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2011年06月10日記者会見「平成23年(2011年)第3回市議会定例会の提出案件について」
平成23年(2011年)第3回市議会定例会の提出案件について
市長 本日、平成23年第3回の広島市議会定例会を招集いたしました。開会は6月17日金曜日であります。
今議会に提出いたします議案は、一般会計補正予算案など19件であります。
まず、最初に今回の補正予算編成についての基本的な考え方を説明いたします。
現在の厳しい財政状況の折、新たな施策を展開するためには、あらかじめ、中長期的な財政状況の推移を見通す必要があります。したがいまして、今年度は、中長期的な財政状況の見通しを立て、財政運営の方針の確立を図ることに傾注し、平成24年度当初予算を中心に新たな施策の推進に必要となる予算を計上して着実に施策を実行していきたいというふうに考えております。
こうした考え方に立ち、今回の補正予算案では必要最小限の事業の計上にとどめ、具体的には、今年度の当初予算に計上されている事業で政策的に見直しを図るべきもの、法改正に対応しなければならないもの、国や県の補助金等を活用して実施するもの、事業のスケジュール上予算化する必要があるもの。こういったものを計上しております。
この基本的な考え方に基づいて編成した今回の補正予算の規模。これは、お手元にありますとおり、一般会計のみで、9億1,983万円となっております。
内訳は、まず、広島市事務事業見直し等検討委員会の運営に係る減額補正であります。厳しい財政状況の中で、限られた財源を有効に活用し、効率的な行政運営を推進するためには、事務事業の見直しにスピード感を持って取り組むということが必要であります。新たに市民の負託を受けた私は、市として事務事業の見直しというものを、自主的かつ主体的にやっていきたいというふうに考えまして、今あるこの広島市事務事業見直し等検討委員会、これを廃止するという下にこの予算を削ることにいたしました。
次に、雇用創出による震災被災者の支援であります。緊急雇用創出事業臨時特例交付金、これを活用して、東日本大震災によって仕事を失われた方々を市の臨時職員として採用できるようにいたします。
次に、折り鶴に託された思いを昇華させるための方策の策定であります。原爆の子の像に国内外から捧げられる折り鶴につきまして、市民等から募集したアイデアや意見を反映した事業というものをまず試行実施する。それとともに、その試行実施したものの検証結果とかアイデア、意見といったものを基にしまして、有識者等で構成する検討委員会の場で検討を行いまして、折り鶴に託された思いを昇華させるための方策というものを策定していきたいと考えております。
次に、平和宣言の作成についてです。被爆者自身の被爆体験、あるいは平和への思いといったものを、次の世代の広島市民が共有して、それを世界に広げるというふうにするために、被爆者から募集する被爆体験談や平和への思いといったものを8月6日の平和宣言に盛り込む。そのための選定委員会を設置するというための予算であります。
次に、地域支え合い体制づくり事業があります。広島県の補助金を活用して二つの事業を行います。
一つが、公共施設等に設置する、車いす使用者等用、車いすを使用する方々など用の駐車区画というものを「広島県思いやり駐車場」という形にして、利用者のための利用証の交付であるとか案内表示、これを掲示するということをやっていきます。
二つ目は、市内16か所の地区社会福祉協議会の活動拠点、これを整備いたします。
次に、障害者自立支援法の一部改正への対応であります。障害者自立支援法の改正に伴いまして、グループホーム等の利用助成、あるいは重度視覚障害者の移動支援サービスといったものを実施してまいります。
次に、救急医療コントロール機能支援病院運営費補助であります。広島都市圏の救急医療体制、これを強化するために、他の病院で受入困難とされた患者をまず広島市民病院が受け入れて、必要な処置を行った上で転院させるというふうにいたします。その転院患者を受け入れる病院の空床、空いたベッドですね、それを確保するために要する経費、これを補助する等といったことを行います。
次に、安心こども基金事業であります。広島県の安心こども基金、これを活用して四つの事業を行います。
一つが、民間保育園整備補助であります。140人の定員増、保育環境の改善、こういったものを図るため、民間保育園の整備に対する補助を行います。
