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平成29年第15回教育委員会議(11月定例会)議事録

平成29年第15回広島市教育委員会議議事録

 平成29年11月14日(火曜日)、平成29年第15回広島市教育委員会議(定例会)を教育委員室において開催した。

1 開会及び閉会に関する事項

  • 開会 午前 9時30分
  • 閉会 午前11時26分

2 教育長及び委員の出席者

  • 教育長 糸山 隆
  • 委員 井内 康輝
  • 委員 溝部 ちづ子
  • 委員 栗栖 長典
  • 委員 鈴木 由美子
  • 委員 秋田 智佳子

3 事務局等の出席者

  • 教育次長(総務部長事務取扱) 政氏 昭夫
  • 青少年育成部長 荒瀬 尚美
  • 学校教育部長 山本 直樹
  • 指導担当部長 湧田 耕辰
  • 教育センター所長 市川 昭彦
  • 総務課長 山越 重範
  • 育成課長 廣田 稔之
  • 指導第一課長 松浦 宰雄
  • 指導第二課長 川口 潤
  • 生徒指導課長 山崎 哲男

4 傍聴者等

 5人

5 議事日程

  • 議題1 「青少年からのメッセージ」の募集結果について(報告)
  • 議題2 第31回広島市青少年健全育成市民大会の開催について(報告)
  • 議題3 平成29年度全国学力・学習状況調査及び「基礎・基本」定着状況調査の結果について(報告)
  • 議題4 平成28年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について(報告)

6 議事の大要

糸山教育長

 ただ今から、平成29年第15回広島市教育委員会議定例会を開会いたします。
 本日は、傍聴の方もお見えになっておられますが、お手元にお渡ししております注意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴していただきますようお願いいたします。
 本日の議事録署名者は、鈴木委員と秋田委員にお願いいたします。
 これから日程に入ります。
 本日の議題は、お手元の議事日程のとおりです。
 まず、議題1「『青少年からのメッセージ』の募集結果について」を議題とします。
 本件は報告案件です。内容について、育成課長から説明をお願いします。

育成課長

 議題1「『青少年からのメッセージ』の募集結果について」御報告をさせていただきます。
 資料の2ページを御覧ください。
 まず、1の事業の目的でございますが、青少年に自己表現や自己実現の機会を提供して、青少年自身の人格形成に資するとともに、地域社会における青少年の健全育成に対する関心を高めるというものでございます。
 2の(1)テーマにつきましては、本年度は、子どもたちに、現代社会において欠かすことのできない電子メディアの適正な利用について自ら考え実行する態度を身に付けてもらうため、「電子メディアと上手につきあうには」というテーマといたしました。
 (4)の募集期間でございますが、本年6月1日(木曜日)から7月7日(金曜日)までで、市内の全小学校、中学校、高等学校、特別支援学校へ応募用紙を送付するとともに、広島市立の学校には校長会を通じまして、情報教育の一環として取り組んでいただくことなどをお願いさせていただきました。
 (5)の応募結果でございますが、下に表を付けておりますが、この網掛けをしておりますところが平成29年度の応募の結果でございます。作文部門が13,401点、漫画・イラスト部門が666点、合計で14,067点の応募を頂きました。これは、昨年度を約460点上回る、過去最高の応募数でございまして、本当に沢山の子どもたちにスマートフォンや携帯電話などの電子メディアとの上手な付き合い方を考え、その考えを実践する思いを持ってもらうことができたと考えています。
 次に、資料の3ページを御覧ください。
 (6)の選考でございますが、10月3日(火曜日)に審査委員会を開催いたしました。審査委員は、作文部門、漫画・イラスト部門、共に10名ずつお願いをいたしました。資料の4ページにその審査委員の名簿を添付させていただいております。ここにいらっしゃる鈴木委員にも、毎年、審査委員として御協力を頂いております。ありがとうございます。
 作文部門につきましては小学生の部、中学生の部、高校生・一般の部の各区分ごとに、また、漫画・イラスト部門は一括して、入選作品及びメッセージ集の掲載作品を選考いただきました。
 入選作品数は、作文部門の三つの部門と漫画・イラスト部門の合計四つの部門、それぞれにつきまして金賞が1点、銀賞が1点、銅賞が2点で合計16作品を入選としております。
 メッセージ集の掲載作品数については、入選作品を含む作文部門の小学生の部が25点、中学生の部が23点、高校生・一般の部が14点、漫画・イラスト部門が6点、合計68作品を掲載作品としております。
 審査委員の方々からは、「電子メディアとの付き合い方は今の時代を生きる子どもたちにとって切り離すことのできない大きなテーマであるが、電子メディアに使われるのではなく、便利な道具として使う立場にならないといけないと考えているのが印象的であった」、また、「家族や友達とのコミュニケーションの大切さを書いてある作品も多くあり、大変良かった」などの御意見を頂きました。
 (7)の表彰でございますが、入選者は11月18日(土曜日)に開催いたします「第31回広島市青少年健全育成市民大会」におきまして、市長により表彰していただくとともに、金賞受賞者4名にはステージ上で作品を発表してもらい、その後、審査委員長から審査を振り返っての講評を頂くこととなっております。この市民大会につきましては、次の議題で御報告をさせていただきますが、全市域から青少年の健全育成に携わる地域団体、学校、PTA等の関係者の皆様が600人以上参加される予定となっております。こうした場で、子どもたちが市長から直接表彰され、金賞受賞者が自らの作品を発表する機会を持つことは、今後、電子メディアの適正な利用を進めていく上で大きな励みになるものと思います。
 この10月に開催されました小学校、中学校、高等学校の各校長会におきましても、メッセージの応募を通じて子どもたちのやる気と勇気を引き出していただくため、入選した児童生徒、メッセージ集に掲載された児童生徒、そして応募をしてくれた沢山の児童生徒の努力を、しっかりと褒めていただくことをお願いしたところでございます。
 最後に、(8)の作品の活用でございますが、入選作品を含む68作品の優秀作品を掲載したメッセージ集を作成し、先ほど御説明させていただきました「広島市青少年健全育成市民大会」で参加者全員に配付するとともに、市内の全小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を始め、関係部署、青少年健全育成連絡協議会、公民館及び図書館等に配付をいたします。また、メッセージ集掲載作品の本市ホームページへの掲載や、各学校へのデータ配信などにより、青少年健全育成のために広く活用していきたいと考えております。なお、メッセージ集につきましては、この後、教育委員の皆様へ配付させていただこうと思っております。
 なお、資料の5ページから10ページにも、それぞれの部門ごとに、金、銀、銅賞の入選作品を提示させていただいておりますので、後ほど御覧になっていただければと思います。
 「『青少年からのメッセージ』の募集結果について」は以上でございます。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。
 ただ今の説明について、御質問等がありましたらお願いします。

鈴木委員

 自分も関わっている立場で少しお話させていただきます。印象的だったことがいくつかあるのですが、一つは、やはり、ネットとか電子メディアがもう子どもの身近なことになっているということです。その中で、便利で良いところも分かっているし、その問題も分かっている。それなので、自分たちは解決策としてこういうことをしたいということが明確に書かれているものが多かったです。しかも、その答えといいますか回答については、学校で習っているということが割と多くて、ひろしま型カリキュラムや総合的な学習の時間で専門の先生からお話を聞いて、時間を制限するとか、家族でルールを作るとか、そういった話合いをしているというものが多くありました。「10(テン)オフ運動を守る」というルールを決めて守るという子どももいますし、もう一方で、私が印象深かったのは、家族や友達と話す時間を増やすことが大事だと思ったといった意見もあり、この「電子メディアと上手につきあうには」というテーマの中で、改めて友達と話したり家族と話したりする時間が大事だとか、ルールを守るということが大事だとか、新しく起きてきた問題もあるけれど、良い使い方をするにはどうしたらいいかということを、小学生、中学生、高校生が自分の経験から改めて考える機会になったのかなと思いまして、そういう意味でも良い試みだったと思いました。以上です。

井内委員

 これまで順調に応募数は増えてきたのですが、ちょっと驚いたのは、作文部門で小学生の応募数が少し減りましたよね。どうしてかなと思ったら、その下の漫画・イラスト部門でその数が吸収されているのかなと思ったのです。これは、この「電子メディアと上手につきあうには」というテーマそのものが小学生には少し難しかった、文章にするのが難しくてイラストなら描けたということなのでしょうか。それとも、小学生の受け止め方と中学生の受け止め方というか、電子メディアに対する使い方が違うからこういうことになったのでしょうか。何か分析をされたことがありましたら教えてください。

育成課長

 確かにテーマによって、作文が書きやすいとかイラストが描きやすい、また、応募しやすい、応募しにくいということもあると思います。審査委員会の中でも、今回のテーマは自分の考えを述べることができてはいるが、かなり情報があふれている中で、差が現れにくいというか、大体同じようなことが述べられているという意見も出ていたように覚えております。

井内委員

 恐らく、私の想像では、電子メディアに対する親密度が、小学生と中学生とは違うのではないかという気がします。どんな使われ方をしているかということによっても、違うだろうと思いますね。

