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平成30年第14回教育委員会議(11月定例会)議事録

平成30年第14回広島市教育委員会議議事録

 平成30年11月12日(月曜日)、平成30年第14回広島市教育委員会議(定例会)を教育委員室において開催した。

1 開会及び閉会に関する事項

  • 開会 午後1時30分
  • 閉会 午後3時43分

2 教育長及び委員の出席者

  • 教育長 糸山 隆
  • 委員 井内 康輝
  • 委員 栗栖 長典
  • 委員 秋田 智佳子
  • 委員 伊藤 圭子

西敦子委員は欠席

3 事務局等の出席者

  • 教育次長(総務部長事務取扱) 荒瀬 尚美
  • 青少年育成部長 長谷 冨美
  • 学校教育部長 山本 直樹
  • 指導担当部長 野間 泰臣
  • 総務課長 山越 重範
  • 育成課長 廣田 稔之
  • 教職員課長 川口 潤
  • 教職員課服務・健康管理担当課長 徳丸 憲之
  • 指導第一課長 松浦 宰雄
  • 指導第二課長 松浦 泰博
  • 生徒指導課長 小田原順蔵
  • 生徒指導課いじめ対策推進担当課長 横山 善規

4 傍聴者等

 3人

5 議事日程

  • 議題1 「青少年からのメッセージ」の募集結果について(報告)
  • 議題2 第32回広島市青少年健全育成市民大会の開催について(報告)
  • 議題3 平成30年度全国学力・学習状況調査の結果について(報告)
  • 議題4 平成29年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について(報告)
  • 議題5 教職員の人事について(議案)【非公開】

6 議事の大要

糸山教育長

 ただ今から、平成30年第14回広島市教育委員会議定例会を開会いたします。
 本日は、傍聴の方もお見えになっておられますが、お手元にお渡ししております注意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴していただきますようお願いします。
 本日は、西委員が所用により欠席となりますが、定足数を満たしております。
 本日の議事録署名者は、井内委員と伊藤委員にお願いします。
 それでは、日程に入ります。
 本日の議題は、お手元の議事日程のとおりです。
 本日審議予定の議題5につきましては、広島市教育委員会会議規則第5条第1項第3号「教育次長、理事、部長、参事、課長、担当課長、校長、園長及びその他の課長相当職以上の職位の任免に関すること」及び同第4号「事務局及び教育機関の職員の分限及び懲戒に関すること」に該当することから、会議を非公開としたいと思いますが、御異議ございませんか。
 (異議なし)
 異議なしと認め、議題5については非公開として審議することに決定いたしました。
 それでは、議題に入ります。
 議題1「『青少年からのメッセージ』の募集結果について」を議題といたします。
 本件は報告案件です。内容について、育成課長から説明をお願いします。

育成課長

 資料の2ページを御覧ください。「『青少年からのメッセージ』の募集結果について」の報告をさせていだきます。
 1の事業の目的でございますが、青少年の自己表現や自己実現の機会を提供して青少年自身の人格形成に資するとともに、地域社会における青少年の健全育成に対する関心を高めるものでございます。
 2の(1)テーマにつきましては、本年度は、日常生活において自分が何かに支えられて生きているということに気付き、その支えてもらっている人やものに改めて感謝するとともに、社会を構成する一員としての自覚を持って、社会を生き抜く力を身に付けてもらいたいという願いを込めまして、「私を支えてくれる人やもの」といたしました。
 (4)の募集期間でございますが、本年6月1日から7月6日まで、約1か月間ということで、市内の全小学校、中学校、高等学校、特別支援学校へ応募用紙を送付するとともに、広島市立の学校に対しては、校長会を通じて、学校の授業の中で取り組んでいただくことなどをお願いさせていただきました。
 (5)の応募結果でございますが、下の表の網掛けのとおり、作文部門が14,346点、漫画・イラスト部門が162点、合計で14,508点の応募がありました。これは、過去最高の応募数であった昨年度を441点上回っておりまして、本当に沢山の子どもたちに自分の考えを表現する機会を持ってもらうことができたと考えております。
 次に、資料の3ページを御覧ください。
 (6)の入選作の選考でございますが、10月2日(火曜日)に審査委員会を開催いたしました。審査委員につきましては、資料の4ページに名簿を添付させていただいております。
 作文部門につきましては小学生の部、中学生の部、高校生・一般の部の区分ごとに、漫画・イラスト部門につきましては一括して、入選作品を選考していただきました。入選作品数は、作文部門の三つの区分と漫画・イラスト部門のそれぞれにつきまして、金賞を1点、銀賞を1点、銅賞を2点選んでいただきましたほか、今年度からは、これまで作品集への掲載作品として選考していた作品につきましても、入選作として表彰作品に位置付けることとし、合計65作品を選定しております。
 審査委員の方々からは、小学生でも身近に存在する自分を支えてくれているものをきちんと見ている感じだ、また、中学生らしく幅広い視点から社会とのつながりの大切さが書かれている、高校生が自分の夢に向かって頑張っている姿が目に浮かぶようで励ましたい気持ちになった等の御講評を頂いております。
 (7)の表彰でございますが、金・銀・銅賞の入選者は、11月17日(土曜日)に開催いたします第32回広島市青少年健全育成市民大会において、市長から表彰していただくとともに、金賞受賞者4名には、ステージで作品を発表してもらい、その後、審査委員長から審査を振り返っての講評を頂くことにしております。
 この市民大会につきましては、次の議題2で御報告させていただきますが、全市域から青少年健全育成に携わる地域団体、学校、PTA等の関係者の皆様が600人以上参加されます。こうした場で子どもたちが市長から直接表彰され、金賞受賞者については自らの作品を発表する機会を持つことは、子どもたちにとって大きな励みになるものと思います。
 また、先ほど御説明しましたとおり、今年度からは、金・銀・銅賞以外の作品集へ掲載する作品についても、入選作品として各学校を通じて賞状を授与することにしております。各学校で入選した児童生徒をしっかりと評価していただける機会になるものと思っております。この10月に開催されました小学校、中学校、高等学校の校長会におきましても、メッセージの応募を通じて子どもたちのやる気と勇気を引き出していただくため、入選した児童生徒、そして、それ以外の応募してくれた沢山の児童生徒の努力をしっかりと褒めていただくことをお願いしたところでございます。
 最後に、(8)の作品の活用でございますが、入選した65作品を掲載した作品集を作成しまして、広島市青少年健全育成市民大会で参加者全員に配付いたしますとともに、市内の全小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を始め、関係部署、青少年健全育成連絡協議会、公民館及び図書館等に配布いたします。また入選作品の本市ホームページへの掲載や、各学校へのデータ配信などにより、青少年健全育成のために広く活用していきたいと考えております。
 作品集につきましては、本日の教育委員会議の後に、委員の皆様にもお持ち帰りいただくようにしておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 なお、資料の5ページから10ページに、それぞれの部門の金・銀・銅賞の入選作品を掲載させていただいております。
 「『青少年からのメッセージ』の募集結果について」は以上でございます。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。
 それでは、ただ今の説明について、御質問等がありましたらお願いします。

井内委員

 昨年と比べて漫画・イラスト部門の応募作品数が急に減っていますね。昨年が多過ぎたのかもしれないですが、平成28年度の応募作品数くらいに戻っていますね。これは、何か原因が考えられるのでしょうか。

育成課長

 調査をしたわけではございませんが、テーマによっては、絵やイラストに描きにくいものもあるのかなとは思っております。応募作品数につきましては、やはり昨年が非常に多かったということもありまして、通常のレベルに戻ったと考えております。

井内委員

 ちょっと覚えていないのですが、昨年はなぜこんなに多かったのですかね。「電子メディアと上手につきあうには」というテーマでしたが。

育成課長

 これも想像なのですが、電子メディアとの付き合い方という部分で、絵的なイメージが浮かびやすかったのかなと思います。

井内委員

 特別に、作文にしなさいというような指導をされているわけではないのですね。

育成課長

 そういうわけではございません。

井内委員

 本人の意思で自由に選べるのですね。

育成課長

 はい。

井内委員

 余りにも差があるので、ちょっと驚きました。

育成課長

 はい。

井内委員

 資料の9ページ以降を見ていると、漫画・イラスト部門の金賞は、ちょっと絵が小さいのでよく分からないのですが、「私の大好きな宝物は、友、母、父、絵です。」と書かれており、恐らくこのイラストは、自分が作った漫画なのかな。それをそのままイラストにしているのでしょうかね。
 私たちの世代ではなかなか理解しにくいのかもしれないのですが、こういうイラストを描ける子というのは、特殊な子という気がしないでもないのですが。

