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ページ番号:0000104518更新日:2020年1月15日更新印刷ページ表示

2020年1月10日記者会見「新年の抱負について外2件」

動画は下記からご覧ください。

(「広島市動画チャンネル(市長記者会見)」のページへジャンプします)<外部リンク>

市政記者クラブからの代表質問

新年の抱負について

記者

市長、今年もよろしくお願いいたします。では最初に、被爆75周年の新年の節目の年を迎えました。市長は先日の事務始め式で、今年を「ひろしま」の新たな幕開けの年にしたいとおっしゃっておりました。改めて新年の抱負をお聞かせください。

市長

 皆さんご承知のように今年は子年であります。ねずみ、これは干支の最初の年であって、2020年代の始まりの年という位置付けにもなりますので、今年を「ひろしま」の新たな幕開けの年にしたいと考えております。もともと世界に誇れる「まち」の実現を目指して取り組んできている中で、「活力とにぎわい」、「ワーク・ライフ・バランス」、そして「平和への思いの共有」という3つを柱に沿って、政策を展開してきまして、持続的に発展する広島のまちづくりに取り組んでおりますけれども、これを一層確かなものにしていくといった年にしたいというのが思いであります。

まず、「活力とにぎわい」に関しましては、3月から広島県内一円で開催されることになっています、第37回全国都市緑化ひろしまフェア「ひろしまはなのわ2020」、これがありまして、ここで広島ならではの花や緑などの地域資源を活用して、県内全域において回遊と交流を生み出すとともに、花・緑、こういったものの大切さと平和の尊さを世界中の人々と分かち合える、そんな祭典にできればというふうに思います。

また、広島の新たなシンボルとなりますサッカースタジアム、これの建設に向けての動きがあります。広く県民・市民などの意見も聴きながら、施設内容、そしてにぎわいづくりのための整備方針等を定める基本計画の策定を行ってまいります。

さらに、広島駅周辺地区におきまして、JR西日本の駅ビルの建替え、これが始まります。それと連携させながら、南口広場の再整備等の工事に着手して、にぎわいの更なる創出に取り組みます。「楕円形の都心づくり」といったことをこういった取組の中で一層推進するという位置付けになるわけでありますが、まずその際、都市再生緊急整備地域に指定されております広島駅周辺、そしてもう一つ、紙屋町・八丁堀の地域。この両地区につきまして、国際平和文化都市広島の、いわゆる国際競争力の一層の強化を図るといった視点に立って、これを「特定都市再生緊急整備地域」にできるだけ早く指定をしてもらうようにするということ。そして、そのことによって国内外からの人を引き付けることができるように、そして、そこで広島ならではの魅力ある都心空間が形成されるようにするということもやっていきたいと考えています。

加えて、「活力とにぎわい」の醸成、これに関しましては、その醸成が喫緊の課題となっております、中山間地・島しょ部、個々において都心部と、いわば同時並行で必要な取組を行っていこうと思っております。

具体的には、似島地区では、似島臨海少年自然の家の有効活用を図るために、現在の主な利用者である小・中学生の校外活動等での利用促進、これを一層進めるということに加えて、企業とか個人・家庭も利用しやすい施設になるようにソフト・ハード両面で、その魅力向上を図っていこうと思います。

また、戸山地区、ここでは既に若い世代、ファミリー層に人気の飲食店などが充実してきておりますし、そして湯来地域では、特徴の異なる二つの温泉とか、ジビエやこんにゃく、そういった食材も一生懸命に作っておられ、充実してきております。こうした両地区の地域資源を生かしながら、個々における回遊性を高めるということを目指して、必要となる連携施策を一層推進していきたいと考えております。

次に、「ワーク・ライフ・バランス」に関しましては、保健師の地区担当制、これを東区で実施してまいりましたけども、これを全区に展開していく。そして様々な課題を抱えている家庭ごとに、その実情に即した総合的な支援を地域と一緒になって行う体制づくりを目指すということにいたしたいと思っています。それとともに住民の社会参加を促すほか、地域団体の活動の活性化を促す、その両方に役立つといった面があります、「高齢者いきいき活動ポイント事業」、この適用対象者を拡大いたしまして、更なる利用促進を図っていきたいと思います。こうしたことを通じて地域共生社会の実現に向けた取組を更に強化していきたいというふうに思っております。

