・協力を頼むということもありましたから、そういった具体的なご要請があれば、それにしたがってきっちり対応していきたいと思っております。
その他の質問
国の補正予算案と職員の給与削減について
記者 国の補正予算案がまとまったというのがありますが、それをご覧になってどういうふうに思われたかというのと、公共事業も含めてたくさん取り込まれていると聞いているので、その点市長どのようにされるかということと、あわせて麻生財務大臣から地方公務員の給与削減を要請というのが、地方自治体の代表たちにありました。それを受けて市としてというか、市長のお考えとしてそれをどう捉えられるかというのを教えてください。
市長 補正予算の中での決定項目の中で、特に注目していくのは、先ほど申し上げておきましたけれど、今年やっていきたい施策の中で、やはり地域に密着したいろんな対策を講ずるということをやれるきっかけがあるんじゃないかなというのは少しあったと思ってます。
それは、福祉面での補正の盛り込みがありましたし、雇用対策なども、税も含めてやるっていうこともありましたから、具体的な就職支援活動などに、税制なども反映されるんですよということを使えれば、企業の雇用意欲喚起にもなるだろうと。
それから、教育についても、いじめ問題とかの取り組みなどにしっかり対応していくということも出てますので、市としても当然教育委員会などとしっかり議論しながら必要な体制を組めるということで、そういった点での政策のめりはり、一定のものがあるということで、大いに評価しているところです。
公共事業についても、ポジティブな積極的な対応という面については、大いに評価するのはあるんですけれど、こちらは従来のような公共事業のやり方、すなわち国が誘い水的なお金を支弁するけれど、必ずそれに自治体が自分の財源も付けてやれというふうな事で、ある意味では、使い道などのかっちり決められた、かつ、財源を確実にこちらも捻出しなければいけないという形で新しいものが出てくるようであれば、今ですら公共事業等については、選択と集中で長期的な視点を見ながら、いわゆる公債費の圧縮などを頭に置いて計画的にやっていこうという部分がありましたので、それらを調和できないような形での提示があると、ちょっと困るなという部分があります。
そんなことを言っていると、地元に財政負担をかけない、あるいは軽減するのとワンセットでという話も出たりするので、その辺は少し前進というか、進歩あったかなと受け止めてみたんですけれど、ところがどうもそのやり方が単年度の措置ということになりそうだという話も聞こえたりすると、結局出だしだけ、公共事業が数年かかるようなものであれば、入口だけ見てるけど、事業始めたら後は地元負担ということになると、ちょっと言い方はあれですけど、羊頭狗肉のような事業の配布ですから、地元として、なかなか苦しいものがあるということで、そういうメニューを消化できるかどうか慎重に検討しないといけない面もあるなという判断に今傾いております。それが予算の話ですね。
そして地方公務員、そんな中で地方へのいろんな財源を多分捻出するためにもという大義もあるんでしょう、国家公務員の7.8%の給与を臨時的に2年間ほど引き下げということも考えて、自治体も対応しては、というご提案だと受け止めました。
ここは、京都の山田知事も言われていますし、それから全国の市長会の会長である(長岡市の)森市長が言われてると思うんですけれど、短期的な給与の圧縮ということを各自治体が自主的に理解してやってくれというお話であれば、今までの大きな流れ、すなわち地方分権、(地方)自治体の独自の判断ということを尊重した、バランスのとれた要請ですけども、一律に地方に配るお金をカットした上で、事実上強制的に措置するというやり方はいかがなものかと思っています。そういう意味では、山田知事とか森市長などのご主張と全く軌を一にするものです。
実際、義務的給付でありますから、それの必要財源が確保できないという事態になれば、市としての財政運営上困難な状況も起こりますから、こういったことについては、自治体としての自主的な取り組みという中で、方向性を提示しながらもう少しソフトランディングと言いますか、調整の効くようなやり方をしていただいたほうがありがたいなと思っています。
記者 それは給与に関しては、賛同し難いということですか。