育成課長

 この金・銀・銅賞に選ばれた子以外にも、こういったイラストをすごく上手に描いている、すごく描き慣れていると思われる子が沢山いらっしゃいました。

井内委員

 自分の得意な方法で自分を表現できるというのはとても良いことだと思いますので、このようにいろいろな表現の仕方で応募できることは良いことだと思っています。
 この金賞の作品をもうちょっとはっきり見てみたいという気がします。

育成課長

 作品集にはカラーで掲載しておりますので、後ほど御覧ください。

伊藤委員

 作文を書いたり漫画を描いたりというのは、授業の一環で行うのでしょうか。

育成課長

 学校によって様々だと思います。授業として取り組んでいただいて、児童生徒全員分の作品を応募していただける学校もありますし、一人二人の児童生徒が個人的に書いたのかなと思われる学校もございます。

伊藤委員

 漫画・イラストについては、何かの授業とリンクしているものもあるのですか。

育成課長

 漫画・イラストは応募作品数が少ないので、個人的に興味を持った子が描いてくれているのだと思っております。

伊藤委員

 新学習指導要領で「社会に開かれた教育課程」が強調されていますので、授業とリンクしている場合は、子どもたちにとって、学んだことが社会と関わっているという有用感を味わうことができて、すごく良い企画だと思います。今後も続けていただけるようにお願いいたします。

栗栖委員

 児童生徒が立ち止まってこういうテーマで考えるのは、非常に良い企画だと思います。
 小学生はやはり高学年からの応募が多いのですか。

育成課長

 学年別の状況は集計しておりませんが、低学年からも応募はございます。

栗栖委員

 毎年、作品集を読ませていただいているのですが、学年に応じて、こういうテーマについて考えることは、非常に素晴らしいことだと思いますので、できるだけ沢山の児童生徒に応募していただけるように御努力いただきたいと思います。

育成課長

 はい、分かりました。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。
 その他はよろしいですか。
 それでは、本件についてはこの程度にしたいと思います。
 続きまして、議題2「第32回広島市青少年健全育成市民大会の開催について」を議題とします。
 本件は報告案件です。内容について、育成課長から説明をお願いします。

育成課長

 それでは、資料の11ページを御覧ください。「第32回広島市青少年健全育成市民大会の開催について」の報告をさせていだきます。
 1の趣旨でございますが、これは、青少年が自立心を高め、広い視野と豊かな情操を培い、健やかに成長するために、家庭、学校、地域社会及び行政が一体となった市民総ぐるみの青少年健全育成活動を推進するとともに、市民意識の啓発を図るものでございます。
 日時、会場、主催につきましては、資料のとおりでございます。
 4の主催の構成団体の広島市青少年健全育成連絡協議会につきましては、子どもの見守りや挨拶、声掛け運動、三世代交流事業、青少年の意見発表会、子ども110番の家など、学校等との連携を図りながら地域に向けて青少年健全育成活動を主導いただく団体でございまして、小学校単位で結成されており、それらを束ねる区、市レベルの組織がございます。この大会は、そうした青少年健全育成連絡協議会と行政が一体となって青少年の健全育成を推進するために、全市規模で開催するものでございます。
 5の参加予定者でございますが、青少年健全育成連絡協議会、学校、PTA関係者など約600人としております。これは青少年センターのホールの定員をめどに設定しておりまして、例年、同ホールが満席となっております。
 6の内容につきましては、開会行事として、国歌斉唱に始まり、来賓及び主催者の紹介、市長及び広島市青少年健全育成連絡協議会会長の挨拶、市議会議長からの来賓祝辞を承ります。続きまして、広島市青少年健全育成功労者等の市長表彰及び広島市青少年健全育成連絡協議会の会長表彰を行うこととしております。その後、先ほど御報告させていただきました「青少年からのメッセージ」の金・銀・銅賞の受賞者16名を市長が一人一人表彰をいたします。続きまして、金賞受賞者の4名にステージで自らの作品を発表していただき、最後に、審査委員長、これは中国新聞の論説委員の方ですが、審査委員長から審査を振り返っての講評を頂くこととしております。
 先ほども御報告させていただきましたように、受賞者はこの市民大会の場において市長から直接表彰を受けることで、また、金賞受賞者は大勢の人を前に自らの作品を発表することで、将来に向けて一生懸命頑張っていく大きな励みになるものと思います。
 次の事例発表では、地区の青少年健全育成連絡協議会の活動報告をしていただくこととしております。南区青崎地区から子どもの見守りについて発表していただきます。
 大会の最後は講演会といたしまして、資料の12ページにチラシを付けておりますが、オフィスラバーリング代表の置鮎正則さんを講師に迎えまして、「スマホ/SNS時代のコミュニケーション~保護者として、大人として知っておくべきこと~」と題して講演をしていただきます。置鮎さんは、インターネット関係の会社を経営される傍ら、講演活動を積極的に行われ、インターネットやスマートフォンの正しい理解の仕方や保護者として知っておくべきことを、PTAの講演会や研修などで呼び掛けておられます。近年は、インターネットやSNSの利用を通じて若者が犠牲となる事件が多く発生するなど、憂慮すべき状況が続いています。今回の市民大会では、スマホやSNS時代の正しいコミュニケーションについて講演をしていただけるものと思います。
 なお、本大会では手話通訳と要約筆記も実施いたします。また、この大会の司会につきましては、フリーアナウンサーの藤井さんと全国中学校放送コンテスト広島県大会アナウンス部門の準優勝者である井口中学校3年生の山根さんの二人に務めていただくこととしております。中学生の山根さんにとっては、プロであるフリーアナウンサーの指導を仰ぎながら大勢の人を前に日頃の練習の成果を十分に発揮できる良い経験であり、大役を果たすことが自らの自信につながり、大きく成長してくれることと思います。
 「第32回広島市青少年健全育成市民大会の開催について」は以上でございます。

糸山教育長

 ただ今の説明について、何か御質問等がありましたらお願いします。
 よろしいですか。それでは、この件については、この程度にしたいと思います。
 次に、議題3「平成30年度全国学力・学習状況調査の結果について」を議題とします。
 本件は報告案件です。内容について、指導第一課長及び指導第二課長から説明をお願いします。

