本文
2011年10月27日記者会見「旧広島市民球場跡地委員会について外2件」
市からの報告案件
平和市長会議がスペイン国連協会から「第32回平和賞」を受賞したことについて
市長 記者発表ということで、平和市長会議がスペイン国連協会から、第32回の平和賞を受賞することになったという連絡がございました。
顕彰団体はスペイン国連協会ということでありますし、賞の概要といたしますと、1980年以降に毎年、国連の発足日、すなわち10月24日に合わせまして、平和構築と人権分野等で功績のあった個人または団体に授与されるというふうになっておりまして、副賞の賞金として、18,000ユーロ、現在のレートですと大体日本円で190万円程度だそうであります。そういったものを頂けると。
受賞の理由といたしまして、世界の151か国・地域の5,000を超える自治体で構成する平和市長会議が、大量の破壊兵器の廃絶、特に核兵器の廃絶に関する分野で行ってきた平和推進活動が評価されたもの、というふうになっております。
過去の受賞の主なものとしては、1986年のネルソン・マンデラさんとか、1989年のミハエル・ゴルバチョフとか、それから1992年では国境なき医師団というふうなところが受賞したと聞いております。
私としては、このたびのこのスペイン国連協会からの平和市長会議に対する受賞ということで、大変ありがたく、また、うれしいものだと思っています。この平和市長会議のこれまでの核兵器廃絶に向けた活動というものが評価された結果だと受け止めております。そういう意味では大変光栄に思います。
このたびの受賞というものは励みになりますので、今後とも核兵器のない世界を2020年までに実現するようにという思いの下に、より一層力を尽くしていくというふうにしたいと考えております。この件に関しては以上であります。
記者 受賞者で、日本の団体とか日本人は初めてですか。
国際平和推進部長 初めてです。
記者 これは受賞が決まったということですけれども、どういった形で授与されるのか、もうちょっと教えてくださいますか。
国際平和推進部長 今、受賞とか授与に関しては、主催団体と調整中でございますのでまだ決まっておりません。また決まり次第御連絡します。
市政記者クラブからの代表質問
旧広島市民球場跡地委員会について
記者 代表質問が三つございます。順にお尋ねしますのでよろしくお願いします。
まず一つ目です。第1回の旧市民球場の跡地委員会が今週24日に開催されました。22人という委員の選定過程でありますとか、また、今後のこの委員会の議事の進行だとか、そういったものに対して市長の思い、考え方というのはどのようなものがあるでしょうか。お聞かせください。
市長 今言われたように、先日24日に第1回目が開催されて、報告としては、今後の進め方、検討の視点、運営方法等々ありまして、言わば活発な議論が行われたというような報告を受けています。
御存じのように22名の様々な分野の方からなっていますので、私自身は初回の議論の内容は非常に良かったのではないかなというふうに受け止めています。ですから今後、これがどういうふうに議論展開されるかということに重きがあるわけですけれども、これは今後の議事進行といいますか、どういうふうにするかということなので、私自身が直接どうこうするということにはならないのですけれども、皆さんに受け止めてもらいたい気持ちということをあえて申せば、大体そうですね、四つぐらいのポイントがあるかなと思っています。
一つは、議論していただくときに、市民球場は確かに広島市内にあるのですけれども、市だけではなくて、県全体とかですね、場合によっては中四国のことを視野において、つまり広島が中核都市として今後伸びていくということをやっていかないといけないわけですから、視野を広いところに置いていただくと。そういう目線で考えてもらいたいなと。そしてその目線で考えるとき、もう一つは、都市全体のバランスを考慮していただくということもお願いできないかと。そのバランスというのは、市内の大きな空き地として、二葉の里とか、広島の西飛行場跡地、それから広大本部跡地と、すぐにでもこれぐらいの跡地があるわけですから、そのone of them(ワン・オブ・ゼム)でありますから、市内にある大規模な未利用地の、その使い方について、例えば機能分担して、この地区はこういう使い方をしてはどうかと。そういうことも同時に考えながら、その中で広島市民球場跡地をどうするかというふうな整理をしていただくといいんじゃないかなというふうに思うことが一つであります。