二つ目。産後の心の健康サポート事業。産後の母親の精神面での健康状態を早期にまず把握した上で、医療機関へ受診を勧奨したり、心理相談員を派遣するなどといった必要な支援を行います。それから、また別途、産後うつ病に関する理解といったものを深めるための講演会を開催するといったことであります。
三つ目。こどもの生活習慣向上事業。これは、子どもの生活習慣に対する親の意識を高めるということであります。そのため、啓発活動を行うボランティアを養成する。さらにはそのボランティアを活用して食事や睡眠等に関する生活習慣向上教室といったものを開催するというものであります。
四つ目。20代のための食育啓発事業でありまして、若い世代への食育推進というものを図るために、大学、企業等と連携いたしまして、フォーラムの開催などの啓発活動を行います。
次に、(大きい項目として)西風新都の都市づくりの推進ということを挙げます。石内東住宅地区につきまして、民間事業者の開発というものがありますので、これに合わせて、同地区内の外環状線の整備に着手いたします。
次に、災害に強いまちづくりの推進。東日本大震災の被災地に対しまして、本市の備蓄物資の一部を提供いたしました。そういう意味では備蓄物資が無くなりましたので、それを補充するということをいたします。
次に、心の元気を育てる地域支援事業であります。広島県から委託を受けまして、七つの中学校区に教職員やPTA、地域団体代表者等で構成する地域推進協議会というものを設置し、学校と家庭、地域が一体となって一斉清掃などの体験活動を実施。というものであります。
最後に、教育委員会情報ネットワークの再構築に係る債務負担行為設定であります。これは平成22年度にハードウェア部分の契約を行いましたけれども、ソフトウェア部分の契約というものまで至らなかったために、改めて平成23年度にソフトウェア部分の契約を行うための債務負担行為を設定するものであります。
次に、予算以外の議案といたしまして、議会の議決すべき事件に関する条例の一部改正案など条例案12件、その他に議案6件を提出いたします。
以上が今議会に提出する議案の概要でございます。
最後に、追加提出予定案件がございますのでこれを説明いたします。
まずもって、副市長の選任の同意でございます。6月30日で米神副市長の任期が満了となります。また、三宅副市長が6月30日をもって退職いたします。そのため新しい2人の副市長の選任同意議案を提出したいと考えております。
次に、教育委員会委員の任命の同意であります。現任の濱本教育委員が6月30日をもって退任するために、新しい教育委員会委員の任命同意議案、これを提出したいと考えています。
私からの説明は以上です。
記者 一番最初にある事務事業見直し等検討委員会の見直しについてなんですが、今までやっていた委員会がどういう特徴とか機能を発揮したのか、要するに、どういう所が足りなくて今回こういう形になったのかというのを改めて整理していただけますか。
市長 改めて。
記者 どういう所が見直し委員会というのは足りなくてというか、あまり機能していなかったのではないかと見ておられるのかということを伺えますか。
市長 こういう委員会ですよね、悪い所ばっかりじゃないので、成果はもちろんあると思っています。そういう意味ではどんな所が成果かと言われれば、各委員からですね、多岐にわたる意見を頂いておると。それを受けて職員自身がですね、事務事業の見直しをしなきゃいかんというふうに捉えて、しっかりした作業をしたという点。指摘に対してどの程度ですね、十分答えを聞いたかどうかというのはあるにしても、一連のこういった動きですね、これ自身については一定の成果があったものというふうに考えます。
ただその一方でですね、皆様方の多くの意見を頂いて皆で検討するという言わばやり方の中で、本当に急がないといけないものがある時に、どこまで決定できるかと。最終的な判断は改めてまた市の方でですね、実務担当者で下さないといけないという作業があるわけですね。ご意見ですからね。参考意見が出てきて、それをもう一遍咀嚼(そしゃく)しないといけない。そういう意味での即効性の面がどうかとかですね。職員は今言ったような事務事業見直しということを設定すると、そのためにですね、新たな作業をしております。日頃からやっている言わばルーティーンワークに加えて、そういったこともやるという様な局面もありましてですね、実はその日頃からやっているルーティーンワークの中にいろんな事業の点検と、次年度への備えというですね、いろいろな企画という作業も頭の中でやっているわけですね。