指導第二課長

 それでは、資料の13ページを御覧ください。議題3「平成30年度全国学力・学習状況調査の結果について」御報告いたします。
 まず、1の調査の概要につきましては、(1)の丸1から丸3の調査の趣旨にのっとって、例年どおり実施いたしております。
 (2)の調査対象は、小学校第6学年は142校、実施人数は10,470人で、中学校第3学年は64校、実施人数は9,063人です。
 (3)の調査期日は、平成30年4月17日(火曜日)でございます。
 (4)の調査内容は、小学校第6学年と中学校第3学年が、丸1の教科に関する調査として、国語、算数・数学の「知識」に関するA問題、国語、算数・数学の「活用」に関するB問題、理科の「知識」「活用」をともに問う問題、そして丸2の学習意欲等に関する児童生徒質問紙調査、丸3の指導方法等に関する学校質問紙調査を行っております。
 続いて、14ページを御覧ください。2の調査結果の概要について御説明いたします。
 まず、(1)の各教科の平均正答率について御説明いたします。昨年度より、各都道府県教育委員会及び各指定都市の結果につきましては、整数で公表されております。
 本市の小中学校それぞれの国語、算数・数学のA問題とB問題及び理科の「知識」「活用」問題における平均正答率を国・県の状況と併せて掲載しています。
 まず、小学校について、太線で囲んである平成30年度を御覧ください。本市の調査対象校の状況につきましては、太字で示しておりますように、小学校国語のA問題が72%、B問題が58%、算数のA問題が64%、B問題が54%、理科が62%となっており、いずれも国の平均正答率を上回っております。また県の平均正答率とは、ほぼ同じか若干下回る結果となっています。
 次に、中学校について、太線で囲んである平成30年度を御覧ください。本市の調査対象校の状況につきましては、国語のA問題が76%、B問題が60%、数学のA問題が65%、B問題が46%、理科が65%となっており、いずれも国及び県の平均正答率とほぼ同じか若干低いという結果になりました。
 続いて、(2)正答数の分布状況について御説明いたします。15ページの別紙1を御覧ください。
 左側が小学校で、右側が中学校の正答数の分布状況を示しております。また、上段が国語、中段が算数・数学、下段が理科のグラフとなっております。それぞれのグラフ中にある二つの棒線は、おおむね学習内容が定着していると判断される正答率60%と、課題の目安である正答率30%を示しており、四角囲みで、本市と全国の正答率30%未満、正答率60%以上の児童生徒の割合を示しております。
 それでは、まず左側の小学校を上段から御説明いたします。
 小学校の国語のA問題とB問題についてですが、共に分布が右寄りの山形となっており、学習内容がおおむね定着しているものと見られます。また、A問題、B問題共に正答率30%未満の児童の割合は全国平均よりも低く、正答率60%以上の児童の割合は高くなっております。
 続いて、中段、算数のA問題とB問題についてですが、A問題については、なだらかであるが右寄りの山形になっており、学習内容はおおむね定着しているものと見られます。B問題は、やや右寄りの山形、台形であり、学習内容の定着に課題が見られます。またA問題、B問題共に正答率30%未満の児童の割合は全国平均より低く、正答率60%以上の割合は、全国平均より高くなっております。
 続いて、下段の理科についてですが、こちらは「知識」「活用」を併せて問う問題であり、国語、算数のようにA問題、B問題の区別はございません。分布がなだらかではありますが右寄りの山形であり、学習内容がおおむね定着しているものと見られます。正答率30%未満の児童の割合は全国平均より低く、正答率60%以上の児童の割合は全国平均より高くなっております。
 続いて、右側の中学校を御覧ください。
 上段の国語は、小学校と同様、A問題、B問題共に、分布は右寄りの山形であり、学習内容はおおむね定着しているものと見られます。A問題については、正答率30%未満の生徒の割合、正答率60%以上の生徒の割合が共にほぼ全国平均と同程度です。B問題では、正答率30%未満の生徒の割合が全国平均より高く、正答率60%以上の生徒の割合が低くなっています。
 中段の数学A問題は、分布が右寄りの山形になっており、学習内容はおおむね定着しているものと見られます。B問題は、左寄りの台形になっており、学習内容の定着に課題があります。またA問題、B問題共に正答率30%未満の生徒の割合が全国平均と比べて高く、正答率60%以上の生徒の割合が全国平均と比べて低くなっております。
 下段の理科については、分布がなだらかであるが右寄りの山形であり、学習内容がおおむね定着しているものと見られます。正答率30%未満の生徒の割合が全国平均より高く、正答率60%以上の生徒の割合が低くなっております。
 続いて、16ページの別紙2を御覧ください。3、質問紙調査の結果について、抽出しました項目の結果を整理しております。
 表の中央には、それぞれの項目の結果を平成26年度から平成30年度まで掲載しております。表中の横線(-)につきましては、質問項目がその年度には無かったことを示しており、網掛けをしている部分は、全国平均を上回っている項目を示しております。なお、平成30年度につきましては、括弧内に全国平均を示しております。
 まず、丸1学習意欲に関する項目についてです。「課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んでいた」という新規の質問項目について、全国平均と比較すると、小学校はほぼ同じで、中学校は上回っております。「算数・数学の勉強が好き」と回答した児童生徒の割合は、平成26年度以降で最も少なく、全国平均を下回っております。「理科の勉強が好き」と回答した児童生徒の割合は、全国平均を下回っており、同じ質問項目があった平成27年度と比較しますと、小学校では1.7ポイント減少し、中学校では2.2ポイント増加しております。
 次に、丸2の自尊意識に関する項目についてです。「自分にはよいところがある」と回答した児童生徒の割合は平成26年度以降で最も多くなっており、昨年度と比較しますと小学校で5.1ポイント、中学校で6.6ポイント増加しており、全国平均を上回っております。同様に、「将来の夢や目標を持っている」、「学校のきまり・規則を守っている」と回答した児童生徒の割合も全国平均を上回っております。また、「人の役に立つ人間になりたいと思う」と回答した児童生徒の割合は、小学校、中学校共に平成26年度以降で最も高く、全国平均を上回っております。
 次に、丸3の思考力・表現力に関する項目についてです。「自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫した」、「話し合う活動を通じて、自分の考えを深めたり、広げたりすることができている」と回答した児童生徒の割合は、全国平均よりも高くなっております。
 次に、丸4学習習慣に関する項目についてです。「家で、学校の予習・復習をしている」と回答した児童生徒の割合は全国平均より低く、依然として予習・復習を全くしていない生徒がいることなどから、引き続き、家庭学習の定着が課題となっております。また、「学校の授業時間以外に、普段読書をしている」と回答した児童生徒の割合は、全国平均とほぼ同じか高い数字を示していますが、基礎・基本的な学習内容の定着のためにも、自主的に読書をする児童生徒の割合を更に高めていく必要があると考えております。
 次に、丸5指導方法に関する項目についてです。「言語活動について、国語科だけでなく、各教科等を通じて、学校全体で取り組んでいる」と回答した学校の割合は、小学校、中学校共に全国平均を下回っております。「習得・活用及び探究の学習過程を見通した指導方法の改善及び工夫をしている」と回答した学校の割合は、小学校、中学校共にほぼ全国平均と同じとなっております。算数・数学及び理科の指導に関して、「実生活における事象との関連を図った授業をしている」と回答した学校の割合は、小学校、中学校共に全国平均を下回っております。
 続いて、17ページ、18ページを御覧ください。成果がありました学校の特色ある取組について、小学校、中学校それぞれ1例ずつ御説明させていただきます。
 小学校につきましては、指導第一課から御説明させていただきます。

指導第一課長

 それでは、17ページの別紙3を御覧ください。大町小学校での「分からない子“0(ゼロ)”を目指した『みんなでわかる』『みんながわかる』授業づくりを通して」の取組について御説明いたします。
 まず、1、全国学力・学習状況調査の結果について御覧ください。
 平成28年度から平成30年度の過去3年間の全国学力・学習状況調査(算数)における全国平均との差を表したグラフを掲載しておりますが、算数のA、B共に、どの年度においても全国平均を上回っていることが示されております。この中では示しておりませんが、この結果は広島市あるいは広島県の平均をも上回っている状況でございました。また、その下に児童意識調査の結果を掲載しておりますが、この調査結果を見ますと、児童がペアやグループで会話をしながら学習を進めていることに効力感を感じられるようになっているということを示しております。この調査は、学校が独自に行っている児童対象の質問紙調査で、この調査結果は昨年度の回答を集計したものでございます。今年度についても、現在、同じように集計しているところですが、この資料には掲載しておりません。
 次に、2、効果があったと思われる取組を御覧ください。
 (1)学年研究の充実についてです。大町小学校では、教材研究、学習形態や授業構成の工夫等を学年ごとに行っております。また、算数科の授業を中心に、「ミニミニ研修」と呼びまして、学年ごとに教員が自主的、日常的に学び合う場を設けております
 (2)児童の学びの姿のイメージ化や、(3)授業づくりの方向性の共有化といった取組は、教員が児童の学んでいる姿を具体的に思い浮かべ、児童のつまずきそうなところや思考の流れを丁寧に検討あるいはイメージすることで、教員の授業力の向上につながっていると考えられます。
 続いて、中学校につきましては、指導第二課から御説明させていただきます。

指導第二課長

 それでは、18ページの別紙4を御覧ください。可部中学校での「研究指定校制度を活用した授業改善の取組」について御説明いたします。
 まず、1には、平成27年度から平成30年度までの4年間の全国学力・学習状況調査の平均正答率の全国との差、正答率30%未満の生徒の割合の推移、平成27年度から平成29年度の「基礎・基本」定着状況調査の英語の平均正答率の県との差をグラフで示しており、学力が上昇傾向にあることがうかがえます。
 次に、2、効果があったと思われる取組です。
 一つ目は、広島市教育委員会の研究指定を受けることにより、授業研究会の充実を図ってきたことが挙げられます。可部中学校は、平成28年度に学力向上推進授業の授業改善推進校タイプ【2】の指定を受け、平成29年度から平成30年度には、同じく学力向上推進事業の授業改善推進校・活用型授業研究校の指定を受け、年間およそ30回の研究授業を行ってまいりました。指定校であることから、指導主事の指導を直接、継続的に受けることができ、授業改善が大きく進展したと聞いております。
 また、二つ目は、どのような授業を目指すのかについて教員が共通認識を持つため、指導案の書式を定め、さらに、それを年度ごとに改善したことが挙げられます。(2)実際の指導案の書式を見ていただきますと、例えば、平成30年度は過去2年間の研究の成果を踏まえ、活用のタイプを1から4のように示し、指導案に記載することとしました。このことにより、授業者は生徒たちにどのような思考をさせたいのかが明確になり、その後の研究協議において検証がしやすくなり、授業改善につながっているとのことです。
 大町小学校、可部中学校の取組について御説明いたしましたが、両校に共通していることは、校内研究会を充実させるための方策を明確にしていること、児童生徒の実態を把握して授業に生かしていることが挙げられます。このような取組事例を市内の各学校に周知していきたいと考えております。
 以上、「平成30年度全国学力・学習状況調査の結果ついて」御報告させていただきました。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。
 内容が多岐にわたりますが、ただ今の説明について、御質問等がありましたらお願いします。