それから二つ目。別の切り口で言いますと、元々広島市というのは、国際平和文化都市というふうなことを言っていて、時々皮肉な言われ方をするのですけれども、「国際平和」ということはやってきたけれども、「文化」は発信力がないじゃないかとかいうふうなことを言われますのでね。こういう機会を捉えて、文化的な機能を強化すると。あるいはその発信力を高めるというふうな視点から、どう利用するかというようなことを考えてもらえたらと。そのときにその文化の発信の拠点をですね、先ほど申し上げた、機能の分担と言いますか、大規模跡地利用の機能分担のときに、文化の発信力をどこにウェイトを置くかというようなことと絡め合わせながら整理してもらうと、もう一つ議論が進むと言いますか、整理できないかなと。今のが二点目ですね。
それから三点目はですね、市民球場跡地の議論ということを包括していますが、自分とすれば、市民球場を囲む地域の、もう少し広いところに目を置いて議論をしていただくと整理が進むのかなと思っていまして、例えば直結します、地下街のシャレオですね。これなんかもにぎわいみたいなところ、あるいは若者中心と、将来的にどうするかというような視点から、シャレオのあり方も一緒に整理しながら、考えながらやってもらえばいいし、それから中央公園全体ですね。あそこ全体が、跡地が変わることでどうなるか、あるいは他の所ももう少し変化をさせるべきだとかね、そういうことも含めて議論があっていいとは思うのですね。くしくも、シャレオとか中央公園全体、重要であるという議論も出たそうでありますから、まさにこの思いは一致でありますから、うまく議論をしていってもらえないかなということであります。
それから最後にもう一点ですけれども、多分いろいろなアイデアが今までもありましたし、これからもその中で出てくると思いますけれども、やはり最終的には、この場での対話をしてビジョンを作るということですけれども、いつも最後に問題になるのは実行ですね。自分も「対話・ビジョン・実行」という、「実行」という言葉を掲げていますけれども、実現可能性ということも予算規模とかタイムスケジュールというものも考えて、織り込んで議論していただくとありがたいのですね。とりわけこの「実行」というところは、いろいろな意味で議論の締めくくりでとても重要になるのですけれども、まずもって今の所が国有地であるということがやはり実行するときの一つ大きなポイントでありますし、それから都市公園として位置付けられているという地域ですから、その制約の中で考えるのか、それとも実行する上で国有地でなくして、しかも都市公園でないというふうにしてやるのかどうか。そういうことも一旦検証してもらいたいのですね。それは実行する上で極めて重要な前提なのですね。
そんなことがありますので、今申し上げたような点を外すことなくきっちりと表に出して、皆で議論を戦わせてもらえれば、整理ができるのではないかなと。そういう意味でも一年半程度掛けてというのは、まあまあいい時間ではないのかなと思うのです。それで今言ったような整理がもし仮にどんどん早く進むのであれば、一年半以内で済むのであれば、それでもいいし、ありがたいと思っていますし、そんなところを皆さんの中でしっかりもんでいただいて、かつ、ここにおられますマスコミの諸氏にもそういう議論の経過とかそれについてのいろいろな評価がきっちりと伝わるようにしていけば、ある程度皆さんの意見は整理できていくのではないかなというふうに思っています。そんなところです。
記者 この委員会でのいわゆる最終的なこういった形でどうだろうかという案が一つにまとまることを望まれるのでしょうか。
市長 いや、それは今申し上げた点ですね、様々な点からの議論を尽くしていただければ、まとまるかまとまらないかにこだわらないです。
最後はやはり市長として決断すべきところは決断させていただきますが、そのときの判断の材料、今言ったようなことを総合勘案して決めさせていただければと思っています。そのときには決めれば断固やりますので、それまでにきちっと皆さんになぜそうしたのだと、なぜ決断したんだということが分かるような切り口、素材を十分提供していただければと。その過程で意見が収れんすれば非常にハッピーですよ、というぐらいの気持ちでおります。
記者 今市長に四つのポイントを説明していただきまして、非常に分かりやすい説明だと思うのですが、今聞いていてですね、跡地委員会の委員、22人にですね、直接そういう形で市長が説明する場があっても良かったのではないかなと思うのですけれど。というのは、初回の会合に市長が出席されなかったのですけれども、いろいろ予定があったのかもしれませんけれど、その辺りのお考え、直接委員に対してそういうようなお話をされなかった理由とかというのが何かあるのでしょうか。