市長 山田知事も森市長も賛同し難いというようなことを言われているという認識に立っています。
記者 関連ですが、具体的に市長として、それに関して国に何かアクションを起こしていくようなお考えはおありですか。特に冒頭におっしゃったように地方分権というところは今年も力を入れていくとおっしゃっていました。その点を踏まえて何か個別のアクションとか、もしくは他の自治体と連携した動きというのは、何か想定されていますでしょうか。
市長 私は山田知事とか、森市長が全国の自治体の代表として言っていただいていますので、政府としても分かっていただけるんじゃないかと思っています。
少なくとも今段階では、市として独自の動きということは想定していません。もっともっと事態が予想外の展開とか、大変だということになれば、もう一段ちょっと考えてみようと思いますが、言うべきことは政府には伝わっているという認識でおります。
記者 先ほどの給与の関係なんですけれど、市としても給与削減というのは、今までも独自で続けていらっしゃるわけで、こういう事実といいますか、「国よりも先に進めているぞ」というお考えもお持ちでしょうか。
市長 もちろんありますよ。先ほど申し上げたように、自分たちの財政というものについては、調和させるべく、当然、事務・事業の見直しというような政策面での対応、そして処遇の在り方についても定員数も含めて、独自の調整をしてきております。
それが全然ないというのなら別ですけれど、しっかりやってきているという中での話ですから、国からの要請というのは、相当、個別の自治体の事情を見てやっていただくのがいいんじゃないかと、そうするべきものじゃないかなと思っています。
広大跡地の整備について
記者 最初の質問にも関わるんですが、4大未利用地のうち、広大跡地の整備については一部白紙になったなんていう報道もありましたが、知の拠点構想は来年度はどうなりますでしょうか。
市長 広大跡地について、一部の新聞で「暗礁」というような見出しで記事が出たりしておったんですけれど、私としては非常に心外という言い方がいいのか、以外というふうに受け止めています。
書かれている記事の、もちろん事実を踏まえた部分もあるんですけど、それらを総合評価して、「暗礁」と言われるような事態ではないというのが基本認識でありまして、なぜそういう評価になったかというのを逆に疑問に思っているところです。
自分の事業の進め方として、あそこについては知の拠点にすると、そして広大などとしっかり協議しながら、対応するという基本方針を守って今やってきています。
そして、その用地の確保については、今、財務・経営センターというところが旧理学部一号館の被爆建物がある部分を所有していまして、その建物について、私が申し上げてきているのは財務・経営センターの所有地の上に建っておりますけれど、その保存・活用ということをなんとか皆さんの意見を聴きながら議論していくということをやるということもキーになる。
そのためには具体的な建物の所有権を何とかした形で取得するというのが大きな目標。それをやった上で議論するということを言って、そのためにずっと議論を進めてきているという認識なんですね。
ところがその取得するための方法として自分が引き継いだときには、今あるあそこの一角の公園地というふうにして市が持っている土地と、財務・経営センターが持っている、被爆建物がある土地を例えば交換するというやり方で入手した上で議論するのはどうだろうかということで、やり方として、そこの部分、方法論としてそういうことを検討していたんですね。
そうした中で、実は地域住民の方から、せっかくある公園を民間に移して、そこが勝手にアパートとかマンションを作ったりするともったいないと、だからそのやり方はちょっと考えてくれ、というのを私は直接受けたりしたんですね。
そうすると、その意見は尊重しなきゃいかんということで、それも加味した上で、取得するために何か方法はないかということを考えているのは事実です。
しかしながら、財務・経営センターとの間では、被爆建物のある土地を何とか入手する方法はないかというのを担当者が交渉している最中ですから、その入手が全然出来なくなったというのなら別ですけど、方法論において、交換という方法だけではなくて、もう少し他の方法も考えてはどうかということを今やっている最中ですので、そこのやり方についての方法論がさまざま考える中の一つの方法がどうかなという、単にそれだけの状況の中で、「暗礁」という評価は当たっていないと私は思っています。