秋田委員

 大町小学校と可部中学校の取組の報告でしたが、教員の加配がどうなっていたのか教えてほしいです。

指導第一課長

 大町小学校は1名の加配がありました。

指導第二課長

 可部中学校も1名の加配です。

秋田委員

 それは、科目を特定せずですか。

指導第二課長

 はい、そうです。中学校につきましては、具体的な教科を指定してということはございませんが、加配をすることで、研究推進の中核的な役割を担った教員が授業改善を推進しているということでございます。

秋田委員

 担任を持たず研究に集中できる方が1人おられたということですね。

指導第二課長

 そうです。そういう環境を整えております。

秋田委員

 分かりました。

栗栖委員

 16ページの丸2の「自分にはよいところがある」と「人の役に立つ人間になりたいと思う」の割合が大きく伸びており、これは非常に良いことだと思います。このように平成30年度で大きく伸びたことについて、何か背景とか要因のようなものがあるのでしょうか。

指導第二課長

 具体的に、これをしたから伸びたというように一対一で結び付けるのは難しいと思うのですが、子どもたちの良いところを認めていこうとする各学校の取組や、あるいは教員が授業中の子どもたちの発言の中から良いところを引き伸ばしていくような声掛けを意識していることなどから、子どもたちの気持ちが上昇しているのではないかと捉えております。

栗栖委員

 是非、こういう良い結果をいろいろな機会を通じて教員の方に周知していただき、良い結果が継続すればいいなと思います。

指導第二課長

 ありがとうございます。

栗栖委員

 それと、もう一点は、逆に少し気になるところなのですが、丸5の「言語活動について、国語科だけでなく、各教科等を通じて、学校全体で取り組んでいる」については、小学校が92.2%、中学校が89.1%と割合は高いですが、逆に言うと、小学校では約8%、中学校では約10%の学校がそうではないということになります。これは、どこの学校なのか分かるのですか。

指導第二課長

 各学校ごとの回答を把握しておりますので、具体的にどこの学校か分かります。

栗栖委員

 どこの学校か分かるのですね。ここで「取り組んでいる」と回答していない学校は、なぜそうなのかというところを深掘りしていただいて、その辺の改善を図っていただきたいと思います。やはり、こういうことは全学校で取り組んでいるという意識が大切だと思いますので。

指導第二課長

 はい。御指摘いただきましたように、非常に大切な部分だと思いますので、学校訪問等を通じて把握し、指導・助言に努めてまいりたいと思います。

伊藤委員

 二つ質問があります。一つ目は、16ページの丸4の四つ目の「学校の授業時間以外の普段の1日あたりの勉強時間(30分以上)」で、中学校は昨年と同じくらいですが、全国平均よりも低くなっております。これは、塾に行く子が多いということなのでしょうか。全国平均より広島市が低い要因が何にあるのかというのが質問です。
 二つ目は、17ページの大町小学校の取組の2、(3)授業づくりの方向性の共有化で、丸(○)の三つ目に外部講師による指導とありますが、外部講師とはどういう方が来られるのでしょうか。そして、外部講師が来られることと、算数Bの全国平均との差が8.5ポイントと少し伸びておりますが、それは関係があるのでしょうか。

指導第二課長

 まず、一つ目の家庭学習の時間についてですが、この学習時間には塾の時間等も含めております。

伊藤委員

 そうですか。

指導第二課長

 はい。そうした中で、全国平均よりも若干低いという状況です。明確な要因というのは難しいところがございますが、やはり学習習慣の定着に課題があるのではないかと捉えておりますので、そうした中で、小学校の時から「生活リズムカレンダー」で学習習慣の定着を図るなどの取組を進めているところでございます。

伊藤委員

 はい、ありがとうございました。

指導第一課長

 続けて、二つ目の大町小学校の取組について御説明させていただきます。
 外部講師についてですが、この度、研究を進めるに当たって、算数・数学の先生として、横浜国立大学教育人間科学部の石田淳一教授においでいただきました。
 大町小学校の研究テーマとしては、数学的な見方・考え方を育む算数科授業を作っていくために、主体的・対話的で深い学びの過程を大事にしていこうということで、2年間取り組んできました。これまでの、教員の指導に対して児童がそれを聞いて問題を解いていくといった形から、学習の課題に出会ったところから、これってどうやって解けばいいのだろうとみんなで話し合い、その見通しを付けた段階でみんなで解いていき、最終的には、どのように分かったのか、分からなかったのか、そういったところを自分でもう一度振り返っていくというように、児童の中でグループあるいはペアになって、対話をしながら学習するというような、主体的・対話的な授業を進めてきたところです。
 こういった取組を2年間進めてきたところ、16ページの丸1の学習意欲の項目に「算数・数学の勉強が好き」という設問がありましたが、本市の小学校の平均は61.7%ですが、大町小学校は70.3%の児童が算数が好きと回答しております。ちなみに、前年度の平成29年度は67.3%でしたので、随分上がってきたということがございました。
 また、学習時間については、丸4の学習習慣の項目の中に、「学校の授業時間以外の普段の1日あたりの勉強時間(30分以上)」という設問がありますが、本市の小学校の平均は91.5%ですが、大町小学校は96.1%の児童が30分以上学習をすると回答しており、取り分け1時間以上になると、85.2%もの児童が学習すると回答しております。
 子どもたちが最終的に自分で考えて、分かった、分からなかったといったところについて、既習事項の確実な定着を図るために、17ページの2の(3)にあるようなプリントにして、家庭学習用に持ち帰らせていたようなのですが、こういった取組に児童が自分で取り組むようになって力を付けたと考えられます。
 主体的・対話的で深い学びの過程というところまでに、かなり時間は掛かったようなのですが、子どもたちが学び合う主体的・対話的な活動を通して、理解が深まってきたのではないかと考えております。

伊藤委員

 大変成果が上がっているようですので、他の学校にも波及していくことを期待しています。

指導第一課長

 はい。ありがとうございます。

井内委員

 毎年同じことを言っているような気もするのですが、(14ページの各教科の平均正答率で)小学校は、いずれも国の平均正答率を上回っており、県の平均正答率とはほぼ同じで、良い成績が出ています。平均だから何とも言えないかもしれませんが。それが急に、中学校3年生になると、国の平均正答率より落ちている。このことが気になって仕方がないのです。
 それで、どうしてなのかと考えたときに、この与えられたデータだけで思うのは、一つは、やはり正答率30%未満の子の動向が、平均点という形にすると、足を引っ張っているのではないだろうかと思います。つまり、二極化しているのではないかと。勉強している子とそうでない子の間に随分差ができていて、だから中学校の平均正答率がいつまでも上がらないのではないかと思うのです。もう俺は勉強しなくていいと、言い方は変ですが、居直っているような、何かそんなふうに勉強をしない子が増えているのではないかと思います。
 先ほども質問が出たのですが、(16ページの丸4の)「学校の授業時間以外の普段の1日あたりの勉強時間(30分以上)」という設問に対し、中学校は84.7%で、全国平均よりずっと低いですよね。これは、先ほど御説明があったように塾の時間も入れているのだとすれば、中学校3年生が自宅あるいは塾で勉強している割合、あるいは時間というのが、かなり少ないのではないかという気がするのです。中学生くらいになれば、やはりもう少し自分でやるというところがないと、いくら学校でうまくリードしていっても、最終的には自分で解けるような力にはつながらないのではないかと思います。
 だから、今回出ているデータではなく、もう少し、何か違った切り口で調査できないのかと思います。中学校3年生で、どうしていつまでも正答率30%未満の生徒を減らすことができないのか。正答率30%未満の子をできるだけ少なくすることが、ある意味では公立学校の使命だと思いますので、そのことがもう少し分かるような資料が出たらいいなという気がするのです。
 大変難しいことを言っているような気もするのですが、どうして中学生がこんなに低いのかと、ここ四、五年、同じことを言っているような気がします。まあ、私立と公立の子どもの学力の差が大きくなってきているので、(市立)小学校に居た児童が、(私立中学校に進学することで)市立中学校には居なくなっているからこのような結果になるのだと言ってしまえば終わりなのですが、そうではなくて、やはり公立学校の使命として、少なくともこの正答率30%未満の子を、毎年少しずつでいいから減らしていくような傾向にならないと、使命を果たしたことにならないのではないかという気がするのです。
 だから、その辺がもう少し分かるような資料が来年は出ないかなという気がします。そうすると、もう少し対策を立てられるのではないかという気がします。
 指導第二課はどういう意見を持っておられるのか、お聞きしてみたい。