それを別途、表立ってしっかりやらなきゃ、そのための資料作りというようなこともありますから、そんなことを考えた時に、私自身は今度直近に市民の思いを頂いて市長になったということでありますから、私自身が頂いた意見というものを、もう少ししっかりと受け止めて、それを政策にですね、反映するという、言わば自主的に、主体的にやるというようなことをですね、一回やってみたいということであります。それでそういったことについての成果、評価を頂きながら、市長さんそれだけじゃ足りんよと。もっと皆の意見を聞けというようなことがまたあればですね、今みたいなことを、つまり委員会みたいなことを考えるということもあっていいと思いますが、取りあえず、私に託されたもろもろ意見をですね、ダイレクトに政策に反映するということ。
一番最初に申し上げましたように、今後の財政見通しなんかをしっかりよく見ながらですね、やらしてもらえないかなと。委員会の今までの成果もですね、そういう意味ではある意味で同時に検証しながらやります。それを外してやるわけではなくて、それも取り込んだ上で、自分の頂いた意見と一緒にして、実現可能性という様なことも考えながら、事務事業の見直しということをしっかりやっていきたい。そういう気持ちでおります。
記者 関連してですけれども、事務事業見直しの成果を検証しながらやるということですけれども、委員会の判定として、交通ランドなど三つの施設を民間移管すべきでないかという意見など出てですね、それはまだ判定を受けての施策というのは見えてきてないんですけれども、その辺は尊重しながらやっていくという考え方なんでしょうか。それともやはりもう一回市長の目でゼロから見て考えていくということになるのでしょうか。
市長 いえ、一定程度出ている意見はね、それはそのまま素直に受け取りますよ。ですから申し上げたのは、実行可能性、実現可能性という様な点から、しっかり考慮したいということであります。いろんな意見、こうやってくれというのが出ますよね。ですけど、具体的にやる対策は、その地域に落とせば、現に利益を受けている方、被害を受けている方がおるわけですね。その案がどちらにどう影響するかというのを見ないと決断できないわけですよね。
おおむねいろんな第三者的に、もし言われているあるべき姿像であればそれを具体化する時に利害関係者に本当に納得いただけるものかどうかということをもう一遍問い直して、かつ、今までやってきている政策との継続性、維持すべきか断つべきかという決断をしなきゃいけないですよね。そういう意味で先ほど申し上げた、実行可能性、実現可能性という意味を、相互の関係者の意向なんかもよくよく聞きながら決断していくということであります。
記者 そういう中で、市長が自主的、主体的に見直しに取り組まれるというのは非常に期待をするのですけれども、それが実際どういう形で、どういうプロセスを経てそういう結果を生んできたのかということについては、我々としても見ていきたいというか、見れるようにしていただきたいと思うんですけれども、その辺の所はどう考えておられますでしょうか。
市長 そこはですね、委員会システムにするとね、透明性があると。市長さんがやると不透明になるというふうなことにしてはいけないと思っています。だからそれは私自身の姿勢の基本である対話というようなことを言っていますけれども、私自身がやると言いながら作業は現にその業務をしている職員にこれはどうかというようなことを問い合わせをしながら、直接的にはすぐ出てくるのは、次年度の予算とか事業計画、そういったものにどう投影すべきかということをやりますから、それをやりながら、最終的には来年度予算の中に投影していくことになるわけです。それで議会にお諮りするということでありますから、出てくる方向性というものをそこでは点検していただけるというふうに思います。
そして、そこで皆さん方、問題になるのは、なんでそんなことになったかということでしょうから、その辺の理由などもね、どう考えてこうなったというようなことも、今までもやってきたと思いますけれども、それ以上にしっかり提示するということをやっていけば、透明性に耐えられると。そしてそれは皆様方の評価であるとともに議会への対話というか問い掛けですから、評価が出てくると。それを本当に繰り返しながらやっていくということですね。方向性と理由付け、判断の根拠、そういったものをしっかりとお示ししながらやっていくということができれば、私自身はそんなに皆さんが疑心暗鬼になることはないんじゃないかと思いますけれど。
記者 副市長の選任の件で伺いたいんですけれども、二人を選ぶということなんですが、今の市長の考えの中で、県のように例えば民間の方から起用されるとかですね、どういうお考えを持っておられるのかお聞かせください。
市長 今ですか。
記者 はい。