市長 積極的に避けたわけではなくて、日程等があったことも事実ですけれどね。今申し上げたのは、初回の皆さんの雰囲気が、報告を受けまして、こういう提案をするのに十分受容していただけるメンバーだなということが分かったということもあります。だから今申し上げたようなことをこの場でも言いますけれど、選ばれた委員長とか副委員長にお伝えして、議事進行していく上で、もし許せばそういうことを考慮してやっていただけないですかということを言うつもりで今話をしました。
記者 その議論の中で、知恵を出せば出すほどむなしさを感じるというようなことを言われた委員さんがいて、そうだそうだと何人かも言われたのですけれども。というのは、以前もこういう跡地をどうするかというような議論があって、緑地広場というのがまとまってということがあったりもして、それともう一つは、今回最終的には市長が判断するということで、どういうふうに自分たちの出したアイデアが活用に結び付いていくのか、またはそうでないのかということがはっきりしないからではないのかなと思っているのですが、その辺りについてはどういうふうにお考えですか。
市長 今までも同じようなことが繰り返されてきたという評価も十分聞いていますけれども、私自身は市民それぞれの思いがありますから、意見を聞けばそれは百人百様、十人十色ということがあって不思議ではないと思うのですね。
ただ、私が市政に就くまでの議論というのは、いろいろな意見がある中で、WHYですね、なぜこの意見が駄目で、なぜこの意見になったかという、そこのところが十分に説明されていないというか、皆さんが知り得ていないというところの方が問題が大きいと思ったわけです。
だから、言われたようにむなしいということを言わずに、もう一度出していただいて、それがなぜいいのだろうか、なぜ悪いのだろうかというようなところを出してもらえれば、皆さん合理的に考えていただけると思うのですよ。その上でその合理性の程度の高いところを、私としてはどうでしょうかと選んで、私は合理性が高いと言ったって、他のところがいいという方もおられましょう。しかしそれは、これこれこういうことだからやりますよということを、皆さんにお示しするという覚悟で委員会の進捗状況をしばらくは見守りたいと。こういうことであります。
ですから、「なぜか」ということを皆さんにお知らせすることが一大使命だというふうに思っていますけれどもね。
記者 今の質問に関連してですが、委員の中では、最終的に市長が判断されるということで、この議論が一体全体どういうふうに利用されるのか、その辺が、結局市が最終判断ということで、不透明で、正直納得がいかないという感想をお持ちの方も何人かいらっしゃいました。そこで市長は、WHYという理由を納得していただきたいとおっしゃっていますが、委員の議論の中でもそういう不透明さが問題じゃないかと問題視されている方もいらっしゃいますが、どうやってその辺は説明していくつもりでしょうか。
市長 時点から言いますとね、最終的に市長がどうするか分からないから、不透明だから議論はしないというふうになっているのではないと思うのですよね。どう扱われるか分からないのに、つまり自分が言ったことが最終的に否定されるか分からないのに言ってもむなしいかなというふうにも聞こえましたし、自分の言っていることが採用されないのに、なぜここで議論を戦わせなければならないのかとか、あくまで自分、自分と言われるのですけれども、私自身は出てこられている22人の方は、もちろん自分という主体はありますけれど、市民の代表としてこういう意見があるということを開示していただいて、その意見について、その他の方、あるいは皆がどう思っているのかということを表に出して議論することそのことに意義があると。だからその各案の中で良し悪しを皆が議論するところに意義があるというふうに考えてくださいと申し上げたつもりであります。
そしてその積み上げが行われれば、私は必ず最後に決断するときに、こういった意見のこれこれこういう部分を是とさせていただきましたという説明をいたします。ですからこの会議そのものが説明を開示するための会議だという認識の下に一定期間開いていただいて、仕上がりとして、なぜ私がこれを選ぶかということは必ずや委員の皆様に御説明をしますので、十分時間的な経過を追っていけば、納得いただける議論展開といいますか、運営はできるというふうに思っています。
それが足りないということであれば、今申し上げたことを重ねて委員長、副委員長に言ってですね、議事進行の一助にしてもらうようにいたします。
記者 第1回の委員会のときに、出ている委員の方からは、我々はこういった形がいいという提案をするのだけれども、一方で、やはり市から「こういったプランがあるのですがこれについてどうでしょうか」ということについて意見を言いたいというような、そういったことも言われていたのですね。そういうふうに、まずなぜ我々が市のプランを見れないのだろうというような中で、今の時点で松井市長が、あそこがこういった形になる可能性がある、こういった形になればいいなという思いは、今の時点でお持ちなのでしょうか。