指導第二課長

 はい。まず、御指摘いただきましたように、30%未満の児童生徒を減らしていくということが本市にとって非常に大きな課題であり、目指しているところでもあります。そうしたことと、家庭学習の時間と学力調査の平均正答率については、ある程度の相関がデータからもありますので、やはり家庭学習の時間がゼロに近い児童生徒というのを減らしていく取組も必要なのだろうと考えております。
 そうした中で、今、例えば、個に応じた指導特別研究校等で家庭学習をどのように取り組ませることが学習習慣の定着につながるかといった研究等も進めておりますので、そういった研究成果を明らかにしながら、各小学校、中学校に広げて、普及していけるような取組にしていきたいと思っております。
 また、正答率30%未満の生徒を減らすためのもう一つの取組としては、やはり授業をどのように変えていくかということが非常に大切だと思いますので、子どもたちにとって分かりやすい授業、課題の提示の方法から、話し合わせ方などについても、併せて研究を進めていきたいと考えています。
 その切り口がより分かりやすい資料ということについては、研究させていただきたいと思います。

井内委員

 よろしくお願いします。学校での授業の工夫と、自分でやろうとする意欲をかき立てることは、両輪だと思います。その両輪をうまく並行して盛り上げていけるような、何か一つのモデルのようなものを提示できたらいいと思います。そうすると、各学校でそれを実践していけば、全体の押し上げが効いてくるのではないかと思いますので、是非、考えてみていただければと思います。
 個々の教員が努力しているのは分かるのですが、結局は子どもたちのモチベーションを上げ切っていないのではないかというのが、今、私が受けている印象です。そういう子どもたちの数がやはり一定数居て、その一定数をなかなか脱却できていないというのが、こういう状態につながっていると思えますので、是非、前向きに進めていただきたいと思っています。

秋田委員

 正答率30%未満の児童生徒の割合の話が出たのですが、正答率30%未満の児童生徒に補習をするというのは、言うはやすし行うは難しということですか。そこに集中して力を付けさせるというのが効果的なのかなと思うのですが。

指導第二課長

 学力補充につきましては、まず、この調査結果を受けまして、それぞれの児童生徒に対して授業の中での指導支援を行っておりますが、併せて、例えば、中学校でいいますと、「まちぐるみ『教育の絆(きずな)』プロジェクト」等の中で放課後学習会を開催しておりますので、そういった中で個に応じた指導を進めているところでございます。

糸山教育長

 もう少し、今、亀山中学校区で実施している個に応じた指導特別研究校の取組について、狙いと内容を説明してもらえますか。

指導第二課長

 はい。亀山中学校区で取り組んでいることを挙げますと、まず一つ目は、授業改善の取組、二つ目は、先ほど申しました、「まちぐるみ『教育の絆』プロジェクト」の中での学力の下支えの取組です。大きくこの二つに取り組んでいるところです。
 一つ目の授業改善という視点で申し上げますと、例えば、亀山中学校区では、学力向上推進プランに基づいて「授業スタンダード」を作成しまして、この授業スタンダードに基づいた少人数授業でありますとか、ティームティーチングの効果的な指導方法等について研究しております。また、帯時間や暮会を活用した学び直し、繰り返し学習の実施等を行っております。
 また、二つ目の視点で申し上げますと、放課後学習会を週1回以上、1回当たり1時間程度で行っておりまして、例えば、小学校でいいますと、まとめテスト等の結果に応じて対象者を決定して行っております。また、長期休業中の補充学習等も行っているところです。
 先ほど一つ言い忘れたのですが、授業改善の取組の視点で、算数・数学について、どこでつまずいているのかということを把握するためにチェックシートを設けまして、そのシートを「個別支援シート」と呼んでおりますが、その個別支援シートに基づいて、つまずいているところを振り返ったり、あるいは放課後等学習会の指導を行ったりしており、できていないところを改善していくという取組を行っております。
 さらに、併せてもう一つ、小中連携の取組ということで、以上のような取組を小学校、中学校が連携して、共通の目標を持って取り組んでいるところでございます。

糸山教育長

 亀山中学校区は、委員の皆様は以前に学校訪問で御覧になったことがありますね。ざっくり言いますと、正に井内委員がおっしゃったようなところに問題意識を持って、教育の一番ベースの部分として、正答率30%未満の児童生徒を無くしていこうということで、そのために何をするのかという視点から、授業改善や、あるいは個別の学習支援を必要とする児童生徒には放課後や夏休みなどを使って補充学習をするなどといった取組を、今年から始めております。それも小、中で継続して行っていきますので、ここで行った取組を全体に広げていけるように、その効果も見ながら、良い取組を広げていこうということで取り組んでおります。
 関連して、私からの質問なのですが、16ページの平成30年度の数値をざっと見ると、全国よりちょっと高いから良いとかちょっと低いから悪いとかということではないのですが、白地の部分だけをぱっと見ると、数学・算数、理科が好きか嫌いかというと、全国より少し好きな児童生徒が少ないという形ですね。取り分け中学校になると、好きと回答する生徒が顕著に減ってくるというようなところがあります。それから、今度は、予習・復習、家庭での勉強時間というようなところでは、全国より低い数値が出ている。ここまで見えてきて、次は、学校質問紙のところなのですが、特に気になったのが、3段目の「家庭学習の取組として、家庭での学習方法等を、具体例を挙げながら教えている」という設問に対して、昨年までは90%ぐらいあったのが、80%を切る状態になって、全国よりはるかに少ない。我が市の課題からいうと、結構、ここは大事なところだというのが見て取れるのに、学校においてこのように取組が弱まったのには理由があるのかというのが1点です。
 もう1点は、その下の設問です。数学・算数については、先ほど説明がありましたとおり、個別支援シートを作成して、どこでつまずいて、どこが分からないのかということを教員が把握し、そこをきちんと手当てしていこうという取組を始めています。小学校時代からの積み上げということもあるのでしょうが、この上から4段目の設問は、算数・数学嫌いの子どもを無くすという意味で設定しているのだと思います。「算数・数学の指導として、実生活における事象との関連を図った授業をしている」というようなところをあえて設問に挙げているということは、やはり算数・数学が好きな子が段々少なくなっているということが背景にあるのだと思います。そうしたときに、本市の回答の割合が随分低いなと感じます。取り分け中学校が低いと思います。その辺りについては、学校の意識として何か問題があるのか、あるいは教育委員会事務局として、もう少しここをきちんとやらなくてはいけないといった考えなどがあるのでしょうか。

指導第二課長

 一つ目の「家庭学習の取組として、家庭での学習方法等を、具体例を挙げながら教えている」の設問については、中学校の回答が随分下がっております。これにつきましては、学校としてこれが理由で下がったというところは、明確にはつかみ切れていないのですが、教育委員会事務局の指導としては、今後、特にここに意を用いた指導を行っていく必要があると考えております。そういった意味でも、先ほどの個に応じた指導特別研究校の取組等を普及させていく必要があると考えております。
 それから、二つ目の「算数・数学の指導として、実生活における事象との関連を図った授業をしている」という設問ですが、例えば、導入段階で実生活との関連を図ることで子どもたちの興味関心が授業へ向かうということもあるかと思いますし、あるいは、授業の最後や単元の最後に実生活との関連を図ることで、子どもたちに学んだことが活用できる、生きて働く血になるということをより意識させることもできます。子どもたちのモチベーションへ働き掛ける意味でも、非常に大きなものがあろうと思いますので、この部分につきましても、教育委員会事務局として、今後、より重視して、学校への指導・助言を行っていきたいと思います。

糸山教育長

 はい、分かりました。算数・数学に課題があり、家庭学習に課題があるという中で、学校の取組において力の入り方が段々弱まっているということがあるのであれば、そこをきちんと指導していっていただきたいと思います。

秋田委員

 言語・数理運用科という科目がありますね。実生活における事象との関連を図るということは、言語・数理運用科そのものだという気がするのです。そうすると、言語・数理運用科という科目を広島市が独自で設定していること自体が、全国よりも進んでいることになるのかなと思います。それだけで足りるというわけではないのでしょうが、その辺りについて、少し補足していただければと思います。

指導第二課長

 もちろん、言語・数理運用科は実生活との関連を図る科目でございますので、その授業の時間についていえば、十分に取り組めていると思います。しかし、この資料を見ますと、国語や算数などの他の教科に返ったときに、実生活との関連が必ずしも高まっていないということがうかがえるのではないかと思っておりますので、他の教科についても、そこを意識した指導をより重視する必要があると考えております。