市長 選任は議会に諮るぎりぎりまでですが、三人まで副市長さんできるという規定があるようですが、私は市長になってから4月から2カ月ですけれど、二人でいいだろうということで、人数は二人にします。それと後は自分なりに、いろんな所との対話、連携ということを考えていますから、国の方にも問い掛けしたり、それからもちろん、職員の中で、職員の体制をしっかりしながら職員との連携が図れるようにという様なことを重視したいと思っていまして、消去法で申しますと、民間の方を当てはめるというようなことは今のところ考えていないと。そこははっきりしております。
記者 雇用創出についてお伺いしたいのですが、臨時職員を雇うという、具体的に人数とか期間とかがもし今分かれば教えてください。それと受け入れる側の市長さんの思いを聞かせてください。
市長 具体的な人数は担当の方から。
財政局長 予算計上していますのは、20人の3カ月分という事で、予算を計上しております。現在市内の方に避難をしてきていらっしゃる被災者の方が、5月5日現在ですが、34世帯106人の方が。これは子どもさんからお年寄りの方までということなんですけれども、予算計上は最初に申し上げたとおり、20人の3カ月分ということを計上しております。
市長 今言った数字もですね、実際に市内に避難されている方の中で、なかなか民間のいわゆる求人状況も芳しくない、厳しいというところで、市としてお受けするとすればどのくらいの規模でというようなことをやった上での判断ということになりまして、実際に避難されている方々の一部生活支援であるとともに、気持ちの上での元気とか安心感を取り戻して頂くための一助にしていただけないかなということです。実際に給料を払うわけですから、当然市民への行政サービスもしっかりやっていただくということになりますが、そういった思いを、その方々のある意味では元気を取り戻して頂く一助にしたいということです。
記者 財政局長に伺うんですけれども、いつ頃から3カ月かということと、採用方法について具体的に。
財政局長 今後の、予算が成立した後に速やかにという事で、具体的な日にちはまだ市民局の方からは聞いていないんですけれども、可及的速やかに準備をして雇用をさせていただきたいということで考えています。
記者 採用方法は募集をされて面接みたいな、一般的な形でよろしいでしょうか。
財政局長 そうなりますね。募集という形になります。
記者 ちょっと遅れて来たのでもう説明あったかもしれないんですけれども、具体的にはどういう業務に当たるんですか、この臨時職員というのは。
財政局長 あ、よろしいですか。市全般の業務ということで、これということで決めているわけではないんですけれども、市民局を中心に、全庁、幅広くといいますか、まあ臨時職員ということを基本的には想定しているんですけれども。また改めてそこは発表させていただきます。
記者 これ20人、3か月分ということなんですが、当面これで、その後継続する可能性はある、ということでよろしいんでしょうか。
財政局長 おっしゃられるとおり、状況を見ながら避難されてきた方の実状を見ながら柔軟に対応したいと考えています。
記者 今回の補正予算案は市長にとっては初めての予算編成ということになると思います。今年度の当初予算が骨格予算で、骨格予算としてはボリュームがあった予算だったんですけれども、財政的な制約もある中でですね、編成に当たってはどのような点に苦心されたかっていうのをお聞かせください。
市長 確かに骨格予算という名の下に編成済みの予算でありましたけれども、個々の事業を検証させていただくとですね、通年のね、通しの事業経費ということになっていましてね、それから、半年度予算とかね、基礎部分だけの予算ではないものであったわけですね。
そうすると当初予算のところで通年組まれている多くの事業についてはですね、4、5、6とこう事業推進しているわけですから、それ自身が決定的にね、間違ってる政策というんであればですね、それをストップしてね、組み替えるというようなこともありましょうけれども、実際、検証させていただいた中でね、多くの事業が継続性ということもある中で、確実にやれてる事業が多くありました。
そして私自身、来てざっと勉強しただけですからね、実際どういうふうに判断するかっていうのは自分の市政という形で色づけて実施した上でね、改めて御意見を聞いて、本格予算といいますか来年度以降、御意見を頂いてですね、点検すれば十分対応可能なね、予算であったんじゃないかなというのが全体の評価であります。そんな中で、公約等で掲げて是非とも導入していかなきゃいかんといったものについてのね、切っ掛けを作るというぐらいの仕立ての中で、本格予算は24年度を中心にやっていけばいいんじゃないかいうことでありました。