市長 今の時点ではありません。申し上げましたけれど、この委員会は、言葉で言うと、諮問機関のようなものでない位置付けでお願いしている。諮問というのは言われたように、市の行政当局としてこういうことをやりたいのだけれどいかがでしょうとやるのが諮問だと自分は思っています。この委員会はそうではなくて、選挙の前から、選挙に入ってから、市長になる前から聞いていていろいろな意見があって、必ずしも、繰り返しになりますけれど、それぞれの意見についての良さ悪さあるんですけれど、なぜこれになったかという、そのなぜの部分が多くの市民の方に周知されない中で特定の考えが出て、それが駄目になったというような、その繰り返しのようなイメージを受けましたので、むしろ多くの方、いろいろなアイデアを持っておられたら、そのアイデアを出していただいて、その良いところ悪いところをとにかく全部開陳していただくと。その中で、それぞれのレベルで良し悪しが多分出てくると思うのですね。それをとにかく一回皆に示しましょうではないですかということでお願いをした。そのための22人であります。
ですから、事を急ぐ気持ちもあってか、早く市が何かこっちの方だと言ってくれれば話が早いのだと思っておられるのだと思うのですけれども、あえてそれを待っていただきたいと。出ている意見について、それぞれの評価を皆でやってもらえませんかと。それを見させていただいて、自分なりの評価とかをやって、きちんと理由をお示しして選択すると。そのプロセスを申し訳ないけれどやっていただきたいと。そういう意味でこれについての皆の理解度を高めると。そういう手続きだと思っていただきたいわけであります。
記者 1点確認をさせていただきたいんですが、菓子博までの期間の1年半というのは、議論の期間ですか、それとも方針決定の期間ですか、もう一度確認させてください。
市長 その両方の性格を持っています。まず大前提は、いろんな議論をして、議論の中で先ほど申し上げた理由ですね、なぜこういう案があるか、なぜこの案が問題なのかとかね、そういうものを出していただく。
その出していくと同時にですね、私自身は、自分ももちろん最終的には決めると申し上げておりますが、多くの市民の方、メリット・デメリットですね、いいとこ悪いとこ聞いていけばですね、市民の方だってある程度選択ができていくはずなんですね、きちっと開示すれば。どうでしょうか。
そうすると皆の意見も一定程度集約可能になっていくんじゃないかなと。分散することなくね、整理ができていくんじゃないかなと思います。
で、その整理ができないんじゃないかというふうに思われて、最初議事進行という御質問があったと思いましたから、一応基盤ができたので、先ほど申し上げた四つの点ですね、そういった視点を必ず交えて議論をしていただくならば、皆さんが疑心暗鬼になることなく収れんする可能性があるんじゃないかなというふうに思ったわけであります。どうでしょうか。
そういう意味では意思を固めていくためのプロセスであるし、議論をしていくためのプロセスであるというふうに思っています。
来月開催の平和市長会議理事会などについて
記者 二つ目の質問です。来月ですね、スペインで開かれる平和市長会議の理事会でありますとか、スイスの国連欧州本部での原爆資料常設展示の開始を前にですね、どのような意気込みをお持ちでしょうか。お聞かせください。
市長 11月の第8回平和市長会議理事会の開催に伴い、スペインのグラノラーズの地を訪問します、私自身初めてでありますが。その会合の帰りにですね、帰る日程の中で国連の欧州本部に参りまして、被爆に関する常設展示の開会式をすると、それに出席するという日程で参ります。
訪問先の日程についてまだ最終調整中で、具体的に確定しておりませんので、決まり次第お伝えいたしますが、それを前提にお聞きいただきたいと思います。
まず理事会の方のポジションと言いますか、理事会でどう対応するかという気持ちについてはですね、今回の理事会というのは、加盟都市が5,000を突破したという、ある意味では記念碑的な理事会になるというふうに思っておりまして、この平和市長会議の中心部分である今後とも世界に被爆の実相を伝えると。
そして核廃絶、核兵器廃絶ですね、を求めるという世論を醸成するという、そういう視点をぶれることなくしっかり体現をしていきたいということなんですけれども。