糸山教育長

 その他、いかがでしょうか。
 学力向上については、また、総合教育会議の中でも意見交換ができればいいと考えております。

栗栖委員

 もちろん、学校ごとの個別の調査結果のデータは、各学校に全部還元されているのですよね。

指導第二課長

 はい。

栗栖委員

 したがって、校長は、自校の強みや弱みについて、いろいろな基礎資料を含めて承知されているということですよね。

指導第二課長

 はい。

栗栖委員

 校長は自校の課題を認識されているということですから、学校の経営計画にも織り込んでいただけるようにお願いします。今後は個別の対応が必要になってくると思いますので。

指導第二課長

 そうですね。

栗栖委員

 個別の学校ごとにきちんと指導していただきたいと思います。当然、されるのですよね。

指導第二課長

 そうですね。今、おっしゃっていただきましたように、既に各学校に調査結果のデータがいっておりますので、そのデータに基づいて、各学校は課題を見付けて改善計画等を作成し、自校の取組に生かしているということになります。また、正答率や意識調査の結果等も学校評価の指標としておりますので、そういったところについても指導していきたいと思います。

栗栖委員

 資料にある正答率は平均ですよね。平均ですから、学校によって差がありますよね。その辺り、個別の対応をよろしくお願いします。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。本件については、この程度にしたいと思います。
 学力の向上は一番基本的なところですから、機会を捉えて、また提案させていただければと思います。
 それでは、次に、議題4「平成29年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について」を議題とします。
 本件は報告案件です。内容について、生徒指導課長及び生徒指導課いじめ対策推進担当課長から説明をお願いします。

生徒指導課長

 それでは、議題4「平成29年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について」御報告させていただきます。
 8月29日の教育委員会議でお諮りした、「平成30年度広島市教育委員会事務点検・評価報告書」の中で、既に平成29年度の速報値を報告しておりますが、去る10月25日に文部科学省が全国のデータを公表しましたので、全国の状況との比較も含めて御報告いたします。本日は別冊の基礎資料を使いまして、特徴的な部分についてのみ説明させていただきます。
 まず、不登校の状況から説明させていただきます。基礎資料の1ページを御覧ください。
 不登校児童生徒数は、平成24年度までは徐々に減少し、それ以降、平成28年度までは横ばい高止まりの状況でしたが、平成29年度の不登校児童生徒数は、小学校が376人、中学校が748人、高等学校が65人、合計1,189人で、平成28年度より191人増加しました。全国的にも平成29年度は、前年度より11,426人増加し、過去最高となっております。不登校児童生徒数の割合を全国と比較しますと、小学校では本市の方が若干高く、中学校、高等学校では低くなっております。不登校児童生徒数が増加した要因の一つとしては、今年度から調査方法が変更されたことが考えられますが、高止まりの状態は続いておりますので、この状況を更に分析して、対策を強化する必要があると考えております。
 基礎資料の2ページ目を御覧ください。3は学年別不登校人数です。小学校6年生から中学校1年生に掛けて増加率が高くなっております。また、平成29年度に中学校1年生で新たに不登校になった生徒は131人で、65.5%となっております。各中学校区の小中連携の取組により、年々小学校6年生から中学校1年生に掛けての増加率は減少傾向ではありますが、今後も小中連携の取組を継続して強化していく必要があります。
 基礎資料の3ページを御覧ください。小学校の不登校の要因です。グラフを見ていただくとお分かりになるように、家庭に係る状況が最も多くなっています。
 続いて、基礎資料の4ページを御覧ください。中学校の不登校の要因です。学業の不振が最も多くなっております。
 こうした状況に対して、学校は家庭訪問や個人面談などを実施し、自らの生き方や将来に対する夢や目的について考えるきっかけを与えるとともに、当該児童生徒の学力実態に応じて個別の学習支援等を行っているところです。
 基礎資料の5ページを御覧ください。高等学校の不登校の要因です。中学校と比較すると、進路に係る不安の割合が多くなっております。新たに不登校になった生徒のみで抽出すると、高等学校3年生では進路に係る不安が最も多い要因となっております。
 各校種ごとに不登校の要因を御報告いたしましたが、小学校においては家庭に係る状況が最も多く、中学校においても2番目に多くなっております。こうした状況を踏まえ、小学校段階の早期からの支援を図るため、スクールソーシャルワーカーを活用して、児童相談所や福祉関係部局等との連携を強化し、問題を抱えている児童や保護者への助言、相談活動を充実させたいと考えております。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 続いて、基礎資料の8ページからのいじめの状況について御説明させていただきます。
 全国の小中高等学校及び特別支援学校で平成29年度に認知したいじめは、前年度よりも91,235件増の414,378件で、過去最多を更新いたしました。本市においても、平成29年度の認知件数は、小学校1,529件、中学校535件、高等学校23件、合計2,087件となっており、平成28年度の1,029件から約2倍に増加しております。
 いじめの認知件数が増加した要因としては、いじめの早期発見、適切な対応に向け、各学校において「ささいな兆候でも疑いを持ち、早い段階から的確に関わり、積極的にいじめを認知することが必要である。」とのいじめ対応の基本的な考え方が定着してきつつあることによるものと考えております。このことは、文部科学省においても同様の見解を示しています。
 児童生徒1,000人当たりの認知件数については、本市は平成28年度の10.2件から平成29年度は20.7件となっております。全国平均は平成28年度が23.8件、平成29年度が30.9件となっており、今後も引き続きいじめの積極的な認知に取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、基礎資料の9ページを御覧ください。いじめの発見のきっかけです。
 平成29年度に本市で認知されたいじめの発見のきっかけは、学級担任が発見したものが415件で全体の19.9%となり、全国平均の11.1%よりも8.8ポイント高い割合となっております。これは、各学校の担任を始めとする教職員が、ささいな情報も見逃さず積極的にいじめを認知するとの視点に立ち、小さなサインも見逃すことなく対応していることの表れではないかと考えております。また、本人からの訴えが456件で全体の21.8%、当該児童生徒の保護者からの訴えが525件で全体の25.2%であり、それぞれ全国平均の18.0%、10.2%を上回っております。これは、各学校が児童生徒一人一人について理解を深め、児童生徒及び保護者との信頼関係作りに努めていることの表れであると考えております。
 さらに、アンケート調査などの学校の取組による発見が277件で全体の13.3%となっており、平成28年度の4.2%から9月1日ポイント増加しております。これは、各学校がいじめの認知及び早期発見のために定期的に行うアンケートについて、児童生徒が答えやすいようにアンケートの時期や質問の内容を工夫したり、家庭に持ち帰り記入する等調査方法を工夫したりしたことも影響していると考えております。アンケート調査をきっかけとしたいじめの発見は、平成28年度に比べ大幅に増加しておりますが、全国平均では52.8%と非常に高くなっておりますので、引き続き各学校の実態を踏まえ、アンケート調査に係る工夫を行っていく必要があると考えております。
 いじめを正確に認知することは、いじめの対応の第一歩であり、また、いじめは児童生徒の心身の健全な育成に重大な影響を及ぼし、児童生徒の命に関わる問題であることから、その兆候をいち早く把握し、迅速かつ適切に対応することは不可欠です。今後も、教育委員会は学校と一体となって、学校におけるいじめの見逃しゼロを目指すとともに、担任等によるいじめ事案の抱え込みによる重篤化を招くことがないよう、校内組織体制を構築し、組織的かつ適切に対応することができるよう取り組んでまいります。

生徒指導課長

 続いて、基礎資料の18ページからの暴力行為の状況を御説明させていただきます。
 平成29年度の暴力行為の発生件数は、平成28年度より91件増加しております。特に増加したのは小学校の中学年、高学年で、児童が暴力行為を繰り返している状況が見受けられます。なお、児童生徒1,000人当たりの発生件数を全国平均と比較すると、各校種とも全国平均より低くなっております。
 暴力行為が増加した要因は、いじめの積極的認知が影響しており、小さなトラブルでも暴力行為として適切に指導が行われているものと考えております。前年度よりも暴力行為が増加した学校へ聴き取りを行ったところ、増加の要因として多かったのが、自分の感情を上手にコントロールすることができない児童生徒の増加や人間関係の希薄さなどから来る児童生徒のコミュニケーション能力の不足が挙げられておりました。このことから、他者と円滑に関わる力を育成する必要があるため、引き続きいじめ・不登校等の予防的生徒指導を推進し、児童生徒の対人関係能力を育成していきたいと考えております。
 以上のとおり、平成29年度の不登校・いじめ・暴力行為について御報告させていただきましたが、今後とも児童生徒の個々の状況に応じたきめ細かい支援の充実を図るため、引き続きスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用するなどして教育相談体制を整備し、児童生徒や保護者からの悩みや相談に寄り添いながら教育活動に取り組むとともに、課題のある児童生徒に対する支援を実施してまいります。また、児童会、生徒会活動を活性化することで、児童生徒に日常の問題を主体的に考えさせたり、ボランティア活動等により地域とのつながりを深めることで、児童生徒の自尊感情を高め、児童生徒が集団や社会における人間関係をよりよく形成するとともに、自己実現を図ろうとする態度を養っていくことで、いじめをしない、いじめを許さない児童生徒の育成に努めていきたいと考えております。
 以上で「平成29年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について」の報告を終わります。