実際に事務局は、財務・経営センターとさまざまな入手方法について、今協議を進めていますのでね、その結果を待てば、ああいった記事にはならないはずなんですけどね、と思っています。
記者 その交渉というのはどれくらいのスケジュールで行われるんですか。
市長 交渉ですか。それは年度内には終える予定で、ずっと今までやってきてますから、そのペースは崩しておりません。一切、事務作業的には影響が出ていないという認識です。
記者 土地交換というやり方以外の方法を新たに議論しているということですか。
市長 そうですね。だから、どういうふうにして入手するのが、財務・経営センターとの間で納得できるか、そして地元の方々が交換という形であの公園地をつぶすことはやめてくれと言われたことをどの程度考慮した上でやるかという、それだけの話でありまして、本質的な問題が生じたわけでも何でもありません、という認識です。
記者 その一号館を市が保存・活用するということとか、知の拠点として広大が新たな施設を作るなんていう基本方針は全く変わっていないということですか。
市長 変わっていません。再度確認申し上げますけど、知の拠点構想を進めるというのが第一義的なお約束、その上で被爆建物について保存・活用という概念としてどういうふうな利用をするかということを詰めるということが第2点、そのためには、その建物について、市が所有するというコントロール権を取るということ、この三つを柱に私はやってきています。
その中のコントロール権を確立するために土地交換という形で地所を所有地を持てば、コントロールできるようになるので、その後にどうするかということを改めてまた広大等と協議しようという次の段取りのための最終ステップなんですけれど、交換という方法で入手すると、公園緑地が民間の土地に渡ってコントロールできなくなって、公園を残してくれという地元の方の意見を聞けなくなるから、交換以外の形で入手することはできないかということを財務・経営センターに問い掛けながら今やっていまして、今までの、市がやるという外に表明していたやり方の枝葉の部分ですかね、どういうふうにしてやれば入手できるかということについての問題を深めているというぐらいの意味でありまして、それが「暗礁」という評価は全く自分としては納得いかないんです。
記者 交換以外となると、土地の買い取り。
市長 もちろん買い取りもありましょうね。
記者 これは財源的にどうなんですか。
市長 ですから、そこらへんについては、そんなに悩むことはなくて、トータルで交換したときのように必要となる財源等は見込んでいるわけですから、そういったことも含めてやればなんてことはないと思いますよ。
記者 広大跡地の理学部一号館なんですけれど、保存して活用していく上で議論が長く長引いている間にかなり傷みが激しくなっているんです。ということである専門家に聞いたところ、もう活用していくにもかなりの傷み具合が進んでいると。そのあたり市として調査し、あるいはまだ所有はしていないんですけれど、今所有権がある側に何らかの保存のための、例えばこうしてほしいとか、そういうことは何か申し入れとか、何かお願いをされているということはあるんでしょうか。
市長 今のお話は、いずれにしても他人様のものといいますかね、財務・経営センターですから頼めばいいのかもわかりませんけれど、他の所有物件について市が直接調べるというのはなかなか理屈じゃ難しいと思うんです。
ですから今申し上げたように、まず市として所有権を確保した上で、言われている傷み状況などもつぶさに検証して、その状況を把握した上で、保存・活用としてどういうことが見込めるかを皆さんにちゃんと開示して議論していただくと、そういうスケジュール感を持ってます。
ですからまず何よりも市が所有できる状況にして、そしてその上で必要な調査費用をかけて、傷み状況をきちっと客観的に把握して、それらを加味した上で保存・活用としてどういうことにしていくかということを、もういっぺん最初の目的「知の拠点」にふさわしいあり方として議論していただくという順を考えています。