そうすると、5,000を超えた多くの都市がですね、一定の会合をきちっと開いていくというためにはですね、ある意味ではその、サブスタンスのみならず、ロジスティクスといいますかね、会議を運用するための足腰の部分について、ある程度整理をしておくということをやるべきではないかというふうに思っていまして、ある意味では活動の形態、態様について一定の提言をしてですね、皆さんに考えていただくということをやりたいと思っています。
理事会ですから、考え方とすれば次の総会でこういうことを皆さんに決定していただく、そういうテーマ設定ですね、というようなことになろうかと思っています。
具体的には、加盟都市が国とか地域別で既にやってるいろんな活動があるんですけれどもね、そういうことも含めていろんな役割分担をどうしましょうかとか、位置付けをどうするかということで最終的にはその活動についての必要な費用負担などをですね、平和市長会議加盟都市でどういうふうにして手当てしましょうかとか、というような提案なんですけれども、一定の、複数の提案をして、理事会の中で、総会でですね、選択できるぐらいの煮詰まった議論ができればなというふうに思っております。
そういう意味では今みたいなことを初めて会う役員のメンバーとですね、何て言いますかね、忌たんのない意見交換をする中でですね、議事進行ができたらいいなというふうに思っています。これが平和市長会議ですね。
帰りに立ち寄る予定にしています国連欧州本部での常設展示ですけれども、これはニューヨークの国連本部に続いての、各国政府、軍縮に関わる関係者が多く集まっております欧州本部ですから、ここでもこういうものが、常設展示ができれば非常に有意義だというふうに思ってまして、これは長崎の市長さんともですね、一緒にまた展示開会式に出るという予定にしておりまして、私のみならず、長崎の市長さんも一定の時間講演をね、させてもらうというようなことを予定してます。
取り分け私としては被爆後75年間は草木も生えないと言われていたその街がね、こんなに復興したというふうなこととか、それから核兵器廃絶を願う被爆者の思いっていうのはこんなところにあるんです、っていうようなことをですね、コンパクトにそういう場でしゃべれればいいかなというふうに思っています。
それを通じてくるっと戻ればですね、広島に多くの方がやっぱり来てね、実相を見てみたいなと。そこで核兵器廃絶とか恒久平和を考えていただくというね、チャンスを増やしていただくというようなことのきっかけにもなればいいかなというふうに思っています。
記者 費用負担の部分で伺いたいんですけれども、各国その、提案を、費用負担の部分で、なされていくことについては、その狙いっていうのはどういうところ、まあ足腰の部分というのもあるっていうのも伺ったんですけれども、広島市としてはどういう狙いがあるのか、どういう思いで訴えられるのかというのを改めてちょっと具体的に御説明いただけますでしょうか。
市長 この費用負担については前提がございましてね、今、国じゃなくて都市なんですけれどもね。各都市に加盟していただいていますよね。この都市加盟をですね、実は費用負担なしでね、とにかくその、申込書に賛同していただけるとメンバーになれるということでずっと来ているんです。そこで5,000まで来たんですね。
これに掛かる基本的な費用はですね、今長崎と広島、この2市だけでやってるんですよ。そして、総会とかね、理事会を開催するときには、その開催都市が費用負担するということで、ほかの方々は会議があれば出張費なんかはね、自前で来られるでしょうけども、会議そのものの運営についての費用負担をお願いしてないんですよね。
それが本当にいいんだろうかということなんですね。もちろん主導した広島・長崎ですから、そこが一定程度の出えんをするというのは覚悟の上なんですけれども、これだけ多くの都市が参加して、全体としていろんな取り組みがあり、地域ごとにもですね、ヨーロッパ、スペイン辺りでですね、自分たちのグループの中でですね、活動すると。そのためにそのグループの中では出えんをね、しながらやってるっていう、活動していただいているっていうものがあると。
実際、恒常的な活動にはですね、効果的なんですね。一過的なものであればそのときだけ拠出するけども、とこうなんですけれども。
そうするとそういうのを見るとですね、平和市長会議各都市が共同歩調をとってですね、やるような催しものとかを考えたときにですね、それぞれその都市の資金力にも格差がございますからね。そういうところで費用負担のところでの格差を配慮した費用徴収と、活動するときの逆に支援のね、調整というか、そういう機能を持たせればですね、一様な運動が地球規模でね、展開できるっていう可能性が開けるじゃないですか。そんなことを掲げてですね、皆さんにお願いできないかなというふうに考えてるんです。