糸山教育長

 それでは、ただ今の説明について、御質問等がありましたらお願いします。

栗栖委員

 まず、具体的な調査方法の確認なのですが、この件数というのは、校長から数字を提出させることになるのですか。

生徒指導課長

 そうです。まず、文部科学省から広島県教育委員会に調査依頼がありまして、広島県教育委員会から広島市教育委員会へ依頼が来ます。その後、広島市教育委員会事務局から各学校へ調査用紙を配付し、各学校から提出された回答を取りまとめて、また、広島県教育委員会に返します。

栗栖委員

 例えば、ある学校でいじめの認知件数が50件ありましたというと、その50件について、いじめの発見のきっかけや相談の状況、対応の状況、解消したとか、解消に向けて取組中などということを回答するのですね。

生徒指導課長

 はい。

栗栖委員

 分かりました。
 いじめの認知件数が増えているというのは、いじめへの対応の基本的な考え方が定着してきているということで、よく分かるのですが、基礎資料の1ページで、不登校の児童生徒数が軒並み増えているということについて、先ほどの説明の中で、調査方法に変更があったと言われましたが、具体的にどのような変更があったのですか。

生徒指導課長

 不登校児童生徒数は、不登校を理由として年間30日以上欠席した児童生徒の数です。年間30日以上欠席した児童生徒を長期欠席の児童生徒と言いますが、そこには、四つの分類があり、いわゆる不登校、それから、病気による長期欠席、余りないですが経済的理由による欠席、それから、その他というのがあります。この四つの分類の中で、不登校を主たる理由とするということで上がってきたのが今回の人数なのですが、例えば、不登校を理由とする欠席が年間20日あり、病気による欠席が年間20日あったとき、年間40日の欠席になるのですが、主たる理由がどちらか分からないということがあります。昨年度までは、このように二つの理由があるときは、その他に分類していたのですが、今年度からは、主たる理由が不登校だろうということになれば、その他ではなくて、不登校に入れることに変更になりました。その関係で、その他が減少して、不登校が増えているという実態があります。

栗栖委員

 分かりました。

井内委員

 不登校のことで伺いたいのですが、基礎資料の6ページのところに、指導結果状況がありまして、登校する・できるようになったというのが少なくて、好ましい変化が見られるようになった、現在も指導を継続しているというのが、特に中学校では多いような気がします。登校できるようになったというのは、抱えている問題が解決したからだと思うのですが、なかなか登校できないということについて、その理由はどうなのか。つまり、指導や助言をしたけれども登校できなかったとき、その理由を分析したようなデータはあるのでしょうか。

生徒指導課長

 理由について分析したものは無いのですが、井内委員がおっしゃったように、中学校で指導を継続している生徒が多くなっているのは、基礎資料の2ページに欠席日数別人数がありますが、中学校の不登校生徒ということになると、年間の欠席日数が90日以上の生徒が多いです。200日以上という生徒も結構居ます。そういう生徒について、すぐに学校復帰というのは正直難しい状況がございまして、そういう生徒については、スクールカウンセラーともいろいろ相談しながら、その子に対して今はどういう支援が必要か、登校支援が必要なのか、あるいは、今は登校は難しいのでまずはしっかり関係作りをしていこうなど、支援方針をいろいろと考えながら進めているというのが実情です。中学校で改善する、登校できるようになるというのは、一つの傾向としては、中学校3年生ぐらいになったときに進路について考え始めて、登校してみようかと頑張り始めた、登校するきっかけになったということがあろうかと思います。

井内委員

 担任の教員は、不登校の子どもたちのケアについて、どのくらいの頻度で、どのようなアプローチをされているのでしょうか。これは個々で違いますか。それとも一定のやり方を決めて動かれているのでしょうか。

生徒指導課長

 実際には個々の生徒の状況に合わせてということになります。ただ、その状況を見ながら、週に1回家庭訪問するのか、月に1回くらいにするのかということは、担任だけの判断ではなく、学校ごとの生徒指導の部会などで、そこにスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも入ってもらって、その生徒の現状を分析しながら、今はこの頻度で関わっていこうとか、週に1回家庭訪問しようとか、その家庭訪問の中で学習支援をした方がいいとか、学習支援ではなくゲームなどをしながら関係を作っていこうとか、そういう具体的な方針を決めて関わっていくことになります。

井内委員

 広島市立中学校の生徒の死亡事案について、学校の教員の間で情報共有ができていなくて、学校全体で全ての教員が情報を共有して取り組むという姿勢が欠けているのではないかという印象を持ったことがあります。不登校も、教職員会議のようなところで情報共有ができていたら、もう少し解決の方向に向くことが多いのではないかという気がしているのです。担任だけではなくて、今おっしゃったようなことが常時できているとすれば、この生徒はこういう理由で今は行きたくないと言っているが、こういう見方はどうだろうというように、対応方針がいつも情報共有されているような状況を作っていただきたいと思います。
 不登校の要因というのは多肢にわたるでしょうから、一概にこうしたらいい、ああしたらいいというものではなく、その場その場での判断が優先されるとは思うのですが、やはり中学校の時に、こんなにうなぎ登りに不登校の生徒が出てきて、結局、中学校卒業の時点で行き場がないということになるのは、非常に不幸な出来事だと思うので、この中学校の不登校生徒数を下げたいものだと思います。議題3で報告のあった中学校の学業不振も、非常に大きな要因だということはよく分かるので、ここら辺は一緒に解決していかなければいけない問題だと思われます。これは、よろしくお願いします。

生徒指導課長

 はい。実際に中学校の学業不振は大きな要因として挙げられておりますので、おっしゃるとおり連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

伊藤委員

 基礎資料の9ページにいじめの発見のきっかけがありますが、小学校は学級担任が発見したり、本人からの訴えの件数が多いのですが、中学校は「学級担任が発見」も少ないし、全体において小学校に比べて少なくなっています。この差というのが、結局は、中学校は発見するのが困難な場合が多いということなのかなと思いました。担任にもなかなか言いにくい、また担任からも発見されにくい、親にも言いにくいという中学生の状況から見たときに、先ほども井内委員からありましたように、やはり学校全体、地域全体、教育委員会も一緒になって関わり、初期で発見して解決のプロセスを経ていくことがすごく重要だと思いました。
 一つお聞きしたいのは、いじめといっても不登校や暴力行為も全部がリンクしていると思うのですが、いじめの調査をするときには、いじめが何件ありますかという問い方ではなくて、いろいろな項目について、こういう状況がありますかというように具体的に問われるのだと思うのですが、どのような問われ方をするのでしょうか。また、いじめに関する調査の調査項目ですが、実態だけではなくてプロセスとかそういったものも調査項目に入っているのでしょうか。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 いじめの認知件数については、各学校から何件という形で報告が上がり、その報告が上がったいじめについて、先ほどは全ての調査項目についての説明はできませんでしたが、いじめの態様など、それぞれの項目について回答するようになっております。

伊藤委員

 各学校がこれはいじめだと判断して、件数を調査用紙に書き込むということですね。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 はい。

伊藤委員

 そうであれば、いじめに対する認識の違いが、各学校から上がってくる数字に影響する可能性もあるということですね。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 本来、各学校においていじめに対する認識に大きな違いがあることは決していいことではないと思うのですが、学校から上がってくる認知件数には、まだまだ学校によって数字として違いがあるというのも実状でございますので、今、学校の方では、校長を中心に繰り返しいじめの定義について再確認するといった取組をしております。そういったことも、いじめの認知件数が大幅に増えた要因の一つでもあると思います。このような取組を学校で続けている状況でございます。

伊藤委員

 分かりました。ありがとうございました。

秋田委員

 引きこもりは、文部科学省だけではなく厚生労働省や内閣府でも対応されていると思うのですが、自治体レベルでは、他部局との連携はどのように考えられますか。

生徒指導課長

 学校での動きとしましては、スクールソーシャルワーカーがケース会議を持つときに、この機関に関わってもらった方がいいということで、児童相談所であるとか、福祉関係であるとか、区役所の生活課とか、場合によっては警察とも連携しながら、それぞれの機関からこういう支援ができるということをお互いに出してもらいながら、支援方策を検討しているところです。
 引きこもりということになると、情報交換をしても具体的な状況はなかなか出てこないため、難しいところはございますが、そこは引き続きケース会議を持ちながら取組を続けているところです。