記者 でしたらここ最近は傷み具合とか、今の現状はどうなっているかということは把握はどうなんでしょう、されてない現状ということでよろしいですか。
市長 今はですから出来ておりませんね。見た目、見れば分かりますけれど、正確な調査はしてませんからね。ですから仮にですよ、年度内に、今は一応予定は年度内に所有権がこちらに移るということであれば、その後にちゃんと議会に諮って、必要な傷み度を調査するという予算を計上して、そしてそれで結果を踏まえて、それらを加味して保存・活用のためのアイデアとしてどんなものにするかということを議論をすると。
その時当然、広大など大学関係者も入っていただいて議論をしつつ、それらの考え方について、やはり議会なり市民の納得を得られる案にするということをやっていきたいと思っています。それは来年度の話になると思いますけれど。
記者 確認ですが、年度内に買い取る方向で交渉ということでいいですか。
市長 買い取りになるかどうかはまだ分かりません。要するに取得としておいてくださいね。だから交換(という)方法でやると、向こうに公園の所有権を移したくないものですからね、法律上にどういう知恵があるか分かりませんけれど、とにかく入手すると、取得すると、いう目標に向けて、今、相手があることですからね、やってます。
記者 その方法は買取も含んでいるという・・・
市長 もちろんそれは、向こうからすればね、お金もらってやる方が、財務・経営センターも得でしょうからね。だけどこっちとすれば、交換のときに考えたぐらい、土地を交換するときに考えた程度の予算はある程度、いろんな意味で了解を得てやってますでしょ。
それらを超えたりするとやっぱり最初にお伺いした議会とかに説明してやるということもきちんとやらにゃいかんと思いますからね。そう簡単にお金ポンと出すという気持ちもないので、そのへんのせめぎ合いですけれど。
いずれにしても入手はすると、所有権を取得するということを何か知恵を出していくということを今やっているという状況です。
平和市長会議国内加盟都市会議について
記者 今月、平和市長会議の国内加盟都市会議が長崎で開かれますが、この会議で目指す成果とですね、この中で被爆樹の種を配布したり平和の灯を継承したりすることについての意見交換ということが行われるようですが、この取り組みについてどうお考えかということを聞かせてください。
市長 被爆樹とか、平和の火を灯すというようなことも議論の対象にできないかというようなことにしています。そういった総会での議題なんかも取り上げていただきたい、どうでしょうかという相談を、実は、明日・あさって長崎での日本国内での平和市長会議に出席する中で、一応そういうことをご紹介し了解を得てやるということを考えています。これは基本的には、今度の総会の大きな柱として、私自身の気持ちは、平和市長会議の組織運営というものを、会の方々が主体性を持って、継続可能な活動にしていくということを自覚していただきたいというのが自分の願いです。
自分たち自身の活動である、だから続けなきゃいかんと、こう思っていただくための一番大きいのは、どっちかっていうと出捐するっていいますかね、費用負担をいくらかでもしていただくことは、確かにこの会議に参加しているということを自覚していただくということでやってるんです。
それプラス、じゃ出して日々の活動、一年に何回かやれば加盟してるというだけでは参加意識というものも続かないだろうということで、日々の活動の中でその都市として加盟しているし、市民に加盟した都市であるということを認知していただくということで、例えば被爆(樹)の種をその都市が持っていただけば、水やりをしなければいけませんし、日々成長しますからね。
そういうものを皆に見ていただくようなセッティングをしていただければ、日頃の平和活動ということで展開できるでしょうし、場合によっては火なども、平和の灯を灯していただければ、燃料補給もいりましょうから、そういった形での平和活動参加ということを恒常的に都市、都市市民が見るということができる。そういったことを通じて自分たちのムーブメントとして継続性を自覚できる、そんなことでやっていきたいと思っているんですね。