青少年育成部長

 井内委員がおっしゃるとおり、電子メディアとの付き合い方というテーマについては小学生には難しいかもしれないねという意見は、テーマ設定の際に確かにありました。しかしながら、今の現状を考えると、やはり子どもたちに考えてもらいたいテーマではないかということもあり、こういうテーマに設定させていただいたというのがあります。その中で、校長会においても、文章が難しければ、イラストであるとか、とにかく自分の思いを伝える、自分の考えを書いてみるという機会をしっかり設定していただいたのだと思います。鈴木委員からもありましたように、総合的な学習の時間であるとか、そういう時間を使って、小学校でもきちんと機会を与えてくださったということで、総体的には小学校でも応募数は減っていないのかなと考えております。

井内委員

 小学校の場合、恐らく今の段階では、総合的な学習の時間等で講師の話を聞いたり、先生の話を聞いたりということで、それがある程度一方通行なのではないかなと。だから、作られてくる作文が似たり寄ったりというか、重複していたりとか。結局、自分自身の捉え方が成熟してない、自分自身の電子メディアの使い方というものがまだまだ未熟なところがある。それが中学生になると、もう本当に、友達同士の間で多様な使い方をしていますよね。そこらのギャップというか、その辺を我々も十分注視していかなければいけないのではないかという気がしました。今回のテーマは、テーマとして投げかけていくということはすごく大切だと思いますが、小学生がそれをどのくらい受け止めて考えてみてくれたかということには、多少、問題が残らないかなということが、私が言おうとしたことです。

青少年育成部長

 はい。

糸山教育長

 はい、それでは本件についてはこの程度にして、次に移りたいと思います。
 次は、議題2「第31回広島市青少年健全育成市民大会の開催について」を議題とします。
 本件も報告案件です。内容について、育成課長から説明をお願いします。

育成課長

 資料の11ページを御覧ください。
 「第31回広島市青少年健全育成市民大会の開催について」を報告させていただきます。
 1の趣旨でございますが、青少年が自立心を高め、広い視野と豊かな情操を培い、健やかに成長するために、家庭、学校、地域社会及び行政が一体となった、市民総ぐるみの青少年健全育成活動を推進するとともに、市民意識の啓発を図るというものでございます。
 2の日時は、平成29年11月18日(土曜日)13時30分から16時30分までの3時間でございます。
 3の会場は、広島市青少年センターホールで開催をいたします。
 4の主催につきましては、広島市、広島市教育委員会、広島市青少年健全育成連絡協議会で構成をいたします広島市青少年健全育成事業実行委員会でございます。青少年健全育成連絡協議会は、子どもの見守りや挨拶、声かけ運動、三世代交流事業、青少年の意見発表会、こども110番の家など、学校等との連携を図りながら地域において青少年健全育成活動を指導いただく団体でございまして、小学校区単位で結成をされており、それらを束ねる区、市レベルの組織がございます。この大会は、そうした青少年健全育成連絡協議会と行政が一体となって青少年の健全育成を推進するため、全市規模で開催をするものでございます。
 5の参加予定者でございますが、青少年健全育成連絡協議会、学校、PTA関係者など約600人としておりますが、これは青少年センターホールの定員をめどに設定をしておりまして、例年、同ホールが満席となっております。
 6の内容につきましては、大会行事としまして、国歌斉唱に始まり、来賓及び主催者の紹介、市長及び広島市青少年健全育成連絡協議会会長の主催者挨拶に続き、市議会議長からの来賓祝辞を賜ります。続いて、広島市青少年健全育成功労者の市長表彰及び広島市青少年健全育成連絡協議会の会長表彰を行います。その後、先ほど御報告させていただきました「青少年からのメッセージ」の金、銀、銅賞の入選者16名を市長から一人一人表彰をしていただきます。続いて、金賞受賞者4名にはステージ上で自らの作品を発表していただき、最後に審査委員長からの講評を頂くことになっております。
 先ほども御報告させていただきましたように、入選者はこの市民大会の場において市長から直接表彰を受けることで、また、金賞受賞者は大勢の人を前に自らの作品を発表することで、将来に向けて一生懸命頑張っていく大きな励みになるものと考えております。
 次の事例発表では、2地区の青少年健全育成連絡協議会の活動報告をしていただきます。まず一つは中区の神崎地区で、神崎青少協の1年について、二つ目として、安佐南区の祇園学区から祇園学区緊急避難実施訓練について発表をしていただくことになっております。
 大会の最後は、講演会となっております。資料の12ページにチラシのコピーを付けておりますが、講師は心理相談員の宮田晃さんで、「強くやさしく育つために~親も子も輝いて生きる~」と題して講演をしていただきます。
 この宮田さんは、「家庭や学校、地域社会に幸せの連鎖を広げる」ことをモットーに、キャリア講演、子育て講演、生きがい講演など幅広いテーマで講演活動を行っておられ、今回の大会でも心温まる感動と優しい気持ち、夢や希望が湧いてくる講演をしていただけるものと思っております。
 なお、本大会においては手話通訳と要約筆記を実施することとしております。
 また、司会者は、フリーアナウンサーと全国中学校放送コンテスト広島県大会アナウンス部門で優勝をされました牛田中学校3年生の黒目さんのお二人に務めていただくこととなっております。中学生の黒目さんにとっては、フリーアナウンサーの指導を仰ぎながら大勢の人を前に日頃の練習の成果を十分に発揮できる良い経験の場となり、大役を果たすことが自らの自信にもつながり、大きく成長してくれることと思います。
 「第31回広島市青少年健全育成市民大会の開催について」は以上でございます。

糸山教育長

 はい、ありがとうございます。
 ただ今の説明について、御質問等がありましたらお願いします。

鈴木委員

 このチラシは、どういう範囲でどのくらい配られておられるのかということをお尋ねしたいと思います。

育成課長

 チラシにつきましては、各小・中学校へ配付をお願いしまして、それ以外に各公共施設等の窓口等に置いていただいて配布をお願いしております。

鈴木委員

 先ほど、600名が一杯になるぐらいとお聞きしましたので、その構成としては、地区の方々が多いのか、保護者の方が多いのか、子どもが多いのかと思いまして。

育成課長

 各地区で青少年の健全育成に携わっておられる方、また、学校の保護者、PTA、子ども会等に関わっておられる方、そういった方々が主な参加者でございます。

鈴木委員

 青少年健全育成市民大会というのは、大人の側に啓発するといいますか、子どもたちをしっかり育てていきましょうというような趣旨と理解してよろしいですか。

青少年育成部長

 はい。

鈴木委員

 ありがとうございます。こういう会は大事だと思いますので、是非、市民の皆様に子どもたちがしっかり頑張っている、こんなに深く考えているんだっていうことを知らせていただいて、共に育てていくという雰囲気を醸成していただければと思います。ありがとうございます。

糸山教育長

 はい、ありがとうございます。
 それでは、この件についてはこの程度にいたします。
 次に、議題3「平成29年度全国学力・学習状況調査及び『基礎・基本』定着状況調査の結果について」を議題とします。
 本件は報告案件です。内容について、指導第一課長及び指導第二課長から説明を受けます。
 それでは、説明をお願いします。

指導第二課長

 それでは、資料の13ページを御覧ください。
 議題3「平成29年度全国学力・学習状況調査及び『基礎・基本』定着状況調査の結果について」御報告をさせていただきます。
 まず、1の調査の概要についてでございますが、1の全国学力・学習状況調査につきましては、(1)に示しております調査の趣旨に基づきまして、実施をさせていただいております。
 次に、(2)調査対象でございます。
 まず、小学校第6学年、本市においては142校、生徒数10,197名の児童が参加をしております。中学校3年生におきましては、本市64校、9,158名の生徒が参加をしております。
 次に、(3)調査期日についてでございますが、平成29年4月18日(火曜日)に実施をいたしました。
 (4)調査内容についてでございます。
 小学校におきましては、国語と算数、中学校においては国語と数学、それぞれ「知識」に関する問題のA問題、「活用」に関する問題のB問題を受験しております。さらに、丸2といたしまして、学習意欲、学習方法、学習環境、生活の諸側面等に関する児童・生徒質問紙調査、並びに丸3指導方法に関する取組や人的・物的な教育条件の整備の状況に関する学校質問紙調査を実施いたしました。
 次に、2の広島県が実施をしております「基礎・基本」定着状況調査についてでございます。
 (1)調査の趣旨につきましては、丸1、丸2、次のページの丸3、丸4、それぞれの趣旨に基づいて実施をしております。
 次に、(2)調査対象についてでございますが、小学校第5学年におきましては、本市142校、10,412名の児童が参加をいたしました。中学校第2学年におきましては、64校、8,991名の生徒が参加をしております。
 (3)調査期日につきましては、平成29年6月13日(火曜日)に実施をいたしました。
 次に、(4)調査内容についてでございます。
 小学校第5学年におきましては、国語、算数、理科、中学校第2学年におきましては、国語、数学、理科、英語の各教科について、前学年までの学習内容の定着状況調査を実施しております。さらに、丸2生活と学習に関する意識・実態についての児童・生徒質問紙調査、また、丸3指導方法等についての学校質問紙調査を、小、中学校共に実施をいたしました。
 (5)調査問題の類型でございますが、タイプ1、基礎的・基本的な内容の問題、また、タイプ2、活用する力などに係る内容の問題、それぞれを実施しております。
 2、調査結果の概要については、次のページから詳細を御説明させていただきます。