糸山教育長

 秋田委員がおっしゃったのは、引きこもりに対する福祉部局との連携ということだと思うのですが、基本的には、児童生徒の引きこもりというのは、いわゆる不登校の局面で捉えて学校側が対処していますので、多分、福祉部局が入ってくることはないのではないでしょうか。
 今、連携という点で生徒指導課長が説明したのですが、私の認識では、引きこもりは、大人にしても子どもにしても、本人は外部とは接触しませんので、保護者の方がいろいろなところに相談に行かれます。児童生徒であれば、まずは義務教育段階であれば学校に行かないといけませんから、これはきちんと学校側が接触して、何とか登校できないかというところを継続して支援していきます。ただし、学生の段階を越えてくると、これはもう学校では対応できませんので、そこは福祉的局面になって、引きこもり相談支援センターなどに相談し、そこがいろいろな機関につないでいくことになると思います。恐らく、学校の不登校と、社会的な引きこもりということでは、直接の連携はしていないのではないかと思います。
 ただし、不登校のお子さんが不登校のまま学生生活を終えると、終えた途端に、今度は学生でない不登校、いわゆる引きこもりの状態になりますから、そういう部分での連携として、きちんと関係部局に情報を引き継いでいくということになってこようかと思います。

秋田委員

 分かりました。
 もう1点。親子関係の要因もかなりあるようなのですが、やはり学校に行かなくなると親は心配なので、行くように言って、学校からも来るように連絡があって、そういう初動の対応を誤って、より深く長期化するというような話も聞きます。やはりスクールカウンセラーなどの専門家に最初の対応から入っていただいて、親も教員も対応を間違えないように、もっと専門的に対策を取っていかないと、担任の教員だけではとても難しいと思います。最初にどう対応したらいいのか、無理やり行かせないようにするとか、そういった専門的な指導で親を支える仕組みが必要だと思います。
 進路についても、例えば、広島みらい創生高等学校などの通信制の学校もあるのでそんなに心配しなくていいとか、本人や親を支えてあげる、不安を少しでも無くしてあげることができたらと思います。もちろん不登校の人数が少ないに越したことはないのですが、民間のいろいろな居場所もあるようですので、そういった本人が一歩踏み出せるような場所について、情報を提供してあげるということがいいのではないかと思います。

生徒指導課長

 不登校の兆候が見られたときの対応については、先ほど生徒指導の部会などで対策を練ると御説明しましたが、その中で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用が出てきます。スクールカウンセラーにつなぐ時には、個別のケースごとに、保護者のカウンセリングが必要なのか、本人のカウンセリングが必要なのか、その辺りを見極めながら支援していく必要があると思います。そこは、秋田委員がおっしゃったように、最初の出だしが遅れてしまうと不登校が深刻化していくのはとても速いので、いじめと同じように、最初のタイミングを見逃さないようにしていかなければいけないと思っております。
 それから、休み始めて数日のところであれば、現在、各校に「ふれあいひろば」を設けておりますので、そちらを紹介して、そこへ通いながら、そこにスクールカウンセラーが行って相談に乗るというように、様々な支援ができると思いますので、そういった形で行っていきたいと考えております。本当に、初動の段階が大事だろうと思います。

秋田委員

 そういう意味では、基礎資料の14ページの、これはいじめの対応についてですが、「スクールカウンセラー等の相談員が継続的にカウンセリングを行う」の件数が、私が想像していたよりも少ないと思いました。もっとスクールカウンセラーの活用ができたらいいと思いました。

生徒指導課長

 はい。

栗栖委員

 基礎資料の7ページの不登校の相談・指導を受けた機関等で、「相談や指導を受けていない人数」が中学校で276人、10ページのいじめの相談の状況で、「誰にも相談していない」が小学校で165件となっていますが、これはどういうことになるのですか。誰にも相談していないというのは、どういうことなのでしょうか。これは複数回答なので、少し分かりにくいのですが。

生徒指導課長

 7ページの資料は相談・指導を受けた機関等ということですので、実質的には担任が主に関わっていたというケースが多いと思います。担任が関係機関につなごうとしても、なかなかつなぎ切れていないというところがあります。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 10ページの資料の「誰にも相談していない」というのは、いじめとして学校が認知し、その後対応しておりますので、その最初の段階で、例えば、本人は親にも担任にも相談しなかったけれども、同じ学級の他の子どもが担任に教えてくれて、それで対応に入ることができたというようなものがここに入ります。誰にも相談していないからそのままいじめが継続しているということではなくて、いじめとして学校が認知したのだけれども、対応するきっかけとしては、本人というよりは周りが、あるいはアンケートで他の子が書いてくれたとか、あるいは担任がその子の状況の変化に気付いて声掛けをして発見したとかといったものがここに入ります。

栗栖委員

 そういうことなのですか。

糸山教育長

 少し書き方を工夫しないと、誤解を招く分類ですね。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 そうですね。

栗栖委員

 そういうことであればいいのですが、この資料では分かりにくいですね。

糸山教育長

 いじめとして認知して、その後に相談も何もないということは在り得ませんので、初動のときの一時期だけを捉えた分類であるような、その後も含めたような、ちょっと設問(の書き方)を工夫しないといけないですね。

栗栖委員

 そうですね。不登校についても同じです。

生徒指導課長

 そうですね。担任もスクールソーシャルワーカーも対応しております。

栗栖委員

 少なくとも、担任は承知されているということですね。

生徒指導課長

 はい。

栗栖委員

 もう一つ質問です。先ほど、いじめに関しては学校によって認識の違いがあって、今はできるだけ軽微なものもいじめとして認識していくということで、これはいい傾向だと思うのですが、不登校についてはもうそういう余地はないのですか。不登校についても、学校によってカウントの仕方が違うというようなことはないのですか。

生徒指導課長

 不登校の場合は、先ほど申し上げましたように、年間30日以上という客観的な数字がありますので、いじめや暴力行為に比べると、割としっかり線引きされていると思います。

栗栖委員

 不登校の数は割と客観的に出てくるのですね。

生徒指導課長

 はい。

糸山教育長

 一つ補足させていただきます。伊藤委員から、基礎資料の9ページのいじめの発見のきっかけで、中学校が少ないとの御指摘がありましたが、このグラフは絶対数で表示されているので、特に中学校が低いように見えます。ただ、割合を見ても、「学級担任が発見」が、小学校で22%、中学校で14%、高等学校になるともっと下がるということで、年齢が上がるごとに先生の目の前ではやらない児童生徒が増えますので、そういう面では、今、アンケート調査の工夫であるとか、もっといろいろなツールを使うとか、そういった方法を考えています。その辺のことで説明できることがあれば、いじめ対策推進担当の方からお願いします。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 はい。先ほどの説明の中でも少し触れましたが、小学校は、ほぼ毎日担任が子どもたちと関わっております。そういう面では、中学校は教科担任制ですので、関わる絶対の時間数が随分違うというところもあります。その上で、子どもたちの状況をどう把握するかということについては、先生方が日々の状況を観察すること、それからアンケート調査等があります。アンケート調査について、今年、学校で実施して効果的だったと思われる取組は、今までは学校で配ってその場で書かせて集め、それを基に教育相談をしていたのですが、自宅に持って帰らせることで、より子どもたちが記述しやすいようにするといった工夫を行ったことで、アンケート調査による認知につながったケースが多かったということもありますので、そういった工夫は今後もやっていかないといけないと思います。

糸山教育長

 できるだけいろいろなアンテナを設けて取り組んでいきたいと思います。

井内委員

 教科担任制だと、小学校のようにずっと監視できるという状況ではないので、情報共有をどうやって行うかということを、きちんと考えていただきたい。学年主任のところに全部情報を集めるのか、それとも学校全体でやるのか、きちんと考えておかなければいけないという気がします。

生徒指導課いじめ対策推進担当課長

 はい。おっしゃるとおり、情報をいかに共有するかというところは、大きなポイントになると思います。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。
 本件については、今後も教育委員会議で議論する機会があると思いますが、今日のところは、この程度にしたいと思います。
 次の議題5は、先ほどお諮りしたとおり非公開となりましたので、傍聴人、報道関係の方はここで御退席をお願いいたします。

 (非公開部分省略)

糸山教育長

 以上で、議題は全て終了いたしました。
 これをもって、平成30年第14回広島市教育委員会議定例会を閉会いたします。

7 議決事項

議案番号 件名 議決結果
34 教職員の人事について 原案可決
35 教職員の人事について 修正可決

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