ですから、今までの市政の変革ということは申し上げましたけれども、今だってそう考えていますが、本当に変革しなきゃいけないのは何かっていう具体策についてのね、考慮を今からしっかりやっていくということをやれば、しなやかな変革といいますかね、そういうことは十分にできるというふうに思っています。
記者 今のお話の中で、例えば市長が公約として掲げられた旧市民球場のですね、見直し等の予算については今回計上されていませんけれども、これらについては今後どのようにされるのか、その辺りもお聞かせください。
市長 その予算は、まず、今の球場をね、解体するという予算がついてますから、そのための実行はやらなきゃいかんし、議会がね、正式手続きを踏んで決定したものですからね、やっていきたいと。問題はその後の整理された後の土地あるいはその辺りをどうしていくかということになるわけですが、これはその判断を申し上げるときに1年半から2年ね、掛けて皆さんの意見を聞いて、全体の枠組みをどうするかということの姿が見えてからね、必要な予算措置をしていくということになるんじゃないでしょうか。
そんな中で一部菓子博にね、不可欠だというふうな手当てが見えてくればね、それはまた別途やりながらやると。そういう意味では、同時進行的なところと長期のビジョンを見据えてやるという二つの範ちゅうがあって、その長期のビジョンを見据えてやる部分については、しばらくは皆さんの意見を頂くというためにオープンにしておくということになると思います。
記者 補正予算の考え方なんですけれども、必要最小限にとどめたとおっしゃられましたけれども、お話先ほどから聞いていると、新年度、来年度の当初予算で思い切ってやっていくということだと思うんですけれども、今後も補正予算を何度か組む機会があると思うんですけれども、その辺りも必要最小限のものになるということなんでしょうか。
市長 十分ですね、将来ビジョンが見えてない中で、次の9月議会が来ればですね、自分の将来ビジョンの整理との関係なんですけれどもね、必ずしもがちっと決めているわけではありませんが、9月までの間で、世の中の事情が変わって、どうしても取り急ぎやらなきゃいかんというものが、その政府ベースでの法律改正とかね、いうものが来ればですね、それはそのように対応しなきゃならんと思います。
それから、24年度予算に向かって整理していく中でね、長期ビジョン、見通しと切り離してでもね、やれる、やらなきゃいかんというものが出てくればですね、それはその段階でやるというふうに考えています。ですから言葉をやや丁寧に言ったつもりなのは、本格予算は24年度予算を中心にやると。それだけとは言ってません。それ以前のところでチャンスがあればやるということを当然頭に置きながら、そういう意味では柔軟に対応したいというふうに思います。
記者 その中で、今回の事務事業見直しの減額ですけれども、言ってみたら一つの事業をスクラップしたということになると思うんですけれども、これは一つまあ象徴的なことかなと思うんですけれども、他に今後、補正で事業を例えばスクラップしていくというようなものがまた現われてくるのか、それともまあ一度全部見た中で、これはということで選ばれたのか、その辺りはどうなんでしょうか。
市長 23年度事業の予算を見てもですね、予算というのはその、4月期から直ちに経年的にね、継続するという類の政策事業とですね、当該年度で立てているけれども、その実行ベースは年度当初か年度途中か年度末かといういろんな事業の性格がありますよね。それらの中でまずどこに当てはまる事業かということを見にゃいかんと。この検討委員会なんかはある意味で通しでやらなきゃいかんというのでね、作業の仕方に大きく影響しますからね。これはやっとかないと自分の次のね、事業計画に響いてくると思ったからやめることにしたんですね。
もっとこう他のを見ながらですよ、年度末ぐらいにね、当初から予定されているのがあってそれが今から考えていく大枠の中でね、障害になると、むしろそれはやめた方がいいというものがもし出ればですよ、先ほど申し上げた次年度予算を待つこともなく9月ぐらいにね、やることもあり得るということなんですけれどもね。それは全般についてさっき申し上げたように十分な検証をやり切っている訳ではなくて、一応、骨だけの予算というのが骨太予算になっているところがあるから、ということなんですね。
記者 先日、政府の検討会が社会保障と税の一体改革ですけども、これについて昨日、指定都市市長会の方が緊急要請をなさったと思うんですけども、この税の大改革についての市長のお考えを聞かせていただきたい。