指導第一課長

 それでは、続きまして、調査結果の概要を御報告いたします。
 15ページを御覧ください。
 まず、小学校の調査結果についてです。
 左側が全国学力・学習状況調査になっております。右側が「基礎・基本」定着状況調査でございます。
 まず、グラフの見方についてですが、それぞれグラフの中に二つの縦の実線を引いておりますけれども、こちらについては、学習内容がおおむね定着していると判断する目安となります正答率60%の割合のところと、課題の目安である30%の割合のところを示しております。四角囲み、右上の方になりますが、本市と全国、また、本市と広島県の児童生徒の割合を四角で囲っております。学力向上の方向性としましては、正答率30%未満の児童生徒の割合を減らしていくことについて、重点的に取り組んでいくことを目指しております。
 それでは、左側の全国学力・学習状況調査ですが、上段を御覧ください。国語のA問題とB問題についてです。
 共に分布が右寄りの山形となっております。こういった状況から、学習内容はおおむね定着していると見ております。また、A問題、B問題共に正答率30%未満の児童の割合は全国の平均よりも低く、また、(B問題の)正答率60%以上の児童の割合は全国よりも高いという結果となっております。
 続いて、算数のA問題とB問題について、中段を説明いたします。
 A問題についてですが、分布が右に行くに連れてぐっと高い割合となっております。こういったことから、学習内容はおおむね定着していると見ておりますが、B問題の方を御覧ください。山の形はこれまでのものより少し左寄りとなっております。また、ばらつきも少し大きいように伺えます。A問題、B問題共に正答率30%未満の児童の割合は全国平均よりも低く、また、正答率60%以上の児童の割合は全国平均よりも高いという状況でございます。
 また、その下の段の理科には斜線を引いておりますが、この全国調査は3年に1回理科の調査をするということで、今年度は実施しておりません。
 続いて、右側の「基礎・基本」定着状況調査について御報告いたします。右側のグラフを御覧ください。今回はタイプ【1】の基礎的・基本的な内容の方をお示ししております。
 国語、算数共に分布が右寄りの山形となっており、学習内容はおおむね定着していると見ております。また、通過率30%未満の児童の割合が、昨年度と比較すると、国語においては0.2ポイント増加、算数においては1.4ポイント減少、また、理科においては0.1ポイント減少という状況でございます。また、3教科共に通過率30%未満の児童の割合が県の平均と比べてやや高い状況、また通過率60%以上の児童の割合が県の平均と比べてやや低くなっております。
 続いて、中学校を説明させていただきます。

指導第二課長

 それでは、資料の16ページを御覧ください。
 中学校の正答数の分布を示しております。小学校と同様に左側が全国学力・学習状況調査、右側が「基礎・基本」定着状況調査の結果でございます。
 それではまず、左側の全国学力・学習状況調査について御説明をいたします。
 まず、国語についてでございますが、小学校と同様、A問題、B問題共に分布は右寄りの山形になっており、学習内容はおおむね定着していると見受けられます。A問題につきましては、正答率30%未満の生徒の割合、正答率60%以上の生徒の割合が、共に、ほぼ全国平均と同程度となっております。B問題につきましては、30%未満の生徒の割合が全国平均より低く、60%以上の割合も低くなっております。
 次に、数学についてでございますが、まずA問題の分布ですが、右寄りの山形にはなっておりますけれども、ばらつきが大きくなっています。B問題は、他のグラフに比べて左寄りの山形になっており、生徒のばらつきも大きい状況となっております。特に、B問題では中央よりも下位の層も相当数いることがこのグラフから見受けられます。A問題、B問題共に30%未満の生徒の割合が全国平均と比べて高く、60%以上の生徒の割合が全国平均と比べて低い状況となりました。
 続きまして右側、「基礎・基本」定着状況調査の正答数の分布状況について御説明いたします。
 まず、国語ですけれども、分布が右寄りの山形であり、学習内容がおおむね定着していることが見受けられます。また、通過率30%未満の生徒の割合については、昨年度と比べて、国語では0.2ポイント増加しております。
 また、数学についても、分布が右寄りの山形であり、学習内容がおおむね定着していることが見受けられますが、通過率30%未満の生徒の割合は2.9ポイント増加した結果となりました。
 その下、理科についてでございますが、分布が中央に寄った図形となっております。基礎的・基本的な学習内容の定着に課題があることが見受けられます。また、通過率30%未満は19.7%と他の教科に比べてかなり高い状況を示しておりまして、昨年度と比較しても0.6ポイント増加した結果となりました。
 最後に、一番下、英語についてですが、こちらは分布が右寄りの山形になっておりまして、学習内容がおおむね定着している状況が見受けられます。通過率30%未満の状況ですが、5.5%となっておりまして、こちらは昨年度と比較して0.4ポイント増加した結果となっております。

指導第一課長

 それでは続いて、17ページを御覧ください。
 2としまして、全国学力・学習状況調査で実施しました児童・生徒の質問紙調査、また、学校への指導方法についての質問紙調査の抽出項目を整理したものを掲載しております。
 この表は、平成25年度から平成29年度までの結果を掲載しております。表の中に網掛けをして色を濃くしている部分がございますが、ここが全国平均を上回っている項目となっております。
 それではまず、丸1の学習意欲に関する項目についてです。
 まず、学校に行くのが楽しいと思っている児童は、平成25年度と比較しまして小学校は0.2ポイント減少しておりますけども、中学校の方では反対に2.1ポイント増加をしております。また、国語あるいは算数・数学の勉強が好きと思っている児童生徒は、平成25年度と比較をして同じか少し増加をしている状況です。
 続いて、丸2の自尊意識に関する項目について御覧ください。
 自分にはよいところがあると回答した児童生徒は、平成25年度と比較をして増加をしているという状況です。また、将来の夢や目標を持っていると回答した児童生徒は、共に減少していますが、全国平均と比較をした場合には全国平均よりも高いといった状況です。また、学校のきまり・規則を守っていると回答した児童生徒の割合は増加の傾向が見受けられます。また、人の役に立つ人間になりたいと思うと回答した児童生徒は、小学校、中学校共にやや減少はしておりますが、これらの結果は、全国平均と比較をした場合にはいずれも高い状況となっております。
 丸3の思考力・表現力に関する項目で、自分の考えを説明したり文章に書いたりすることに苦手意識を持っていると回答した児童生徒は、経年で見ていきますと減少の傾向となっております。
 続いて、丸4の学習習慣についてですが、依然として家庭学習の定着が、芳しくないと言いますか、課題と受け止められます。また、普段読書をしている児童生徒の割合についてですが、全国平均よりも同じかあるいは高い数値を示しておりますけれども、基礎・基本の定着、学力向上のためにも、自主的に読書をする児童生徒の割合は、更に高めていく必要があるのではないかと考えております。
 最後に、学校質問紙、指導方法に関する項目についてです。
 児童生徒の発言や活動の時間を確保して授業を進めている学校の割合は高く、ほとんどの学校で児童生徒の活動を授業の中に位置付けているところが分かります。一方で、総合的な学習の時間において、探究の過程を意識した指導をしている小学校、また、各教科の指導のねらいを明確にした上で言語活動を適切に位置付けている小学校は、全国平均よりも低く、今後とも指導の充実を図っていく必要があると考えています。
 それでは、最後になりますが、18ページ、19ページになります。効果のあった特色のある学校の取組について御報告をさせていただきます。
 最初に小学校の方から、小学校は上安小学校です。上安小学校による「基礎・基本の定着を確実なものにするための取組」となっております。
 まず、1、全国学力・学習状況調査の結果から、本校の状況について数値化してみました。
 全国平均との差と正答率30%未満の児童の割合をそれぞれグラフで示しております。平成27年度には全国平均との差がマイナス7ポイントからマイナス8ポイントであったものが、本年度は全てプラスに転じている状況です。また、右のグラフになりますが、正答率30%未満の児童の割合についても、教科あるいはその領域など問題によって違いはありますが、おおむね減少の傾向と見られます。
 2の効果があったと思われる取組について説明します。
 (1)では、前年度の学力調査等の結果を基に、帯タイム、いわゆる短時間学習の内容を決めていることを挙げております。学力調査の分析によって、この学校では読む能力に課題が見られた、あるいは、1日の読書の時間が短いといったことが分かった場合に、読む能力の定着を図るための問題、あるいは、音読を取り入れたりしているということでございました。
 また、(2)算数の授業においては、本時のねらいが確実に達成できたかどうかを確認するために、適用問題、いわゆるその時間の最後の辺りで使う評価問題のことになりますが、この問題に取り組ませる時間を7分から10分確保することができるような45分の授業展開を皆で共有して、校内研修会の協議の柱を本時のねらいが達成できたかに絞り、全教職員で研究を深めているということです。
 また、(3)に記しておりますが、全学年でそれぞれの個の学習の足跡が残るようにノート作りにも取り組んでいます。
 右ページ下段の方に実際のノートが掲載されております。少し印刷が見えにくいのですが、今日の問題とそれぞれの授業で考えたこと、右の方ではM児あるいはS児の振り返りとありますが、友達が発言した考えについて自分がどうだったか、もう1回やってみたいだとか、後からになってその考えが分かった、気付いたというような記述がありますけれども、学びの足跡をしっかり残していくということに取り組んでいます。
 続いて、中学校の説明をいたします。