記者 実際、規模としては広島と長崎で2,000万円くらいでしたでしょうか。それはもっとその、拡大していく可能性があるんでしょうか。
市長 そうですね。増やすということにしないと意味ないですからね。
記者 特にその機運の活発化、動きの活発化というのは、平和市長会議の発言力を高めていく上でも…。
市長 発言力というか、世の中にこういうアクティブな動きをすることでね、皆さんからの注目度、そして内容の伝達効果がありますよね。それはたぶんどの都市も異議ないと思うんですよ。
ただその活動を皆が同時に連携してやるのか、ばらばらでアドホックにやるのかとかね、いうことであれば、多分一緒にやった方が誰が考えても効果がある。一緒にやるときのいろんな連絡とか調整とかコストがいるわけですから、そういったものを関係都市がね、出してやっていくという方が多分効果的であるというのは、誰しも疑わないところ。あとはそれぞれの都市の資力とかに応じてね、費用負担の考え方をどうするかっていうところにむしろ焦点が集まるかなっていうふうな気がしてますけどね。
趣旨は多分賛同いただける。ただ、実現可能性っていうかね、自分たちの都市の財政力とかね、いろんな御意見があるんじゃないかなと思いますけれどもね。
記者 今、費用負担のことをおっしゃいましたが、ちょっといまいち理解がついていけない部分がありまして、加盟都市5,000を超えているということで、実務的な部分で最低限の負担をお願いするという考えなのか、それとも今お話でおっしゃっている、世界が同時に連携していく、何らかのアクションを起こしていくために、費用負担を求める、そうするとかなり予算の額が変わってきますよね。
市長 そうです。
記者 提案する広島市としては、どのようなことを考えて、しかも先ほどおっしゃった世界同時のアクションを考えていく、そういうのを各都市に説明しなきゃいけませんよね。議論が行われると思いますが、広島市としてはどういう具体例を考えて説明していくおつもりでしょうか。
市長 今、正に言われたとおりの範囲で提案しようと思っていますよ。
記者 最低限の。
市長 最低限でいいでしょうか。一連の対応をするということでいきましょうか。そうすると予算規模も違います。で、費用負担をどうしましょうか。だから、さっき申し上げた、ざっくばらんに言うっていうのは、そういうことで、要するに費用負担をするという方向で考えたときに、どの程度のものをどういうふうにしましょうかということを投げ掛けたいと思うんです。
でこうやりたいという、いつも皆さん気にされるんですけどね、議論っていうのは、取り分け国際会議の議論っていうのは方向性を示して各国いろんなものがありますよね、これは各都市ですから。そういう中で、どういうふうに思考するかというのをまず引き出した上で調整したいんですね。ある一定のものを出せばそれについての賛否可否だけであれば、議論は深まらないんですよね。だから今言われたように、疑問が出るということは次の議論のための重要なステップになるということなんで、広げて基礎部分か共通活動までか、そのときの費用負担をどうするかということも含めて整理して、絞り込んで総会に諮りましょうと、理事会ではざっとやりたいと、いうことなんです。
記者 そうしますと、最低の費用負担を各都市に負担を求めるのは、市民が納得する説明が必要になると思うんですけど。
市長 なりましょうね。
記者 最低限のアクションから、あと同時の・・・・
市長 例えば、こんなことをやるということを言ってやってみましょうと。それと同時に跳ね返ってくる費用負担額がありますでしょ。費用負担を掛けるルールだって各都市、極端に言ってですよ、共通なのか、資金力に応じて、市の財政規模とかね、都市の人口規模とかね、何かあるじゃないですか。それでウェイト付けしていきましょうかと、ウェイト付けするという考え方の下に、トータルコストどの部分についてウェイト付けするんですかと言われて、基礎部分的なのをウェイト付けしていくのか、年々の開催事業まで上乗せして配るのかと、どうしましょうかと、いうふうにすればいいと思うんですよね。
だから、丁寧に問題を提示して議論していただくと、それで組み合わせて選択肢を作り上げて総会で皆の決を取りましょうというのが理事会の役割だと思っています。
記者 議論の幅として、予算額というのは最低どれぐらいから、最大だと、どれぐらいを想定されているんですか。
市長 想定は、どこまで行くかということを聞いてみませんと、現状はもちろん説明しますよ。両都市はこれくらいやっていますけども、どういうふうにしたらいいですかねというふうに、私としては聞いていけばいいと思うんです。議論を誘導するのが、理事会ですからね。