市長 税と社会保障というのは、言わば収入と財源と給付の基本的な大枠を決める壮大なテーマの下に仕組まれていると思うんですね。ですから、考え方に基づいて、詳細について、どうこう言うレベルじゃないと思っていますが、その収入と支出の大枠を決めるという中で、もう一つ大きな要素はですね、その収入の部分の構成がどうなるか、つまりそれが税収ということになればですよ。国が直接吸い上げる税金で行くのか、地方が吸い上げる税金で行くのか、それは支出の方にも関係しますけどね、その枠組みがどうなるかによって市政全般に大きな影響が出るわけですよね。
ですから、そういったものを国ベースでいろいろ提案してもらう際にはね、市の行政展開に十分配慮していただきたいということを基調に意見を出しておりますし、そういうものになっていますので、私自身は全く同感というか同調しております。
つまり今までの市政、市における社会保障に係る実務と、それに係る経費負担、それが国の交付金とか補助金とか、いろんな形で出るような仕掛けが随所にありますが、それが整合性があるものにしてもらって、やはり市がその実務をたぶん社会保障ですから、現場の実務担当者として担わなくてはいけなくなりますが、その実行面での障害のないように、というようなことを頭に置きながら、言わば総論的な意見を申し上げているというふうに考えています。
それはある意味では、真っ当なというか、この段階で言っておくべき意見かなというふうに思っています。
記者 副市長のことで戻るんですけども、二人ということで、国とのやり取りですとか、職員との連携体制というのを重視して選任したいということで、それぞれ国の方からと庁内から登用されるというお考えなのかと思うんですけども、どういった能力といったら、ちょっと語弊があるかもしれないですけども、どういった人材ということで今回お選びになるのかと、もうちょっとそのお二人のキャラクターといいますか、どういったことに注目して選任されるのかを・・・
市長 まだその、決め切っていなくて、議会に諮るところで明らかにしますので、もうちょい詳細は避けたいです。まあ、言わば私の市政をしっかり支えていただける人材ということに尽きると思うんです。
私自身完璧ではありませんしね、時々外れたりするか分からんから、その時はちゃんとやりなさいよとかね、ここは足りませんよとかいうのをストレートに言ってくれてですよ、で、職員とこうね、やるときもですよ、いやあ市長さん、職員とやるときはこういうふうにやった方がうまいこといきますよとか、そういうサポートしてくれる人とかね、国とやるときだったら、こうやった方が国をちゃんと誘導できますとかね、そういうことをまず言ってもらえるような、ざっくばらんに話ができるような方だったら、いいなと思いますよね。
もちろん、ちゃんとした話もするけどね、そういうところで、本当に仲良くできる人が望ましいなという気持ちは持っています。
記者 提出案件と関連すると思いますけど、ごめんなさい。折り鶴の活用策とですね、それから平和宣言の作成について6月1日から募集をされたと思いますけど、現状について、今どれだけの応募があって、どういう状況かが分かれば教えて下さい。
市長 折り鶴の方はですね、6月8日現在で68件、アイデアとか意見を頂いているという状況がございます。それから、平和宣言の方は6月8日現在で15件。15件はいずれも被爆者ご本人の思いがこもった応募が来ております。
折り鶴の方は7月29日までの締め切りでやってますから、もっと増えてもいいかなと思ってますし、中のご意見を見せてもらうと、平和を祈るセレモニーとして焚き上げる方法とかね、再生紙、形を変えてよみがえらせるとか、折り鶴そのものを使って記念品とかお土産にしたらどうかとか、それを広島に来る方に贈呈するとか、そういった意見が出ておりますので、ある意味でもっといろんな活用法がですね、あるんじゃんないかなと期待しております。
それから平和の宣言の方は締め切りが今月20日までということにしておりますが、あとまたねちょっと、いろんな宣言文の構想を練らないといかんから、締め切りがちょっと早くなっていますが、ただこの時点で15件程度頂いていますから、まあまあ出足はいいんじゃないかなというふうに思っていまして、その方々の思いをね、どう託した宣言文にするかというところの方に、これから頭を使っていきたいというふうに思っております。
広島西飛行場についてほか