指導第二課長

 それでは、次のページを御覧ください。
 中学校の好事例につきましては、昨年度と同じ三和中学校の取組について挙げさせていただいております。「教育委員会の施策と学力調査の分析を生かした学力向上の取組」としております。
 まず、1、過去3年間の「基礎・基本」定着状況調査、また、全国学力・学習状況調査の結果について記載をしております。
 「基礎・基本」定着状況調査における県の平均正答率との差が、平成26年度以降、減少傾向にあることが伺えます。英語については、まだ10ポイントを超えている状況ではございますが、平成28年度に比べて1.5ポイント減少する結果となりました。また、全国学力・学習状況調査におきましては、各年度、多少ばらつきはございますけれども、平成26年度と比べて、例えば数学のA問題では30%未満の生徒が30.3%いたのですが、本年度は10.8%まで減少したということになっております。
 次に、2、効果があったと思われる取組について御説明をいたします。
 まず、(1)ですが、標題の学校名が書いてある右側を御覧ください。平成27・28年度に学力向上推進事業「授業改善推進校タイプ2」指定校、また、平成28・29年度にまちぐるみ「教育の絆(きずな)」プロジェクト実施校、さらに、本年度は道徳教育実践研究校の指定を受けております。また、こちらには記載しておりませんが、学校経営支援システムで教育委員の皆様方にも視察をしていただき、御指導を受けたところでございます。こうした指定校等を受けまして、授業研究のシステムの構築に向けて取組を進めてきております。
 次に、(2)でございますが、全国学力・学習状況調査や「基礎・基本」定着状況調査の結果、それぞれの教科で詳細な分析を行いまして、各学校で定めております指導計画の中に、生徒の弱点や、あるいは逆にできる点などを反映させまして、日々の指導に当たっているということでございます。
 次に、(3)まちぐるみ「教育の絆」プロジェクトを活用し、放課後学習会を実施しているところでございます。この放課後学習会につきましては、毎週月曜日をクラブをしない日と位置付けまして、この月曜日に定期的に行い、多くの生徒が参加し、自らの課題解決に向けて取り組んでいるというところでございます。
 また、先ほど「基礎・基本」定着状況調査の英語について御説明いたしましたが、英語につきましては、現在、特に「書く」という領域において、定着するまでに時間が掛かることから苦手意識を持つ生徒が大変多い状況にあるということでございます。教員の方で「聞く」・「話す」領域と関連付けて英語の音声と文字とを結び付け、指導方法を工夫しながら学習意欲を高めるよう、また、基礎学力を定着することができるよう、粘り強く、現在、取組を行っております。
 また、全国学力・学習状況調査と「基礎・基本」定着状況調査の対象教科ではない教科におきましても、分析結果を踏まえ、資料をしっかり読み取らせ、説明を自らさせたり、自分の考えをまとめて発表させたりするなど、指導方法の改善をしているところでございます。
 以上、「平成29年度全国学力・学習状況調査及び『基礎・基本』定着状況調査の結果について」御報告をさせていただきました。

糸山教育長

 はい、ありがとうございました。
 それでは、ただ今の説明について御質問等があればお願いいたします。

溝部委員

 17ページの意識調査の丸4、学習習慣のところです。ここに課題が沢山あると思っています。児童生徒の家庭での学習時間が30分以上という設問がありますが、現在、放課後学習支援とか「教育の絆」プロジェクトとか、放課後に学習する時間を設けている小中学校がかなりあると思いますが、このような時間はどちらにカウントしているのでしょうか。家庭学習としてカウントしているのか、それとも家庭学習の中には入っていないのかということが質問です。
 それから、同じく17ページの一番下、総合的な学習の時間に探究の過程を意識した指導をしている小学校の割合が、全国平均と比べて心配な状況であると認識するのですが、この総合的な学習の時間について、広島市の「言語・数理運用科」は総合的な学習の時間を使っていると思うのですが、「言語・数理運用科」の授業においても探究の過程を意識した指導をしている割合がこういうパーセンテージなんでしょうかというのが、2点目の質問です。

指導第二課長

 まず、放課後学習支援の学習時間をどちらでカウントしているのかということですが、学校によってまちまちである可能性はあるのですが、おおむね家庭での学習時間にカウントされているのではないかと考えております。
 次に、総合的な学習の時間に探究の過程を意識した指導をしているかということについてでございますが、小学校においては全国平均の85.3%を下回っている状況にございます。中学校においては逆に92.2ポイントになっておりまして、全国平均を上回っている状況になっております。「言語・数理運用科」という教科は、総合的な学習の時間の一部分で実施をしておりますが、「言語・数理運用科」については、探究活動を中心にいたしまして、現在も実施をしているところでございます。

溝部委員

 ということは、先生方がこの設問に回答したときに、「言語・数理運用科」はこの中に入れていないという考え方でいいですか。

指導第二課長

 はい、そのように。

溝部委員

 週1回の総合的な学習の時間のことだけを回答しているのですね。

指導第二課長

 そうです。

指導第一課長

 付け加えをさせていただきます。
 総合的な学習の時間における探究の過程というのは、学習指導要領によると、まず最初に子どもたちが課題を発見して、その課題を解決するための情報を収集し、収集した情報を整理・分析して、最終的には、その整理・分析の下でまとめ・表現をしていくという、そういうサイクルを少なくとも2サイクル連続させるというのが総合的な学習です。現状の、特に小学校は35時間の中で、どれだけの探究のプロセスが踏めるかというところに課題を持っていると捉えております。

溝部委員

 はい、分かりました。

栗栖委員

 今までの説明で広島市全体の状況はよく分かったのですが、確認の意味も含めて今後のスケジュールを教えてください。個別の学校に対して今からどうしていくのか、そして、それをどうやってフォローしていくのか。個別の学校ごとにいろいろな課題があると思いますので、それをどうやってフォローしていくのかということと、教育委員会としてこういう調査を継続して行っているのですが、この結果を受けて、今後どのような取組をして、こういった課題の改善に努めていくのかということも教えてください。

指導第二課長

 まず、個別の学校の指導についてでございますが、各学校に対しては、テスト結果の分析を詳細に行うように指示をしております。各学校ごとに、こうした分布表であるとか、あるいは領域によっての弱点などを分析いたしまして、その改善に向けた取組を行い、それに対する指導を、現在、継続的に行っているところです。各学校においては、それらを踏まえて年間指導計画等を作成し、その克服に向けて取り組んでおります。
 さらに、今後、教育委員会(事務局)としてどのように取り組んでいくかということでございますけれども、指定校制度というのを設けておりますので、取り分け30%未満の割合が高い学校については、個に応じた指導の研究指定校の中で、一人一人の生徒の習熟度、到達度に応じたきめ細かい指導ができるような支援体制を作っていく必要があると考えておりまして、指定校制度について、より一層充実させていきたいと考えているところです。以上でございます。

栗栖委員

 恐らく、それぞれの学校ごとに、地域の状況やいろいろな課題も違ってくると思います。
 一方で、広島市教育大綱の中では、学校・地域・保護者全てが「ひろしま型チーム学校」として、連携・協働して学校の課題に対応していきましょうということを重点的な取組として掲げております。「ひろしま型チーム学校」の大きな目標の一つに、やはり学力の向上というのがあると考えられますので、この学力調査の結果というのは、一つの指標になってくると思います。
 今後、各学校ごとに課題を検討していただくときには、「ひろしま型チーム学校」の観点も含めて検討していただくように、教育委員会(事務局)としても徹底して指導していただきたいと思います。教育委員会(事務局)としては、予算の問題もあるでしょうし、全体の中で優先順位を付ける必要もあると思いますが、「ひろしま型チーム学校」の下に、教育委員会(事務局)と学校が一体となって学力の向上に取り組むという姿勢を、是非この機会に、更に徹底していただきたいと思います。

井内委員

 この全国学力・学習状況調査と「基礎・基本」定着状況調査で気になるのは、やはり数学ですよね。数学を全国平均の値と比較すると、数値だけで評価するのもいかがかとは思いますが、それでも、やはり少し問題があるのではないかと思っているのです。
 資料の18ページに、上安小学校の授業改善の取組について、どこが良かったかということを述べておられる。授業改善と一口で言うけれども、具体的にはどんなことが行われているのかというのは、なかなか情報が無いものですから、ここで改めて、ああこのようにやっておられるのかと思いました。右ページの「授業における適用問題の取り入れ」の後半の部分に、適用問題に取り組む時間を授業の最後に7分から10分確保して、本当に今日の授業が分かったのかということを確認させていると、これはそういう意味ですよね。これは大変良い取組だと思います。その日に習ったことについて、小学生が充実感を持てるだろうと思います。
 気にしているのは、中学校になると、また相当に数学の力が落ちていると思うのですが、19ページの三和中学校の取組でも、この学力調査の結果の活用というのはさらっと書いてあって、いつも言っているように、具体的な授業改善の取組が一体どのようなものなのかと。小テストの問題として取り入れたりというようなことは書いてありますが、もう少し中学校のレベルで、数学だけではないと思いますけれども、具体的にどのような授業改善をやっておられるのかというのを、目に見える形で、報告なりレポートなり見せていただくとありがたいという気がします。
 そのような指導というのは、教育委員会(事務局)から各中学校に向けて何か発信をしておられるのか、それとも、授業改善というのは教科の担任の先生の勉強というのが一番大切だと思うので、そこにお任せしているのか。長年の課題ですが、余り改善傾向が見られないので、少し聞かせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