記者 議論をしていく中で、私自身はそこにかみ付くかもしれませんが、加盟は今の長崎、広島それぞれ平和市長会議に100万円ずつ会議だけに掛かるということなんですけど、マックスだと上限がどこにあるということがあると思うんですよ。
市長 それはあると思いますよ。おっしゃるとおりですよ。
記者 提案する市としては、どういう規模を・・・・
市長 提案ではなくて、そういう議論をしましょうということをやるんですから。
記者 それじゃあ、議論の内容次第で・・・
市長 今まで、そういう議論もしたことないわけですから。まず費用負担をそれぞれでやりましょうと。じゃあ、どの程度の費用だったらいいかということも含めて考えてみましょうと、少なくとも今我々はこれだけを負担してますよということを示して、ということなんです。
記者 その議論の中でどれぐらいのアクションをしていくかと・・・・
市長 そこは全然共通のアクションがいらなくてね、今までどおりでいいという意見もあるかも分かりませんよね。理事会の中ですよ、もちろん。それをまず見てみないと、分かんないと思うんでよね。大丈夫ですよ、理事会ですから、総会じゃないんですよ。総会に掛けるためのアイデアを練るための本当に腹を割った議論、少なくとも費用負担をするということについて、どうお考えですかと。負担をすると、どういう規模で、どういうふうにやっていきましょうかと、その案を作りましょうということをやっていくわけなんですけどね。
記者 そこの費用負担の部分で、説明がちょっと不透明かなという・・・
市長 私の国際経験の感覚からすると、ごく普通のやり方ですよ。理事会をやり、総会をやるときのね。各国に、この点について議論を募ると出して意見を頂いて整理して初めて諮るべき案を固めて、素案を固めて、選択すると、そうしないと議論にならないですよ。いつも誰かが言うことを聞いて〇×するんじゃ議論になりません。国際会議の多分常とうだと思いますよ。
国際平和拠点ひろしま構想について
記者 広島県がされている国際平和拠点ひろしま構想の構想案がまとまったということなんですが、広島市として、これをどのように捉えておられるでしょうか。
市長 国際平和拠点ひろしま構想というのは、広島の国際的知名度と平和資源を生かしてですね、核兵器の廃絶プロセスというようなものに取り組んでいくというようなことをやるもんだと理解しておりまして、私は言わば核兵器廃絶という、それに向けてのものだという点については、意義あるものとして評価しております。
それで、取り分け核兵器廃絶に向けては、今までも言っておりますけれども、核兵器の被害を受けた実相というものを知った市民の思いとして、これを無くするためにどうしていただくかということを考えてくださいというようなことを言い続けているわけですから、その考えるための取り組み、どうしたら核兵器が無くなるかという取り組みは、国、自治体、NGOというさまざまな立場でですね、取り組んでいただくということが非常に重要だと思っています。
ですから、今回のこの国際平和拠点ひろしま構想というのも今申し上げた取り組みの私どもがやっていただきたいと思っている取り組みの一つということで、重ねて評価するわけでありまして、我々とすれば、市とすればですよ、核兵器の使われた後の被爆の実相ということをぴちっと皆に理解していただくということに、あくまで軸足を置きながら、いろんな核兵器廃絶に向けての取り組みがですね、促されるようにすると、正にその取り組みの一つとして、これが出てきたということですから、今言った観点から、必要に応じた連携・協力というものを県ともしっかりやっていくというふうにしていきたいと思っています。
記者 今、市長は連携・協力というふうにおっしゃいましたけれども、県との連携・協力という意味では、ちょうど市長がスペインに行かれるときに、ちょうど同じ時期に湯崎知事はアメリカを訪問して、活発に活動されますよね。日程については、市と県と同時に別々に、平和、核兵器廃絶に関して活動されるということについては、感想というか、どう受け止めておられますか。
市長 私はスペインで、知事さんがアメリカだったら、大西洋を挟んで右と左ということかも分かりませんけども。行ってそれぞれやるときにですね、これから調整が行われればですよ、平和市長会議の今言った理事会の中でですね、知事さんがやっている構想についての扱いなんかを紹介するというような手もあろうかと思いますしね。
だから、知事さんは国連に行って、国連事務総長とかとお話されるときに、市が中心になっている平和市長会議のことについて言及していただく、あるいは市の取り組みについて紹介していただきながら、県市が一体となってこういう問題に取り組んでいますよということは十分やっていただける、あるいは自分もやる余地はあろうと思います。そういう意味では行く前にですね、知事さんときちっとその会合をセットして調整をしたいと思っていますけどね。