記者 すいません2点ほど。就任して2カ月の中でですね、知事との会談の中で空港の活用策について市が主体になって検討するということで、荷が重くなったというような言葉もあったと思いますが、一方で重症被曝者の受け入れを想定した滑走路の存続とかですね、まだ、空港を残存して使いたいとかですね、逆にその後、活用するに当たって都市計画をどうするとか、県や市の防災体制どうするとか、いろんなものが絡んでですね、当初考えていた以上に、廃港とかヘリポート化以上に難しい問題がむしろ顕在化してきたという印象があるんですが、この辺りをどう見ておられるのかというのと、変革ということでいろいろ掲げられて当選されてから2カ月経って、ちょうど今日で2カ月ということになるんですが、その辺りも含めた感想をちょっと伺えればと思います。
市長 飛行場でね、自分も肩の荷が本当に重くなったと思うのは、改めて県有地でありますけども、市の方で活用方法を考えていただいていいですよと、県はそれに協力するということを言っていただきましたんで、私自身は単に飛行場跡地どうするかという問題ではなくてね、知事さんとお約束したベースで申しますと、飛行場に絡んでの課題とすると、広島の飛行場へのアクセスというものを本当にしっかりしたものにするというための具体策、長期、中期、短期というような形で出てますがね、直ちにでもできるものは何かということをもっとしっかりやる中でね、西飛行場が無くなったから不便になったという思いをですね、長く長引かせることのないようにするということを急がないかんというのが、大きな宿題だと思っているわけです。
もう一つは、観音地区を中心に活性化のための方策ということを言いました。それは今言われた、都市整備計画とかね、そういったものの見直し時期というものも来ておりますから、そうすると、あの地域のみならず、市全体のあり方をどういうふうにするかということを考えた上で、じゃあ、あの地域をどんなものにするかということを考えていかないといかん。それ自身もやはりリーダーシップとは言いながら、自分がこうしたいということを言うんではなくて、その全体の中の位置付けを考えて、皆さんどう思いますかという、皆さんが議論するあるいは、考えていただく枠組み設定はしっかりリーダーシップを取りたいと思うんです。
そこをどういうふうにするかという時にみんなの意見を聞いていくというやり方を、やっぱり西飛行場の跡地についてもやっていこうというふうにぼちぼち考えておりましてね、それらの手順といいますか、どういった検討をやっていくかということをもうちょっと時間をもらえないかなと。そんな中で、9月の末でヘリポート化に切り替えるという予定でいろいろと予算などを考えてきて、執行を考えてきていたところに、まあそうはいっても実際の次の来年の秋の道路の着工までの間、あのスペースがあるんだから、今の東日本の緊急体制なんかを考えたらば、書面で直ちに閉じて使えんようにするんじゃなくて、事実あるんだったら、実際の施行期日をヘリポート化という書面上の決まりをもうちょっと後ろ倒しにしてその間飛行場にも使えるようにしておいて、緊急対策をやろうというふうに県の方で判断されたということで、これは非常に考え方としては柔軟な言わば政治判断も入っているかと思いますが、いいやり方だと思うんですよね。
だから、できる限り、いろんな施設を方向はこう切り替えていくけども、それぞれのステージ、ステージで有効活用しながらやっていくということをやっておられるという問題と判断しました。ですから、多少そういうことで切り替えていけば、予算なんかも手当てせないかんのですけども、元々がいい考えですからね、私としては多少汗かいても協力していくということをやっていきたいというふうに思っております。
記者 2カ月というのについてはどうでしょうか。
市長 そういう意味では、今お聞きのように、これくらいしゃべれるぐらいに市政にちょっとずつ熟達してきたかなと、まあこんなことです。
子ども条例について
記者 今回の補正予算の中には含まれてはいないんですけども、昨年度まで市は子ども条例について成立を目指す方向で市民に対して説明会を開いたりして、理解を広げていらっしゃったと思うんですね。今後、子ども条例について、どうなるのか、どのようなスタンスで臨まれるのか、市長ご自身のお考えをお聞かせください。
市長 子ども条例は私自身は選挙に出る時に、条例はいらんということを申し上げまして、市政に携わってみて、無くていいだろうということを確認する作業ができたからというふうに自分は理解しております。
それで条例の枠組みをよく見てみますと、広島でやろうとしていた子ども条例というのは、子ども権利条例じゃないんですよ。子ども条例と書いてあってね。つまり子どもさんにとっていろんな権利があるっていうことは、国のレベルでね、明らかになっているんだから、市でやろうとするのは、そういった状況の中で市の具体的な個別対策をしっかりと整理して、それをやっていきますよいうふうなことを根拠付けるための条例というふうになっていると理解したわけであります。