指導第二課長

 中学校の授業改善についてでございますが、基本的には各学校でテスト結果を分析して、課題があったところについて、その単元だけが課題だというのではなく、小学校からの積上げの中で苦手意識を持っている可能性が非常に高いですから、繰り返し学習として、小学校の学習問題を授業の最初の5分間でもう一回取り組ませてみたり、あるいは下学年の内容をもう一回振り返った上で応用問題を解かせてみたり、というようなことを積極的に取り入れております。さらに、先生がしゃべって生徒が聞いているという一斉指導型ではなくて、生徒が自ら主体的に学ぶ意欲が持てるようにグループで共同学習を行うなど、生徒が興味を持って授業に取り組めるような取組をしている学校が多くあります。
 本年度に入りまして、今、井内委員に御指摘いただきましたように、なかなか改善が図れないという中で、広島市の中学校の先生方が集まっておられる研究団体に、市中研、広島市中学校教育研究会という団体があるのですが、その市中研の校長先生の代表と先生の代表にお集まりを頂きまして、指導主事と私もその中に入れていただいているのですが、その中で、今後、授業をどのように進めていけばいいのかということについて、9月から協議を始めさせていただきました。その中で今出ているのは、課題を各学校で分析しているのだけれども、広島市全体として課題が見えているところについて、好事例を踏まえながら、重点的に手法を各学校にお伝えして、全校一斉にそれに向けて取り組んでみようというようなことを、現在、来年度に向けて計画しているところです。今、その取組を加速して進めておりますので、市中研との連携を今後も是非強めていきたいと思っているところでございます。以上です。

井内委員

 教科を担当しておられる先生方の横のつながりというのは、非常に授業改善に役立つであろうと思いますので、是非そういう研究会を通じて情報交換等を行い、好事例の伝達が密に行われるようにお願いしたいと思います。これは単に我々の問題ではなくて、子どもたちがこの中学校の段階で、数学嫌いというか、ドロップアウトしていく可能性も高いですから、やはり、理系の数学、理科に関する興味、関心を失わせないことは、非常に重要なポイントであろうと思いますし、是非、そこを上手く乗り切れるように担当の先生に頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

鈴木委員

 今、井内委員がおっしゃったことと関係するのですが、やはり、このように頑張りましたというお知らせではなく、具体的にこの小テストを使ったというものがあった方がいいと思います。そうしますと、小学校で使われている適用問題というのは何だったのか、それをどのように配付して、誰が何分で解いたのか、1問なのか3問なのか。沢山解く子と少ない子がいますよね。そういう学力差に応じた問題を、多分、何種類か作っていらっしゃるのではないかと思いますので、そういう具体的なものを集めて出していくということだと思います。
 先ほどの中学校の例も、小テストというのはどのテストなのか、先生が作ったのか、子ども同士で作り合ったのか、といった具体例があると思うのですが、それを先ほど言われた市中研などに出して共有するというのも一つですが、インターネットで公開していくという方法もあります。算数はこの単元はこの問題をしたいと思ったら、そこを開ければ5問入っているとかですね。それを印刷すればすぐにできるというような、使いやすさというのを考えてもいいのではないかと思うのです。
 取り組みたい学校は沢山あると思うのですが、ゼロからやれと言われるとなかなかハードルが高いということがありますので、この上安小学校の適用問題がこうでしたというのが分かれば、まずそれを使ってみて合うか合わないか、合わないところは変えてみようとなりますし。
 私は、三和中学校で作られた授業モデルはとても汎用性が高いと思ったのですが、一度これで指導案を作ってみよう、やってみて、うちの学校はここを変えてみようというように、少し変えるというのはできますので、具体的なものを公開されていくといいと思います。それにはイントラネットの工夫などもあるだろうと思いますので、少し検討していただければと思いました。
 かなり具体化が進んでいますので、子どもの学力は、変わるときにはぐっと変わりますので、そこまで是非、こつこつと頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

指導第二課長

 今、御指摘いただきました、問題等をインターネットを通じて共有するということでございますが、従前作ったものを載せたままになっておりますので、それを見直したりしながらより良いものに変えていく必要があると思っております。ありがとうございます。
 また、指導主事が一番授業を見て歩いておりますので、その中で素晴らしい授業もございますし課題のある授業もありますが、それを「指導主事通信」という形にいたしまして、本年度途中からではあるのですが、全校に一斉に配付するようにいたしました。是非、各教科の先生方に目を通していただきたいということで、そういったものを出しながら、今、進めておりますので、そうしたことも活用しながら広く周知していきたいと思います。ありがとうございました。

溝部委員

 数年間、教育委員会議で学力調査の結果を見せていただいているのですけれども、教育現場も教育委員会(事務局)も、一生懸命に効果的な取組を行おうと思って取り組んできていると思いますが、なかなか目に見えて効果が上がっていないという実態があるということですよね。やはり、そこからもう一回考え直す必要があるのではないかと思っています。
 そこで、まず一つ目は、各学校に結果を分析させ、改善を進めていると思いますが、教員だけが分析するのではなくて専門家の方に見てもらうとか、分析の手法にも一つ課題があるのではないかと思っています。ただ平均値を出すとか、何点だったかということではなくて、特に意識調査の分析などは、専門家に委ねるといいのではないかと思います。そして、何とかここを突破していく方法を、やはり必死になって考えたいと思っています。それはなぜかというと、学力が上がるということは生徒指導的にとても効果があるということが、あらゆる学校やいろいろな論文の中でも言われていることで、生徒指導的な課題があるから学力向上ができないということではなくて、学力に特化して一生懸命にやっていると、それは生徒指導的にも、学校が落ち着いてきて、自尊意識も高まってくるというような成果があるものですから、特に学力には、是非、努力をしてほしいと願っているのです。
 私が、中学校に行かせていただいたり小学校に行かせていただいたり、いろいろなことから思うのは、各学校の校務分掌の中に研修部というのがどこの学校にもあると思いますが、この研修部の中身をもう一回考え直してみたらどうかと思います。恐らく、研修部の大きな仕事は授業改善をしておられるのではないかということです。45分あるいは50分の授業改善、これもすごく大事で、とにかく分かる、できる授業をやってもらわないと困りますので、それにはどういうスケジュールで、どうやってこの授業時間を使っていくのか。先ほど適用問題の話もありましたけれども、めあてに取り組む学校が増えてきました。めあてだけではなくて振り返りをしなければいけないと思うのですが、その45分、50分の授業の構成をどうやっていくのかということを考えておられるのが研修部だろうと思っていますが、もう一つ、学力向上についても、研修部の中でもどこでもいいので、学力向上部門のようなところを校務分掌の中にきちんと位置付けて、学力向上を目指すということを明らかにする。授業づくりだけではなくて、授業づくりはもちろんあると思いますが、学力を向上させるにはどんな学力育成モデルを形成すればよいのかというような、目指す子どもの姿のようなところや、日々の授業のスケジュールも含めて、学力向上に特化した形で各学校が取り組んでいかれたらどうかなと、最近とても思っているところです。学力向上部門と言いますか、学力向上プロジェクトと言いますか、各学校の中に設置することになろうかと思いますが、そのようにすると、市中研の中で得た知見などが各学校でも伝わりやすくなるのではなかろうかと思います。そして、他の学校がどのような良いことをしたよという知見も非常に大事なのですが、本学でどのように展開していくかということが学校の中で議論されないと、効果的にならないのではないかと思いますので、先生方もなかなか時間が無いのですが、学校の中にどう取り組むかということを、是非そこをやっていただけたらいいと思います。
 もう一つは、この上安小学校とか三和中学校が、指定校になったおかげでというようなことが多く書いてあるのですが、全学校を指定校にしてはどうかと私は思うのですが。費用が掛かるのかもしれませんが、指定校になるということは、指導主事の派遣が容易になったり、大学の先生を呼んできたりなどあると思うのですが、その学校だけではなかなか、校外からの意見が必要なことも多いと思いますので、そういうことも一つの方法かなと思って提案させていただきました。以上です。

指導第二課長

 ありがとうございます。各学校が真摯に結果を受け止めて、それを専門的な目から、あるいは先生方の目から分析をして、それをいかに自分の目の前にいる生徒に生かしていくかということの重要性を御指摘いただいたのだと思います。それを踏まえて、施策等へどのように生かしていけるのか、また各学校がいかに真剣に学力向上に向けて取り組んでいけるのか、組織も含めて、検討してまいりたいと思います。どうもありがとうございます。