また、広島城があります。これにつきましては、多くの方々に被爆以前の広島の歴史・文化、そういったものについての関心を持って、深く学んでもらえるような場所にしていきたいというふうに思います。また同時に観光都市としての回遊性を高めていくため、一層の魅力向上を図る、そういった施設群といたしまして、必要な取組をしていくということをしたいと思います。そして、もう一つ、市民を始め、国内外からの来訪者、こういった方々が気軽に広島市内で音楽に接することができるよう、「まちかどピアノ」の設置、そういったことも取組を進める中で、音楽のあふれるまちづくり、そういったことにも取り組みたいと思っております。

さらに、「スポーツ王国広島」、これの取組でありますけれども、FISEを始めとするトップレベルの国際的な、あるいは全国的なスポーツ大会、そういったものの誘致を引き続きしっかりとやっていく。そして東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への対応といたしまして、聖火リレーの実施、事前合宿の受け入れ、そしてスポーツと平和をテーマとしたシンポジウムの開催、こういったことに取り組んでいきたいと思っています。

最後に、「平和への思いの共有」についてでありますけれども、被爆75周年という節目の年であります今年、平和の祭典でもあります、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるということになっています。こういったことから、この機を捉えて「ヒロシマの心」を世界に向けてアピールする絶好のチャンスと捉えていくということをやります。そういった中で各国選手、あるいは役員等に来広、広島に来ていただくということをしっかり働き掛け、できればいろいろな形でメッセージを発信していただけるような対応をしていきたいと考えております。

また、東京オリンピック・パラリンピック開催期間中、東京都内で原爆・平和展を開催するということを予定しておりますほか、本市においては、学徒広島の歴史を象徴する被爆建物であります広島大学旧理学部1号館関連の企画展を開催いたしまして、市民、あるいは来広者に被爆の実相を深く理解していただける場を提供する等を行いまして、被爆75周年の記念事業を実施していきたいと考えております。

更に、若い世代がこれからの平和を希求する活動の主役となるよう、そういったことを促していきたいと思います、高齢化が進む被爆者から次代を担う若い世代に確実に平和のバトンが渡されるような取組を推進していきたいとも考えております。

加えて、平和首長会議につきまして、現在7,800を超える加盟都市とともに、核兵器のない平和な世界の実現を目指す市民社会の大きな潮流づくりを進めてきているという認識に至っておりますが、これをより着実に推進していくということが重要になると考えています。そして、今年8月本市で開催する平和首長会議総会におきまして、2021年以降の次期ビジョンおよび行動計画を策定することにいたしております。

総じて、これからの50年、100年先といったような長期の視点に立って、いろいろな分野での質的向上を図って、将来に向けて持続的に発展する広島のまちづくりに果敢にチャレンジする年にしたいと。そして、これまでの努力が結実する、市民の夢、希望にあふれるような大きな花が咲く、そんな年にしていきたいと思っております。

あと正月を経て書き初めをいたしました。そこで今申し上げたようなことを4文字に託しまして今部屋に飾っているんですけれども、「団欒瑞祥」という用語を掲げています。「団欒」は、家族団欒とかの団欒ですけれども、楽しい集まり。「瑞祥」は、自然とめでたい現象があらわれるといいますか、印があらわれるということでありますけども、しっかり談笑していく団欒していく、楽しい集まりをやっていくことができる、いわゆる共生型社会がちゃんと実れば、瑞祥、自然とめでたい印があらわれてくる。そんなことを頭に置きながら市政を進めていきたいというふうに思っております。以上です。

今年の被爆75周年の平和記念式典への国連事務総長の出席意向について

記者

 先ほどの話にも、ちょっと関係してくるのですけれども、被爆75周年の平和記念式典に向けて、国連事務総長が東京オリンピックの開催にあわせて、平和記念式典の参列の意向を日本側に伝えているとの報道がありました。これについて市長に率直な受止めをお聞かせくださいということと、もう一つ、来広された際に(国連)事務総長にどのようなメッセージの発信を期待されるのかということもあわせてお聞かせください。