そうすると、そこで、条例で掲げてある政策がですね、今の市政の中でね、例えば全然やっていないとか、それを書かんとできん政策かと、こういうことでチェックしましたらね、そんなことはなかったんですよ。つまり、もうやっとるんですよ。いずれもね。それを確認的にやるような話とかね。もう一つはそうやっといて後はチェックするという、チェックシステムみたいなものが付いていたんですけどね。
メインである政策をきちっと位置付ける部分は条例がなくてもね、やれんことはないし、むしろ私の市政の中で子どもに対するものの対策がね、しっかり配慮して、もちろんいろんな諸条件を加味しますがね、やるということをやればね、条例に頼ることなくできるというふうに確信しましたから、その点でまずいいだろうということと、それからもう一つの要素としてはね、子ども条例というのが子どもの権利ということを謳って権利化すること自身がいいかどうかという議論が行われてて、それに対して疑心暗鬼といいますかね、十分納得されていない方がいっぱいいる中で、いやいや権利について触れんようにタイトルになっとるからいいじゃないかと、まあそういうふうに疑心暗鬼の方がおかしいんですよと、無理にそういった条例を通すということもいらんだろうと、いうことなんです。それで自分なりに条例の提案はもういいだろうと、やはり必要な施策はちゃんとやるという整理をしたということであります。
記者 条例という枠組みにこだわらずに、条例を制定してやろうと市が目指していた施策については、きっちり施策としてやっていくと。
市長 もちろん、やるべき施策は方向性は出ていますから。
記者 条例という枠組みは必要性がないということをご判断されたと。そういう考えですと、条例そのもの検討はですね、条例を提案することの検討自体はもう市の中ではされないということで理解してよろしいでしょうか。
市長 不要というふうにいたしました。
エネルギー政策の見直しについて
記者 市長は以前から、エネルギー政策の見直し再検討ということをおっしゃっていましたが、他県のことですが、山口の方で上関について、広島は被爆者団体が脱原発という姿勢をかなり明確にしていますが、広島は他県のこととはいえ、かなり近接しており、本社は中国電力で広島であり、関係は全く無いというこということは言えないと思うんですが、被爆地広島の市長として、どのような思い、考えがありますでしょうか。
市長 私ははっきり言えるのは、言葉は似通っているようですが、原爆と原発は違うと思っています。原爆と原発は絶対違う。原爆は、人を殺すための武器ですよ。爆弾なんじゃけえ。原発は似とるけども、原子力発電という力を福祉利用したいという目的でやるという、明らかに目的が違う。
しかし、それの目的を掲げながら、実際、放射能なんかの管理ができんで、人命に影響を与えているという問題が起こっているということもよく知っています。誰も知っている話です。だから、原爆廃止と原発をやめてくれということとね、関係はしますよ。だけどストレートではないと思っていることが第一出発点であります。その上で原爆に対して絶対だめよという人間ですから、福祉利用ということで原発を認めてきた政府、日本でありますが、その原発を認めたのは国民の信頼とね、そして国民に対する安心感をちゃんと出せるという前提の下で、エネルギー政策をどうするかという下で初めてやってきた政策なんです。
ですから、ここの原子力発電どうするかという前に、エネルギー政策をとにかく見直してくれと、皆さんいろんな思いを持ってて、原発のある自治体、そうでない自治体、原発は無いけども、原発から出る電力だけを利用している地域もある。そういったことをトータルに考えられるのは国しかないんです。今のとこ。
だから、国でエネルギー政策をとにかく見直してくださいということまで言わしてくださいと。さらに掘り下げた部分についてはですね、自分たちの市の状況をいろいろ考えると、オープンな議論をしていただくということをお願いするというとこにとどめておきたいということを私は言い続けています。
ですから、その見直しの中に、原発反対という意見もありますけども、それはそういうことも含めてと、さらに原子力発電をより安全性の高いものにするための工夫ということを検討する余地はないんですかと言ったら、それも含めてやってくださいと。今の政府だって、その間でですね、本当に見直しをしなきゃいかんということにはなっているんじゃないかと思います。ですから、それを推進したいと思っています。
※( )は注釈等を加えたものです。
動画はこちら(「ひろしまムービーチャンネル」のページへジャンプします)<外部リンク>