秋田委員

 19ページに、「大学の研究者や指導主事からの指導助言」とあるのですけれど、1例、2例、どういった助言があったのかが知りたいです。

指導第二課長

 公開授業や校内研修会において、大学の研究者の方、広島大学であるとか比治山大学、広島市内にある学校の先生、大学の先生はもとより、中央の方からも先生に来ていただいて、御講話を頂いたりしている状況がございます。
 その中で大きく二つあるのですけれども、まず一つは、中央の方から来ていただく先生については、今の国の情勢を踏まえて、今後本市がどのようなことに留意しながら進めていけばいいのかといったようなことについての御示唆を頂いております。
 もう一つは、直接授業に入っていただいて指導案検討という、1時間の中でどのように授業を展開していくかを示した書類を書くのですが、その指導案のところから、こういう内容について教えるのであればこういう観点で発問をするべきであるとか、こういう観点で振り返りをするべきであるとか、そういった授業の手法に至るまできめ細かい御指導を頂いているというような状況があります。
 そうした中で、ねらいを定めてそのねらいに沿った1時間の授業の流れになっているかといったこと等について教員が深く研修し、現在、どの学校においても授業の最初にまずねらいを示して、子どもたちが今日1時間で何ができるようになればいいかということを見える化しつつあります。今後は、定着したかどうかをどのように測っていくかということが課題になってまいりますが、こうした一定の成果が出てきているものと考えております。

指導第一課長

 小学校の方は、先ほど説明をいたしました上安小学校を例に取りますと、あらかじめ授業の前に子どもたちの座席表に子どもの個別の状況を記入したものを準備し、それに基づいて指導主事や参観の教職員が皆で授業を見ます。そして、先生の発問や子ども同士のやり取りの中から、課題のある子の様子や思考が深まった発言等を基にしながら、その後の協議会で、今日の授業はどこがポイントになっていたのか、あるいは、最終的に評価問題はこれでよかったのか、もう少しステップを踏んでいくつかの評価問題で診断をしていく必要がなかったかというようなことを、普通はその学校の先生方だけでやっているのですが、より専門性の高い指導主事や大学の先生等をお招きして、新たにいろいろな御指摘を頂くという研修を繰り返しております。

秋田委員

 課題のある子どもということが出てきたのですが、なかなか理解が難しい子どもを、どう授業内でドロップアウトせずについてこさせるかということについて、助言を頂いたり、検討したりしたということですか。

指導第一課長

 はい、そういうことです。

秋田委員

 分かりました。

糸山教育長

 その他は、よろしいですか。
 それでは、本件はこの程度にしたいと思いますが、やはり学力の向上というのは、正に教育の一番中心となるところです。今日、いろいろな御意見を頂きましたし、先日の総合教育会議でも議論いただきました。そういったことを踏まえて、来年度、更に今までより具体的にてこ入れをしていこうと、そういう方向で是非やりたいと思います。
 それでは、次に、議題4「平成28年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について」を議題といたします。
 本件は報告案件です。内容について、生徒指導課長から説明をお願いします。

生徒指導課長

 生徒指導課です。それでは、議題4「平成28年度における不登校・いじめ・暴力行為の状況について」報告させていただきます
 この不登校・いじめ・暴力行為の状況は、文部科学省の調査に基づいて取りまとめたものであり、この調査のデータは、各学校が校内の児童生徒の個々の状況を集約し、生徒指導課で各学校から提出されたデータを集計して、広島県教育委員会を経由して文部科学省に提出したものです。文部科学省は、全国の都道府県のデータを集計して、10月26日(木曜日)に公表しております。なお、広島県教育委員会は、11月10日(金曜日)に広島県全体の状況について公表しております。
 この不登校・いじめ・暴力行為の状況の詳細については、別冊の「基礎資料」に示しております。本日は、こちらの方で、その中の特徴的な部分についてのみ説明させていただきます。
 まず、不登校から説明させていただきます。
 基礎資料の1ページを御覧ください。
 不登校の状況ですが、平成28年度の不登校児童生徒数は、本市では、小学校で277人、中学校では685人、高等学校は36人です。小・中・高等学校の不登校児童生徒数の合計は998人でございまして、前年度と比較して8人減少しております。これを在籍児童生徒数における割合で言いますと、小学校は0.42%、およそ236人に1人、中学校は2.35%、およそ43人に1人、高等学校は0.61%、およそ164人に1人になっております。ちなみに国について、資料には付いておりませんが、言いますと、小学校は0.48%、中学校は3.01%、高等学校は1.47%であると公表されております。
 不登校の児童生徒は全国的に増加傾向にありました。このことにつきましては、新聞で見ますと、文部科学省の担当者は、無理して登校させなくていいという保護者の意識の変化などを理由に挙げておりました。本市においては、不登校児童生徒数は、2の推移のグラフと表にありますように、ここ数年は全体的に横ばいの状態が続いております。
 基礎資料の3ページを御覧ください。
 不登校の要因を複数回答でまとめております。下の表で説明しますが、小学校の277人の要因です。まず、本人に係る要因、個人的傾向を表側とし、表頭の左から2列目に分類別児童数としています。そして、それぞれの児童の学校、家庭に係る主な要因について複数回答したものをまとめております。この分類によりますと、家庭に係る状況、これは家庭の生活環境が急激に変化したとか、親子関係を巡る問題であるとか、家庭内の不和といったものが挙げられますが、これが最も多くなっております。
 基礎資料の4ページを御覧ください。
 4ページには中学校が載っておりますが、中学校におきましても、家庭に係る状況が266人ということで多くなっておりまして、本市においても不登校に関しては、子どもを取り巻く家庭の中の様子に何らかの変化があるということが伺えます。
 別になりますが、このことはスクールソーシャルワーカーの派遣対象となった児童生徒数にも表れておりまして、平成28年度に小学校から出されたスクールソーシャルワーカーの派遣要請は、資料にはありませんが、小学校では62.0%であり、平成27年度の53.2%と比べると増加しています。
 中学校になりますと、今度は、家庭の状況とは別に学校に係る状況のうち、学業の不振、成績が不振である、授業が分からない、試験が嫌いといったものが、進路に係る不安を合わせますと339人ということで、中学校の不登校の約半数の生徒の要因になっているということを見て取ることができます。
 生徒指導課では、これまでこの調査の個々の状況について追跡して新たな調査を行ったことはありませんが、今年度から新たに、生徒指導コーディネーター校として、生徒指導上の諸課題について研究推進を行う学校を指定しておりますので、こうした学校を対象に不登校傾向であった児童生徒の改善にどういったことが有効であるのかといった取組や、中学校の不登校傾向の生徒に不安や無気力といった傾向があるところに、スクールカウンセラーや教員が連携してどういった相談業務を行っていくかという分析や調査を行って、この横ばいの状況について改善する策を探りたいと考えています。
 また、先ほど、家庭に係る状況が不登校の要因となっているということを言いましたが、これは、引き続きスクールソーシャルワーカーを活用するなどして、家庭に対して関係機関と連携した支援を行う必要があると考えております。また、小学校と中学校の連携を密にして、小学校から中学校への接続を円滑にすることで、中学校進学による環境の変化での不登校を未然に防ぐために、小中連携や授業改善の取組を一層推進していきたいと考えております。
 続きまして、いじめの状況について説明させていただきます。
 資料の説明に入ります前に、この7月に発生しました五日市観音中学校の生徒の死亡事案の調査状況について説明させていただきます。
 本件につきましては、広島市いじめ防止対策推進審議会が調査を進めておりまして、現在までに、審議会が3回開催されました。現在は、教育委員会が諮問した事項のうち、一つ目の「いじめの事実の全容」について調査を行っています。全校生徒と教職員からのアンケート調査については、既に9月中に終えましたが、アンケート結果から得られた情報について更に詳しく情報を得る必要があることから、これから、いじめの事実の全容の把握・確定に向け、一部の生徒や教職員から聴き取り調査を行うことを予定しております。審議会の林会長からは、学校が初めに教育委員会に報告した7件のいじめの案件の他に、更にいじめとして考えられる事案の情報が複数あり、その詳細を把握する必要があると伺っております。
 なお、学校が本事案の発生後に教育委員会に報告したこの女子生徒への2、3年生の時のいじめの事案については、学校がこれらのことがいじめであると認識しましたのは今年の7月末でございました。一方、この調査の文部科学省への報告時期は5月から6月になっておりました。このため、この2年生の時のいじめの事案については、(その時点では)学校から報告がなく、(本資料における)平成28年度のいじめの認知件数には含まれておりません。
 それでは、基礎資料の12ページを御覧ください。
 平成28年度のいじめの認知件数は、小学校789件、中学校234件、高等学校6件、合計1,029件となっておりまして、昨年度の576件から約2倍に増加しております。
 1のグラフの平成24年度と平成25年度の間に波線が描かれておりますのは、平成25年9月にいじめ防止対策推進法が施行され、いじめの定義が変更されたことを区別するものです。
 改めまして、平成27年度から平成28年度にかけていじめの認知件数が増加した要因としましては、今回の調査から、けんかやふざけ合い、暴力行為等に関しても、背景にある事情に一度戻って調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目して認知を行ってほしいということで、新たに調査項目対象等に含まれたことで、小学校を中心に大幅に増加をしております。これは全国的な傾向と一致しております。
 しかしながら、本市における1,000人当たりのいじめの認知件数は10.2件で、全国は23.9件となっております。全てのいじめが認知されていないことが考えられます。ちなみに、12ページのグラフの下の表のうち、本市の小学校の789件は、1,000人当たりでいうと12.1件、中学校は8.0件、高等学校は1.0件で、全体で10.2件です。全国は、小学校は1,000人当たり36.6件、中学校は20.8件、高等学校は3.7件、全体で23.9件となっております。
 次に、基礎資料の13ページを御覧ください。
 本市におけるいじめの発見のきっかけでございますが、下の表の表側について多かったものをゴシック体にして下線を入れておりますが、上から五つのものが学級担任の発見からアンケート調査など学校の取組ということで、これは、学校の教職員が発見したと考えているものでございますが、大体24.4%で、これは全国は66.1%になっています。特に、「アンケート調査など学校の取組により発見」という項目は、本市ではいじめの認知件数の4.2%となっていますが、全国は51.6%となっており、このアンケートの部分については大幅に下回っています。
 逆に、本人から先生に訴えた、保護者や周りの友人からの訴えや相談というところは70%を超えております。これは、全国は33.5%ですから、逆に言うと、子どもたちが積極的に先生に相談している様子も伺えてきます。
 集計の仕方についても一考する必要があろうかと思いますが、各学校で実施しているアンケート調査でのいじめの認知を高めるために、アンケートの時期や質問の形式など調査方法や回答方法について、今後、区分の計上の仕方、広島市独自の課題があるかもしれませんのでそこも精査するとともに、他県や他都市の状況を調査して、適切にいじめを認知できる方法を検討し、各学校に周知していく必要があると考えております。さらに、校長会や、全ての学校の管理職や生徒指導主事を招へいしての生徒指導協力会議等において、いじめ問題に関する専門の講師を招へいして研修を行うなど、いじめ問題に対する組織的な対応や取組を各学校で推進していきたいと思います。
 いじめを正確に漏れなく認知することは、いじめへの対応の第一歩と考えております。いじめ防止対策推進法が機能するための大前提であるとも考えております。改めまして、いじめは子どもの心身の健全の育成に重大な影響を及ぼし、子どもの命に関わる問題であり、どの学校でもどの子どもでも起こりうるという共通認識を持って、その兆候をいち早く把握して迅速かつ適切に対応することが不可欠でありまして、本市において重大事案が発生したことを真摯に受け止めて、いじめの問題への対策については万全を期してまいりたいと考えております。
 続きまして、暴力行為に移ります。
 基礎資料の23ページを御覧ください。
 平成28年度の暴力行為の発生件数は、小学校が196件、中学校では178件、高等学校では4件、合計で378件でございまして、小・中・高等学校の暴力行為の発生件数の合計は、前年度と比較して22件減少しております。
 ちなみに、これも一番下の表の区分で、平成28年度は、本市の小学校は1,000人当たりの発生件数でいいますと3.0件、中学校は6.1件、高等学校は0.7件、全体で4.0件。それに対して全国は、小学校は3.5件、中学校は8.8件、高等学校は1.8件、で全体で4.4件と発表されております。
 本市におきましては、暴力行為の発生件数が多い中学校に警察OB等の生徒指導支援員を配置しております。生徒指導支援員24名は、2人ずつ配置するのですが、配置した12校の暴力行為は、これは資料にありませんが、平成27年度は81件から57件に、平成28年度は51件から32件と、これもやはり減少しております。生徒指導支援員が配置された学校は、生徒指導支援員が介在して児童生徒の信頼関係づくりや居場所づくりに取り組むとともに、相談活動や関係機関との連携活動を行ったことが、中学校の暴力行為が大幅に減少している要因であると考えています。
 しかしながら、小学校においては、5年ぶりに暴力行為の発生件数が若干減少しましたが、5年前に比べれば約1.7倍となっております。暴力行為が増加した小学校は、学校から聴き取ったところ、増加した要因で最も多かったのは、一つは自分の感情、行動を上手にコントロールすることができない児童が増加しているということ、次に、児童の規範意識が低下していることが挙げられるということです。同様の調査で、暴力行為が減少した小学校から聴き取りますと、減少した要因で最も多かった項目は、担任等による個別の面談実施によって児童の実態把握に努めて個に応じた対応を行った、次に、児童生徒の自己肯定感や対人関係能力を形成するように取組を推進したということでした。
 暴力行為については、中学校では引き続き生徒指導支援員等を学校に派遣し、生徒やその保護者の対応等に対して相談支援を行って、課題の早期解決に努めてまいりたいと思います。また、小学校においても、暴力行為が多発している学校につきましては、生徒指導アドバイザーや自立支援相談員等を派遣して、早期の支援を行っていきたいと考えています。さらに、各学校において、より丁寧に児童生徒の実態把握に努め、子どもの安心感や承認感、自己有用感を相互に体験できる良質のコミュニケーションの場を大量に創出できるような取組、子どものコミュニケーションスキルや規範意識の向上を図り、子どもにとって安心・安全な学校づくりに努めてまいりたいと考えます。
 以上で報告を終わります。よろしくお願いします。