市長

 ちょうど、被爆75周年の節目になる今年、この平和記念式典に、グテーレス事務総長が参列される意向があるということが日本側に伝えられたという報道に接しました。非常に喜ばしく思っています。(国連)事務総長の式典への参列が実現するならば、2010年、平成22年に、潘基文(パン・ギムン)事務総長が来られて以来の10年ぶりということでもあります。心から歓迎したいというふうに思っております。これへの受止めといいますか、頭の中の整理になろうかと思いますけれども、皆さん御存知のように、昨年11月には、ローマ教皇が被爆地広島にみえまして、ここから世界中の人々に向けて、核兵器の使用、あるいは保有といったことが倫理に反するというスピーチをされました。全ての人の良心に訴えるメッセージであったと思いますし、別の例えで申し上げると、聖地巡礼される方々の祈りのごとき発言として、人間連帯、人々が連帯することへの思いがしっかり伝わるメッセージだったという受止めをしております。そういった中で、グテーレス事務総長の来広が実現した際には、被爆地広島から、核兵器を巡る国際情勢、今の現状を踏まえて、ますます不透明になっているということなので、そういった中で、それはいわば、打ち破るようなスピーチ、しかも、国連を束ねる立場から政治的な動向を見据えながらも世界中の為政者が核兵器のない世界に向けての歩みを進める、そのことをしっかりと後押しするような力強いメッセージを発信していただけることを期待しております。繰り返しになりますが、ローマ教皇は、人々の心にしっかりと訴えると、そして、グテーレス(事務総長)さんは、いわば為政者に具体的な行動を促すような、そういうメッセージをということで、内面と外面、両方に、そして、対象者も市民社会と為政者とそういった役割分担をしながら、この地からしっかりしたメッセージが発せられればという思いを持っているところであります。

記者

 去年の平和記念式典で政府を含めた被爆者の心っていうものを市長は代弁されて、核兵器禁止条約、日本政府を含めた、核兵器禁止条約の実現、批准も含めて、そういったものを要望されている、当然、この中には、そういった気持ちも入っているっていうことで期待感っていうことでよろしいでしょうか。

市長

 今の話に即して、自分の対応をもう一回振り返って申し上げますと、私自身は、8月6日の平和宣言というのは、被爆者の方々の思いをしっかりと世界のいろいろな方に伝えるというものにしたい、したがって、被爆者の気持ちをしっかり自分で受け止めて、それを伝えるということをやっていますから、平和宣言は、先ほど申し上げました、ローマ教皇が発せられるメッセージのような性格のものにできればなという思いに近いものをやってきたということです。一方、もう一つ、平和首長会議の会長都市という立場での取り組みは、具体的な都市の世界中の首長さん方と、そういった市民社会の思いを踏まえて、国連を通じて、各国の為政者に、どういった形でこの思いを届けるかと同時に、各国の各都市の責任を持っている首長さんらと一緒になって都市問題、更には、その都市問題を越えて、恒久平和を作り上げるために、どういう連帯ができるかということをやっていくというところですから、そこでは、ある意味で、それぞれの首長さん方が自国の首長さん方に、為政者にお願いするということもしっかりとやるという、整理をしてきているわけです。その整理から申し上げると、後者のような役割をグテーレス事務総長さんにしっかりやっていただければと思います。それで、今、言ったような話をしたわけでありまして、自分なりに立場といいますか、そういったものをうまく利用、使い分けてという言い方がおかしいかも分かりませんけども、そういった立場で必要な発言をしてきているという思いですので、今回の来広があれば、そういったことにつながるような発言をしていただくと、自分自身、これからもまだ一生懸命やれるというふうな気持ちになるのではないかなと思って説明したところであります。

記者

 2点あります。1点は、確認なのですけれども、事務総長から直接、広島市の方に、今年の式典に参列したいですという意向がなかったという理解でよろしいでしょうか。もう1点は、毎年、事務総長の出席は要請されていると思うのですけれども、今年も同じように要請されるということでよろしいですか。