記者 会合のセットは、もう具体的に決まったんですか。
市長 まだ日程は確保できていませんが、一応、話し合いをしようかなということはやっているはずですよね。事務的にやり取りしていますよ。何とかしませんかとは言っています。
記者 あと県市が一体になって、あるいは連携しながらですね、被爆の実相を伝えていく、核兵器廃絶を伝えていくということは非常に大切だと、もちろんだと思うんですけど、その中で市としては、あるいは平和市長会議としては、活動の柱としては、2020年までの核兵器廃絶という期限を区切った明確な目標を中心として据えていますよね。でも、県の構想の場合は市が最もプッシュしている考え方に対する配慮というのが、あまりないのかなという印象を受けているんですけども、そういった県の方の整合性というか、どういった働き掛けをされるかという考え方とかありますか。
市長 そこまで、そういう捉え方はしていないんですけども。先ほど申し上げた県の方はひろしま平和拠点ですね、その平和拠点にするというそのコンセプトを中心にしながら、核廃絶に向けた動きですね、平和市長会議の場合は今言った、2020ビジョンというものをその多くの都市に理解していただくということをやっているわけですからね、私自身は両方とも核廃絶に向けてるというその一点においてですよ、矛盾するものではないという気持ちでありますしね。
それぞれの作戦とか具体的な取り組みというものについては、最初申し上げましたように、核廃絶に向けてさまざまな取り組みをやっていただくということ、そのことに十分意味があるというふうに私は思っています。決してそのやり方が相反関係になるとかっていうのは、捉え方をしていないんですけどね。今言われたような意味での問題意識にはならないんですけどね、自分の場合はですよ。
記者 すいません。あともう一つ。今まではもっぱら広島市が被爆都市、被爆した市として、平和行政の先頭に立って、世界の先頭に立って推進してきたと思うんですけど、今後、県と市の役割分担ということになってくるとなれば、具体的な話をかなり緊急に詰めていきたいなという思いはどうですか。
市長 今申し上げた中で言ってますし、もちろん話し合いが持てれば、そういうことも確認せよとか言いますけど。自分は広島は被爆の実相を伝えると、それで世界の多くの人たちが本当に原爆はあってはいけない、恒久平和じゃなきゃいかんという思いを持っていただくというのが、何よりも重大な使命とそのために何ができるかということをやると、その際、そういう思いが伝わって核廃絶のためのさまざまな取り組みが行われれば、それをぜひ進めてくださいと、いろんなやり方をやって究極の目標に向かってやってくださいということを言い続けるのが広島と思っています。
で、先ほど申し上げた県はですね、その中で、一つのやり方としてですね、国際平和拠点ひろしま構想というのを掲げて一つの取り組みをやってくださると、こういうことでありますから、役割分担はおのずと、ある意味で我々が実相を伝えて、個々人の気持ちをかき立てたら、そのかき立てた気持ちを実現する一つの方法として、これはどうでしょうかという提案をしていだいていると思っていますので、そういう意味でですね、連携協力を今言った基本的スタンスを守りながら、連携協力をするということには惜しまないと、こういうことであります。
その他の質問
記者 ちょっとそれるんですけれども、今度の31日にですね、政令市を特別自治市としての都道府県から独立させるような共同研究会というのが都内で開かれると思うんですが、そこで横浜だとか神戸なんかも、七つの団体が参加するということを打ち出しているんですけれども広島市は参加されないということなんですが、これについての改めて特別自治市に対する考え方といいますか、そういったものをちょっとお聞かせ願いたいんですが。
市長 現行の19政令指定都市ね、今度熊本が入って20になるっていうんですが、その政令指定都市として特別市をですね、にすべく国などに要望するということは決めてましてね。広島はそれを支持するというか、同じ立場で行動しようというふうには言っておりますし、今までもそうしてきております。
記者 今回、この31日に参加されないというのはどういった理由なんですか。
市長 会議、市長会議ですか。
記者 すみません、市長会議にちょっと関連しないところではありますが。
市長 ごめんなさい、それは知らない。市長会議の日程は何かなかったかな。
企画総務局長 市長会議に行くようになっています。
市長 市長会議があるんですよ。あるんです、東京で。そちらの方に行ってますので。
記者 分かりました。