糸山教育長

 それでは、ただ今の説明等に御質問等がありましたらお願いいたします。

井内委員

 いじめのところに話が戻るのですが、資料の13ページの説明でちょっとびっくりしたのは、広島市と全国の比較で、広島市はアンケートで見つかる割合が3割、本人からの訴えが7割だと。それが全国は逆ですよね。ということは、広島市の各学校あるいは各学級で行われているアンケート調査に何か問題があるのではないか。つまり、質問の仕方であるとか内容に、いじめ発見の契機になる割合が低くなるような何かがあるのかどうかを知りたいです。というのは、中学校のいじめの認知件数が少ないのではないかと、ちょっと意外に思ったのです。もっとあるのではないかと。つまり、隠れている部分が中学校の場合は多いのではないかと。私の感じとしては、小学校ならば、保護者が訴えるとか本人が訴えるとかということが結構あると思うのです。ただ、中学校になると、そういうことをやりにくい、あるいはやらないということもある。そうなると、やはり中学校の場合はアンケートが一番適切なのではないかなと思っていたので、全国と比較して広島市ではアンケート結果で見つかる割合が低いというのは問題ではないかと思ったのです。どうでしょう。

生徒指導課長

 詳しく各校の状況を改めて調査してみる必要があろうかと思いますが、中学校でよく聞くのは、アンケートを、いじめに特化するのではなく、学校の生活態度の中で何か悩みがありますか、友達の困っていることを見たことはありませんかと、そういう一般的な生活に関するアンケートを年に3回行っているのが多かったと思います。その中で、学校では必ずアンケートだけではなく、子どもの生活の様子を基に面談を持つようにしております。子どもによっては、実はというように話すこともあるかもしれませんし、アンケートの中でいじめのことを書いているようなこともあろうかと思います。私も情報は少ないのですけれども、聞いているところで言いますと、毎月いじめについてのアンケートをしているというような学校もありますので、どういった形でやるべきなのか、一度全部の学校に対して、特に認知が多い学校についても、改めて、早急に調査を行いたいと思っております。

井内委員

 そうですね、スクールカウンセラーの方とも相談をされて。学校生活に悩みはありますかと、そういう漠然としたきき方よりは、もう少しストレートなきき方の方が意外と対処できるのではないかという印象を私は持っています。だから、その辺の改善はやはり課題ではないかなと思っています。月1回というのは余りにもやり過ぎではないか、そんなにアンケートばかりに集中させるというのも教育的にはどうかなと思うので、年3回でも4回でも、回数についてはそのくらいが適切だと私は思いますけれども、やはりきき方についてはもう少し、もうみんな分かっていることだから、重要な問題に関してはストレートにきいてもいいのではないかという気がします。その辺を是非、現場をよく知っておられるスクールカウンセラーの方と相談されて、質問紙の内容について少し精査をお願いしたいと思っております。以上です。

生徒指導課長

 はい、分かりました。

糸山教育長

 ありがとうございました。
 アンケートのやり方については、きちんと検証した上で見直しをしたいと思います。

鈴木委員

 23ページに、暴力行為の状況というのがあり、その中で感情をコントロールできない子どもが増えているということを言われたと思います。規範意識を育てるというのは、学校で決まりを守るなど、生徒指導の中でなされていると思うのですが、感情をコントロールするというのは、その子その子だけの問題ではなくて、学級全体であったり、先ほどのいじめの問題にも関わると思うのですけれども、自分の欲求ややりたいことを出すことも大事ですし、我慢する(ことも大事)という両面がいると思うのですが、このような感情のコントロールに関して、何か特化した取組をされていればお教えいただきたいと思います。

生徒指導課長

 生徒指導主事の研修で、そういったソーシャルスキルについて、いくつかの事例を紹介しながらやっているところではあるのですが、ここを特化して強く前面に打ち出してやっていきましょうというところについては、弱いのかなと思います。ただ、各学校につきましては、個別の対応はすごく丁寧に入っております。子どもがそういう状況だったときに、早期に寄り添う、どうしたのかと話を聞く、これはスクールカウンセラーが対応することもありますし、応援の先生がおりましたらそういったところで聞いていくこともあります。今のところはどちらかというと対処的なところが強いかもしれませんが、子どもに対して寄り添って、繰り返さないようにしていくということを中心に取り組んでいるような状況です。