市長

 前者の先ほど申し上げましたように、報道に接したということで、直接のお話をいただいているわけではありません。毎年のように、また出席してくださいというお願いはしてきておりますし、今年は、それに加えて、去年ぐらいから、実は先ほど申し上げましたけども、平和首長会議の総会を広島で開催するということの事情があるということがありまして、それに加えて、総会の方にも出席いただいて、そこでお話をいただけないかというようなことも要請してきているのです。その中で、先ほど言った報道が出ましたので、相当手応えがあるかなというふうに期待していまして、引き続き、正式にお願いしますし、さらに、できたら、この4月には、またニューヨークにNPT(核拡散防止条約)の再検討会議等々で行きますので、そこで改めて出席、平和記念式典と平和首長会議の総会に出ていただけませんかという要請をしっかりしようかなというふうに思っています。

被服支廠の解体・撤去について

記者

 広島県の方が被爆建物の旧陸軍被服支廠について、県が所有する3棟のうち2棟解体、1棟を外観保存とする原案を示されたことに対して、市は全棟保存を求めておられます。一方で広島大跡地の旧理学部1号館について、正面部分だけを残す方針でおられて、専門家の方が矛盾しているのではないかという指摘もあります。このことについての市長の御意見をお聞かせください。

 それと旧陸軍被服支廠の保存について近く新たに県と協議されるような予定があるのかというのと、知事とのトップ会談のテーマに取り上げる御予定があるのかどうかということもあわせて教えていただければと思います。

市長

 まず前者の方の見解ですね。振り返ってみますと旧理学部1号館につきましては、私が市長になった当座に、まずもって問題点というのは、広島大学の本部跡地全体をどうするかということが問題になっていましてね。そのときには、そこを「知の拠点」として整備するということで引き継ぎを受けましてね。その知の拠点の取り扱いを議論するという整理をする中で、あそこに被爆建物があるんですよと、こんな状況だったわけであります。ですから「知の拠点」にするということを前提にしながらも、被爆建物をじゃあ有効活用することはできないだろうかという議論が出てまいりましたので、それを整理するということで「知の拠点」としての活用方法と、もう一つ、その被爆建物をどのようにするかということ、つまり活用方法とか保存範囲をやるために有識者、そして被爆者団体等で構成する懇談会を立ち上げまして、そこでの取り扱いについての議論を行っていただいたと、こういう経過があります。

 ですから、ある意味で皆さん方の気持ちをしっかりと受け止めるという手続きをやった上で物事を進めたという思いです。そして平成29年の3月に、「広島大学旧理学部1号館の保存・活用方針」というものを取りまとめて、取り扱い方針を確定させるということをやりました。そして、それにしたがって、対応を今進めている。さらに具体化するという作業に今入っていると、こんな状況であります。

 一方、旧広島陸軍被服支廠に関しましては、それはもともと県の方が所有していますね。で、この広大の方の跡地については、もともと国有地、国立大学であった国有地を広島市に払い下げるというような話があり、当初は土地を払い下げるにあたっては広島が持っている土地の等価交換とかいうこともあったりした中で、先ほど言った活用方法、保存方法とかが議論になっていく中で、広島において有効活用するということになれば、その建物に手をかけていかなきゃならない。その土地が実験とかやったりして汚染されているかも分からない。引き受けていろいろな活用しようとすると、調査とかそういう土壌汚染を解消するために、いろいろな費用がかかるというようなことまで申し上げて議論したら、じゃあ国は、それならその土地を費用かかるんだからタダで譲渡しましょう、そんな議論をしながら、どういう扱いをするかという議論と同時に、そういうやり取りまで含めて処理したというのがこの事案の処理の経験です。

 一方、旧広島陸軍被服支廠につきましては今、県の方が所有されていて、そんな中で我々の受止めとすれば、有効活用するか否かといったような議論が十分に行われているとは、なかなか受け取れない状況の中で、検討会を立ち上げられて県の方から市の考え方を求められたということがありました。そこで担当の方から、できるかぎり全棟保存していただきたいということを申し上げて、それは市が、民間の方が持っているような建物でも、最初はまずしっかり保存してくださいと。そして、こういう支援措置もあるからお願いします、ということをやっているのと同じスタンスで、県の方にも申し上げているという状況であります。ですから具体的な取扱いというものについては、まず自分らの考えとすれば、将来、利活用のあり方をしっかり議論すると、そういう議論する中で決めていくのがいいのではないかなと思っているわけであります。そうしたところでの差があるということ、私自身は旧広島陸軍被服支廠と旧理学部1号館、いずれについても有効活用するのかどうかと、あるいはするとすれば、どのようにするかといった議論をしっかりとするということをやる中で具体的な取扱いを決めていくべき立場ということ、これ終始一貫しているつもりでありまして、矛盾があるのではないかという話については、私自身は当たってないというふうに思っているわけです。しっかり議論するということこそ重要であるという立場を貫いておりますので。というふうに思います。