とにかく数を広げるということでここまで来た中で、取り組みについて改めて皆さんの自覚を促す、自分たちの組織であるんだということを自覚してもらうための費用負担と具体的活動の提示ということをやりたいと思ってます。
記者 長崎での会議全体としては、こういう目標に向けてどういう成果というか、どういう形式付けを目指していますか。
市長 今申し上げているような気持ちを持った広島・長崎、これは共通ですからね。それを抱える言わば日本というブロックで考えれば、都市群ですから、多くの都市も広島・長崎と同じような気持ちを共有していただいた上で総会に臨もうということで今度会議を開くことになっているんですね。
実際日本国内における平和市長会議の加盟都市は、実はもともと平和市長会議が国外に向けてのこういう運動するための組織を作ろうということでやってきていた中で、多く集まり始めた中で、自分たちの地元の日本国という国の中の都市はどうなっているんだというような議論がどうもあったらしくって、実際に国内の都市の加盟をお願いし始めたのは平成20年からなんですよ。
20年からなんですけれども、非常に短期間のうちに加盟都市が増えましてね、今でも全体都市の73%はもう入っていただいているんです。私は100%、日本の全都市入っていただくぐらいのものにしていいと思っているんですね。
ですからそういった思いを広げるためにも、今回の今いるメンバーでそういった取り組みをしっかり確認していただいて、日本国の地方自治体が全部入っていただくということができないか、そんな思いもある中で、昨年あたりは典型的な事情として、そのうち日本の基礎自治体とすれば、市と町村がありますから、そうすると市でない町村というようなレベルでも、今入ってるうちの45パーセント程度は町村なんですね。
その首長さんがね「市長会議って言うけど私は町長だ」とかね、「村長なのにね、自分の(村の)議会に向けて『あそこに行ってくる』という時に、あなた市長会議だから行かんでいいんじゃないですかと言われる」というようなことを言われて、もうちょっと工夫してくれということを言われたので、それじゃ首長、日本語名だけは市長じゃなくて首長っていうことで言って、世界名称はね、mayorsでもいいけれどっていうようなことを、去年議論しましたので、明日・あさっての長崎の会議では、日本語名を変えるということを議論しようかなと思っています。
サッカー専用スタジアムについて
記者 サッカー専用スタジアムの話についてです。二つあります。一つは署名の提出ですね、それを受けて検討組織を設置するというお考えでしたけれども、具体的な動きというのはありますか。
市長 いや、まだ聞いていません。
記者 いわゆる署名のことはまだ、提出のことは聞いていないということですね。普段のスケジュール、年間のスケジュールでは、だいたい1月になると県とのトップ会談というのがある時期になります。そこでそうした話を議題にするというお考えはありますでしょうか。
市長 現段階でまだ提出がないからですけれど、提出があれば直ちにでも呼びかけをしようと思いますよ。実際、私がこういう形でいろいろ言ってるから、マスコミ等で十分協議会の立ち上げという根回しはしていただいてますからね。あとは正式に関係者にね、もちろん知事を含めてですよ、関係者の方に正式にお願いをすれば協議会発足ということになるんじゃないでしょうか。
そのきっかけは署名活動してこれだけ集めたんだと、だからそういった集めたことを十分頭に置いて、行政としても何かの対応を考えてくれというお話になるんじゃないかと思うんですよ。それを受けて、県も含めてね、関係者で協議をするための場を、やろうじゃないですかという声掛けを正式にしていきたいと思っています。
記者 それはトップ会談という場を使ってということで・・・。
市長 うん、ありましょうね。ですからしっかり皆さんも書いていただいて、知事と会う時に、知事さんも事実を知ってますからね、どうですかと言ったら知事だってそりゃあね、(サンフレッチェ広島の優勝パレードのときの)平和公園でのバスの上でのお話のときに、作らないわけはないぞと言った知事ですから、立ち上げないということはないでしょう。やりましょうということになるんじゃないですか。だから二人一緒になって、どういうふうな協議体にするかということを議論してやっていけるんじゃないかと思います。
※ ( )は注釈を加えたものです。