鈴木委員

 イギリスの学校でドラマエデュケーションというのを見たことがあります。ドラマ教育ですが、悪い感情を出させる勉強をするのです。怒りを出しなさい、悲しさを出しなさいとかですね。良い感情ももちろん出すのです。友情を表現しなさい、優しさを表現しなさい、平和を表現しなさいというようにあるのですけれど、怒りとか悲しさを表現させることで、自分の感情を出すすべを知るといいますか、そういうことを専門家の方がやっておられましたけれども、そういった感情を出したり出さなかったり表現したりというような時間を少し取り入れてみられて、子ども全体がそのようになるようにしていかれるといいのかなと思いました。すぐにということではありませんけれど、そういうソーシャルスキルトレーニングという手法だけではなく、感情を出すとか出さないといったことをされてみてはいかがかなと思いましたので、参考までにお話しいたしました。

栗栖委員

 いじめのことに関してですが、以前は、学校がいじめを教育委員会に報告することを、あまり積極的にしない、どちらかというと無かったことにしたいというような話を聞いたことがあるのですが、最近は、小学校、中学校ともいじめの件数が増えてきているので、大分報告されてきていると思いますが、その辺りの学校現場の意識というのはどんな状況なのでしょうか。

生徒指導課長

 繰り返し繰り返し、校長会や生徒指導主事会でも、いじめの認知については伝えております。やはり、今はもう、いじめの見逃しをゼロにしようというように完全に切り替えておりますので、まずは全部出しましょうということになっております。以前は、うちの学校ではいじめがゼロでしたというのを言いたいといった傾向が確かにあったのですが、今はそれは無くなってきております。ただ、先ほども言いましたように、数が上がったからそれは適切に認知しているのかといったら、やはり子どもに寄り添って、本当に見逃しがないのかということは検証していかないといけないと考えております。先生方が適切にいじめを把握して認知し、それが組織的に報告に上がることで、校内のいじめ防止委員会が機能するという形を、しっかり作っていこうと思っております。

栗栖委員

 ここが一番大事だろうと私は思います。やはり、現場の担任の先生が、生徒児童に対して、よく観察し、関わり合うことができれば、いじめに気が付くと思いますので、少しでもいじめの傾向があれば、とにかくそれを表に出すということを、いろいろな場面で徹底していただきたいと思います。なかなかそれでも見分けにくい場合には、いじめを表に出していく一つの手段として、例えば先ほどのアンケートなども積極的に活用していただきたいと思いますが、やはり現場の先生方が、とにかく見逃しをゼロにするということが大事なので、ささいなことでも一旦それを表に出しましょうということを、是非、徹底していただいて、先般のような不幸な案件が起こらないようにしていかなければと思います。

秋田委員

 不登校に関しては、小学校の時に何とか登校できていたけれども中学校ではできなくなったというような場合に、できるだけ中学校でも行けるようにするためには、小学校と中学校の連携や情報交換と、家族を見守るといった個別の対応が必要なのかなと思うのですが、もちろん保育園から小学校というのもあるのですが、そういう学校間の連携で、本市での好事例とか他県での組織的な取組などがあれば、参考にできればいいのかなと考えています。

生徒指導課長

 本市でいいますと、平成25年度から小学校に生徒指導主事を任命しまして、中学校区で小学校と中学校の生徒指導主事が集まって、子どもの状況について協議をするようにしております。生徒指導主事と話をしますと、最初は隠すところもあったのですが、年々、本音で子どもたちの状況や課題について話をするようになっていると聞いています。平成25年度から中学校の暴力行為が減ったことも、小学校に生徒指導主事を任命し、中学校と連携する中で、子どもの様子を把握し、いち早く問題に取り組むことができるようになったことに要因があると思います。不登校の子どもや不登校傾向の子どもにつきましても、やはり小学校と中学校で連携してはおりますが、暴力行為と比べるとまだ弱いところがあるかもしれません。こういったところについても、しっかり交流していきたいと思います。よく小学校から中学校で先生の指導が変わったことで学校に行けないということもありますし、ふれあいひろばの推進員が家に迎えに行ったりすることで、何とか学習する場を中学校の中でというように取り組んでいるところもありますが、やはり小学校と中学校の連携や情報交換を密にして、小さい頃から悩んでいるような子どもの悩みに、中学校でも継続して取り組んでいくということを考えていきたいと思いますし、その辺りも少し、小中連携の在り方の中で声を出していきたいと考えています。

秋田委員

 歌が得意とか、子どもの得意なところをより伸ばすようにしてあげたら、学校に行く気になってくれるのではないかなと思います。子どもの良いところの共有も、是非していただきたいと思います。
 暴力行為に関しては、暴力事件を起こして、家庭裁判所や少年鑑別所で心理テストとか知能テストを受けることになり、その段階で初めて軽度の知的障害が判明したり、発達障害が判明したりというようなことがままあります。本当は、小学校の入学前までに気付いて、それなりの配慮ある取組や療育ができれば、そういった結果にならなかっただろうという子どもがいますので、そういう家庭裁判所でのことをチャンスにして伸ばしていくという、遅ればせながらそういう機会にしていかないといけないなと思っていますし、少年鑑別所や療育センターなどが外にアウトリーチで出ていくということもされ始めているようですので、そういった検査の活用など、もう少し関係機関との連携を進めて、生き辛さを抱えている子どもを早めに発見してあげるようにしていただきたいと思います。

溝部委員

 資料の12ページです。平成27年度に比べて平成28年度のいじめの認知件数が多くなっているということは、これはある意味大事なことで、認知件数が増えているということは心配な面もあるけれども、これは必要なことであると認識していますが、小学校はとても増えているのですが、中学校が余り増えていないということについては、事務局としてはどう受け止めておられますか。

生徒指導課長

 やはり、まだ中学校では、悩んでいる子ども、相談したい子どもというのが沢山いると、この数ではないと思っていますので、積極的にこの辺りは声を大にして、校長会や生徒指導主事会で言っていきたいと思っています。
 この前の校長会でも事例を基に少し話をしたのですが、全国平均で1,000分の23.9という数がありまして、要は40人の中に1人、ということは学級の中で1人は悩んでいる子どもがいませんかという呼び掛けをしてみました。校長先生が学校の中を見て回る、教室の中を見て回るときに、誰か困っている子どもはいないか、担任の先生にしてみても、自分の学級を見たときに誰かはいるのではないか、そういう見逃しはないかということで、分かりやすい具体例の中で、いじめの認知を積極的にやっていきましょうという具合に、例を挙げながら取り組んでいきたいと思います。
 中学校についてはまだまだ、小学校でもまだあると考えております。

溝部委員

 資料の13ページのいじめの発見のきっかけの中で、アンケートについては、先ほど井内委員がおっしゃいましたことと同意見です。
 子どものいじめを発見する場合に、学校の取組のアンケートという手法、それから本人からの訴え、そして保護者からの訴えがあります。担任が発見する、スクールカウンセラー等が発見するなどもありますが、特に、今申し上げたアンケート、そして本人からの訴え、保護者からの訴えの受け止め方、学校がそれをどう受け止めていくかというところも、今後、少し探っていく必要があるのではないかと思います。それぐらいの日はあるよねと受け止めるのか、子ども同士はそういう人間関係のいざこざも多少なければならないということもありますけれど、どう受け止めたらよいのかということを、専門家の方に教えていただいて研修をするというのがよいかなとも思っています。なぜかと言いますと、アンケートの結果が余りにも低いということなのですが、この内容も、もちろん今から検証を進めていかれると思いますけれども、アンケート結果の分析については、先ほど学力向上の分析でも思いましたけれど、恐らく学校の先生だけでされているのかなと思うので、ここに専門家の意見を入れて、アンケート結果の裏に隠れているようなものまで分析できると、アンケート結果が有効になるのかなと思っています。
 今、全市で小学校も中学校も生徒指導主事が派遣されて、いろいろな形で少しずついろいろなことが見えてきたり、効果が出てきたと聞いているので、大変良かったなと思っているのですが、今回の不登校といじめと暴力行為というのは、三つに分かれたデータで出ていますけれども、根っこは同じで、不登校の原因がいじめだったり、いじめを越して暴力行為になったりと、これは全部関連していて同じことです。子どもたちを育てるのに、人間関係づくりと言いますか、人間関係の能力に特化した形で、スキルだったり、能力だったり、人間関係で集団生活を行う場合にはこういうことがあってこういう能力が必要であるというようなところを、学校の中で先生方だけに任すのではなくて、少し思い切る必要がなかろうかと思います。余りにも人間関係が薄い中で生活しているので、是非そういうことも、今後、考えていっていただけたらありがたいと思います。以上です。

栗栖委員

 同じようなことになるのですが、先ほどの学力の向上のときにも申し上げたのですが、やはりこの問題についても、学校別にいろいろな事情があると思います。学校ごとで状況も違うと思います。先ほどと重なるのですが、こういったことに関しても、それぞれの学校の課題を認識した「ひろしま型チーム学校」の考え方を取り入れて、「ひろしま型チーム学校」として取り組んでいくように、教育委員会(事務局)としても積極的に関与していただきたいと思っております。特に、スクールソーシャルワーカーなどは予算の問題もありますし、人材の問題もありますので、その辺りを学校の現場の意見を吸収しながら、できるだけ改善に向けて対応できるようにフォローしていただければと思います。

糸山教育長

 ありがとうございました。その他は、よろしいですか。
 それでは、本件については、この程度にしたいと思います。
 以上で、議題は全て終了いたしました。
 これをもって、平成29年度第15回広島市教育委員会定例会を閉会いたします。

7 議決事項

 なし

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