 そういう意味ではどうなるかということですけど、いずれにしても旧陸軍被服支廠の保存に関しましては現在、県の方でそういったことも考慮されているんでしょう。パブリックコメントに寄せられた県民の意見も踏まえて方針を検討しているところであるというふうに理解しています。したがって、その検討結果をまずは待ちたいというふうに思っているところであります。そういう意味では少なくとも、現時点でトップ会談のテーマになるかということに関しては、トップ会談のテーマということにはならないのではないかなと思っているということであります。

記者

 追加で広島大学の旧理学部1号館については、あそこの住民の思いを十分受け止めて議論されてきたとおっしゃいましたけども、あそこを全部残そうというふうな議論というか、声というのはあんまりそれほど大きいものではなかったというような認識でよろしいということですか。

市長

 その中で様々議論して、残すということと同時に「知の拠点」という命題がありましたので、平和を発信するという建物にしていくということも重要と。そうすると、そのまま残すだけでは平和発信にならないのではないかというふうな議論にまで及びましてね。であれば、研究する施設をあそこに同時に置けないかと。そうすると、建物を加工していくことと同時に保存ということを調和させたいと。であれば、どこまで手を加えていくかと。そしてどの程度残すかと。更に費用負担をどうするかと。あとは地元の取組をするということもあるとすると、そういう建物に地元の方々が集えるエリアを設定してはどうかと。そういった形で議論展開して今、ようやく建物についてどうしようかというところまできているということで。議論すれば一定の整理は、ちょっと時間かかっても、できるということではないかなというふうに思っているわけであります。

記者

 引き続きその点なんですけれども、これまでも国と県と広島市というのは、事務レベルの協議を割と長い時間をかけて(旧陸軍)被服支廠について議論を重ねてきていると思うんですけれども、一方で(旧理学部)1号館の手法と比べた場合に、やはりもう少し、例えば地元であったりとか、あるいは被爆者団体であったりとか、保存に関わる方であるとか、そういった方を交えた議論というのがもう少し必要なのではないかというようなお考えと理解していいでしょうか。

市長

 やり方についてはそれぞれ立場がありましょうから、私の注文するというわけではないんですけど、少なくとも(旧)理学部の1号館についてのやり方は、市としてこういうふうにやったよということを御紹介したつもりですね。いずれにしても、その関係する方々のいろいろな御意見ありますから。それを一回咀嚼して、議論をやってみるということを、オープンでね。やった方が、この問題については、少し時間かかっても納得がいく手続きかなとは思っているんですよね。ただ今回の県の事情を考えてみますと、大阪なんかでブロック塀が倒れて大変だという新たな展開があったから、それを踏まえて何とかしなきゃいかんという県の気持ちも分かるんですよね。だからそういった要素をもう少し加味するということが、今回別の要素なんですけどもね。それらを踏まえて、長い目で見てどうするかということと、当座の対応策をどう織り込むかということ、そしてその所有者が、国と県に二分されている、その建物について、どういうふうにするかということなんですね。(旧)理学部の方は、もともとは国有地でしたけども、あの辺り一帯を「知の拠点」にするということで国とも折衝しながら、建物そのものは国立大学であった国有地を、やるんだったら市の方にというこういう話があった。だけど、それをタダではいかんということでやっていたけど、よくよく考えて有効活用するというとこまでいけば、じゃあ活用するために費用がいるんだったら、その払い下げについて考慮しようということになり、費用等を見積もれば、じゃあ値段をつけないでと、こういう経過もあったというふうなことを申し上げたんです。だから、その辺のところが皆さんに分かるような議論をすれば、もっと関係者の方も最終的にどういう処理をするにしても、理解が深まるのではないかなというふうに思っているということですね。

記者

 やはり広島市としては、広島県に対して全棟保存してほしいということを繰り返しおっしゃっているわけなのですけれども、それに対して、当然県とすれば、じゃあ市も何らかの費用負担であるとか、何か積極的に関わってほしいという思いがあるのは当然かなとも思うのですけれども。例えば、いろいろな被爆建物がある中で、中国軍管区司令部だと国が所有しているけれども市が管理をしているとかですね、あるいは、日銀の広島支店も無償の譲渡を受けて、市が活用策を考えていろいろな改修を今やろうとしていると、いろいろな保存や活用に関する協力の仕方というのがありますよね。そこで、例えば、被服支廠について、あるいは市が何らかの形で管理に積極的に関わっていくとか、そのような所有物自体を譲り受けないまでも管理を引き受けるであるとか、何かそういった積極的な関わりというのは、お考えはないのでしょうか。

市長

 それは最終的に、今言った、どういうことにするかという議論があって、初めて市が関わるということは必ずあると思います。最初申し上げたように、資金の話をされたから、じゃあ資金集めがいるという話があれば、当然それにおいて必要な協力をすると申し上げたのですからね。市として全体保存がいるという立場でいますからね。所有者の方がどういった形でどういうことをしたいか、すべきだという議論があったときに、市としてどこまで協力できるかというスタンスで必ず対応したいと思っています。

記者

 今のに関連するのですけど、湯崎知事は、先日、昨年の定例会見だったと思うのですけど、広島市として、今、民間限定で保存活用についての補助金の制度を持っていると思うのですけど、それの例えば拡大解釈とかも含めて、市として積極的な関わりを求めるという発言があったのですけど、そこら辺について、例えば、補助金制度の適用とかも含めて今後検討するようなお考えは、今はいかがでしょうか。

市長

 それは、個別のそこだけで申し上げると、市が出すお金は市民税ですよね。県も市も平和都市を目指して、県民から頂いているお金を使ってやるというときに、我々は国民全体にお願いして、国の費用と市の費用であって、民間の方を助けてという中で、市民からもらったお金をまた県民から出しているところに補助するという仕掛けは、行政的にどうかということは、事務的にどこかで整理しなきゃいけないと思いますよ。別に、私のポケットマネーではないのですから。広島市の市民が出しているお金をどう使うか。それは広島市の市民を含めて、県民として出しているお金を使う。国民として出しているお金を使う。国、県、市のお金をどう使って、建物を処理、有効活用するかという議論ですから。

 自分が扱っているお金は、天から誰かが出してくれるという発想でもし言われているとすると、それはしっかりと議論をすべき性格のちょっと違うお話だと思いますよ。協力はいたしますよ。

記者

 パブコメ(パブリックコメント)を今、県が集めていまして、最終判断が来月にも行われるのだと思うのですけれども、パブコメが集まって最終判断までに、事務方レベルでもかまわないのですけれども、市と県で協議して最終判断が出る前に、市として改めて協議するようなお考えは現段階でありますでしょうか。

市長

 それは向こうの方からの提案次第だと思いますけどね。もちろん、私どもが、市が平和については、国を超えて全てを調整する、アジャストするという立場を与えて頂ければ、今言われた質問に鮮やかに答えられると思いますけれども。広島市の市内にある建物について、ヒロシマとすれば被爆建物を、もう少なくなっていますから残して頂きたいということを、国有地についても、県有地についても、私有地については民間の方にもお願いしている。そして、その所有者の方にこの考え方を提示して、判断をしっかりして頂き、いろいろな意見を咀嚼してやって頂きたいと。そして、市がやったときには、こんなふうにして問題解決を図っていますということまでは、御紹介しているので、県の方にもそういうやり方をやって頂ければということで意見を申し上げている。そして、そこで所有者としての御判断でいろいろ、これからこういうふうに有効活用するのだから、市として協力するすべはないかということを頂ければ、それに応じて必ず協力すると申し上げているのであって、皆さんが心配されていることを、私が指導するみたいに、こうやりましょうと言う立場にあるとは、ちょっと思っていないのですけどね。希望されている、やってもらいたいという気持ちは伝わるのですけども、そこまで権限があるような立場ではないものですから。そこを理解していただきたいということであります。

その他の質問

2020年東京オリンピックについて

記者

 東京オリンピックに関連してなんですけれども、広島にも例年より多くの外国人観光客が訪れることが予想されます。市として、それに対しての受け入れ体制の強化っていうのはどのようにやっていくのか伺えますでしょうか。

市長

 市固有の受け入れ体制という部分について、しかも、オリンピックのためということについて限定すれば、自分自身、今のところ、これというようなお答えができるような状況にありません。さりながら、先ほど申し上げましたように、平和と絡めたオリンピックの来広客を平和と絡めた形で印象付けて帰っていただくようにするという装置といいますか、そちらの方に重きを置いてやってきているというのが先ほどの答えの説明になります。実際、来る方々のそういうことを除いた利便性の問題とか、そういったことに関すれば、具体的に交通手段の調整とか、それから、宿泊施設の問題ですね。そして市内観光と、こういったところ、あるいは、既定の広島の文化的な価値、歴史的な価値、更には、世界遺産を見ていただくと、そういったチャンスがあります。それは今までもインバウンドという方針の中で、インバウンドの方々を迎えて、しっかりした施設群を充実し対応を強化していくというふうなことを逐次やってきておりますので、それを徹底していくという中で、こなしていくべき課題かなというふうな思いを持っています。だから、オリンピック客のために新たに何か固有のことをやるというところまでは、今のところ考えていないというお答えになると思います。

記者

 分かりました。平和の発信というのはもちろん重要だと思うのですけれども、今すでに、たくさんの方が来られている中で、実際に落としてもらえるお金が少ないという指摘があると思うのですけれども、こちらについて市長の問題意識ですとか、今後の改善策みたいなところがあれば伺えますでしょうか。

市長

 それは、今までの取組の中で大きく答えますと、200万人広域都市圏の中で循環していただくという環境を整えるということ。要するに、拠点で、点でお客様をお迎えするということになると、宿泊地を例えば京都・大阪辺りに定めて、便利な新幹線でやって来て、点をポンポンと回って、広島を見たな、あるいは中国地方を見たなという形で観光客が通過される。そういう意味では、そこでの消費額とか滞在、あるいは使う交通費等も落ちてこないということだと分かっていますので、いわば面的な対応、この広域都市圏全体での観光地の連携をもっとしっかりして、そして、いわば回すというふうな考え方もしっかり取り込んで、地域の公共交通体系、運用体系も改めて利便性を高め、この地域の中を回遊していただけるような観光を目指すということを着実にやってきているつもりであります。そして、市内だけではなくて、例えば岩国の錦帯橋、呉のてつのくじら館、それから宮島、そういったところをつないで、その間を行き来しやすいような運行体系にしていただくとか、そういったこと。更には、昼・夜の関係ですと、市内固有ではなくてこの圏域全体の夜神楽といいますか、そういったような伝統も味わっていただけるような催し物、展開を、時間帯をうまく調整してやることで、滞在時間を増やしていただけるようにする。そういった工夫を今までもしてきておりますので、それを一層確実なものにしていくという中でのインバウンド客増加、特にオリンピックなどを控えてのインバウンド客増加に向けて、それが機能するようにしていければというふうに思っています。

旧理学部1号館の利活用について

記者

 先ほどの質問からちょっと派生して、(旧理学部)1号館の利活用というか、あそこに平和教育研究機関を設けるという、地元のコミュニティースペースも含めてなのですが、確か年度内に基本計画を策定するという計画だったと思うのですが、なかなか話が見えてこなくて、今こう進捗状況といいますか、どのような議論が進んでいるのかというのを教えていただければと。

市長

ある意味では確実に進んでいます。教育機関、市大(広島市立大学)、広大(広島大学)、まずこれがコアとなってその他、県内にあるそういった平和研究をする研究機関との参画を得られる施設を造る、あるいは一体的な組織にするか、すぐにできなくても連携しながらその場を使って必要な講座を開設するとか、研究者を招く、あるいは市民講座を開くとか、そういった運用面と組織面、それから、最終的にはそれにあてがう財源をそれぞれどうするかといったことを今しっかりと検討している状況であります。方向性は一つですけれど。

記者

 年度内に基本計画をまとめるというのは、スケジュール。

市長

 (スケジュール)感としては、まだ維持しています。基本方針ですからね、基本的な。具体的なところを見定めながらやっています。

※( )は注釈を加えたものです。

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